資料6-4:教職員の確保及び専門性の向上についての論点

平成23年12月9日開催の第14回特別委員会における資料1-1と同一

(1)総論

○特別支援教育の専門性について

  • 高発生頻度障害(発達障害等発生頻度が非常に高い障害)は基本情報として全ての教員が有し、低発生頻度障害(視覚障害、聴覚障害、重度・重複等)は担当教員が専門性を高める、という形で分けて専門性を向上させていくべきかどうか。

(2)特別支援学校教員の専門性

○特別支援学校教諭免許状の保有率向上を図り、「当分の間、特別支援学校教諭免許状を保有せずに幼・小・中・高等学校の免許状のみで特別支援学校の教員となることが可能とされている制度」について、どのような方向で見直していくべきか。

  • 現在の保有率の計画的な引上げのための方策
  • 視覚障害、聴覚障害といった大学において養成できる人数が限られている障害種についての教員確保の在り方

(3)小・中学校の特別支援教育担当教員等(特別支援学級担任、通級指導担当教員)の専門性

○小中学校の特別支援学級担任、通級指導担当教員は、現在、小・中学校の免許状のみで担当となることができるが、それに加えた専門性について、どう考えるか。

  • 特別支援学校と特別支援学級の人事交流等により、特別支援学級担当教員を各学校の特別支援教育の中核として位置付けて特別支援教育を推進するための方策。

(4)特別支援教育コーディネーターの専門性

○特別支援教育コーディネーターについては、学校全体の特別支援教育の推進という観点から、どのような専門性が必要か。

(5)特別支援教育担当教員以外の教員の専門性

○担当教員以外の教員の専門性について、養成・研修において、それぞれ何を身に付けるべきか。

(6)特別支援教育支援員

○特別支援教育支援員等の一層活用を図るため、どのような研修を実施していくべきか。

(7)教職員への障害のある者の採用・人事配置

○障害のある教職員の採用促進のためにどのようなことが考えられるか。

(8)学校外の専門家、親の会、NPO、学校支援ボランティア等との連携

○外部専門家や関係団体等とどのように連携することが適当か。

(追加)障害のある子どもの特性に応じた教育を行うために求められる教職員の確保及び専門性の向上ための方策について

  • 以下の教員について、どのように確保及び専門性を高めていくことが適当か。

○1 特別支援学校教員

○2 小・中学校の特別支援教育担当教員等(特別支援学級担任、通級指導担当教員)

○3 特別支援教育コーディネーター

○4 特別支援教育担当教員以外の教員

○5 特別支援教育支援員

  • 個々の教員だけでなく、学校全体としての専門性の確保として、学校外の資源をも活用したシステムをどのように構築していくことが適当か。

(参考1)障害者基本法(最終改正平成23年8月5日)(抄)

第十六条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。

2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。

3 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならない。

4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。

(参考2)障害者制度改革の推進の基本的方向性について(平成22年6月29日閣議決定)(抄)

○障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受けるという障害者権利条約のインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえ、体制面、財政面も含めた教育制度の在り方について、平成22年度内に障害者基本法の改正にもかかわる制度改革の基本的方向性についての結論を得るべく検討を行う。

手話・点字等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育を実現するため、手話に通じたろう者を含む教員や点字に通じた視覚障害者を含む教員等の確保や、教員の専門性向上のための具体的方策の検討の在り方について、平成24年内を目途にその基本的方向性についての結論を得る。

(参考3)障害者制度改革の推進.のための基本的な方向(第二次意見)(平成22年12月17日)(抄)

2)教育
(推進会議の問題認識)

 日本における障害者に対する公教育は特別支援教育によって行われており、法制度として就学先決定に当たっては、基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に就学する原則分離別学の仕組みになっている。障害者権利条約は、障害のある子どもとない子どもが共に教育を受けるインクルーシブ教育制度の構築を求めており、こうした観点から、現状を改善するために以下を実施することが必要である。

【インクルーシブな教育制度の構築】

 人間の多様性を尊重しつつ、精神的及び身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するとの目的の下、障害者が差別を受けることなく、障害のない人と共に生活し、共に学ぶ教育(インクルーシブ教育)を実現することは、互いの多様性を認め合い、尊重する土壌を形成し、障害者のみならず、障害のない人にとっても生きる力を育むことにつながる。
 また、義務教育だけでなく、就学前の教育、高校や大学における教育、就労に向けた職業教育や能力開発のための技術教育、生涯学習等についても、教育の機会均等が保障されなければならない。

【地域における就学と合理的配慮の確保】

 障害のある子どもは、障害のない子どもと同様に地域の小・中学校に就学し、かつ通常の学級に在籍することを原則とし、本人・保護者が望む場合に加え、ろう者、難聴者又は盲ろう者にとって最も適切な言語やコミュニケーションの環境を必要とする場合には、特別支援学校に就学し、又は特別支援学級に在籍することができる制度へと改めるべきである。
 したがって、「障害の状態に応じ、十分な教育が受けられるようにする」という現行の規定は、障害の種別と程度によって就学先が決定されることを許容し、インクルーシブな教育制度と矛盾する恐れがあるため改められるべきである。
 障害のある子どもが小・中学校等(とりわけ通常の学級)に就学した場合に、例えば分かりやすい授業や教材、必要なコミュニケーション、学校における移動支援、医療的ケア等、その他各人のニーズに応じた合理的配慮が提供されなければならない。当該学校の設置者は、追加的な教職員配置や施設・設備の整備等の条件整備を行うために計画的に必要な措置を講ずるべきである。

【学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障】

 手話・点字・補聴援助・要約筆記等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育を実現するため、ろう者を含む手話に通じた教員や視覚障害者を含む点字に通じた教員、手話通訳者、要約筆記者等の確保や、教員の専門性向上に必要な措置を講ずるべきである。
 更に、教育現場において、一人ひとりのニーズに基づき、あらゆる障害の特性に応じたコミュニケーション手段を確保するため、教育方法の工夫・改善、電子教科書を含む使いやすく、分かりやすい教科書の保障等必要な措置を講ずるべきである。

【交流及び共同学習】

 交流及び共同学習には、様々な形態がある。例えば、特別支援学校と小・中学校等の間で行う学校間交流、特別支援学級と通常学級との学校内での交流、居住地の学校で行う居住地校交流、地域の人々との地域交流等があり、それぞれ、直接一緒に活動する直接交流と、手紙やビデオテープの交換等を介して行う間接交流がある。
 しかし、学校間交流は年に数回であることが多く、直接交流が可能となっても移動の際に親が付き添いを求められるなど、多くの課題がある。交流及び共同学習は分けられた教育環境が前提となるため、原則分離の教育のままでは障害者権利条約で規定しているインクルーシブ教育は実現しない。地域社会の一員となる教育の在り方という観点から見直されるべきである。

 以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。

  • 障害のある子どもは、他の子どもと等しく教育を受ける権利を有し、その権利を実現するためにインクルーシブな教育制度を構築すること。
  • 「障害の状態に応じ、十分な教育が受けられるようにする」という現行の規定は、障害の種別と程度によって就学先が決定されることを許容し、インクルーシブな教育制度と矛盾する恐れがあるため表現を改めること。
  • 障害のある子どもとない子どもが、同じ場で共に学ぶことができることを原則とするとともに、本人・保護者が望む場合に加えて、最も適切な言語やコミュニケーションを習得するために特別支援学校・学級を選択できるようにすること。
  • 本人・保護者の意に反して、地域社会での学びの機会を奪われることのないようにすること。
  • 学校設置者は、当該障害者に必要な合理的配慮を提供することはもとより、追加的な教職員の配置や施設・設備の整備等の条件整備を行うために計画的に必要な措置を講ずること。
  • インクルーシブな教育の原則を踏まえ、子ども同士のつながりを障害のない子どもと同程度にするように交流及び共同学習の実施方法を見直すこと。

(基本法改正に当たって政府に求める事項に関する意見)

○ 障害のある子どもは、他の子どもと等しく教育を受ける権利を有し、その権利を実現するためにインクルーシブな教育制度を構築すること。

○ 障害のある子どもとない子どもが、同じ場で共に学ぶことができることを原則と するとともに、本人・保護者が望む場合に加えて、最も適切な言語やコミュニケーションを習得するために特別支援学校・学級を選択できるようにすること。

○ 就学先の決定に際し、本人・保護者の意に反して決定がなされないことを原則とすること。

○ 障害のある子どもの個別のニーズに的確にこたえるため、合理的配慮や必要な支援が提供されるために必要な施策を講ずること。

 

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