資料10:教員の資質能力向上特別部会審議経過報告のポイント等

教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について
(審議経過報告 抜粋)

1.教員養成の在り方

○ 近年、社会状況の変化や子どもの変化等を背景として、○1 学力の向上への対応、暴力行為、いじめ等の生徒指導上の課題への対応、特別の支援を必要とする児童生徒への対応、家庭や地域力の低下等、教員が対応すべき課題の急増、○2 今後10年間に教員全体の約3分の1の教員が退職し、経験の浅い教員が大量に誕生することが予想されること、○3 新人教員について、実践的指導力やコミュニケーション力等が十分に身に付いていないとの指摘があること、○4 社会状況の変化や国際化、科学技術の進歩に対応し、専門職である教員にもより高度な専門職としての資質が求められていること、等を背景に、教員養成においてこれまで以上に高度な実践的指導力やコミュニケーション力等の育成が求められている。

○ このため、平成22年度入学生のカリキュラムから導入される教職実践演習の確実な実施など、大学における教員養成教育の質的な充実をさらに進めるとともに、学士課程修了後も、高度な実践的指導力を身に付けるための学びを続け、確実に教員としての資質能力を向上させる必要がある。

○ これらを踏まえ、教員養成は、学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程等での学修を要すること(修士レベル化)について、今後検討を進める。

○ この場合、例えば、当面は、学士課程修了者に基礎的な資格を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を修了すれば、修士レベルの資格取得を可能とすることも検討する。

  また、新たな仕組みと現行の初任者研修制度との関係や、採用段階との関係も整理する必要がある。

○ 様々な段階で社会人等がその専門性を生かしつつ、教員を志せるようにするため、学士の教職課程を修了していない者を対象とした修士レベルの課程等を設け、修了者には、修士レベルの資格取得を可能とすることについて検討する。

○ 教員養成を修士レベル化することに伴い、養成の規模や大学の組織体制の在り方、奨学金の活用等による学生の経済的負担の軽減についても併せて検討する。

○ 学部・大学院等における教員養成に係る課程認定審査や設置審査をより厳格化するとともに、新たな事後評価システムの構築を検討し、教員養成の質の保証を図る。また、事務体制についても抜本的に強化する。

2.教員免許制度の在り方

○ 教員免許状は、学校教育法で規定されている初等中等教育段階の学校における、いわゆる公教育の直接の担い手である教員の資格を定め、その資質能力を一定水準以上に確保することを目的とする制度であり、一定の評価を得て、定着している。しかしながら、教員免許状取得者数と教員採用者数とが大きく乖離するなど、改革が必要との指摘もあることから、今後長期的に教員免許制度の在り方について検討していく必要がある。

○ 教員免許制度についても、教職生活全体を通じて、教員の資質能力向上を図ることを支援する制度に改革すべきである。教員養成の修士レベル化について今後検討を進めることとし、その際、例えば、当面は、学士課程修了者に基礎的な資格(「基礎免許状(仮称)」)を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を修了すれば修士レベルの資格(「一般免許状(仮称)」)を付与することも検討する。

○ また、教員が教職生活を通じて、より高い専門性と社会性を身に付けていくことを支援するため、教員免許状により一定の専門性を公的に証明する「専門免許状(仮称)」を創設することについて検討する。

○ これまでの検証も踏まえ、教員免許更新制については、教員が教職生活の全体を通じて自発的かつ不断に専門性を高めることを支援する新たな制度への移行も視野に入れて検討を進める。その際には、「専門免許状(仮称)」制度と関連付けて検討するとともに、10年経験者研修との関係についても、整理していく必要がある。

○ 教員免許状の区分については、例えば小学校教諭免許状と中学校教諭免許状を併せ、「義務教育免許状」とすることや、中学校教諭免許状と高等学校教諭免許状を併せ「中等教育免許状」とすることなど、複数の学校種をまとめた免許状を創設することの是非について、今後検討する。

3.採用と学校現場への多様な人材の登用の在り方

○ 様々な段階で、社会人等がその専門性を生かしつつ教職を志せるような仕組みについて、新たな教員養成制度及び教員免許制度の中でどのように位置付けるべきかについても検討する。また、その際の資格の在り方についても今後、学校種別毎に検討する。

○ 全国的に30代・40代の教員が少ない現状を改善するため、この年代で教職以外の職にある者の中途採用を進めることも必要である。

○ 新たな教員免許状体系の下における臨時的任用教員や非常勤講師の採用・配置の在り方について検討する。

4.現職研修の在り方

○ 教職生活全体を通じて、教員の資質能力向上を図っていくことが今後ますます求められることから、現職研修についても、これを支援するような方向で改革すべきである。また、実施内容・方法については、個別的・協働的な学習をより重視する方向で見直しが必要である。

○ 初任者研修の在り方については、養成期間と初任者の時期について複合的に考え、初任者研修について発展的に解消することも含め今後検討を進める。

○ 任命権者と大学が連携した研修の在り方や、研修の受講成果を「専門免許状(仮称)」の取得単位の一部とすることなどについて、検討する必要がある。

○ 教員研修は、現在、国と地方が適切な役割分担の下、国においては、教育政策上真に必要な分野に限定し、研修事業を行っている。こうした仕組みは、研修全体の効果を高める上で大変重要であり、今後とも教育委員会や大学等との連携を図りつつ、必要な刷新を図る。

5.教育委員会・大学等の関係機関の連携・協働

○ 教育委員会・大学をはじめとする関係機関や地域社会が一体となって教員を養成し、支援していくことが重要であることから、新たな教員養成・採用・研修の仕組みの中で、大学の教職課程の認定や評価、「専門免許状(仮称)」授与の際の履修履歴の評価、大学と教育委員会とが連携した研修の実施等において、これら関係者の連携・協働がより広範かつ確実に行われるような仕組みを構築する必要がある。

6.当面取り組むべき課題

○ 管理職の資質能力の向上は学校を改革する上で極めて重要である。今後はマネジメント力を身に付けた管理職を育成するため、教職大学院等での学校経営を中心とした専攻・コースの充実を図るとともに、国や都道府県等の教員研修のためのセンター等において「マネジメント型」管理職の養成を行うことが期待される。修了者には学校経営の「専門免許状(仮称)」を授与すること等について検討する。

○ 幼稚園教諭の資質能力の向上については、幼稚園教員養成の現状や小学校等他校種の教員に今後求めることとしている資格要件の検討などを踏まえ、検討する必要がある。

○ 特別支援教育に携わる教員の資質能力の向上については、今後の特別支援教育の在り方の検討状況を踏まえ、検討を進めていく必要がある。

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初等中等教育局特別支援教育課

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