2010年11月19日
財団法人全日本ろうあ連盟 久松三二
学校教育法で定める現行の特別支援教育制度は、障害の種別を超えた学校教育を理念とし統合的な特別支援教育を目標にしてきましたが、統合を推進することにより障害個別教育の「専門性」「集団性」が損なわれてきていることが指摘されています。これは、特別支援教育の理念である『障害のある幼児児童生徒の教育の基本的な考え方について、特別な場で教育を行う「特殊教育」から、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」に発展的に転換とされていること』が崩れることを意味します。
今後、障害者権利条約の第24条に定める「教育」の条項に即して、現行の特別支援教育制度を発展的に改良していくことによってインクルーシブ教育を推進する役割を担うことができるようにしていく必要があります。
(1)早期発見、早期治療、早期支援
(2)就学先決定の仕組みの再検討
(3)一貫した支援体制の構築
(1)環境整備全般
(2)合理的配慮
(3)交流及び共同学習並びに通級支援
(4)個別支援センターの設置及び活用
※中間報告案にあるような特別支援学校そのものがセンター機能を有するのではなく、個別支援センターが特別支援センターとは独立した機関(組織)であること、そしてこの個別支援センターが、特別支援学校と地域の学校の両方を支援する機能を有することが望ましい。
(1)教職員の専門性の確保
(2)教職員の養成・研修・免許
(3)教職員への障害のある者の採用
(1)特別支援教育、聾教育、盲教育の三体系とする
障害者権利条約
第24条1項(e)「学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられることを確保すること。」および同条3項の「締約国は、障害者が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は次のことを含む適切な措置をとる。
(a)点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b)手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。
(c)視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。(政府仮訳)
以上
初等中等教育局特別支援教育課