資料5:佐竹委員提出資料

平成22年11月5日
佐竹資料

 

第5回 特別支援教育の在り方に関する特別委員会 ≪資料≫

 

全国障害種別のPTA会長(事務局含む)の意見交換(10月28日実施)

≪全体から重点的な意見≫

*就学先の決定は専門的な意見や総合的な判断の元、相談支援を望む、また、子どもの成長は変化するため就学後の継続的な相談支援が必要。

*学籍について、病弱特別支援学校の子ども達の学籍は短期間で転校する為、特別な事情を配慮する制度が望ましい。

*教員の専門性を維持する物的な保障と基準、教育条件整備。

*障害のある子の教育を保障すると共に、普通校の子ども達の教育を保障。

*ほどよい交流、無理のないゆとりのある共同学習を望む。

*幼少期から同じ場に一緒にいても、必ずしも理解が進むとは限らない、周囲への理解啓発の取り組みと障害児本人にとっての無理のない参加が大切。

*差別はダメ、でも区別は必要、子どもの個々のニーズを理解して支援してほしい。

*インクルーシブ理念では、現在、普通校での問題や特別支援学校が抱えている課題を解決することは難しい。

*教育にインクルーシブ理念を持ちむのではなく、社会全体がインクルーシブ社会に成長してほしい。

 

○就学先の決定について

    全知P

    • 専門家の意見を聞いたり、我が子にどこの学校が適しているか知りたい、就学先相談で、「特別支援学校でも特別支援学級でもいいですよ、どこにしますか」と、聞かれ困った。
    • 就学先の体験入学を数ヵ所、時間をかけてしたかったのに、学区以外は行かれないので、やっても無駄と断られた。
    • 昔と違って最近の保護者は特別支援学校に子どもが行くことを嫌がっていません、むしろ通常の学校でいじめや仲間はずれにされないかと心配し、丁寧で安心して預けられることを優先し、本来であれば普通校でもいいのに特別支援学級や特別支援学校を選ぶようなことが多々あります。知的発達教育校は全国的に満杯です。
    • 親が選んで良い制度では、発達障害の子は、その発達過程が親にも分かりにくい為に特別支援学級、特別支援学校に軽度の発達遅滞の子どもが安易に入学し、学校制度そのものが対応しきれず、崩壊するのでは思います。
    • 全国的に特別支援教室の構想は必要であり、また、特別支援教室は子どもをクラスから抜き出し指導する為、教員確保等の諸問題にも取り組んでほしいと思います。

    全聾P

    • 早期からの相談支援体制がもっとも必要であり、就学先を選択する保護者は子どもがどうしたら良い教育を受けられるかわかるはず。
    • 教育委員会は提訴される為、保護者の言いなりだ「本人に必要な教育を受けることが出来るような相談支援体制」が、もっとも重要なことと認識しなければならないこと、しっかりとした相談体制を見直すべき。
    • 子どもの状態は変化するから、種別にかかわらず、その時に必要な経験ができるように転学もスムーズにできるようにするべき、一度入学したら転学に大変な労力が必要ではいけない。

    全盲P

    • 保護者に障害に応じた専門家が丁寧で適切な指導助言、情報提供をする。また、見学体験等も通じて保護者の最終的な判断を重視する。
    • 幼保と小学校との連携も大切、さらに就学してからも状況を把握して、不適応等の場合には、学期、学年進行の時期等に保護者、担任、専門家で丁寧な対応で話し合いをする。

    全病弱P

    • 現状の教育制度(幼・小・中・高・特別支援)を堅持して、子どもにとってどこが一番、教育する場としていいか、決定し、スタートすることが大切だと思います。
    • こどもは成長、発達していく過程で校種を横断して支援した方がいいならば、その時点で検討して移籍する。そういった緩和政策がこれからは促進されるべきではないか、特に広汎性発達障害の分野の就学、支援が望まれます。

    全肢P

    • 肢体不自由は身体的な特徴が目立つため、設備面などの問題を取り上げることが多いが、本当の問題は受け入れる側の教育内容です、設備が無いから特別支援学校を選んでいるのではありません、子どもたちは障害があっても社会参加が出来るように学びたいと願っています。
    • 肢体不自由の場合、早期からその障害が分かっています。早くから就学先の相談体制は取れるはず。生まれた時から、病院や療育施設等の繋がりはあるので、情報や相談支援があれば就学先の相談時に困らないと思います。
    • 就学先を保護者が決めるようになると、適正が曖昧になり、権利だけを主張して障害の重い子が普通学校を希望すると思う、これは重い障害の子どもへの教育(自己表現、伝達意志、障害の緩和、機能の維持、多彩な経験等々)を保護者が理解できず、一緒であることが満足なのは保護者の方ではないだろうか、本人の将来的な2次障害は計り知れないと思う。また、手厚い庇護を求めて、軽度な障害児が、特別支援学校に入って来るのではと思う。
    • 肢体不自由校の現状は単一障害の子は極少数であり、一人の子が2障害3障害を持っている、その為、先生方は多様な対応を迫られている。
    • 就学先決定でもっとも尊重されなければいけないのは「障害のある子がどの教育条件で育つことが良いのか」にあります。
    • 就学後のその子の育ちを保護者はどこまで責任を負うのか、負担で辛いことです。

 

○学籍について(一元化)

    全盲P

    • 東京都の副籍制度を広げた方がよい。地域の学校もその地域に障害児がいる実態を知り、運動会・学芸会等を知らせたり、児童本人や保護者同士の交流も図れるようにした方がよい。また逆に地域の学校に在籍している障害児が該当の学校に副籍を置き同じ障害児との交流や、専門学習を学ぶ事も大切である。

    全知P

    • 特別な支援を必要としている子どもにとって、地域の学校に就学すると言うことは「ついて行かれない」ことを前提にしており、本人にとっても保護者にとっても負担です。
    • 現在の副籍・支援籍も充分インクルーシブ理念に基づいた制度です、もっと制度として充実させてほしい。
    • 小学校を普通校に私は付き添って通わせていたが、周りの子との違いを感じ、とても難しいと思った。当時は子どもにとって習得できることは少なく「無の教育」だった。
    • 形だけの学籍など子どもの成長に必要ではありません、必要なのは子どもに合った教育です。

    全病弱P

    • 理想は、学籍はどこかひとつで、副籍?をおく必要のない教育環境で、校種(小・中・高・特別支援)は違っても、事がスムーズにいくことだと思います。その点が日本の教育の課題ではないでしょうか。
    • 病弱の子どもたちは、短期的に病弱校に籍を置くことが多く、元の普通校や特別支援学校に戻る為、柔軟な学籍の移動ができる制度にしてください。

    全肢P

    • 肢体不自由児の受け入れには、校舎の改修が必要です。ほこりや菌が肺に入って生命にかかわる子がいます。その為、空調整備(特別支援学校もまだ充分ではない)も必要です。
    • 小さいころから一緒に育つと、理解が進むのではと言う意見があるが、一緒にいることで良いこと、良くないことの両方が必ずあります、現在の特別支援学校や就学先の決定の仕組みが否定されるものではないと思います。
    • 障害があることで、普通校に学籍を強要されるのは心外です。
    • 入口が一緒でも、結局は中で分けなければ教育にならない、形だけです。

    全聾P

    • 盲、聾は養護学校より先に就学が義務制になった、知的障害と肢体不自由の義務制が遅れたのは受け入れ先の養護学校側が整わないからだ、まずは教育条件の整備が大事であろう。

 

○教員の専門性

    全盲P

    • 盲学校の場合1県1校が多い。しかし教員の在任期間が短くなっている。教育委員会は校長の意見を聞き必要な人材は長く在職出来るよう配慮してほしい。異動してくる場合、教科の専門性と共に基礎的な視覚障害の知識や点字の習得等を備えて来るのが望ましい。

    全病P

    • 常に最重要課題です。常に教員はブラシュアップして今の子どもの実態を的確につかんでどう支援していくか、考えていく必要があります。そのために各教員一人ひとりの専門性を高めていくことが不可欠です。

    全知P

    • 発達遅滞の子より自閉症の子が多く、全体の60%~70%はそうではないかと思います。自閉症の子の為のクラスもあります、特に高等部になると普通校、特別支援学級からの生徒が大多数になります。教員は子どもの特性を理解し、指導してほしい。
    • 先生の指導力や専門性は確かに一律ではないが、たった一人ダメ教師がいただけで、全員がダメなわけではない、私たちにその力を測れるものではないが、少なくとも他の学生よりは専門的なカリキュラムを学んできたはず、その学習を活かしてほしい。

    全肢P

    • 新卒の新任の頃であれば人事交換や研修を利用して、他種別の特別支援学校を経験するのは良いが、指導力がついてきて、子どもとの信頼関係が出来てきた頃に、まったく経験のない種別への異動は残念に思います。

    全聾P

    • 教員の免許状は教員の資質の目安になるはずで、今のところ免許状の取得を進めることが教育の向上の為に役立つはずである。他にも研修など積極的に行ってほしい。
    • 「教育は人なり」教員の資質向上の為に免許状の取得、現職の研修制度等の充実を望む。

 

○合理的配慮

    全病P

    • どの校種(小・中・高・特別)でも共有なものの配慮とともに、種別(盲、聾、特別)ごとに必要な配慮も重要である。この二つの特徴ある配慮についてどちらも大事で両方の連携が不可欠であると思います。

    全肢P

    • 普通校の子どもたちの教育の保障をしっかりとするべきです。我が家にも普通校に通っている子どもがいます、担任が障害児にかかりきりで、他の子の教育がおろそかにされるのはおかしいと思います。

 

○交流及び共同学習について

    全盲P

    • 隣接の学校同士の交流は進んできた。ただ学籍の蘭にも記入したが、地域の学校にいる障害児を該当の学校が把握出来ていない。特に盲学校は範囲が広いので把握出来るようにして、実態に応じた個々の児童同士の交流、学習が進むようになればよい。

    全知P

    • 交流は広がってきている、ここでなくさないでほしい。

    全病P

    • 交流を盛んにすることです。それにはそれぞれの校種がゆとりを持って交流できる、したくなる学校生活を送ることです。しかし、現実にはそれぞれが精一杯の状況ではないか。

    全肢P

    • 現在の副籍・支援籍では学校間の情報交換もそれぞれの地域によって差があり、交流も保護者頼りではなかなか広がりません、地方では病院、療育施設の併設校も多く、交流の機会は均等ではない。
    • 学籍を一緒にすることを目的にしていると、共生社会ではなく強制社会になって、お互いに不都合があると思います。ほどよい交流、ゆとりのある共同学習を望みます。

 

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