資料8:久松委員提出資料

障害の種別を超えた教育から障害個別および個人のニーズに対応した教育へ

2010年10月25日
財団法人 全日本ろうあ連盟 久松三二

 学校教育法で定める現行の特別支援教育制度は、障害の種別を超えた教育を理念とし統合的な特別支援教育を目標にしてきましたが、統合を推進することにより障害個別教育の「専門性」「集団性」が損なわれてきていることが指摘されているところです。
 今後、障害者権利条約の第24条に定める「教育」の条項に即して、現行の特別支援教育制度がインクルーシブ教育システムを推進する役割を担うことができるよう、発展的に制度改良を図っていく必要があると考えます。
 障害者権利条約第24条1項(e)「学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられることを確保すること。」および同条3項の「締約国は、障害者が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は次のことを含む適切な措置をとる。(a)点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。(b)手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。(c)視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。」(政府仮訳)の条文に即して、現行の特別支援教育制度の学校制度を改良し、新規に学校内に個別支援センターを設置し、以下のとおりの内容にする必要があると考えます。

(1)特別支援学校体制(特別支援、聾、盲の三体系とする)

    (a)特別支援学校(病弱、知的障害、肢体不自由)

      特別支援学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

    (b)聾学校

      聾学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

    (c)盲学校

      盲学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(2)「個別支援センター」における早期教育システムおよび保護者サポートシステムの構築

    (a)特別支援学校、聾学校、盲学校において、0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもへの個別教育を推進する。

    (b)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者の経済的、移動等にかかる負担を軽減するシステムを構築する。

    (c)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者への相談システムを構築し、特別支援学校等の教育内容、教育方法等並びに地域学校での教育内容、方法等に関する情報を提供し助言を行う。

    (d)障害者福祉、医療、心理学、言語学等に精通した専門家の配置を促進する。

添付資料(聴覚障害をもつ教職員の職能集団である全国聴覚障害教職員協議会からの意見書を添付します。)

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)