資料9:福井県教育委員会提出資料

中央教育審議会 初等中等教育分科会
特別支援教育の在り方に関する特別委員会
ヒアリング資料

平成22年10月5日
福井県教育委員会

1.福井県における小中学校の特別支援教育の専門性の確保について

1 福井県における小中学校の特別支援学級担当者の状況

(1)小中学校における特別支援学級設置状況および特別支援学校教諭免許状保有率

 

S45

H13

H17

H21

H22

小中学校総数

405校

306校

299校

289校

279校

特別支援学級
設置校

124校

101校

143校

175校

182校

特別支援学級
児童生徒数

1,541名

452名

591名

757名

786名

設置率

31%

33%

48%

61%

65%

小中特別支援学級
(免許保有者)

14人

75人

110人

158人

160人

小中特別支援学級
(免許非保有者)

171人

59人

71人

65人

73人

保有率

7.6%

56.0%

60.8%

70.9%

68.7%

(福井県特殊教育要覧資料より 4月1日現在)

 

○ 昭和45年度から特別支援学級担当者の免許保有率の調査を毎年実施し、特別支援学級担当者に免許保有を促してきた。

 福井県内の小中学校における特別支援学級については、昭和45年度の調査では31%の設置率であり、平成13年頃まで大きな変動はなかった。しかし、その後、特別支援学級の設置が増加し、平成22年度には182校に設置しており、設置率は65%であり、昭和45年度から平成13年度までのほぼ倍の設置率である。
 また、特別支援学級担当者の特別支援学校教諭免許状の保有については、昭和45年度は保有する者が少なく、保有率は7.6%であった。しかし、その後、徐々に保有する者が増加し、平成13年度には56%となった。平成17年度には約60%を超える保有率となり、平成21年度には70.9%の保有率であり、平成20年度の全国平均の32%を大きく上回っている。
 

(2)小中学校特別支援学級担当者の特別支援教育経験年数

 特別支援学級担当者の特別支援教育経験年数については、平成元年度には経験のない担当者が、16人であり、平成21年度は44名であった。平成元年度に比べて特別支援学級担当者数は倍増しているが、経験のない担当者は約3倍となっており、経験のない担当者の比率は増えている。
 しかし、経験が豊富な16年以上の担当者は、平成元年度が11人であったのに対し、平成21年度は45人で、約4倍となっている。このことから、特別支援教育の専門家として、長年継続して特別支援学級に携わる者が多いといえる。

 

 

平成元年度

平成21年度

経験年数0年

16人

44人

経験年数16年以上

11人

45人

全特別支援学級担当者数

112人

223人

(福井県特殊教育要覧資料より 4月1日現在)

 

2 専門性向上のための取り組み

(1)福井大学との連携

 福井大学教育学部において、昭和52年から主に教員を対象とした特殊教育特別専攻科が設置された。平成元年くらいまでは、毎年10人程度在籍し、多くの教員が免許を取得したが、希望者が少なくなり、近年廃止となった。
 

(2)福井県教育委員会の取り組み

    ○1 特別支援学校教諭免許状の免許法認定講習の実施および放送大学の活用の推奨

       平成14年度から、特別支援学校教諭免許状取得のための免許法認定講習を開始し、特別支援学校および特別支援学級担当の教員などが多く受講した。
       また、放送大学における特別支援教育関係の受講者は、全国の学習センターの中でも多い方である。

    ○2 専門研修への派遣

       国立特別支援教育総合研究所が専門研修(短期研修)を開始した昭和47年度から、小中学校特別支援学級担当者(小学校1名、中学校1名)を毎年派遣している。

    ○3 県単独機関としての福井県特別支援教育センターを設置

      昭和45年~

        前機関としての特殊教育推進センターを設置(県下5地区)
        在宅心身障害児の家庭訪問指導の開始

      昭和58年~

        福井県特殊教育センター(嶺南駐在含む)を開所
        (所長以下21名の特別支援教育の専門スタッフの配置)

        • 特別支援学級が設置されていない学校を対象に巡回指導
        • 教育相談、教育指導の実施
        • 市町と特別支援教育センターが連携した就学指導の実施
        • 特別支援教育に関する一般研修、専門研修の実施
        • 小中学校等の校内研修の支援
        • 特別支援教育コーディネーター養成研修の実施(H13~)

       特別支援教育センターの設置により、市町教育委員会や小中学校等が特別支援教育の専門性と重要性の認識が広まり、特別支援学級の校内人事の考え方に大きな影響を与えている。

    ○4 特別支援教育に関する手引き等の刊行と改訂

      昭和33年より、指導の手引き書等を作成し、広く啓発を図ってきた。

    ○5 特別支援教育総合推進事業(H22~国の委託事業)

       県内6地区の専門家チーム会の協力を得ながら、小中学校の特別支援学級担当者および通級による指導担当者を対象に、学識経験者による相談会(授業参観を含めた相談会、研修会)を行っている。

    ○6 その他

      • 教員採用(採用にあたり、校種等(特別支援教育を希望等)の希望を聴取)
      • 特別支援学級担当者および管理職の自主的な研究会等の実施

 

3 まとめ

    (1)昭和45年時以前から特別支援学級担当者の免許保有状況や特別支援教育の経験年数について経年的に調査を行ってきたことや、福井大学の教員養成、免許法認定講習の実施などの取り組みにより、小中学校における特別支援教育の専門性を重視してきた。

    (2)単独機関としての福井県特別支援教育センターを設置している。また、特別支援教育に関する手引きやリーフレット等を作成し、啓発活動を継続している。
     このことにより、特別支援教育に関する専門的な相談や研修が日常的に受けられ、教員の関心、知識、理解を深めることができた。

 

2.福井県における、障害のある子どもを幼稚園、小学校、中学校、高等学校に受け入れる場合、教員に必要な専門性の確保について

1 障害に関する知識・理解の啓発

    (1)県特別支援教育センターの研修講座の実施(16~18講座)

       平成19年度から発達障害に関する講座も実施

    (2)特別支援教育コーディネーターの養成研修講座の実施(平成13年度~)

      小中学校対象の講座は、年間6~10講座と年間8~11講座の2コース
      高等学校対象の講座は、年間7回

    (3)特別支援学校教諭免許法認定講習の開催(平成14年度~)

    (4)福祉部と連携した発達障害に関する理解啓発のリーフレット等の作成と配付

 

2 障害のある幼児児童生徒への指導

    (1)特別支援教育センター

      • 教育相談、教育指導、巡回指導、小中学校等の校内研修会の支援、指導に関する各種リーフレットの作成と配付 等

    (2)特別支援学校

      • 教育相談、小中学校等の校内研修会の支援

    (3)通級による指導、特別支援学級による指導

      • 特別支援学級の弾力的運用
          通常の学級の気がかりな児童生徒の指導への活用
      • 小中学校における校内の研究活動への活用

    (4)各地区の専門家チーム

      • 授業参観を含めた相談会や研修会の開催
      • 発達障害のある高校生を対象とした巡回教育相談会および支援研究会の開催 等

 

3 課題

    (1)特別支援学級の設置率の向上

    (2)通級による指導担当者の加配

    (3)重度の障害の児童生徒が特別支援学級へ入級した場合の学級運営

    (4)特別支援学校および特別支援教育センターとの連携

    (5)通常の学級との指導上の連携(教科教育と特別支援教育の連携)

    (6)経験年数の少ない担当教員の育成(免許取得、意欲等)

 

 

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