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資料12:久松委員提出資料

インクルーシブ教育におけるろう学校のあり方について

財団法人全日本ろうあ連盟 久松三二

 

(1)ユネスコ・サラマンカ宣言および国連・障害者権利条約第24条の教育「ろう者、盲ろう者の教育が、その個人にとって最も適切な言語ならびにコミュニケーションの形態および手段で、かつ学業面の発達および社会性の発達を最大にする環境で行われることを確保すること(川島・長瀬訳)。」の条項にあるように、ろう児には集団性が担保されるろう学校が最も適した環境であり、ろう学校を制度的に整備することが必要である。

(2)集団性が担保されるろう学校を制度的に整備するためには、ろう児および保護者の期待に応えるよう、以下のことを構築する必要がある。

    ○1 集団生活における言語力およびコミュニケーション力を育成するシステム
    ○2 インクルーシブ社会における個々の役割と活躍が期待され、自らの障害を認識するシステム
    ○3 地域社会とのネットワークを築き、地域社会に貢献し、インクルーシブ社会を推進するシステム

(3)集団生活における言語力およびコミュニケーション力を育成するシステムを構築するために、以下のことを整備する必要がある。

    ○1 教職員等の手話言語力、手話指導力および学科指導力の向上を目的とした研修、評価システム
    ○2 ろう児の手話言語力および日本語力の習得、評価システム、また日本語の構造を理解し習得するための手段として手話および聴覚口話を採り入れたシステム
    ○3 補聴器装用、人口内耳等聴覚機能の特性の違いを超えた集団におけるコミュニケーション力の発達を促進するシステム、またそれを評価するシステム

(4)インクルーシブ社会における個々の役割と活躍が期待され、自らの障害を認識(障害受容、アイデンテイテイ形成)するシステムを構築するために、以下のことを整備する必要がある。

    ○1 原則としてろう学校に主籍、地域の小学校、中学校に副籍(支援籍)を置き、地域の子どもとして学習するシステム
    ○2 人口過疎の地域においては、ろう学校に近隣する小学校、中学校との交流教育を長期・計画的に進めるシステム
    ○3 聴覚機能に障害をもつ教職員を一定の割合で採用し、地域のろう者協会、同窓会およびあらゆる分野で活躍するろう者との交流を図り、福祉等の法制度、ろう者に関わる歴史、社会生活、文化、スポーツ等を学習することを長期・計画的に進めるシステム
    ○4 常に高い理念をもち意欲的に職域を開拓し自立した精神をもって通常の学校と同程度の学科指導、進路指導が推進できるシステム

(5)地域社会とのネットワークを築き、地域社会に貢献し、インクルーシブ社会を推進するシステムを構築するために、以下のことを整備する必要がある。

    ○1 聴覚機能に障害をもつ乳幼児の検査、指導、療育相談のネットワークを図り、就学においては相談機関を設け、相談機関の構成員には当事者、保護者、医療関係者、ろう学校関係者、行政関係者がなり、個々の障害特性に適した教育環境を選択するシステム
    ○2 当事者団体、保護者団体、医療関係者団体、行政関係者、ろう学校とネットワークを築き、個々の発達段階に対応した支援を行い、ろう学校がその中核的な役割を担うシステム
    ○3 地域の小学校、中学校等に在籍する聴覚機能に障害をもつ子どもを支援し、地域の小学校、中学校に対する啓発活動を推進するシステム
    ○4 ろう者が地域社会で自立した生活が送れるよう、地域のろう者協会、保護者団体、地域聴覚障害者情報提供施設等との連携を図り、地域に手話言語およびろう者に対する理解のための啓発活動を行うシステム

(6)国(文部科学省)は以上に述べた制度を推進するために、当面、以下のことを整備する必要がある。

    ○1 ろう学校教職員が手話言語を習得し指導するための教材を(社福)全国手話研修センターと協働して開発しすべてのろう学校に無償で配布する。
    ○2 ろう学校教職員の手話言語力、手話指導力および学科指導力を習得するために研修制度を実施しその普及に努める。

 

 以上のインクルーシブ教育におけるろう学校のあり方について意見を述べましたが、あるべきろう教育を構築するためには、ろう学校がインクルーシブ教育の中核的な役割を果す必要があります。そのためには、ろう学校での集団性が担保される必要があり、担保されて初めてろう学校特有の専門性が活かされます。集団性が担保されないろう学校、つまり学級に一人か二人在籍するだけでは、集団における言語力およびコミュニケーション力の一つをとってもその発達を期待することは不可能です。ろう児および保護者の期待に応えるためには、ろう学校が子どもたちの集団を構成し、子どもの全面的な発達を保障すること、また教職員の言語力および指導力の向上が必要です。現行の特別支援教育ではろう学校がその役割を果すことが不十分であり、むしろ特別支援教育制度の導入によりその専門性が発揮できず後退しております。ろう児がろう者であることを誇りに思い、将来に夢や希望を語り、勉学に励む環境を整備できるのは集団性が担保されたろう学校においてほかありません。一刻も早くろう学校を上記のシステムを整備し制度化することを望みます。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

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(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成22年09月 --