資料9:特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議について

特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 審議経過報告(概要)
平成22年3月24日 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議

○特別支援教育の更なる充実を図るための検討の方向性及び課題について、以下のとおり整理

1.特別支援学校

    ○1 改正学校教育法(H19年度~)への対応

      • 複数障害への対応を含めた適正配置計画的整備
      • センター的機能の取組推進、理解啓発、関係機関とのネットワークづくり

    ○2 交流及び共同学習(副籍,支援籍等を含む)

      • 居住地校交流に係る理解啓発
      • 直接交流に係る教育課程上の位置づけ、評価、安全確保

    ○3 職業教育・就労支援

      • 職域の拡大・就労に向けた教育課程の見直しや支援方法の開発推進
      • 多様な就業体験の充実(小・中学部段階からの職場体験活動の機会拡大など)

2.早期からの教育支援、就学相談・指導

    平成21年2月の中間とりまとめ「特別支援教育の更なる充実に向けて」において、○1早期からの教育相談・支援の充実、○2就学指導の在り方、○3継続的な就学相談・指導の実施、○4居住地の小・中学校とのかかわり、○5市町村教育委員会等の体制整備、○6障害者権利条約、について提言・報告

    ○特に、就学相談・指導の在り方については、今後、障害者権利条約批准のための政府全体の障害者制度改革の検討状況も踏まえつつ、更なる検討が必要

3.小・中学校における特別支援教育

    ○1 校内体制の整備

      • 支援の「質」の一層の充実(校長の理解促進と適切なリーダーシップ、全校的体制の構築など)
      • 特別支援教育に係る教員配置(すべての学級に発達障害の児童生徒が在籍する可能性)

    ○2 特別支援教育コーディネーター

      • 研修等を通じた人材養成の推進
      • 複数配置による専門性の相互補完,組織的対応
      • スペシャリスト配置による地域全体の推進強化
      • 校務専念のための環境整備

    ○3 個別の教育支援計画、個別の指導計画

      • ・必要な者に対する個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成・活用(実態把握専門性やノウハウに関する小・中学校への支援、センター的機能活用、PDCAサイクルの確立など)
      • 個別の教育支援計画と類似の計画との関係整理(生涯にわたる一貫した支援の観点)

    ○4 特別支援教育支援員

      • すべての学級に発達障害等の児童生徒が在籍する可能性を踏まえた配置促進、地域格差是正
      • 人材確保や研修の在り方、教員との役割や責任分担、学生支援員の活用促進、NPOとの連携及び役割分担

    ○5 特別支援学級、通級指導

      • 担当教員の専門性向上、児童生徒の実態に応じた教育課程編成
      • 知的障害のある児童生徒、境界域の児童生徒への対応
      • 他校通級が多い実態への対応、巡回指導の促進

    ○6 特別支援教室構想

      • 児童生徒が籍を置かない「教室」への教員配置システムの在り方
      • 必要な指導時数、在籍学級と特別支援教室との指導や責任の分担、教育課程の編成・実施・評価等の在り方
      • 特別支援教室担当教員と在籍する通常学級担当教員双方の専門性確保の在り方

4.高等学校における特別支援教育

    平成21年8月の高等学校WG報告「高等学校における特別支援教育の推進について」において、○1高等学校における特別支援教育の必要性、○2高等学校における特別支援教育体制の充実強化、○3発達障害のある生徒への指導・支援の充実、○4高等学校入試における配慮や支援等、○5キャリア教育、就労支援等、について提言

    今後、先進的な取組事例の蓄積、成果を踏まえつつ、上記提言に沿って、高等学校における特別支援教育の推進、充実に積極的に取り組むことが必要

5.特別支援教育担当教員等の専門性

    ○特別支援学校、特別支援学級、通級指導担当教員、特別支援教育コーディネーター、通常学級担当教員それぞれが必要とする特別支援教育に関する知識及び理解

    ○特別支援学校教諭免許状の在り方について、教員資質向上方策の見直しの動向を踏まえ要検討

    採用、配置(人事異動)、研修等を通じた専門性の確保

    ○1 特別支援学校教員の専門性

      • 免許状の各教育領域に共通する専門性や教育領域ごとの専門性確保
      • 免許状保有率の向上、他領域の免許状取得の計画的促進
      • 教育職員免許法附則16項「当分の間」の扱い
      • 弾力的な人事上の配慮(同一校の在職年数延長、特別支援学校間の適切な異動など)

    ○2 小・中学校の担当教員等(※)の専門性

      ※ 特別支援学級担任、通級指導担当教員、特別支援教育コーディネーター

      • 各障害種の専門性を担保できる仕組み
      • 特別支援教育の経験が少ない若手教員への支援の仕組み
      • 個別の指導計画等の作成・活用のため、専門性のある者が支援する体制の確立
      • 特別支援学級担当教員等の特別支援学校教諭免許状取得促進のための環境醸成
      • 弾力的な人事上の配慮(同一校の在職年数延長、特別支援学校との適切な人事交流など)

    ○3 小・中学校通常学級担当教員の専門性

      • 特別支援教育に関する基礎的知識(障害特性、障害に配慮した指導、個別の指導計画の作成・活用など)
      • 特別支援教育のみならず、学級経営力、授業力、人間形成力など教員としての基本的資質の総合力
      • 各教科等への特別支援教育の視点を加えた授業力
      • 具体的かつ実践的な研修(教員と専門医等の連携によるケーススタディなど)

6.学校外の人材や関係機関、民間団体等との連携協力

    ○1 学校外の人材の活用と関係機関との連携協力

      • 各学校と地域における医療、保健、福祉、労働等との効果的かつ効率的な連携・協力
      • 外部専門家(PT,OT,ST等)の活用など教員を支えるシステムづくり
      • 学校単位での専門性担保地域単位での支援体制の整備

    ○2 親の会、NPOや学校ボランティア等との連携協力

      • 新しい公共の視点を踏まえつつ、各地域における親の会、NPO、学校支援ボランティア等の活用推進
      • NPO等の育成・支援の在り方、
      • 関係機関、親の会、NPO等との連携及び有機的なネットワークの構築

特別支援教育の更なる充実に向けて(概要)
(審議の中間とりまとめ)~早期からの教育支援の在り方について~
平成21年2月12日 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議

特別支援教育の更なる推進のための基本的な考え方

    ○障害のある子どもに対する多様な支援全体を一貫した「教育支援」と捉え、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、特別支援教育の理念の実現を図る。

1.早期からの教育相談・支援の充実

    ○教育委員会は、特別支援学校のセンター的機能等の十分な活用を図るとともに、体制整備や専門性の向上、医療、福祉、保健等関係機関との連携による情報共有化等を通じて、早期からの教育相談・支援の更なる充実を図ることが必要。

    ○幼稚園での個別の教育支援計画の作成・活用等を推進するため、教育委員会が首長部局等と連携しつつ、専門家チームの派遣や教員研修の機会を提供するなど、幼稚園等に対する支援を充実することが必要。

2.就学指導の在り方

    ○幼児教育段階から、義務教育への円滑な移行を図るため、市町村教育委員会が幼稚園、保育所、医療、福祉、保健等の関係機関と連携して就学移行期における個別の教育支援計画(※)を作成する。

    ○障害のある子どもが就学する学校について、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、障害の程度が「就学基準」に該当するかどうかに加えて、必要な教育的ニーズ、保護者や専門家の意見、就学先の学校における教育や支援の内容等を総合的に判断して決定する仕組みとする。

      (※)作成範囲:障害に応じた教育支援を必要とする者について必要に応じて個別の教育支援計画を作成することを目指しつつ、当面は、就学基準に該当する程度の障害がある場合に原則として作成。

      (参考:現行制度)障害の程度が、学校教育法施行令に定める「就学基準」に該当する場合、原則として特別支援学校に就学し、小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める場合は、認定就学者として小・中学校に就学。

    ○就学する学校の決定は、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて保護者との共通認識を醸成し、保護者の意見を十分に踏まえることを前提として、制度としては義務教育を実施する責任を有する教育委員会が決定することとし、就学後も継続的な就学相談・指導を行うなど適切かつ柔軟できめ細かな対応を行うことが必要である。

3.継続的な就学相談・指導の実施

    ○小・中学校、特別支援学校における個別の教育支援計画作成を推進し、就学後においても 個別の教育支援計画の定期的な見直し等を通じた継続的な就学相談・指導を実施

4.居住地の小・中学校とのかかわり

    ○特別支援学校に就学する児童生徒が、居住地の小・中学校との交流を深めるための取組(東京都の副籍、埼玉県の支援籍など)について、国においても指針を示すこと等により促進

5.市町村教育委員会等の体制整備

    ○市町村教育委員会等が適切な教育支援を行うためには、教育委員会に特別支援教育の経験豊かな職員を配置したり、退職教員を非常勤職員等として配置したりするなどの体制整備を図ること等が必要。

6.障害者の権利に関する条約

    ○上記のように、障害のある子どもに一貫した教育支援を行うべく、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて特別支援教育の一層の充実を図ることは、条約が求める障害者を包容する教育制度(インクルーシブ・エデュケーション・システム)の実現にも沿うもの

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)