資料1 教職調整額を時間外勤務手当化した場合における各論点に関する主なご意見

 「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議」の「審議のまとめ」では、「時間外勤務手当化することは一つの有効な方策」とされた。

 このことを踏まえ、仮に教職調整額を時間外勤務手当とした場合における具体的な論点・課題とその考え方、解決方策について、本作業部会第8回・第9回でご議論いただいた際の主なご意見は、以下の通り。

 

>1 管理職による教員の勤務時間管理

(論点)※第8回作業部会・配布資料2より

1.組織的、計画的な学校運営の中で、教員の自発性や創造性に配慮することを考慮すると、

(1)管理職が教員に対して時間外勤務を命令・承認する段階

(2)教員の時間外勤務の終了後に、管理職が実際の時間数や勤務内容を把握する段階

においてどのような配慮や工夫が考えられるか。

2.管理職の勤務時間管理による負担を抑制するためには、1.の各段階において、それぞれどのような方策が必要か。

○  学校現場において、教員の自発性や創造性に配慮するとともに、管理職の勤務時間管理による負担を軽減するためには、時間外勤務については、教員からの事前の申出を管理職が承認し、翌日等に管理職が実際に勤務した時間を確認する方策を活用することが考えられる。

○  翌日等に管理職が実際に勤務した時間を確認することの具体的な運用は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(厚生労働省労働基準局長通知(平成13年4月6日))に記載されている方法が参考になると考える。

○  教員からの事前の申出を管理職が承認する際や、翌日等に教員が実際に勤務した時間を管理職が確認するに当たっては、特定の業務についてどの程度の時間数が認められるのか等について、一定のルールを示し、それに基づき、管理職も教職員も計画的に時間外勤務を行っていくことが求められる。

○  こうしたルールの設定に関し、各公立学校において、その都度ルールを決めたり、見直したりしていくことは、年度ごとに人事異動があるなどの事情から、実際問題としては困難ではないかと考えられる。

○  標準時間の設定は、管理職の時間管理の負担の抑制にも必要になっていくのではないか。標準時間があれば実際にやる教員も目安になる。

○  残業を減らした学校の教員があたかも手を抜いているとして、学校の評価が下がっては困る。各学校や市町村を越えて、国として、教員の働き方についてもワークライフバランスをとって欲しいといったメッセージを出して欲しい。

 

(論点)※第8回作業部会・配布資料2より

3.授業準備や部活動などについては、その処理に必要な時間数を判断しにくいという意見がある中、授業準備などについて適切に時間管理をするために必要な方策としてどのようなものが考えられるのか。

○  ある校務を担当するとこれぐらいの時間が必要だという計算や蓄積がされている学校は少ない。この業務については、どれぐらいの時間が必要だという標準作業時間を積み上げて、必要な時間を計算する必要がある。

○  群馬県では部活動について拘束力は無いが申し合わせ事項がある。平成12年と現在を比べると、実際に部活動は減ってきている。

 

(論点)※第8回作業部会・配布資料2より

4.時間外勤務を抑制させようとして、必要な業務が行えなくなり、教育の質の低下を招くことがないようにするためには、どのような方策が必要か。

○  教員の業務は1年を通じて同じではない。春や夏は日没が遅いので部活動が長く、そのため普通でも1時間以上残業する。その時期に時間外勤務を無くせといっても無理であり、その分、夏休みに休めるようにするため、1年単位の変形労働時間制を導入するべき。

 

>2 部活動指導の取扱い

(論点)※第9回作業部会・配布資料2より

1.部活動が教員の時間外勤務に依存している現状があるため、時間外勤務手当制度を導入した場合には、時間外勤務を抑制させようとして、教員による部活動指導が抑制され、生徒指導の観点及び部活動指導の拡充を求める保護者との関係から学校運営上の支障が生じる恐れがあるなどの課題がある。

 そのため、

(1)勤務時間管理の観点から、

  ○学校教育の一環として適切な部活動時間を設定すること

  ○部活動指導には予め教員の勤務時間を割り振ることを原則とすること

(2)条件整備の観点から、

  ○部活動指導を担う専門人材を積極的に活用すること

  ○地域スポーツクラブの設置を推進すること

 などの方策を講じることが必要になると考えられる。

 それぞれの方策に実効性をもたせるためには、どのような具体的仕組みが考えられるか。

 また、これら以外の方策としてどのようなものが考えられるか。

2.勤務時間管理の観点から、教育委員会や学校が、適切な部活動時間を設定したとしても、個々の学校や地域の状況から、教員の正規の勤務時間を越えて部活動を行おうとする場合に、どのような仕組みが考えられるか。

○  学校教育の一環として適切な部活動時間を設定することについては、行政や学校の責任という視点から、行政や学校が申し合わせ事項として定めていくことが必要。

○  部活動指導に予め教員の勤務時間を割り振ることは、現状の体制では、これを原則とすることは難しい。

○  部活動指導を担う専門人材を積極的に活用することが進められ、非常勤職員として位置付けられれば、学校職員に勤務を割り振ることとなり、校長として管理ができる。

○  地域スポーツクラブの設置については、大会への参加などの面で部活動とは性格が異なるが、部活動について学校以外の主体が責任を負っていくという方向も考えられるのではないか。

 

>3 持ち帰り業務の取扱い

(論点)※第9回作業部会・配布資料2より

○ 教員が、自宅で勤務時間外に、授業準備や成績処理などの業務を処理することについては、原則として無くしていくべきとの指摘があるが、具体的には、どのような方策が考えられるか。

○ 縮減の取組をしてもなお、持ち帰りが実態として残ってしまう場合に、その業務の位置づけについて何らかの工夫は考えられるか。特に、育児や介護などの理由により自宅に持ち帰らざるをえない教員については、どのように扱うべきか。

○  持ち帰りの実態としては、やらざるを得ない状況があり、それで学校が支えられている面も否定できない。

○  業務の位置づけについては民間の事例では持ち帰りは基本的に労働時間とは考えない。

○  情報管理の観点から教職調整額の見直しと合わせて自宅でやることを根絶していくことが求められるのではないか。

 

>4 1年単位の変形労働時間制

(論点)※第9回作業部会・配布資料2より

1.学校の教員の勤務を考えた場合、1年単位の変形労働時間制はふさわしい制度であるか。

2.仮に1年単位の変形労働時間制を導入する場合、長期休業期間中にも様々な業務がある中、どのように長期休業期間中の勤務負担を軽減するのか。また、それは実際に運用可能か。

3.学校や教員によって、それぞれ状況が違うなか、仮に制度を導入するとして、どのように実際の運用をすることが適当か。

○  学校は課業期間と長期休業期間があるし、課業期間中でも学校行事の有無により繁閑の差があるので、1年単位の変形労働時間制はなじむのではないか。

○  1年単位の変形労働時間制については、長期休業期間中の休日を増やすなど残業を縮減していくことと併せて、検討し導入すべきではないか。

○  導入に当たっては、育児や介護などの事情で持ち帰りをしなければならない職員の勤務の扱いの問題をクリアする必要がある。

○  導入にあたっては、条例主義の下で各自治体の政治の意思を関与させる必要がある。労使協定の部分は条例に読み替える必要があるだろう。

 

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