学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第9回) 議事録

1.日時

平成21年3月26日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.議題

  1. 教職調整額の見直しについて
  2. その他

4.出席者

委員

小川主査、天笠副主査、石塚委員、植田委員、金井利之委員、金井洋子委員、川田委員、小林委員、島田委員、角田委員、根本委員、服部委員、原田委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、前川審議官、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官

5.議事録

○ これから審議を始めさせていただきたいと思います。

 まず、今日の配付資料の確認を、よろしくお願いいたします。

○ それでは、失礼をいたします。配付資料の確認でございますが、先生方の青い封筒の中に入れさせていただいているもの、全部で4種類でございます。

 まず1つ目でございますが、前回同様お配りをしております議事次第の1枚紙が表面でございます。

 それから2つ目の種類として資料の1でございますが、第8回作業部会(3月16日)における各論点に係るご意見についてという資料を全部で裏表面含めまして、参考も含めまして、3枚、6ページということで、ご用意をさせていただいております。

 それから3種類目の資料、資料の2、時間外勤務手当化に係る各論点・課題とその考え方・解決方策についてマル2(案)ということで、こちらは裏表合わせまして、両方で3ページ分、2枚の資料でございます。

 それから論点にかかわります参考資料が、最後の4種類目でございまして、これは一括とじにしておりますが、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4と全部で4種類のものがございまして、裏表面合わせまして全部で4枚、7ページ分、最後がカラー刷りになっている部分ということになってございます。欠落等々あれば、ご指摘をいただければと思います。

 以上です。

○ 資料はよろしいでしょうか。

 もし不足していた資料があれば、事務局のほうにお申し出ください。

 では、議事に入りたいと思います。

 今日は前回に引き続きまして、教職調整額を時間外勤務手当化した場合、そういう想定をした場合に、それにかかわる論点や課題、またその改善の方策等について議論していきたいと思います。

 前回と同様のテーマで、今回はもう少し、個別具体的な部活や持ち帰り時間、ないしは1年単位の変形労働時間制への導入にかかわる論点や課題、またその課題の解決方策等々について、ご意見をいただくということになっています。

 ただ、審議に入る前にちょっと私のほうからお願いというか、今日の進め方について確認をさせていただきたいと思うんですけれども、前回も教職調整額を時間外の勤務手当化した場合に考えられる論点や課題、またその改善方策をどうするかということだったんですけれども、前回も大体そういうような方向での議論を多く、ご意見を伺ったんですけれども、議論の途中から教職調整額の評価等々を含めて、かなり大きな制度論等々に時間が割かれる場面もありました。それはそれとして非常に貴重で、この作業部会としても議論すべき1つの柱なんですけれども、前回と今回は少し、先ほど言いましたように時間外勤務手当を想定した場合に、どういうふうな論点や課題や改善すべき諸方策があるんだろうか、そういうことを検討しておくということは、前回と今回の非常に重要なテーマですので、時間も限られていますので、できれば今日もそういうふうなところに土俵を設定していただいて、進めさせていただきたいと思っています。

 この作業部会に付託されている教職調整額の見直しについては、皆さんご承知のとおり、平成19年3月の中教審答申の今後の教員給与の在り方の答申の中で、教職調整額の制度と実態との乖離が進んできていることから、教員に一律支給されている教職調整額の在り方については、見直しを行う必要があるというふうな答申をいただいています。またその答申を受けて設置された学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議の「審議まとめ」においても、教職調整額に変えて時間外勤務手当制度を導入することは1つの有効な方策であると考えるという提言がなされています。

 そうしたこれまでの中教審の答申、またそれを受けた検討会議の議論を踏まえた場合、やはり教職調整額の見直しを検討していく際に、1つの不可欠な作業として、まずは時間外勤務手当を想定した場合に、どういうふうな論点や課題があるのか。そうしたことが、これまでこの作業部会で議論してきた、これからの学校や教職員の働き方にふさわしいかどうかということを具体的に検討していくことが必要になってきているのかなと感じております。

 そういう点で、この作業部会に要請された任務として、そうした時間外勤務手当化を想定した場合の問題を整理していくことは非常に重要ですので、そういう趣旨で前回と今回は、こういうふうな審議の進め方をお願いしておりますので、今日もそういうふうな趣旨を踏まえて議論していただければなと思います。よろしくお願いいたします。

 では、まず、今日の議論に入る前に前回ご欠席の委員もいらっしゃいますので、前回の議論について、どういう意見があったのかということを整理していただいて、今日のテーマに入っていきたいと思います。事務局の方から、よろしくお願いいたします。

○ それでは失礼をいたしまして、配付資料の資料1をごらんください。

 第8回作業部会(3月16日)における各論点に係るご意見についてというペーパーでございます。こちらの裏表の1枚目のほうをごらんください。前回8回目の資料2の中で論点を4つ、お示しをさせていただきました。今、主査がおっしゃられたとおり、教職調整額制度について、仮に時間外手当を入れるという場合に、その核となる時間的な管理、時間管理の部分について、総論的にどういう論点が考えられるかということで、4つ、お示ししたわけでございます。

 その論点の1ポツと2ポツというのが、この資料1の冒頭にあります四角囲みにさせていただいております部分になってございます。復習になりますが、論点1として、組織的、計画的な学校運営の中で、教員の自発性や創造性に配慮することを考慮すると、マル1番の管理職が時間外を命令・承認する段階、それからマル2番として、時間外勤務の終了後に管理職が実際の時間数等を把握する段階において、どのような配慮や工夫が考えられるかという部分と、それから管理職の負担を抑制するという観点からいって、1ポツのマル1、マル2の段階において、どのような方策が必要かということをお尋ねいたしました。

 以下の白丸でついている部分が、前回議論の中でご発言のあった部分という形で整理をさせていただいています。

 まず1つには、学校現場において、自発性や創造性に配慮をするとともに、管理職の勤務時間管理による負担を軽減するためには、時間外勤務について、教員からの事前の申し出を管理職が承認して、翌日等に管理職が実際に勤務した時間を確認するという方策を活用することが考えられるというご指摘があり、その点に関連をして、平成13年の厚生労働省の通知が参考になるのではないかというご指摘がございました。

 そこの2つ目の白丸の下に掲げさせている、点線で四角囲みにしている参考という部分で、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(抜粋)というのがありますけれども、ここがご指摘をいただいていた通知の該当部分でございます。

 そこで、ご指摘になっていただいている部分は、ア、イ、ウと3点あるわけですが、まずアとして、自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して勤務時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。その上で自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。また、ウとして、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働の時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間労働手当の定額払い等、労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずることといったような部分がございます。

 それとともに、また別のご指摘として以下の白丸になりますが、教員からの事前の申し入れを管理職が承認する際、あるいは翌日等に教員が実際に勤務した時間を管理職が確認する場合に当たりまして、特定の業務について、どの程度の時間数が認められるかどうかといったようなことについて、一定のガイドラインを示して、それに基づいて管理職も教職員も計画的に時間外勤務を行っていくことが求められるのではないかというご指摘がございます。

 また、それに関連をして、こうしたガイドラインの設定に関して、各公立学校において、その都度、ガイドラインを決めたり、あるいは見直していくということは、年度ごとの人事異動があるといったような事情から、次のページになりますけれども、年度末から年度当初に学校において話し合う必要があるけれども、実際問題としては容易ではない。そのために、年度末や年度当初に各学校において話し合いをするということとともに、年度途中でも適宜見直すように臨機応変に対応する必要があるのではないか。また、その際に教育委員会等が大きな考え方を示した上で学校の話し合いを支援していくことも考えられるというご指摘がございました。また別のご指摘として、標準時間の設定については、管理職の時間管理の負担の抑制のためというのにも必要になってくるのではないかと。標準時間があれば、実際にやる教員にとっても目安になるだろうというご指摘もございました。

 また、それに関連して、もう一つの白丸ですが、残業を減らした学校の教員があたかも手を抜いているということになって、学校の評価が下がってはかえって困る。各市町村や学校を超えて、国として教員の働き方についても、ワーク・ライフ・バランスをとってほしいといったようなメッセージを出していただきたいといったようなご指摘もございました。

 それと3ポツ目の論点が、その下にありますけれども、授業準備や部活動といったような、その処理に必要な時間数を判断しにくいという意見がある中で、授業準備などについて適切に時間管理をするために、どのような方策が必要かといったような論点については白丸が2つございますけれども、まず1つとして、ある校務を担当するとこれぐらいの時間が必要だという計算や蓄積がされている学校は現状においては少ないのではないか。この業務については、どのぐらいの時間が必要だというような標準作業時間を積み上げて、必要な時間を計算する必要があるというご指摘でございます。また、部活動についてですが、群馬県の実例として、拘束力はないけれども、申し合わせ事項というものがあって、その申し合わせをする前の段階と現在とを比べてみると、申し合わせをすることによって部活動の時間は減ってきているという実例があるというご紹介でございます。

 最後の論点4番目でございますが、時間外勤務を抑制させようとして、その結果、かえって必要な業務が行えなくなって、結果として、教育の質の低下を招くことがないようにするためには、どのような方策が必要かということの中では、教員の業務というものを1年を通じて見た場合に、それが全く同じ形で流れていくというものではなくて、例えば春とか、夏とか、そういった季節には日没が遅いので、部活動をとってみるとその時間が長く、そのために普通でも1時間以上残業するという状態にある。その時期に時間外勤務をなくせといってもなかなか無理なので、その分、夏休みを休めるようにするために1年単位の変形労働時間制を導入することを考えるべきであるといったようなご指摘がございました。

 前回の部分のご議論でございます。それ以降の2枚目、3枚目というのは2枚目の肩に書かせていただきましたとおり、前回配付をさせていただきました資料2の原物のコピーでございますので、これはまた、ごらんいただければと思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 前回の議論の内容について、何かご意見やご質問があれば、また自分の発言していた、こういう重要な点が抜けてるんじゃないかということも含めて、ご意見があれば。

○ 論点がずれていたようで大変申しわけないんですが、今回のまとめというところを読ませていただきまして、一応私なりの理解では、これでよろしいのかということなんですが、私が前回申し上げたのは、要は実働の世界に入るのか入らないかというのについては、実働について手当を払うという世界にいくという前提で、これから議論をするんだという理解でよろしいんですか。

 そうであれば、私はこれ以上、そのことに関しては申し上げませんし、要するに今の調整額は前も申し上げて、もう繰り返しませんが、要は実働に入らないということのよさはあるんですが、そこからは、もういっても実働の中で工夫するんだと、あとはもうおそらく民間等でやられている実態との関係で考えろと、こういう理解でよろしゅうございますか。

○ 少なくとも前回と今回は、ちょっとそういう土俵できちっと1回議論して、そこで何の問題があるのかということをクリアにできればと。

○ はい、わかりました。結構でございます。

○ 教職調整額の評価等々については、また議論があるかと思います。

○ わかりました。申しわけございませんでした。失礼しました。

○ はい、すいませんでした。

 ほか、何か内容について、こういう点が前回の議論であったんだけど抜けてるんじゃないかということがあれば。

○ たしか前回、労基法上の労働時間は基本的には客観的に判断すべきであって、当事者で決めても、必ずしもそのとおりになるとは限らないんじゃないかという話があって、それはここには入ってないんですが、それと標準時間との関係について、これは私の個人的な考えですが若干補足しておきたいと思いまして、確かに今の最高裁の判決等では、大前提として、労働時間かどうかは客観的に判断して、当事者が取り決めても直接は関係ないということになっています。ただ、その一方である程度、社会通念上、ある行動をするのに係る相当な時間の範囲内かどうかということも考慮される仕組みになっているんではないかと思われまして、作業の前後の着替えなんかに関しては、最高裁がそういう判断をしていると、要するに、ある程度、社会通念上、相当と認められる範囲内の時間が労基法の労働時間としてカウントされるんだと。

 そうしますと、例えば学校ごとに取り決める標準作業時間なんかも決めれば、そのとおりになるというふうに当然には言えないとしても、ある程度、客観的に見て合理的な時間が設定されるということがあれば、ある程度、労基法上の労働時間に該当するかどうかを判断する上で参考になるのではないか。ポイントは、ある程度、客観性のある時間が設定されているかどうかということなんだろうと思います。

○ 前回、たしか、そうした重要なポイントを出されたと思うんですけれども、前回の議論が、この資料1に書かれていないのは、実は今日、持ち時間の問題をどうするか。それを含めて、その辺は具体的に議論するということかと思いますけれども、それを踏まえて、今の論点は報告書の中に整理していくような形でまとめるのかなと考えていますけれども、事務局、どうですか。そういう形でよろしいでしょうか。

○ そこら辺のところは、まさに法律的な考え方になると思いますが、まず前提として整理をするということであると思います。

○ 今のポイントは非常に重要ですので、今日の持ち帰り時間等々のところで、さらに具体的にご意見をいただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○ はい。

○ ほかにどうでしょうか。よろしいでしょうか。

 一応、前回いろいろな意見が出たんですけれども、繰り返しませんが、基本的には教員の勤務時間単位については、教員からの自己申告を活用することを考えることとか、あと時間管理を行うに当たっては、業務の標準時間を設定することが非常に重要じゃないかとか、またその標準時間については、各学校で設定するのはいろいろな問題、難しいということもあって、国や教育委員会が一定の指針を示して、それをベースにして各学校での時間管理のありようということを考えていくと、基本的なポイントは、その辺が前回の議論だったのかなと思います。

 よろしいでしょうか。

 では、今日は前回に引き続いて、さらに時間外勤務手当化を想定した場合の具体的な問題、ここでは部活動、持ち帰りの問題、そして1年単位の変形労働時間制への導入にかかわる論点や課題、そしてまた問題の改善方策等々について議論していきたいと思います。

 資料2をベースにして議論していきたいと思いますけれども、まずは事務局のほうから説明をお願いいたします。

○ それでは、資料の2と、それから参考資料1、2、3、4のホチキスでとじている部分、2つの資料をごらんください。

 まず資料2、本体のほうですけれども、時間外勤務手当化に係る各論点・課題とその考え方・解決方策についてマル2(案)という部分でございます。

 先ほど、主査からご指摘をいただきましたとおり、いわゆる検討会議の段階の「審議のまとめ」では、時間外勤務手当化することは1つの有効な方策とされ、このことを踏まえて、仮に教職調整額を時間外手当化することにした場合における以下に掲げるような部活動等の論点の課題と考え方、それの解決方策について検討ということでの資料の用意でございます。

 まず1点目の部活動についてというのが、その下のローマ数字の四角囲みにある部分ですけれども、まず1ポツとして、部活動が教員の時間外勤務に依存している現状があるために、時間外勤務手当制度を導入した場合には、時間外勤務を抑制させようとして、教員による部活動指導が抑制をされ、生徒指導上の観点及び部活動指導の充実を求める生徒や保護者との関係から学校運営上の支障を生じる恐れがあるなどの課題がある。これは後に見ます参考資料1の教職調整額の見直し等に関する検討会議の「審議のまとめ」でもいわれていることでございます。そのために、その下の(1)、(2)という方向性を示させていただいていますが、勤務時間管理の観点からは白丸が2つございます。まず1つには学校教育の一環として、適切な部活動時間を設定すること。それから2つ目の白丸として部活動指導には、あらかじめ教員の勤務時間を割り振ることを原則とすることという部分が1つ。それと条件整備という観点からは、部活動指導を担う専門人材を積極的に活用すること。また地域スポーツクラブの設置を推進することなどの方策が考えられるというところでございます。

 それぞれのこうした方策について、実効性を持たせるためには、どのような具体的な仕組みが考えられるのか。また、これら以外の方策として、どのようなものが考えられるかというのが具体的な論点の、まず1つ目でございます。勤務実態調査のデータも、後ほどごらんいただきます。

 また2ポツ目として、勤務時間管理の観点から、教育委員会や学校が適切な部活動時間を設定したとしても、個々の学校や地域の状況から教員が正規の勤務時間を超えて部活動を行うとする場合に、これに対してどのような仕組みが考えられるのかという部分でございます。こちらの部分についてのこれまでの主なご意見を下の四角で次ページ以降にわたって記載をさせていただいておりますが、まず1つには部活動については、授業と同様に学校が組織として、部活動の目的をどのように置いて、どういう練習をしていくのかということを家庭や児童生徒の状況を踏まえて決めていくべきである。例えば学校として部活動と学業の両立を考えて、練習を週3日とするということなどを考えていくことが大切ではないかというご指摘がございました。

 それから先ほどの資料1でもご紹介をいたしましたけれども、次のページの冒頭のポツについては、群馬県の実例として申し合わせ事項というものをつくって、平成12年と現在とを比べた場合、実際に部活動が減ってきているという現状のご指摘でございます。また、前回の別のご指摘として、熊本県でも取り決めをしている。具体的には土日どちらかを休みとして、1日の練習時間も定めている。しかし、試合が負けてくると保護者の同意をとった上で練習時間を増やしていくという傾向があって、部活動の取り決めは、あくまで生徒の年齢に応じた体力面から考えて決めているけれども、現場にいくと勝たせてやりたいという先生の気持ちで増えてしまうことがあるというご指摘もありました。それとまた別のご指摘として、部活動の練習日などに関する申し合わせがあって、しばらくは守られていたと思うけれども、今は崩れかけている。教員がやりたいと思う場合もあれば、保護者がやってほしいと言っている場合もある。さまざま、ここはあるというご指摘でございました。

 参考資料のほうを見ていただきますと、1枚おめくりいただきまして、参考資料の2のデータをごらんいただきたいと思います。こちらは、この3ページ目の1ページだけでございますが、部活動顧問教諭(中学校)の活動状況についてというのが参考資料の2の冒頭のところにあります。勤務実態調査から拾ったデータでございますが、部活動顧問の割合というのは、その冒頭の四角の1囲みのところにございますけれども、運動部の顧問の方が58.5%、文化部顧問が17.7%、顧問なしといわれる方が13.7%と、無回答・不明が10%ほどございます。

 全体的な状況として、その2ポツにありますけれども、1日当たりの部活動の平均時間の推計というのは労働時間と持ち帰り時間というものを見た場合に、運動部顧問と文化部顧問に分けて、その表のとおりにありますけれども、例えば運動部顧問であれば労働時間のうち、残業時間は勤務日においては22分でございます。括弧書きの中のほうでございます。トータルとしては、1時間12分やっているという状態になってございます。それが休日になりますと、少し増えまして、1時間19分となります。運動部顧問の持ち帰り時間のほうを見ますと、勤務日においてはゼロ時間、休日においては53分という状況が全体としてございます。

 それを3ポツの部分ですけれども、一定のところで見ますと、例えば第2期といわれる夏休み期間中になります8月と、それから第5期、秋以降の11月の部分を見ますと、運動部顧問ですと、平均時間が8月の勤務日ですと2時間47分ということで増えてまいります。逆に11月の勤務日になりますと39分、11月の休日になりますと、1時間21分というのが運動部の状況でございます。これをいわゆる行為者平均という形の時間を見ますと、(1)の平均時間が、いわば全体を含めてる時間ですので、行為者平均時間というものをとって見ますと、その時間が多くなってまいります。1日の行為者率と行為者平均時間というのが、(2)の下のポツのところに2つ説明書きがございますけれども、1日の行為者率というのは、部活動顧問等のうち、1日の中で実際に部活動を行った部活動顧問等の割合でございます。

 そうした方々の行為者平均時間というのは、部活動を行った部活動顧問等が実際に部活動に費やした平均時間となっていまして、そういったものを今見た8月と11月という部分で見ますと、例えば運動部顧問であれば、平均時間の欄を見ていただきますと、8月の勤務日のところは4時間46分、11月の勤務日のところは1時間38分、11月の休日のところは5時間56分で、その時間が非常に多くなってきているという部分がデータとしてあるわけでございます。それが部活動の具体的な論点の全体でございます。

 それと、資料2のほうにお戻りをいただきますと、個別論点の大きな2つ目でございます。資料2の2ページ目、先ほど見ていただいたものの後でございますが、持ち帰りについてというのが2ページ目の中ほどから出てまいります。

 持ち帰りの部分として、論点は1ポツ、2ポツと2つ書かせていただいておりますが、まず1つ目、1ポツとして、教員が自宅で勤務時間外に授業準備や成績処理などの業務を処理するということについては、原則なくしていくべきはないかという指摘があるけれども、具体的にはどのような方策が考えられるかということと、2ポツ目として、縮減の取り組みをしても、なお持ち帰りが実態として残ってしまう場合に、その業務の位置づけについて何らかの工夫は考えられるか。特に、育児や介護などの理由により自宅に持ち帰らざるを得ない教員についてはどのように取り扱うべきかという論点でございます。

 こちらに関する、これまでの主なご意見の部分でございますが、次の四角になりますけれども、3つ掲げておりまして、まず1つには、時間管理をして、時間外勤務手当を出しながら業績評価をすることで実質的に併用するしかないと思われる。持ち帰りなどは業績評価で対処しないといけないと思うというご指摘が1つ目にございます。

 それからまた、別のご指摘として、自宅に持ち帰って採点をしているということであれば、それは勤務時間内にやるべきものである。超過勤務をするのであれば、どれが超過勤務をしてまでやるべき業務なのか、きちっと切り分ける必要があるというご指摘でございます。

 また、別のご意見として、教育は子供に知識を教えることであり、公的に研修する部分は命令でやらされるので仕事だけれども、自己学習はみずから自己投資をしてきているのだから、仕事ではない。民間では、それは仕事ではないとされている。持ち帰りも同じであるというご指摘でございます。

 こういった持ち帰りに関する参考データという部分は、先ほど見ていただきました参考資料集の参考資料3というところでご高覧いただきたいと思います。教諭の「持ち帰り」の状況についてというデータが、このページと、それからもう1つ裏のページということで、全部で2ページにわたっておりますけれども、1日当たりの平均ということで、勤務実態調査から引いているデータでございますが、冒頭の表のところを見ていただきますと、小学校で持ち帰る時間が37分、中学校で22分ということが勤務日の平均になってございます。休日におきますと1時間38分と1時間39分でございますが、内訳を見ますと、勤務日のほうは、基本的に小中学校とも授業準備、成績処理が多いデータということになってございます。休日になりますと、小学校のほうがやはり成績処理と授業準備ということが多いわけでございますが、中学校になると、部活動という部分が40分でぐっと上がってくるという状況になってございます。

 そういった持ち帰り時間を、「担任」「担任でない」という区分で見ましたのがその下の表でございますが、この表を見る限り、担任と担任でないという区分で言えば、学級担任を持っておられるというところが小学校、中学校とも持ち帰りの時間がいずれも長くなっているという傾向にございます。

 また、次のページを見ていただきますと、第5期と言われている11月における持ち帰りの調査結果を見ていただきますと、男女別の残業時間と持ち帰り時間(校長、教頭、教諭等)ということになってございます。これを見ますと、勤務日の中での持ち帰り、小中学校とも若干女性のほうが多いというデータが出ておりますが、基本的に男性、女性とも持ち帰りの時間がそう大差がないという状況になってございます。休日になりますと、小学校のほうは、これもほとんど同じ時間になってございますが、中学校のほうは、持ち帰りが、男性のほうが若干長くなっているという状況がございます。

 それとともに、その下の表でございますが、年齢別の残業時間と持ち帰り時間(教諭)というところでございますけれども、こちらのほうは、若干全体の状況を概観いたしますと、小中学校とも勤務日、それから休日とも年齢層が若い方々が残業時間が長くなっているということがあって、逆に持ち帰りのほうは、必ずしも一定はしておりませんが、その分、若年層の方々の持ち帰り時間というのは、他の年長者の方々に比べると、一般的には持ち帰り時間が少なくなっているというのが全般的な状況として読み取れるかと思います。それが持ち帰りの部分の論点と関係データでございます。

 それからまた、資料2本体のほうに戻っていただきますと、大きな個別の論点の3つ目として、資料2の3ページ目、3ですが、1年単位の変形労働時間制についてというところの論点でございます。こちらにつきましては、1ポツ、2ポツ、3ポツということで3つ掲げさせていただいております。

 まず最初に、学校の教員の勤務を考えた場合に、1年単位の変形労働時間制というのはふさわしい制度であるのかどうかという部分でございます。それとともに、2ポツ目として、仮に1年単位の変形労働時間制を導入する場合に、長期休業期間中にもさまざまな業務がある中、どのような勤務負担を軽減していくのか。また、それは実際に、どのように運用が可能なのかという部分が2つ目の論点。それから3つ目として、学校や教員によってそれぞれ状況が違う中で、仮に1年単位の変形労働時間制を導入する場合、実際どのように運用することが適当かという3つを掲げさせていただいております。

 これに関するこれまでの主なご意見というものは2つございますけれども、1つには、先生方の労働時間が1日10時間になるというのは、子供が朝から夕方までいれば先生方もいることになるので、当然の結果になると。そのために、春休みや夏休みの負担を軽減するためにどうすればいいのかということを深く考えていくべきであるというご指摘が1つと、もう1つは、教員の業務というのは、1年を通じて押しなべて同じというわけではなくて、春や夏は日没が遅いので部活の時間が長い。そのために、普通でも1時間以上の残業をする。その時期に時間外勤務をなくせと言っても無理で、その分、夏休みに休めるようにすればよい。1年単位の変形労働時間制を導入するべきである。1日に10時間も勤務時間を割り振るというのは、教員にとっては抵抗があるが、9時間ぐらいの勤務にするということであれば、夏休みに5日間ぐらいはまとめて休みになる。さらに工夫すれば、異論はあるかもしれないが、10日間ぐらい休めるのではないかというご指摘がございました。

 そこの3つ目の論点である1年単位の変形労働時間制に関する参考資料でございます。

 後ろのほうになりますけれども、参考資料4をご高覧ください。行ったり来たりで恐縮でございますが、1年単位の変形労働時間制についての制度の概要を記しておりますのが参考資料4でございます。趣旨として、冒頭にありますけれども、建設業や百貨店などの販売業のように、年間を通じて業務の繁閑を繰り返す業種において、それぞれの授業形態に合わせた労働時間を設定することによって、労働者が効率的に働くこと、あるいは労働時間の短縮を可能にするものということでございます。

 そこの中に2つダイヤ印をつけておりますが、1年単位の変形労働時間制の要件ということについては、労使協定において定め、労働基準監督署に提出というのが今の労基法の構造でございます。その際に、1、2、3ということを定める必要がありますが、まず、対象期間として、1カ月を超えて1年以内の期間に限定して定める。それから、2として、特定期間として、対象期間中で特に業務が忙しい期間というのを定め、3として、その対象期間における労働日と労働日ごとの労働時間というものを決めると。そこには、括弧書きでありますとおり、原則と例外という部分が1つございます。

 それとともに、もう1つのダイヤ印でございますが、1年単位の変形労働時間制の限度ということで、まず、労働日数の限度でございますが、対象期間が3カ月を超える場合には、1年当たり280日まで、1日の労働時間の限度というのは10時間まで、1週間の労働時間の限度は52時間までと。ただし書きの例外はございますけれども、原則こうなってございます。そして、連続して労働させる日数については6日を限度とし、特定期間として連続労働日数の限度というのは、1週間に1日の休みが確保できる日数ということで、考えてみると、連続して12日の労働が可能ということになってございます。

 そういった制度の概況がある中で、その次のページ、資料5というのは、勤務実態調査から引いた教員についての繁忙期間をどう見るかという部分の参考データでございます。時間数は記載しておりませんが、2つ棒グラフがありますけれども、上のほうが年間平均ということで、左のほうに書いておりますのが勤務時間内の業務を拾ったものでございます。大体割合にしてビジュアル化すると、こういうふうな視覚的な割合になるということで、当然ながら、授業が一番多いということになります。その上で、残業時間のほうは月平均34時間ということをよく言うわけですが、生徒指導、補習、行事等々というような状況と、授業準備・成績処理、事務的な業務というものが多くなってございます。

 それを夏期休業期間と比べてみました場合、特に残業時間については、月34時間が月約26分ということで、ぐっと圧縮されているというのが勤務実態調査の現況でございます。

 説明が長く恐縮でしたが、以上でございます。

○ ありがとうございました。今、事務局が説明していただいた資料2と、それに関係する参考資料をベースにしながら、少し意見交換をしていきたいと思います。

 時間が80分ぐらいしかありませんので、3つですので、1つの柱について25分から30分ぐらい時間をとって、これから順番に議論をしていきたいと思います。今回は、部活、持ち帰り、1年単位の変形労働時間制というふうなことですので、1つ1つ進めさせてください。

 まず最初に、部活動について、30分ぐらい時間をとって進めたいと思います。どなたからでもどうぞ。

○ 部活動についてですけれども、現状、部活動の日程であったり、時間であったりというのは、前回もそこそこお話を聞きましたが、教員本人の希望であったり、生徒さん、保護者の方、もしくは習慣的なもので大体決まってきているのではないかなと思うんです。その中では、こちらの論点が2つありまして、資料2のところですか、勤務時間管理の観点からというのと、条件整備の観点からというのがありますけれども、もう1つあるのかなと思います。それは、責任という視点で見ていくというのも1つだと思っております。要は、学校全体、もしくは行政が全責任を負うのであれば、基本的には時間の設定というのは、学校であったりとか行政が行う必要があるのかなと思っております。その中では、先ほどありました申し合わせ事項だとか、そういうものがあって、平日は4日間やりましょうとか、土日のうちどちらかは休んで、どちらかは半日だけにしましょうという形で、きちっと申し合わせ事項を決めることが1つの枠組みとしてできてくるのかなと思っております。

 もう1点は、学校であったり行政だけではなくて、要望の強い保護者であったり、もしくはその他が分散して責任をきちんと負っていく、そういう視点も考えられるのではないかなと思います。要は、就業時間内であれば、学校が責任を負っていくという形になりますけれども、鐘が鳴り終わった段階では、その人たちの資格できちんと責任を負っていただく、そういうのも1つ考えられるかなと思っています。

 ですから、観点としてですけれども、責任の範囲という見方も、考え方の中に入ってきていいのではないかなと思います。

○ ありがとうございました。申し合わせの件については、これは参考までですけれども、私たちは、県と政令市に中学校の部活動にかかわって、県の教育委員会が市区町村教育委員会に対して、どういうふうな指導助言、援助をしているかというふうなアンケートを実際にやったんです。実は、県の教育委員会として、市区町村に対して指導助言しているという県がわずか4県で、全体の9.8%しかないんです。あと、中学校長会などで助言について取り決めをしているというのは2県で4.9%。その他というのが15ありますけれども、実は助言について、何もそういうことについてはやっていないというのが22県で53.7%ということで、県としてそういうふうなことについて取り組んでいない県も半分以上あるという実態もあります。一応参考までに。

 ほかにどうでしょうか。

○ 部活動に関してなんですけれども、幾つかあろうかと思うんです。、1つは、仮に今日の議論の枠組みとして、時間外勤務手当にするというふうにして、要は実働時間でやるということになる場合に、現在ある部活動手当との関係というのがどういうふうになるのかなというのがあります。いわば部活動手当というのはなくなるのか。要は、部活動手当と時間外勤務手当の併給というのは不可能であって、部活動手当はなくして、全部時間で考えていくということになるのか、それとも部活動手当みたいなものを実働と切り離して、顧問というか主任といいますか、部活主任手当のような形に置きかえられて、実働時間は実働時間について払うけれども、部活の顧問とか主任という責任については、別途手当のようなものを残せるのかどうなのかというところが、1つ関心事項であります。

 それから、2つ目は、例えば条件整備の観点にせよ、あるいは教員の正規の勤務時間を超えて部活動を行おうとする場合、そこにおける部活というものが、学校のものであるとしても、例えば既に世田谷区さんとかでやられているという話も伺いましたが、市町村費負担のような、何らかの人材があれば、別途プラスアルファの学校としての部活ということが可能になるのかどうなのか。おそらくある段階までは学校の責任だけれども、同じ学校の校庭を使って、同じ部活で、それは学校と関係ないというのは多分通らない可能性もあるので、学校としてやるけれども、県費負担教職員でやらないということが現実として可能なのかどうなのか。またそれが、部活として意味があるのかどうなのかというあたりです。実感としてなかなかすぐにイメージできないので、そこら辺の可能性があるのかどうなのかというのをちょっと教えていただければなというふうに思います。

○ 今、出された論点というのは、部活動を考える上で非常に大きな論点になるかと思います。

 最初の部活動手当と時間外勤務手当の関係について、どう整理するのかというのは、この作業部会としても少し意見交換しておいたほうがいいし、2番目の点についても、学校の教育活動の一環としての部活動ということと、またある部分、担い切らない部分については、部活動と切り離す、ないしは部活動を補完する形でもって、学校の活動と違った、例えばPTAとかNPOとか、そういうふうなところで委託してやれるのかどうかとか、その辺の関係も含めた整理も必要なのかと思うんです。

 まず最初、1点目については、労働法の専門家も2人いますので、時間外部活動手当と時間外勤務手当はどういうふうに整理すればいいのかということについて、もし、何かありましたら、よろしくお願いします。

○ 民間で考えると、契約の問題なので、併給するのも全く不可能なことではないと思います。ただ、何に対してどういう給料が払われているかということを考えた場合には、1つの考え方としては、例えば所定労働時間について、それは授業であり、その準備であり、学校経営であり、部活動であり、それは対価として支払っているんだというふうに整理をすると、仮にそうであるとすれば、部活動手当分というのは、実働に移った際の実働部分を埋めていくものだと。民間なんかでも、いわゆる何とか手当と称して、実質はこういう場合は時間外手当であると。その時間分はそれで払われているというふうに計算をするわけですね。ただ、実働ですから、例えば月8時間分は何らかの手当で払っていたというときに、実働が14時間あれば、プラス4時間は払わなきゃいけないというのが民間の考え方にはなると思うんです。

 ですから、教員の方の場合で、40時間という所定で払われているのが、どういう業務であれ、教員の業務についてはこれですべて一応払っているんだというふうに仮に整理できれば、その原資は時間外分に回すということは可能でしょうし、それは無理なので、あくまでもこれは、特別な仕事に対して特別についているんだというふうに整理せざるを得ないというのであれば、それは一種の併給という形になるという、理論的にはそういうことかと思います。

○ 結論的には、大体同じようなところに行くと思いますが、これは労働法というよりは、公務員法の問題なのかなと思うんですが、部活手当というのは、今、特殊勤務手当でよろしいんですか。

○ 特勤ですね。

○ いわゆる特勤手当です。

○ 私の認識の間違いかもしれませんが、部活動手当というのは、原則的に4時間を超える場合に手当が支給されるというふうに。したがって、休業日等で適用されると。今ここで議論している、日常的に月曜日から金曜日までの平常の勤務の中で、部活動手当が支給されるということはほとんどない。県によって、その県の条例等で2時間単位で部活動手当を設けているところもありますが、原則的に、国は4時間単位です。したがって、土日でしか支給されないものですので、ちょっと議論の対象が違ってくるのではないかなというふうに思いますが。

○ わかりました。続けてください。

○ 今の話も踏まえて戻りたいと思いますが、要するに、ポイントはどういう趣旨で特殊勤務手当の対象にされていると考えるかどうかというところであって、一般論としては、特殊勤務手当の対象になる勤務を、例えば所定の時間内にしたら、特殊勤務手当だけは当然払われる。所定外にしたら時間外勤務手当と特殊勤務手当が払われるというふうな形で、併給対象になり得るということはあり得ます。

 ただ、今のお話の中にも出てきましたが、特殊勤務手当とされている理由というのが、部活をやっていなければ勤務しないような長い時間働いているからだということであるとすると、時間外勤務手当を払った場合にはそれでカバーされちゃって、特殊勤務手当を重ねて払う必要はないということになるのかもしれない。先ほどのご発言にもありましたが、それとは別に、部活を担当するということに特別な負担があると考えれば、理論的には併給もあり得るということなのではないかと思います。

○ ありがとうございました。

 今の問題にかかわっても構いませんし、あと先ほど問題提起のあった2番目の論点でも構いませんけれども。

○ 部活の問題は、現場にとっては非常に難しい問題なんです。まず、(1)の丸の1つ目ですけれども、適切な部活動時間を設定するということについてはいいと思います。やっぱり何か歯どめをかけないと加熱しますので、これは一定の合意を得て上限を設けるといいますか、目安を設けることは大事なことだと思います。

 それから、2つ目の丸ですけれども、部活動指導には、あらかじめ教員の勤務時間を割り振ることを原則とするというふうに書いてありますが、これはなかなか難しいと私は思います。この勤務時間の中でやるとすると、普通は、学校の帰りの会が終わるのが4時ごろなんです。8時から勤務時間が始まったとしても、4時45分で勤務時間は終了しますので、準備をして始めたら、30分ぐらいやってまた片づけということになってしまいますし、これはなかなか難しいのではないかなと思います。土日の部活動が全くできないということです。これはちょっと現実離れをしているのではないかと思います。

 それから、(2)の条件整備の観点から、外部人材の活用というのは大変いいことだと思います。できれば非常勤職員にしてもらえると、校長としても非常に管理しやすい。ただ、外部人材を活用するとしても、教員が必ずつかないと、やっぱり教育の一環としてやっていますから、お任せするだけで、何も教員がかかわらないというわけにはいかないというふうに思います。

 それから、丸の2つ目の地域スポーツクラブの設置ということはあるんですけれども、実は私の学校も地域スポーツクラブはあるんですが、部活動とは今のところはなかなかリンクできない。もし地域スポーツクラブのほうに移行するとすれば、できないことはないと思うんです。でも、移行すると、これは学校の部活動とは質の違う、まさにクラブなんです。外国で、学校の部活動をやらないで、地域のサッカークラブに入るとか、そういうクラブになってしまいますので、全く質が違うと思います。

 そうすると、何が起こるかというと、今、学校の大会というのは小中体連が主催してやりますけれども、そういう大会にはこのクラブは出られないと思います。というのは、クラブだと優秀な選手を集められますから、レベルの高いチームがつくれるんですね。そういうところと学校単位の部活動でやっても、大会をやる意義が見出せなくなってしまいますので、これもなかなか難しい面があります。

 以上です。

○ ありがとうございました。論点がだんだん増えてきていますけれども、どの論点でも構いませんが、ほかに何かございましたら。

○ 私の感じ方でお話ししますと、まず、指導要領で示されている教科の時間というのは、標準時間も出されていますし、また、一こまの標準時も示されているので、時間管理しやすいと思います。ところが、指導要領に課外活動が書かれていませんので、そこのところのやり方がそれぞれまちまちなのです。この課外活動、部活動を、地域によってはとても教育に有効に使っているところもありますし、子供たちの学習状況を見るにつけ、課外活動で子供を把握し、また、家庭教育までも踏み込んで、土日までも一生懸命やっていらっしゃる方がいるので、部活動はとにかく重要であると思います。

 今回、部活動が学校教育の一環という書かれ方がしましたけれども、私は当初、この指導要領で示された授業時間、授業日数に加えてこれが入ると、どうしたって超過勤務になりますよねと考えたんですが、ちょっと視点を変えてみると、先生方が野放図にそれぞれやりたいように時間をやっていたものが、校長のリーダーシップで、学校教育の一環として制限がかけられるようになりました、そのかわり学校が責任をとりますよというような認識をすると、この一文にはちょっと意味が出てきたというふうに思います。その上で、標準時の申し合わせと同じようにして、また、地域で部活動を上手に利用していることを考えると、この部活動について超過勤務手当とするよりは、手当として切り分けたほうが、今の有効活用がそのまま残るのではないか。時間管理、超過勤務によってこの活動を制限してしまうと、困ってしまう地域が出てくるのではないかというふうに思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

○ 今のご意見と全く同じなんですが、私たち中学校教員の中に、部活動が教育課程外にあるんだという意識があったために、直接私たちの仕事ではないんじゃないかというところもあったんです。そうはいいましても、地域の声がある、保護者の声がある、学校の責任もありますので、その中で非常に難しい。ですから、それぞれの顧問のやる気、熱意に負うところが大きい。やりがいのあるものでもあるし、非常に厳しいものもあります。

 先ほど責任というお言葉がありましたが、私も何回か部活動の顧問をしたときに、間違いなく責任を感じます。運動部であれば、勝つか負けるか、これはほんとうに大きいんです。それまで強かった部活に自分が顧問になって負けたとなったとき、ほんとうに責任を感じるというか、自分の力のなさを感じるわけです。そうすると、嫌でも本気にならざるを得ないというところがあって。これが、ちょっと話がずれますが、教員の負担大にもなるのでしょうか。責任を感じ過ぎて、最終的にはやめてしまったという先生も、私は現実的に知っております。それほどの大きなものであるということです。

 それから、先ほどの特勤でございますが、この前の16日の会議の二、三日後、実は4時間やって1,200円が、4時間やって2,400円に上がります、来年の4月から上がりますよという話がやっと私たちの職員室にありました。私はこっちに来る関係で、その話があるのは知っていたんですが、地方におりるまでかなり時間がかかるということを感じておりまして、4時間やって1,200円が2,400円になったと。これでも、よく上がったものだという声があるんです。1時間当たり単価にしたらいくらでしょうか。お金がすべてじゃないんですが、ほんとうに一生懸命やっている者は、自費を出して、その1,200円とか2,400円、それ以上の自費を出して、自腹切って子供たちのために頑張ろうという教員もいるわけでございまして、今の意見がまとまらないのはそういうことでございますが、ほんとうに難しい問題だなと思っているところでございます。

 まとまりませんが、お許しください。

○ 今まで論点としては、時間外手当と特勤の関係とか、学校の部活動と学校外のいろいろなクラブとの関係をどういうふうに整理するかとか、先ほど委員からは、今日の資料2(1)2の、部活動指導にはあらかじめ教員の勤務時間を割り振ることを原則とするという、この趣旨はわかるけれども、現実離れで、現場ではかなり難しいのではないかというご意見等々もありましたが、ほかに何か、この1の柱についてご意見があれば。

○ 私、さっきの手当がそういう額だというのをあまり知らないで議論してしまいまして、それこそあれだったかなと思うんですが、今のお二人の委員のお話は大変よくわかるところがございます。私も息子が中学時代、あるいは小学校時代もクラブ活動でかなりのご無理を願ってお世話になっていたんだなというふうに思います。

 ただ、法律的な観点から見ると、結局、ある仕事については、これは手当で、それ以外は時間でというふうな切り分けというのは多分難しいんだろうと思うんです。ですから、お二人の委員がおっしゃられたように、教員の自発的な思いを生かすというのであれば、学校の仕事とは完全に切り離したところで多分成立させていく。だから、そこにはむしろ手当云々という話は出てこない世界にしないと、なかなかうまくいかないのかなということだろうと思います。

 つまり、ある仕事について定型手当を払えばそれで終わり、ほかはというわけには多分いかないんだろうというのが、やや実働を考えちゃう場合の難しいところだと。その点だけ。

○ ありがとうございました。

 ほかにどうでしょうか。なかなかちょっと難しい問題のようですけれども。時間があれば、もう少し今出てきた論点を含めて検討したいんですが、あと2つありまして、残りも55分ということで、ちょっと中途半端ですけれども、もしなければ次に行って、もう少し時間があれば、3つ全体でというふうなことでもう一度部活の話に戻らせていただきたいと思いますが、よろしいですか。部活については、ご意見そういうことでよろしいでしょうか。

 では、次に2つ目の柱で、持ち帰りをどう考えるかというふうなことで、資料2の論点にかかわって少しご意見を伺いたいと思います。どなたからでもどうぞ。よろしくお願いいたします。

○ 超過勤務手当ということに照準を当てることになるかどうか、そこら辺が不安ではあるんですけれども、持ち帰り仕事は望ましくないというのは、これはもっともなことだと思うんですが、この実態を見ると、確かに少ないことは少ないんだけれども、やらざるを得ないという実態があるというふうに思いますし、私自身も小学校の校長を経験していて、持ち帰り仕事を、お願いしているわけじゃないけれども、せざるを得ない、そして、そのことによって学校が支えられている部分がかなりあるなというふうなことを実感しているわけです。

 この数字が非常に低い感じがするんですけれども、1つは平均値であるということで、人によっても違うだろうし、時期によっても違いがあるだろうと思います。今回の時期が11月という、ほかの調査との関係もいろいろあるんだろうと思いますけれども、学校では一番行事の少ない、あるいは仕事があまり集中しない、ある意味では安定している時期なんです。持ち帰り仕事が多いのは、学年初め、学年の終わり、それから学期の終わりの成績処理のときが大変多くなるわけですので、そういうことからすると、この11月というのは非常に少ない時期になってくるので、こういうふうな数字が出ているのかなと思います。年間を通した場合にはこういうことだけれども、現実に持ち帰り仕事が年間通して30分から1時間半ぐらいはあるんだということは事実として認識しておかなきゃいけないだろうと思います。

 小学校の場合は、特に特殊的な事情があるのかもしれませんけれども、子供が学校にいる間は、先生方は自習をさせない限り目を離すわけにはいかないので、勤務時間の8時から3時半なり4時ぐらいまでは、いわゆる事務的な仕事というのはやることができないわけです。そこから後のところでやるわけですが、そうなったときに一番負担が大きいのは通知表なんです。小学校の先生方は、通知表を書くときに、非常に細かく丁寧に書きます。中学校の先生も書かれるけれども、小学校に比べると非常に少ないような感じがするので、こういったところからすると、通知表の問題。

 それからもう1つは、週案簿というのがあるんですが、大学でいうとシラバスなんですけれども、シラバスよりもかなり細かい、全教科を小学校の先生の場合持っていますので、各時間ごとに1週間の単位で、どういう授業計画をするかということを書くわけです。これを校長がしっかり監督して、月曜日の朝に見て、その週はどういうふうなことを先生が授業をするのか、いってみれば、教育課程の管理を、校長が週案簿を見ることによって行うというふうなことがあります。ですから、これはほとんどが持ち帰り仕事になる。年齢によって、だんだん経験年数を踏むと持ち帰り仕事が少なくなってくるというのは、こういうことが非常に要領よくなってきたり、あるいは教材研究をそんなにしなくても、ある程度の内容がわかっているので、書く時間が少なくなってくるというふうなことになるのかなと思うんです。

 そういうふうなことからすると、超過勤務は、場所を学校と限定するのか、それとも家庭にまで持ち込んだときに、場所はもう構いませんよと。しかし、仕事として標準時間を、この週案簿を書くのには大体1時間ですよと。あるいは通知表についてはどのぐらいなんだと。あるいはこれから答案の採点をする場合にも、これから新しい指導要領では、レポートであるとか、あるいは活用であるとかといったような、今までの丸バツ式の回答だけを求める採点ではなしに、子供たち1人1人の文章力を評価していくようなことが出てくると、今まで以上に採点等に時間がかかってくるし、そういうことを小まめにやっていかないと、次の授業に生かしていけない、あるいは1人1人の子供を生かしていけないということになってくるわけですから、今まで以上に持ち帰り仕事なり超過勤務の仕事が増えてくるだろう。そのときの基準の単位として、標準時間というものを、これは校内であろうと、家庭に持ち帰りであろうと決めておく必要があるのではないか。そして、それに対して、きちんとした報酬を支払うというふうなことが、今後は必要になってくるのではないだろうかと思っています。

 以上です。

○ 今も検討すべき論点が幾つか入っていますけれども。

○ 持ち帰りについても、なかなかイメージがわきにくいところがあるので、それによって結論とか方向づけも変わってくるんじゃないかと思うんです。1つは、持ち帰りを家でやろうと、あるいは学校で残ってやろうと、教職調整額手当制度であれば、どこでやっても同じなのだから、どうせだったら持ち帰るという形になっているというタイプの仕事が多いのか。例えば採点をするというのも、本来は学校で残業して夜残ってやってもいいけれども、残ってやらなくても、家に持って帰ってやっても、どっちみち変わらないのだから、生活都合上、時間の組み立てを考えると、持ち帰るほうが便利だから。要は、これは教職調整額という制度だからそういうことが生まれているのであって、時間外勤務手当を学校でなければ出さないという形にする場合には、そういうものは残業時間のほうに整理されていくということかもしれないのです。実態によって、持ち帰りの意味によって変わるのではないかと思うんです。

 2つ目は、確かに自発性を前提にした残業の管理というのを議論していますと、つまり、学校で逐一、上司や校長が監督して、ちゃんと時間外勤務をしているかどうかをチェックしているわけではないので、そういう意味では、標準時間が決まれば、例えば採点ならこれぐらいということであれば、どこでやっても、その限りでは持ち帰りに時間外勤務手当を払うのも可能なのではないかなという気もするわけです。

 ただ、その先は、それとは全く別の論理がありまして、持ち帰りに伴う個人情報の管理その他、かなり組織的な対応で、個人情報を外部に持ち出すということ自体が非常に問題があるというふうになるのであれば、教職調整額の時間外勤務手当化とともに、あくまで学校の中でやってくれとなる。ただし、上司が監督しているわけではなくて、自発性を重んじているというふうに時間外勤務手当も整理していかないと、なかなか持ち帰りに伴う個人情報上の事故というのを根絶させるのは難しいのかなという印象を持っています。

 ただ、3番目に、持ち帰りの意味なんですけれども、持ち帰りしていた仕事が、残業を長くすれば処理できるか。全体としての仕事を減らせば、あるいは能率化すれば減るというものなのか、それとも深夜に突然生徒指導上で呼び出されるというものを持ち帰りと言うのかとか、ちょっとそこら辺ですね。つまり、連続して延長するところに入れ込めないことが非常に多いのかどうなのか。

 例えば、育児、介護という場合、子供の迎えに、例えば夜6時とか7時には絶対家に帰らなきゃならないというタイプの持ち帰りが多いのであれば、やはりそれは残業してやってくださいと言うわけにはいかない。一たん家に帰って、子供のお迎えとか行って、その後、仕事が残っているからやらざるを得ないとなると、それはどうしても学校での残業ではできないということになる。あるいは夜突然、家庭訪問せざるを得ない。これは、家庭訪問するというのは、単に時間を5時、6時に延ばせば行けるというものではなくて、親御さんが帰ってくる時間に行かなければならない。こういうのを持ち帰りと言うのであれば、9時や10時にやらざるを得ない。それはやはり学校ではできない、そして連続でもできないということになる。若干仕事の質によって変わるのではないかなという印象を持っているんですが、そこの具体的なイメージは、30分とかいう場合でわからないので、そこら辺によって変わるんじゃないかなという印象を持っています。

○ 持ち帰りの仕事の、これ以上の詳しいデータはわからないですよね。

○ 主査にもご協力いただいた勤務実態調査から拾っていますので、あそこの定義の中で出てくる勤務時間と残業以外の部分で持ち帰りという形で整理をしています。

○ まず、今のところですが、かなり前に見て思ったことで、うろ覚えに近いところもあるんですが、参考資料2のところに、調査研究報告書、18年の勤務実態調査を再集計したものがありますが、それを見ていたときに、たしか時間帯ごとの行為者率のデータがあって、特に小学校教員の場合には、授業準備とか成績処理なんかが、一たん夕方の時間にへこんで、その後また高くなっているというのがあって、これはある程度、持ち帰りが行われていることを示しているのかなと思って。ちょっと古いことなので、うろ覚えに近いことがありますが、実態について、もう少しこの18年調査のデータを使って明らかにできるところがあるのかもしれないなと。それを見る限りでは、たしか小学校と中学校で大分差があるような気もしましたし、その辺も含めて明らかにできるところはあるかもしれないなというのが1つです。

 それから、中身というか、多分、時間外勤務手当化を前提に、労基法上の労働時間に該当したら時間外勤務手当を払うという制度でいった場合、まず1つ問題になるのは、持ち帰って家で仕事をしている時間が労基法上の労働時間になるのかどうかという問題。ここは、少なくとも割増賃金を請求した事件では、裁判で争われることはあまりないケースで、もう1つ、過重労働かどうかを判断するときに、自宅への持ち帰り仕事もカウントしたケースはありますが、まさにここで問題になるような割増賃金は、はっきりしたことは言えないのですが、個人的には、ここは異論あり得るところだと思いますが、明確に自宅で仕事をしないと実現できないようなことを命じる。要するに、明日の朝までにこれをやっておいてくれというふうなことを言って、どうしても自宅で……。

 今のは例がよくないかな。一番はっきりしているのは、帰ろうとしている人について、明日の朝にはこういう状態になっているようにしておいてくれというふうに言うケースなんか、明らかに自宅で仕事をしなければいけないようなことが明確に命令されているようなケースでは、ある程度自宅で作業をした時間が労基法上の労働時間としてカウントされるということもあり得るのかなと考えています。

 あと、それとは別に、労基法上どうなるかということを考えた場合、一種、事業場外労働の制度そのもの、あるいはそれに類するものとして、時間外勤務手当化した場合にも、一定の持ち帰り仕事分を、いわゆるみなし労働時間制、この場合には、多分標準的な作業時間なんかを使って、このくらいの仕事であればこのくらいの時間というのは要するんだと思いますが、そういうことも可能性としてあり得るのかなと思います。

 その上で、時間外勤務手当化した場合に、現状の持ち帰りの実態にどういう影響が生じ得るのかということは、そもそもどういう制度を組むのかによっても変わってくると思います。今の持ち帰りの実態に適合するように、例えばみなし労働時間で処理するというふうなことを可能にした場合には、これもどういう理由で持ち帰りが行われているかということも踏まえて考えていく必要があると思いますが、例えば育児とか介護というのが理由であれば、それはある意味ワーク・ライフ・バランスという観点から望ましい制度だというふうに考えていくこともあり得るのかなと思います。

 ただ、その場合でも、民間企業で行われていることとの対比を考えた場合、1つ問題になり得るのかなと思うのは、特に育児なんかは最近、結構配慮する民間の企業も増えてきていると思いますが、通常、ある程度子供が小さい間に限るとか、状況を限定しているわけです。もしかするとそういうところが状況として変わってくるということになるのかもしれない。

 あとそれから、労基法上の労働時間としてカウントするという方向だと、これは私の意見としては、あり得るとしてもイレギュラーな事態であるので、そういう方向でいくとすると、できるだけ減らしていくものは、学校の中で処理してもらうという方向になるのかなというふうに思っています。

○ 今の点についてですか。

○ 卓上にこの資料がございますので、ごらんいただきたいと思います。これの96ページですけれども、勤務実態調査の項目ごとの時間です。持ち帰り時間がどういう中身かということについてのご説明を申し上げたいと思うんですけれども、96ページは教諭についてです。小、中、それから平均に分けて、どういう業務にどういう時間を充てているかということですけれども、一番右の部分が持ち帰り時間の内訳で、これを見ていただきますと、小学校は年間平均して、勤務日の平均で37分と。そのうち時間を多くとっている項目を見ますと、cの授業準備に12分、eの成績処理に12分、あとは一けた台で、学年・学級経営が3分、事務・報告書作成が2分、その他の公務1分。休憩・休息が1分と、これはちょっと意味が不明ですけれども。それから、中学校も似たような傾向ですけれども、授業準備、成績処理が大きな部分で、あと学年・学級経営と事務・報告書作成、その他の項目と。

 その次の97ページは、休日に持ち帰っている時間。これが小学校ですと1時間38分、中学校で1時間39分で、これはほぼ同じですけれども、内訳はちょっと違ってまいりまして、小学校の場合は、授業準備のための持ち帰りが27分、成績処理のための持ち帰りが39分と、これが2つ大きな項目となっています。中学校の場合には、部活が40分と、これが一番多く時間を割いている部分で、成績処理が22分、授業準備が14分ということなんですけれども、持ち帰りというのは、うちに持ち帰って仕事をしているということなので。部活自体は学校のグラウンドに行ってやっていたりすると思うんですけれども、その部活のために、自宅でさまざまな準備、あるいは後処理をしなければならないということなのであろうと思います。

 それぞれの業務の詳しい中身については103ページにございます。授業準備ですと、指導案の作成、教材研究、教材作成、授業打ち合わせ云々と。成績処理ですと、成績処理にかかわる事務云々、調査書とか指導要録を作成するとか、これも入ってくるということでございます。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 平均化すると実情が見えないところがあって、なかなか難しい。さっきの部活動の問題でも、平均すると平日で1時間前後で少ないんですけれども、ただ、行為者率ということで、実際に部活動に携わっている先生方の実働を見ると、4時間とか5時間とか、そういう実態が見えてくるので、今後、データはありますので、持ち帰り時間の多い先生方にターゲットを絞ってデータを再整理すれば、その辺の実働が見えてくるのかなと思います。今後どういう形で作業できるかわかりませんけれども、できるだけやってみたいと思います。

 持ち帰りというふうに言っても、持ち帰りの状況によってかなり違ったロジックというか工夫をしないと、持ち帰り一般論で時間外手当云々という話はできないという話についてご指摘があって、当然それはそうだと思いますけれども、その辺も含めて。あともう少し議論を進めていきたいと思います。

○ もう少し民間はこうだということを申し上げれば、持ち帰ったのを労働時間というふうには基本考えないということです。それは要するに、管理監督できませんので、それはないということで考えざるを得ない。

 多分みなしは、今の基準法の規定ではおよそ使えないということです。あり得るとしたら、これは民間でも若干ございます、要するに在宅勤務を部分的に認めるという仕組みをつくることだと思うんです。そうであれば、そこはいろいろな工夫の余地はあると。ただ、おそらくそれは、先ほどから出ている育児とか介護とか、そういうワーク・ライフ・バランスの関連で、一部本来の仕事場ではできないけれどもというようなことを考える余地はあるのかなということでございます。

 ですから、実態として、持ち帰っているという実態は、官民問わずあろうかと思うんですが、それを労働時間として見るのかというと、これは、基本は見ないというのが原則であるというふうにご理解いただければと思います。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。

○ 確かに今、委員がおっしゃったみたいに、この教材研究等の自発性、あるいは創造性に基づく業務を持ち帰っていることは確かにあります。それはもう認識しておりますけれども、これは、校長が持ち帰り業務を命ずるということはまずないわけです。実態としてはございません。だけれども、現状で行われている持ち帰り業務というのは、実質的には義務的で不可欠な業務というものを持ち帰っている実態はあるわけでございまして、これをどのように把握してどこまで……。もしこれを認めるというのであれば、これをどこまで業務として認めて、時間外勤務を命ずるのかということになろうかと思いますが、そのときの方法として、先ほどから出ていますように、1つの業務について、質的に量的にかかる時間を把握する。標準作業時間とか、そういった客観的に見て合理的な時間の設定ができるのであれば、そういったガイドラインを示して、それを行うとか、そういうことになるのかなという感じがいたします。

○ 成績処理についてなんですけれども、おそらく私は3つぐらいに成績処理の中身というのは分かれるのかなと思っております。

 1つは、日ごろ発生するもの、宿題であったり、連絡帳であったり、生徒との間のやりとり、そういうものが1点あるのと、先ほどちょっとありましたけれども、テスト、期に2回ぐらいおそらくあると思いますけれども、そういう大きなテスト関係であったりとか。あとは通知表関係、大体その3つぐらいに分類できるかなと思っております。

 テストとか通知表の処理につきましては、先ほどからお話が出ていますけれども、標準的な作業であったり時間というのは、ある程度見込むことは可能なのかなと思っております。ただ、日ごろ発生するものにつきましては、いろいろな観点で生徒さんを見て、評価をしていますから、先生によってやり方に結構違いがあります。先ほどのガイドラインだとか何かしらつくるにしても、その中身のことをよく精査していかないと、なかなかつくっていくのは難しいかなと思っています。

 先ほど平成18年度の労働時間が出ていましたけれども、労働時間外、これはおそらく休み時間にやっている時間も入るのかどうかわからないんですが、小学校だったら1日42分であったり、中学校だったら40分であったりとか、実際にこのぐらいの時間をかけているわけです。このほとんどの部分が、おそらく日ごろ発生するもののほとんどだと思います。生徒さんが出してきたノートをチェックしたりだとか、自主勉強をチェックをされたりとか、○×をつけたりとか、コメントを書いたりとか、そういうことになりますので、単純にガイドラインというわけではなくて、中身も含めて精査していかないと難しいかなと思っております。

○ 持ち帰りの議論の時間が迫っていますけれども、ほかにどうですか。

○ この間委員が言われた、今やっているやり方をこのまま積み重ねて、残業ありきの話と別に、一方では、今のやり方で残業ありきの中でどう対応しましょうかというのでないやり方というのは模索しておかなければいけないと思うんです。

 とにかく、私のところで言えば、50分一こまで数えるより、45分一こまでやるほうが、こま数も入るし、休み時間もとれるし、放課後もとれるというふうなことが出てきたりするんですけれども、さまざま考えると、50分の標準時間の遵守ということに落ち着いてしまいます。また、今は世の中でいろいろな、塾、スポーツ施設、習い事なども以前と違って、さまざま学校外でできることがありますので、そちらにお願いできる部分もあって、何もかもが学校が引き受けるということではなくなってきています。この話の一方では、やっぱり基本的に8時間勤務の中でできるものは何なのか。それが若干はみ出るとすればやむを得ないけども、まず残業ありきということで考えてばかりいると、もしかしたら同じところにはまりきって抜け出せないとも思います。

○ 夏休み中、夏季休業中の自宅研修が今はもう認められないという状況になっています。認められないということは、結局自宅での持ち帰り仕事というのは超過勤務とはみなしませんよということと同じことなんだろうというふうに思いますから、このことは、実際に認めることはなかなか難しいんだろうと思うんだけれども、実態として、やっぱりそういう自宅に持ち帰っている先生方によって支えられているのが、現実問題小学校には多い。

 それでいいというわけじゃない、今おっしゃったように、残業を勧めないようにするということが大前提ではあるんだけれども、それがあるということによって支えられて、その7割、8割の先生方が女性であって、自分のお子さんを育てながら仕事を確実に、そして学校をきちんと運営していく大きな力になっているということは事実だと思うんで、この辺のところをどういうふうに認識して、片方の、例えばクラブだとか部活動をやっているからこれは時間外を出すけども、そうでないものには出しませんよということになったときに、教員の自発性だとか創造性だとかいうものの意識にマイナスを及ぼさないかどうか。これは考え方を切りかえなきゃいけないんだろうと私自身も思いながら、この辺のところはなかなか難しい問題があるなと思っているところです。以上です。

○ 勤務時間を考えたときに、やっぱり平均で物を言うということではいかないと思うんですね。例えば部活動にしても、それから持ち帰りにしても、部活動は数少ない、中学校でいうと若い男性に、一部の運動部の顧問が集中するという現実があるんですね。運動系の部活動でというと、平均してしまうとある一定の時間内で抑えられてしまうんですけども、先ほどの委員からのお話のように、私も実は硬式野球の監督をやっていたので、そのころはほんとうに土日も全部ないというような勤務状況を味わってきたんですけれども、これは一部の、数少ない若い男性に部活が偏るという現実があること。

 それからもう一つは、持ち帰りをしても、小学校は平均すると、例えば男女の割合は圧倒的に女性が多いわけです。女性に、男性と変わらないような時間がこれだけあるということは、圧倒的に小学校の中で女性にかける、先ほど言われたように、勤務の中に持ち帰らざるを得ないような業務があるということですね。

 要するに、一定の、ここでの議論の中で制度を設けるということは、例えば教員の勤務内容について精査して、それについて評価を与えるというか、めり張りをつけるというようなことになっていくわけですので、これは今のように教職調整額によって何となく持ち帰りが許されるような、寛容されるような、そういう風潮を払拭する意味でも、何か制度を設けることは意義があると思います。

 要するに、それぞれの勤務の内容がどこにどう偏っているかというようなことも、切り込んでいかないと見えてこないのではないかなということを思っております。

○ ありがとうございました。30分ぐらいの時間だったんですけども、いろんな論点とか視点を提示していただきました。

 作業としてちょっとやらなきゃならないのは、やっぱり今の教職調整額のもとで持ち帰り時間が増えているということも考えられるんじゃないかというご指摘は、現状の持ち帰り時間がどういう性格のものかということをしっかり把握することが、1つの前提の作業かなという、これは1つ進めてみたいと思いますけれども、もう一つは、持ち帰り時間については、基本的には労働法のお二人の先生から、原則はやはり超勤として認めるのはかなり難しい状況、難しいのではないかと。ただ、校長の命令、緊急の命令とか、児童・生徒の緊急の事故とか事件でそういうふうな指導で対応せざるを得なくなった事態とか、あと家庭に何か特別の事由があった場合の対応をどうするかという、その辺のところはどう考えていくかというのは、少し個別に考えていかなきゃならないのかなというご意見だったような気がします。

○ 1つだけ。この持ち帰りの実態を我々が理解する上で、もう一つデータがあるとよかったんじゃないか、あるいはどこかにあるのかもしれませんけれども見出せなかったということなんですけれども、それは学校の組織体制が進んでいる学校と、事務職員等々がそれなりの力を持って事務処理をしているところと、必ずしもそういう体制が整っていないところで、この持ち帰りの時間等々に何がしかの影響があるのかないのかというあたりというんでしょうか、そういう学校の組織条件が整っているところと、そうでない、従来型で進んでいるところあたりに、これがどんな影響が出てくるのか、出ていないのかというようなデータがもう一つあると、さらに今の議論に厚みが加わるんじゃないかなと思います。以上です。

○ 事例研究では、その相関が見えている事例はあるんですけれども、こういうような量的なデータではなかなか出せないところがありまして。

○ はい。

○ わかりました。じゃ、すいません、残りあと25分ぐらいしかないんですけども、最後の3つ目の1年単位の変形労働時間制の問題について、次に議論を移っていきたいと思います。

 ここで示されている論点は、3ページのように1、2、3ということになっていますけれども、これをベースにし、ほかにまた論点があればどうぞ、各自、自由にご発言いただきたいと思います。

○ すいません。この1年単位の変形労働時間制と教職調整額の考え方だと思うんですが、人事院が教職調整額を勧告したときの幾つかの理由を考えてみます。1つは自発性、創造性という特殊性であります。それから2つ目は、いわゆる鍋蓋型の人事です。職の給料表上の級の数が少ないというのが2つ目の特徴だったと思うんです。

 3つ目は、要は夏休み、冬休み、春休みがある。これらの特徴を総合的に、ぼやっとした形で教職調整額を勧告したのではないかと思うんです。おそらく夏休み、あるいは冬休み、春休みに大きくまとめて時間を短くするということができて、ほかの時期に割り振るということです。当時変形労働時間制というのがあれば、3つ目の理由からは、教職調整額は必要なかったのかもしれない。そういう意味でいえば、ある意味変形労働時間制という一般制度ができるまでの、先駆的といいますか、暫定的な措置であったというふうに見ることが可能なのかもしれないのです。

 仮にそうであるとするのであれば、一般の労働法制のほうがオプションを出してくれたのであれば、それに応じて、少なくとも教職調整額を支えていた1つの論理といいますか、必要性というのは、情勢に応じて減ってきたと見ることができるのではないかなという印象を持っています。

 もちろん変形労働が成り立つ前提は、全体として労働時間がその枠内に収まっていることです。要はプラスマイナスするだけでありますから、全体として勤務時間が多いものについては、もちろん対処できませんので、それについては別途やらなければならないということではないかなと思います。

 それから、おそらくそういう意味では、教職調整額、あるいは教育公務員特例法制度自体が、ある意味で教職の特殊性といいますか、一種の、よくいえば先進性といいますか、悪くいえば突出性といいますか、そういうのをかなり反映していたのではないかと思います。ちょっと先ほどの話に戻ってしまいますが、子育てをしている女性の教員に多く支えられているという、これはむしろ労働市場においてかなり先進的なといいますか、男女共同参画を先駆的に行っていたのが、おそらく公立学校教員の世界だったと思うんですね。

 その意味では、まだ民間がそこに追いついていないのではないか。例えば、ワーク・ライフ・バランスに配慮して家に持ち帰っていいというのも、ほんとうに子供が小さいときしか認めないというのであれば、それはむしろ民間の後進性といいますか、だめな制度がまだ追いついていないということであるとするならば、やはり依然として、そこを一種の模範的雇用者として積極的に打ち出していくということもあり得るのではないかなと思います。ちょっと先ほどの話に戻ってしまうのは一種の蛇足でありますけれども、変形労働時間制があるのであれば、教職調整額を支えてきた1つの必要性は、情勢適応によってはなくなっていくんじゃないかなという印象を持っております。

○ よろしいですか。

○ ありがとうございました。

○ 教職の特殊性というのをどう理解するかとか、あるいは中身をどうとらえるかということになるかと思うんですけども、私は、やはり教職というのは1年のサイクルというんでしょうか、1年を1つのサイクルととらえるところが、1つポイントになってくるのかなというふうに思っております。

 それで、これは別に教職だけじゃなくてどの職種についても、1年間を対して見れば、かなり勤務時間を要するときと必ずしもそうじゃないときがおそらくさまざまな形であるということで、要するに恒常的に、1年間常に同じだという職種もあるかと思うんですけども、いろんな職種を見たときには、やはりでこぼこがあるというふうにとらえるのが、むしろ実態としては多いんじゃないかと思っている。教職も、ある意味でいうとそういう特色を持っているそれではないかと思うんですけども、とりわけ日本の学校は学校行事とともに1年間が推移していくというところが1つの特徴といえば特徴であって、学校行事に時間のかけ方というところがプラスに働いたりとか、あるいは学校行事が比較的少ない時期は勤務時間がやや少なくなるということであったと思うんです。

 そうした場合に、ここにありますように年間を通してトータルで見ていくという視点もやはり大切になってくるんじゃないかなと思います。そういう意味で、どういう形でこれを調整できるのかどうなのか等々というのは、いろいろ知恵を絞らなければいけないところがあるんじゃないかと思うんですけども、とかく長期の休業のところだけがクローズアップされがちなんですけども、むしろさまざまな行事等々を組みながら1年間の中で仕事が進んでいくという、そしてその1年間としてどの程度の成果が上がったかというようなとらえ方もまた大切なんじゃないかと思いますので、そういう点からすると、この動き方に勤務時間の考え方をふさわしく当てていくというふうな、そういう方向が随分あり得るんではないかなと思います。以上です。

○ ありがとうございました。お二人から、導入をポジティブに考えていいんじゃないかというようなご意見だったと思うんですけれども、ほかにどうでしょうか。

○ このことについては、前回も申し上げましたけれども、学校というのは課業期間と休業期間がありますから、そこをうまく活用するというのはやっぱり必要なことだと思っております。

 そのときに、この変形労働時間制を私は導入すべきだという立場で申し上げているんですけども、反対しているといいますか、ちゅうちょしている人の意見を聞くと、やっぱり育児とか介護の必要があって、どうしても5時に帰らざるを得ない人がいるから無理なんだというふうに言っている人がいるんですけども、その辺は個別に対応できるというお話を聞いていますけれども……。

○ できるわけです。

○ それが可能ならば、その問題はクリアできると思います。

 ですので、これは技術的にも、かなり私は可能性は高いと思っておりますので、専門家がいらっしゃいますので、ぜひ、ご意見を聞かせていただきたいと思います。

○ そうですね。今の問題を含めて、ほんとうにすみません、今日はお二人ご指名なんですけれども、変形労働制を導入しようとする際に留意すべき問題とか、視点なんかがあればどうぞ。

○ わかりました。1つは、労使協定でやるのかというところは、公務員は、1カ月変形については条例によってやっていますので、多分そういうような手をとるんだろうと思います。それはご検討いただければと思いますが、ただ、おっしゃったように、非常に使える制度だと私も思いますけども、同時に、やはり制度を設計する上で限界もいろいろ出てくるということです。

 今ご発言があったような、例えば育児、介護のために自分は免除してほしいという場合には免除しなきゃならないということになります。そうなると、その部分はあくまでも実働で発生していくわけですね。ですから、そこのところを一体どう考えるか。ご発言を聞いている限りにおいては、かなり女性のそういう方の持ち帰りが多いという現状は、この制度を入れたからといってその解消が必ずしもできるわけではないという、つまり万能薬ではないということですね。

 それからもう一つは、先ほどご説明がありましたように1日10時間という枠組みがございますから、実働においてこれを超えれば、やはり時間外というのは発生していくということです。それから休日についても同じような問題が絶えず発生してきますので、1年変形というのをとることによってやれることはあるとは思うんですけども、今まで議論してきたことをすべて解決できるかというとどうかというふうに思っています。

 今、変形労働時間制の中で1年変形というのが一番民間では使われている制度なんですが、それをなぜ使ったのかというと、要するに休日を増やして年間の所定労働時間を割り振るというパターンです。要は1年間52週ですから、ざっと数えて2,080時間あるわけで、休日をどれだけ割り振ることによって、あるいは1日9時間とか10時間の週をつくることによって、例えば週6日の週を民間の場合なんかつくって、それでいくわけです。ただ学校の場合は、おそらく土日休みというふうにするのだと、そのメリットはなく、つまり104日の休日というのは、52週で全部土休で使われちゃうわけです。だからその幅は非常に小さくなっちゃうんで、そういう点も含めた制度設計が必要だとは思います。ですから一定の治療薬にはなるけど、完全に問題解決するということには多分ならない、いろいろな問題は残るだろうということでございます。

○ ありがとうございました。

○ 特に先ほどのご意見と変わるところはありませんが、要するに時間外労働が常態化している場合には、単に変形労働時間制を導入しただけでそれを減らす効果が当然に生じるというわけではないということです。

 見かけ上時間外労働としてカウントされる時間が減る可能性は、もしかすると、うまく設定するとあるのかもしれませんが、時間外労働そのものが変わらないとあまり意味はないだろうと。そこで意味があるとすると、要するに現状1日8時間、週40時間で行くととてもこれはおさまらない、所定の時間内に仕事を全部終わらせるのは、はなから無理だと考えてしまうところを、うまく変形制を使うことによって、これだったら何とかなるかもしれない、あるいは少なくともこの時間内におさめるという目標として機能するようになると、意味があるということになるんだろうと思います。

 具体的には、その上で、今労働基準法上に存在する制度を使う。先ほどおっしゃったように、労使協定のところあたりは間違いなく変える必要があると思うんですが、それ以外の点で、労基法上の制度を使うとすると、ちょうど参考資料4の下半分に変形の上限が的確にまとめられていますので、そこにあるように1日10時間、それから実際上対象期間が3カ月を超えた場合、多分そうなるはずであって、そうすると週の労働時間が48時間を超える週については制限があるので、基本的には延ばしても週48時間の範囲内の変形で、今言ったような、これだったらそこを目指して労働時間を減らしていくという目標として適切に機能するような変形制の枠を学期中について設定できるかどうかというところが、制度が現実的にワークするかどうかを分けるポイントになるのかと思います。

 あともう一つは、学期中増えた部分を適切に、休み期間中、あるいはどこか別のところに休日を増やすなどして、減らすということができるかどうか。たまたま自分の勤務先が、学校の休み期間になると、各種の研修がこれでもかというくらい行われるところなので、最近休み期間中でも忙しいということはわかっておりますので、休み期間中の所定労働時間をどこまで減らしていけるのかということも、もう1つポイントかなと。

 それとの関係では、むしろこういう制度があるということは、例えば住民に向けてこうなっているんだということを説得的にアピールしていくポイントにはなり得るのかとは思います。

○ ありがとうございました。お二人の発言で、大分このテーマについては問題整理ができたかなというふうに思いますけれども、ほかにどうですか。

○ この1年単位の変形労働時間制が一番機能したのは、完全学校週5日制になる前の移行期間の、月の2回の土曜日が休みになった、あのときに、休日となった休みに勤務した場合の割り振り先をどうするかというときに、一番これが制度的に各都道府県教育委員会等で機能したと思うんですね。

 教員の時間外勤務を考えたときには、月曜日から金曜日までの平常の勤務の中での時間外を割り振るということはなかなか難しいんだと思いますが、先ほど私が申し上げたように休日出勤、例えば部活動等は圧倒的に土日に時間外で勤務する場合が多いわけですので、そこのところをこの変形労働時間制をうまく使うことによって夏季休業中とか冬期とかへ割り振るということができれば、今でもできる制度になっていると思うんですけど、それが基本的に生かされれば、1つの方策だろうと思います。

 ただ、そうはいっても、学校といっても小学校の場合、中学校の場合、高等学校の場合、あるいは特別支援学校の場合と全然勤務の様態も違いますし、それから、それぞれの学校でも大規模校と小規模校では教員の勤務も違いますし、都市部の学校と山間僻地のようなところも違うので、やっぱりこれはあくまでも個別対応で変形労働時間制というものを生かす方向で検討することは意義があると私は思います。

○ ありがとうございました。

○ どうもすいません、たびたび発言させていただいて。おそらく夏休みに休むというのは本来の学校の教師のあり方だったんですけど、だんだん地域住民の目が厳しくなってくると、本来8時間働いているはずにもかかわらず夏休みにぶらぶら遊んでいるのはけしからんというような声があったりすると、仕事を入れざるを得ないというような形になるのかもしれないんです。そういう意味では労使協定でやるのは非常に難しいのではないかと。一たん自治体レベルの政治の意思を確認する必要があるので、やはり条例主義というのが大原則になるんじゃないかなという印象を持っています。

 そのときに一番問題になるのは、市町村条例でできるかどうかというのについてはどうなのか。一般の地方公務員の場合は、任命権者といいますか、使用者側と、それから使用者に対してオーソライズを与える議会との関係は一致するんですが、県費負担教職員、県立高校はともかくとして、市町村立の小中学校の場合には、そこら辺を都道府県議会条例でやらなければならないのではないのか。

 ただ、個別対応をできるだけするために、おそらく市町村条例でもやらないと、市町村条例でも粗過ぎるんではないかというくらいでありますから、そこら辺の手当てがないと、実際上かなり不都合なことになるんじゃないかなという印象を持っているんです。その場合、任命権者とずれた範囲を市町村条例で認めていくことが成り立つのかどうなのかというのは、いかがなものなのかなという印象を持ちました。

○ それはちょっと検討すべき課題だと思いますけれども、はい。

○ 県費負担教職員の勤務条件というのは都道府県条例で定めることになっていますので、むしろ県で統一的に無理のない範囲で決めたほうがいいと思います。

○ だから服務監督は市町村でね。

○ そう。

○ 給与条例等は都道府県ですけれども、服務監督の時間等は市町村教育委員会が担っているんで、その辺は。

○ それもちょっと、時間外勤務手当にかかわる重要な論点の1つだと思いますけれども、ほかにどうでしょうか。時間もほぼないんですけれども、全体を通じて、今日3つやりましたけれども、部活、持ち帰り、変形労働、この全体を通じて、何かまだ言い残していた点がありましたら、一、二、ご意見を伺っても構いませんけども。

○ 変形労働時間について少しお聞かせいただきたいというところです。参考資料5の中で、年間平均月34時間、小・中学校の教諭は残業、超過勤務している。夏季休業のときにでも月26分という結果が出ておりますが、これをもとにすると、変形労働時間というのは夏季休業を少なくするというようなところには行かないのかなという疑問があるのですけれども、そこのところは解決できる、どこかの資料があるのでしょうか。

 ということが1点と、全般を通してですけれども、学校を運営するための標準的な時間というものが何時間必要なのかという大きなところが抜けているような気がします。そこがしっかりあると、どれだけの組織が必要で、どれだけの教員が必要で、どれだけの業務ができるというようなことができてくるのかなと思っていて、持ち帰り時間の論議もそこから出てくるのかな、残業時間もそこから出てくるのかなというふうな思いがしております。

 資料がございましたら、お示しいただければありがたいなと思います。

○ 事務局のほう、何かございますか。今の委員の1番目の質問については、これはもう基本的には変形労働時間を導入する場合には、やっぱり夏休み期間中の勤務時間を減らすというような努力も含めた取り組みが必要だと思うんですけれども。

○ どこまでを議論するかということだと思いますけどね。

○ ええ。何かございますか、事務局のほうで。

 2の点については、これは前回の議論でも、業務の標準時間は整理する必要があるという意見は、かなりの委員から出ていますので。

 何かございますか。

○ 今の委員のご疑問は、夏季休業期間中の勤務時間を見ても、やはり時間外勤務が存在するのであるから、そこから勤務時間を外して夏季休業期間中に持ってくることはできないのではないかというご疑問で……。

○ この情勢、実態から見ると、そういうふうに考えるのが普通なのではないかなということです。

○ 確かにこれだけ見るとそういう印象があるかもしれませんけど、ただ、8時間の勤務時間は割り振られていますから、勤務の密度がどうかはわかりませんけれども8時間はいるわけです。ですから、この統計をとったときに8時間より少なくなることはあり得ないわけであります。これは例えば勤務していない日も含めて、年次有給休暇をとっているような日も含めて、平均して何時間仕事しているかというデータにすれば、場合によっては8時間よりも下回るということもあり得ると思いますけれども、これはいずれにしても勤務している日をとっておりますから、8時間は当然いなければいけない、8時間より少なくなるということはあり得ないんです。

○ あり得ないですね。

○ よろしいですか。

○ はい、どうぞ。

○ 多分これは文科省の方は答えにくいことではないかと思うんですけども。普通に読めば、やはり勤務時間が公式には8時間ある以上は8時間働いていると答えざるを得ないということで、この調査の精度自体の一種のバイアスです。要は公式な調査である以上やむを得ないのではないかと。

 しかし、本音のレベルをいえば、きっと長期の休み中は減らせるのではないかという前提で議論が進んでいる。本来の本音こそが正しいのであって、それを政治的にオーソライズするのが、ある意味で危険な提案かもしれないけれども、1つの筋であるということなんです。

 ただ、変形労働制をまさにそういうふうに訴えかけると、この勤務実態調査の精度自体に対して、財務省、あるいは総務省から批判された場合、この総勤務時間がほんとうに必要なのかというふうに言われたときに、困ることもある。この調査をもとに変形労働が可能と言う場合には、逆にいうとやぶへびになる可能性があるという印象を持っていて、そこで非常に難しい。そういう意味ではなかなか、事務当局としては現状ではこの勤務時間は絶対必要だと、しかし今後のリストラによって減らし得る、とでも言わないとならないのではないかと。

○ ただ、それは必ずしもそうじゃなくて、民間のこの議論というのは、要するに48時間から44、40と移行する過程で、仕事量は減らないけれども時間は減らさなきゃいけないというときに、やっぱり生産性を上げるということですよね。そうすると、それは仕事の繁閑があるにもかかわらず、所定労働時間があることについて、もう少し密度の濃い仕事をしましょうというのが前提となる制度ですので、今こういうのが出ていたから、それではこれを提案するとということは、それは必ずしも、要するに密度の濃淡というのは必ず仕事にはあるわけですから、そこをコンデンスすれば全体の時間が減らせるんだというのが、もともと変形労働時間制の思想ですから、そこはこの統計を前提にしても十分議論できると思います。

○ うまいまとめ方をしていただいて助かりました。ありがとうございました。

 最後でよろしいですか。時間をオーバーいたしましたので。じゃ、どうぞ。

○ 現場の実態から申し上げますと、今は自宅研修が認められませんから、どうせ学校に出てこないといけないんで、じゃ、体育祭の準備を夏休みからやろうかとか、やらなきゃいけないんですけど、夏休みにやらなくてもいいことも入ってきているわけです。

○ 仕事というのはそういうものですよね。

○ 休みを増やせると思います。

○ 今日はほんとうにありがとうございました。各テーマ30分もとれない時間の中で、かなり濃密な意見交換ができたのかなと思っています。今まで以上に、具体例のところではかなり論点整理ができたと思っています。ありがとうございました。

 じゃ、時間も過ぎていますので、今後のスケジュールを事務局のほうからお願いいたします。

○ 次回以降につきましては、また改めてご連絡させていただければと思っております。よろしくお願いします。

○ じゃ、ほんとうに今日はありがとうございました。これで終わります。

 

── 了 ──

 

お問合せ先

初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム

(初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム)