学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成21年3月16日(月曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.議題

  1. 教職調整額の見直しについて
  2. その他

4.出席者

委員

小川主査、天笠副主査、石塚委員、植田委員、金井利之委員、金井洋子委員、川田委員、小林委員、島田委員、曽我委員、角田委員、渡久山委員、根本委員、服部委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、前川審議官、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官

5.議事録

○ では、定刻になりましたので、ただいまから、第8回教職調整額見直し等に関する作業部会を開催いたします。お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございました。

 まず、今日の配付資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。

○ 失礼いたします。配付資料でございますが、青い封筒の中には、全部で4種類の資料を入れさせていただいてございます。まず1つ目でございますが、本日、第8回目の議事次第、1枚紙がございます。

 続きまして、資料の1でございます。「昭和46年給特法制定の背景及び制定までの経緯について」という、裏表の1枚紙の資料でございます。

 その後、資料の2でございます。ホチキスどめで厚くなっておりますけれども、タイトルが「時間外勤務手当化に係る各論点・課題とその考え方・解決方策について(案)」というものでございます。こちらのほうが、裏表、両面刷りで2枚ございまして、その後に、資料2全体の中で引き続きまして、3枚目、それから4枚目の2枚が、やはり両面刷りでございますが、前回、第7回作業部会で配付をさせていただいた資料2でございます。その後、残り2枚でございますが、(参考)第3回作業部会配付資料ということで、石塚委員よりご配付をいただいております資料が両面刷りで2枚、計6枚ということになってございます。

 その後、資料3ということで、「今後の開催予定」の1枚紙でございます。

 あわせまして、それとは別に、本日付でございますが、本日ご欠席でございますけれども、鹿児島県の原田委員より、学校教職員の在り方及び教職調整額見直し等に関する作業部会 小川主査殿ということで、教職調整額の見直しについてという意見書が、裏表1枚紙で提出されておりますので、ごらんいただければと思います。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。資料の不足がありましたら、事務局のほうにお申し出いただければと思います。

 では、今日も前回に引き続いて、教職調整額の見直しについて議論していきたいと思います。

 最初に、前回の作業部会の際に、教職調整額の創設当時の状況とか、議論等々について、きちっと押さえておく必要があるんじゃないかというふうな、委員の方からのご指摘がありましたので、最初にその点について、当時の状況を事務局のほうから説明いただいて、共通の認識を持っていくような作業をしてみたいなと思っています。まず、その説明について、よろしくお願いいたします。

○ それでは失礼をいたします。資料1の1枚紙をごらんください。

 前回第7回の際に、教職調整額の制度の考え方、理念とかを資料1ということでお示しをさせていただきましたが、それとあわせまして、こちらもごらんいただきますと、その当時どういう状況であったのかということが、より理解が深まるであろうということでご紹介をさせていただきます。

 まず、表面の柱書きで昭和46年給特法制定の背景という部分がございますけれども、こちらの部分、(1)の教員の給与についてという部分と、同じページの中ほどでございますが、(2)超勤訴訟という2つの部分がございます。

 最初の教員の給与の部分でございますが、1つ目の丸でございます。昭和23年の公務員の給与制度改革によりまして、1週間の拘束時間の長短に応じた給与を支給するということになりましたけれども、教員の給与については、その勤務の特殊性から1週48時間以上勤務するものとして、一般の公務員よりも1割程度高い俸給が支給されることとなったことにあわせまして、それとともに、教員に対しては超過勤務を支給しないこととされまして、文部省として超過勤務を命じないように指導してきたという部分がございます。

 以下の四角の部分は、それをまさに示します、昭和24年の文部事務次官通達というものの抜粋でございますが、超過勤務について(1)がございます。「勤務の態様が区々で学校外で勤務する場合等は学校の長が監督することは実際上困難であるので原則として超過勤務は命じないこと」ということで、こういう指導がなされたということでございます。

 次に、2つ目の白丸でございますが、「しかしながら」ということで、9年後、昭和32年になりまして、等級別の給与体系に移ると。それ以後、この等級別俸給表が毎年改訂をされて、あわせて俸給表の構成も種々改正をされる過程の中で、従前の、それまでの教員給与の有利性が必ずしも明確ではなくなってきたということがあって、人材確保等の観点から、教員給与について優遇の改善が求められていたという部分が、まず1つございます。

 それから、それにあわせまして(2)の超勤訴訟の部分でございますけれども、教員の超過勤務については、(1)の教員の給与というところで申し上げましたとおり、原則として超勤を命じないという指導方針がとられてきたということは経緯としてあるわけでございますが、こういった指導にもかかわらず、実態として、なお教員が時間外にわたって仕事を行うということが認められるということが1つ。また、その一方で教員の給与制度は、その後幾多の変遷を経るということになって、教員にかかる時間外勤務と、それに対する給与上の措置についての理解が分かれたと。さらに言えば、教員の働き方に関する考え方について対立をするような状況もあったわけでございますが、その結果として、超勤の支給を求める、いわゆる超勤訴訟というものが、昭和43年前後ということで、下に16ほど挙げてございますけれども、時期を同じくして、全国各地で一斉に提起をされたという部分が背景の2つ目。2つ目の側面としてあるわけでございます。

 2ページ目、裏面を見ていただきますと、こういった全国各地で提起をされた訴訟の判決におきましては、教員の超過勤務の観念を認めるということは、労働の性質として相入れないというものではなくて、超過勤務に対しては、やはり超過勤務を支給すべきというふうにしているものがございました。参考として、次の四角の中に、丸1番と丸2番ということで、同じく昭和47年当時の最高裁判決を引かせていただいている部分が2つございます。1つ目の請求事件のところでは、これは職員会議に出席をしたというものの扱いについて見解が分かれたわけですが、職員会議に出席することが教職員の職務の範囲に属するものであり、その後中略ですけれども、被上告人らに対して事実上の拘束力を持つものであるとする原審の判断は、正当として首肯し得るところである。してみると、本件時間外勤務に対しては、時間外勤務手当の支給を拒むことができないとした原審の判断は、結局正当であるということで、もともとの判決を認めているという部分で、時間外手当を出すべきだということになったわけでございます。

 また、同じく丸2番の時間外手当請求事件におきましても、ここの場面では、この事件におきます各学校行事、あるいは職員会議等に参加をすることが、被上告人ら、教職員の職務の範囲に属するものであり、また、被上告人らに対する各所属学校長の本件時間外勤務命令の拘束力につき、右命令がされた当時客観的に法規に反して明白に無効なものであるとまではいいえない以上、被上告人らは上司の職務上の命令としてこれに服従せざるを得ないような立場に置かれていたものと解するのが当然であるとした原判決の認定判断というものは、正当として首肯することができるということで、同じような判決が下っているということでございます。

 そういった、昭和46年に給特法がつくられたときの給与のあり方、それから超勤のあり方という2つの側面とともに、昭和46年の給特法の制定に至るまでの経緯というところでございますが、今言ったような2つの超勤問題、それから給与問題といったような問題を踏まえまして、当時、人事院が教員の超過勤務手当の問題について指摘をし、また、これをきっかけとして、文部大臣と人事院総裁との間で会談が行われて、「教員の勤務の実態を明確にする必要があり、両者協力して、調査、検討する必要がある」という趣旨の確認が行われて、昭和41年度の教職員の勤務実態の調査が行われたというものがございます。

 この調査結果に基づきまして、超過勤務手当にかえて、勤務時間の外を評価した教職特別手当、教職調整額の1個前の状態ですが、これを支給するということで、昭和43年に、この当時は給特法ではなくて、いわゆる教特法と言われている、「教育公務員特例法の一部を改正する法律案」というものを国会に提出をいたしましたけれども、残念ながら廃案になってしまいました。

 その後、3年後、昭和46年に至り、同年2月の人事院の意見の申し出というものを受けまして、文部省として、教員の勤務を、勤務時間内外を区別せずに包括的に再評価する教職調整額を支給し、超過勤務手当制度を適用しないこととする、いわゆる給特法。「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法案」を作成し、国会に提出いたしました。

 そして同年、昭和46年5月にこの法案が国会で成立をいたしまして、多年の懸案でありました、また、学校の管理・運営上の大きな問題であった超勤問題への解決が図られるということとともに、当時求められていた給与制度の抜本的な改善に向けた第一歩が踏み出されることになったということで、超勤問題と給与問題に対する1つの答えを出したということが、ここの部分でございます。

 なお、教員給与の一層の改善について、その後の昭和46年9月に、中央教育審議会答申の「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」の中で提言がなされて、昭和49年には、いわゆる人確法と言われておりますが、「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」というものが制定をされて、教員給与の改善の実現につながっていったという経緯があるという部分でございます。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。では、今の説明についてご質問とかご意見があれば、ご自由に出してください。

 特にございませんか。よろしいですか。では、審議の中で、これに関するご質問とかご意見があれば、絡めてお話しいただければと思います。

 次に、資料2に基づいて、これから議論していきたいと思いますけれども、本日は、教職調整額の見直しにかかわって、その論点とか、さまざまな課題のうち、主に総論的なものについて議論していきたいと思っています。

 具体的には、この資料2にあるように、教員の時間外における勤務時間管理についてということで、意見交換をさせていただければと思います。おそらく、今日の議論にも関係するとは思うんですけれども、例えば部活動とか、持ち帰りの時間とか、変形労働時間制等々の個別具体的な問題については、今日の議論を踏まえて、次回の作業部会で時間をとって意見交換をさせていただければと思います。その辺は、ご確認をよろしくお願いいたします。

 では、資料2について、事務局のほうから、よろしくお願いいたします。

○ それでは、資料2の最初の2枚、4ページ分をごらんいただきたいと思います。資料2の冒頭で、まさにこの時間外勤務手当化にかかる論点・課題とその考え方・解決方法について(案)ということでお示しをさせていただいておりますが、本論としては、裏面の2ページ目以降になりますけれども、その前提として、この1ページ目のローマ数字1でありますけれども、今後の学校のあり方等を踏まえた教員の勤務のあり方等の整理ということで、前回お示しをさせていただいた、第7回作業部会の配付資料2から抜粋をした3つの観点というものを整理させていただいております。前回ご議論いただきました3つの内容、まず1つは職務内容、それから説明責任、教員の勤務時間の管理のあり方ということで3点ございましたけれども、1点目の職務内容のところは、今後の学校のあり方を踏まえた教員の勤務のあり方として、学校の業務遂行は、各教員の自発性、創造性に負うところが大きいが、現在の学校が抱える課題に適切に対応するためには、各教員が組織の一員としてそれぞれの役割を担い、専門性を発揮し、学校は教員以外の職員も含めた全体として組織的、計画的に運営される必要があるというのが、まず1点。

 それから2つ目として、説明責任ですが、地域住民や保護者の信頼を確保することの重要性が高まっており、管理職は適切に部下職員の業務の状況を管理し、教職員の勤務の状況についても具体的に説明ができるようにしておくことが必要であり、その具体的な方策について検討を進める必要があるというのが2点目。

 それから3点目として、教員の勤務時間管理のあり方ですけれども、組織的、計画的な学校運営を行うことの必要性に加えて、教員が健康的な生活を送れるようにするという観点からも、学校が組織として適切な勤務時間の管理を行うことが必要であり、その具体的な方策について検討する必要があるということでご議論いただきました。

 そういった3つの部分を踏まえまして、裏面の2ページ目になりますけれども、2ページ目、3ページ目、4ページ目でございます。ローマ数字の2番ですが、教員の時間外における勤務時間管理にかかる課題・論点ということで、その下から、1ポツ、2ポツと下っていきますけれども、全部で4つの論点がございます。

 順に申し上げますが、まず1ポツ目として、組織的、計画的な学校運営の中で、教員の自発性や創造性に配慮することを考慮すると。そういった場合に、丸1番、丸2番がありますけれども、管理職が教員に対して時間外勤務を命令・承認する段階と、それから2つ目として、教員の時間外勤務が終了した後に、管理職が実際の時間数や勤務内容を把握する段階。その2つの段階において、どのような配慮や工夫が考えられるかということが、まず1つございます。

 これに関連して、その次の四角のところですけれども、これまでの主なご意見というところの中では、例えば勤務実態にあわせて超過勤務手当を出すということであれば、きちっとした時間管理をしていくことが必要である。玉川学園ではタイムカードでしっかり管理をしている。それがわかれば、この時間は命令によるものなのか、そうでないのかということがわかるというご意見がございました。

 また、別の意見として、企業でも細かい労働時間管理をしろと言っているのではないと。ただ、安全配慮義務があるというものは学校でも同じで、把握の仕方というのはさまざまなパターンがあるというご意見もございました。他方で、厳格な時間管理をすると、現場は、ぎすぎすするのではないかというふうに考えるというご意見もございました。それが1ポツ目でございます。

 それから2つ目、管理職による勤務時間管理の負担の部分でございます。これを抑制するためには、1ポツで申し上げた2つの段階がございますけれども、それぞれ、その段階においてどのような方策が必要かという部分の論点が2つ目でございます。

 これに関連をいたしましての、これまでの主なご意見でございますが、管理職は自分の裁量で勤務をするということだけれども、管理職側の勤務が長くなることがある。先生方の勤務時間を短くするために、管理職が長時間労働になるのはよくないので、管理職のありようを課題として加える必要があるというご指摘が1つ。

 また、勤務時間管理が困難にならないように具体的な方策を考えていくべきである。教員の勤務時間管理の具体的な方策について、一歩でも二歩でも前進するように議論していただければいいと思うというご意見が2つ目。

 3つ目として、時間管理をするために負担が増えたということでは本末転倒だと考えるので、負担を少なくするための工夫は必要であるというご指摘が3点目でございます。

 あわせまして、4点目でございますが、組織的な学校運営をやっていくという方策について、校長のリーダーシップということだけで終わらせずに、具体的にできるようにするための手立てというものを考えなければいけないというご指摘。

 また、校長のリーダーシップというお話があったけれども、市町村を含めて考えていかないとうまくいかないのではないかというご指摘もございました。

 それから次のページ、3点目の論点でございます。授業準備とか部活動といったようなものについて、その処理に必要な時間数を判断しにくいという意見がある中で、授業準備などについて、適切に時間管理をするために、必要な方策としてどのようなものが考えられるのかという部分が3つ目の論点でございます。

 こちらの部分で、今までご指摘いただいているものは、かなり多岐にわたってご意見がございます。冒頭から申し上げますと、玉川学園での運用においては、時間外勤務の教員からの申請時間の妥当性については、詳細な取り決めはしていない。お互いの信頼関係で話し合っているというご意見がございました。

 また、授業準備の方法について、その前提として、各学校としてどういう目標を定めて、そのためにどういう授業準備をしていく必要があるのか、組織として、個々の教員にどういう授業準備をしてもらうのかということを、オン・ザ・ジョブ・トレーニングとしてやってくべきではないかというご指摘もございました。

 それからまた別のご意見として、教育という活動を考えた場合に、際限がない面があるということだけれども、学校として、組織的に中・長期的にどう運営していくのかということを考えた場合に、組織としてその方針、あるいはやり方というものを共有しなければいけないのではないか。例えば、各個人の裁量にゆだねられている業務の授業準備などについて、授業の準備にはあまり熱心ではないけれども、教育相談では熱心に研鑚をするという人もいる。本来は、教務主任などのリーダー的な存在の人が、各人の力量、あるいは学校の運営方針を勘案して、各教員にきちっとやってほしいことを示す必要があるというご意見もございました。

 その次でございますが、何が行うべき仕事かを区分できないことがあるといったようなこと、あるいは頑張っている教員を褒めていくというのもわかるけれども、教員が自分の仕事なのかどうなのかということを区分できないことが問題なのではないかと。例えば、校内研修の中には自己満足のようなものもあると感じる。そうならないような業務管理が必要であろうというご指摘がございました。

 その次でございます。教員の仕事というものについて、見えるようにはなっていない、可視化されていないというご指摘でございます。大体の標準時間という考え方を、組織として持っているのかということは、非常に必要なことだと感じたという感想でございます。

 その次でございますが、学校の組織目標は年度当初に示されると。この業務について、どのぐらい時間がかかるのかということを評価シートに記入して、それから見込み時間でありますので、実際のずれについては、年3回用意されている面談の中で調整していくと。今でも管理職による勤務時間管理はできているのではないかと思う。現場でも、それほど負担がかからずに実施することができるのではないかというご指摘でございます。

 その次は、ある程度のものはある程度の時間でやるという意識を持ってもらわないと、作業量の把握もできないし、分業もできない。先生方の意識改革をしてもらわなければいけないというご指摘でございます。

 その次は、教員がやっている中身について見ますと、勤務と見られるものもあれば、自己研鑽と見られるものもあり、そこを区別するのは難しいのではないかというご指摘でございます。また、それに関連いたしますけれども、次のご意見は、学校というものについて、時間で動いているというので、時間の意識がないわけではないけれども、時間ではかれない部分がたくさんあると思うというご意見でございます。

 最後のご意見は、また別のご意見でございますが、教員の仕事は、大きく言うと教務と生徒指導という2つに分かれる。教務の部分については計算ができるけれども、生徒指導の部分というのは、24時間対応で予測できない業務なので、心身ともに疲れる。教員は計算ができないものを抱えているということを踏まえていただきたいというご指摘でございます。

 そして、4番目の論点として、こうした時間外勤務を抑制させようとして、必要な業務が行えなくなって、教育の質が低下をするということがあるといけませんので、そういったことがないようにするためにはどのような方策が必要かということの中で、これまでのご意見の中では、教員の勤務が、勤務時間で終わらない現状にあるというご指摘。また、先生方の労働時間が10時間になる、これは勤務実態調査の平均値を加えたものということだと思いますが、というのは、子供が朝から夕方までいれば、先生方もいることになるので、当然の結果である。そのために、春休みや夏休みの負担を軽減するためにどうすればいいのかを考えていくべきといったようなご指摘がございました。

 そういった、4つの論点のところでご議論いただければと思ってございます。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。

 もう一つ報告をお願いしたいんですが、勤務の時間管理の具体的な事例ということで、玉川学園のほうから、少し。これ、以前の作業部会でもご報告いただいたんですけれども、今日、時間管理のあり方を直接のテーマとしますので、もう一度記憶を呼び起こすというか、そういうふうなことを含めて、もう一度、玉川学園での勤務時間の実情というのを、資料に基づいてご説明いただいて、それを踏まえて、もう一度議論に入っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○ 資料2の一番最後のページになります。超過勤務の命令方法、また、超過勤務命令簿というページをごらんいただきまして、少し、なぞりをさせていただきます。

 私ども玉川学園では超過勤務の時間管理をしているわけですけれども、ここにもありますように、命令方法もしくは命令簿というふうになってはおりますが、実質は、それぞれの教員が申請をして、それを届け出るという形になっております。したがいまして、管理職が、だれに何をしなさいということを逐一把握して、指示をしているということではありません。私のほうでは、それぞれの教員が、それぞれの日に必要だと思われる超過勤務の内容を提出してもらって、それについて捺印をしながら確認を進めているということになります。もちろん、教員1人ずつの意欲、子供たちにかかわる作業、また、モチベーションが下がらないようにということはもちろんでございますが、中には、具体的には昨日起きたんですけれども、ある教員が、どうしても9時まで残業しないと終わらない学年末の仕事がありました。ところが学年主任は、その前に1時間の会議の予定を入れると。その学年主任は、会議の後に、その教員がさらに自分の仕事があるということを把握していないままに会議を進行していました。

 そこで私のほうで把握した、こういう時間の中で、今日、残業を予定している者がいるので、会議は速やかに進行して要点のみ進めてほしいということを伝えて、学年主任が予定していた時間をできるだけ無駄なく進めるように指示をしました。そういうふうなことで、申請に基づいて、だれが何を予定している。そして、別な会議等の組み合わせなどがどう動いているかということの注意ができました。

 同じように、玉川学園では、子供にかかわることについては突発の超過勤務もやむを得ないということで、確認をとってやっていますけれども、こういう事例がありました。

 それは、非常勤の教員から、7時に電話連絡が急に入ってきて、そこでのやりとり、もちろん子供のことなんですけれども、そこでのやりとりが30分を超えて行われたと。実は私のほうで、非常勤の教員に対して意識を高めておくことが少なかったようで、実はその30分を、教員が超過勤務として申請を出してきたと。つまり、5時以降の勤務について、やはり学校全体がもうちょっと意識をしないと、前回出ましたコスト意識の問題ですけれども、ちょっとお願いしますとか、ちょっと手伝ってとか、これ、どうなっていますかというようなことが、どんどん超勤になっていってしまったりする。それが私のほうで把握できましたので、すぐさま解決に向けて、両方の教員を呼んで、これはどういう内容でしたか、これはどうして起きましたかという指導ができました。もちろん必要なことであれば、そこで認めていくわけですけれども、そのような、教員の仕事を抑制するという立場ではなくて、コスト意識であったり、または、人がいいのか、断り切れずに手伝ったために、時間延長してしまうというようなことがないようにチェックしています。

 話はもとに戻りますけれども、基本的に命令をしているわけではなくて、申請に関して許可をしている。申請に疑問や不適当なものがあれば、それぞれ指導をして、計画的に仕事を進めるようにという手続で進めています。

 管理職の作業時間についても話題が出ましたので、確認しておきますと、毎日、全員が残っているわけではありませんので、超過勤務の申請が出てくる教員、並びに翌日出してもいいですよという、30分、1時間のものについて作業をしますと、大体10分から20分の間で、翌日の確認作業が済んでいきます。ほとんどの場合は必要な作業ですので、それについて申請を許可していく、確認していくということで、中に、まれに延長している。もしくは、ちょっとこれは働き方として無駄があるのではないですかということがまれにありますので、それについて指導をしています。

 超過勤務の総合時間の計算ですとか、または三六協定に基づく振替休日の割り当てとかは事務方にお願いをしていますので、管理職がそのことで時間をとることはありません。ということで、通常の企業さんでやっていらっしゃるような、申請に基づいて、やってくださいという許可を与えていくような形になっていますので、当初、私も命令だとか管理だとかいう言葉に随分違和感を、教育の世界では違和感を持ったんですけれども、運用を始めてみますと、さほど無理はないというふうに感じております。

 以下、業務内容ですとか、そこにあるのが前回、第3回のときに報告した内容ですので、ごらんいただければと思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 では、先ほど事務局のほうからご説明のあった資料2に基づいて、これから審議していきたいのですが、大きく分けて柱が4つあります。この4つとも非常に密接な関係がありますので、1から4、全部一緒にして、すべてにわたって意見交換をするということも選択肢の1つなのですが、ただ、そうなると論点が分散する可能性もありますので、関係することは関係することという認識のもとで、議論の進め方とすると、1と2は、やはりこれは、ある意味では時間管理の、テクニカルというとちょっと語弊があるのですけれども、時間管理のやり方にかかわることですので、1と2を一緒にして、少し意見交換をし、そしてあと3と4を一くくりにして議論するというふうにさせていただきたいと思います。

 ただ、先ほど言いましたように、1から4はすべて密接に関係することですので、例えば1と2の議論をしながら、3の問題に触れざるを得ないこともありますので、それは触れていただいても全く構いませんけれども、意識とすれば、1と2、3と4という柱の中で、1と2を前半四、五十分ぐらい。それと3、4、基本的には3が中心になるかと思いますけれども、3、4を四、五十分というような時間の割り振りで、これから議論をさせていただければいいと思います。何度も言いますように、そういうふうな時間の割り振りですけれども、当然、全体的に関係しますので、ほかの柱にも触れざるを得ないときは、どうぞ遠慮されないで、ご意見をいただいても構いません。一応、そういう進め方で、これから意見交換をさせていただきます。

 では、まず1と2から意見をいただきたいと思いますけれども、ご自由にどうぞ。

○ 業務の整理を含めて、少しお話をさせていただけたらと思います。

 今、教員の方がやられている業務というのは、大きく2つに分かれると思っております。1つは授業です、これは児童・生徒に対するものという形になります。平成18年度の調査によりますと、大体4割から5割ぐらいは、この授業であったりとか授業の準備、もしくは成績書に時間をかけているわけです。より深く、より個人を意識して指導をしていくという中では、これからもさらに深くなるのかなと。つまり、時間的には多くなるのかなとは思っております。

 2つ目ですけれども、これは校務分掌。役割分担されている仕事というのがあると思います。これはより広く、どちらかというと新しい取り組みが出てくると、新しい分掌が出てくるという形になると思います。現行のまま、成り行き的に考えれば、おそらく今以上に長時間の労働になると考えられます。

 そういう中で、先ほど資料2の1ページ目に管理というものがありました。先ほどちょっとお話がありましたけれども、管理というのは、基本的には現状がきちっと見える。その中で計画であったりとか、実績の差異がわかって、どう改善をしていきますかと。要はPDCAのサイクルがきちっと回っていくということが、基本的に管理だと思うんです。現場に行きますと、管理は嫌ですよと。何か押しつけられたりという発想がありますけれども、基本的には今、企業の中においても、管理というのは、そういうことはまずないということがあると思います。

 この中で現状が見えていくためには、2ページ目に少しありましたけれども、1のところですか、企業の中でも、細かい労働時間管理をしろ云々とありますけれども、やはり、時間管理というのはきちっとしていく必要があると思います。これは、負担がないという形では、平成18年度にいろいろと調査をされていましたけれども、ああいうフォーマットをきちっと使っていけば、それほど負担感がなく、おそらく時間の管理というのはできるのではないかと思っております。

 さらに下のほうになりますけれども、管理職の時間の管理について、2番のところです。負担を抑制するという中では、おそらく標準時間というものは必要になってくるのではないかと思っております。先ほどお話ししました校務分掌については、多くの学校でも管理職の方というのは、大体かかわられていると思うんです。ところが4割から5割ぐらい時間を使っています授業なんかにつきましては、実は管理職の方というのはそれほどかかわっていないというのが現状だと思っております。そういう中で、標準時間というのがないと、市町村を含めてですけれども、まず、適正な労働時間というのがわからないのではないかなと、そのように思っております。そういうことをすることによって、管理職自身の負担軽減にもなりますし、おそらく、本人自身も仕事をやるときの目安という形のものになるのではないかと思います。授業の時間と、授業準備もしくは成績処理、つまり授業の前後ですね。かけている時間というのは、時期や人によっては同じ位時間をかけていることも考えられます。ですから、このまま成り行き的になりますと、おそらく授業以上に時間をとっていくということも想像されるわけです。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 ほかにどうでしょうか。

○ 先生方の、教員のあり方の中で、自発性や創造性に配慮することを考慮するというふうな形で、相当、先生方の思いどおりに、さまざまなことをやることが尊重されているわけです。

 先生方がさまざまなことを行うに当たって、どこまでを仕事として考えていいのか、つまり、先生方が創造性や自発性で行っていくことすべてを仕事とするなら、24時間仕事と。寝ている時間以外は全部仕事ですよと言ってしまえばそうなるんですが、では、一般社会の中で研究開発者が、24時間すべて、それは仕事ですよと言っているのではなくて、ある目的があって、その目的に達するところに対して、自分が1つの役割をするところの部分が1つの仕事であって、自己研鑽していくところは、仕事よりも自己啓発という、さまざまな部分になりますので、ここを、先生方が非常に分けにくいと。ここをどうするかという問題が非常に大事です。これができないと、やはり思いの中で、これを仕事だと思ってやっている人に、それは仕事じゃないよと言うと、何でそれだけの給料をくれないのかって、こうなってしまうと思うんです。

 ところが、自分が生徒に教える、これを最高のものにする。この授業時間こそほんとうに対価をきちんと決めてくれと。それ以外は、この授業時間の、すばらしい授業をやる先生にはいい対価が出るんだとか、そういうことであれば、ものすごく明解に、自己研修の部分と、仕事の内容の部分のめり張りというのがきちんとついてくるのですが、それが、どの教え方にしても同じ料金であれば、やる人とやらない人、非常に不平等に見えてくると。この辺はどうしても考えないといけない問題かなと思います。自発性と創造性に配慮するというけれども、どこまで配慮するのかというのを、ぜひご議論いただきたいと思います。

○ 今のも非常に重要な論点かと思います。

○ 今もありましたが、学校で教職員の業務、これは大きく分けたら、教育指導にかかわる業務というのがあると思うんです。それからもう一つは、やはり子供たちの生活指導にかかわる業務。もう一つは学校や学級の経営、運営にかかわる業務。主に僕は3つになると思うんです。

 ただ、日本の学校は、そのほかに、例えば緑化週間とか防災週間とかで何かポスターをかかされたり、作文を書かされたり、あれをほんとうにやるんです。そうすると、担任なんかを持っていると、自分の授業時間を使ってそれをさせるわけです。それを学校がすべきでないとか、すべきだというのはあると思いますけれども、こういうのがあると思うんです。ただ、今私が言ったものの中には、部活動というのはなかなか入れにくい業務なものですから、そういう意味で、今の職務内容の、ここに書かれている定義を見ますと、教育指導の中には非常に自発的、あるいは創造的なことがあると思うんですが、学校の運営や経営なんかだったら、これは逆に非常に組織的であったり計画的であったりして、教員一人一人の自発性、創造性というのが生きるというようなものはほとんどない。これはもちろん、それこそ管理職のリーダーシップで、学校の運営、経営をどうするかという部分があると思います。ですからここを、これから少し議論をして、もう少し細かくやっていったらいいんじゃないかと思います。

 それから、やはり私が考えるに、業務内容、今、勤務時間にかかわることなので、一番大事なことは、現在の教職員のやっている時間ですね、これがあまりにも多過ぎる。ですから他の外国と比べても、日本の教員が多いということが1つあるんです。そして今度の人事院勧告でも、もう少し全体的に労働時間を減らせということで来ていますけれども、どうも学校現場では減りそうもなくて、非常に超勤が常態化している。そのために精神疾患とか、あるいはもう少し格好よく言えば、ワーク・ライフ・バランスというのが全くできていない。そういう意味で、私はこれを、時間外勤務手当云々、あるいは学校での職員の時間管理の問題をやるときには、現状をどう改善するか、これを視点として、きちっと持っていなくちゃいけないだろうと思うのが1つです。

 もう一つは、先ほどの業務にもありましたけれども、今、玉川のところでも見せていただいたんですが、多岐にわたった業務内容があるわけです。その業務内容をもっと整理しないといけないだろうと思うんです。教員としてやらなくてもいい業務があるのか、ないのかということです。あるいはやるべき業務というのはあるんじゃないか。そうすると、例えばやるべき業務だったら、例えば授業でいいましたら、今、小学校で24、5時間ぐらいですか、中学校で20かもう少し、高等学校で15から18と。そうすると1週間の中で、必ずそれぐらいは授業時間として教員が持つわけです。それにプラスして、やはり教材研究とか、あるいは授業準備というものがあっていいと思うんです。ただ、この間の平成18年の文部科学省が調査されたものの中では、その時間はほとんどとられていないんです。ですから次に必要なのは、やはり授業準備のための時間、要するに教材研究の時間、あるいは授業の方法、これを研究する時間というのが、次に僕は大事な時間じゃないかと。そうすると、中学校を標準にして、授業が20時間であれば、それをどれぐらいに抑えるか。例えば10時間で抑えるか、あるいは1時間の授業に対して1時間の準備と見るか、あるいはもう少し短く見て、例えば週20時間の授業に対して、10時間の教材研究や授業準備の時間に充てるとか、そうなってくると、これで30時間ですから、あと10時間ですよね。あと10時間が、実を言うと、学校経営とか学級経営とか、あるいは子供たちの生活指導にかかってくるわけです。だからその部分を10時間と見るかどうかという問題なんです。しかし実際は、そういうように分かれているんですけれども、授業時間以外は、ほとんどはみ出して業務が行われていて、実態としては超勤が週40時間近くあるというのが現状ですので、やはり私はもう一度、これはきちっと業務を整理しながら見ていくことが1つだと思います。

 それから、それをするためにも、教員が何時間、何をやっているかという時間管理をきちっとしなければ、方向性は出てこないと思います。ですから、ここでも提起されていますように、管理職なら管理職が、あるいは教員一人一人が、ほんとうに自分の時間というものをきちっと管理して、意識して業務に携わるということをしていかないと、今のような場合でしたら、ほとんど改善ができていかないというのがあると思います。ですからそういうことを含めて見ますと、ここに書かれているのはもっともなんですが、もっと具体的な形で、今の超過勤務に要している教職員の業務の内容を、もう一度きちっと整理してみる。整理してみるためには、今のようなきちっとした時間管理を必要とすると。だから、週40時間をきちっと把握して、今、玉川からありましたように、プラス超勤時間、何を超勤として認めるか、あるいは何を超勤として、手当を出すかというのが次にあるんじゃないかと、ちょっと長くなりました。すいません。

○ ありがとうございました。

 3のほうの中身にもかかわっての議論がありますけれども、かかわってもいいんですけれども、できる限り1と2のところを中心に、少し時間をとってやりたいと思います。では、金井委員、どうぞ。

○ 自発性、創造性というのは非常に重要なテーマだとは思うんですけれども、大きく考えると、2つの方向があるのではないかなという印象を持ちました。

 1つは、教員の仕事は、給特法ができた当時と同じように自発性、創造性が必要であるというふうに言っていきますと、自発性、創造性にかかわる部分は、やはりなお、教職調整額的なるものを残さざるを得ない。ただ、それを切り分けていって、あまり自発性、創造性の要らない部分に対しては、まさに学校長の命令のもとで行うというような、時間外勤務手当になじむと、そういうふうに仕事を2つに切り分ける。制度的には、教職調整額と時間外勤務手当との併給制になる。本日、原田委員からも出されておりましたが、併給制という考え方もあるのかなと思いました。

 ただ、もう一つの方法は、すべてにおいて自発性、創造性は要るけれども、しかしそれを、いわば時間外勤務というものでも、自発性、創造性に支えられているというような構成をし直すことによって、すべて時間外勤務手当に切りかえる。教職調整額でない方法があるのではないかなと。大きく言うと、最初に、どちらの選択肢をとるのかということが問われているのではないかなという印象を持ちました。

 その上で、仮に時間外勤務手当に一元化するとなると、時間外勤務命令を出すことになる。命令を出すんだけれども、自発性、創造性のある命令というのは何なのか、これはある意味で語義矛盾になりかねないというところです。玉川学園さんのようなアイデアで、実質的には届出承認ということになろうかと思います。しかしその先で問題になってくるのは、届け出たものは、全部そのまま承認して時間外勤務手当を出すのかという話になると、これは当然、世間の納得を得られないということになろうかと思います。となるとここでも切り分けをしなければならない。届け出たもののうち、時間外勤務手当を出すに値する、いわば、組織としても命じるに値するものと、それから本人が届け出たのはいいけれども、組織としては、それはとても認めるわけにはいかないというものを切り分ける必要がある。

 そのときに、学校長や教育委員会が一方的に切り分けたのであれば、これはおよそ自発性、創造性とは関係のない、まさに単なる、ほんとうの、赤裸々な意味での管理になってしまうということになろうかと思うのです。そういうふうに考えてまいりますと、結局のところ、組織といいますか、自発性、創造性を前提とする教員と管理職、そして事務職員の方のチームとして学校を見るのであれば、やはり最初の段階で、「うちの学校が組織としてどういうものを時間外勤務として従事するに値するものと考えるか」というコンセンサスがないと、これは難しいのではないか。そのコンセンサスを、まさに教員の自発性、創造性、で作る。言うなれば個人としての自発性、創造性ではなくて、チームとしての自発性、創造性というものに組みかえることができないかなということが、1つ問われているのではないかと思います。

 簡単にいえば、学校でよく話し合って、管理職と教職員とがみんなが納得する形で、「これは長く働いたら超過勤務手当がつくけれども、これは幾ら長く働いても、それは自分でやるものとして時間外勤務手当はつかない」というふうなものを切り分けるコンセンサスがないと、実際問題、これを導入した場合、大混乱になるのは目に見えていると。「私は時間外勤務手当だ」と思っても、同僚のほかの人や校長が全くそう思わないといったときに、けんかをしているだけだと仕事にならないということで、納得する切り分けをできるかどうかというのが大いに問われているのではないかと思います。

 そのときに、公立学校で一番気になるのは、人事異動が3月末に行われて、ばたばたと編成をしなければならない。で、4月に直ちに新入生が入ってくるというときに、うちの学校は何をすべきなのか、あるいはどういうものに時間外を認めるのかというコンセンサスを十分得ないまま、そのまま本番に入らされてしまう。言うなれば、お店を開く前に、どの商品に幾らの値段をつけるのか決めていないうちにお客さんを入れてしまったということで、一体どうしたらいいのか不安ということになる可能性が非常に高いのではないか。ここは私立学校との非常に大きな違いではないかなと、そこを非常に心配します。そういう意味では、4月に始まる前、人事異動を起こす前といいますか、人事異動の内定があってから実際に働くまでの間に、ある程度のコンセンサスをつくれないとまずいのではないかと、そこの配慮ができないかなと思っています。

 それからもう一つは、もっと端的に言えば、時間外勤務手当はどう出せるのかというと、結局のところ、学校に枠配分されざるを得ないと思うんです。おたくの学校は何時間分つけていいよと、そこから先は、言葉は悪いですがサービス残業になってしまう。そうならないようにどうするのかというのを考えなければいけないんですが、最初に枠配分をとってこなければならない。学校長の最大の仕事は、おそらく枠配分をとってくることになると思うのですが、問題は、枠配分をとってきた校長が人事異動でいなくなったあげく、全然知らない学校長が来たらどうなるんだという、これまた、人事異動上の大変大きな問題がある。せっかくたくさんとってきたのに自分は異動してしまって、たくさんとってきたところに来る学校長はいいですけれども、少ないところに回されたら困ると思いますし、そういう意味で、人事異動といいますか、チーム編成の仕方を変えないとなかなか難しいのではないか。そうでない場合は、どこの学校に行っても同じようにつくようにせざるを得ない。しかしこれは現実に合わないかもしれない。学校にはいろいろ差異があって、困難校から、あるいは部活に力を入れる学校とか、いろいろ特色がある中で、どこの学校に行っても同じように時間外勤務手当がつくなどというのは、常識に合わないかもしれない。となると、学校の特質に応じて時間外勤務手当の枠配分を受け、かつ、チーム全体としてどのような仕事に、優先的に時間外勤務手当を割り振るのかというコンセンサスを持って、そこに赴任してチームを編成されないとならないという意味では、3月末から4月初めの体制づくりというのを、ぜひしていく必要があるのではないか。なるべくそれを学校として文書にする。こういうことは時間外勤務手当がちゃんとつく。しかしこっちのほうはあまりつかないと。それは、最終的には総枠の中で決めるしかないと思いますけれども、そういうコンセンサスを3月末につくる体制が必要なのではないかなという印象を持ちました。

 長くなりましたが、以上です。

○ ありがとうございました。

 非常におもしろい問題の整理の仕方をしていただきました。

○ お話を伺っている限りなんですが、今のコンセンサスというのは、具体的な提案として大変興味深い部分がございますけれども、ただ、現在の最高裁判所の基本的な考え方というのは、労働時間であるかどうかというのは、あくまでも客観的に決まるものだという定義がありますから、当事者が幾ら、これは労働時間ではないんだというふうに定義をしたところで、そうであるということには当然なり得るわけです。要するに、指揮命令下にあるかどうかということですから、学校内で具体的に作業をしていて、それをとめていない以上、それを労働時間制がないんだというのは、おそらく、極めて難しい問題を引き起こさざるを得ないんじゃないかということが、法律的な観点から申し上げざるを得ないというのがございます。

 それで、今までの議論の流れとはちょっと違うかもしれませんが、教員の時間外との関係での調整給という考え方は、ある意味、今考えると非常に合理的な考え方を持っているのではないかと私は思っておりまして、今、自発性、創造性ということがあって、それは結局、時間の長さということが必ずしも成果とか給与に反映しない。こういう仕組みをあえて教員はとったということです。

 実は今の労働基準法の労働時間の仕組みというのは、一番ベースになっているのは工場とか、あるいは店舗などの非常に定型的な業務で、賃金についても、すべて時間の長さによってその管理が可能だということに対応しているわけで、そうでないところについては、非常にいろいろな問題を引き起こしているというのが現行法制です。だからこそ、今、ホワイトカラーについて一体どうするのかというのは非常に難しい問題を含んでいるのですが、なお議論が続いているところで、その柱は、実は時間と賃金を、やはり切り離して考えるべきだというのが大方の一致しているところなんです。ただ、それをどうするのかというのは、具体的なところで非常に議論が分かれるということなんです。それはやはり、ホワイトカラーというのは非常に裁量性が高く、創造性の高い仕事をしているということがあるので、まさに教員の方について、今まで、いってみれば単純な時間の長さと給与等が結びつけていなかった制度を、時間の長さで給与まで反映させることにするのは、いろいろな、合理的な手立てを得るにせよ、実は、コストを含めて非常に難しい問題を引き起こさざるを得ないという、この問題を一体どうするのか。ホワイトカラーでいつも問題になるのは、要は、能率の悪い人間に時間外手当がつく、効率よくやったら時間外手当がつかない。これはどうなんだというのが常に議論になるわけで、この問題を教員の世界にも持ち込むというのが、果たして適切なのかということで疑問を感じます。

 要は、今まで議論になっていたような勤務時間の管理という点は、効率化とか、あるいは健康という観点から、適切な、つまり教員がよりよい教育を児童に提供するという観点から、それはそれで必要だろうと。ただ、それを時間外の手当というところに結びつけていくのは、やや距離があるのではないか。そこを踏まえないと議論が混乱するのではないか。運用でという議論が出てくるのですが、それはうまくいっている場合で、我々法律家は心配性なものですから、制度というのはうまくいかない場合も想定して考えざるを得ないわけで、果たしてそのときに、これは時間外になる、ならないという議論が通用するのかというと、今の最高裁の考え方からいったら、ちょっと難しいのではないだろうか。しかもまた、今、教員にとって時間給――つまり時間外手当が多くつくということが、この問題の解決になるのかというと、そうではないんじゃないだろうかと。今まで議論が出ていたように、標準作業時間が出て、教員の仕事の効率性とか、こういうのをはかって、無駄な時間を避ける。これは大いに進めていくべきですが、時間外手当をつけるということが、果たして無駄な時間を減らすというインセンティブに現実に働くんだろうかというと、これはどうかという感じがいたします。ただ、今の調整給の時間外部分というのが適切な額なのかということについては、これはいろいろご検討いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。

○ 私のほうからも、やはり同じように、1番のところの教員の自発性、創造性に配慮するということを考えた場合に、そもそも時間外勤務手当化というのが、それと整合的なのかというところは、根本的な問題が、議論すべき点があると思いますし、先ほどのご発言のように、少なくとも労働法的な観点からすると、賃金の面と、それから時間の長さを規制するという面は、ある程度分けて議論していくことは可能だし、適切かと思うんですが、ここでは、資料の2のタイトルが時間外勤務手当化にかかるということで、ある程度時間外勤務手当化を前提とした場合の状況を考えるということかなと思いますので、そういう前提で、少し考えてみたことをお話ししたいと思うわけです。

 前提としては、おそらく事前に承認して、あと、事後的にチェックするというようなことが1番のところでは想定されていますが、多分、業務の内容によっては、典型的には会議なんかで、事前に命令していれば、あと、どのぐらい時間がかかったのかということは、管理者が把握可能で、事後的なチェックというのはそんなに難しい問題ではないし、そこに教員の自発性とか創造性から来る特殊な要素を考える必要もそんなに多くないというものが、1つあるのではないのか。

 それから、ある程度自発性、創造性に頼る、配慮していくという方針であれば、そうすることが望ましい。授業準備とか、成績の処理とかで、ここの1番でいうと、事前にある程度命令承認をして、事後的にチェックするというやり方を想定しているもの。それから突発的に起きてしまうようなことで、事前の命令承認というのが不可能なら、事後的にこれだけやりましたということを管理していくしかない部分というのが、労働時間管理という観点からは分類できるであろうと。その中で、自発性、創造性に配慮するということを前提にすると、おそらく2番目、3番目については、ある程度事後的に、教員がこれだけやりましたということを尊重していく方向になるんだろうと思います。そこは、先ほど委員がおっしゃったことともかかわりますが、少なくとも自発性、創造性に配慮するという前提で考えていくとすると、事前に何時間というような命令があったとしても、ある程度そこに、そうはいっても裁量的に仕事を進めてもらうことを前提とした命令であって、そうである以上は、実際にこれだけかかりましたと言ったら、その部分は労働時間ということになるのではないか。そこのところは最後にお話をしようと思いますが、少し、標準的な作業時間みたいなものが、みんなのコンセンサスがとれる形であって、それを前提にして事前に命令が出された場合にどうかというあたりは、多少は考えてみる必要があるかもしれませんが、基本的には自発性、創造性に配慮したという形であれば、仮に事前に命令があったとしても、おそらく実際に、申告のあった時間は労働時間として扱っていくことになるのではないかということで、その上で長過ぎるとか、時間の使い方が適切ではないのではないかと思われるようなところを事後的に、個別にチェックしていくというのが労働時間管理のあり方、それが2番目の管理職の対応ということにもなろうかと思います。

 その上で、留意点ということで言うと、基本的には時間外勤務手当化ということで、労基法の制度を前提に考えていくということであれば、労基法一般に関して出ている、いわゆる四六通達と呼ばれているものがありまして、その中で自己申告制についてこうあるべきと言われているところが、ある程度参考になるのではないかと思います。そこでは、そもそも自己申告制というのは、例外的な労働時間管理の方法と位置づけられているわけですが、そこは自発性、創造性を重視すると、そういう方向に行かざるを得ないのかなというふうに考えるとしても、要するに正確な時間が申告される。これは過大と過少、両方問題があると思いますが、正確な時間が申告されるように……、逆に言うと不正確な申告を促すようなことはないように対応がとられているということと、あと、定期的に正しい時間、正確な申告がされているかどうかをチェックするような体制があること、その辺がポイントになるかと。その上で、さっき言いましたように、仮に時間外勤務手当化ということになると、標準的な労働時間、勤務時間というものを設定することで、どこまで事前のコントロールをしていくことが可能かというあたりが重要な問題になっていくのではないかと思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 今、各委員から、労働時間にかかわる制度デザインをどうするかということに関する、原則的で基本的な、いろいろな問題を整理していただいたと思います。

○ これまで各委員さんが言われたこと、私は2つに整理したいと思いますが、教員が行う活動というのは、自発性、創造性というふうに言われますが、これはあくまでも互いの信頼というような言葉で、信頼関係に基づくという、そういう前提で行われているということですが、反面、このことは、例えば時間管理とか、業務を能率的、効率的に行うという、そういう意識が薄れる傾向にあったということは事実だと思います。そういう意味で、最初に石塚委員さんのお話にあった超過勤務命令簿というようなものは、これらの、例えば時間管理とか、あるいは効率的、能率的に行うということについて、ある意味では自制するという意味で、必要なことであると考えます。それが第1点です。

 2つ目は、先ほどの委員さんの意見とも通ずると思いますが、本来、教員が学校で行う業務の内容について、全く教員個人の思惑、思いで行うものは、あったとしてもごくわずかだと思います。例えば教科指導というようなことについても、学校全体の教科に対する指導計画とか指導方針に基づいて行うものであって、例えばそれは教科主任とか、あるいはもう少し大きくいえば学年主任とか教務主任というような、そういう立場の人が掌握する組織の中で行う業務の一環だと考えられる。つまり、1人の教員が行う業務であっても、学校全体の目的や方針の中で行うという、そういう業務であるはずです。組織としての業務のどの部分を、いつ、だれが、どのように行っているか、あるいは行ったかということを掌握する、これは管理という言葉でもいいと思いますが、掌握するということは必要なことである。これまでもそのような、学校教育というのはそういう仕組みで行われてきたと思うんですが、そういうものについて、例えば記録をするとか、ある意味では何かで残していくという意識がなかったのではないか。例えば、そういうことについて意識改革を行えば、そんなに難しいことではないと考えるんです。すなわち、これまで学校という組織の中で行われてきた業務の内容を、広く明らかにするという、そういう、前向きにとらえていくことがここでの議論だと思います。

 以上、2つの点、私はこんなふうに整理してみました。

○ ありがとうございます。

○ まず、教員の職務のことなんですけれども、今、授業とか校務分掌とか、いろいろ出てきましたけれども、それ以外に生徒指導であるとか、行事、部活動、こういうものがさまざまあるわけですね。やはり、基本的な方針は学校として決めるわけですけれども、細かいところは、やはり教員の自主性だとか自発性、創造性というものを大事にしていかないと、やはり教育活動そのものが衰退していってしまうと思いますので、そういう意味で、やはりこの自発性、創造性というのは大事にしていかなきゃならないものであると思います。話がだんだん具体的になってきましたけれども、私、現場の立場で、この教職調整額と時間外勤務手当の関係を整理したいと思います。

 先ほど、給特法制定の経緯のお話がありましたけれども、そもそも、昭和46年当時というのは、調査結果で、月8時間の時間外勤務があるという、そういう前提でつくられたものですけれども、それに対して4%の教職調整額と、それから長期休業中の自宅研修も認められていたわけです。その後、時間外勤務というのはどんどん増加したわけですけれども、昭和49年に人確法ができて教員の給与が優遇された。この部分で、気持ちの上でおさまってきたという面はあると思います。

 ところが現在、平日だけで月34時間の時間外勤務があるということが明らかにされたわけですけれども、その一方で、自宅研修は平成14年の完全週休二日制の実施に伴ってなくなってしまいましたし、教員の給与の優遇制についても、行革推進法で一般行政職と同じにするという方針が出ていますので、当時とは全く状況が違っていると思います。したがって、このまま4%の教職調整額を維持することそのものがおかしいんじゃないかと思います。4%の教職調整額は既に破たんしていると私は思っています。したがって、これは教職調整額を一律に引き上げるか、あるいは時間外勤務手当を導入するかという選択肢しかないだろうと思います。

 ただ、この教職調整額と時間外勤務手当は、私は全く正反対の制度だと思います。教職調整額というのは一律に支給しますから、支給率を上げれば上げるほど矛盾が大きくなってきます。反対に時間外勤務手当というのは勤務実績に応じて支給するものですから、予算が十分あれば、これは一番合理性があると思いますけれども、予算が確保できなければ、予算が少なければ少ないほど、反対に矛盾が大きくなるという、全く正反対の制度だと思いますので、その辺、どこで真ん中の線を引くかというのはあると思いますが、毎日、1日1時間ぐらいの時間外勤務をやるのは普通ですから、そうすると、月20時間ぐらいが、ちょうど真ん中ぐらいかなと思うんですけれども、いずれにしても、これは相反する制度ですので、これはどっちがいいのかという話をしていかなければならないわけですけれども、ただ、勤務実態として34時間という数字が出ていますので、それを反映できるのは、細かい技術的な問題はともかくとして、理論上は時間外勤務手当なのかなと、そんなことを考えています。ただ、教職調整額というのは、すぐれた制度として今まで機能してきたと思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 もう、実質的に3とか4の議論にも入っていまして、1と2というのは少しテクニカルなテーマですけれども、もしも、そういうふうなことにかかわるご意見があれば、ちょっと出していただいて、時間的にも、当初の時間をオーバーしつつありますので、実質的には3と4のほうに入っていきたいと思います。教職調整額をどう評価するのかというご意見もありましたが、このまま行くと、話がいろいろなところに展開しそうなので、もう一度、資料2の柱に則して、議論していきたと思います。1と2にかかわる点について、特にご意見のある方、いらっしゃいますか。

 では、なければ、1と2も踏まえながら、3と4のほうに入っていくというか、実質的にはそういう議論に入っていますけれども、一応、3と4のほうに移動していきたいと思います。

○ 中学校現場に勤める者といたしましては、先ほど委員のお話の中にありました、時間と賃金を切り離すという考えに基づけば、例えば、時間については玉川学園のお話もいただきましたが、我々の学校の現場でも、本人の申し出に基づいて、承認という形で、ある程度の掌握はできるのではないかと思っています。ただ、そこに賃金ということが絡みますと、これは、ここまで考えることはないとは思うのですが、現場の者としては、何であいつがあんなにもらうのかということは、当然起こってくるのだろうと思います。

 例えば、私たちの現場でも、教頭が申します。「先生は働き過ぎということだから、皆さん帰ってください」と、こういうふうに言われるわけです。実は、私には採点という業務があった。ところが、そういうふうに言われれば帰りやすくなりますので、帰るわけですが、採点をしないわけにはいきませんので、家へ帰ってやるわけです。これは仕事でしょうと思うわけです。学校でやらなくてはいけないと思っていたものを、そういうふうなことで、帰りなさいというふうに言われて、家に持って帰ってやると。これはほかの教員の目には映りませんので、申し出ということになったときに、お互いの信頼関係というのが大事になってくるんでしょうが、ここの賃金ということは、お互いがしっかり了解しておかないと、なかなか難しいものになる。教員は組織的に、計画的にという言葉がありますが、かえってこれを崩すことになるんじゃないかなというおそれを持っております。ですから、時間と賃金というものを切り離して考えれば、管理についてはできるだろうが、賃金についてはなかなか、そういうところも、どうしても頭にひっかかってきます。

 以上です。

○ ありがとうございます。

○ 先ほどお話しさせていただいた自主性とか、その辺に関しましては、私は多分、教職員の皆さんから奪い取ることはできないと思います。なぜ、先ほどこのようなことを申し上げたかというと、先生方がほんとうに働きやすい場に、教育現場をするのか、しないのかというのがとても大事なものであって、そこに、やはり日本の未来を支えてくれるような、教育指導をしていただく人材を集めなきゃいけないということも、とても大事です。そこの部分と時間の部分とを切り離していただければ、ほんとうに話はしやすいんです。やはりちゃんと、ある程度頑張る先生方にそれだけの給与を払える環境を整えるということ、そして、どんどん頑張っていけば、もっともっと、やはり子供たちと触れ合わなきゃいけない問題が出てきて、そこまでもやっていくでしょう。ただ、自分の体を壊してまでやらない環境にするには、学校をどういう状況に置かなきゃいけないのか。今、生徒指導やいろいろなもので大変であれば、そこを解除するために、社会とどう連携しながら学校をやっていくのか、その辺の学校の管理マネジメントのあり方全体を変えることによって、先生をどうサポートするかということの組織体系をつくりましょうと。そうすると、おのずと10時間程度の働き方になるんですよ。そしてあとは、夏休みとかそういうのを使って、全体の労働時間が、自分の体を壊さない状況になりますよと、ここにいかないと話にならないと思います。

 先生方の給料を下げて社会がよくなりますかって、この論議をしなきゃいけなくなりますが、ならないと思います。昔、先生になれたと言って赤飯を炊いた家庭がたくさんいたとするならば、やはりそれほど、先生という職業がすばらしいという誇りがあったわけです。これはぜひ、なくしてはいけないと思います。やはり、日本の子供たちの未来をつくるのであれば、それだけの気持ちを持った先生方が働く現場にしてあげなきゃいけないだろうと思います。ただ、給料を上げればいいというものではなくて、学校の状況管理をきちんとしてあげれば、この給料でも納得しますという先生方はたくさんいるんじゃないかなと思いますので、教職調整額を何%にして、あと、命令せざるを得ない仕事に対して、どれだけの余力を残した形をつくるのかと。学校長として、マネジメントする上で、そういう命令ができる環境も残しておかなきゃいけないので、そういう予算をどうとれるかと、この辺、ぜひ取り入れていただければありがたいと思いますし、それだけの財源は、やはり確保していただかなきゃいけないと思っています。

○ では、金井委員、どうぞ。

○ 学校というのは、皆さん、ずっとお話しなさっているように、組織として動かなければいけないというふうに、ここの場でも確認されたと思います。

 年度初めに校務分掌をつくるときに、この作業、この担当になったらこれぐらいの時間が必要なんだということが、今の時点で、それぞれの学校で計算されているところは少ないと思います。例えば学年主任であれば何時間、授業時間にプラスで必要だろうというようなことを蓄積しているところは少ないのではないかと思います。組織目標がしっかりとしていて、校務分掌で標準、この作業についてはこれぐらいの作業時間が必要なんだということを、しっかりと1つずつ積み重ねていけば、うちの学校で、職員が何人いて、これだけの時間が必要なんだということがわかってくるはずだと私は思っています。今までそういう作業をしてこなかったのではないかと思っています。

 そういう、標準作業時間というものをしっかりと積み重ねて、校務分掌を1年間でつくります。1年間でつくったときに、うちの学校はこういう特色ある授業をしたい。校長は、こういうふうなことを率先してやりたいんだということについて、また作業時間を積み重ねていきます。そうすると、今度はどれだけの人が必要なのか、また、正規の職員でない部分で、外に回す部分がこれだけ必要なんだ、だからこういう外部の職員を入れたいんだということで積み重ねていけば、ひょっとすると、そういう部分での教員の時間外というのはなくなっていくのかなと思っています。時間外を認めるときというのは、先ほど承認というお話もありましたけれども、承認というようなことをしなくてもいいように、例えば、この組織としてはこれだけの仕事をやりますから、皆さんにこういうふうな命令を、逆にいうと命令をしていけるようなものになれば、ちゃんとした時間外労働ということになるのではないかなと思います。

 生徒指導とか、突発的なことについては、校長の裁量によって積極的に時間外で認めていく。例えば不登校の子供が出たとすれば、「先生、5時から家庭訪問してください」。こういうふうなことで、親御さんと話し合ってくださいというような時間外を積極的に認めていくこともできていくのではないかと思っています。

 以上です。

○ ありがとうございました。

○ 学校の教員になる人たちの多くは、自分がいい先生に出会っていて、その思いを子供たちに伝えていきたいと。自分の人生の中で大きな変革が起きた、この体験を子供たちにというような、ちょっと情緒的ですけれども、そういう体験を持っている方が多いわけです。

 こういうような情に満ちた受け渡しというのは、なかなか欧米諸外国では難しくて、学問的な裏づけですとか、自分のキャリアアップのための役に立つ先生は認められますけれども、自分の人格、価値観の変革を受けた、薫陶を受けたというつながりは大事にしたいというふうに、日本の今までの教育の中で大事にしたいと思うんです。そのためにも先生方の給与、それから人材確保という意味でも、ぜひ、文科省には財源の確保に力を注いでいただきたいと思うわけですが、一方で、学校の管理職としましては、残業を減らした学校と、残業してもいいですよという学校で、第三者評価、または学校評価の中で、「あそこは先生たちの働きが悪い」と言われてしまうのは、ちょっと困るわけです。ですから、4番の教育の質の低下を招くことがない、または先ほどの、2番の校長のリーダーシップというところにもかかわりますが、今、日本で学校の先生方の働き方が問題になっている。それから学校の先生方のパフォーマンスを上げるために、こういうふうに考えるというようなメッセージを国のほうから出していただけると、各学校は比較的それに乗っていきやすいんじゃないかと。校長さんの異動の話も出ましたけれども、いっぱい枠を確保して、ぱっと異動して、もしくは残業の適正な抑制をかけたにもかかわらず、それがネガティブな形で受けとられてしまうと本意ではありませんので、校長、または市町村を超えて、大きな枠組みの中で、教職員の働き方も、ワーク・ライフ・バランスを考えてほしいというような訴えかけが国からあると助かると思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。ほかにどうぞ。

○ この作業部会の最初のテーマが、教職調整額の見直しという話でしたから、この調整額の見直しのためにいろいろ議論をしてきたけれども、結局、調整額でとまっちゃうんですよね。現状を認めるか、あるいは先ほども言われたように、超勤のものに持っていくか、それとも情報をミックスした形にとるのかという、例えば今の4%はそのまま置いておいて、あとの部分に実質超勤みたいなものをという意味だろうと思いますが、これは実質的に不可能な案だろうと思うのですが、これが1つある。それから超勤手当にしても時間外手当にしても、先ほどの発表校はどれぐらいの予算でやられているのかわかりませんが、あの届け出で、そのまま認めていくといったときに超勤手当がどれくらいになっていくのかです。

 現在の、国家公務員を中心にした一般行政はほぼ7%と言っていますね。そうすると、今の調整額は、はね返りまで含めると大体6%と言われています。そうすると、7%だったら今とあまり変わらないのが1つあるんです。ただ、調整額があるために非常に問題になっているのは、超勤、あるいは時間に対する教職員のコスト意識です。これがそんなにない。だから管理職もあえて時間管理をしない。ですからいつまでたっても超勤が非常に多いんです。極端にいえば、超勤ゼロの教員から、部活動まで入れれば、超勤がおそらく80時間から100時間の者がいるんじゃないですか。そうすると、ほとんど休み時間がない。

 実は、僕のある友達が48歳で亡くなったんです。高等学校のサッカーの教員だったんです。土曜、日曜も夏休みもずっと出ていた。あれで死んでいくわけですから、何ら報いられることもないんですけれども、こう、死んでいくんです。今、そういうような、要するに過労死状態まで追い込まれるということが……、自分でやっているのかどうかはわかりませんが、その状況が1つあるわけです。ですから今のままでは、学校現場は非常に働きづらい職場になっているということが1つあるんです。

 で、今の手当でこれが措置されるかというと、おそらく100時間の超勤、80時間以上は過労死のおそれがある状態と言われていますから、少なくとも80時間以上の超勤はやらせない方向が、どこかからか出てこなくちゃいけないですね。しかし今、管理職も放っておいているわけです。あえて何もやらない。ですから、これは今、課長からの通知も出ていますから、学校現場では委員会をつくったり、少なくとも超勤をなくせる状況はできてきているんです。しかし、監督官庁からの監督がほとんどないのが学校現場です。そうすると、一般の企業なんかを見ますと、例えば土曜日は必ず休みだと、閉庁しろという指導をされているんです。ですから、中で仕事はしているけれども、外は閑散としているという、そこまで厳しくやられている労働管理があるんですけれども、学校現場は全く管理されていない。

 ですから、そういう意味では調整額で云々していくのか、あるいはほんとうに実質超勤をなくしていくのか。例えば、今の給特法の体制の中でも、超勤をなくしていけば、おそらく4%でも御の字ではないかという感じもするんじゃないですか、全くゼロの場合。そういうことを考えていきますと、手当のあり方を議論しながら、それだけではなくて、超勤をなくす方向をどうすればいいのかということも、片一方では考えていかなければ、ちょっと解決しないような気がします。金で解決できないというのが現状ですから、そう思います。

○ 私は県内で3つの高等学校の校長をやってきたんですけれども、学校というのは、やはり前例にとらわれるんです。前がこうだったからと。確かに、教育というのは継承するとか、継続するということは大切ですけれども、あまりにも前例にとらわれ過ぎると改革・改善が進まないことがあります。

 例えば、今の日本の教育の状況、これでいいとはだれも思っていないですね。そこを前提として超勤をどうするとかということは非常に難しい。私、3つの中で、1つは進学校というか、新設間もない普通科高校だったので前例にとらわれることもなく創設以来、とにかく6時前には生徒を全員帰すということです。どんな大会前でも。試合なんかの場合、普通だと延長時間を認めるとか、いろいろあるんですけれども、それは一切やらないと。5時45分になったら生徒から校門から出すということで。そういう前提でやってきて、それでどうかというと、それなりの成果を上げてくるんです。部活動にしても、進学成績についても、ほんとうにいい成績を上げてきたというふうに私は自負しているんです。その大前提として、やはりこれは、皆様も思いは一緒だと思いますが、快適な職場でこそ、いい成果を上げられるというか、今の先生方が疲弊した状況の中で、いい成果が得られるとは思いません。やはり、職場環境というものを変えなきゃいけないです。

 何度も言いますが、今の前提を是とするのではなくて、そこを抜本的に、もう、例えばゼロにする、クリアするくらいの発想からやらないと、前へ進まないと思うんです。これは、職場の改善ということと、先ほど委員さんがおっしゃったように、やはりこれは、これから教職を目指す若い世代にとっても、やはり職場環境がいい環境であるところで、いい仕事をしたいという思いは一緒だと思いますので、発想を変える。前例にとらわれているということはちょっと厳しい言い方かもしれませんが、引きずっているようなところがないとはいえないです。やはり、そこら辺を抜本的に見直していくということから始めないといけないということを思っております。

○ 大変悩み多い問題で、とても解決が、なかなか見つからないことだと思いますけれども、そもそも、この調整額の見直しという発想そのものが、大体、お金のないところで調整額をいかに使わないようにするかとか、あるいは、表向きはめり張りのある給与体系にするとかということが出てきていて、それは効率化であるとか、健康の観点から、そういうふうなものが必要だということで出てきているわけなので、ちょっと、出方が異質なところから出てきているんじゃないかなという感じはするんです。しかし、そんなことを言ってもしようがないですから、やはり、今までずっと議論を聞いていて、この調整額をどうするかというだけの発想でやっていたが、これは、なかなか解決はつかないんだろうというふうに思うんです。

 私、前回もコスト意識の話をしたのですが、コスト意識が高まったからといって、今以上の教育ができるようになるかといったら、残念ながら、それほど期待できるものではないような気がします。むしろ、もっと仕事量ばかりが増えてきて、自分のことは何点になるのかみたいなことになっていったらば、全く本末転倒になってしまう。だからといって併用制をするかといったら、併用制は、これはなかなか理屈づけが難しいというふうになるとすると、やはり超過勤務手当という形をある程度意識しながら、業績評価のような、各市町村あるいは校長が、この評価をすることでの併用制をしていくというふうな形に持っていかないと、なかなか解決はできないのかなと。

 私がたびたび言っているのは、小学校で、女性の先生方が持ち帰る仕事が大変多いんだという話をしました。これは持ち帰らなければ仕方のないようなもの、つまり学校の仕事であるんだけれども、個人でやらざるを得ないようなもの。採点のようなものだとか、そんなことがあって、それを各自、うちへ持ち帰ってやっているわけですが、そういうものは業績評価で評価をする、判断をすると。その背景には、先ほど言ったコスト意識の問題が、若干、管理者だとか教育委員会の側になきゃいけないんだろうと思いますけれども、いずれにしても、超勤手当と、それから業績評価というふうなことで、それの併用で見ていくんだと。

 そのときに、1つ新しい視点としては、前にこの会でヒアリングがあったと思うのですが、群馬県だか前橋市のほうで、やはりこの見直しをして、学校の見直しをして、業務が、教育委員会や事務方でできるものは、きちっとやっていくんだと、こういうふうなことがありました。そういうことをしながら、学校の先生方が持つ事務量を減らしていくということを大前提に、これから全体で考えていく。教育委員会も含めて考えていくということの中で、勤務時間の時間外手当の導入。これは、さっき玉川のお話がありましたけれども、ああいったタイムカードを導入するといったようなこともあるだろうと思いますし、もっといい方法があるかもしれませんが、その方法については、技術的な問題についてはさらに検討するにしても、教員の仕事量全体が多いということは事実ですから、それを今の形でやっていたのではとても減少することはできない。だから、それは教育委員会なり何なりが、ちゃんとフォローアップできるようなシステムをつくるということをやった上で、後は業績評価との併用というのがどうかなと思っているところです。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 今日の議論は、時間外手当にした場合に、どういうふうな問題や時間管理のあり方があるんだろうかというテーマ設定をさせていただいたんですけれども、当然ですが、それを超える制度の、原則にかかるような大きな議論も含めて、これまで意見交換させていただきました。

 その点は、今日のテーマを議論する際、やはりかかわらざるを得ないと思いますが、今日の1、2、3、4の柱に則して、もう少しご意見を伺いたいと思います。

○ 超勤手当にするかどうかということが、一応、1つの論点だと思うのですが、例えば3で、これは、部活動とかを考えた場合に、部活動にかかった時間を超勤手当にするのか、それとも部活動手当というような形で、ある定型的な仕事で、かつ標準的な時間があるのであれば、それに見合う、丸めた形での手当の仕方というのは、ある意味で可能ではないかなという気はします。それは、逆に言うと予算要求ともかかわりますが、部活動の時間に見合うほどまともな手当がとれるのであれば意味があるのですが、スズメの涙のような形式的な部活手当では、実際上は意味がないということになります。ここら辺は非常に難しいかなと思います。

 同じように、例えば夜間に生徒指導に呼び出されたなどというのも、要は出動手当みたいな形で、救急隊員のようなイメージで、そういうような形で見るということも、論理的には可能かもしれません。つまり時間で見るのは難しいとなったら、丸められた仕事の単位としてみるというのは1つだと思います。逆にいえば、そういうことは金額の中身に入っていく必要があって、これまた実態に見合わない金額しか支給されないではないかという話になりますと、やはり客観的に見る、時間で出すということにも、いろいろ弊害はあるけれども、それなりのメリットもあるのではないかなとも思われます。もちろん最終的には個々の業務内容の評価にまで関わります。行っても役に立たない部活の指導と、役に立つ部活の指導が違うというふうになれば、当然評価をしなければならない、業績評価をしなければならないという話になります。が、業績評価は正論だとは思いますけれども、しかし、時間で見るよりさらに難しい問題であって、時間さえよく把握できないような公立学校の現場で、さらにそれをお金と結びつける評価というものを考えると、非常に難しいかなと。そういう意味では、非常に簡便な方法として、時間というのは1つの基準としてあるのではないか。ただ、それが万能ではないというのは、いろいろご指摘されていることかなと思います。

 それから2点目に、4で指摘されている点は全くもっともだなと思うんですけれども、この前提は、必要な業務というのは、予算で幾らつけるかとは別に存在しているという考え方だと思うんですけれども、これはちょっと、納税者も含めて考え方を変えるべきではないかと私は思っております。やはり、必要な業務があるのであれば、必要な業務に見合う予算をつけてこそ、そこで釣り合いが取れるのです。勿論、最大の効率を果たしているという前提がありますが、一応、それは管理の問題として置いておくとして、必要な業務が何かという総量は、結局予算で示されている。それは納税者の意思であるということでありまして、やはり十分な予算をつけないということは、それほど必要な業務はないというふうに納税者は見ていると言わざるを得ないのではないか。納税者がつけてくれた予算、簡単に言えば時間外勤務手当の総額も含めてでありますが、それが教育現場から見て非常に不足していると言ったとしても、それは、教育サービスのサプライサイドはそう思っているとしても、教育サービスのデマンドサイドつまり納税者サイドはそう思っていないというふうに、率直に認めざるを得ないのではないかなと思います。

 これは現場から言うと、非常に大混乱を来す話ではないかというふうに反発を受けるのではないかと思いますけれども、一応、筋論からいえば、納税者として予算をつけた、それが必要な業務範囲であると。その中で最大限効率を果たしてもらう。あとの選択としては、その程度の予算しかつけないのであれば、その程度の教育サービスしかできないと。もっと教育サービスを高めたいのであれば、もっと予算をつけるしかない。低負担、低サービスなのか、高負担、高サービスなのかということを、納税者、あるいは県議会、県の理事者サイドに、ちゃんと判断をしてもらうべきではないか。予算はつけないけれども必要な仕事はたくさんやれというのは、無い物ねだりなのではないかなと思います。

 そして、教職調整額という仕組み自体、ある意味無い物ねだりをさせやすい仕組みになっているという意味では、納税者意識、あるいは予算査定の意識において、非常にモラルハザードを起こさせている制度であると思います。4の点は、学校現場を預かる立場からいえば非常によくわかるのですが、理事者サイドや納税者に対する問いかけというのも必要なのではないかなという印象を持っております。

○ ありがとうございました。

○ この議論のほうなんですけれども、長時間労働の軽減というものをあわせて考えていかないと、なかなか調整額の話というのは進まないのかなと思っております。今、学校現場に行かせていただく機会があるわけですけれども、教える側、教員の視点で考えると、教え方というのは教員の数だけあるという感じがしています。ですから先生方に聞くと、「いろいろなことをやっていかないとだめなんですよね」という話があるのですけれども、しかし、教わる側の児童・生徒のほうの視点から見たら、最適なものというのはそんなに多いのかなと、それはちょっと疑問に感じるところです。

 本来は、児童・生徒が伸びた指導の構想であったり、プリント教材であったりとかというのを積極的に使っていく環境がなければいけないと思うんです。そういうものに対して非常に抵抗感があると。前回の「ハマ・アップ」のカリキュラムセンター、現場に行きまして実際に見させていただいたんです。非常に参考になりまして、群馬県のほうに行ってもそういうお話をさせていただいて、実際、群馬県でやっているものを見ると大分格差があるわけです。そういうものの取り組みというものも、教員自体が、長時間労働をなくす努力をしていかないといけないのかなというのが1点あると思います。

 もう1点なんですけれども、先ほど群馬県のお話が出ていましたけれども、学校以外での改善の取り組み、学校が主体となるわけではないのですけれども、取り組みというのが必要なのかなと思っております。ぜひとも、現役の先生にちょっと聞きたいんですけれども、実は、群馬県では県全体を挙げて、部活動においては申し合わせ事項というのを持っているんです。これは、平日については週1回、きちんと休みをとりましょう、もしくは2時間程度できちっと終わらせましょうというのがあります。休日においては、週1回休みをとるようにしましょう。拘束力はないので。もしくは終日行わないようにしましょうと。要は午前だけ、午後だけ。そういうような形で、拘束力はないのですけれども、申し合わせ事項というのをきちっとやっています。それによって、平成12年と20年を比べると、休日においては、部活動というのは時間的に大分減ってきているんです。これは、他県はどうなのかというのがちょっとわからないので、そういう取り組みというのをお聞きできればなと思っています。

○ 私自身は、今、硬式テニス部の顧問をしております。ただ、これは学校でやるものではありません。地域のテニスクラブに入った子が、うちの中学校の選手として、試合に出るときの引率ということですので、直接指導するわけではありません。引率業務です。それからソフトテニス部の副顧問という立場も持っています。主顧問がいますので、こうやって会議に出られるのは副顧問という立場であるからでございます。

 先ほどのお話ですが、週に一遍ほどは休みをとろうじゃないかということについては、はっきり時期は覚えておりませんが、ある時期、五、六年前になると思いますが、校長がしきりに、職員会議でしょっちゅう呼びかけておりましたのは覚えております。

 それがために、一生懸命部活動に取り組む者も、例えば土日にしっかり練習をさせて、水曜日に休むとか、現実にあります。ですので、ここはほんとうに教員の熱意で、これがまた非常に、部活の問題が……、この前にも報告がありましたが、難しいところがございまして、私自身も学生時代にテニスをしておりましたので、テニスの部を持てば、それなりの指導はできるのですが、いつも適材適所というわけではありません。私自身は、教員になったときに「バレーボールを持て」というふうに言われました。とてもバレーボールは指導できないので、職員会議で「できません」と申しました時の、周りの厳しい目をいまだに覚えております。若い者が何かというふうな目を。ですから、そういうところでは非常に抵抗がある中で、ほんとうに一生懸命頑張って、我慢をしてやられる先生はいっぱい周りにいますし、先ほどの私の発言に後悔があるのでございますが、人の財布の中を思い浮かべるのは私くらいのもので、多くの教員は、自分のもうけとかを考えずに、一生懸命子供たちのためにということで、自分の時間を割いてやる者は私の周りにいっぱいおりまして、私自身、さっき申し上げて、後悔をしておるところでございます。ああいうふうな考え方をするのは私だけでございまして、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○ 熊本は、たしか2年前に部活動の指針というものをつくって、小学校であれば週に3日以内、大体2時間以内で行うことが望ましい。中学校であれば4日、高校であれば5日、土日のどちらかは必ず休みにするという形で、全公立学校に通達とマニュアルをお配りしています。

 ただ、だんだん守られるようになりながら、やはり、試合で負けてくると、保護者の合意のもとに、先生が許可をとって復活をしているところが見えるので、やはりそれは、小中学生にとって、この指針は基本的に体の体力の問題から考えて、やり過ぎることはよくないですよという指針を出しているんだということをわかっていただくようにお願いしています。

 高校生で、ものすごくスポーツがよくて入ったんだけれども、中学校で鍛えられ過ぎて体がだめになって、高校で再起して、ボクシングですばらしい成績を残すようになった。その子が事例を発表して、やはり、年齢に応じた部活動の体のつくり方がいかに大事かという、そういうシンポジウムも開いているのですが、現場に行くと、やはり保護者と、先生方は自分の評価よりも、自分の気持ちとして勝たせてあげたいという、この辺がどうしても、先ほどの自主性、自発性のところに引っかかってきちゃうということがあります。

○ 最初に部活のことをお答えしますが、これは、学校週五日制が導入されたときに、国からの指導もあって、土日のうち、1日は部活を休みにするようにという申し合わせは確かにありました。しばらくはそれが守られていたと思います。しかし、最近はそれが崩れかかっています。これは、教員のほうがやりたくてやるケースと、保護者から、「やってくれ。」と言われて、やらざるを得なくてやっているケースと両方あると思います。ただ、平日は休みにするという方法もとったりして、1日ぐらいは休みにしていると思いますけれども、土日やっている学校もあります。

 続いて、よろしいですか。4番に関連して発言したいと思いますけれども、教員の時間外勤務というのは、1年間を通して一律に考えることはできないと思います。忙しい時期というのがあるんです。4月から7月ぐらい、もっといえば9月の体育祭も含めてですが、そのころが一番忙しいんです。というのは部活の終わりの時間が遅いんです。日没時間が遅くなりますから、それに合わせて、中学校ですと6時ぐらいまではやりますので。で、部活が終わっても、子供が家に着くくらいまでは教員も学校に待機しますので、なかなか早く帰れないという実情があります。そこで、4月から7月ぐらいというと、どんな人でも毎日1時間は残業します。9月以降でも結構やっているんですけれども、多い人は7時過ぎまでやりますけれども、そういうふうに考えると、やはりその時期に時間外勤務をなくせと言っても無理ですので、その分を夏休みとか、冬休みに休ませればいいと思うんです。ただ、今の制度ではそれができませんので、そのために、やはり変形労働時間制を導入すれば、それが可能になるのではないかなと思います。1年単位か、6カ月単位かわかりませんが、やり方はいろいろあると思います。

 ただ、1日10時間勤務というのは、これはかなり教員も抵抗がありますので、1日1時間を上乗せして、9時間勤務ぐらいでやればいいんじゃないかなと思います。そうすると5日ぐらいはまとめて休めるんじゃないかなと思います。だから40時間ですね、それくらいならば可能だと思います。もっと工夫すれば10日分ぐらいは、1年間を通せば可能ではないかなと思いますが、そこまでいくと異論もありますので、とりあえず5日ぐらいは可能だと思います。

 以上です。

○ ありがとうございます。

○ そもそも、調整額というのは超勤に見合う分だったんです。ですから、もう一度教員の給料の関係を見ればいいと思うんです。要するに週40時間分の賃金をもらっているんですよね、1つは。だから、40時間をどうするかというのが1つ、勤務管理だと思うんです。40時間については、出勤簿を押しておけば、退庁時間はほぼ見ているから、40時間勤務は見えてくると思うんです。そうすると調整額というのは、この40時間を超した分につけているんです。そうすると、40時間を超した分の業務がどうあるべきかという話になっているはずなんですけれども、例えば自宅に持ち帰って採点する業務をやるというのですが、これは持って帰るのではなくて、ほんとうは40時間以内でやるべき業務じゃないですか。そういうふうにすると、超勤で調整額に見合う分の超勤をするという場合は、どういうような職務内容がそれに値するのか、値しないのかというのを考えるべきじゃないでしょうか。ですから、教材研究だって40時間の中にやるべきじゃないですか。ほとんど本務に近いわけですから、そういうように、40時間という執務時間内と、それからプラスアルファの調整額の対象の時間というように分けて、基本的には分けて管理をするというようなところから業務内容を見直すという話も、議論したほうがいいかなという気がいたします。

○ ありがとうございました。

 もう、残り時間がないのですけれども、ご意見のある方、どなたでしょうか。では、服部委員、そして最後に天笠委員ということでお願いします。

○ 簡潔に申し上げたいと思います。ここでの私の意見を言うと、「おまえはどっちの味方だ」と言われるかもしれませんが、私はあくまでも教員の味方だと思っていますけれども、教員の中には、時間を多く費やせば教育的な効果が上がるというような、そういう思い込みもあると思うんです。時間さえかければいいんだというような。例えば部活動についても、勤務時間内における部活動のあり方というものを考えるべきだと思います。時間さえかければという、そういう発想を変えなければいけない。

 それからもう一つは、先ほど来いろいろな人から出てくるように、あらゆる意味で、学校の中に競争の原理がどんどんと入り込んできている。勝たなきゃいけないというような、その辺のところを、やはりどこかで整理しないと、過当な競争ということが、部活動においても学習においても、その辺をきちっと整理しなければいけないと思います。

 先ほど言った、時間をかければという、例えば子供に対して教えるということと、子供が学ぶということとは別だと思うんです。たくさん時間をかけて教えれば、それだけ学習したというわけではないので、むしろその辺も、教員の意識の持ち方ということを考えるべきで、何度も言いますが、こういう議論をするときに、今行っている教員の活動というものを、もう一遍抜本的に見直すという意味で、発想を変える必要があるというふうに思って、先ほど来、ちょっと過激だと思うことですけれども、やはり時間内に、すべての教育活動を行うということについて考えないと、前へ進まないのではないかなと思います。

○ ありがとうございました。

○ 失礼いたします。

 2つ申し上げたいと思うんですけれども、1つは、先ほどもご意見がありましたように、やはり超勤が生み出される構造というのでしょうか、やはりそれについて、もう一度分析というか、しっかりと状況を認識していく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、かつての調査では、その部分というのは、大体授業の準備というふうなこと、あるいは授業にかかわっての成績処理等々、そういうことが主たる中身として浮かび上がっていたと思うんですけれども、今の時点では、超勤の中身というのはその他、授業の準備とか、処理以外のその他のものがかなりを占めるようになったということで、ですから先生方が背負っている仕事の中身が、この数十年間に質的に随分変化してきているという、そこのところの押さえというのが、やはり必要なんじゃないかと。その上で、超勤のその他の中身をどういうふうに解消できるものなのか、どうなのかということを、もう一度学校改善というのでしょうか、組織運営の改善という視点から見つめていくというか、丁寧にとらえていくということが、やはり大切なのかなと思っております。

 それからもう1点は、これは前から申し上げているんですけれども、資料2の1の、組織的、計画的な学校運営ということと、それから教員の自発性と創造性という、この両者の関係についてなんですけれども、確かに、歴史的にいろいろな経緯があったのもご指摘のとおりかと思っておりますけれども、私は、今日におけるこのテーマというのは、自発性、創造性ということと、組織的、計画的なというのを、どう糾合していくのか、どう組み合わせていくのか、セットしていくのか、そこのところを導き出していくということも、また1つの方向じゃないかと思っております。要するに、計画的、組織的な学校運営というのを、先生方お一人お一人の自発的、創造的な意思のもとに、そういう学校づくり、学校の展開ということが、1点目に申し上げた、おそらく超勤のあり方等々の解消ということを考えたときの1つの方向になるんじゃないかと思いますので、ですからそういう点では、この両者を対立的にとらえていた時代を乗り越えていくというのでしょうか、ということをもう一度振り返って、押さえると同時に、この両者をどんなふうに糾合するようなマネジメントのあり方ですとか、組織運営のあり方というのを、そういうことを求めていくことではないかなと思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

 ちょうど時間が来ていますけれども、どうしても一言という方、いらっしゃいますか。よろしいですね、ありがとうございました。

 今日は資料2に基づいて、時間外勤務手当化にかかわるいろいろな論点、課題についてご意見をいただきました。資料2に書かれている論点、いろいろな形で深めていただきましたし、こういうふうな考え方もあるんじゃないかということで、新しい見方についても、多くの委員から提案されたと思います。今日出された意見につきましては、次回の作業部会で、もう一度再整理していただいて、教職調整額の見直しにかかわっては、継続的に、また次回も議論させていただきたいと思います。

 次回は、今回にプラスして、先ほど委員の方からいろいろ出されてきた部活の問題とか、持ち帰りの時間とか、変形労働時間等々の、そういう個別具体的な問題も踏まえながら、議論の柱に組み込みながら、継続的に教職調整額の見直し、どうあるべきか、その制度デザイン等々について、継続して議論させていただければと思います。

 では次回以降のスケジュールについて、事務局のほうからご説明をお願いします。

○ 最後、資料3になりますけれども、次回の予定は、第9回、26日木曜日。今月26日、木曜日、15時から17時ということで、場所は同じく、こちらの16階特別会議室ということで予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○ ご苦労さまでした。これで終わります。

 

―― 了 ――

 

お問合せ先

初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム

(初等中等教育局学校マネジメントプロジェクトチーム)