学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成21年1月28日(水曜日)13時~15時

2.場所

三田共用会議所第3特別会議室

3.議題

  1. 今後の教員の勤務の在り方について
  2. 教員の勤務時間管理の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

小川主査、天笠副主査、石塚委員、植田委員、金井利之委員、金井洋子委員、川田委員、小林委員、島田委員、曽我委員、田村委員、渡久山委員、根本委員、服部委員、原田委員、若井田委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、合田総括審議官、前川審議官、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官

5.議事録

○ では、議事に入りたいと思います。今日は、議事次第にもありますとおり、今後の教員の勤務の在り方と、教員の勤務時間管理の在り方について議論していきたいと思います。この2つの議題は非常に密接に関係するもので、一緒に議論するということも選択肢としてあるかと思うんですけれども、やはり最初にまず、教員の勤務の在り方の基本的な考え方を押さえた上で、次に教員の勤務時間管理の在り方と、2つに分けて議論を進めていきたいと思いますので、まず最初に、今後の教員の勤務の在り方について、大体三、四十分時間をとって審議していきたいと思います。

 ではまず最初に事務局のほうから、今後の教員の勤務の在り方に関する資料の説明をお願いいたします。

○ それでは引き続きまして失礼いたします。皆様方、資料1、それから参考資料1、2という部分を使いまして、申し上げたいと思います。

 資料1、今後の教員の勤務の在り方についてでございますが、これまで先生方にご審議いただきましたとおり、学校の業務負担を改善し、教職員の職務の在り方をどうするかということをご議論いただきました。その中で特に今後の教員の勤務、働き方でございますが、冒頭1にありますとおり、教員の勤務を巡る状況として、まず1つは、組織的、一体的な勤務がなされておらず、教員個々人の判断で働いているというご指摘が、前回の議論も含めてございました。

 それとともに、データの部分で言えば、平成18年の勤務実態調査の結果から見えてくることがありますけれども、授業、あるいはその準備以外のさまざまな仕事がある、そのために、授業準備に十分な時間がとれていないのではないかと感じておられる教員の方々が多いという部分が、1つデータとしてございます。

 下の部分にありますのは、それを示す円グラフでございますが、小学校の中で授業の準備をする時間が足りないという部分について、「とても感じる」という方と「わりと感じる」という方をこの円グラフの中で見ますと、全体で90%ぐらいがそう感じておられるというのが1つあります。

 また、中学校の中でも同様に、この青い部分と、それからエビ茶色の部分がございますけれども、こちらの部分を足しますと、84.7%ということで、大体8割から9割という状況が1つございます。

 また、参考資料1のところにもございますけれども、勤務実態という部分で言えば、参考資料の表面のところは、勤務日における教員の場合の1日当たりの平均の労働時間、残業時間、持ち帰り時間というものがございますが、これも皆様よくごらんになるかと思いますけれども、労働時間の部分で言えば、平日、小中学校平均して10時間22分、残業時間の平均が1時間43分、持ち帰り時間が29分ということになっておりますし、裏面をご高覧いただきますと、休日の場合は労働時間というのがありませんので、残業時間が平均で56分、それから持ち帰り時間が1時間39分といったような状況の中で、教員の方々の勤務の負担が大きいということが1つデータとしてございます。

 その次に、教員の方々が今どう感じているかということを考えますと、やりがいを感じている部分は非常にあると。ただ負担感が高いということも同時に出てきているのではないかというのが、資料1のほうに戻っていただきますと、表面の一番下の円グラフと、それからそれに引き続きます裏面の頭の円グラフでございます。

 教員の仕事はやりがいがあるという部分について、「とても感じる」、「わりと感じる」という方々を合わせますと、小学校の場合で90.7%、それから中学校の場合でも87.2%の方々が、やはりやりがいはあるんだということを感じておられる部分がございます。

 それと同時に、次の裏面のページになりますが、教員が行うべき仕事が多過ぎるという部分については、「とても感じる」、「わりと感じる」という方々を合わせますと、小学校で92.0%、それから中学校の方では91.6%ということで、どちらも9割を超えているという状況でございます。

 そんな中で、最近も発表がありましたけれども、精神疾患という部分での休職者でございますが、こちらのほうは参考資料2の1枚紙、棒グラフのところをご高覧いただければと思いますが、平成10年度から19年度までの10年間における病気休職者等の推移ということでございます。

 病気休職者の数自体、ずっと増え続けるという状況の中で、平成10年度が4,376名の方だったものが、19年度では8,069人という形になってございます。その中で精神疾患による休職者の数というのは、その青い棒グラフの横にある、しまの入っている部分でございますけれども、こちらも10年度が1,715人の方々だったのが、平成19年度に至っては4,995人の方々ということになってございます。一番上の▲の部分でありますとおり、精神疾患が全体に占める割合というのが基本的に増えている、現在6割を超えているといったような状況がございます。

 こういった状況の中で、今後の教員の勤務の在り方という部分について基本的な方向性として、資料1のほうにお戻りいただきますと、2でございますが、これまでご審議をいただいてきたことを踏まえますと、おおよそ3点のものが考えられるのではないかということで記載させていただいてございます。

 まず1つは、組織の一員として働くというものでございます。ここの中では、教員が個々人で働く、そこの中ですべてを抱え込んで自分一人で苦しむというのではなくて、管理職のもとできちっと教員以外の専門的な人材、あるいは地域人材とも連携をしながら、学校あるいは児童生徒の方々が抱えるさまざまな課題に、組織全体として、組織の一員として対応していくという方向性がまず1つでございます。

 それと、前回のご議論にもありましたけれども、授業を中心にして働くというものが方向性の2つ目でございます。教員の方々について、学校という組織の中で、その専門性の最たる部分である、まさに免許を持って活動していただいている、授業を中心にして勤務をしていただくというのを基本的な方向性として、授業以外の業務については、多様な専門的な人材、スタッフ、それから地域の方々を積極的に活用して、適切な連携あるいは役割分担を図っていく中で働いていくという部分が2つ目でございます。

 それと、(3)、教員の勤務負担が軽減されて、きちっと心身ともに健康な状態の中で働くということが、3番目の方向性でございます。その中では、勤務実態が適切に把握されて、その結果、過重な労働となっている場合、その過重な労働の軽減をするとともに、適切な健康管理が行われるようにきちっと業務分担をしていくという部分があろうかと思います。その上で、教員が主として担うべき授業の質の向上ということのために、その授業準備に十分な時間がとれるようにするということを方向性として考えるべきではないかと、資料としてお出ししております。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。今、事務局のほうから説明いただいたこの中身というのは、これからいろいろ議論し、検討していく課題の前提になる基本的な原則、考え方ということかと思いますけれども、この内容について何かご質問やご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。どうでしょうか。

○ 教員の勤務の在り方というよりは、この実態は非常に統計的な、この間の実態調査を踏まえて提起されているんじゃないかと思います。実際学校現場は全くそのような形でございまして、そういう面ではこの資料は、教員の勤務の実態を知るには非常に適切な資料じゃないかと思っているんです。

 それを踏まえてどうするかというのが問題なんですが、今の勤務実態の中で、先ほども話が事務局からありましたように、このような勤務の負担が大きいところで一番気になるのは、教員の健康阻害、これが非常に起こっているということが1つです。

 それからもう一つは、やっぱり教員の主たる任務であります授業、教材研究、あるいは子供たちに接していく生活指導等、それに時間が割けない、あるいはそのための時間が足りないということが非常にあるわけです。そういう面で、これは非常に改善すべき幾つかの問題を抱えているわけです。

 ただここにもありますように、教員がどういう形で勤務をしているのか、教員1人1人の問題も2ページ目にはあるわけですけれども、問題点だけじゃなくて、組織として教員が今どういう状態に置かれているか、これをどういう形で改善していくのかというような改善課題は、また今後のあれで、次のことでも出ているようですけれども、そういう形で、やっぱり実態をまず正しく把握するということと、どういう形でそれを解決するのかということについて問題意識を共通に持っているということが、我々にとっては非常に大事じゃないかなという気がいたします。

 以上です。

○ ありがとうございました。ほかに何かございますか。

○ まず、1の教員の勤務を巡る状況のこの調査結果は、現場にいる者としては実感としてそのとおりだなと思います。

 それから、2番目の今後の教員の勤務の在り方が3点掲げられていますけれども、方向性としては全くこのとおりだと思います。(1)の組織の一員として働くという意味では、教員が教員同士で課題を共有するということと、方針を1つにする、それが大事で、それが精神的な負担を軽減すると思います。

 それから2点目の授業を中心にして働くというのは当然のことでして、ここはやっぱり一番大事にしなければいけないところだと思います。

 3点目は、そのためには当然勤務負担が軽減されて、心身ともに健康で働くということが必要だと思いますので、この3点は方向性として正しいと思います。

 以上です。

○ ありがとうございます。じゃ、よろしいでしょうか。ほかにもしもなければ、一応今後の教員の勤務の在り方について基本的な考え方、この点についてはおおむねご了解いただいたということで、これに基づいて次に、具体的に教員の勤務時間の在り方、その具体的な方策ということに移っていきたいと思います。またその議論の中で、今少し意見交換した、こうした教員の勤務の在り方にかかわるご意見等もお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次の議題に入っていきたいと思います。今の資料1で確認したとおり、教員が組織の一員として働くという点とか、教員の勤務負担が軽減され、心身ともに健康に働くためには、やっぱり教員の勤務時間管理をどうしていくかということが極めて重要な課題になるかと思います。そういうことで、続いて現行制度、すなわち給特法のもとにおける教員の勤務時間管理の在り方について議論していきたいと思います。

 ではまず最初に事務局のほうから、資料について説明いただきたいと思います。

○ それでは引き続きまして失礼いたします。資料2、資料3、それから参考資料3、4という部分で申し上げたいと思います。

 勤務の在り方の方向性を先ほどの資料1の3点の方向性ということで考えた場合に、どうしても勤務時間を把握していくことの必要性という部分が出てまいります。資料2のその必要性の部分でございますが、まず現状等でございます。

 (1)でその現状について記載させていただいておりますが、勤務内容あるいは勤務時間管理の現状として、いわゆる実態調査の中では、割り振られた勤務時間内、時間外を通じて、一部で不適切な状況があるんではないかという部分がございます。

 参考資料3の円グラフをごらんいただきますと、カラー図になってございますが、表面は小学校でございます。その中で、出勤時刻の管理という部分と退勤時刻の管理という部分が出てまいります。

 その色刷りの分け方については左の部分に凡例がございますけれども、小学校の出勤時刻の管理で青い部分というのは、特に何もしていませんと学校のほうでご回答いただいた部分でございます。こちらが4.6%。それからその円グラフの左隣に「無回答・不明」という部分がございますけれども、この中身は詳細にはわかりませんが、0.8%という状況が1つございます。

 それと退勤時刻の管理については、青い、特に何もやっていないとご回答いただいているところが18.1%と、やはり「無回答・不明」というのが0.9%で、一応そういった部分がございます。

 裏面は中学校になりますけれども、やっぱりある程度似通ったような状況というものがございまして、出勤時刻の管理という部分では、特に何もしていないというのが、中学校の場合5.5%と、「無回答・不明」が0.3%ございます。

 退勤時刻の管理に至りましては、特に何もしていないというのが21.5%、「無回答・不明」という部分が0.9%といったような状況がデータとして1つございます。

 資料2のほうにお戻りいただきますと、こういった一部で不十分な状況がある理由は何であろうかということを(2)で書かせていただいておりますが、マル1、マル2、マル3と、3点挙げさせていただいてございます。

 まず1つには、授業以外に、授業準備あるいは部活動といったような、どれだけ時間を費やすのかといったことについて、各教員の方々の個人の裁量に大きくゆだねられていた業務があって、このような業務の処理について管理をすることが困難ではないかと思う向きがあるというのがございます。

 それから、保護者対応あるいは学校外での生徒指導といったような、教員の方々にとっては学校外で処理をする業務もあって、このような業務については管理職の方々が直接目視等できないために、管理することが困難ではないかと思う向きがあるのではないかという部分が2点目でございます。

 それと、3点目でございますが、教員の方々については、先ほど主査からもありましたけれども、現行制度上、時間外勤務手当というのが支給されてございません。管理職の方々が教員の勤務時間管理をする必要がないんではないかという誤解をする向きもあるのではないかという部分が、大きな理由としてマル1、マル2、マル3で掲げさせていただいている部分でございます。

 そうした中で、では勤務時間管理の必要性というものはないんだろうかということを考えたときに、これから申し上げますようなさまざまな理由から考えると、現在でも必要であるし、今後とも一層適切にそれを行うことが必要ではないかという部分が2番でございます。

 まず、マル1番のところですけれども、これまでご議論いただきましたとおり、組織的な学校運営の推進といったような観点で、組織的・一体的な学校運営を推進していく中では、教員の方々が、他の職員の方々と適切な役割分担をしながら業務を遂行していくということを考えた場合に、管理職として教員の勤務内容、どういうことをやっているのか、あるいは勤務時間、どのぐらい時間を割いているのかということを適切に把握して管理することが、まず必要であろうという部分がございます。

 また、学校外の仕事についても、こういった組織的・一体的な学校運営の推進ということを考えた観点からは、管理職として事前の承認、あるいは事後の確認などによって適切に把握をしていくことが求められているであろうという部分が、大きな1つでございます。

 それから2番目として、教員の方の勤務の負担軽減という部分でございます。勤務負担が過重になっているような教員につきましては、適切に校務分掌の見直しなどの措置をとるという形にして、勤務負担の軽減を図っていくということが必要でございます。そういったことをするためには、まず教員の方々がどのような業務にどのぐらい時間を割いてやっているのかということを、完全にその個人の裁量にゆだねて、だれも何も見ないという状況にするのではなくて、適切に教員の勤務負担を把握していくということが必要であろうという部分が2番目でございます。

 それから3点目として、労働法制上の責務という部分の観点の中では、公立学校の教員の方々につきましても、労働基準法32条では1日8時間という勤務時間が割り振られているわけでございますが、そういった労働時間に関する規定が適用されておりますので、管理職として、教職員の勤務時間を把握して管理するということが必要であろうと。

 また、労働安全衛生法というものとの関係で言えば、長時間の残業をしている労働者については、医師による面接指導の実施ということが、公立学校も含めたすべての事業場に義務づけられておりますので、これを実施する上でも、勤務時間というものをきちっと把握していくことが必要であろうかと思います。

 ここにもあります参考資料4、労働安全衛生法の一部改正法等の施行についての初等中等教育企画課長からの通知でございますが、表面を見ていただきますと、傍線を引いているところがございます。ご存じの方も多いかと思いますが、労働安全衛生法が改正されて、平成20年4月から全面適用になっておりますが、すべての事業場において、1週40時間を超える部分の残業時間というものが1月当たり100時間を超えていて、疲労の蓄積が認められるというときにおいては、労働者からの申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならない。また、傍線を引いておりませんけれども、80時間を超えるときには努力義務というものがかかってございます。

 そうした中で、下の2ポツ目のところの労働時間の適切な把握という部分がございますが、こういった把握につきましては、平成13年4月の厚生労働省の局長通知というものもございますけれども、今後とも学校において適正な把握に努めていただきますようお願いいたしますということで、その基準が示されてございます。

 裏面を見ていただきますと、(1)のところだけアンダーラインを引かせていただいておりますが、使用者においては、労働時間の適正な管理をするために、労働者の労働日ごとの始業、それから終業時刻を確認し、これを記録するといったような内容が示されてございます。

 こういった労働時間の把握と勤務時間管理の必要性という部分について、具体的にどうやっていくかということをまたご審議いただきたいわけでございますが、資料3のところで具体的な方策について(案)という1枚紙がございますので、それをご高覧いただきたいと思います。現在、教員の方々の勤務の在り方については、以下のような対応策ということで掲げさせていただいておるのが1、2でございます。

 まず、1の勤務時間管理の方法でございますが、まず1つには、管理職が目視をすることによって、その確認・記録をするという部分がございます。それとともに、タイムカードあるいはICカード等の活用をきちっとするということも考えられるわけでございます。

 ただし、管理職の目視ということだけでは、すべての教員が退勤するまで管理職が職場に残る必要がありますので、それをずっと続けておりますと、管理職のご負担というものが増えてまいります。また、学校外での業務というものもございますので、その場合、目視による確認・記録、あるいはタイムカード、ICカードといったようなものでは把握が困難になる場合も想定されるわけでございます。

 そのために、時間外における勤務、あるいは学校外での勤務については、教員からの、今日はこれぐらいかかりますというような自己申告による把握をするということも考えられますので、こういったものを適切に組み合わせて勤務時間を把握するということが必要であろうという部分がございます。

 その後、2でございますが、典型的な業務について書かせていただいているものが、その勤務時間管理の方法でございます。表面の(1)の授業準備から、裏面の(2)、(3)、(4)というところまで、例として掲げさせていただいておりますが、まず(1)番、表面の授業準備のところでございますけれども、授業準備のように、それに要する時間がそれぞれの教員の方々の能力あるいは経験、児童生徒の状況等によって変わり得るという場合もございます。

 そういった場合について、勤務時間内、勤務時間外という形で書き分けさせていただいておりますが、勤務時間内については、まず管理職が目視等により確認をする。その場合に、必要に応じて各教員の能力、あるいは経験等も踏まえた適切な時間・内容、どうしても若い方々は時間がかかるという傾向がございますので、そういったことについて教員と管理職のほうで話し合って確認するということなどもあるかと思います。

 それから勤務時間外につきましては、事前にどういう内容をするのか、あるいは要する時間といったようなものについて、教員から管理職に申し出ていただいて、それで管理職がまず確認すると。例えば翌日に、どのぐらい実際に時間がかかったのか、どういったところまでいくことができたのかといったようなところを管理職にご報告いただき、管理職として、教員からのそういったご報告をもとにして、タイムカードあるいはICカード等も活用しながら適切に把握をするという部分が1つございます。

 参考に掲げておりますのは、実際どのぐらい時間がかかっているかという部分でございますが、小学校の場合、授業が大体3時間強について、授業準備が1時間程度、中学校の場合、3時間弱という部分で、大体1時間程度という状況がございます。

 それから裏面をおめくりいただきますと、(2)番の緊急補導などの業務の場合でございます。こちらにつきまして、勤務時間内の場合では、管理職の指示あるいは承認を得ない段階で対応を始めるということもままあろうかと思いますけれども、そのような場合には、管理職に連絡がとれるような状況になり次第連絡をとって、その指示を仰いでその後の対応を行う、対応終了後に、それに要した時間等を教員が管理職に報告して、それを確認していただくということが考えられようかと思います。

 また、時間外の場合におきましては、やはり管理職の指示、承認を得ない段階で対応を始める場合といったようなものもあるわけでございますが、連絡がとれ次第連絡をとるという状況になります。

 教員の場合、超勤4項目というものがございますけれども、そういったようなものに該当する場合には、管理職として適切に時間外命令を出して、その対応終了後に管理職が確認する。そういった場合以外については、その対応方針について管理職に対して教員から、こうこうこういうふうにさせてもらいますということを申し出て、翌日等にその実際に要した時間等については報告をしていただき、最終的には管理職として、教員からのご報告などをもとにして、タイムカード、ICカードも活用しながら把握するといったようなことが考えられようかと思います。

 それから(3)番目、学校外における勤務でございますが、勤務時間内については、事前に業務内容、勤務場所、それに要する時間といったようなものが要素として出てまいりますので、そういったものを管理職のほうに申請していただき、それを管理職が確認して適切な命令を発すると。やはり翌日等に実際に要した時間、それから内容、どこまでやれたかといったようなことを確認し、予定した時間等と異なった場合については、その事情を管理職がきちっと把握する。

 また、勤務時間外につきましては、事前に業務内容、場所、時間等について管理職に申し出ていただいて、きちっと確認するといったようなことがあろうかと思います。

 それから(4)番として、部活動でございますが、勤務時間内、勤務時間外、これも両方あろうかと思います。事前に部活動に関する指導計画というものを報告。あるいは計画している日々の練習時間、土日等における対外試合等、あらかじめ決まっている場合もあるかと思います。それらについては事前に申告し、管理職として、練習時間等についてその内容を確認して、きちっと承認する。練習や対外試合を実施した後については、その内容を報告するということがございます。

 勤務時間外につきましては、事前に報告をしている指導計画にないような練習を行う場合については、その内容、要する時間等について管理職のほうに申し出をしていただき、それを確認し、実際にご報告をもとに、タイムカード、ICカード等も活用した把握をするといったような形で勤務時間というものを管理する方法などが考えられるのではないかと思っております。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。続けて報告で恐縮ですけれども、もう一つ今後の議論に参考にしていただきたいということで、民間企業における時間管理ということが、どういう考え方に基づいて、具体的にどのように行われているのかということを、10分ぐらいの報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○ これから10分間お時間をいただきまして、スライドを活用して企業の時間管理について少しお話をさせていただけたらと思います。

 なぜ残業になるのか、残業が発生するのかというのは幾つかあると思います。まず大きくは2つありまして、1つは環境変化によるもの、もう一つは部分的な業務改善、そういうものがなされて、実は長時間の労働が発生したりする場合があります。

 1つ目の環境変化によるものは2つに分かれまして、まず仕事自体というのはよそから来て、自分のところで処理して、またほかの人に渡していく形になりますので、その入ってくる仕事量が非常に多くなってきたり、種類が多岐にわたったりすることによって、自分のところの処理能力を超えてしまう場合というのが出てきたりします。

 次に、後でちょっとまたグラフを見ていただきますけれども、業務の範囲と責任が不明確になってきている。長年仕事をやってきていると、いつの間にか、本来仕事でなかったものが仕事として割り当てられるというものがあったりします。

 2つ目の部分最適化な改善のところですけれども、仕事自体は、自分のところだけではなくて、お客様であったりとか、また仕入れ先であったり、いろんなものが絡んで発生するわけなんですけれども、自社だけで改善しても実はあまり改善効果はないんです。もしくは他社が改善して、その影響で実は仕事量が増えてくる、そんな形のものが出てきたりします。

 業務の範囲と責任が不明確について1つ調査結果がありますので、それをお見せいたします。これは『産業人メンタルヘルス白書』2005年版から持ってきておりますけれども、下のほうです、「非常に不明確」、「とても明確」となっていますけれども、これは業務の範囲というのがそれぞれどうなっていますか、仕事の範囲はどうですかということを聞いております。母数としては約1万1,000人をとっていますけれども、それに対して残業時間というのはどのような形でいくのかと。

 例えば、とても明確です、自分の仕事範囲は明確ですよという方たちは4.0と書かれていますけど、このときは大体20時間から、もしくは30時間ぐらいの残業が発生しているという形になります。逆に仕事の範囲の責任が不明確ですよという方は、大体30時間から40時間ぐらい残業時間が発生しているという形になります。仕事の範囲の明確化によっては、残業時間というのは減らせていける可能性があると思います。

 企業の中では、なぜ残業の削減をするのかというのは幾つかありまして、残業が多いと実際人が集まらなくなります。また、約100万、200万のコストをかけて積極的に人を募集したとしても、残業が多いとあともう一つは、残業時間が発生しますとその分コストというのはかかりますから、企業事態の利益を圧迫する、そんな形になってきたりします。

 このスライドは、新卒であったり中途採用の方の離職の理由というのを幾つか調べさせていただいております。ここの赤いところが時間に関するものという形になりますけれども、今高卒の方であると、長期もしくは短期の雇用の中では、大体3年間で5割ぐらいの方がやめられる。大卒についても同じように、長期、短期の雇用においては、3割ぐらいの方は3年間でやめられるわけなんですけれども、その多くの方々が理由で挙げているのが、1つは休暇がとりづらい、もしくは労働時間が長い、非常に仕事量が多い、そういう形の時間に関するものが幾つかあります。確かに若干はお金に関するものであったり、人事制度的なものというのはありますけれども、時間のことを挙げられている方が非常に多くなってきています。

 ですから企業の中においては、時間というのをきちっと管理して、せっかくコストをかけて募集した人を雇って、その人に教育して、長く働いてもらう努力をしています。

 では、実際企業の中ではどのような対応をしているかというのがあります。大きくはおそらく3つに分かれるのかなと思います。一つは管理という形になります。もう一つは制度、あとは業務改善という形になります。

 管理については先ほど資料のほうにも幾つか出てきましたけど、マネジャーの意識改革があり、それは企業としても、入ってきた人がずっと遅くまでいるんではなくて、仕事が終わったらマネジャーよりも早く帰ってもらっても全然問題ないですよと。マネジャーが残っていると、そのままずっと残っていなくちゃいけないということはまずないので、仕事が終わったら早く帰ってくださいと、そういう意識になってもらう。

 実際私なんかも、残業のセミナーなんかをやらせていただいたり、企業の中で研修をさせていただいていますが、この間研修した企業では、マネジャーの意識が大分変わりまして、あと、管理部門の方々も大分意識されまして、通常50時間から75時間ぐらい残業されている方々が、残業時間が大体3分の1から半分に減りました。積極的にマネジャーのほうは声かけをして早く帰ってもらっているそうです。

 あとは残業自体の申請というものがあります。管理のほうはどちらかというと、マネージャーの方に責任を負ってもらって時間管理をきちっとしていただく、そういう観点になると思います。

 制度としましては、ノー残業デーであったりとか、一斉消灯であったりとか、フレックスであったりとか。もともと仕事によっては、おそらく民間も学校も一緒だと思いますけれども、忙しいときと大分楽なときがありますので、その間の時間というのをきちっと使い分けていただくという形になります。ただし業務改善については個人に任せて、仕事を減らしていただくとか、改善してもらうことになります。

 3つ目ですけど、業務改善というのがあります。計画の精度アップのためには、後でご紹介しますけれども、企業の中では、どういう仕事をどのぐらいでするのかなど、標準時間というのが大体設定されていたりします。

 また、ブラックボックス化の排除という形で、だれかしかできない仕事というのを基本的になくしていく。そのための標準化であったり、マニュアルをつくったり、仕事をオープンにしていくという形のものがあったりします。

 あとは仕事自体の全体量を減らすという形で、これはアウトソーシングであったり、IT化であったり、その仕事自体をかなり軽減させていくものがあります。

 あとは時期によってですけれども、波が大分ありますので、山谷を平らにするように平準化をしたりだとか。仕事量の多い時期には仕事を細かくして単純化して、ほかの人に入っていただく、これらを行うことによって大分時間の削減というのは可能になってきたりします。

 ただし、今お話ししましたけれども、平準化であったり単純化というのは、やっている業務自体をきちっと見えるようにしていくというのが1つポイントになります。そうしない限りは、おそらく業務改善にはまず結びつかないというのがあったりします。

 残業時間、ほかの時間も含めてなんですけれども、どう時間を把握しておくかというのがあったりします。当然のことなんですけど、残業時間を削減するためには、まず時間の把握がなければ対応できないという形になります。

 企業の中では、おそらく教員の方々とそんなに変わらないと思っていますけれども、営業の方、SEやプログラマーの方と、職種がそれぞれ分かれております。営業の方であれば、月であったり週の活動計画をきちっと出します。どういうお客さんにどれだけ回りますか、どういうことをしますかというのをきちっと計画を立てるわけです。おそらく教員の方々が大体年計とかをきちっとつくられているのと一緒だと思いますけれども、そういうものをきちっとつくっていきます。実際にお客さんに行ったときの滞在時間はどれだけなんですかというものを、日報であったり、もしくは週報をつくって、時間の管理をマネジメントのほうはしていくという形になります。

 必ずしもお客さんというのは同じじゃありませんので、お客さんが違うことによって、当然営業の仕方も全然違ってきますので、そういう管理を一緒にあわせて行っていくという形になります。

 またソフトを開発されている会社ですと、SEとかプログラマーという職種の方がいます。担当者によってはかかわっているのは1つというのもありますし、複数のものにかかわっているものもあります。日々仕事をやっていく中で作業報告書をきちっとつくって、プロジェクトの関わった仕事について時間の管理をしています。

 このスライドはシステム開発の流れです。まず上のほうですが、管理職がいて、担当者、実際システムをつくるプログラマーであったりSE、あとはほかの部門もしくはお客さんがあったりします。縦方向にそれぞれ仕事の流れという形になっています。受け付けがあって、あとは担当者の検討、計画、作業、報告、改善の指示という形になっています。お客さんもしくはほかの部門から仕事の依頼が来て受け付けをします。

 管理職の方がその仕事を受けて、担当者の振り分けというのを行っています。そういう中では、じゃ、こういう仕事だったら標準的にどのぐらいの時間でできるのかなと。それは管理職をやっているので経験があるわけですから、おおよその時間が分かるわけです。必ず本番の時間があります。例えばプログラムをつくる時間があります。その前処理として調査をしたり、後処理としてバグ取りをします。そういう標準時間をある程度管理職の方は持っていますから、その時間を目安に時間の算定をします。

 そのときに今度は割り振る人というのがいますので、SEとかプログラマーの方のレベルというのを見ていきます。例えばこの人だったらば10時間のものを10時間でやるな、もしくはこの人だったら10時間のものを12時間かかるな、もしくは15時間かかるなと、それぞれ経験であったり能力であったり、そういうのを見ながらレベルを考えていって、時間算定をします。

 担当者が決まった段階では、今度はスケジュール表をつくって、それを実際に月間の予定表の中に入れていったり、あとは実際作業を行い、日々作業報告を出していって、その中で管理職が作業改善をします。

 一般的に作業スケジュールの検討なんかを行うときは、こういうガントチャートをつくりまして、それぞれ月だとか週単位で実際どういう仕事を行っていくのか、上は計画で下が実績という形になります、こういう表を担当者がそれぞれつくって、自分自身で時間の概念を持って仕事を進めていくという形になります。

 月間の業務予定表という形でそれぞれ担当者がいます。例えば小林だったり、加藤であったり、佐藤、田中という形で、それぞれ1日置きに大体どういう仕事を行っていくのか、主な仕事だけを書く形になりますが、そういう仕事の割り振りの概算を行っています。

 実際に作業をやった段階で、日々出す報告書としては、これはある会社のものをそのまま持ってきましたが、自分のやった仕事の客先名を書いて、朝9時から11時半まで2時半ぐらい設計をやりましたよとか。大体1日、9時に出社して、17時25分に退社して、8時間25分働きましたよと、それぞれ会社の終了の時間、作業時間という形で。あとは作業分類として、外出して何かあったのか、社内で何かあったのか、そういうものの分類コードをつけていくという形になります。ただ出社と退社の時間だけをつけるのではなくて、1日あったことをそれぞれ細かく書いていくという形になります。

 これは企業のレベルによって記入時間の単位が違い、例えば1日ぐらいのレベルであったり、半日であったり、ここの会社はちょっとレベルが高いので、5分ぐらいです。そのような感じで時間の単位というのがあったりします。それぞれ組織の環境なんかを配慮しながら時間単位を決めていくという形になったりします。

 こういうものを見ながらスケジュールをつくって、実際作業をして、評価をして、改善していく。PDCAのサイクルを回しながら、人数が必要であれば、管理職から見て、もうちょっと人を投入して仕事をやっていったほうがいいのかなとか、そんなふうに使います。ですから必ず計画があって、そのときには日数の算定とかを、管理職の人がきちっと作業を割り振り、わかるような形のものを必ずつくっているのが多いと思います。

 まとめという形になっていますけれども、企業では仕事を行う中で、ただその本番だけが仕事ではなくて、時間がどれだけかかったのかとか、どういう課題があったのかとか、そういう報告までが仕事になっています。何かしたらそれで終わりではなくて、必ず報告をしていただくという形になります。時間を把握することで、進捗、順調に進んでいるかどうかというのがわかります。学校の中の分掌なんかでもおそらく同様のことをすれば、それが順調なのかどうかというのがわかったりします。

 少なくとも次の取り組み、次年度であったり、もしくは同じような仕事をやるときには、ある程度その実績の中の時間によっては、次の仕事の基準となるわけです。今度同じような仕事が来たときには大体どれだけ時間がかかるのか、要は計画の精度というのも大体高くなります。

 実際改善するときに時間は物差しの一つとなります。時間を管理することによってその時間を短くするという目標を持ち、実施して評価となっていくという形になります。

 企業においては一応このような形で時間の管理を行っています。私のほうは以上です。

○ ありがとうございました。じゃ、これから1時間少し時間がありますので、その時間を使いまして、今、事務局からご説明のあった資料2、資料3と、あとは、今委員のほうからご説明があった資料4を一つのたたき台としながら、これから教員の勤務時間の管理の在り方、また具体的方策について、ご意見を賜りたいと思います。ご自由にどうぞ。

○ 私は、資料2のまとめ方なんですけれども、教員の職務の特殊性と、それから勤務の実態ということを考えたときに、この資料2のまとめ方については違和感を非常に覚えます。と申しますのは、資料1のところでもって示されております今後の教員の勤務の在り方の方向というのは、これはまさしくこのように考えていって、教員の負担の軽減等にさまざまな工夫を凝らしていく必要があるかと思いますけれども、資料2のほうで、1でもって教員の勤務時間管理の現状ということを分析されています。

 これはまさにこのとおりだと思いますけれども、例えば(2)のマル1の中に記載がございますけれども、「このような業務の処理について管理することが困難であると思われている」といったまとめ方をされています。

 それからマル2のところでも、「管理職が直接目視できないため、管理することが困難であると思われている」と。困難であると思われているということは、困難であるけれども管理しようと思えばしっかり管理できるんだと、そんなような流れの中でもって勤務時間管理の必要性ということで、2のところに入ってきていると思うんですけれども、ここに書かれている、まさに管理することが困難であると思われているその中身というのは、これはやはり突き詰めていくと、どうしても教員の勤務の実態の中には、厳格な時間的な管理になじまない部分というのが非常に多く存在するのではないかと思います。どうしても最後は包括的な評価といったとらえ方にしていくことが適当なのではないかと、私はそういうことを思っています。

 これは例えば具体的な例で申し上げますと、前回私のほうでご報告申し上げましたハマ・アップ、教員の授業力を改善するために、教員が授業づくりのためにそこに来ているんですが、これは実は夜来たり、それから休みの日に来たり、休業日に来たり、そういう実態があるわけです。そういうことについても今は、その教員がやっている中身によっては、これはまさしく勤務としてとらえてもいいような実態もありますし、それから自己研修という範囲でとらえるべき内容があろうかと思いますけど、そういうものも含めて見ますと、それを厳格的な時間管理という中で評価することは非常に難しいのではないかと思います。

 それから、学校の先生は即教壇に立つわけですが、新人もベテランも、同じように授業づくりとか授業研究ってやるわけです。私は報酬というのは、成果に対して支払われるべきことが基本でありまして、努力のプロセスを評価することも一定の必要があるかと思いますけど、努力の部分、例えば同じものをつくるのに新人は10時間かかる、ベテランは2時間で終わる、そのことをどう時間管理するのかというのは、教員の場合に非常に難しいのではないかと思っております。

 ですからそういうことを考え合わせますと、これはまた初めの話に戻りますけれども、現在のいわゆる給特法の中で教職調整額という、教員の勤務について一定程度の管理はしつつも包括的に評価して、それに対して手当てをすると。ただ、この手当ての仕方が一律だということは、非常に努力している人と、それから成果を上げている人と上げていない人とが一緒になる。実際やっている人とやっていない人が同じ扱いというのは何とかしていかなければいけないと思いますが、その今の仕組みの基本をゆるがすだけの内容というのは、この間、相当年月がたっていますけれども、まだないのではないかと思います。

 そういった意味で、この資料2のまとめのところで、私はこれを読みますと、やはり時間管理というか、その辺でもって超過勤務時間で措置をしていくというような、そんな流れではないかということで議論していくことなんでしょうけれども、そういったことにちょっとこだわりを覚えますので、教員の勤務の特性を考えたときに、このまとめというのはちょっとなじまない部分があるのではないかなということで意見を申し上げました。

○ ありがとうございました。今のも一つの論点にはなるかと思いますけれども、ほかに自由にどうぞ。

○ 今お話がありました教職調整額については少し置いておきまして、今配付されております資料でお話ししたいと思います。資料2で時間管理の必要性について、資料3で現行制度における具体的な方策についてとありますが、私は具体的な方策と必要性の認知と合わせて100とすれば、必要性がわかるということが、おそらく80%くらい重要なことなのではないかと思います。必要性がわかればその具体的な方策というのは、やろうと思えばいろいろ手段が見つけられるわけですが、やはり管理職の方に必要性を理解していただく、そして管理職の方が教職員の方に必要性を理解させていくということが常に重要だろうと思うのです。

 資料2の1(2)で、不十分な状況である理由を3つ挙げられておりますけれども、私はそれぞれある意味当たっていると思うのです。教員の仕事、教育という観点から言えば、ほんとうに教育というのはどこまでやっても際限がない、切りがない、また教育者として自分を高めるためには、ほんとうに自己研修というのは際限がないものだと思いますけれども、やはり今の学校教育ということを考えますと、学校という一つの組織体として、年度年度の重点目標をきちっと決める、また中長期的な目標を決めて、それを実現するために何をしなければいけないか、またどういう力量を教員が身につけていかなければならないかということを、やはり組織として共通理解するというのがまず大前提だろうと思うのです。

 今まで、(2)のマル1に書かれている、「どれだけの時間を費やすかなどについて各教員の個人の裁量に大きく委ねられてきた業務」があるということですけど、例えば私が知っている例でも、あまり授業力といいますか、教科指導の力量がないのに、非常に教育相談に関心を持っていて、そういうことの勉強はよくやる、外の研修にもよく出ていく、しかし授業に関しては管理職が非常に困っているという例もあるわけです。

 ですから私は、今は、例えば学年主任ですとか、教務主任ですとか、生活指導主任ですとか、それぞれの分掌のグループのリーダー的な役割を果たしている教職員が、個々の教員の伸ばすべき力量ですとか課題などを把握しながら、管理職も含めて、どういう校内研修をやったらいいか、どういう重点目標をつくったらいいか、どういう学校経営をしたらいいかということを考えながら、やはりその1人1人の教員に、まずこういう力をつけて欲しい、こういうことをやってほしいということを示せるような組織であることが必要だろうと思うんです。

 それから、時間管理が不十分な状況の理由のマル3ですが、ここは私も、「管理職が教員の勤務時間を管理する必要はないという誤解がある」という表現はやや誤解かなと思うのです。必要はあると思っているのですけど、管理職というのは一所懸命やっている教員を見ると励ましたくなってしまうのだと思うんです。管理職は元教員ですので、やっぱり頑張っている生徒は励ましたくなる、ずっとそういう中で生きてきましたから、もうやめなさいとか、ここら辺で区切ってこうやったらいいよということよりも、励ましたくなってしまうような習性があるのかなということは感じます。

 そういう上で、出勤管理はどこの学校でも結構やっていると思うのです。私の区でも出勤簿でやっております。時間が来たら出勤簿をしまって、その時点でだれが来ているか、来ていないかということを判断していると思いますけれども、なかなか退勤管理まで意識が届いていないというのが事実かなと思います。

 これは私の区の学校ではないのですが、ある高校に伺ったときに、教頭先生の前に教職員全員の札がありまして、出勤していると黒、帰ると裏返して赤と。返さないで帰ると、必ず次の日教頭先生がちゃんと言うのです。それだけでもかなり退勤管理というのが変わってくると思うのです。ですから時間管理の必要性について、まずどういうふうに管理職、教員が理解していくかということが最も大切だと思うのです。

 やはり今の社会においては、ワーク・ライフ・バランスと言われますけれども、私の教育委員会でも指導主事が遅くまでおりますから、自分自身が豊かにならなければ、自分自身が健康でなければいい指導ができないよとよく言います。私は校長先生方にも、やはり先生方ご自身が豊かになって健康でないと良い教育活動ができないので、遅くまで居過ぎないようにしてくださいということをお話ししております。

 資料3の教育の主な業務に関する勤務時間管理の方法の(1)の授業準備で言いますと、やはり先ほど申しましたように、各学校で学校としての重点目標をどのように定めていくのか、そのためにどういう授業準備をする必要があるのか、そのために組織として、例えば学年としてどういう授業を準備するのか、または教務主任として、また教務部として、初任、若い教員にどういう研修をするのか、そういうような、個々の教員に合わせたOJTを組織として考えていくということが、私はこの(1)の授業準備の大前提に必要なのだと思います。

 それから(2)の緊急補導などの業務につきましては、私の区では学校事故の対応マニュアルというのを、学校の管理職と教育委員会と協力しながらつくっておりまして、こういう場合にはこういうふうに対応するということがすべて網羅されております。そういう対応マニュアルをふだんからきちっと管理職を中心に教職員が周知していれば、ここの部分はかなりスムーズにいくのではないかと思います。

 それから学校外における勤務につきましては、私は出張命令、研修命令をちゃんと書類をつくって管理していくということが大前提だと思います。

 それから部活動の指導につきましては、マル1に「教員は、管理職に事前に部活動指導に関する指導計画を報告し」とありますけれども、私はその前に、授業と同じように、学校という組織として部活動の目的、ねらいをどこに置くのか、もちろんオリンピック選手を育てるというところに置くわけではありませんので、いや、そうしている学校はないと思いますけれど、どういうところに目的、ねらいを置くのか、そのための指導方法をどうするのか、練習量を週何日と考えていくのかと、子供たちの学習、それから家庭での生活、そういうものを総合的に勘案して、部活動の位置づけをしっかり組織としてまず考えていくことが必要であり、重要であると思います。

 その後でマル1のように、個々の教員が個々の部活動の計画を出していくということだと思いますので、やはりその前提に、例えば1週間、7日間練習している部活動も現実にはあるわけですけれども、うちの学校は、学習と部活の両立を考えた場合には練習は3日にしよう、試合を1日入れても週4日以内にしようとか、これは例えばの話ですけれども、そういう組織としてのねらい、練習量、指導方法などをまず前提として考えていくということが、私は大切だと思うのです。

 そういう意味で、これからのことを考えますと、勤務時間管理の必要性ということを認識していただくということが、100のうち80と言いましたけど、遠慮して申し上げましたが、実際は90%ぐらい必要なのではないかなと思います。

○ ありがとうございました。

○ まず、勤務時間の管理ですけれども、出勤時間を管理していない学校はないんじゃないかと思います。この調査の回答の答え方が何かおかしいのかなと思います。もし出勤していない教員がいれば、当然授業に穴があいてしまうわけですから、すぐ対応しないといけませんので、これはどこの学校でもやっていると思います。

 それから退勤時間については、もう残業が当たり前になっていますので、勤務時間内で帰る人はいませんので、そういう点で若干ルーズになっている面はあるかと思います。

 この資料2で、勤務時間管理が一部で不十分な状況がある理由が3点挙げられていますけれども、私はもっと本質的な理由があるのかなと思っております。それは実態と制度に乖離が生じているということだと思います。

 つまり、今勤務実態調査で、平日、月34時間の時間外勤務があるということが明らかにされたわけですけれども、ところが制度上は教職調整額一律4%で、これは月8時間に相当するものですから、全然足りないわけなんです。しかし教員は時間外勤務をやっても、手当というか、お金が増えるわけではないことは十分承知しています。にもかかわらずやっているということは、やらざるを得ない状況がある、やらなければならない、そういう使命感でやっているわけなんです。

 学校というのはやっぱり、校長と職員が一体とならなければ運営していけないところで、特に中学校は生徒指導もありますので、なおさらそういうことが言えます。ところがこの勤務時間の問題というのは、校長や教育委員会にとっては昔からアキレス腱なんです。実態とその制度が乖離しているために、ここは職員団体との話し合いでもなかなか一致点が見出せない。それを今までは、教員の給与が優遇されているということと、それから教職調整額というこの制度が、時間外勤務を包括的に評価しているんだという説明で、うまくおさめてきたわけです。そういう意味では教職調整額制度というのは非常にすぐれた制度だと思っています。

 そういうことで、もしきっちり時間外勤務を管理したら……。自己申告させればすぐできることなんですけれども、それをやるとほんとうに現場がぎすぎすしてきます。やったからといって、じゃ、手当が増やせるのかと。やるんであれば、きっちり勤務実態に見合う手当を支給すべきだと思いますけれども、その辺がやっぱりきっちりできないところが背景としてあると思います。

 以上です。

○ ありがとうございました。

○ 今の先生方のご意見も大変よくわかるんですが、私は労働法を専攻している立場から申し上げますと、この資料の中に、労働法制上の責務というのがございます。ここで労働基準法32条が適用になっているということもございまして、今までのお話というのは非常によくわかるんです。あるいは民間企業でも実態と制度が乖離しているというのは、非常に今でも問題になっている。

 それを承知の上で申し上げるんですが、しかし32条が言っているのは、例えば週40時間を超えて労働させてはならないという禁止をしているわけです。実はこれは必ずしも時間外手当との関係で日本では考えているわけではなくて、ストレートに言えば、週40時間以上、特別な場合以外は働かせちゃいけないんだよと、こういう話でございます。今これがどういう角度から注目されているかという点でお話を申し上げますと、実は時間外手当云々という以上に、先ほどご紹介もございましたが、労働安全衛生面からのアプローチが非常に強いというのが実情でございます。

 世に言う過労死、過労自殺という問題に関連してくるわけでございますが、結局長い時間働くということが、精神疾患を含めたうつ病の要因になるというのも基本的な考え方になり、先ほど出たように、現在では法定時間外労働月100時間を超えると、精神疾患を発病した、あるいは過労死が起きたという場合には非常に因果関係が強い、あるいは月80時間以上というものが3カ月続いているというようなことが言われているわけでございまして、今1つ、月60時間以上が精神疾患に影響があるという考え方が、裁判所でも大分取り入れられてきている。ここの関係をどう考えるのかという視点も、あわせてお考えいただくほうがいいのではないかと思いました。

 といいますのは、先ほどご報告があったところのように、必ずしも細かい実労働時間管理というのをしろという話ではなくて、逆に言うと全くしていない、例えば裁量労働という形態がございますが、こういう場合に会社が安全性、あるいは労働者の健康ということに責任がないのかというと、そうではなくて、実は安全配慮義務があるんだというのがもう基本的な考え方になっておりまして、これは学校といえども全く同じということになっているわけでございます。

 そういたしますと、把握の仕方の問題は、多様なパターンがあろうかと思って、何か労働時間管理というと、ぎちぎちの実労働時間管理でなければいけないというイメージがあろうかと思います。しかしそういうことではないんだけれども、最終的に、じゃ、あの先生は一体何時間働いていたのか、週どのぐらい働いていたんですかということを答えられないということは、実は管理職の立場としては許されないという側面もあろうかと思いまして、標準作業を確認するためという観点と同時に、法制的な責任という観点もあるという点を、実態との乖離があるにもかかわらず強調せざるを得ないということをご配慮いただければと思います。

○ ありがとうございました。

○ 同じようなことをやや違う角度から言うことになるかと思いますが、勤務時間管理の話は、このワーキンググループでは最終的には給与の話につながっていくということになると思いますし、この場でもそういう議論があちこち発言として出ていたかと思うんです。

 確かに勤務時間管理の在り方というのは、給与の問題とリンクされた場合に、その在り方が変わってくるというか、決まってくるという部分があるかと思います。まさに時間外勤務手当を労基法と同じ割り増し賃金という形にしたら、基本的には分単位で正確に時間をカウントする必要というのは出てくるという話。

 ただ、そこに行く前にというか、最終的にはそういうところに行くと思うんですが、給与制度の在り方がどうであれ、勤務時間管理というのがやはり必要なものとしてあるんではないかというのが、多分今回の話のメーンのテーマだと思っていまして、そういう観点から言いますと、ここで出てきています資料2の勤務時間管理の必要性のマル3は、やや形式的な話ですが、より実質的に考えれば、労働法的な観点からマル2の健康確保という点が重要ですし、あと、マル1の業務の効率化ということも必要なんだろうと思います。

 この資料3の具体的な方策というのは、私の見るところでは、資料2のほうの2のマル3で労基法の規制がかかっているということを前提として、労基法上要求される時間管理の在り方というのはある程度意識して書かれているのかなと思うわけですが、労基法というのは先ほどお話の中に出てきましたように、労働時間の長さの規制と、それから割り増し賃金の規制というのを両方やっている、ある意味両者が一体化したような形で行っているので、少しその割り増し賃金との関係で厳密な測定を要求しているという部分があるんだと思うんです。

 それが出ているので、ちょっと厳格過ぎるのではないかという認識があるかと思うんですが、本来給与制度がどうであれ必要である勤務時間管理の在り方というのは、それほど分単位で厳密なというものである必要はない。おそらくそういうものはやはり必要なんだろうというのが、私の意見というか、コメントです。

○ ありがとうございました。お二人の労働法の専門家からの今のご発言というのは、非常に貴重な観点かなと思います。

○ 失礼します。専門家お二人のお話の後に、何もその辺のところを勉強していない私が物を言うというのは非常に抵抗があるんでございますが、中学校現場に勤めております一教員の考えでございますが、管理のことでございます。

 私たち現場に勤める者も、常に「ホウレンソウ」、何か事があったときに教員が動く、そのときの報告をする「ホウ」、連絡をする「レン」、相談をする「ソウ」ということは、常にいろんなところでこれをやりましょうよと言われております。教員が一枚岩になって動くということの一つのことでもございますが、私たちの勤務というのが、結局勤務時間で終われない、先ほどの資料にもそれが出ていますが、年がら年中先生と言われるわけです。

 私はゴルフはしませんが、日曜日にゴルフをしても先生と呼ばれるし、パチンコ屋さんに行ってもパチンコしながら先生と呼ばれる。先生と言われるとやっぱりどきっとします。なぜなら責任があるからです。やはり公務員ですし、責任というのは忘れちゃいけないと思っておるんですが、そういう意識を持って24時間生きていかなくてはならないと思っております。勤務時間が終わったらもう何もかも解放されるのかといいますと、そうじゃないんです。

 ですから勤務時間の管理ということを適正に行おうとすれば、教育における、学校はここまでしかできませんよ、家庭はここまでですよ、社会はここまでですよという責任の分担が明確にされなくてはならないと思っていますが、現実にはそうではない。何か事があったときに必ず学校の教員が頭を下げます。休みであっても頭を下げます。以前にもお話ししたとおりでございまして、学校に世間、世の中が求めるものが多過ぎるということが1つここにあるんだろうと思います。そういうことを考えれば、先ほど言いましたように、学校はこれ以上できませんよということを世間にわかってもらう日が来るまでは、今のことが続くんだろうと思っておるわけです。

 現実に学校内におきましても、私は中学の国語の教員でありまして、今1年生を担当しておりますが、空き時間というのがございます。時間をとって申しわけないですが、私の今年であれば空き時間が1時間という日が2日ございます。それから2時間が1日、3時間が1日でございまして、これに担任があればまだ減るわけでございまして、さらに道徳の時間が入るか、部活の時間が入る、さらに生徒が持ってくる毎日の生活を記したもの、これを見る。そこからいろんな情報を仕入れて本人に指導するわけですが、大事な時間です。これも1時間はかかります。

 そうすると、中学校の教員でありますが、ほぼ空き時間はなくなるわけです。そこへ持ってきて、終わりましたら部活があります。これは必ず勤務時間を超えますから、それが終わってやっとほかのことに移れるということで、時間的な余裕がまずないんでございます。そういうこともありまして前回も定数の改善というふうにお願いしたわけですが、時間に追われる、ここへ持ってきて生徒指導の問題が入ればもうパンク状態です。精神が参ると先ほど精神疾患のお話がありましたが、気持ちはよくわかりまして、ほんとうに毎日……。

 4月が参りまして転勤の時期が近づいてまいりますと、やはりどこに行かされるかわかりません。公務員ですから、地域の奉仕者ですから、当然どこでも行かなくてはいけないんですが、生徒指導の問題に追われている中学校があります。私の周りにもあります。そうでない学校もあります。どこに行くかで全然状況が違うんです。

 私の知り合いにも、生徒指導主任をして責任に耐えかねてやめてしまった、もうできないという方もいらっしゃいます。そこまで追い詰められる、人生が変わるということもありまして、一概に言えない、もちろん山口県の一地方の話ですから、私も全国すべて知っておるわけでございませんが、教員の勤務というのは非常に特殊であるということは、皆さんにご承知、ご理解をいただかなければいけないことだと思っております。その上で時間管理がどこまで必要なのかということも大事になろうと思います。

 ちょっと取りとめのない部分もございました。お時間をとりました。失礼します。

○ ありがとうございました。

○ 私といたしましては、勤務時間の管理の必要性、これが最も大事じゃないかなと。特に管理職がこれを意識することが最も大事なことではないかと思います。教職員1人1人把握するのも非常に難しいとは思いますけれども、これは手当とか調整額とかいうのは別にしても、要するに勤務時間の管理というのは当然必要だろうということではないかと思います。

 教員が行うべき仕事が多過ぎるということで、この統計も出ておりますけれども、具体的に何が行うべき仕事なのかを明確に区分できないというのも、今お話がありましたよね。そういう実態かとは思います。それから頑張っている教員を褒めていかなければならない、これも十分わかることはわかります。

 しかしながら、教員の仕事の中で、果たしてこれが自らやっている仕事なのか、あるいはほんとうの職務に基づく職務なのか、その辺が区別できない部分が非常に多いということですね。明確に区分できない、これが一番問題ではないかと感じております。

 それと、自己満足のために時間をかけて、しかもだれも見もしないようなというと失礼になりますけど、見ないような資料、あるいは研究の成果を分厚い資料にまとめて満足しているような形で、しかもそれに時間を費やすというのではなくて、もっと教員の資質向上に具体的に当たるようなことをやりながら、この業務管理を行っていくということが必要かと思います。

 それと、先ほども出ましたけれども、出勤管理が把握できていない学校というのはまずないんじゃないかと。授業に穴があきますので。ところが退勤管理につきましてはそれぞれでありまして、帰った個々の職員の具体的な時間というのは把握できていないんですけれども、最後に帰るのは教頭なんです。教頭は最後にすべての人が帰ったというのを確認して帰っていきますので、そういった意味では把握しているのかなという実態ではあります。

 要は、教職員の健康管理上、あるいは業務の執行管理上、管理職として必要なことをやるということでして、その結果、現状では教頭が一番過重な勤務になっているのが実態ではないかと思いまして。とにかく管理職が意識して勤務時間管理をしていただくというのは、非常に大事なことではないかなと思います。

○ ありがとうございました。

○ 今まで多くの委員さんがおっしゃったことと同じようなことになるかと思いますが、私は3つほど。

 学校というのは時間で動いているわけですから、時間の意識がないということは絶対あり得ないんです。ただ、資料3の参考というところを見ていただきますと、びっくりするんですが、例えば、勤務日1日当たりの授業及び授業準備に要している時間、小学校で3時間17分、授業準備58分、中学校は2時間40分、標準準備1時間1分ですね。これを見ると、あれ、1日8時間の中でこんなに少ないかと思われがちなんですが、何が言いたいかというと、時間では測れない部分で多くの先生方が多忙感を感じている。時間ではかれる部分というのはわりと把握しやすいんです。その辺のところをどう改善するかということが1つだと思います。学校は時間で測れない部分がたくさんあるということです。

 2つ目は、やっぱりこれは多くの皆さんがおっしゃっているように、管理ということについては、学校の先生あるいは管理職も非常に抵抗感を感じている。時間を管理する意識というよりも、むしろ指導を優先するという意味です。私も学校長として3つほどやったんですが、例えば朝、大体の学校が朝会というのをやるんです。職員朝会をやったときには、大体職員室の机にみんなが並んでいるかどうか、座っているかどうかということ、それはちゃんとしているんです。そして、例えば職員室で出勤の状況を把握するところもありますし、あるいは今だと、各クラスの出席状況を担任が把握して、それを書き込むようなボードを設けているところも多くあるんです。

 そういう意味で管理というよりも、学校の児童生徒の学習活動が円滑に動いていくかどうかということ、そういう面で学校の先生は意識を強くしている。

 もう一つ、そういうことで本人、先生が何をしているかというと、例えば私は、1週間何をやったか、この年になると忘れることがあるんですが、手帳に今日何をやったかというようなこと、何時にどういうことをやったということを記録するということです。多くの先生は年間の指導計画に基づいて、月の指導計画、それから週案と言えること、さらには何か自分自身の活動を残していくようなことは、多分やっておられると思うんです。ただ、そういうことについて、自分を管理しているという意識ではなくて、それは何度も言いますけれども、学習活動が円滑に行われるかどうかということについて記録をする。

 最終的に私たちがここで検討しなきゃいけないのは、学校が今やっていることについて、既にいろんな状況を把握するような仕組みはあるんですけれども、それを客観的なデータとして残すというような意識改革が必要ではないかと。それが結果的に、学校で行われている業務、それから1人1人の先生方が自分自身で行っていることについて、客観的にわかるようにきちっとデータに残すような、そういう意識改革をすれば、かなりの部分は改善されるのではないかと思います。

 3つ目は、ただそう言いながらも、確かに学校の先生のいろんな勤務の状況を見ていると、まだまだ効率的、能率的に、学校という組織として勤務を改善する余地はたくさんあると思います。これからの私たちの検討課題として、今の学校の勤務は確かに忙しい、いろんな課題はあるんですけれども、状況を把握したりいろんなことによって、先生方1人1人が、あるいは組織として、効率的、能率的に活動ができるような仕組み、改善の余地を検討する必要があるのではないか。その3つを申し上げたい。

 もう一つ最後に、資料1のこのデータは注目すべきですが、一番下、教員の仕事はやりがいがあるという、これは明るい材料として、小学校の先生も中学校の先生も、今なおこれだけの多くの先生方が、今やっていることを、非常に多忙感を感じながらもやりがいがあると感じておられるということについて、私たちはこれを真摯に受けとめて、ある意味では、こういう気持ちがなえないうちに改善を図る必要があるのではないかと思っています。

 以上です。

○ ありがとうございました。

○ 私は今まで先生方のいろんなお話を聞かせていただいて、そしてこのテーマである、今後の教員の勤務の在り方について、勤務時間の管理について考えたときに、今までの先生方に押し寄せてきているさまざまな教育制度改革というのが、先生方に非常に負担がある環境をつくり出しているということで、先生方の負担を軽減させる制度改革があまり進んでいなかった。

 つまり教育勤務の在り方というのは、先生方の負担を軽減する制度を持ち込めば、先生方はおのずと負担感が減ってくるということは間違いないことで、そのことはどういうことかと申し上げると、まさしく資料1の2に書いてある、先生方は授業を中心に働きたいというお気持ちが非常にお強いので、授業を中心に働ける環境をつくってあげる、それ以外の部分に関しては、先生方でない環境を学校の中に取り入れて、そこでサポートしていく。この辺をきちんと中央教育審議会として各学校に取り入れていくことができないと、今の状況はずっと続いていくのではないかと考えています。

 それともう一点、ここに10時間という先生方の労働時間が出ていますが、それは当たり前で、子供たちが朝8時に来て、大体6時ごろ帰るとなれば、その時間、先生方は帰るわけないですよね。ほとんど先生方というのは、子供がいる間はいようとしてしまいますし、そこでやはり何らかの面倒を見ようとするわけですから、その10時間という勤務時間は確かに働いてしまうという時間帯であって、それならば、夏休みや春休みや冬休みという休みに、どれくらい先生方の体力を軽減できるような健康づくりができる環境を学校が生み出すかという、その制度をきちんとマネジメント管理してあげないと、それは先生方も休みにくい。

 夏休みに我々PTAでよく思うのは、夏休みほどPTA会長がしょっちゅう呼び出されていろんな研修大会であいさつをし、1日中そこで研修につき合って、先生方がどんな努力をしているかをずっと聞かされ……。大体PTAでいろんなご論議が出るときに、先生方からは、PTAや保護者対応が大変大変だ、これが軽減されると自分たちはものすごく負担感が楽になるという言葉を聞かされて、我々PTAはどう取り組んだらいいかとまた考える。

 先生方も負担感があるかもしれないんですが、我々も先生方と対立はしたくないわけですから、よりよい環境でいたいと思っている、それがPTAなので、保護者対応とPTAを一緒にしてほしくないなと日ごろ思っている立場でございます。もしかしたらPTAのお力をうまく活用されれば、先生方はもっと負担感は軽減できるのかもしれない。そんな意味では、もう少しPTAをよりよい方向に導いていただければ大変ありがたいと思っています。

 最後に、先生方の時間の管理の問題がございますが、教職調整額というのは、先生方がそれほどさまざまなことに対応する職として与えられたということの中で、一定額を上乗せして、自由に先生方が子供たちのためにさまざまな努力をされて結構ですよと思った額だと私は思っています。労働時間外で働く、それは自己研修なのか、自己内なのかというのは、これはやはり先ほど皆さんが論議されたように、きちんと項目をチェックして管理されないと、本人の研さんのためにやっていることなのか、そうでないのかというのは見えない部分があります。

 ただ、先生方はそれほど我々保護者や子供たちのあこがれでもあるものであるし、そういう方たちの仕事を選ばれた誇りとして、その辺の部分に関して、ぜひこの教職調整額で頑張れる方、頑張れないという言い方は申しわけないんですが、うまくこの辺が調整できて、それぞれの先生のご満足いただくところまではいかないにしても、教員になってよかったというような給与体系になれば大変ありがたいと思っております。

 もう一点、最後に申し上げさせていただきたいんですが、先生方の現場で、ほんとうに何かを解決しようとしたときに、先生方はすべて時間の中で物を考えてやっていらっしゃるわけじゃないんです。そして学校の校長先生で1つだけかわいそうだなと思うのは、先ほど委員があそこで画面で申し上げられたけど、この仕事が来たときに、このプロジェクトでやりましょうといって、この人はこれくらいの時間働けて、このくらいの処理ができる、この人はこうと、すべての学校にすべて同じ状況で、生徒に合わせて、それが対応できるだけの能力の概数が当てはまったような学校体制がとれているか。

 つまり教員の先生方で、社会の先生は、この人はAランク、この人はCランク、この辺のバランスを合わせると大体このくらいで、平均が10のうち5とするならば、大体平均5になるようにすべて人材配置ができているかとなると、そこは難しい部分がある。逆に、非常に新人ばかり預けられる学校の校長先生はとても大変だと思います。それは管理しようと思っても管理ができないところです。

 そんな意味では、先生方の能力もやはりABCDEFGぐらいまでチェックして、それを5段階で大体平均になるように各学校に配置してあげて、管理職が管理しやすい環境を整えてあげる。この考え方は少し入れていかないと、先ほどのように、管理職がある時間内ですべてをやってしまうというような学校にはできないとは思います。それができればもしかしたら、10時間が9時間にはなるかもしれない。

 ただ、子供がいる限りにおいてはやっぱりなかなか厳しいものがある。それは先生方の在り方を考えるというよりも、先ほど言ったように、管理職がいても帰れる、生徒がいても帰れる、この日は帰るとか、民間会社で導入している、そういうフレックスタイム制の導入も少し考えなければできないのかなと思います。

 以上です。

○ この作業部会でいろいろ議論するのは、まず1つは教員の超勤に伴う勤務時間の管理の問題と、もう一つは、今の超勤手当がどうなのかという話だろうと思いますが、今日提起されている問題は主に、やっぱり時間管理というところに焦点が絞られているわけです。というのは、これは平成18年に文部科学省で調査されたときの教員の勤務実態が、昭和41年には8時間だったのが、今の場合はもうほとんど38時間以上になっている。約5倍増えている。それから今日も説明がありましたけれども、教員のそういう勤務からきた精神疾患というのが非常に統計的に増えている。休職者の6割以上行っているわけですね。

 というような実態の中で、今のままでは教員の置かれている職務実態が極めて劣悪だと。そしてそれに対して今、労働法の先生方から言われたように、果たして労働法規上どうなのかという問題まで提起されてきているわけです。これを見ますと、今日お配りいただいた参考資料4では、初中教育局の企画課長ですか、担当者もいらっしゃるようですが、こういう通知をされているわけですね。この通知は現場で守られているんですか。なぜ守られていないんでしょうかというのもあるわけです。

 やっぱり管理といってもいろいろあると思うんです。業務内容の管理もいろいろあろうかもしれませんけど、ここで言っているのは、まずはやっぱり勤務時間の管理をどうするか。やはり週40時間労働が労働基準法で決まっているわけですから、そうすると、この40時間労働がどう守られているか、守られていないか、なぜ守られていないかということなんですけど、まず問題は、守られているかどうかというのを、時間管理といいますか、勤務時間を掌握するということが非常に大事なんです。まずそれから始まっていかんと、今の学校現場の教員の勤務対応の改善といいましょうか、あるいはなくすのは非常に難しいんじゃないですか。

 この間の平成18年の文部科学省の調査でもそうなんですが、大体今ありましたように、過労死のおそれがある状態が2割ぐらいあるというんですよね。それはほうっておいていいのかというのが非常に大きな問題だと思います。それは一義的には、雇っている各教育委員会の理事者側の責任は非常に大きいわけですから。

 ただ、労安法の関係で見て、私のときも労安法はあったんですが、学校現場に労働基準監督署が指導に入るというのはほとんどないんです。そうすると、労働関係法から全部学校現場が外されているかというと、そうではないです。労安法はちゃんと適用されているんです。適用されているから、それに基づいた一定の労働法制関係の整備をしなくちゃいけない。例えば委員会をつくるとか、いろいろな形で出てくるわけですけど、ほとんど今そういうものをつくっていないような感じがするんです。

 そういう意味で私は、資料2に出ているのは問題提起だと思いますから、それはそれでいいと思います。ただここで、「非常に困難であると思われている」ということについて意見もございましたけれども、逆に、これを困難になさしめないような方法はどうなのかということで、これは資料3に幾つか提起されていますね。

 具体的に現在の給特法の関係で超勤を認めないという形になっていても、勤務時間をきちっと把握するために、例えばここにあるタイムカード、ICカード、そういうものを生かして、先ほどからありましたように、このくらい出勤時間はきちっと把握されているけれども、退勤時間はあまり把握されていないというのは幾つかの理由があると思いますが、これもきちっと把握してみれば、現場における教員の勤務実態、特に時間の管理の実態というのが出てくると思うんです。

 そういう意味では現在は、管理職の皆さんも非常に困っていらっしゃると思うんです。どうすれば把握できるか、なかなかできない、そういう状態ですから、それをやっぱりどう解決していくかということが非常に大事なことだと思いますので、ここにある資料3の時間管理の具体的な方策という形について、一歩でも二歩でも具体的な前進があるような議論をしていったらいいんじゃないかと思います。

○ ありがとうございました。

○ まず、やりがいと負担感というところですが、私はちょっと別な切り口で把握してみたんですが、計画的に仕事を進める、授業を充実させる、授業の中でパフォーマンスを上げていくということについては、提供する側として計画がしていける、時間管理もしやすいし、標準時間も出しやすい。それで今までですと、そういう提供するもので満足していただけた。

 ここへ来て負担感が多いのは、説明をしてください、うちの子供に対してなぜこうなのか、または学校がなぜしてくれないのか、また一方で、こういう報告書を上げてきなさいと、求められるものに対する負担感が大変多様化してきて、個々に合わせた答え方、応じ方をしていくための負担感というのがあるんだと思うんです。

 学校というのは子供に対する教育ですから、全般的なものであって、30年、40年前の教育で言えば、提供するものを充実させればよかった。これはこれからも変わらないだろうと思っていまして、例えばカウンセラーを入れて、その分お任せして、切り張りでやれるとは思えません。ただあまりにも多様化して、専門的な回答、個々に応じて対応するためには、学校の教員の持っている能力だけでは対応し切れないから分かれていくというのが、方向性としてこれまで出された議論でいいんだと思います。

 同じように時間管理の問題についても、管理ということの抵抗については、働きたいのになぜ働けないか、早く帰れと言われるかというところの人たち。大事なことは、労働法もそうでしょうけれども、今日は働けないんだけど残れと言われる、もしくはそれが言えないという人たち、声を出せない人たちをどう守っていくのか。結局声を出せない人たちが最終的に精神的な疾患になって、倒れるまで我慢せざるを得ないということもあろうかと思うんです。

 このあたりの二面性があって、私のところでも、働きたいと、このやりがい、モチベーションは大事にしたいんですけど、主に時間管理をして私が管理職として見ているのは、黙っていて負担のある人、例えば若い世代がいろんなことを習いながらやっていく、同じ指導でも、授業準備を2時間やらないとベテラン教員に追いつかないというときに、やっぱり先輩教員に、すいません、1時間で帰らせてくださいと言えない組織もあるのかもしれません。その黙っている人たちに目を配るためにはどうしても時間管理をして、大丈夫ですかという声をかけていく必要があるだろうと思っています。

 そういう意味では、教員の仕事は個人の裁量にゆだねられたという文言がありましたけれども、個人商店的な総合的な判断、総合的な企画力、総合的な実行力が必要ですけれども、実はそれが見えてこない。それぞれの能力、技量の中に隠されていて、仕事が見えるようになっていない。そういう意味では、全部当てはまるとは思いません、地域や学校サイズなどによっても違うんでしょうけれども、先ほどの大体標準時間という考え方を組織として持っているのが大事なことなのかなとも思いました。

 いずれにしても、この時間管理というのは超過勤務手当の問題とはちょっと切り離して、もう既にやるほうが望ましいというふうにも出ているわけですし、やりなさいというふうに出されているわけで、このことをどう活用していくのか、このことを使って何を管理職として見ていくのか。仕事をしないでいいですなんてだれも言っていないわけですから、負担の公平感だとか、業務の平準化だとかいう、これまでに出されてきたような方向では、やっぱりさらに工夫をして実施されていく方向で進めていく必要があるだろうと私は思います。

○ ありがとうございました。

○ 教員のいろんな仕事の中身からいっても、確かに時間で測れない面はたくさんあるというのは当然ではないかなと思うんです。したがって、教員の勤務時間管理というものが、それだけで何か事が解決するということであるのかといえば、確かにこれだけをやったから問題がなくなるということではないと思うんです。

 ただ、例えば教員の仕事が時間では測れないから、あるいは別の評価をしたほうがいいのではないかとか、社会の考えていることがいろいろあって、なかなか時間管理だけでは巧くいかないというのは、もちろんそれはそのとおりなんですけれども、ただそれは同時に、時間管理をしなくていいという理由というよりはむしろ、私は時間管理が困難であり、かつ難しいということこそが時間管理の必要性を示しているんじゃないかなと、皆さんの議論を聞きながら思っていたところであります。

 つまり、難しいからしない、だからできない、だから何もやらないということのひずみが40年間たまったのが、こういう状況なのではないかなと。時間管理によってそれが魔法のようにすべて解消されるとはとても思えませんが、しかしそういうことが一つのてことなって、いろいろな作用をもたらすのではないかなと思います。

 例えば労働者としての安全を確保するという必要もやはり、時間だけを見たからといって労働者が急に元気になるという話では全然ないですけれども、だからといって時間を全く無視していいのですかという議論には多分ならないんではないかと思うんです。

 あるいはいろいろな教師のさまざまなモチベーションとか使命感というのは、もちろん時間だけで決まるものではないですし、それから個々人の努力とかいうものも、すべて時間だけで決めるものではないと思いますが、いろいろな意味で一つの尺度として、時間という物差しを持っているということは極めて重要なのではないかと。これは使用者としても重要だと思いますし、おそらく国民としても重要なのではないかなと思います。

 前回18年の調査に至るまで、40年間実態調査行われていなかったということ自体が非常に大きな問題で、まさに時間管理の必要性を認識させるものではないかなと。つまり教員の仕事は忙しい、あるいはいろんな人の社会のニーズが変化しているという漠然としたイメージはある。あるいは、ここの学校は困難校であるけどここの学校は困難校でないと言うイメージも漠然としてあります。けれども、具体的には一体どうなのかというデータがない。これだけ文科省がデータを取りそろえていながら、一番肝心かなめの一つのデータが落ちていたのではないかなと。

 そういう意味では、文科省自体が調査をしたということは、やはり勤務時間も非常に重要なデータであるということの確認である。それを一つの切り口として見ていくことが、いろいろな意味で大事なのではないか。またそういうデータがなければ定数改善の要求だってできないわけですよね。今の人数でできるじゃないですかと言われたときに、あるいは、どれくらい働いているんですかと聞かれたら、わかりませんと言うんでは、これは全然対外的には説得力を持たないのでありまして、やはり時間を把握しておくということは、だれにとっても悪いことではないのではないかなと思います。

 唯一心配があるとすれば、時間を把握するために調査が現場に面倒をかけることになり、まさにそれのせいで仕事が増えた、時間管理をするために残業させられた、ということになれば本末転倒なのですが。ただ、やり方に工夫はあると思うんです。時間管理をすること自体は非常に重要なのではないかと。

 もちろんそれによってすべてが解消されるわけではないというのは、当然皆さんご理解されているんではないかなと思うんです。けれども、やはり私なんかはむしろ、この勤務時間調査を毎年ちゃんとやらないほうが問題なのではないかなと思っているところであります。

 以上です。

○ ありがとうございます。

○ 今後の教員の勤務の在り方というところで、皆さん全員がこの方向でいきましょうということが決定されたんだと思います。(3)の勤務負担が軽減され、心身ともに健康に働くというところを、私はとても重要なことだと思っておりました。それが一番軽減されたり、心身ともに健康に働くというところをすぐにできるところが、勤務時間管理なのではないかなと思います。勤務時間管理が今の先生方の勤務状態を改善し、教員を救っていくことにつながるんではないかと、大げさに言えばそのように思います。

 具体的な方策というところに出ておりますけれども、実際に私どもの学校では、学校の組織の目標というものはもう年度当初に示されます。示された上で、自分が今年この分掌の何をするのかということを、評価シート――教員評価という名前です――に記入していきます。この分掌で何をする、この授業では何をしたいということを記入します。

 そうしますと管理職は、大体この先生はこの分掌を遂行するにはこれだけの時間が必要だろうということを推測いたします。大体推測ですので、それがその人の資質によってどれくらい増えるかというところはまた、年3回ある、その評価シートを個人と話し合う段階で、時間の管理についても、あなたはこの分掌は多過ぎたのかということで、相談し合って決めていきます。ですので、今の状態でも勤務時間管理はされていると思っています。

 学校外における勤務については、出張とか、外出とかで、何時までにどういうことをやるのかということで勤務も把握していますし、部活動も、部活動従事伺いとか部活動指導計画等によって、時間の勤務の管理を管理職が今でも十分に行っているのではないかと思います。

 緊急補導などの業務というところが、一番時間がわからないところなのですけれども、その業務につく前に必ず管理職には報告が行っておりますし、管理職もその場にしっかりと立ち会って、勤務時間のその教員だけではなくて、ほかのこともありますので、教員に関しての時間の管理についてはしっかりされているのではないかなと思っております。

 一番最初に申しましたように、勤務時間管理というのはほんとうにこれから重要だろうと思いますし、そんなに負担を多くしなくても現場ではできるのではないかと思っております。

○ ありがとうございました。

○ 失礼いたします。今の方々の話も聞きながらということで、3つ申し上げたいと思うんです。

 1つは資料2にあります、「勤務時間管理が一部で不十分な状況がある理由」云々という、そこのところなんですけれども、この点について、こういう状況だと私も認識するんですけれども、こういうことでもう一段検討を進めていく場合に、やはりこれについての解釈が必要になってくるのかなと。どうしてこういうことが生じているのかという部分の、どうしてというあたりのところについては、少し掘り下げていく必要があるかと思いますし、その際には、組織文化とか組織風土とかいう観点というところから見たときに、やはりこれを成り立たせてきたそれがあってのこれがあるわけですので、そのところをどう評価していくのかということかと。

 新しいこの考え方を入れていこうとする場合ということなんですけれども、時間管理というのを入れようとすると、ある組織文化からは大変抵抗を増すということが十分考えられると思いますし、一方、これに存在する組織がなじむ時間管理の導入を図っていこうとすると、比較的スムーズに組織の中に受け入れられるということだと思うんです。確かに先生方というのは、管理をする、しない、されるということを非常に嫌う気質を持った方々であるかと思いますし、管理という言葉を聞いただけで、その後は思考が非常にという場合もなきにしもあらずというところがあるわけで、それは長年の教育界のそういうものがあっての現在に至っているわけですけれども、ある意味ではそれ自体が一つの今日的状況をもしかすると生み出している、こういう言い方もできるんじゃないかと思うんです。

 そういう意味では、新しい方策を入れる場合に抵抗感を増す、あるいはそれを減ずるというんでしょうか、そういう観点から時間管理の在り方の導入を図ろうとした場合には、どういう道筋、方策があり得るのかという検討が必要なんじゃないかと思います。そういう意味において、この解釈というのをさらにやる必要があるかと。

 2つ目ですけれども、既にご指摘がありましたように、この勤務時間の管理を取り入れる必要性ということをどれほど訴えることができるか、受けとめてもらえることができるかというところに大きくかかっている、私もその点については異論はありません。

 そうした場合に、これが学校改善に寄与するということ、あるいは現状のさまざま状況に対して一定の改善を提供する考え方であり、手法なんだということを、どういう形で説得力を持って提供できるかということだと思うんですけれども、学校経営、学校のマネジメントの将来ビジョンというんでしょうか、その中でこれが一つの手だてとして考えられるんじゃないかという持っていき方、提起の仕方があるかなと思っております。

 その中で一つのキーワードはやはり健康かなと受けとめさせていただきました。個々人の先生方の健康ということと、それから組織の健康というんでしょうか、要するに、このままの状況でいくと、個々人にしても組織にしてもかなり危うい状況、もう既にそういう状況に来ているという認識もあるんじゃないかと思うんですけれども、そこのところの状況を変えていく場合にという提起、提案の仕方があるかなと思いました。

 3つ目ですけれども、そうすると、やっぱり申告というのをどう考えていくのかというあたりのところが、また一つのポイントになってくるかなと思いました。

 以上です。

○ ありがとうございました。一通りすべての委員の方にご発言いただきました。もう残りも5分しかないんですけれども、今一巡して、もう一言何か言いたいという方がありましたら、1人2人に限って認めたいんですが。短くよろしくお願いします。

○ 何か抵抗勢力みたいな感じなんですけど、私は基本的には教員の処遇が適正にされなければならないと、そのことはほんとうに人後に落ちないつもりなんですけど、今時間管理という話をしている中でもって、それぞれの委員さんお一人お一人の時間管理というものの内容、とらえ方が、大分実は違うんじゃないかなということを改めて感じるんです。

 私は出退勤といったことをいいかげんにしていいとか、そういうことを言っているのではなくて、例えば時間管理といったときに、今ちょっとお言葉が出ましたけれども、自己管理という、こんなことをやったとしても、それは例えば自己申告みたいなことでもって教員の時間管理をやるなんていうことになれば、現場に大きな混乱が生じると思いますし、管理をやるとしてだれがやるのか、実際に公平に適正にできるのか、そのことをやっぱり考える必要があるということ、これが1点と、それから精神疾患を病む職員って横浜市も多いんですけど、これは実は教員だけに限ってはいないのではないかと私はちょっと思っておりまして、いわゆる公務の部門のほかのセクションでも同じように、近時精神疾患は非常に増えているということがあるので、この辺はもしできましたら事務局のほうで、教育だけにこういったことが非常に顕著にあらわれていることなのかどうなのか。

 私自身は、少し先生が弱くなっている部分もあるのかなと、そんな思いもしているんですけど、その2点、時間管理ができるのか、だれがやるのか、それから精神疾患の健康上の問題ってもちろん大切なんですけど、それを他職種との比較でもって、もう一回冷静に見ることが必要だろうと思います。

○ ありがとうございました。もうよろしいですね。じゃ、今日はこれで審議を終わります。

 今日のお話では、確かに自主性とか創造性を求められている教職という特性を踏まえた場合、その時間管理の在り方というのは、そう一筋縄ではいかないんじゃないかという議論とか、あとは賃金支払いとの関係で考えた場合どうかという議論はあったかと思うんですけれども、今日の審議では、基本的には健康管理の必要性とか、教師が適正な仕事の割り振りをきちっとしていくとか、あとは学校の効率的、組織的な仕事の進め方、そういう学校改善に向けて、やはり教員の勤務時間管理が必要ではないかという点で、大筋皆さんの合意というか、基本方向は得られたのかなと感じます。

 これを踏まえて今度次期以降は、もう少し踏み込んで、その具体的な在り方とか、先ほどから出ておりましたような教職調整額等の絡みで、もう少し議論を進めていきたいと思っています。今日はこれで審議を終わりたいと思います。

 次回以降のスケジュールについては、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○ 失礼いたします。次回以降の日程は、資料5に記載してございます。詳細につきましては、また別途ご連絡を差し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上です。

○ 今日はこれで終わります。ありがとうございました。

 

── 了 ──

 

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