学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成21年1月15日(木曜日)15時~17時

2.場所

三田共用会議所第3特別会議室

3.議題

  1. 教職員の職務の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小川主査、石塚委員、植田委員、金井利之委員、金井洋子委員、川田委員、小林委員、島田委員、曽我委員、田村委員、角田委員、渡久山委員、根本委員、服部委員、原田委員、若井田委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、金森初等中等教育局長、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官

5.議事録

○ では、これから議事に入りたいと思います。今日は、前回の会議で、この作業部会において検討すべき事項として5つの柱を設定させていただきました。前回はその最初の柱で、今後の学校の在り方などについて審議をいただきました。今日は検討すべき事項の第2の柱、教職員の職務の在り方などについて議論していきたいと思います。もしも、この綴じ込みの資料がございましたら、前回配付した資料の中の参考資料ということで、この作業部会において検討すべき事項という資料がありますが、そこに示されているとおり、今日の教職員の職務の在り方などについては、教員が果たすべき専門性についてどう考えるか、また学校の業務が増大し、授業以外の業務を教員が担っている状況を改善するためには、どのような方策が必要か、教職員の適切な役割分担、専門的・支援的職員の配置、外部人材の活用、学校業務の効率化、ICT化などについて、今日は議論していきたいと思っております。

 今日の進め方ですが、前半は先ほど事務方からもご説明がありましたように、今日の議論の参考になる論点ないしは各地のさまざまな取り組みにかかわって、まとめてご報告いただきます。そうしたご報告の後に、後半、まとめて、今日の柱について意見交換をさせていただきたいというふうにしたいと思います。また、前半の発表ですが、最初に事務局から、今日の論点にかかわる資料1、2について説明いただいて、その後、各地の取り組みということで、資料3、4、5の順番で進めさせていただきたいと思います。

 では、よろしくお願いいたします。

○ それでは失礼をいたします。資料1、資料2をまずごらんいただきたいと思います。

 今、お話がありましたように、前回の第4回作業部会の中で、特に学校の業務負担を軽減する観点から、今後の学校の在り方ということをご議論いただきました。その際、資料1の特に2枚目、3ページにある、前回お出しをした「増大する学校業務に対応するための方策について」ということで、改善の方向性として5つの柱があるのではないかということをお示しさせていただきました。それと、この資料には添付してございませんが、前回の資料の中に入っている「増大する学校業務の現状と課題」ということをあわせて、それらについて具体的なものとして、どういう対応方策があり得るかということをお示しさせていただいているのが、この資料1の1ページ目と2ページ目ということになります。

 資料の1ページ目、2ページ目のところですが、5つの柱にのっとって、それぞれ整理をしておりますが、順を追って申し上げます。

 まず1つ目の大きな柱として、組織的な学校運営をきちんと推進していくことという柱の中で、(1)から(3)まで書かせていただいております。

 (1)は、まず「組織的な教職員体制の充実」ということの中で、一つには、新しく学校教育法の中に規定されました副校長、主幹教諭、指導教諭の新たな職の設置をしているということが一つ。それから2つ目として、主幹教諭によるマネジメント機能の強化、あるいは事務の共同実施のための事務職員の定数充実などの教職員定数の改善といったようなものがございます。

 2つ目、「適切な校内体制の整備」ということの中では、そういったいろいろな職を置く中で、学校に置かれた職員間の適切な役割分担、さらには、今日、ご発表になるところにも関連いたしますが、事務職員の役割の明確化による教員との適切な役割分担の在り方といったようなものがございます。さらには、これもまたご発表のところにも関連いたしますが、校務分掌の見直しということで、細分化されているもの、あるいはいろいろな学校の課題に対応して、特定の教職員に業務が偏ることがないような適切な校務分掌の整備といったようなこと。さらには、またこれもご発表のところにかかわりますが、学校事務の共同実施の推進といったようなことが2つ目のくくりでございます。

 それから3番目として、そういった教職員体制の充実と校内体制の整備とともに、組織的な学校運営というのがどうして重要なのかということを、きちんと周知をしていく。授業、生徒指導、学校運営等々、ありとあらゆる学校業務に対して、担任あるいは特定の教諭が個別に対応する、その人だけで対応するというのではなくて、適切な役割分担のもとで、学校全体として組織として取り組むということが重要であるという点をきちんと一人一人の職員の方々に周知をしていくということの重要性もあろうかと思います。

 その次に2.として、そういう組織的な運営をする中で、いろいろな役割分担ということが出てくるわけでございますが、特に多様な専門的スタッフ(専門人材)、あるいは地域人材、地域人材も含めて専門人材と言っていいかと思いますが、そういった方々の積極的な活用という部分が前回の方向性の中の2番目でございました。その中で、これも(1)から(3)、資料の1ページ目の最後までということになりますが、一つには「教育活動の実施・支援を行う人材の活用」ということの中で、いろいろとフェーズはあろうかと思いますが、退職教員、あるいは経験豊かな社会人等の方々のお力を借りて、そういう方々の配置をしていくこと。それから2つ目として、まさにこれも専門的なスタッフということになるかと思いますが、理科の支援をしていただいている実験等々の理科支援員、それから特別支援教育支援員、あるいは最近、つとに新聞紙上でも出てきております外国人児童生徒支援員といったような方々の配置。あるいは、それとまた別のフェーズとして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置といったようなこともございます。そういう生徒指導、あるいは学力等々といったようなことだけではなくて、部活動の専門的技術指導に加えて、運営も行うような部活動指導員の配置。あるいはそれ以外にもまたライブラリーの関係では学校司書の配置。また、多様な教育活動をサポートしていただけるような学校ボランティアの配置といったようなものもございます。こういった人材の活用という部分が一つ。

 それから、教育活動以外でも(2)にありますが、学校の教育環境の整備といったような観点の中で、人材活用の目から見ますと、一つはICT支援員ということで、ICTを進めていく上でのICT支援員の配置。あるいはスクールガード・リーダーといったようなものの配置もございます。その他、施設管理、校内環境整備、校舎の戸締り等を行う非常勤職員の配置、また環境整備におきましても学校ボランティアの配置といったようなものもございます。

 そういったいろいろな方々、多様な地域の人材の方々、専門的人材の方々と学校との間の調整を行うような地域コーディネーターの配置といったようなことも重要な課題として3番目にあろうかと存じます。

 裏のページ、2ページ目をおめくりいただきますと、そういった組織的な活動、それから専門的な人材の配置といったような役割分担等々も踏まえながらでございますが、一方で、増大する業務そのものをどうカットしていくかということの中で、3.として「業務の効率化」、4.として「業務の削減」といったような柱立てがございます。

 3.の「業務の効率化」の中では、一つまず、ICT化ということがよく言われるわけでございますが、そのICT化で教職員一人一人にきちんとパーソナルコンピューターを配備していくといったようなことの柱立てがございます。そういったものを使うことによって、例えば電子メールを使って情報提供等を活用した会議、打ち合わせをやって、物理的な回数を制限していく。あるいは授業準備といったようなものにも、このICTを活用して、指導案、教材案のデータベース化を進めるといったようなことの中で、なるだけ業務を効率化していく。また、授業準備だけではなくて、成績関係書類の作成の効率化といったようなものも、様式を共通化したり、あるいは電子入力システムといったようなことの中で省力化をしていくというのもございます。その他、学年通信、学級通信というのも、ある意味、同様でございますし、最後に児童生徒の基本的な情報のデータベース化もまた同様の文脈でございます。

 それとともに業務の効率化の中で重要なのは、やはり「学校事務の効率的な実施」といったようなものもございます。そこの中では、最近になりますが、学校事務の共同実施をきちんと進めていく。あるいはその際に事務処理を円滑にしていくためのソフトウェアというものをいろいろなところで共通化していくということの中で、無駄を省いていくといったようなことがございます。

 さらには「業務の削減」といったようなことの中では、学校でいろいろな会議、打ち合わせ等々がございますが、内容・回数の精選。あるいは調査・報告書もそうですが、そういった精選を図る。さらに教育委員会や学校で実施するもろもろの研修の精選といったようなフェーズもございます。

 そういった学校の中での業務負担の軽減を5.として、教育委員会のサポートのもとにきちんとやるといったような文脈の中では、東京都にもご発表いただきましたが、学校に過度の負担を強いる保護者あるいは地域住民に対する専門家チームの設置と。ほかにも専門チームの設置という文脈はいろいろあろうかと思いますが、一つ、こういう専門家チームの設置。また、多様な人材の確保に資するための人材データベース(データバンク)の整備といったようなものの整備・構築もあろうかと思ってございます。

 そういった5つの柱立てに対応した具体的な対応方策のブレークダウンの、いわば参考になりますが、資料2の中では、特に1.の「組織的な学校運営の推進」、また2.の「多用な専門人材、地域人材の積極的活用」といったようなことを考える上で、では、学校に置かれる職、あるいは法律に規定をされていなくても、どういう専門的な人材があり得るかといったようなものを整理したものが、こちらの資料2でございます。

 資料の1ページ、2ページでございますが、こちらのほうは学校教育法等々の法律、省令等々に規定されている主な職ということで、教育関係者の方々は、言わずもがなというところもございますが、学校長、新設をされました副校長、従前から設置をされている教頭、新たに置かれました主幹教諭、指導教諭、それから中心的な教育活動を支える教諭、養護教諭、栄養教諭、事務職員、それから、まれに置かれております助教諭等々、さまざまな職がございます。また2ページ目をおめくりいただきますと、非常勤という文脈で語られることが多いですが、講師の方々、また養護教諭の職務を助ける養護助教諭の方、その他、実習・実験の職務に関して教諭の職務を助けるという方々の実習助手、それから技術職員、特別支援学校に置かれる寄宿舎指導員、日常生活のお世話、あるいは生活指導に従事されるといった職がございます。それから、食育等々の関係で、学校栄養職員も置かれている。これもまた標準法の対象になっているものもございます。それと法律ではありませんが、施行規則のレベルでは、学校用務員ということで、校地・校舎の管理や整備、清掃活動、補修活動等々をされる方々が代表的なものとして置かれているといったような例がございます。

 それとともに、多様な専門的な人材あるいは地域的な人材の例の中では、3ページ目、4ページ目になりますが、先ほど資料1の中でも言及をさせていただきましたが、一つには、例えば理科支援員ということで、特に小学校でございますが、小学校の理科授業において、観察・実験等々、いろいろなことが展開される中で、そういった観察・実験の支援、あるいは教材開発の支援、授業の進め方の提案・助言等々を行う理科支援員という方が一つおられます。特別支援教育支援員につきましては、小中学校の場合、障害のある児童生徒に対するさまざまな学習上のサポート、日常生活のサポートといったようなことをされる方々もおられます。外国人児童生徒支援員につきましては、例えば短期滞在者で来られた場合に、その子弟の方々、お子さんの方々が例えば日本語指導を受ける、教科指導を受ける際の補助をしたり、あるいは、そういう外国人児童生徒の方々、あるいは保護者の方々からの教育相談への対応、翻訳作業等々に当たるといったような活動をされる方もおられます。全国的にかなり普及しておりますが、スクールカウンセラーに関しましては、児童生徒の臨床心理に関して、心のケアに当たる専門家ということで、臨床心理士の方々がなられることがままありますが、カウンセリングをされるといったようなことで非常に活躍しておられる職種がございます。また、スクールソーシャルワーカーにつきましては、カウンセラーが心のケアということに対して、スクールソーシャルワーカーの場合は、いわば環境に焦点を当てて、いろいろなところとの調整をしたり、相談をしたり、連絡をしたりといったような中でサポートをする。家庭訪問をしたり、関係機関との連絡・連携をするといったような方が、いわば社会福祉の関係の専門家として学校でご活躍いただいている例もございます。

 それから資料の4ページ目につきましては、部活動指導員ということで、教員の方々でも、専門的に教えられる方々もおられれば、必ずしも自分はその部分について知識や技能がないといった方々もおられる場合もあります。そういった場合に対応するために部活動のさまざまな専門的なスキルを持った指導員の方々が配置されるといったようなこともございますし、学校司書では、学校図書館法で学校には学校図書館を置くことになっておるわけでございますが、そこのサポートをする。学校図書館運営の専門的な業務、技術的な業務、あるいは学校図書館を活用したような教育活動への協力を行う方を学校司書として置いているといったような場合もございます。それから、ICTを活用した業務の効率化等の文脈の中では、何といってもICT支援員ということで、授業や実際の校務の中で、どうやってICTを使っていくかということについてのアドバイスをしたり、協力をしたりといったようなICT支援員。それから、スクールガード・リーダーというのは、警察官OBの方々がなられることがよくありますが、学校の安全体制、安全ボランティアの活動に対して、警備上、どういうことがポイントになるのか。あるいは不審者対応についてどうするかといったような専門的な指導・助言を行うと。

 一つの例でございますが、このような多様な専門的なスタッフがおられるといったようなことがございますので、この資料1をごらんになるための参考として資料2もごらんいただければ幸いでございます。以上でございます。

○ ありがとうございました。では、次に今の事務局からの説明を踏まえまして、実際、各地でどういう取り組みがなされているのだろうかということを3人の委員からご紹介いただきまして、後半の議論の参考にしていただきたいと思います。しばらく報告が続きますが、ご了解ください。では、よろしくお願いいたします。

○ では、説明させていただきます。

 私からは、今、ご説明がありました5つの観点の中の1番目の組織的な「学校運営の推進」というところと、3番目の「業務の効率化」について中心にお話をさせていただきたいと思います。「学校の業務改善のための方策」の意見発表をさせていただきます。

 私どもは長い間、私は三十数年も学校事務職員をしておりますが、なかなか業務改善が進みません。それはどこに原因があるのだろうと考えました。私ども事務職員の意識の問題も大きいのかもしれませんし、昨年度、発表がありました学校経営支援フォーラムで、先生方が、なかなか自分の業務を外に出そうとしない。事務職員に仕事をしてもらえば、もっと簡単にできればできるのに、でも、これは子供にかかわる自分の仕事だからといって、なかなか仕事を放そうとしないというような意識の問題もあるだろうというお話もありました。そこで、意識改革、それとプラスで制度改革が行われれば、業務の改善がもっと進むだろうというようなことを考えております。

 制度につきましては、校長先生の予算権限の拡大等にかかわって、教育委員会規則が改善されたり、私ども事務職員を事務長という立場に置いていただいて、事務権限を与えていただければ、もっと学校の管理、経営部門の仕事を責任を持ってできるのではないかということを考えております。それについては、今までも中教審の答申等で、事務長の設置が有効であるというようなお話もいただいておりますので、そのような制度ができれば、もう少し変わっていくのかなと思っております。

 では、具体的に学校業務の改善のための方策、学校運営組織の例ということでお話をさせていただきます。最初に申しましたように、学校運営組織の例と3番目のICTの活用による効率化の例ということで、具体的な例をお話をさせていただきます。

 「学校の運営体制」ということで、資料3にあります20年度の○○中学校校務分掌一覧をごらんになりながら聞いていただければと思います。学校運営組織の具体例です。今現在、このような組織で動いておりますが、教員の役割と事務職員の役割と区別させていただきますと、私が実際に、この分掌の中では管理という部門の主任ということで、管理部門の主任をさせていただいておりますが、必ず教育目標達成のために学校経営ビジョンを実現し、子供の豊かな育ちを支援する学校づくりを行うことをまず最初に、この分掌が発表されるときに、校長が明確に、自分の学校はこうしたいんだ。子供たちをこう育てたいんだというような指針をお話しされます。それに従って校務分掌が発表されるわけですが、この学校でいえば、プロジェクト○○では、確かな学力の育成では、こういうふうな分掌、豊かな心の育成では、こういうふうな分掌、世界とともに生きる力の育成をするためには、こういう分掌ということが明示されています。その大事な基礎となる部分に管理があるということです。事務職員が、そこの主任ということです。連携部門にも、名前はここに書いてありませんが、教頭先生と一緒に、地域の方々との連携を図っております。PTAでは会計を担当し、PTAの会がありますと、その中で保護者の方の要望や来年度、こういうものがあると、この学校はもっとよくなるよねとか、ホームページの作成をしておりますので、ホームページをもっとこんなような活用したらいいよというようなお話を受けたりします。

 このようにしっかりと分けられておりますので、各種の会議、この分掌をごらんになっていただいて、名前がほかの先生方が入っていないので、実際にどれぐらい1人の方が、どのようなこの分掌を担当しているのかが見えませんが、数えましたら、教務主任は25カ所に顔を出しております。そのうち、管理部門、連携部門の中は12です。この学校では、生徒指導主事が進路指導主事を兼ねておりますので、その人は27。ただし、管理部門は5。一番少ない養護教諭が指導部門で8、管理部門はゼロというような割り当てがされています。しかし、会議の精選、できるだけ子供たちと一緒にいる時間を増やそうというようなことを考えておりますので、会議については、最初の1、2、3、4、5、6の部でまとまった会議をいたします。確かな学力の育成に携わる人たちの会議は、そこだけで実施します。ですので、会議は実際には非常に数としては少なくなってきていると思っています。事務職員が管理部門の長ですので、管理部門の方々を全員集めて、管理の適正な執行が行われているのか、財務についてはどうだろうとか、施設についてはどういうふうにすればいいのかというような会議を年に2~3回開いて、担当している方々からお話をいただいて、そこで整理するというような形になっております。

 事務職員の仕事としてマル1マル2マル3と挙げておきました。情報管理、学校財務の統括、地域・行政の連結、行政機関と一番接するのは事務職員ですので学校マネジメント、評価関係も含めまして、推進できたり、連絡調整できればいいのかなと思っております。そのように動いているつもりでございます。

 そして、さきほど制度の改革と申しましたが、「各種規程の整備」も、細かいところですが、しております。学校預かり金規程を、資料の最後につけておきました。その中に、財務主任は事務職員をもって当てる。校内財務(選定)委員会の設置をしなさいということで、事務職員が担当になっておりますので、その運営も行っております。これについては、私が今の中学校に参りましたときには、まだ会計は学年会計とか、教材会計というものは教員が担っておりました。行ってすぐに会計については私のほうですべてしたいと申し出まして、諸校費預かり金については、すべて事務職員が行っております。ただ、収入と支出が一人の者でするということは、会計上とても危険でありますので、その監査体制については十分な監査体制を敷いております。新潟市の預かり金規程などもございますので、それに基づいた監査体制を実施しておりますし、その公開についても保護者の方々に公開をしております。

 新潟市は、まだ学校文書規程というものがございません。市の文書規程はあるのですが、学校の文書規程はございませんので、今、教育委員会と連携して、新潟市の学校にふさわしい、公立学校にふさわしい文書規程をつくっております。また個人情報管理規程というものがありますので、それに基づいた規程も学校の中でつくっております。情報の持ち出しについての最初の説明については、事務職員が行っております。

 3番目にあります「校務のICT化による活用例」をお話しさせていただきます。上越市の例を入れさせていただきました。上越市では、学校支援システムというシステムを活用いたしまして、いち早く取り組んでいます。ここに具体的な、それによってどれぐらいの効果があったのかということを探るために、作業時間とか、担当者を入れました。文書については、市教委が文書を、例えば文科省とか、県や県教委から来た文書をプリントアウトして、76校分の文書を印刷して棚入れをしていたわけですが、それをメール添付というような形で送るようになりました。学校のほうは、受けた文書を、項目と添付で文書が来ますので、そのまま文書受理簿というような形で使います。文書受理簿の中に担当者を事務職員が入れます。そうしますと、1人1台あるコンピューターに、その担当の方に、文書が入ります。担当者が、いついつまでの提出日というところが書いてありますので、その提出日までの間に、その添付の文書を開いて作成していきます。作成する手間、作業時間を入れておきましたが、大体、そのぐらいになるのかなと思います。そこでできたものを、校長が決裁して、またメールで教育委員会に提出するというような作業になりました。提出日が過ぎると赤字で点滅されます。学校に来て、自分のコンピューターをあけると、自分が出していないことがすぐわかるということになっていて、教員の方々からは好評なシステムになっています。

 私ども事務職員も、文書が入ってきますと、保存年数が決められておりますので、最後、年度末に廃棄文書というものがあるのですが、廃棄文書簿をつくるときには、すぐに年度末廃棄というふうにすると、一覧で文書が出てきます。文書を見て、校長先生に決裁していただいて、すぐに廃棄できる。文書は余分なファイルはないので、もう一回、ファイルを探してきて、廃棄するというような作業の手間が省けます。教科書のほうも、今まで教員がやっておりました。教科書システムからダウンロードして、教員のほうで作成していました。事務の共同実施が始まりまして、共同実施の中で教科書・就学援助については、事務職員がすべて行うと上越市は決めました。継続して同じ人が毎回同じように、作業ができるということで、ミスがなくなりました。作業時間は、事務職員ですと年120分ぐらいで終わります。先生方がやっていらっしゃったときは240分ぐらいということですので大分軽減になったと思います。備品管理についても、手書きをしていたものがシステム化されましたので、購入したときの伝票を入れると、すぐにそれが備品登録されるというようなシステムになっています。市会計の処理も、当然のようにシステム化されました。学年会計、預かり金についても、今まで教員が購入計画を立て、保護者に通知を出して、執行して、未納対策をしておりましたものが、すべて事務職員に移行されました。同じようなシステムをどの学校も使うことで、上越市の中で異動する事務職員にとってみれば、また同じことをするわけですので、非常に簡単にできています。

 ただ、未納対策については保護者との対応とかがありますので、その作業時間についてはプラスアルファという形で入れておきました。こちらについては教育委員会と今、預かり金システムというものを検討中です。預かり金システムについては、教育委員会がすべての名簿を持っていますので、そのデータを活用して、小学校1年生に入ったときに、口座登録をしていただくと、中学校3年になるまで、口座を変更しない限り、その同じ口座からお金が引き落とされて、未納の方の分が打ち出されてくると。お金はそれぞれの学校のそれぞれの口座に入るというようなシステムになっております。このシステムをつくるときにも大変でしたが、教育委員会との連携、校長先生、教頭先生から、いろいろな指導をいただいて、システムができ上がりつつあります。まだ、これは決定しておりませんが、多分、今年の秋ごろから稼働するのではないかと思っております。集計させていただいたのですが、市教委で120分かかっていたのが、30分ぐらいになり、教員の場合は1日3時間かかっていたのが、1時間。月720分(12時間)のものが30分ぐらいになって24分の1の時間で終わる。教科書についてはゼロになる。

 このシステムを活用するとき、最初は上越市の事務職員は、先生方を子供たちに返したいという強い願いでした。そのためには、自分たちの今まで行ってきた事務にかかわる時間を効率化により減らし、そして先生方が今まですごく苦労して、どんどんと作業が多くなっていっているものについて、事務職員が担当することによって子どもたちに先生を返すことができるのではないかと考えておりましたので、私どもの作業時間ももちろん減っております。増加したのは保護者への対応というところだけだと思っております。

 もう一つ、大事なところが「学校支援組織等との連携」を考えております。共同実施組織を活用させていただきますと、1つの学校で1つのPTA組織との連携はですが、共同実施の場合、中学校区というふうなものもありますし、2中学校区というようなものもありますので、いくつかのPTA組織や地域の方々との連携もできます。支援組織ができてきておりますので、そういうところとも連携できます。行政との連携も実際に行われております。

 イメージとしてはこのようなことです。すべての学校の学校事務を共同で実施する。そのことによって大きな時間が生まれる。ここに市教委から予算もつけていただいて1つの学校ではできなかったことをたとえば4つの学校だったら、この学校に、今年は重点的に、こんな校長先生のすばらしいビジョンに基づいた活動を実施できるよねということで連携ができると思っておりますし、効率的な予算執行もできると考えております。

 申しわけございません。時間を大幅にオーバーしてしまいました。このように事務職員や事務の共同実施組織をぜひ活用していただいて、よりよい学校をつくっていければと思っております。以上で終わります。

○ ありがとうございました。質問等もあるかと思いますが、それについては時間もありませんので、後半の議論の際に、もしも質問があれば質問を含めてご意見をいただけるようにしたいと思います。よろしくお願いします。

 では次に、横浜のご報告をよろしくお願いいたします。恐縮ですが、後半の意見交換の時間をとりたいので、10分程度ということでよろしくお願いします。

○ 10分程度ということで、駆け足でご説明をさせていただきますが、今日は、学校運営の効率化、教員の負担軽減にかかわる取り組みということで、3つの点についてご紹介申し上げたいと思っております。

 まず初めに1点目でございます。授業改善支援センターというものについてご紹介を申し上げたいと思っております。授業改善支援センター「ハマ・アップ」ということでもって、平成17年に横浜市の教育センター、関内の駅の前にございますが、その中に教師の授業力、指導力、教師力、そういったものを向上させるために実践的な支援を行うということでもって設置したものでございます。

 このハマ・アップの機能でございます。4つの機能がございます。1つは、教育情報の提供ということが1点目。それから2点目が、授業づくりや学級づくりの相談。それから、授業づくり講座。さらには、この場所が会議、研修会等の会場としても利用されるというものでございます。

 このハマ・アップの機能、第1番目の機能でございますが、その前に先ごろ、12月19日にNHKの「地方発どうする日本 変わる義務教育」という番組がございました。この冒頭部分でもって紹介されておりますので、2分ほどでございます。これをごらんいただくと全容がおわかりいただけると思います。

(ビデオ上映)

○ ちょっと音が不調のようなので、補足して説明をさせていただきます。ここがハマ・アップというものでございます。

 市内に4カ所設置をするということでございます。この中に入っていただきますと、こういった教育関係の資料が用意されているということ。そして、こちらのほうは授業づくりの相談のために訪れている教師に対して、これは校長OBでございますが、こういった支援を実際に行っているというところでございます。

 ここで今、話であるのですが、横浜は約1万5,000人の教職員がおります。団塊の世代が大量退職と。

 こんなような、要する教員を支援していくということでもって、団塊の世代の大量退職の中でもって、毎年1,000人近くの教員を採用しております。そういった中でもって入れ替わりが非常に激しい。そこで教師の授業力を高めるために、こういったものを市内4カ所に展開してつくっているというところでございます。次に行ってください。

 ここでやっている事柄ですが、改めて整理してお話をする時間がございませんが、どういった効果があったかを、これは定量的にはなかなか分析することは難しいのですが、ある小学校の教員の声ということでございます。なかなか英語活動だとか、新しい教育課題の対応でもって、時間的な余裕が非常にないんだと。そういう中で、ずばり小学校の教員は大変心強いということと、授業づくりで時間的な軽減がとても図られるということ。こういった感想を持っている。こういった効果が実際にあらわれているということが1点でございます。

 それから第2点目、これは中学校の教員の声でございます。やはり中学校は部活や生徒指導で大変忙しいわけですが、そうした中でもって、ここにございますが、図書館や書店での資料収集、そうしたことをしなくて、時間的・精神的なゆとりをもって、効果的に校務をこなすことができるようになったと。こういった中学校の教員の声がございます。

 それから3点目、これは初任者ということですが、今まで初任者はいろいろ先輩から教わったり、あるいは自分で勉強したりということをしているわけですが、そうした中で、効率的な授業づくりが可能になったといったこと。それから、こういった場を通じて、他校の先生と交流をして意見交換すると。そのことが教師力を高める。特に新人の教師に対して非常に有益であるということで、初任者としては大いに心強いということ。こういった効果があらわれているということでございます。

 学校長からは、ここにございますが、授業水準の保持に極めて有効だということ。それから、ハマ・アップの体験が刺激になっているということ。さらに、ちょっとご紹介申し上げましたが、4方面にこのセンターを展開するということでもって、時間の短縮と仕事の効率化、質的向上という点で、学校長も評価する声が高いということでございます。

 ハマ・アップの利用別の年代というのは、右のグラフのほうに掲げているとおりでございますが、ここにきて、ベテラン教員がいろいろ刺激をされて、そして教員の意識改革にも役立っていると私どもとしてはとらえております。教員の協働への意識が高まって、組織力が向上し、学校運営の効率化につながっていると。そういうとらえ方でございます。

 以上、ハマ・アップのご紹介をいたしましたが、2点目でございますが、教育行政組織の再編計画案ということで、これは現在進行形でもって、22年4月から行おうとしているものでございます。横浜市の教育委員会のもとに4つの方面別の教育センターを設置していこうということでございます。ごらんのとおり、横浜市は512校の市立学校、27万人の児童生徒、1万6,000人の教職員と。ここを1つの教育委員会で管理をしているわけでございますが、より教育の現場に近いところで学校へ支援・指導を行っていくということ。それから、公教育の質の向上ということでもって、保護者、地域の期待に応えるということで、方面別の教育センターを展開することにしております。

 この取り組みのねらいでございますが、学校の運営の効率化や、あるいは教職員の負担軽減にもつながっていくわけでございますが、1点目としては「学校への迅速できめ細かな支援・指導」ということで、これには学校が抱えるさまざまな課題への支援・指導ということも含まれております。それから、「学校の課題対応力の向上」、さらには、教員が子供に向き合える環境をより整えていくということでございます。

 機能でございますが、今、教育活動、学校事務、人材の育成、地域連携と、この4つをねらいとしております。教育活動では、より効果的な学校訪問の実施ということでもって、これにつきましては、指導行政の充実ということと学校への支援ということです。それから、人事・研修等につきましても、より近いところでもって展開をしていくということ。さらに学校事務職員の活性化、地域との連携というようなところが機能のポイントでございます。

 エリアは4方面に分けますが、こうしたエリアを設定いたしましても、横浜市の場合に、例えば西部のエリアでもって教職員が3,000人、学校が109校、児童生徒5万8,000人ということで、中核市クラスが4つに分かれるというところでございますが、我々は、これによって教員の余裕が生み出される時間を全体でもって7万7,000時間、旅費等の節減についても2,800万円程度ということで見込んでいるところでございます。

 以上2点でございます。もう一点、3点目でございますが、これはペーパーでご用意させていただいておりますが、横浜市教育委員会の学校文書システム「学校便利帳」というものでございます。これは具体的にどういったことをやっているかといいますと、この趣旨にございますが、教育委員会と学校とのやり取りの文書をすべて電子化するということです。学校にはイントラネットでつながったパソコンがございます。その画面を開くことによって、教育委員会から発出されているすべての通知、マニュアル、そういったものがすぐに出てくる。アクセスできると。そしてこれに加えて、例えば調査等を行う場合には、その画面の中に調査票が出てまいります。それを簡易集計するというようなシステムをあわせて開発して、ちょうど今年の1月から全体が稼働するということで、まだ稼働したばかりでございますが、約1,000万円ほどのお金をかけまして、このシステムを構築いたしました。

 ちょっと駆け足でわかりにくかった点があろうかと思いますが、私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○ ありがとうございました。では、最後に世田谷区の部活動支援等の取り組みについて、よろしくお願いします。

○ 私はパワーポイントを用意してございませんので、資料5をもとにお話をさせていただきたいと思っております。事務局から、世田谷区における部活動支援とスクールカウンセラーについて事例発表をというご依頼がありましたので、それに焦点化してお話を申し上げたいと思います。

 世田谷区は平成17年3月に10年間の教育計画、「世田谷区教育ビジョン」を定めました。大きな5つの柱の下に21の取り組み項目がありまして、その下にさらに70近くの施策を進めております。部活動の支援、教育相談の充実も、その約70の施策の一つとして位置づけております。教職員の仕事の中でも、やはり子供と向き合う教育活動、例えば授業ですとか、学級経営、生徒指導、進路指導は非常に重要であって、例えば授業一つとりましても、教材研究、児童生徒理解、教育方法の工夫等々、さまざまな先生方の時間、エネルギーが必要でございますので、できる限り先生方が授業や学級経営等に向き合えるよう支援をしていこうということも施策の中に入っております。

 部活動につきましては、部活動を活性化する検討委員会を平成17年に立ち上げまして、平成18年4月1日から、世田谷区立学校の管理運営規則、教育委員会規則に位置づけまして、部活動の支援を行っております。教育委員会規則には、中学校は部活動を推進するために、部活動ごとに顧問教員を置く、ただし、顧問教員を置くことが困難な場合は、管理顧問教員及び、そのほか必要な者を置くと明記してありまして、顧問教員は管理運営及び指導を行い、管理顧問教員は部活動の管理運営を行うと分けてございます。

 それで、その活性化委員会で検討するにあたりまして、部活動に関する調査を行ったのですが、その中から4点だけ抜粋してございます。1ページは、部活動を実施するのがなかなか難しいということをお話しするためにご紹介いたしますが、「毎年の部活動の顧問は問題なく決まりますか」という質問に対して、「決まらない」と答えている管理職が48人中29名(60%)おります。では、どのように決めているかということを記述式で書いていただいたものを分けたものが、その下でございます。「個別交渉をする」などというのが、その苦労をしのばせるものですが、そのようなパーセンテージになっております。

 次の2ページでございますが、では、「部活動活性化のために方策があれば、ご記入ください」という質問に対しまして、これも記述式でございますが、一番多かったのは、「外部指導員を充実してほしい」という意見です。その次は「服務上の改善」というものもございますが、その次に「部活動制度の充実・改正」とあり、外部コーチを導入してほしいと、委託等も含めまして、そのようなことが書いてありまして、やはり管理職では外部指導員の充実、委託等、「部活制度の充実」をしてほしいという方が35%ぐらいいらっしゃいます。

 次の3ページでございますが、教員に対して、部活動をより活性化していくために必要な方策をご記入くださいと、記述式で書いていただいたわけです。やはり、これも「指導員の活用」が25.8%、「外部委託等」で「専門コーチへの委託」というのもありますが、これらを合わせますとやはり三十数%になりますので、一番多いのは外部指導員、外部の専門家を活用するという希望が非常に多いという結果になっております。

 これらの調査結果を踏まえながら、部活動の活性化をどうしたらいいかということで、4ページに、部活動活性化検討委員会の報告書の抜粋を載せてございますが、このような基本方針で行こうということで、平成18年度から始まっております。目標は、生徒一人一人が魅力ある学校生活を送ることができるように部活動をより活性化しようということで、大きく5つの柱がございます。後ほどお読みいただけたらと思いますが、まず1番は、教育委員会規則に位置づけるということ。2番が、部活動の指導体制を充実するということで、今日のお話は、この2番にかかわってまいります。それで2番をどのようにやっていくかということで、5ページをごらんいただきますと、そこに図がございます。教員(顧問)の下に、監督、部活動指導員、指導員緊急派遣制度、大学連携に基づく技術指導補助、顧問サポーターと、このようなシステムを構築していこうとありますが、ここまでが部活動活性化検討委員会の報告書の抜粋でございます。

 その報告書をもとに平成18年度から、部活動を行っておりますが、6ページをごらんいただきますと、今ごらんいただいた図の中の監督から始まりまして、部活動指導員、大学派遣学生等々の目的と主な役割、活動の形態が「世田谷区の部活動活性化のための手引き」の中に書かれております。ここにあります文章は手引きそのものの文章ではございませんが、監督の項だけ読んでみますと、目的は「継続的な技術指導の体制を確保することにより安定的な部活動の基盤を構築するための制度。専門性をもった継続的な指導が確保されるために、生徒の意欲も向上し、顧問教員として従事できない教員等が、管理顧問教員として関われる環境を整備する。」とございます。管理顧問教員は管理面だけをやっていただいて、指導は監督が年間を通して計画的に行っていくということです。主な役割でございますが、指導する顧問教員を置けない学校の部活動において、管理顧問教員と協働して部活動に従事をする。部活動に求められる役割のうち、主に指導的側面を責任をもって担当する。場合によって、練習試合等の引率も行うとございます。

 以下、マル2からマル5まで、それぞれの目的、役割、活動の形態等が書いてございますので、また後ほどごらんいただけたらと思います。

 実績でございますが、7ページの一番下、昨年度の「(2)部活動支援員の実績(平成19年度)」を見てみますと、監督が111人です。世田谷は区立中学校が31校ございます。1校平均3.6人となっておりまして、年間総時間数が2万8,659時間、1校平均は約924.5時間となります。なお、時間単価は1,000円でございますので、これで2,865万9,000円の支出ということになります。管理顧問が指導しないという前提で、監督が指導しておりますので、1校平均924.5時間の時間軽減が先生方にされていると考えることもできると思います。

 指導員は指導ができる顧問教員と一緒に指導をするという立場でございますが、これは225人おりまして、1校平均約7.3人ですが、年間総時間数が4万3,160.5時間、1校平均では約1,392時間ということになっております。指導員は時間単価が800円でございますので、3,452万8,400円の経費がかかっております。

 やはり部活動は子供と向き合う大切な活動でございますが、部活動の種類と教員数が必ずしもマッチしていない。それから、指導内容も、例えば運動部の専門的な指導技術を持っていない教員しかいないという場合もありますので、先生方が学校の仕事に専念をするという支援をしているところでございます。

 次に2点目でございますが、8ページでございます。スクールカウンセラー派遣実施事業をご説明いたします。

 小学校のスクールカウンセラーと中学校のスクールカウンセラーとありますが、中学校のスクールカウンセラーにつきましては、文部科学省の国の補助を受けた都道府県事業でございますので、週1日程度、東京都から派遣されております。小学校のスクールカウンセラーにつきましては、これは区単独の予算で行っているものでございまして、平成16年度から完全に全校64校に配置をしておりますが、週2日で1日8時間で派遣しております。なお、今年度からは小学校にも数校ですが、都からカウンセラーの派遣がございます。

 このスクールカウンセラー事業というのは、国の事業として始まったわけですが、非常に画期的な事業だったと私は思っております。それは、それまで教員が生活指導、生徒指導ということはもちろん教員の本分として、児童生徒理解に基づいて生徒を指導してきたわけでございますが、スクールカウンセラーがいることによってやはり教員が自分一人で抱え込まずに済む。悩まずに済むそのことが大きいと考えます。従来は先輩、学年主任や生活主導主任、管理職に相談していたわけですが、それだけではなくて、心理の専門家に身近に相談できるという環境が整ったという意味で、実質的な定量的な負担軽減という面もありますが、それ以上に心理的な負担軽減という意味では非常に大きな制度だったと思っております。

 実際の相談でございますが、中学校のスクールカウンセラーをごらんいただきますと、年間で6,795回、生徒と相談を受けています。31校ございますので、1校当たり平均しますと219.2回となっております。中学校の場合には子供たちが言葉を用いて自分の心を表現することがかなりできる発達段階でございますので、1人当たり30分から1時間、おそらく相談にかかるとすれば、1校平均219時間からその半分ぐらいの時間はカウンセラーの方が時間をかけて子供たちとつき合っていただいているということになります。それまでですと、先生方がそういう時間をかけて、子供たちと相談を受けていたのですが、先生方はカウンセラーと連携しながら、カウンセラーの方の相談を活用しながら、生徒指導に当たることができるようになったということでございます。小学校のほうをごらんいただきますと、児童と相談しているのが年間2万7,466回でございますので、1校当たり429.2回となっております。児童の相談が必ずしも1時間、話し合いをする、話を聞くとか、そういうかかわり方だけとは限りませんで、プレイをしながらかかわるということもございますが、やはりこれだけの時間をカウンセラーの方が、先生方が引き受けていたことをさらに引き受けていただいているという実態があろうかと思います。

 また保護者とのかかわりも、中学校でいいますと2,256回、1校当たり72.8回、小学校でいいますと5,078回、1校当たり79.3回かかわってくださっていますので、保護者からの相談を今まで先生方が受けていた、それのかわりもしていただいている面があると考えることができると思っております。そういう意味で、私は、このスクールカウンセラー派遣事業は、先生方に心理的な意味でもそうですし、実際の相談の時間でもそうですが、大変大きな負担軽減になっていると思っております。

 それから、以上の部活動とスクールカウンセラーに関係することで簡単に3点お話ししておきたいと思いますが、今、世田谷区では、総合型地域スポーツクラブを進めておりまして、今、区内で4クラブできておりますが、例えば1つのクラブでは、16のクラブが1つの中学校、2つの小学校の3校を核にでき上がっておりまして、全く区民が主体になって区民の運営で行われています。大人と子供を合わせまして500人以上の会員がおりまして、年間で延べ2万人前後の参加人数があるクラブが今でき上がっております。そこでは、やはり部活動にかわるものとして、本来、部活動にあったらいいなと思うようなクラブでも、顧問教員がいない場合に、そのスポーツクラブで子供たちが汗を流しているという場面も見られております。

 それから、支援するという点で、現在、学校支援コーディネーターを世田谷区教委は派遣しておりまして、今、33人が活動しております。学校と外部人材の橋渡し役を行っております。

 それから、世田谷区内には大学が12大学、2短期大学、合わせて14の大学・短期大学がございますが、すべての大学の学長先生方を集めて学長懇を平成16年度に開きまして、大学と教育委員会で包括協定を結び、さまざまなご支援をいただいております。先ほど部活動に関して大学生の派遣もありましたが、部活動だけではなくて、学級運営の支援ですとか、体験学習の実施などの支援もしていただいております。私からは以上です。

○ ありがとうございました。報告が続いていますが、最後、事務局から、全国の先進的な取り組みを簡単にご報告いただきたいと思います。

○ すみません。時間が限られておりますので、ごく簡単にだけご報告をさせていただきます。資料6、支援本部のパンフレットでごく簡単に申し上げます。

 お三方の発表以外のところで、いわゆるGP、効果のある事例といったようなことでございますが、ページをおめくりいただきますと、まず1ページ目、主幹教諭の配置というものがございます。例えば○が3つありますが、1つ目では、何か問題が発生したとき、課題が発生したときに、主幹教諭の権限で随時、対策チーム、検討グループを編成するといったようなことをやり、まさに組織的な運営を推進していると。例えば、それ以外にでも、○の3つ目では、主幹教諭が保護者などの外部対応を行うために担任の拘束される時間が軽減されるといったような効果の例が一つございます。

 その下の学校事務の協働実施につきましては、先ほどの委員のご発表のところで、いろいろな例がありましたので、割愛させていただきます。

 それから1枚飛ばしていただきまして、3ページ目になります。退職教員等外部人材活用事業でございます。退職教員、経験豊かな社会人等の配置でございますが、ここにはマル1からマル7までございます。例えばマル3とか、マル6を見ていただきますと、専任講師を配置して、授業、授業準備の支援をするといったようなことをやりますと、学級担任の空き時間ができてきて、教材研究あるいは学級事務といったような処理が可能になって、授業にも余裕をもって個別指導に当たれるといったようなこと。あるいはプリントの採点、ノートの点検といったようなことでサポートができて、やはり学習指導、教材研究が進めやすくなったといったような報告がございます。

 それから4ページ目以降は、理科支援員、特別教育支援員、外国人児童生徒支援員等々になりますが、理科支援などであれば、やはり実験準備等々、非常に時間がかかりますので、こういった方々がおられることで、例えば3.あたりでは、先生方については、支援員が実験の準備をしてくれて非常に助かっていると。実験がスムーズにいくようになって、安全面でも大いに助かっているといったような効果が報告されております。

 それから、大変駆け足で恐縮でございますが、例えば6ページ、スクールソーシャルワーカーでございます。熊本県教育委員会の取り組みといったようなページが3枚ほど続きますが、スクールソーシャルワーカーは先ほども申し上げましたように、いろいろな関係機関に働きかける、あるいは家庭訪問をするといったような環境に働きかける役割をいたします。そういった方々に活動いただきますと、8ページ目に、そのスクールソーシャルワーカーを活用した取り組みの成果といったようなものが5.で出てまいります。「(1)研究の成果」とありますが、例えばアのところを見ていただきますと、教師が対応するといったような形では非常に対応が難しかったいろいろな課題について、スクールソーシャルワーカーの方々が、その専門性を発揮して、例えば福祉事務所、児童相談所、民生委員、児童委員の方々と協力しながら、いろいろな的確なアドバイスをして、多方面からの支援を受けるということと同時に、家庭環境も改善されていって、やはり子供の不登校の状況といったようなものが改善されていくといったような好事例が紹介されております。

 その後、9ページ目になりますと、ICTの活用の中で、1つはスキルを身につけるというものがございます。目黒区と日野市の例を数ページにわたって紹介しておりますが、9ページ目の目黒区で見ていただきますと、平成12年度から順次、体制を充実させて、人数を増やしていっているのですが、週4日勤務で、得られた効果として、9ページ目の一番下の※のところがございます。「マル1教員のICT活用指導力の向上」で、コンピューター操作ができるようになった教員の数は、平成13年度当初が68%であったのに対して、平成19年度末で100%になっている。あるいはさらに一歩進めて、コンピューターを使って教科指導ができるようになったといったようなレベルは、同じく68%から95%といったような形で、非常に効果があるというような事例がございます。

 その後、数ページ飛びますが、13ページ目になると、ICTの支援員ではなくて、ICT化による業務の効率化等といったような事例が、13ページ目から一番最後のページまで続きます。こちらのフェーズにつきましては紹介例が4つありまして、16ページ目、長崎県教育委員会の例なのですが、校務IT化推進事業に係る校務支援システムの概要といったところで、校務を進めていく上でのICTを入れたときにどうなるかといったものがございます。入れる前は、例えば2.のところにありますが、指導要録の作成についても、ほとんど教員による手作業、手書きあるいはゴム印でやっていたと。それがICTを入れるとどうなるかというのが、一番最後、18ページを見ていただくと、右肩に資料1と出てまいりますが、業務軽減についての調査結果ということで、実際に、このシステムを使っているところと使っていないところで聞き取り調査をやっていただいたという例がございます。中ほどに小中学校の四角の例が入っておりますが、小学校でいえば、例えば指導要録を作成する所要時間が、システムを使っていないところだと16.3時間であったのに対して、システムを使用することによって、それが4.1時間、差が12.2時間といったようなことが出てまいります。あるいは中学校でいえば、指導要録の場合は、やはり19時間の差、調査書であれば22.8時間の差といったようなことで、これも非常に効果が大きいといった例もございます。

 それとあともう一つは、地域支援本部、学校ボランティアの有効性についても触れておきたいと思います。この1枚のカラーのパンフレットを中をすべてお開きいただきますと、4つの自治体の例が出てまいります。いろいろな場面でボランティアを入れている。あるいは熟年者の方々に活動していただいて、いろいろな指導にあたっていただくとか、作業をしていただくといったような例がございます。

 そういったことの中で、ちょうどお開きいただいている真ん中のところに、円を書く形で、ボランティアからや、教員からや、子供たちからの声といったようなことが書いてあるところがございます。例えば「教員からの声」というところで拾いますと、・が2つありますが、1つには、授業の準備をする時間が増えて、充実した授業ができるようになり、子供たちの表情が非常によくなったといったようなお声ですとか、あるいは子供たちからも、例えば・の2つ目のところで、ボランティアの方々と交流することによって、地域のことを考えるようになったといったような形で、いろいろな方々の専門スタッフの力もありますし、学校ボランティアも非常に重要だといったところの示唆に富むご紹介があるというところを資料6の参考としてご高覧いただければ幸いでございます。以上です。

○ ありがとうございました。残り40分ほどありますので、少し時間をオーバーする可能性もございますが、これから意見交換をさせていただきたいと思います。

 資料1をごらんください。今日の議論は、増大する学校業務に対応するために具体的な方策をどう考えていくかということで進めていくわけですが、今、3人の委員の方、そして事務局に全国のいろいろな地域の先進的な取り組みを紹介していただきました。この資料1で書かれている具体的な方策については、もう既にいろいろな各地で取り組まれ、それなりに成果も上げてきているということがわかったように思います。今日は、今言ったような点を踏まえまして、この1、2、3、後ろの2ページ目の項目も含め、内容について意見交換していきたいと思います。ここでは具体的な方策についてはいろいろ書かれていますが、これ以外にもこういうふうな方策、考え方が必要ではないかというご提案等々も含めて、ご意見を聞かせていただければと思います。

 残りの時間、非常に迫っていますが、すべて議論に付すというのは、ちょっと論点がボケますので、できれば3つぐらいに分けたいと思います。1つは、1の「組織的な学校運営の推進」の(1)(2)(3)にかかわるような事項について、大体15分から20分程度。2つ目には、2の「多様な専門人材・地域人材の積極的な活用」ということで、ここも15分から20分程度。残り、時間を多少とりまして、3、4、5、2ページ目のテーマ、こういうふうに3つに分けて議論させていただきたいと思います。

 まず早速ですが、最初に1の「組織的な学校運営の推進」にかかわって何かご意見等々がございましたらお願いいたします。また先ほど、3人の委員の方、事務局からのいろいろなご報告がありましたが、その内容についても、もしもご質問等々があれば、ご一緒にしていただければと思います。では、どうぞ。

○ 今、とてもありがたい事例、ほんとうに我々のそこにある学校でも取り組めばできるような環境を感じる事例をたくさん聞かせていただき、それが各学校で、スムーズに導入されていかないとするならば、それは何なのだろうかと。最初にご発表なさった先生が、とてもいいあれなのだけれども、やはり意識改革をしない限り、どうしても導入してもできないと。どうも教育庁の皆さんからもお話をさせていただいているのは、できることに関しては非常に簡単にできてきて、多分、予算さえ措置できれば、できるのかなと思うのだけれども、これだけできれば、こんなにできるのにとありながら、意識改革しなければできないということになると、学校運営の推進をするときに、どこを核にどうすれば、それができるようになるかという非常に根幹的な部分なので、現場にいない我々としては、なぜできないのだろうと思わざるを得ないので、その辺、何かヒントがあればいただきたいし、ここにいらっしゃる皆さんの中で、こうやればできるんだということを教えていただければ大変ありがたいと思います。

○ ありがとうございました。意識改革のポイントは何かというストレートなご質問だったのですが、何か今のご質問についてありますか。

○ 意識を変えなければというところは、どこに行っても、今、抱えている仕事をなかなか放そうとしないという実態がとこにもあると思います。学校評価のほうで青森のほうに行かせていただきました。青森の学校の校務分掌は、すべての事務について人が張りつけてあって、それをだれが責任を持ってやるのかというところが明確になっていない校務分掌でした。ただ、仕事の内容だけで、だれかがやるというような校務分掌でした。今までいろいろな資料が出て、いろいろな働きかけがあるのだけれども、なかなか学校は変わらなかったのだなということをひしひしと感じさせていただきました。

 変えるポイントというと非常に難しいのですが、もう一回、学校の業務を、教育委員会を含めて、この仕事はだれがやると効率的なのか。だれがやると一番有効に動くのかということを洗い出して、それを教育委員会、校長、教頭、事務職員、その他いろいろな業務に関する人たちをもう一回再配分するということが有効な手段になるのではないかなと思っております。

○ ありがとうございました。ほかにもいろいろご意見はあるかと思いますが、どうぞ。

○ 私は現場にいますので、そういう視点からお話をしたいと思います。まず、最初の1点目の教員の意識改革が進まないというお話ですが、これは一つは会計に関しては、一人の人がやったほうが手っとり早いから、ついそうなってしまうのですが、それは会計上はまずいわけですので、分担して、抑制というか、コントロールがきくようにしないといけないと思いますので、私の学校では、学年会計は、学年の会計を担当する人が現金を扱い、通帳を事務職員が預かって、判こは私が預かってと、3人で管理をしています。そこのところができれば、意識改革はそれほど難しくないと思います。一人でやってはいけないのだという、そこの意識改革が一番大事ですね。

 それともう一つ、校務分掌の話は学校規模によると思います。小さな学校は細分化すると、同じ人が幾つもやりますので非効率的だと思いますが、逆に大きな学校は、1つの分掌で、名前を何人も入れると、だれがやるのかという責任の所在があいまいになってしまいますので、学校規模に応じた校務分掌組織があると思います。昔は、学校規模が大きかったのですが、今は子供が減っていますから、昔のままの細分化された組織を小さくなっても使っていると、これはまずいと思います。その辺の意識改革が必要かなと思います。以上です。

○ ありがとうございました。

○ 極論を言うかもしれませんが、教員の体質に基づくところが大いにあるのではないかなということを感じているのですが、私も長く、教員あるいは管理職等をやってきたのですが、例えば教員養成の段階で、学校教育を推進するのは指導部門と管理部門があるというのですが、教員養成、教員を育てる段階から、ほとんどが指導部門が強調される。例えば学習内容をどう理解するかとか、あるいは指導方法をどうするかとかいったようなことで、管理部門は、そういうことについての養成の段階にほとんどないと言っていいぐらいだと私は思っているのですね。そういう形で、ずっと長年、教員が養成されてくるものですから、今、急に意識を改革するといっても、なかなかこれは時間がかかる根幹的な問題だと思っているのですが、そんなことを言っていても、これは長い話になりますので、やはり例えば管理職から、学校組織マネジメントというようなこともありますが、学校が成り立つためには指導部門だけではなくて、管理部門、例えば予算があってはじめて、学校が動くというような、そういう意識に変えていかないといけない。

 もう一つは、例えば、ここでの話し合いについても、ほんとうに日本の教育を変えるというような話になっていくかもしれませんが、教員養成の段階から、これは指導部門だけではなくて、管理部門についての意識をどう養成していくかといったようなことについても踏み込んでいかないといけないなと思っております。

○ ありがとうございました。

○ すみません。遅れてきましたので、ご発表を聞けなかったのは大変残念だったのです。さて預かり金の仕事というのが一つあって、それは大変な仕事だとは思うのですが、この制度自体がはたして一体どういうような形で、これまで運用されてきているのかということの整理が、ある程度、制度的にもう一回される必要があるのではないかという気がするのです。これは事務局にむしろお伺いしたいのですが、学校預かり金というお金の性質ですね。また、こういうものができてきて、はたして、こういう仕事を事務職員の方がいかなる性質でやっているのかということについて、制度的な手当てをしなくてよいのかどうなのか。というのは、預かり金とは一体どういう性質なのか一般的にはよく知られていません。給食費未払い問題とかありますが、この給食費というのは一体どういう理由で払わなければならないのか。そして誰がなぜ管理しているのか。一体どういう会計経理になっているのかということは、ちゃんとうまく説明がつくような形なのか。それとも慣習的にさまざまなお金が学校にあって、確かに学校で使うのだから、あったほうが便利だという話はありますが、コントロールの面とか、内部監査の問題とか、あるいは会計処理とか、現金出納の問題とか。仕事を増やす方向に作用する可能性があるので、この会議の趣旨に合わないかもしれませんが、制度的な手当てというのは、現状のまま、必要ないということなのでしょうか。

○ では、事務局からご説明ください。

○ 預かり金と言ったり、あるいは諸費会計と言ったり、さまざまでございますが、保護者から徴収するお金で、これは校費に組み入れられないけれども、教材等で学校の教育活動で必要なものについて保護者からそれを徴収しているというものが、ここで言う預かり金と言っているものではないかと思います。それの取り扱いにつきましては、校費、つまり地方公共団体の収入とかという形には入りませんので、学校で取り扱って、そして、それで支出をするという形になりますので、その点については、それぞれ設置者において、例えば小中学校ですと市町村において、その取り扱いについて基本的には定めているということでございます。その際には、校費における取り扱いに準じた取り扱いをして、また会計において不適正なことがないようにするためのチェック体制であるとか、そういったことなどについても規程を設けたり、あるいはマニュアルを設けたりして、実際に実施をしているというのが実態でございます。

○ 今、実態の説明なのですが、それに加えて、どうするかという議論も当然出てくるわけですが、そのほかにございますか。

○ 現状の説明はそうだと思うのですが、それについて制度的な手当てをする必要があるのかどうか。例えば、準じてという場合は、どうなのか。地方税であれば、当然、徴収の手続がありますが、預かり金について、そもそも払う義務があるのかどうなのかとか、そういう整理がちゃんとついているのかどうなのかということですね。今までは、何となくそれでできたのかもしれませんが、一体、制度が現状で大丈夫だということなのでしょうか。

○ いわゆる学校徴収金、先生もご承知のとおり、私が答えるのもおかしいのですが、日本の義務教育は無償というのは、授業料を取らないとか、教科書だけで、実際の学校の運営は、生徒から、保護者から、お金を徴収してやっていくわけですよね。ですから、先ほどご説明がありましたが、横浜市の場合でいいますと、そういったお金についてのきちんとした取り扱いのルールを決めてありまして、さらにその会計処理についてのさまざまなチェックもしておりますので、なかなかそのことは大前提として話を進めていかないことには、その在り方はどうなんだということですと、義務教育無償の在り方は一体どうあるべきかみたいな話になってしまうと思うので、その辺は私は、だから、そういったものを学校事務がどうしていくかとか、IT化でもってどうやって乗り越えていくかとか、そういうようなところに話を持っていかなければいけないのではないかなと。そういうことを思いましたので、発言をさせていただきました。

○ では、事務局から何か。

○ 補足して申し上げますと、徴収しているものについては、基本的に保護者負担、要するに個人に帰属するようなものなどについて徴収しているというものでございまして、学校で設置するような設備とか、そういったものは校費でやるわけですが、それ以外の私費負担になるようなものについてやっているわけですが、今、お話がありましたような形で行われているのが実際でございます。校費の執行、制度につきましても、実際のそれの取り扱いというのは、各自治体、市町村で会計・財務の取り扱いについても定められているという状況でございますので、これは、それを踏まえながら、実際に各私費の問題についても徴収金については取り扱っているという状況でございまして、これを何か統一的に云々ということになると、むしろかえって、どこまでやれるかというような問題もございまして、先ほどお話があったような形で、実際に、それをいかに適正に、かつ効率的に行う体制をどういうふうにしていくかということを考えていくのが今の課題ではないかと思っております。

○ いいですか。

○ ええ。この問題はここで議論して、大きく今それを変えようということではなくて、ただ、こういう問題は教育政策コミュニティーでは当然の前提になると思いますが、世間に出たら、それは通用しないのではないかという可能性があるということだけは、教育の世界の方にご認識いただければと。そういうつもりです。

○ ありがとうございました。例えば給食費の未納については、これを学校毎の責任として、校長、教頭、教員が個別に家庭訪問をして徴収するなんていうのはおかしいということで、これを自治体の収入に位置づけて、自治体として責任を持って徴収する仕組みをつくろうというような取り組みは既に行われており、一定の成果を上げているという報告があったと思います。おそらく自治体レベルで、いろいろな取り組みの中で、それは考えられていってもいいと思います。これは少しまた今後の検討課題かと思いますが。

○ 校長のリーダーシップに尽きるのかなという部分がないわけではないのですが、校長と事務主事さんとの関係といいましょうか、この辺のところをきちんとうまくできているかどうかというのが一つ問題があるだろうと思います。人事の問題になってくると、事務主事さんは県費教職員で、直接、県から来る。少人数職場であるということで、なかなか校長の指示に従わないような事務主事さんもいらっしゃって、なかなか実際、事務主事さんで悩んでいる学校の校長は結構いるのですね。この辺は本筋のあれではないのですから、事務主事と連携をとりながらやっていくと。

 特に教科書なんかは、教員がやる仕事ではなくて、私は、それこそ事務の方にお願いをしたほうが圧倒的に速いだろうと思うのですが、結局、教育委員会のほうから、学務課から学校の教員あてに、教科書担当に来ちゃうのですね。そうすると、それは教科書担当がやらざるを得ないという感覚になってしまうものですから、もう少し教育委員会は学務課でやっているわけです。指導室ではなくて。だから、その辺の連携もあると思いますので、教育委員会と学校とその辺でうまく仕事分担をきちんと、これは事務のほうに命じることというふうにしていただくと、かなり意識が変わってくるのではないだろうかと思います。

 もう一つ、大きなことは、教頭さんだとか、副校長さんというのが組織として、学校教育法上、置くことができるようになったわけですが、現実には副校長と教頭の両方がいるという学校は、まず今のところは義務教育段階では非常に少ない。この辺のところが解消してくると、先生方の仕事量も少なくなるし、事務に対するお願いすることもきちんとできてくるようになるのではないだろうかと考えています。

 いろいろたくさんありますが、そのぐらいにしておきます。

○ ありがとうございました。

○ いろいろありまして、2点お聞きしたいと思っておりまして、意識変革についてなのですが、非常に重要なことで、改善する中で意識が変わらない限りは改善は進まないと思います。ここに今回、発表いただきました委員の中には、実はその意識変革があって変わってきたのではないかなと思っておりまして、そこについてお二人から簡単なコメントをいただけたらと思っております。

 まず資料4のほうですか、ページをあけまして一番左上ですか、ページがついているわけではないので1枚目の裏という形になりますが、ハマ・アップの機能という形で、教育情報の提供がありますが、この中に指導案であったりとか、おそらくプリント教材であったりとか、そういうものが皆さん、ほかの先生の方のを使うという形になっていると思うのですが、教育関係者の方といいますか、教員の方は、人のは使えないという前提でものごとを考えられる方が私は多いかなと思っていまして、その変革があって、おそらく意識が変わってきて、何かしら仕かけていったのではないかなと。どういうふうに意識を変えられたのかなというのをお聞かせ願えたらと思います。

 あと、資料5になりますが、7ページ目にありますが、部活動の監督の方が大体111人ですか。19年度、実際の実績として挙げられておりまして、部活動においては、顧問サポーターという形で、教育的な視点という形で非常に先生方が部活動の担当から外れないというのでしょうか、どうしても自分で、技術指導の方が来られても、生徒指導という側面から同席をされたがるというのが多いのではないかなと思っておりまして、そういうことをうまくやられた結果として、監督の方がいらっしゃっても、先生はそこにいなくても、おそらく部活動は成り立っているという形だと思います。ぜひとも意識改革をどういうふうにしていったのか。なぜ変わっていったのか。実際、どう変えていったのかというのが、もし何かありましたら教えていただけたらと。ポイントでいいですから。

○ では、今のご質問について何かございますか。

○ 端的に申し上げますと、私どもは意識を変えようと思ってやっているのではなくて、システムが変わっていくと、それに適応するような形でもって、みんなの行動様式が変わってくるということで、授業改善支援センターの場合には、今、お話がありましたが、教員は非常に個人営業のようなことと、それから、ノウハウを人に伝授するようなことはあまり行われないわけですよね。そういった意味でもって、私どもは教員が最も割かなければいけないのは教材研究や授業づくりだと思うのですが、そこのところを効率的にやっていこうということで、情報の提供をし、こういう授業をやればいいんだということを具体的に提案してあげると。それには若い人がまず近寄ってくるのですね。若い人が、そういうことに近寄ってくると、それに触発されて、今までのやり方でやっていた先生がハッと気づいて、自分もということ。システムとマインドというのが両方ともうまく絡み合っていかないと大きく変わってはこないと思いますが、まだまだだとは思いますが、そういった意味で仕組みを変えるということで、そこに後からついてくるというのが意識改革なのかなと。意識だけを煽っても、心がけを唱えても、なかなかできないのだと思います。

 それからもう一点思うのは、学校で行われていることは、教員がやっていることも、事務がやっていることも、非常に非効率なことをやっていると思います。例えば名前を何度も書くとか、同じものをつくるのに転記をするとか、みんな一人一人がワープロでやっているとか。ですから、そういったもののスタンダードをつくるということ。このことをやることによって、相当、教員の負担軽減にもなるし、事務職の負担軽減にもなるのではないかと。そういうふうに思います。

○ 外部人材の件でお願いします。

○ 世田谷区では、平成17年に「教育ビジョン」を定めまして、すべての区立学校の管理職が、その「教育ビジョン」の方向性を理解していただいて、大きく動いているというのが一つ、底辺にはあると思います。お尋ねの部活動だけに焦点化してお話しいたしますと、部活動については、校長先生方を含めて、教職員の方々が非常に苦労されておりまして、悩みが多いことだったわけです。そういう意味で活性化するためにはどうしたらいいかという検討委員会を立ち上げて、徹底的に学校の悩みを聞きながら、今、監督以下5つの支援の形態をとっておりますが、こういうものを教育委員会の中で考えたというよりは、その悩みの中から生まれてきて、校長先生方も、こういうものがあったら、ほんとうに部活も頑張れるというようなコンセンサスができたということがあると思います。以上です。

○ ありがとうございました。では、1の柱の意見については、これを最後にしたいと思いますが、どうぞ。

○ 一つは今の給食費等の問題ですね。僕らが現場にいたときには、事務職員でやってくれといったら、「事務職員の仕事ではありません」というので、管理職が言って、結局、教員の仕事というようになっていたのですね。しかし、実際は、今、いろいろ議論が出ていますように、教育委員会、自治体として、例えば給食費の補助等をやっていますよね。そうすると、一次的には僕は自治体の責任だと思いますね。どれぐらい取るかですね。今も差し押さえ等の事務はやっていますからね。だんだん自治体がやるべきではないかというのが一つです。

 しかし今、委員も言われたように、日本国憲法では、普通教育は無償にすると書いてあるのですね。しかし、実際、教育基本法では授業料だけ無償にして、具体的にまた教科書でも無償になっていますが、これは今後の問題として、今まで、そんなものでいいのかと。OECDの比較でも、やはり私費負担というのは非常に大きいのですね、日本は。ですから、それは今後の問題として議論していけばいいのではないかと思います。

 校務分掌のことを考えるときに、現在ある校務分掌を、どのようにより効率化するかということも一つですよね。例えば、教員がやっている事務を、できるだけ事務職員が負担すると。これは一つの改善の方法だと思うのですが、ただ、それだけでは、僕は根本的に解決しないと思うのですね。先ほど事務局から出していただいた資料を見ますと、具体的な方策というのが入っていますね。これは人が非常に増えるようになっているのですね、人数が。ですから、こういうふうにして増やしていくと、非常に教員が授業、あるいは生徒たちに向かい合う時間は増えると思いますね。こういう形でやっていけばですね。ですから、それは非常に必要なのだけれども、ただ、これは非常に大きな財政措置が必要になってきますから、この辺をどうするかということをやらんといかんと思うのですね。このことについては、既に文部科学省から出した資料の中にも、日本の場合は、教員とその他の職員、これは教員に対して大体26%ぐらいですね。しかし、アメリカの場合は48%ぐらい、ほかの職種がいるのですよね。ですから、そういう形で、ここにもありますように理科支援とか、ICT支援とか、そういう形で教員以外の職員を増やしていくと。そして、教員にはできるだけ授業を中心にして持っていくというふうにしていけばいいんじゃないかと。根本的な解決はですね。それが一つです。ですから、そのためには、ここに学校業務に対応する方策として書いていますように、業務の削減というものと、今の職種に対応した職員を増やしていくと。この2つをもう少し具体的に議論して追究していったらいいんじゃないかなという気がいたします。

○ よろしいですか。どうもありがとうございました。

 では、今、議論がさまざまありましたが、もう既に2とか、3のテーマにも踏み込んでいるというか、関係があるようなご意見もありましたので、時間もあと10分しかありませんが、5分程度オーバーすることをお認めいただいて、残り15分程度を、この2の「多様な専門人材、地域人材の積極的な活用」から、2ページ目の「業務の効率化」「業務の削減」「教育委員会のサポート体制」、こうした問題についてまたご意見を伺っていきたいと思います。皆さんから、どうぞ。

○ 2番目の点についてですが、先ほどから議論されている教員の意識改革にも重なりますが、学校の教員を選んでくる人たちは、子供を全体的に見てあげたい、全体的に支援してあげたいというのが職業選択の一つの大きな資質だと思います。それをずっと長い間やってきていますので、なかなか事務の方にお願いしたり、「それは知りません(担当が異なります)」ということにはなりません。その辺が製造業と少し違うと思います。そうは言いつつも、第1は、教員は授業の時間を任されているわけなので、授業の中で最大のパフォーマンスをどう出していくのかということを考えなければならないと思います。だからといって、分業制で授業だけやっているからいいでしょうというのでは、今後の教育を考える上ではちょっと見当違いだと思います。やはり教員の資質としては、子供を全体的に見ながら支援し、サポートし、伸ばしていくということだと思うのです。かといって授業外の問題、この辺で外部人材だとかICTを活用できるようになると、ICTは予算措置も大変必要なわけですが、先ほど来、意見が出ていますように、校長先生をはじめ、教育長の皆さんが旗を振っていただいて、何年かがかりで啓蒙していかないと、なかなか直らないと思います。

 私のところでは、小学校の教員が、とにかく丸つけもし、朝の登校も見て、帰りの下校も見て、見ていないと心配でしょうがないというのが実態であります。今、そうではなくていいんですよと、チームでみんなでやっているのだから、ほかのことにかかわって、こっちは任せていいですよと、その日のうちにICTでメールをもらったり、みんなで情報共有をして、チームで学校としてかかわっていきましょうということをしています。ここに挙がっている人材の活用やICTのこと、また退職教員の方々の応援などは、まさしく今やっていらっしゃるようなことで進めていけばいいと大いに賛同しております。

○ ありがとうございました。

○ 学校が果たす役割が、これは共通の認識として、昔と変わってきているということですね。それは教員とは違った考え方を持つ人をいかに活用するかという時代になっている。それが今の2番目の議論だと思いますが、一つ紹介というか、先ほどのお話、それから事務局の説明の中にもありましたが、スクールカウンセラーについては、これは文部科学省の事業、これは画期的な事業ということで取り組みが、中学校についてはほぼ全学校に配置されている。今、小学校への配置、問題を抱えてくるのは小学校のときから、いろいろな問題があるので、小学校への配置をいかに進めるかといったようなことになっていると思います。

 それから、スクールカウンセラーというのは、あくまでも学校においての活用ですが、スクールソーシャルワーカーというのは、先ほどのお話にもありましたが、それから事務局の話にもありましたが、地域へ出かけ行って、学校だけではなくて、家庭の問題、あるいは地域社会の問題、そういったところへも学校から離れて行って、活動の分野を広めていくと。そういうスクールソーシャルワーカーの活用というか、活動について、今、ちょうど文部科学省初中局の児童生徒課が中心になって、この辺を検討中ですね。スクールソーシャルワーカーをいかに活用していくか。その事例について関西地区を中心に、先ほどは熊本の例がありましたが、非常に効果を上げているところがあると。そういったところのまとめが、この3月に出る方向ですね。それをぜひ活用して、結論的に言えるのは、先ほど最初に言いましたように、教員の発想とは違った考え方を持つ人をいかに連携協力して、協働(コラボレーション)の精神で、学校運営、学校教育にかかわっていくかと。そういうことを考えなければいけないなと思っております。

○ ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。

○ 学校の業務をどう改善していくかという方向性としては、大きく分ければ3つ考えられると思います。1つは、人を増やすという話で、一番手っとり早い話ですが、予算がかかります。2つ目は、業務を減らすということなのですが、これは学習指導要領は逆に週28コマから29コマに増えます。だとすれば、もう一つは、業務の効率化を図るということで、ICTの活用というところが大きなポイントになるかなと思います。

 まず人を増やすという面では、私は教員でなくてもできる部分を分業化していくのがいいと思います。ただ、大幅な分業というのは、これはなかなか難しいとは思います。例えば、どんなところができるかというと、読書指導員、司書でもいいのですが、資格がなくても読書指導員みたいなものを配置していただければ、これは非常勤で済みますし、図書室の管理をやってもらって、貸出業務を全部やってもらいます。それからさらに、これからの学力で特に求められている探求力みたいなものの調べ学習の相談にも乗れますので、私の学校では非常に効果を上げているものです。

 それからあとは、中学校は不登校が多いものですから、スクールカウンセラーが週1日だけではとても対応しきれませんので、昔、文科省でやっていた「心の教室相談員」は、今、市で配置してくれています。これが週3日配置されますので、週4日は相談室にだれかがいます。そういう相談体制を整えながら、教室に入れない子とか、不登校生徒支援教室(サポートルーム)と呼んでいるのですが、そういうところで学習支援をしているということをやっております。そのときにスクールカウンセラーは専門的な立場から診立てをしてもらって、どんな対応方針でいくべきかということを、週1回、運営委員会を授業のコマの中に1コマ設けて、毎週定期的に校長、教頭、教務主任、生徒指導主事、学年主任、スクールカウンセラー、養護教諭、一堂に会して、今、問題を抱えている子について一人一人、みんなで情報交換しています。そういうことをやっていくと、結構、教員も一人で悩まなくて済みますので、非常に心理的にも負担が軽減されていくかなと思います。

 それからあとは業務の効率化ということでは、例えば職員会議の提案資料などは、学校のコンピューターの中にデータを入れておけば、次の担当者は、使えば、元がありますから、ゼロから考えるより、よほど時間は節約できますので、パソコンをどんどん使って、業務の効率化を図っていくべきだと思います。通知表はもちろんできますし、指導要録もできると思います。以上です。

○ 残りの時間がほんとうにわずかになってきたのですが、ほかにどうでしょうか。ご発言を準備されている方は? 。

○ 失礼します。中学校現場に勤めています。今、お三方のお話を聞かせていただきまして、ほんとうに現場の教員とすれば、ありがたいと思います。いろいろな方々から支えていただけると、ほんとうにありがたいと思わなくてはいけないと思いながら、実は毎年、年末になりますとニュースになりますのが、文科省が発表される精神疾患の教員の数でございます。この年末のニュースにおいても、2007年度に鬱病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は4,995人と。前年度比が320人増、過去最多である。15年連続の増加であるという数字が出ておりまして、この数字というのは、やはり現場が厳しいんだということの表れだろうと思っておりますし、私も現場でそういうふうに感じております。今、いろいろな方々からサポートしていただけるということには感謝をしつつも、この数字が増え続けるの大きな問題であろうと思います。

 そして、今日のレジュメにあります、1番の「組織的な学校運営の推進」の教職員の定数の改善でごさいますが、お金がないからできないというのはわからんでもないのですが、現場の者としては、やはり仲間を増やしていただきたいということは解決の一つになるのではなかろうかと思っております。当然、いろいろな財政的な問題もございましょうが、教育振興基本計画が、昨年7月1日に閣議決定されていますが、そこには教育への投資を惜しみませんよという言葉がありますので、ぜひお考えをいただきたいと思っております。以上でございます。

○ 今日、出された「増大する学校業務に対応するための具体的な方策について(案)」という、この5つの柱ですが、方向としては大変いいのではないかと思っています。言わずもがなですが、やはり先生方が子供にきちんと向かい合うためには、組織というものが校長を中心としてきちんと確立をしていかなければいけないということは当然のことでありますし、そのための今の学校の組織が、はたしてほんとうに、これでいいのかということを考えた上で、ぜひこの資料2にあるような職務等についての職名がきちんと配属されるようなことをお願いしたいと思います。

 2番目の「地域人材の積極的な活用」については、今日は、たくさんの報告をいただきましたが、大変上手に使っていらっしゃって、これも大変ありがたいことだなと思いますが、コーディネーターをどういうふうに仕上げていくのかということ。世田谷区さんでは、コーディネーターをちゃんとうまく活用されるように、区の教育委員会のほうで研究をされていらっしゃるわけですが、なかなかそれがうまくいかない例が多いわけでありますので、そうなってくると、学校で副校長なり、教頭さんなりが、その仕事をしなければならない。となると、この組織、最初の1番の組織のところの問題になってくるだろうと思いますが、しかし、外部人材を積極的に活用することによって、学校の業務は、ほんとうに変わってくるだろうと思いますし、教員が生き生きと子供に向き合って、仕事ができるようになるだろうと考えています。

 3番、4番、5番もそのとおりなのですが、私は、最後はもちろん学校が努力していかなければならないと思いながら、教育委員会のサポート体制の整備ということ、今日の横浜市の例にしても、世田谷区の例にしても、非常にうまいシステムを考えながら、学校の意見を聞きながら、教育委員会がそのシステムを考え、網かけをなさっていらっしゃる。それにきちんとした予算をつけていらっしゃるということを感じておりますので、ぜひ教育委員会のサポート体制の整備をもう少し充実というか、各項目を充実していただけるとありがたいなと。網かけの問題、あるいはソーシャルワーカーの問題、あるいはICTを含む予算化の問題、そういったようなことが教育委員会は独自で予算を持っているわけではないので、なかなか難しいだろうとは思いながらも、ぜひそこのところにもう少し力をかけていただければありがたいなと思っています。以上です。

○ ここに学校支援地域本部の事業がありますが、僕は、これは非常にすばらしいと思っているのです。それで、私たちの組織でも、退職教職員にボランティアとしてのセミナー講座をずっとやっているのですね。それで学校との連携をとって、学校の子供たちの登下校をはじめ、サポート体制をとるということで、ボランティア活動ができないのかというと、やはり年齢でいうと80歳になっても、なおかつやりたいという方もいらっしゃるのです。ですから、そういう面では非常にボランティア活動をやろうという退職教職員も非常に多いということですね。しかし、それが実際に組織されないということがありますので、今もありましたが、これをどこが主体になってやっていくのか。一般にボランティア・コーディネーターの場合は、本人が主体になって組織づくりというのが当たり前なのですが、必ずしもそれだけではうまくいきませんので、やはり教育委員会なり、学校が、そういうような地域におけるボランティアをしたいという人がいることを前提にして、もう少し働きかけていただければ、この事業本部は成功するのではないかなと思います。以上です。

○ ありがとうございました。もう予定の時間を5分ほどオーバーしていますが、何かぜひ一言言いたいという方はいらっしゃいますか。

 では、一言ずつということでよろしいですか。時間も押し迫っていますので、一言ずつだけ。

○ すみません。私は今のまま、人を増やしても、ざるに水を注ぐようなものだと思いますね。ですから、やはり仕組みを変える、やり方を変える、それを最小の費用でもって実行していくと。そういうことが今、最も必要なのであって、いろいろな意見はありますが、やはり人やお金をかけないで、まだやる余地が、現場もそうですし、教育委員会でも、できることはいっぱいあると私は思います。

○ では、ほんとうに最後に。

○ 長年、教育委員会事務局にいた者として、今日はあくまで5つの柱立てということで今まで発言したのですが、私はもう一つ、大事なところがあるのではないかと思います。今、地方自治体の首長部局、例えば都道府県教育委員会だったら知事部局、あるいは市町村の教育委員会だったら市長部局の予算のつけ方とか、使い方とかといったことになると、教育委員会だけでは、はっきり言って、今はどうにもならないような時代になっているのではないかという観点から、地方自治体の首長部局とどう協働して、教育、すなわち人材育成を推進するかというようなことを徹底的にやらないとですね。これは最後はお金というか、いろいろなことがかかわってくるので、そこを切り込む必要を私は痛切に感じてきたものですから、今もそれを感じているのですが、その柱が要るのではないかなということを一つつけ加えておきます。

○ 重要な指摘だと思います。ありがとうございました。

 もう時間がなくなりましたので、これで今日の意見交換、審議は終わりたいと思います。僕のほうで最後は少し皆さんの意見をまとめようと思ったのですが、時間がありませんので、まとめません。基本的には、今日の審議の柱であった資料1の具体的な方策についての基本的な整理と、この柱の個々の取り組み等については、基本的には、こういう方向で今日は了解をいただいたというか、なおかつ、こういう方向を確認しながら、これをさらに深めていくような意見をいただいたと感じました。

 次回は、今日の議論を踏まえまして、第3の柱、教職員の勤務の在り方、特に勤務時間管理の在り方について審議をしていきたいと思います。

 では最後に、次回以降の予定等々について事務局からご説明いただきます。

○ 失礼いたします。最後、資料7の1枚紙でございます。今後の開催予定でございますが、次回第6回は今月の1月28日水曜日、時間は繰り上がりまして、午後1時から午後3時まで、場所はこちらと同様、三田共用会議所第3特別会議室となっております。お忙しいところを恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○ では、今日はこれで会議を終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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