学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成20年12月11日(木曜日)13時~15時

2.場所

旧文部省庁舎6階第二講堂

3.議題

  1. 今後の学校の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小川主査、天笠副主査、石塚委員、植田委員、金井利之委員、金井洋子委員、川田委員、小林委員、島田委員、曽我委員、田村委員、角田委員、渡久山委員、根本委員、服部委員、原田委員、若井田委員

文部科学省

玉井文部科学審議官、金森初等中等教育局長、合田総括審議官、前川審議官、徳久審議官、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、濱口企画官

5.議事録

○ 早速議事に入らせていただきたいと思います。これまで第2回、第3回の作業部会では、この作業部会のテーマである職務改善等々の先進的な取り組みを行ってきた教育委員会とか、あと学校などからのヒアリングを行ってきました。そうしたヒアリングを踏まえまして、今日から本作業部会で検討すべき事項について、これから順次議論していきたいと思います。

 先ほどご説明がありました、第1回の作業部会において配付された資料をちょっとご参照いただきたいと思うんですが、この作業部会で検討すべき事項として、大きく分けて5つの柱を設定しております。今後の学校の在り方、2として教職員の職務の在り方、3つ目として教員の勤務時間管理の在り方、4として勤務時間の弾力化、最後に5として教職調整額の見直しという、この柱に則してこれからの作業部会としては議論していきたいと思います。

 今日は、その最初ということで、基本的には第1の今後の学校の在り方、もう少し中身を分節化すると、学校の業務が増大していることについてどう考えるか。学校がこのような状況により適切に対応するためには、どのような方策が必要か等々を今日は議論していきたいと思います。

 まずこの今後の学校の在り方の、今日の議論にかかわって、関係する資料を事務局のほうから少し説明いただきたいと思います。

○ はい。それでは失礼をいたします。お手元、先ほどごらんいただきました資料1、資料2、資料3をまずご説明をさせていただければと思います。

 まず資料1の一枚紙でございますが、今、主査からもお話がありましたとおり、今後の学校の在り方、なかんずく今後の業務――学校の業務が増大していることについてどう考えるか。それからこのような状況に学校としてより適切に対応するためにどのような方策が必要かという観点での資料でございます。

 資料1のところ、学校の現状というものを業務負担の観点から見ましたときに、議論のたたき台という形で提示をしていただいておりますが、幾つかの柱がございます。一枚紙の括弧書きで入れておりますけれども、3本立ててございます。

 まず1つは児童生徒等の指導に関する面からどうかというのが1つ。それから2つ目として学校の運営に関する面からという部分がございます。それとそういう学校の内部だけではなくて、外部との連携等々に関する外部との関係といったような大きな3点ございますけれども、それぞれ申し上げますと、児童生徒等の指導に関することというのは、ポツを3つつけておりますが、例えば社会の高度化・複雑化等に伴いまして、学校で教えることが期待される教育内容といったようなものが非常に多様化している。また、それに対応するためのさまざまな準備が必要になっているといったような課題が1つ。

 また、児童生徒の規範意識の変化や、問題行動の多様化等によりまして、その指導が困難化するような場合が生じているといったような部分。

 あるいは別の部分では、部活動について、平日の放課後に加えて土曜日・日曜日も行われている現状がございます。また、種目数に比べて専門的指導者が不足している。教師が経験の少ない種目を指導しているというような状況も生じているといったようなものが、まず大きな1つのたたき台の例として挙げさせていただいております。

 また2つ目、学校の運営という部分の中では、例えば勤務実態調査にもありますけれども、会議・打ち合わせ、あるいは事務・報告書作成といったような、子供の指導に直接かかわる業務以外の業務に一定の時間が割かれるようになってきているといったような現状ですとか、どこの社会でもそうですけれども、説明責任、アカウンタビリティーというものを果たすことが求められるようになってきていて、その説明の機会が増えると。で、そのための書類作成等も必要といったようなことも増えてきてございます。

 別の面では、校務分掌といったような部分で見た場合にでも、その校務分掌が非常に細分化をしておって、1人の教職員が複数の分掌を持つといったようなことなどによりまして、さまざまな学校経営の役割を担う場合が生じているという部分もまたございます。

 それから、3点目の外部との連携等に関することで申し上げれば、例えば家庭や地域との連携といったようなことが一層求められるようになってきております中、保護者あるいは地域住民の方々に対応する機会というのが1つ増加をしている。

 また学校に対する保護者、あるいは地域住民のご意見やご要望といったようなものが多様化する中で、一部には理を尽くしていないといったような要望がなされるようにもなってきてございます。

 また、家庭や地域の教育力が低下をすると、かつて家庭や地域が担ってきたような役割を学校が担うようになってきていると。この辺のところは、この作業部会を開催する前の初等中等教育分科会なんかでも指摘があった部分でございます。

 そういったものを現状のデータといったようなところで拾っていきましたのが資料2でございますけれども、すべてを説明しているとちょっと時間の関係もございますので、ある程度かいつまんでという形で申し上げたいと思います。

 まず1つ、資料2の児童生徒の指導に関することという部分で言えば、お開きをいただきますと、1枚おめくりいただくと4ページ目から始まりますけれども、まず1つは、学習指導要領の改訂といったようなものが、本年3月にございました。そこの中では、基本的な考え方、上の緑の四角の中に入っておりますけれども、特に具体的には、授業時数の増加ということで小学校でも10%の増、あるいは理数なんかを中心にして10%の増といったことに対応するような形で、教育内容が充実してきております。

 その教育内容の主な改善事項というのは、隣のページ、5ページにありますとおり、言語活動の充実、あるいは理数教育の充実といったような柱が7つほど掲げられておりますけれども、特に耳目をひきますのは、例えば武道の必修化をする、あるいは「はどめ規定」といったようなものを原則削除して、詳細な事項を扱わないといったようなことをやめて、いろんな充実をしてきているといったような動きが1つございます。

 そういったような関連の中では、次のページ、6ページにもありますが、9日24時に発表されておりますけれども、いわゆるTIMSS2007の結果の中でも、我が国の学力の状況というのは、この下の段のほうになりますけれども、統計上の誤差を考慮すると前回程度。ただ一方で、一部改善も見られるけれども、例えば学ぶ意欲、学習習慣の課題等々、いろんな課題もあるといったようなことが明らかになってございます。

 また1枚おめくりをいただきますと、ページ8、9あたりですと、そういった教育内容の充実といったようなことに加えまして、特別支援教育といったような部分の中でも、ここにも箱書きでありますけれども、通常の学級に通う場合、特別支援学級の場合、特別支援学校の場合といったようなことで、現在22万人、全体で2.00%といったような方々がおられるわけですが、平成9年度と平成19年度、10年前と比較した場合でも、例えば通級による指導、特別支援学級といったようなことですと、およそ2倍ほどの増といった状況が見られるわけでございます。また、特別支援学校のほうに通われる方も増になっているという現状もございます。

 そういったものとはまた別のフェーズになりますけれども、9ページで言いますと、日本語指導が必要な外国人の児童生徒数も、例えば平成18年、19年といったような一番右端の部分で見ていただきましても増加傾向、特に小・中での増といったようなことが1つ現象としてございます

 そういった1つ、教育内容等々の多様化、また指導といったようなものがありますが、次の10ページで言えばいじめの状況、11ページで言えば暴力行為の状況、また12ページにいきますと不登校の状況といったようなものもございます。そういったものも、現在の統計のとり方というのは、単純比較が過去とはできないような部分もございますけれども、基本的に非常に数が多いといったような状況が、いじめの状況、暴力行為の状況、あるいは不登校の中でも見られるといったようなことがございます。

 そこの中で1つ、対応策の部分にも絡んできますけれども、スクールカウンセラーの状況というのを13ページで見ていただきますと、現在、表が3つほどございますけれども、最新の状況で言えば、スクールカウンセラーの派遣校数というのは大体1万を超える状況という形で今、拡大傾向にございます。また予算額についても大体ほぼ同額といったような形で18年、19年というのは推移をしてきている。スクールカウンセラーの配置人数、あるいは準ずるものの配置人数といったものも、大体ほぼ同様ぐらいの形で推移をしているといったようなことがございます

 その次のページ、14ページは青少年が利用する、いわゆる学校非公式サイトと言われているような状況でございますが、これも新聞に載せられましたけれども、本年4月の段階でおよそ3万8,000件といったようなものが確認されてございます。そういったものは特に携帯電話とも非常に密接に絡むわけでございますが、15ページを見ていただきますと、パソコンの使用率とともに携帯電話・PHSの使用状況といったようなことで、ざっくり申し上げて小・中・高で言えば、いわゆる3割・6割・9割といったような利用状況ということで、非常に拡大傾向にあるという部分の指摘が1つございます。

 また、その携帯電話に絡み得る話としては、次のページ、16、17、特に17でございますが、出会い系サイトに関連した事件の検挙状況といったようなことを見ますと、箱書きのところにありますけれども、最新のデータでは被害者約1,300人のうち、18歳未満の児童が84.8%ということで、大部分を占めている。またその中でも特に女子児童というのが、これも1,100人弱ということで、その中の99.7%でございます。また出会い系サイトへのアクセスの手段として、携帯電話をやはり利用しているといったような場合が、1,062人ということで、96.5%、まあ子供・女子・携帯といったようなところでつながっておるというような部分がございます。

 それから児童生徒の指導に関することの部活動の関係でございますが、次のページ、18ページ、19ページ、20ページといったようなところでございますけれども、部活動の現状につきましては、運動部総数の推移というのがございます。昨日、今日あたりも東京都の中の公立中学校の部活動の数の減少といったようなことが新聞紙上で取り上げられておりますが、ここの箱書きにもありますとおり、少子化による生徒数の減少、あるいは運動以外の活動の興味関心による参加生徒数の減少等々、さまざまなことがございますけれども、そこの中でも競技種目によってはチームが編成できない、あるいは十分な指導ができなくなるといったような形で、運動部活動を継続することが困難な場合も出てきてございます。データ的には若干減少傾向にございます。

 そういった中で運動部の活動自体の生徒数の推移というところで見ますと、19ページにありますが、生徒数は減少、中で所属率につきましては横ばいで推移といったような状況がございます。

 そういった中で20ページの、今、外部指導者というようなものが、この前の東京都のヒアリングの中でも出ておりましたが、外部指導者の活用状況といったような部分では、表が3つほどございますけれども、一番上の公立中学校、公立高等学校の中では全体の部数の中で約22%というのが今、現状でございます。というような児童生徒の指導に関することの部分が1つございます。

 それから2つ目の大きな柱である、学校運営に関することというのが次のページ以降でございます。そこの中では、例えば先ほど申し上げましたとおり、会議・打ち合わせ、事務・報告書の作成といったような部分が多く割かれているという部分もございますけれども、22ページ以降のところでは、勤務実態調査に基づく、いわば円グラフをつけさせていただいております。1つ特徴的なのは、例えば22ページで見ますと、年間1日あたりの平均勤務日といったようなことを学校長で見た場合、事務・報告書作成という部分と、会議・打ち合わせの部分、小・中学校それぞれ足し上げますと、大体この時間数の分類で言えば、およそ3割ほどが学校長の場合この事務・報告書作成、会議・打ち合わせといったようなことで埋められているという現状がございます。

 それを教頭・副校長という場合で見ますと、25ページのほうの円グラフを見ていただければと思いますが、小学校の場合でも両方合わせますと37%、中学校の場合ですと41%ということで、学校長が大体3割平均であるのに対して、教頭・副校長の場合はやはり事務作業が忙しいというご指摘がありますが、それが4割というような形になってきてございます。

 その他方で、28ページの円グラフを見ていただきますと、教諭の方々につきましては、円グラフで見た場合、やはり何といってもメーンは授業でございます。会議・打ち合わせ、事務・報告書作成という部分を両方、小・中学校で見ますと、およそ両方とも大体8%という形でとどまっております。こういった部分につきましては、特に管理職の方々に時間が行っているというような状況が1つございます。

 それから、説明責任といったような部分の中では、ちょっと飛ばしますけれども、例えば32ページ、33ページあたりを見ていただきますと、学校評価の実施状況といったような現状がございます。ここの中では32ページ、公立学校における自己評価、それから学校関係者評価というようなものの実施状況が載ってございます。最新のデータの中では自己評価は98%、学校関係者評価ということになりますと、それがまたちょっと減少いたしまして、大体およそ半数弱といったようなことが今、実施されている現況でございます。特に自己評価につきましては33ページ、設置者への報告状況、それから公表状況といったようなことも、学校関係者評価と大体数字的にはリンクをしておりますが、大体4割から5割弱といったような状況がございます。

 それから事務との関係の中では、例えばコンピュータの整備率というのが34ページのところに載っております。これもICTの活用というのは、学校の負担軽減ということの中でも非常に大きな課題でございますけれども、平成19年3月の状況の中では、大体全国平均で43.0%といったようなものが、1年たちまして20年3月の段階では57.8%ということで増えてきております。ただその一方で、この棒グラフを見ていただいてもおわかりになりますとおり、まだ都道府県の中でもばらつきがあるといったような現状でございます。

 また事務との関係の中では、これだけではありませんが、1つの例として学校給食費の徴収状況の中で、平成17年度の状況の中ではいわゆる未納問題が22億円、大体児童生徒数の約1%といったようなことがございます。もちろんこういったことにつきましては、例えば教材費等々、ほかの部分もございます。

 それから大きな3番目の、外部との連携に関することの関係データでございますが、1つにはまず37ページ以降、コミュニティ・スクールの指定状況ということで、これも年を追うごとに非常に拡大をしてきているというような状況がまず1つございます。あわせまして学校評議員につきましても、これも拡大傾向、現在大体82.3%といったような状況でございます。

 それ以外の家庭や地域との関係という部分で、1つ最近のトレンドの中では、やっぱり学校地域支援本部、1つの学校を核にして、そこの中に地域の方々、家庭の方々が加わっていくというような形での、取り組みがありますけれども、今年度から始まっている状況の中で、大体9カ月ほどたった状況の中では、現在の設置数が2,163本部と。いろんな方々に加わっていただいておりますが、ボランティアの人数としては大体30万以上、対象の公立学校の中では、小・中・その他の学校種を含めまして、およそ6,511校という形で順次進められてきているような状況がございます。

 次のページをおめくりいただきますと、外部対応といったようなことの中で、特に41ページ、教員を取り巻く状況の中で、教員への、どのぐらいの現象を感じるかといったような点がアンケートとして出てございます。保護者や地域住民への対応が増えたかと思うかどうかのところですと、小・中学校別にありますが、とても感じるという部分と、わりと感じるという部分を合わせますとおよそ7割から7割5分といったような形で、いずれもやはり増えているのではないかというのが教員の方々の実感としてございます。

 その一方で地域の教育力等々の関係でございますが、42ページ以降になります。地域の教育力について、以前と比べてどう感じるかといったような実態調査につきましては、42ページの棒グラフにありますけれども、以前に比べてやはり低下しているのではないかというご指摘が半数以上を占めているといったような現象がございます。

 その次のページ、43ページの中では、実際にその地域の方々と子供とのかかわりの中で、家の人、あるいは学校の先生以外の、周りの地域の大人の方々から注意された経験がある青少年というのは、どうしても少なくなってきているといったようなご指摘がございます。

 ここの中でも、こういうことがよくされる、あるいは時々されるということは、この棒グラフの中の2番目で、近所の人に道で出会ったときに「あ、何とかちゃん」といって声をかけていただくといったような部分はあるわけですが、悪いことをしたときにしかられたり、注意したりするといったようなことを含めて、基本的には全くされない、あるいはあんまりされない状況が非常に多いといったようなことが見てとれるわけでございます。

 そういった中で44ページ以降でございますが、子供を育てる上で地域が果たすべき役割を周りに聞きますと、やはり地域としては社会のルールを守ることについてきちっと教えるということについて、やはり地域が積極的にかかわるべきだというふうに思っている向きがやはり6割以上といったようなことで、なかなか現実と理想とのギャップというのが、特に学校・家庭・地域をめぐる全体的な状況ということの中では1つございます。

 実際大人の側でも45ページを見ますと、地域活動への参加状況の中では、ここの箱書きにもありますけれども、ご年配の方々というのは、地域への参加率というのが、相対的に見ますとそれなりに高いといったような状況があるわけですが、やはり若年者の場合はどうしても活動歴は全くない、あるいは非常に数が少ないといったような状況がございます。

 46ページ、47ページ、それから48ページにつきましては、子供が健やかにはぐくまれるために地域で力を入れるべきことということの中で、やはり社会のモラルを教える、あるいは学校の安全のために、地域の中での子供の安全のためにいろんな活動をするといったようなことが期待をされるわけでございますが、それと同時に家庭の状況ということの中では、育児時間について、諸外国と比べても、特に男性の場合、日本の場合は非常に少ない、あるいは国際的に見ても、48ページを見ていただきますと、保護者が子供にしつけを行う機会が少ないといったような現状がございます。

 そういった、こういうデータとそれからこういう論点のたたき台を踏まえまして、そういう増大している、やはり学校としてなかなか負担が減らないという状況がございますが、そういった増大する学校業務に対応するための方策という形で、何が考えられるのかという改善の方向性の案を示したペーパーが資料3でございます。もろもろの課題と対応する方策というのは、それぞれが1対1対応しているというものではございませんで、いろんな課題がある中でそれぞれを考えてみると、こういう柱があるのではないかといったような形で示させていただいているものが資料3でございます。

 5つほど柱を挙げさせていただいておりますが、まず増大している現状に対して、今後とも適切に対応していくための方策として、以下のようなものが考えられるのではないかということで、まず1つは何といいましても、組織的な学校運営をきちっとやっていって、学校全体としてきちっとマネジメントをして、校長のリーダーシップのもとに、必要な体制を整えて、きちっと学校教育に当たっていく必要というのが今後の学校教育の改善方策の大きな柱の1つとしてあるのではないかというのが1つ目。

 それから2つ目として――2つ目、3つ目、4つ目あたりになりますが、学校の中での関係になりますけれども、1つは多様な専門的な人材、あるいは地域人材というものを積極的に活用していって、地域や家庭の方々とともに学校教育をきちっと考えていくという部分がございます。

 2ポツ目の中では、適正な教職員の配置を進めるということとともに、授業以外のさまざまな業務については、教員以外の専門的な人材、あるいは地域の人材を積極的に活用できるようにする。またこうした取り組みによって、教員は教育のプロと、これも以前の中教審でも使っておりますが、教育のプロとしてのゆえんである授業に集中できるようにするといったような方向性が1つあるのではないか。

 また、業務そのもので見ますと3ポツ目、4ポツ目にありますけれども、1つは業務を効率化するといったようなことの中で、ICTの活用を進めて書類作成時間の短縮を図る。名簿や指導案等、学校全体で使用するような資料をデータベース化するなどして、仕事のやり方を工夫し、効率化するといったような方向性ですとか、あるいは業務削減という部分の中では、会議や調査等の事務的な作業を見直して、真に必要なものに精選し、そうでないものは業務自体を削減するといったような方向性もあるのではないかと思われます。

 そういった学校の中でのことも含めますけれども、5ポツ目としては、教育委員会のサポート体制の整備といったようなことの中で、教育委員会として学校のサポート機能を充実して、学校単独では対応し切れないようなさまざまな、現状と課題の中でもありましたけれども、複雑な課題に適切に対応できるようにするといったような方向性も考えられるのではないかということで、とりあえず資料の説明でございます。

 以上でございます。

○ ありがとうございました。今、学校をめぐる状況が今、どうなっているのかということを具体的な資料データ等々についてご説明いただいた上で、じゃあそうした今の学校をめぐる状況、一口で言えば、学校の業務というのは非常に増大している中で、その改善のためにどういう方策が考え得るだろうかという、今日の議論にかかわる方策について大体5点ほど、具体的に検討すべき課題を提案していただきました。

 今のご説明を踏まえて、今日の「今後の学校の在り方について」のテーマについて、議論をしていきたいと思うんでけれども、少し主査のわがままをちょっとお許しいただきたいと思うんですけれども、こうした教員の業務の改善に向けて、地方の教育委員会レベルでどういう議論や取り組みが進んでいるかを、少しご紹介しておいたほうが今日の議論にとってはいいのかなと考えまして、事務局とも相談し、地方自治体取り組みの1つの事例ということで、今日、机上配付されているこの冊子、『理想の学校教育の実現を目指して』という冊子の内容を少し私のほうからご紹介させていただきたいと思います。

 これは静岡県教育委員会がこの10月に、学校を取り巻く状況が今、どうなっているのか、その中で教員の勤務状況が一体どういう状況にあるのか、そうした分析を踏まえながら、静岡県として教員の業務改善の諸方策について検討したものです。私もこの委員の中に入って一緒に県教育委員会と作業をやってきたということもありますので、今日は事務局にお願いして、少しこの報告の中身を説明させていただきます。

 これは今、言ったように静岡県においても、やはり学校が非常に忙しくなってきており、教師が子供の授業の準備とか、子供の学習指導等々に向き合う時間が非常に減ってきているという実情があるということで、2006年に文部科学省が実施した全国の教職員の勤務実態調査を踏まえて、静岡県も独自に平成19年度、全県の実態調査を行いました。その実態調査をベースにして委員会を発足させて、静岡県における勤務状況の改善等々の議論を、およそ1年間にわたって審議してきたものです。その中身がこの報告書の内容になっています。

 時間もありませんので要点を少し、私のほうから説明させていただきたいと思うんですけれども、まず目次を開いていただくとこの報告書の全体の流れがわかります。

 1つは、第1章、第2章が今日の審議にかかわることですけれども、静岡県を含めて学校をめぐる状況が一体今、どうなっているのかという現状分析と、そこから析出される諸課題が第1章、第2章のほうで検討されています。

 そしてそれを踏まえて第3章、第4章、第5章では、そうした現状と課題を踏まえて、改善すべき諸方策が具体的に検討されていまして、第3章は施策の基本的な考え方とか目指すべき方向、第4章がそれを踏まえて、具体的にどういうふうな改善方策があるかという個別の施策案が出されています。第5章がそうした施策を進めていく上での留意点ということで、幾つかの基本的な観点が整理されています。それともう1つ、こういう施策を空理空論に終わらせないために、実際どれぐらいの経費がかかるんだろうかという経費の試算もしております。時間がありませんので、そのすべてを今日はご紹介することができませんので、主に今日の審議にかかわる第1章、第2章を少し説明させていただきたいと思います。

 まず3ページから始めたいと思いますけれども、この3ページでは、家庭・学校・社会(地域)が本来担うべき役割について整理しております。そのことを踏まえて第4ページに、そういうふうな本来期待されるべき役割ということがあるんだろうけれども、実際、今の学校の現状というのはこうなっているんじゃないかというような現状分析、極めて簡潔ですけれども、整理しています。

 ここでは主に社会、経済等々の変化の中で、子供の育成にかかわる学校の役割が極めて増大してきているということと、その中で、学校で指導すべき教育内容が非常に多様化・複雑化してきており、そのための対応が緊急に求められてきていること、さらに今後の社会の変化を予測すると、学校の役割というのは、これまで以上に大きなものになっていくのではないかというふうなことが書かれています。

 そういうことを踏まえて、結論として学校教育はまさに今、飽和状態にある。従来1980年代に学校5日制の議論が登場したときに、いわゆる学校スリム化論が主張され、学校が抱え込んできたさまざまな教育的な機能を家庭や地域に返そうじゃないかという学校スリム化論という議論があったんですけれども、今、そうした学校スリム化論では対応し切れない。むしろそうした家庭や地域の大きな変化の中で、さまざまな高度な、そして複雑な諸要求というのが、学校にむしろどんどん要請されてくるようになってきていて、学校教育はまさに飽和状態にあるという、そうした認識のもとで今の学校の現状を分析しています。その1つの整理が4ページの図3になっております。

 こうした分析を踏まえて、5ページから7ページでは、これからの目指すべき学校教育とか子供の姿を見定めた上で、それを実現するための基本的な考え方をまとめています。

 例えば6ページをごらんいただきたいんですけれども、ここでは学校教育が本来家庭や地域が担うべき役割まで抱え込んできており、かつ教育内容の多様化・高度化にも対応せざるを得ない状況に直面しているため、教員の業務量は著しく増加し、教員が子供と直接向き合う時間を十分確保し、充実した教育活動を行うことが困難になっている現状を再確認しております。

 しかしながら、じゃあそうかといって、そうした学校の問題を家庭や地域に返すことができるという状況にはないのではないか。つまり本来学校が担うべき役割ではないからといって、学校がそこから手を引き家庭や地域に任せてしまうことは、家庭や地域の現状を考慮すると難しいという認識をこの報告書では示しています。そのために学校教育が期待される課題を実現していくためには家庭や地域の現状を踏まえて、改めて学校教育にかかわる人的・物的支援を手当てして、外部の力を活用できる仕組みづくりを進めることが緊急の課題ではないかという、大体そういう施策に向けての基本的なスタンスというものをここでは整理しております。

 こうした考え方に基づいて第2章以降に、具体的に各領域のさまざまな現状分析を行っております。それを踏まえて、今度は第3章、第4章では、具体的な改善方策ということで、個別的な施策が記載されています。

 ここについてはもう時間がありませんので、別の機会にぜひ報告書を読んでいただきたいと思うんですけれども、最後に58ページですか。ここに現状を改善していくためのさまざまな諸方策にどれ程の諸経費がかかるか計算がされています。この委員会に諮問されるときに県知事さんが、お金のことを最初から頭に入れていろいろ検討すると、その検討自体が非常に萎縮してしまうので、そういう制約をせずに検討してみてほしいという要望がありましたので、それにかかわる諸施策の経費を検討してみたんですけれども、基本的には年間大体480億、5カ年で2,400億円ぐらいかかるというそういう試算になりました。一応こうしたものをベースにしながら、静岡県では可能なところから順次施策について取り組んでいきたいという回答をいただいております。

 今日のテーマにかかわって、静岡県の事例ですけれども、地方自治体レベルでもこういう議論とか、取り組みが行われているということも、少し今日の議論の参考材料として参照していただければと思います。

 報告がすごく長くなりましたけれども、先ほどの事務局のほうからの資料1、資料2、そして今の静岡県の報告書をベースにしながら、今日の第1のテーマ、今後の学校の在り方、学校の業務が増大しているということについてどう考えるのか。またこのような学校の状況により適切に対応するためには、どのような方策が必要なのか、また可能なのかというようなことを中心にしながら、意見交換等々やっていきたいと思います。

 では残り1時間少しありますので、よろしくお願いいたします。どなたからでもどうぞ。ご質問含めてどうぞご自由に出してください。

○ まず1つは静岡県のことでちょっと教えていただきたいんですが、年間480億という試算だということなんですが、ちょっと数字だけですと肌感覚でつかめないもので、480億というのはどういう意味なのかというので、例えば住民税で賄うと何%に当たるのかとか、あるいは消費税でやると何%なのかとか、何か具体的にイメージできませんと、これ、480億と言われても、4,800億と言われても何だかよくわからないので、ちょっと感覚的にはどんな数字になるんですかね。

○ その辺を委員会では詳細に検討したわけではありませんので、ちょっと……。

○ 事務局はデータはないんですか。静岡県の。

○ 事務局のほうで何かデータございますか。

○ いや、もしそういうものがわかれば、単純に言えば、住民税っていうのは最高、制限税率がかかっていませんから、やる気があるかどうかだけの問題であって、どの程度、仮に試算ですけどやるとしたら、財源調達が可能なのかっていうことがあるといいのかなあと。

 というのは、一般財源からとってくるっていう話は、それはそれで理屈としてはそうなんですけれども、地域の責任であるとするならば、結局のところ地域が負担するということで、体を出さないんだったらお金を出すしかないということにならざるを得ないので、地域全体としてどの程度負担するのか。都市計画で言えば固定資産税に上乗せする都市計画税というのがありますけれども、教育に関しては別に特定財源があるわけではないですけれども、実際問題、賄うとしたらどうなのかっていうのが、ちょっと1つ関心であったもので、そうしませんと限られたパイを分け合って、よこせと言って、でもほかにも大事なものがありますという話になるのではないかなと思いまして、ちょっとこれ、お教えいただければと思った次第です。

○ わかりました。ほかにどうでしょうか。

○ 今、いろいろなお話をさまざまな観点から私ども、お聞かせいただいて、まず1点目、一番大事なことというのは、今の現状の予算の中でどう在り方を変えるのかっていう地点を、我々が論点として考えてやるのか、それとも根本的に財源処置をもう踏まえて、もっと財源を確保できる可能性を踏まえて、そこまでも拡充した中での学校の在り方を考えるかによって、大分力点のお話の移し方が変わってくるのかなと思います。

 私も先ほどここに到着して、『理想の学校教育の実現を目指して』をぱらぱらと見た段階の中で、私は学校週5日制になったときに一番言っていたのは、学校は週5日制、先生方は週5日制でも構わないけど、学校は6日制のほうが意外とうまくいくかもしれないということをずっと言っていましたが、学校週5日制となるともう5日が原点ですから、6日はあり得ないわけですから。だから根本的に学校の在り方、全面的にもう一度論議し直すんだっていう論点になれば話も随分変わってくる部分があるんですね。ただ、そうでなければ、さまざまないい結果を持っているものに踏まえて、どのように今の学校業務の負担感を減じながらやっていく、ここを考えていくのかっていうのとは随分違ってくるものがあるものですから、その辺はトータル的にどのようにお話ししたらいいのかなっていうふうに思って、ちょっとご質問させていただきました。

○ 何かその辺、事務局のほうでご意見ございますか。この委員会では5日制をベースとして、今の予算の枠と制度の中で何が可能かという議論をベースにしながら、しかしそれでは解決できない議題があるとすれば、新たな枠を少し考える可能性も追求するというのが現実的な議論かと思うんですがいかがでしょう。

○ 今の1つとして、実は今の学習指導要領が変わったときの、教育課程の議論をしたときに、結局授業時間も増えていく、それからいろいろな形で生活指導も非常に厳しいということで、結局あのときの教育課程の議論では、そのためにこういう条件整備をする必要があるっていうことになっていたんですね。ですから僕だけじゃないだろうけども、あのときに議論をしたのは、やっぱりこういうようなことをしていくんだったら、こういうことが必要だというような、例えば小学校に英語を導入するなら、それに対する手当てが必要だったり、それに条件整備が必要だったり。まあ事務局も、文部科学省もそれなりのことはやってもらっているわけだけども。その授業時数の増加に対して、どういう形でやっていくのかというような問題なんかがいろいろあって、それを見てみますと、あんまり条件整備の場合の数値目標等をつくっても、それが実現できるかどうかというのは、まだまだ別の問題になっちゃっているんですよね。ですから、そういうことを考えますと、頭の中に入れておいても、まあ静岡みたいに、これもちょっとできっこないっていう気がしますよね、これぐらいの大きな数字では、現実的には。

 というような感じがしますので、僕はとりあえずここに書かれているような感じで、例えば資料3に書かれているようなものは、もう率直に申し上げて、具体的な問題提起だと思うんですね。それをどういう形で、じゃあ生かしていくのかっていうようなことが問題になってくるんですけども。例えばこれの具体的な検討は、教員の勤務実態調査のものがありますね、今日出していただきました資料の二十何ページからのがありますけど、そういうことを見ながら少しずつ整理をしていくというのが、非常にいいんじゃないかなというような気がしますね、具体的には。

 ですから、例えば、教員個人のそれぞれの業務っていっても、学校によっては1人1校務制というのをとっているところもあるんです。事実、だから現行法、あるいは現行条例の中でもそういう努力をしているところもあるんですよね。しかし1人の教員が複数業務を持っていているところもあるんですね。ですから授業が済んだ後は、この委員会行ったり、この委員会行ったり、この委員会行ったりで、非常に忙しくしている教員もいるんですね。

 ということですからある程度、何ていうかな、形の上では具体例に従って整理をして、そういう中から理想的なと、静岡みたいに格好よく言えるかどうかわからないけども、それでも少なくともこういうことは大事にするとか、あるいはこういうことだけはどうしても学校の主たる任務ではないかっていう感じで整理するような方法がいいんじゃないでしょうか。

○ そうですね。はい。それとあと、委員の中には学校現場、教育行政の現場の責任者の方がたくさんおりますので、できましたらそういう学校や教育行政のさまざまな今、現場の状況等々含めてのご発言もいただければと思います。

○ はい。学校現場も、それから行政も若干経験はしているんですけれども、特に今回のことで学校の業務が大変増大をしているということにかかわって、先般のヒアリングのときに群馬のほうのヒアリングがありました。で、今日の静岡の理想とする学校というところの中にも、学校の業務の整理・縮減というところがあって、400億円ぐらいのお金がかかるといったようなことが出ていますね。

 現場の人間として見ると、教育内容の指導、あるいは子供にかかわることでの問題について、教師が時間をオーバーしてもやっていかなきゃいけないだろうと思うんですが、学校業務の委託できる部分、人にやっていただけるような部分が相当あるのではないかと。そういったことについて、今後きちっと要望していかなきゃいけないだろうと思うんですね。

 先ほど、今の財源で考えてやるのか、それとも今後のある程度中・長期を見通してということでおっしゃられたんですが、中教審としては、近いところも当然見据えながら、中・長期に今後、ある程度長いスパンで考えて、方向性をきちんと出していく必要があるのではないかなと思います。

 そういう意味では、例えば現在の段階では、平成23年の3月まではこの行政改革の推進法で人数の制限がありますけれども、やがて外れるかもしれないし、やっぱり外したいというふうに思っているわけですから、この静岡では30人学級編成の導入というようなことがありますけれども、そういうことも見据えて、学校の多忙感を少なくしていくためには、条件整備ということをもっと徹底していかないといけない。その中で優先順位をつけながら、まずやるべきことはこういう、例えば業務の委託といいましょうか、そういったようなことが優先的にまずなされるべきであり、そして段階的に人数を少なくしたり、あるいは少人数指導という数を増やしていく。こういうふうなことを考えることが、学校のこの問題の解決に近づいていけることになるのではないだろうかなというふうに思います。以上です。

○ はい、ありがとうございました。

○ まずこの『理想の学校教育の実現を目指して』というのを、先ほどお聞かせいただいた中で、まさしくこれ、理想と書いてあるとおりでもって、非常に分析はとってもよくできているとは思うんですけど、現場を預かる教育行政の責任者からしてみると、今の現状の中でもってこのようなことは全体を、すべてを達成することはとてもできはしないだろうなというふうな、そんなような思いがしておりまして、横浜の場合ですと、義務教育が大体500校、小・中学校500校ありまして、ほとんどが学校教育にかかる予算ですけど、それでも現在年間の学校予算、施設整備も合わせて820億ぐらいですから、そのうちの400億とかっていうと半分ぐらいの額になるわけで、とても予算的には非常に難しいなと。ただこの中にある、ヒントはたくさん隠されているというふうには思います。

 それと、やはり今後の在り方っていうことを考えるときに、私どもとしては、現実的な解決策っていうのをぜひ見出していかなければいけないんだということを思うわけで、私どもは日ごろ教育行政を担当する中でもって、学校からはこれしてくれ、あれしてくれ、人をくれ、物をくれ、金が足りないというふうなことをいつも突きつけられているんですけど、その中でもって私は非常に大きなポイントといいますか、柱というのは、今後の学校教育っていうのはやっぱり学校だけではできないということと、じゃあどこに助けを求めたらいいかっていうときに、これはもうまさしく地域しかないというふうに思っているんですね。

 それは、ただ何ていうんでしょうか、今のところは、例えば子供の安全とかっていう面では、非常に地域の方を巻き込んでかかわりを深く持ってやってもらっているっていうところがあるんですけど、さらに教育の中身のこととか、あるいは学校運営に直接かかわって、今までそれは自分たちでやっていきますよというふうにしていたものだとか、あるいは教員はそこまでは入ってもらいたくないというような、そんなようなものも含めて、やはり地域の教育力を活用していくというか、そこのところをかなり深く追求をすることによって、やっぱり教員の負担の軽減や業務の、これは学校全体に寄せられる役割に対して、押しつぶされそうになっている現状に対して、少しでも明るい展望が見出せるんではないかなと、そんなふうなことを思っております。

 キーワードは地域の教育力の活用と。その教育力の、それは教育力だけではなくて、あらゆるマンパワーを学校に振り向けていくというか、それが1つのキーワードかなと思っております。

 それと、あまりこの今後の学校の在り方というのを、いろんな条件をすべて外して論じると、これはもう際限ない話になってしまいますし、ああだったらいい、こうだったらいいっていう思いはいっぱいあるんですけど、ある程度そこのところは、金はない、人はないっていうようなことを前提にして、だったらどうするかっていう、そこをやっぱりぜひ掘り下げていきたいと思います。

○ はい、ありがとうございました。

○ 先ほど、週5日制を前提にするか、6日制を前提にするかっていうお話がありましたけれども、今、小学校の増置教員っていうのは、学級担任以外に1人か2人しかいません。中学校でも、まあ学校規模にもよりますけどそれほど多くありませんので、教員を週5日制、まあ週休2日制ですよね。で、週5日勤務という前提で、授業日を週6日っていうのは、これはちょっと不可能ですね、現実に。週1回休むことになりますから。特に小学校はすべての教科を学級担任が教えていますから、1日学級担任がいなくなってしまいますので、現実的には無理だと思います。したがってこの作業部会では、週5日制を前提に議論を進めていくのがいいというふうに思います。以上です。

○ 私の質問させていただいたことには、私自身で皆さんからのお話が聞こえたと思うんですが、その中でPTAという活動を通して学校をおつき合いしていく中ですごく思うのは、我々PTAっていうのは、保護者と先生とともに学校を盛り立てていく、よりよくしていくためにはどういう知恵があるのか、まさしく地域連携のときの橋渡しの役割も我々保護者ができる場合があり、殊、学校教育の部分に関しては、保護者との橋渡しを我々PTAが行う場合がありということの部分では、私はPTAという団体がほとんどの保護者が加盟をしているということで、どちらに偏ることなく進んでいくという考えの中では非常に今、大きな役割を果たさなければいけない時期なのかなというふうに思っています。

 その中で学校を見たときに、PTAはたくさんの保護者がいるので、じゃあこういう部分のときあなたにお願いをしてっていう、人材的な宝庫のようにあるんですが、学校の先生になるとそうはいかないと。あの先生に頼むともう多分オーバーワークするだろう、あの先生に頼むとオーバーワークするだろう。だからそれをトータル的に考える、マネジメントをされる先生は、校長先生か教頭先生ぐらいしかいなくて、ほかはさまざまな役割も負担されているので、じゃあ担任の先生方がいろんな悩みがあったときに、それをどこに持っていって解決するかという受け皿のマネジメント状況がきちんと学校の中に、今、少し弱くなり過ぎているのではないか。多くのいろんな問題が発生してくるという状況になってくれば、まさしくそれをコーディネートしてマネジメントすることができなければ、今、最少人数、この中でどうやったら一番効率のいい解決をするかということがマネジメントできないような気がします。

 そんな意味で今の校長、教頭のある数人ぐらいが、そのマネジメント業務をして、あとは一つ一つ全部それぞれの部署をやっているという状況では、ちょっと解決に難しい部分があると。この在り方を少し変えただけでも相当な効率状況をつくることができるんじゃないかなというふうに、今までPTAで学校とかかわったとき思っている部分があります。

○ はい、ありがとうございました。主にどういうふうな方向で改善を進めていくかということで、業務委託の話とか学校のマネジメント能力の向上等々ということでいろいろご意見がありました。ほかにどうでしょうか。

○ 事務局のほうから出していただきました資料1、資料3がよく整理されていると思いますので、それに沿ってお話ししたいと思いますけれども、今日は資料3、全部お話しするということではないかと思いますので、幾つかをとらえてお話ししたいと思います。

 まず資料1の中で、確かに児童生徒等の指導に関することの一番上にあります、期待される教育内容が多様化しているというのは、もうほんとうにそのとおりで、例えば、1つだけ例を出しますと食育というのがあります。昔はただ、給食指導していればよかったような状態だったわけですけれども、やはり家庭における食の在り方というのが変化する中で食育が入ってきた。また、地球環境の問題で環境教育が入ってきた。いろいろな、学校に求められる教育内容が多様化しているというのは、これは現実問題としてあります。しかもさまざまな関係機関からいろいろ要求されることが多いんですね。例えば税務署からは租税教育をやってほしいというようなことを言われます。そのように教育内容が多様化しているという現実は、学校に押し寄せていると思います。

 それから学校運営に関することも、ここに整理されていると思いますけれども、この背景として、やはり少子化現象というのが大きい背景としてあるということを感じております。やはり少子化で学校が小規模化してきますと、教員の人数が少ない。そうすると教員の1人当たりの担当する業務が多いというようなことがあると思います。

 それからちょっと戻りますけど、児童生徒等の指導に関することで、児童生徒の規範意識の変化や、問題行動の多様化と問題行動と整理されておりますけれども、もう1つ、配慮が必要な子供たちが通常の学級に入ってきているということ、その配慮が必要な子供たちにどう対応していくかということで、先生方の業務といいますか、指導の複雑さが増加しているという点もあると思います。

 それで資料3に関しまして、自治体の教育行政を担当している立場から少し申し上げたいと思いますが、世田谷区では84万の人口がございまして、約100校の小・中学校を抱えておりますけれども、やはり組織的な学校の運営の推進というのは、非常に重要なことであろうと思っております。校長先生と副校長先生がマネジメントをやるわけですけれども、その2人だけがマネジメントをやって、ほかの教員がマネジメントの意識がないと、これはもう組織として成り立っていかないわけですね。ですから私はマネジメントという点では、やはり管理職である校長・副校長のマネジメント意識、そしてマネジメント意識を持った管理職が教職員マネジメント意識をどう育てていくかということが非常に重要であろうと思っています。

 世田谷区では学校経営塾というのを始めておりまして、平成17年度からやっておりますけれども、校長先生がゼミをつくって自主的な課題を設定しながら、年間を通して学校経営を学ぶということをしております。

 それと同時にやはり一人一人の教員が、自分も学校運営に携わっているんだという意識をどういうふうに醸成していくかということが非常に重要で、そのための研修ですとか、学校長らの指導などが非常に重要で、やはり組織的な学校運営の推進ということが大切であろうと思います。例えば子供がけがをしたときに、1人の担任だけが保護者と対応するよりは、やはりちょっとの時間でも主任や管理職が組織として保護者と対応したほうが、後々の時間的エネルギーを考えますと全然違うんですね。やはり担任だけが対応して、学校は事故をどう考えているかと信頼を失うよりは、管理職がぱっと出ていって病院について行って説明をするとか、そういう対応をしたほうがいい場合も多々あるわけですね。保護者との信頼関係ができるかできないかで、後々の学校が使う時間とエネルギーを考えますと全然違うということがあります。

 そういうことも含めて、組織的な学校運営の推進というのは、一人一人の教員が子供と向き合う時間を生み出す上で非常に重要であろうと考えます。それはもちろん授業一つをとりましても、指導力に応じて、授業の展開などについてお互いに話し合ったり、またベテランが若い教員を指導したりするというふうな組織運営というのが非常に重要であろうと思っています。

 それから2番の多様な専門人材、地域人材の積極的活用というところまでちょっとお話ししたいと思いますが、私は、今、話がありましたが、やはり地域というものを大切にするということが非常に重要だと思っております。世田谷区では平成16年度に今後10年間の教育の方向性を定めた教育ビジョンをつくりました。静岡のものと同じような感じだと思いますけれども、その教育ビジョンは5つの柱から成り立っておりますが、その第1の柱に地域とともに子供を育てる教育というのを掲げておりまして、例えば地域教育力の向上とか、地域が参画する学校づくりとか、家庭教育への支援とか、地域の教育資源の活用とか、6つの中項目を掲げて15の施策を掲げて進めております。

 地域を活用するというよりは、地域と一緒になって、地域とともに子供を育てるという考え方でこれからの学校は進めていかなければならないと思っておりまして、地域の方は「自分たちの学校」であるという意識が醸成されますと、ほんとうに、何ていいますか、非常にボランティア精神を発揮して学校の教育活動に参画していただいております。

 私どものところで、地域支援本部と同じような学校協議会というのを平成9年度から全区立学校に置いておりますけれども、学校協議会は60名ぐらいのボランティアの方が参加している学校協議会もございます。さらに今、地域運営学校、文科省はコミュニティ・スクールとおっしゃっていますが、地域運営学校を22校設置して、さらに拡大しようとしておりますが、地域運営学校の、例えば学校運営委員会(世田谷区では学校運営協議会を学校運営委員会と呼んでいます)が今まで学校が取り組んでいたり、PTAが取り組んでいたり、おやじの会が取り組んでいたりしていたものを全部整理して、学校運営委員会が窓口になって、例えば学校の環境教育、緑化運動を進めようと、それから読書活動を応援するために、図書館運営を学校運営委員会が中心になってやっていこうと、それから子育て支援などを含めながら、小規模校になるのを防いで、私立小学校に進む子供たちを公立小学校に入れてもらえるように子育て支援をしようとか、その地域の方や保護者の方が中心になっている学校運営委員会が、学校と地域の間に入って非常に円滑なパイプ役をしていただいているということもございます。

 それから世田谷区では学校支援コーディネーターというのを派遣する事業を今、拡大しておりまして、大体3分の1ぐらいの学校には派遣をしておりますけれども、これは先生方が何か授業で外部の講師を活用したり、授業を企画するときに、保護者の方であったりNPOの方であったりする学校支援コーディネーターが、先生方の協力・支援を行うものです。外部との交渉を一切その方が行うとか、そのような外部支援コーディネーターを置いたり、それから司書アルバイトといいますか、司書の資格を持った、または準じた方を年間100日、6時間ですと100日、3時間ですと200日派遣できるという制度で、図書館機能を助けて、先生方の負担を軽くしたり、それから非常勤講師を区独自の費用で採用して、先生方の負担を軽くするということも進めております。

 それから中学校には文科省のスクールカウンセラー事業が定着しましたけれども、やはり子供の多様化に対応するという視点から言いますと、小学校にもスクールカウンセラーが必要であろうということで、小学校全校に区の予算でスクールカウンセラーを派遣しております。やはり先生方の業務の中で、教員という専門以外の方の力をかりて先生方の業務を減らすということはかなりできるのではないかと思っております。

 ただ現状の中で、例えば世田谷区も、90名ぐらいの学校から900人以上の学校まで規模は多様化しておりますけれども、例えば大規模校で養護教諭が2人いたらいいなとか、大規模校で副校長先生が2人いたらいいなとか、そういうことは現実問題として少しの予算でできるのではないかと思いますし、また栄養教諭等の整備が進めば給食指導等につきましても、かなり学校は助かるのではないかと思います。そういう意味での体制づくりというのは大切かなと思っております。

 あとICTの活用等もやっておりますけれども、とりあえず1番と2番に絞ってお話をさせていただきました。

○ はい、ありがとうございました。

○ 今日はどんな発言でもいいということで、ちょっと発言させていただきますけれども、先ほど『理想の学校教育の実現を目指して』、静岡県の事例を聞かせていただいたんですが、ほんとうに一つ一つのことについて、私も感動したんですけれども、やはり教育というのは理想とか夢を追って、その実現を目指すというのが教育だと思うんですね。せっかくできたこの理想の学校教育というのが、このまま実現できないというのはいかにも寂しいという気がするんですね。

 ただしこれ、現実的かというと、先ほどから何人かの委員さんがおっしゃっていましたが、私自身も教育行政でいろいろやっていて、私の県の場合ですが、大体県全体の予算が8,000億程度だったんですね。そのうちの25%、2,000億ぐらいが大体教育予算なんですね。その教育予算の2,000億の約85%から90%が人件費なんですね。で、実際に教育活動、学校の建設とかいろんなものに使えるのは年間200億から300億ですね。もうそれくらいの程度で学校、小学校400校、中学校200校、それから高校が100校ですかね。それくらいのところの教育予算が200億から300億でずっと運営できている。それから比べると、これ、ほんとうに実現できるかどうかというようなことなんです。

 しかしこれだけのことが検討されて、これが理想だということなら、この理想の学校教育を目指さなければ私たち、やっぱりむなしいと思うんですね。それを考えたときに、どういう方法があるかというと、これは改善の視点ですけれども、私は2つの方向があると思うんですね。

 1つは学校及び教育委員会も含めて、教育関係者が徹底的に改善できる点、努力して、教職員も含めて学校と教育委員会が今、行っている業務を徹底的に見直して、徹底的に改善できる点は何かという、その点で改善できる視点はすべて洗い出していくということが1つの方向と。

 なおかつそれでもできない部分というのは、例えば予算も含めて、どこに求めるかといったら、これは予算要求する。不謹慎かもしれませんが、これは教育を受ける人たちに応分の負担を求めるというようなことも、ある一方では考えなければいけないですね。

 これはいろんな県も自治体も含めて、例えば公教育の在り方というのは今、問われていて、民でできることは民でというような、私は教育についてはそういう発想はあまりよくないと思うのですけれども、例えば私学へ、できるだけそれに依存するというか、そういう方向へ動いていくような自治体もあるんですね。それは公教育ということについて、いろんなところで見直しがかかってきている。

 実際に学校教育を受ける立場から見ると、保護者の立場から見ると、例えば教育予算というか、教育にかかる家計というようなことを考えると、できるだけ安い公教育を求めるというのは当然ですけれども、公教育とそれから私学との差は、依然としてあるわけですね。だからその辺のところをどこかで、ある程度応分の負担を求めていかないといけないというような時代に来ているのではないか思います。

 というのは、どこに財源を求めるか。教育委員会が徹底的に切り詰めて、これだけのことをやります、しかしなおかつこれだけのことを理想を追ってやろうとするとどうしてもお金がかかる。それはどこかに負担を求めないとどうしようもないわけですね。それを家庭に求めるか、地域に求めるしかない。どこかに予算要求をするというようなことをしないと、前へ進まないような気がするんですが。

 せっかくこれだけの『理想の学校教育の実現を目指して』というのがあるから、これを目指す方向性を探るのが私たちの役割ではないかなということを思っております。

○ 静岡県の報告では、施策に要する経費に多くの関心が払われていますが、本来の趣旨は前のほうの現状分析と、それに基づく具体的な施策の点にありますので、ぜひその辺はご理解いただければと思います。

 ほかにご意見は。

○ すいません。ちょっと一言だけ。私が拝見するに、この中にヒントはいろいろあると思うんですけど、実はじゃあこういうようなことで予算措置をしたからといって、今、学校教育が抱えているさまざまな現状、子供の問題もそうですけども、それから学校の多忙感であるとか、子供の学習意欲の問題とかそういったものを、お金を投じたからといって、解決できるということではちょっとないんじゃないかと、私はそういうふうなことをすごく思うんですね。

 先ほどのお話はまさに、こういった条件を整備することによって、ひとつ大きな展望が開かれてくるんじゃないかというふうなお話だと思うんですけど、私は、だから実は問題は、こういうような、例えばこれも教員の定数の増とかっていろいろ書いていますけれども、一定程度のことはもちろん必要なんでしょうけども、今、学校が抱えている問題というのは、実はただ単に人を投入したりお金を入れればできるということじゃなくて、やっぱりそのシステムとか、仕組みとか、考え方、やり方の、進め方の基本的な在り方みたいなものをしっかりと議論をしていくことが一番大事じゃないかというふうに強く思うんですね。

 ですから往々にして、こういった条件整備の話によって、じゃあ理想が実現できるかごとくのあれがあるんですけど、もちろんこれはこれでもって、もうすばらしいものだと思いますけども、こういったことの少しでも実現を図っていけばさまざまな課題が解決できるのではないという、そういう認識に立つべきだというふうに強く思いますので、ちょっとだけ言わせていただきました。

○ はい。今のご指摘も非常に重要な指摘だと思いますので、また議論があった場合その辺の議論をしていきたいと思います。

○ 私自身さっき、大事なご意見途中に席を外してしまいましたので、ちょっとこの会の流れが私の頭の中で滞っておりますが、先ほどご自由にというお話がありましたので、3点についてお話をさせていただきます。

 1点目でございますが、資料3の組織的な学校運営の推進、この中に学校全体で組織として業務遂行に当たるようにするというところでございます。私自身教員になりまして26年目でございまして、多くの校長に、それからいろいろな研修会で、教員は一枚岩となれ。教師集団で指導せよというふうな言葉で、指導をいただいております。とにかく我々は学校現場で生徒のためにみんなが持っているものを出し合って、生徒のために一生懸命やりなさいというわけでございます。個人プレーは許されないと思います。ですからしっかり連絡をとらないといけない。話し合いをしなくてはいけないということが生まれてきますし、あるところではこういう教えもいただきました。私たち教員を例えれば、もちを焼く網である。それぞれの網の網目は違うんだ。教員も個性がございますから、網目の大きさも違うんだというわけでございます。我々が重なると上から見たときにほとんどすき間がなくなる。つまり生徒を、例えば小石に例えれば、どこかの網に、重なることによってとめることができるんだ。重みはみんなで感じるんだ。そういう考え方で頑張れというふうな教えでございます。なるほどなと思いながら、そういう実践をいたしております。

 ただ、現実的には非常に連絡と申しましても、いろんな業務に追われておりまして、ゆっくり話し合う時間というのがほんとうにないのは現実でございます。でもこれが必要なんでございます。とにかく我々がみんなで、学校のみんなで、職員全体で協力をし、力を合わせて生徒のために努力していかなければならないというところでございます。この考え方っていうのは、本題でありますところの教育調整額の見直しにもかかわるのだろうと思っております。これが1点でございます。

 それから2点目でございますが、今日の議題にあります、今後の学校の在り方ということでございますが、結局社会が学校に何を求めるのか、ここを無視するわけにはいかないと思うわけでございます。例えば学校で何か問題があったときに、土日のことであっても校長が謝罪をする。もちろん学校が抱えておりますから、かかわるなという意味じゃございませんが、家庭がそこに出てこない。家庭がどうであるのか。基本的には土日は家庭に帰すわけですから、家庭の指導のもとにと我々は思うのでございますが、すべてにわたって校長、学校関係者の者が頭を下げるという場面がございまして、これは社会がやはりそれを学校に求めるからだろうと思うわけでございます。

 家庭と地域と社会がしっかり力を合わせ、スクラムを組んで、子供たちのために頑張らねばならない。まあ家庭が手を抜くというわけじゃございませんが、今、規範意識の低下だとか、家庭教育力の低下だとか言われるときに、学校が、地域が頑張らざるを得ないところがございまして、先ほど申しましたように、社会が何を求めているのか、今、かなり広範囲にわたっていると思います。これが2点目でございます。

 それから3点目でございますが、『理想の学校教育の実現を目指して』ということでございますが、私が今の勤務校に着任したときに本校のテーマが、「明日が待たれる学校をつくろう」というものです。もう何年も前からあるテーマでございますが、どういうことかと申しますと、教員も生徒も今日一日が充実できた。よかった。早く明日一日学校を迎えたいな。明日の学校生活を迎えたいなと、そういう学校づくりをしようじゃないかということで、常々いろんな場面で、授業の中でも、職員会の中でもこういう言葉が出されます。非常に理想的な言葉と思うのでございますが、問題がもちろんないわけじゃございません。

 ただ、ここにもやっぱりヒントがあるのは、やっぱり子供も、生徒も話し合いをしながら、私たち、自分たちの学校生活がどうあるべきかということも、教員も考えていかないと、当然考えるわけですが、子供にもしっかり考えさせるという視点も必要であろうというふうに思います。

 自由にということでございましたので、申し上げました。以上です。

○ はい。ありがとうございました。

○ この議論の中で示していかなければいけないものっていうのがあるんじゃないかなと思います。1点は、現場の教職員の方が非常に困っているというのが事実だと思います。この多忙の中で非常に苦しまれているというのは事実。どこまでが業務なのか、どこまで仕事をすればいいのかっていうのが非常に迷われています。ですからこの議論の中ではおそらく業務の範囲の明確化というのをある程度基準なりを示していく必要があるんではないかなと思います。

 それはこれからの環境変化なども含めてという形になると思います。それと今、仕事をする中では、本番だけが仕事であって、その前だとか後の処理というんですか、そういうものっていうのは仕事として換算されていないと思いますので、そういうことも含めてです。

 先ほど理想の中でもありましたけど、戻すということではなくて、あくまでやはり示していく必要がある。それによって問題だとか、要因というのが明確になってきて、関係する、協力していただく関係者の方々に対して、やはり役割を振ったりだとか、そういうことも成り立っていくと思いますので、そういうことを示していかなければいけないと思います。

 もう1点なんですけれども、わかるようにするというのも1つ、今後必要なのかなと思っております。先ほど学校業務が増大していますよというお話がありましたけれども、どうして増大したのかは実はよくわからないんですね。非常によくわからない。物差しがない世界で今、仕事をしているような感じだと思います。ですから組織の運営だとか、外部の協力だとか、効率だとか、削減などを行ったときに、その効果っていうのが実は見えにくくなっているという部分があると思います。ある意味では客観的に例えば時間というもので追わないといけないという部分も出てくると思います。

 企業であればお金という単位でバランスシートっていうのがあります。右側のほう、貸方のほうには資本であったりとか、これは自前のものですね。もしくは外から借りてきたお金であったりとか、そういうものがあって、実は左側のほうに対して資産という形で出ていくわけですね。それを見ることによって、この会社、この組織っていうのは効率的に運営されているかどうか、ほかの会社と比べることができるようになっております。

 ですから、学校の場合であれば、本務であったりとか、もしくは非常勤だとか、もしくは常勤であったりとか、あとはもしかしたら外部の方々であったりとか、そういうものの時間が、最終的には生徒の直接的なものにどう結びついたのかとか、もしくは教員の間接的な業務にどう結びついたのかとか、そういうものがやはり見えていかないと、今後改善するに当たって、何が効果があったのかわかりづらいといいますか、いきなりそこまではいかないとは思いますけれども、そういうこともやはり念頭に置きながらやっていかないと、この増大する学校業務に対してどう対応していくのかがちょっと見えにくくなるのかなと感じております。

○ はい。問題のある部分、非常に的確に整理していただいたかなというふうに思いました。ほかにどうでしょうか。まだご発言されていない方も含めて。

○ 先ほどの私の発言の補足をさせていただきたいと思います。私は組織的な学校運営の推進というのが非常に重要であると思っておりまして、例えば授業の準備等をするにいたしましても、個人個人がやっていくというよりは、組織として授業の準備をしていくというようなことで随分教員一人一人の負担も減ると思いますし、一人一人の教員の質の向上というのも、もちろん個人の研さんは重要ですが、組織として質を上げていくという時代に入っていると思っております。そういう意味で組織的な学校運営の推進、先ほども申しましたけれども、一人一人の教員が学校運営をしているんだという意識のもとでやっていく必要があると思います。

 それと同時に、私は文部科学省さんのほうで、例えばスクールカウンセラー派遣事業をされましたが、あのスクールカウンセラーの派遣というのは、非常に大きな1歩を踏み出した事業であると私は思っておりまして、あのスクールカウンセラーによってどれほど中学校の先生方が生活指導等で負担の軽減を受けているか、また校長先生、副校長先生も学校経営という観点から非常に助かっている面があると思うんですね。そういう意味での専門家の派遣とか、人材の活用というのが非常に重要であると思います。

 それで先ほど1点、私の区の学校から非常に歓迎されていることを話し忘れましたのでつけ加えますが、うちの区では教育委員会規則に、部活動は教育活動であるというふうに位置づけておりまして、実は先回東京都さんのヒアリングがありましたが、東京都さんの制度は世田谷区をモデルにしていると思っておりますが、世田谷区のほうが先だったんです。

 世田谷区では顧問教員と管理顧問教員というふうに分けておりまして、技術指導ができる教員は顧問教員。技術指導はできないけれども、部活動を担当する教員は管理顧問教員というふうに分けております。で、この顧問教員と管理顧問教員を支援するために5種類の支援員を用意しておりまして、管理顧問教員しかいない部活動においては1年間を通して技術指導を中心に支援をする監督というものを置いております。1カ月で50時間程度、1時間1,000円の時間単位で派遣しております。

 それから顧問教員、つまり技術指導ができる顧問教員の支援のために、部活動指導員という技術指導を補助する支援員を派遣しておりまして、これはやはり月50時間程度で、1時間当たり800円で派遣しております。それから顧問教員が一時的に欠ける事態が発生する、つまり技術指導できる顧問教員が一時的に欠ける事態が発生した場合に、緊急派遣指導員というのを派遣しております。それから顧問教員が職員会議等で部活動に従事できない時間帯があって、ぜひこの日は派遣してほしいというような要請があった場合に、顧問サポーターというのを派遣しております。

 それから区内に14大学がございますので、その大学との提携によって、大学生を派遣するということも行っておりまして、この制度は平成18年度から行っておりますが、学校からは非常に評判がいいですね。

 ですから私は、この資料3の1番と2番に限って、今日は発言をさせていただいておりますけれども、やはり一人一人の教員が学校の組織の一員であるという意識を持ちながら、また校長も経営力を高めて、組織的に運営をするということで、一人一人の業務負担が軽減されるというところが多大にあると思いますし、それと同時に様々な人材を活用する、例えばスクールカウンセラーにしてもそうですね。そういうことがあると思います。

 それからもう1点、私は学校事務の課題というのがあると思っておりまして、学校事務は県費負担教職員、県費負担なんですが、率直に申しますと業務の改善余地があると考えております。教員がやっていることを事務のほうに移行することができると、かなり教員の負担が軽減されるだろうと思われるところがあるのですが、なかなか今までの風土の中で難しいという現状がありまして、学校事務の課題というものがあるのではないかと思っております。以上です。

○ 今、学校事務の問題の指摘がありましたので、その点を含めてよろしくお願いします。

○ はい。学校事務職員をあまり活用していただいていないようで、とても残念だなというふうに思っておりますけれども、学校事務職員は子供たちに教員を返そうと、子供たちに関する仕事は先生方からしてもらおう、教育に関する仕事ですね。それ以外の事務という分野、学校事務という分野以外にもあるのかもしれませんけれども、その仕事は学校事務職員がすべて行おうというような姿勢で今、いろんなところでお話をさせていただいています。ぜひ世田谷区でもご活用いただければというふうに思います。そのために組織的な学校運営を、運営体制をしっかりとつくっていただきたいと思っています。先ほどお話にもありました、どんな仕事を事務職員がすることによって学校の運営がもっとうまくいくのか。先生方の業務がもっと減るのかというところを十分話し合っていただければありがたいと思います。

 実際には私の学校では、私は校長の経営ビジョンに大きくかかわっているというふうに思っております。運営委員会にも出ておりますし、学校事務分野、財務分野はすべて担当しております。情報関係の分野についても情報管理主任というような形で、学校に来る情報についてはすべてチェックをし、この仕事はこの先生にしていただくのが一番いいのかなと、校務分掌に基づいてですけれども、そのような割り振りもしております。そういうことがすべての学校でできていくと、もっともっと先生方の業務というものが整理できるのではないかなというふうに思います。

 教育委員会の業務についても同じようなことが言えると思います。幾つかの市町村に勤務させていただいていますけれども、就学援助一つとってみても、それぞれの市町村で業務が違います。ある教育委員会は、保護者が申請したものをそのまま教育委員会が窓口となって、申請した書類を教育委員会がすべて処理し、認定するというような教育委員会もありますし、学校が窓口になっていて、申請書類を学校ですべて処理し、まとめた形で教育委員会に出して、教育委員会が最終的な、その人の所得に応じて認定するというようなことをしているところもあります。

 そういう市では先生方が一々1つずつ集めて、この子の家庭はどうだったんだろうというようなことを、そこに一言書くとかいうような業務があります。教育委員会の事務と学校の事務を整理すると、教員の業務が非常に少なくなっていくのではないかと思います。

 そういうところに事務職員を大いに活用していただきたい。また組織の中で生き生きと事務職員が活躍できる場をつくっていただければありがたいと思っております。

○ 遅参してまいりましてどうも申しわけございません。ということでこれから申し上げる発言、ちょっと流れからずれることがあるかもしれませんけども、お許しいただければと思います。

 それで資料3に書かれました点の、それに沿うならば5つ目の柱のところにかかわった話になるかもしれませんですし、あるいは枠がここからは外れてしまう発言ということになるかもしれません。私はこの点については、こういう視点もまた必要なんじゃないかというふうに思っています。それは教育委員会が策定する政策、形成する政策ですとか、策定ですとか、そういうものについての改善・修正ということっていうのも、また見届けなければいけないところの課題の1つではないかというふうに思っております。

 昨今は教育委員会が大変、何でしょうか、自分の展開する施策をパンフレット等々にまとめるというのでしょうか、そういう動きが随分あるようで、大変整った、そして大変カラフルで美しいパンフレットに出会うということもよくあるわけでありまして、確かにそれを拝見しますとその教育委員会が何を考え、何を目指そうとしているのか、どうなのか、そのもとに何が展開されようとしているのかっていうのが非常によくわかる。それはそれで関係者の方のご努力には大いに敬意を表したいというふうに思うんですけれども、ただその一方においてその管下の学校に、職員室でもいいですし、校長室でもいいですけども、半日ご一緒させてもらいますと、そのパンフレットとその学校の、ある種の雰囲気というんでしょうか、との間に大きな距離を感じることが少なくないわけでありまして、そういう点ではその政策の形成というのがどれほど学校の組織の中に受けとめられるのかとか、あるいはさらにその政策の実現をどの程度図ろうとしているのか、どうなのかという、パンフレットの作成どまりっていうことはおそらくないというふうに思いますので、当然それは学校へ受容されて、学校の展開になって、そして一定の成果を得るというところまでそれは見届けられ、あるいは進めなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、果たしてそこら辺のところ、こう何ていうんですか、一連の政策の形成から具体化、そしてそのプロセスの中には当然学校に受けとめられなければいけないという部分というのが、どんな形で織り込まれていくのか、どうなのかっていうあたりのところを、少し丁寧に見ていく必要があるのかなというふうに思います。

 どうも政策を投げかける側と、それから受けとめる学校との間に、ある種の距離というのでしょうか、あるいはある意味で言うと、組織風土というのでしょうか、あるいはものの見方、考え方がそれぞれあって、そのあたりのところが私は1つの課題なのかなと思います。例えばそういう政策のビジョンということと、学校の動きから見ますと、到底その政策がなかなか受容されづらいんじゃないかとか、なかなか実施に移されづらいんじゃないかと思うことが間々あるわけであります。要するに学校のものの見方、今の現状あるものの見方、考え方とか、組織体制からするならば、その掲げられたプランというのが果たしてどれほど進められるのか、どうなのかということが問われなければいけない部分があるんじゃないかと。

 で、そこにおいてはもちろんここで議論されています、私も学校全体で組織として業務に当たるような、そういう学校の組織的な改善というのがあって、その政策ビジョン等々が初めて学校の中に具体的に展開され、受けとめられ、そして動いていくんじゃないかと。そういう意味においてご指摘のように、学校全体で組織として業務体制に当たるという、このところについては私も異論のないところなんですけども、その学校を組織として動かしていくとか、体制を動かしていくときに、学校なりのものの見方、考え方というところに寄り添うのか、あるいはもう一方においてはもう少し学校そのものの組織の在り方っていうものを動かしていく、変えていこうとするのか、ここら辺のところについての検討ということで、そうした場合に、基本的に今の学校の中のものの見方というか、事柄の処理の仕方っていうことを動かしていくような、そういう働きかけとか、そういう意味での投げかけという、あるいは中の意識の改革というふうなことっていうのが必要なんじゃないかと思うんですけれども、そのための方策、手だてというのが十分、私は吟味されていないのかなというふうに思えてならない部分があります。

 それを昨今、組織マネジメントっていう言葉があって、それを導入することが申し上げているような組織を動かしていくことになるんだっていうことなんですけども、私は改めてその称される組織マネジメントのものの見方、考え方っていうのは、そういう意味において政策形成から学校で受容されて展開を図るまで、それをつなぐような、あるいは学校を動かすような役割を果たし得るのか、どうなのかっていうあたりのところは、もう一度しっかりと見届けていかなければいけない点があるんじゃないかと。

 要するに組織マネジメントを受容することもまた1つの、加えられる業務の1つという形で、場合によっては事柄処理されようとして、学校の現状を動かしていくというよりも、学校の現状の中にもう1つ加わるという、もう1つ加えていくという形になってしまうということについて、気をつけなくちゃいけない点があるんじゃないかと思いますので、また機会がありましたらそんなところについても、もしよろしかったら意見の交換等々やりとりをお願いできればと思います。以上です。

○ はい。ありがとうございました。

○ 初めての出席でありまして、議論がなかなか理解できないでおりましたけれども、確認させていただきたいんですけれども、まさに、これ、教職調整額の見直し等に関する作業部会の中で、これをどういう形で見直していくかということですよね。そこで今、今後の学校の在り方がどうかということになっているようですけど、要するに現状では学校現場の先生方の負担が大き過ぎると。例えば学力向上への対応だとか、部活動への対応、生徒指導への対応、外部からの要求の対応、ほんとうに大きなこういった対応をしなければならない。それで教師としての本分である本旨の業務がおろそかになっていると。で、悩みもあると。そんな教員の負担をいかに減ずるか、教員の仕事の範囲はどこまでなのかという中で、その対応策を今、どういった方法があるかという中で今、議論がされているということでよろしいんですよね。

 で、今後の学校の在り方っていうことで、今、静岡県の例もありましたけれども、こういった理想を求めるのか、あるいは今、現実のこういう課題があるから、この課題に対してそれにどう対応していくのかという流れが――2つの流れが今、あるようでございますけれども、この現実の教職調整額の見直し等につきましては、この今の現状にどう対応していくか、その対応策は、どういった対応策があるのかと、その中で、ただしこれは予算増にはつながってはいけませんよと。むしろ予算を減らしていかなければならないと、そういう枠組み、現状なのか、その辺がちょっとわからないものですから教えていただければと思いました。

○ どうしましょうか。一応議論の中で、そういうふうなことは意見交換をやっていけばいいことだと思いますので、事務局に何か回答をお伺いするということではないかと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

○ 私、資料1、資料3、これを見ながら、資料1の業務の観点で、私、やっぱり学校が最も大事なのは、知・徳・体の知のほうだと思うんですね。そういう意味では資料1の児童生徒の指導に関すること、これをもう少し具体化して、資料3のようにちょっと砕いてこれを書いてみたらどうだろうかと。そして、それから言いますと、資料3はややもすると学校運営に関すること、2番目の項にわりと触れているような感じがいたしますので、これはどうだろうかと。

 それからもう1つは3番目の外部との関係ですね。それはそれとしてまた、ちょうど資料3の方式で幾つかの項目にかけて具体的にやられたらどうかと。

 で、最終的にはやっぱり資料3を受けて、もう1つ、それをもう少し具体化した形のものが出ていくという形になっていったらいいんじゃないかと思います。特に私は教員の本務は何かと言われても、本務自身が、結局指導そのものに非常に困難さが来ているわけです。ですからその辺を資料でも、ここでも説明していただいたように、子供たちが変わっている。保護者が変わっている。そういう中でほんとうにわかる授業とか、あるいは学校づくり、あるいは生活指導というのが非常に困難を来しているわけですね。単なるほかの業務があるから困難じゃなくて、それ自身に、本務そのものを遂行する上で非常に厳しくなっているという、その部分を少しきちっと書いておいたほうがいいだろうと思うんですね。

 それからもう1つは、指導で、ほかの人たちも言われたのが、外部との関連の中で、やっぱり地域・学校・家庭というのがよく言われたんですけども、例えば東京のあるところで学校選択制をやっていますよね。学校選択制の中で出てくるのは、地域がほとんど無視されてきているわけですね。そういうことが幾つか起こっているわけですね。

 それから僕も非常にこれ、特に、世田谷の教育長もいらっしゃいますし、横浜もいらっしゃる、横浜の教育長は地域の地域力、あるいは地域の教育力を大事にしようと言われて、僕もそれ非常に大事だと思うんですが、ややもするとそういう都会化したところでは保護者は両方とも働いていて、子供がそのままほうっとかれて学校に行っている。ですからあるところは、結局学校の安全とか、あるいはまた子供たちの登下校の安全、そういうようなものを守るために、わざわざ私的ガードマンを雇っている。それも自分たちじゃできないから、例えば1軒500円とか1,000円とか出して、それで民間ガードマンを雇っていると、そういうようなところもあるんですよね。そうなってくるとこの地域の学校は全く地域から遊離していっているんですね。

 そういうようなことであっちゃいけないというような感じがいたしますものですから、そういう意味ではやっぱりある程度地域を大事にというんだったら、それから制度問題まで踏み込んで、果たしてこれが、学校選択制がいいだろうか、どうだろうかという、具体的な問題解決のためにはあの辺まで方向性というのは持っていくのもいいんじゃないかなという気がいたします。

○ 今後の学校の在り方を考えるに当たって、長期的な視点と短期的な視点が必要だと思います。

 長期的な視点という面からは、今、学校が大変になっているのは、発達が阻害されている子供が増えてきているっていうことなんですよね。そういう子供が学校に入ってきているから非常に手間暇がかかります。授業だけやっていればいいというものではなくて、それ以外にきめ細かくかかわらないともう心が折れてしまうとか、そういう子供が増えていますので、そういう負担が増えていますので、そこのところを直していくには、やっぱりこれは社会的な環境とか、家庭環境が変わってきた、そういう結果だと思いますので、そこを直していくことが根本的な課題だと思いますけども、今すぐやるというのはなかなか大変ですけども、とりあえずゼロ歳児からの教育というものをもう一度立て直すことが非常に大切だと思います。特に保護者を啓発することが、学校の負担軽減につながるというふうに思います。そこをやらないといつまでたっても学校の負担は軽くならないと思います。

 それからあと短期的な視点ということで、まさにこの作業部会が目指すものはそういう短期的な視点と、今後当面する課題を踏まえて学校をどうしていくか、教職員をどうしていくかということを考えていく問題だと思いますけれども、先ほど今の学校は、校長・教頭だけが中心になってやっているという話がありましたが、そういうなべぶた型だとよく批判されます。確かにそういう面はありますので。学校で今、主任っていうのはありますので、教務主任、学年主任、生徒指導主任、その主任の機能をやっぱりもう一度きちんと機能するように持っていく、そういう仕組み、あるいは仕掛けをどうするかというのが大きな課題だというふうに思います。

 新しい職を導入するというのもその1つの手だてだと思いますけれども、その辺が1つ、この作業部会の論点になるのかなというふうに思います。それが最終的にめり張りのある給与体系にするためにどうしていくのかということにつながっていくのかなというふうに思います。以上です。

○ 今まで多くの委員さんがおっしゃったことをもう少し私自身で整理してみたんですけども、学校運営の改善の視点ということを先ほどちょっと申し上げたんですけども、これまで、ともすると学校運営というのは、教員の個人の資質に負うところが非常に多かったように思うんですね。それを組織運営、組織としての学校ということを考えると、かなりこれは改善するところが見えてくるんではないかと思います。

 組織運営ということを考えたときに、ともすると、組織としての推進力ということがどうあるべきかということですが、組織を考えたときには、推進力と同時に、もう1つは自浄作用というか、自浄力というのがなければならないですね。それは組織としてのチェック機能とか、あるいは責任体制を明確にするとか、そういう、ただ組織を動かすだけではなくて、協働の中で自浄作用を持つということです。推進力と自浄力というような視点から、組織としての学校運営というのはどうあるべきかということを改善の視点として切り込んでいく必要があるかなということを思います。

○ すいません。今回のこの作業部会は教職調整額という話なんですけれども、おそらくこれは40年ぶりの、ある意味で改革を考えるということで、極めて長期的なビジョンを持った提案をしていかないとならないんじゃないかと。当初は単にメリハリをつけるというような、一種のびほう策の方策として出てきたオプションだったと思うんですが、検討していくうちにこれは極めて重要な、かなり根本的な制度改革にかかわるような内容かなと。そういう意味で長期的な問題を含んでいるんじゃないかと思うんですね。

 つまりその学校業務が増大するということは、端的に言えば、幾ら学校に業務を押しつけても教員の人件費は変わらないという根本問題があって、いわば査定機能というのが働かない仕組みになっているんですね。つまり何でも世の中の、要求すれば普通お金がかかるから、じゃあそこでという判断になるんですけど、学校の教師だけは幾ら要求しても費用はかからないと。これはどう考えても無限の需要を招くかなり構造的な、40年来の問題を持っていた制度で、それは確かに昔だったらそれは成り立ったかもしれないんですけども、社会の情勢の変化のもとで、この仕組みが成り立たなくなっているということから、やっぱりある程度長期的な、まあそれが理想の教育と言えるかどうかはともかくとして、何らかのビジョンがない中で、単にメリハリをつけるというようなびほう策として教職調整額を考えるのではなくて、大きな議論にしていただければなというふうに思います。

 もう1つこの査定といいますか、何かを頼む時には対価が必要だという発想は、これは地域に関しても非常に重要でありまして、今回の静岡県のもの、非常に重要なのは、単に地域に任せて、これも地域に任せて、表面的にはただなんですよね。本来ならば家でやればいい、家庭でやればいい、地域でやればいいって、それは学校から頼む場合はただですけれども、これはやっぱりおかしな発想、全く問題を鏡にしただけでありまして、地域が担うにせよ、あるいはそもそも地域人材の活用といっても、活用もこれ、ただで活用するつもりなのか、ちゃんと対価を払って活用するつもりなのかが根本的に違うわけで、ある意味で、何ていいますか、教職調整額が生んできた、頼んでもただという発想から脱却することが、ある意味では今回の作業部会で、そういう意味でかなり40年来の在り方を変える、非常に重要な議論なんじゃないかなと思っていますので、そういうことができたらと思っています。

○ はい、ありがとうございました。もう時間が迫っていますけどもよろしいでしょうか。ほかにどうしてもという方がいらっしゃれば。よろしいですか。

 今日はいろんな視点からご意見をいただきましてありがとうございました。この作業部会の議論の方向、まとめの基調をどういう方向にしていくか、例えば、どの程度のスパンを見通して議論を進めるのか、予算の枠をどう考えるか、そういう議論の方向にかかわるご意見を多々いただきましたので、それについてはこれから事務局とも相談しながら少し整理・調整して、議論の方向性を次回以降にきちっと出していけるようにしていきたいと思います。

 それとあと今日の議論、さまざまな意見があったんですけれども、1つ合意できるというか、共通に確認できることは、先ほど総括的に的確なご指摘があったかと思うんですけども、80年代以降、いわゆる学校スリム化論ということで、役割分担の原理・原則が一時議論されてきたんですけれども、この間の学校をめぐる状況を見ますと、そういう主張とは裏腹に、学校に対してさまざまな要請が増えてきていますし、実際そういうさまざまな要請のもとで学校の業務というのが確実に増大してきているのは事実なんだろうと思います。

 そうした中で、今、問われているのは、先ほどご意見があったように、そういう新たな学校が直面している問題に対して、従来の学校の組織の在り方、教師の仕事の有様というのを、もう一度基本的に見直し、改めて学校の運営システムとか、考え方、また教師の職務、仕事の有様についての考え方をもう一度基本的に、見直していくということが求められているということかと思います。

 先ほどもおっしゃっていましたように、教師の職務をどこまで明確に設定できるかどうか。そういう議論は、おそらく従来先生方がいろんな仕事を抱え込んできたやり方を、例えば、どこまで分業化が可能なのかどうかという従来の教師の仕事の見直しの観点をどういうふうに整理できるのかという課題であるとも思います。また学校のマネジメントの機能をどう高めていくか、そのために学校の組織とか仕組みをどう見直していくかとか、個別具体的に挙げればいろいろ出てくるかと思いますけれども、総じて学校をめぐる新しい状況の中で、今、言ったようないろんな仕組み、考え方、進め方の基本的な原理・原則が、問われてきているということを共通に確認できたと思います。

 今日の議論をもう少し次回以降の議論に生かしていくために、事務局とも相談しまして論点を整理しつつ、次回以降は教職員の在り方、職務の在り方等々の具体的なテーマに進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 じゃあ次回以降の予定等を含めて事務局のほうから予定をお願いいたします。

○ 失礼いたします。最後に資料5でございますが、今後の開催予定、第5回から第10回までということで日程を、非常にハードではございますが、月2回程度ということですので、予定を入れさせていただいております。

 次回は来年、年明け1月15日木曜日、3時から5時ということでお願いしてございます。場所等につきましては、また改めて事務局より皆様にご連絡をさしあげます。どうもありがとうございました。

○ はい。これで今日、すべての審議が終わりました。ありがとうございました。終わります。

 

―― 了 ――

 

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