第四章 教員の勤務時間の弾力化等

1.教員の勤務時間の弾力化

  • 教員勤務実態調査暫定集計によれば、7月の通常期における1日あたりの平均残業時間は、小学校の教諭で1時間47分、中学校の教諭で2時間26分となっており、恒常的な時間外勤務の実態が明らかになっている。また、同集計によれば、7月の通常期における1日あたりの休憩・休息時間は、小学校の教諭で9分、中学校の教員で10分となっており、事前に割り振られているはずの休憩・休息時間が、子どもたちへの指導等があるため、結果として十分にとれていない現状がある。
     このように、通常期においては、授業の始業時間から終業時間まではもとより、放課後においても子どもたちが学校にいる間は、子どもたちの教育指導や安全管理の責任などを負うことになるため、事務の軽減措置や勤務時間の適正な管理の取り組みだけでは対応しきれず、8時間の勤務時間を超えてしまうことがどうしても多くなってしまっている。
  • このような教員の時間外勤務の現状を改善していくため、前述したように、教員の職務の見直し、学校事務の効率化、教員のサポート体制の充実等により、教員の勤務負担を軽減し、積極的に時間外勤務時間の縮減に取り組んでいく必要がある。
  • 一方、同結果によれば、8月の夏季休業期における1日あたりの平均残業時間は、小学校の教諭で14分、中学校の教諭で26分の残業となっている。このように、教員は、一般の公務員と異なり、子どもたちが登校し、授業や学校行事を行う通常期と夏季休業期とで、業務の繁閑にはっきりとした差が生じている。
     このため、時間外勤務時間の縮減に積極的に取り組みつつ、通常期における時間外勤務の状況を改善するため、新たな選択肢の一つとして通常期と長期休業期とで業務に繁閑の差が生じる教員の勤務態様の特殊性を勘案して、特に忙しい教員については、通常期の勤務時間を多く割り振り、その分、長期休業期の勤務時間を短縮することで、1年間を通じて平均すれば1日あたり8時間労働となることが可能となるよう、1年間の変形労働時間制を導入することを検討する必要があるとの意見が出された。
     なお、1年間の変形労働時間制の導入の検討に際しては、長期休業期中においても、研修、教材・授業研究、部活動等の多様な業務があること等についても留意が必要であるとの意見も出された。
  • また、部活動や学校行事等により週休日や祝日に勤務を行う場合に、週休日の振替や代休日の指定を弾力的に行うことにより、繁閑の差が大きい教員の勤務態様の特殊性を踏まえて、長期休業期などの勤務時間に余裕のある期間の活用を促進する必要がある。なお、その際は、児童生徒や教員の心身の過度な負担とならないよう十分配慮する必要があるとともに、学校週5日制の趣旨に鑑み、週休日等への勤務については、引き続き、各学校の実情を踏まえて、必要な範囲内で実施することが必要である。

2.部活動に係る勤務体系等の在り方

  • 現在、部活動は、教育課程外に実施される学校において計画する教育活動の一つとされている。部活動指導は、主任等の命課と同様に年度はじめに校長から出された「部活動の監督・顧問」という職務命令によって命じられた付加的な職務であり、週休日等に4時間以上従事した場合には教員特殊業務手当(部活動手当)が支給されている。
  • 教員勤務実態調査暫定集計の結果に見られるように、中学校の教諭にとって部活動指導に従事する時間がかなり多くなっており、今後、中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会等における検討も踏まえつつ、部活動の位置付けを整理していくことが必要である。
  • 部活動は、勤務時間外においても実施されている実態があるが、本来は、教員の他の職務と同様に、正規の勤務時間内で実施すべきものである。このため、外部指導者の活用を促進するとともに、部活動による時間外勤務が可能な限り生じることがないように、校長が適切に管理・監督するよう指導を行うことが必要である。

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