資料3 「スーパーティーチャー制度」等の運用状況について

(平成18年4月1日現在)

県市名 制度名 導入時期 成果・効果 課題・問題点 制度運用上の工夫点1.選考方法、2.認定手続き、3.他の教員との職務分担、4.その他
岩手県 教頭(指導担当) 平成18年度 指導力に優れた教員を、指導担当の教頭として処遇する制度を導入した。校内だけでなく、地域の研修会、教職経験者研修での講師等へ活用することにしている。 導入して1年目であり、現在検証中である。
  1. 高い専門性、卓越した指導力を有した教諭について、学校長、高校教育研究会、教育委員会事務局等に推薦を依頼し、推薦された者について、関係機関、団体から意見を求め、書類審査、面接を実施し、候補者を選考する。
  1. 上記選考による。
  1. 他の教諭と同様に授業等に当たるとともに、教科等の指導に関して他の教員に対し指導助言を行う。
  1. 特になし。
秋田県 教育専門監 県立:平成17年度
小中:平成18年度

【県立(各分野の教育専門監について)】

  1. 教科:指導主事と違い、実際の授業を行うため、指導技術を高めることに直結する。
  2. 生徒指導:生徒指導に対する校内体制の在り方や基本的な関わり方など、校内研修会の質が高まる。
  3. 部活動:中学校における部活動の在り方等の講話や実技指導は、将来へ(高校へ)つながる。
  4. 特別支援教育:小中学校におけるLD等軽度発達障害等への支援等、校内の特別支援教育の理解を深める機会となっている。
    ※こうした制度が教員の資質の向上につながるものと考えている。

【小中】今年度導入した制度ではあるが、市町村内の数校を兼任して、直接学習指導にあたる任務であることから、優れた指導力によって子どもたちの学習意欲、成績等に効果が出ているとの報告を受けている。

【県立】限られた教育専門監の人数の中で、派遣要請が多数あり、県内各地域の学校の要請に応えるための方策を検討している。

【小中】導入初年度であり、課題、問題点の把握はまだ行っていないが、兼任校における他教員の指導力向上の状況を踏まえながら効果ある活用の仕方で運用していきたい。

  1. 小中学校の場合、市町村教育委員会からの推薦により、県立は教育における特定の専門的分野に卓越した力を有する教員を県教育委員会が選考する。
  1. 「教育専門監審査委員会」における審議を経て認定する。
  1. 【県立】授業時数を軽減し、授業等に支障のない日時に行う。

    【小中】数校を兼任して授業等にあたることから、本務校では主任等の職務からははずすように配慮されている。
  1. 特になし。
茨城県 ティーチャーオブティーチャーズ 平成17年度
  • 4名の表彰者が自信と誇りをもって各種研修会の講師及び授業公開等に臨み、他の教員の刺激となり、学校の活性化に大きく貢献している。
  • 優秀教員受賞者がリーダーとなり、生徒指導面や学習指導面に係る協議等が活発に行われ、地域の小・中・高等学校の教育活動が充実してきた。
  • 県内の教員に「優秀教員表彰制度」や優秀教員の存在が周知され、目標にしたり、同僚や知人の表彰を喜び、勤務意欲が喚起されたりした。
  • 給与面での処遇をどのようにするか。
    • 処遇面に反映するか否かも含め,検討中である。
  • 効果的な活用を推進するための体制づくりが必要である。
    • 活用の際の人的環境整備(後補充制度の確立等)
    • 活用体制づくり(学校・地域・県内の活用環境の整備)
  1. 公立小中学校は、各市町村教育委員会から1名、県立学校は各校長から1名を推薦し、県教育委員会の予備審査で小学校・中学校・高等学校で各5名程度、特殊教育諸学校で2名程度に絞られ、県教育長を委員長とする選考委員会で最終選考し、若干名を選出、県教育委員会が審査・決定する。
  1. 授賞式で「ティーチャー オブ ティーチャーズ」の称号を与え、公にする。また、教育情報ネットワークで配信し、県民に周知する。
  1. 現在は、職務分担の区別が明確ではなく、今後の課題である。
  1. 本県の優秀教員表彰制度(ティーチャー オブ ティーチャーズ)は,教員のキャリアの複線化をねらったものではない。従って、新たな職種を設けてはいない。処遇面については、今後、検討する予定である。
    また、活用面においても、今後さらに充実させる必要がある。
埼玉県 はつらつ先生 平成15年度
  • 優秀な教員として表彰された者が、一層誇りと自覚を持って自己の職務に励んでいる。
  • 優秀な教員として表彰された者が、県立総合教育センター、各市町村教育委員会、各学校等で行う研修会等の講師(指導者)として活躍し、地域等の指導力の向上に寄与している。
各種研修会の指導要請が多くなると、所属校での教育活動に支障が生ずることもあり、調整が必要となる。
  1. 市町村教育委員会代表、小・中・高PTA代表など、幅広い層に選考委員を依頼している。
  1. 特になし。
  1. 特になし。
  1. 優秀な教員の授業場面をビデオ収録し、指導案等を添えて、各学校等に配付し、校内研修等で積極的な活用を図る。(本年度末配付予定)
富山県 授業力向上アドバイザー 平成18年度
  • 授業力向上アドバイザーの実践に基づいた指導を具体的に見たり、直接助言を受けたりすることにより、校内研修を充実させることができた。
  • 教科担任の少ない小規模校では、教材観や悩みなどについて適切なアドバイスを得ることができ、授業の改善や指導力の向上に役立った。
  • 現職教員の授業力向上アドバイザーは、勤務校でも重要な役割を担っており、負担増を考慮し、派遣回数の目処を2回とした。しかし、需要の多い授業力向上アドバイザーは、すぐに回数を終えてしまい、学校現場の要請に応じきれないことがある。
  • 活用については、初年度のため例を示したが、学校の実情に応じて、柔軟で効果的 な活動を工夫するとともに、紹介していく必要がある。
  1. アドバイザー配置の資料とするため、事前に各学校の要望を調査した。また、学校訪問研修や小学校教育研究会、中学校教育研究会等における授業実践等において、実践的指導力のある者を選出。原則45才以上の教諭及び退職教員を教育事務所や市町村教育委員会の協議を経て委嘱する。
  1. 本人及び所属長、市町村教育委員会の同意を得て、委嘱している。
  1. 特に規定は設けてはいない。
  1. 特になし。
岐阜県 文化・スポーツ専門指導員 平成11年度
  • 平成18年度現在3人が認定されているが、それぞれホッケー部や自転車競争部をインターハイ等の全国大会で、幾度も優勝に導いている。ひいては本県全体の競技力の向上に貢献している。
  • 監督しての全国的な評価も高く、2人はそれぞれ全日本男子ホッケー代表監督及び全日本女子ユースホッケー代表監督(元全日本女子監督)に就任している。
  • 要望があれば研修の講師等は行っているが、他の教員等への指導助言役を前提としているものではない。したがって、本人の指導力等が他の学校の教員に十分普及できているわけではない。
  • 教科等の優秀者を対象とした制度ではない。
  1. 学校長が推薦し、教育委員会事務局で選考する。
  1. 教育長が承認する。
  1. 主事・主任を命じず、学級は担任させない。また、週あたりの授業時間を軽減する。
  1. 部活動指導手当を支給し、特別昇給を実施する。
大阪府 指導教諭 平成18年度
  • 指導教諭の勤務校及び地域の学校の教員に対する授業改善等の指導。
  • 大阪府教育センターへの研究・研修支援として、初任者研修や10年経験者研修において、示範授業や授業における指導・助言を行っている。
  • 地域の小中学校と連携。
導入して1年目であり、現在検証中である。
  1. 書類選考、個人面接
  1. 府教育委員会が選考し任命する。
  1. 特になし。
  1. 特になし。
広島県 エキスパート教諭 平成16年度
  • 県内に限らず県外及び海外からもエキスパート教員の公開研究授業等への参加があった。
    (例)南アフリカから広島国泰寺、香川県、徳島から呉三津田(国語)、岡山から尾道北、香川から大門
  • エキスパート教員の授業が,全国紙に紹介されるなど関心が高まっている。
    (例)府中(読売新聞…教育ルネサンス)
  • 校外での活動において,公開研究授業での指導・助言だけでなく研修会での講話を通してエキスパート教員の持つ専門性を広めることができた。
    (例)呉三津田(国語)、尾道東、尾道北、府中、大門、府中東
  • 個人によって活動回数に差がある。(2回~16回、平均7.3回)
  • 教育研究部会の総会等で活用していない教科がある。(音楽、家庭、農業、工業)
  • エキスパート教員が認証されていない教科がある。(地歴・公民、体育、商業等)
  1. 「エキスパート教員認証制度実施要項」等では、エキスパート教員の資質要件の観点として、
    • A.豊かな人間性と社会人としての優れた見識
    • B.教員としての高い専門性に裏付けられた実践的指導力
    • C.児童生徒のために優れた教育活動の実践
    これは、意欲も含めた基本的な人間性,能力・適性,実践の3点について評価を行う趣旨である。エキスパート教員の認証にあたっては、教員として人物的に問題がないことや意欲を有することが前提であり、その上で、優れた指導力等を有する者を認証するものである。
    その具体的内容としては、1.児童生徒に対する教育的愛情、2.教育に対する情熱、使命感、3.社会性、コミニュケーション能力、4.協調性、協力性、5.自律性など、基本的な人間性と意欲を含めた情意面を評価するものである。
  1. ・「エキスパート教員制度実施要項」に基づき,県立学校の教員については校長が県教委に推薦を行い,市町村立学校の教員については市町村教育長が教育事務所を経由して県教委に推薦を行う。
    ・県教委は,審査委員会等における審議を経て,エキスパート教員を認証する。
  1. 所属校の教科指導、教員研修等において専門的な指導・助言に当たるとともに、県内各地域における教員研修、教育研究団体の活動、他校の研究公開授業等において専門的立場から指導助言を行うことを役割としている。
  1. 表彰制度の趣旨・目的は、長年にわたる職員の功績に報いるために、その功績を報償するものであり、このため、年齢制限等を設けている。一方、エキスパート教員は、教科指導等の特定分野に優れた職員の能力、意欲、実践等を評価し、それを学校内外に活用するために、公に認証するものであり、このため、年齢制限等を設けることは適当ではない。
愛媛県 えひめ授業の鉄人 平成16年度
  • 教えるプロとして卓越した指導力を持ち、児童生徒にとって楽しく・わかる授業を展開し、他の教師の模範となる等の優れた実績を上げている教員を「えひめ授業の鉄人」(以下鉄人と略す)として認定する事業を3カ年間の期間限定で、平成16年度から開始した。
  • 鉄人に認定された教員が、公開授業を行い一般の教員が参観することや初任者研修等の講師を務めることで、県内の教員の資質向上をねらっている。事業を始めて1年目と2年目で合わせて約1,000人の教員が鉄人の授業を参観した。参観した教員からは、「教材や教具の工夫の大切さを再確認した。」「鉄人の授業を自分なりにアレンジして早速試してみたい。」等の感想が多く寄せられた。鉄人の授業が一つのきっかけとなって県内教員の授業力向上への努力を推進していると考えている。
  • 鉄人の授業技術(授業に対する思いや授業構成の方法等)が県内教員により広く伝えられるような方策について検討が必要である。
  • 鉄人に認定されると外部講師など役割が増えるので、本来業務に支障がでないよう配慮する必要がある。
  • 鉄人が各種研修会の講師や助言者等を務めることによる、仕事量増加に対する過重負担、及び鉄人に認定されたことに対する精神的重圧に対する配慮も事業開始当初は心配していた。
  1. ・鉄人の推薦者を、教員だけでなく児童生徒、保護者及び地域の人々を含めた学校関係者と幅広い範囲の方々から公募している。
    ・選考委員が、実際に候補者の授業を参観した上で、協議をして選考している。
  1. 児童生徒、保護者、学校関係者による推薦書を学校長が、市町教委を通じて県教委に提出する。推薦された教員の授業を選考委員が直接参観し選考する。選考された教員を県教育委員会教育長が認定し、「えひめ授業の鉄人」が誕生する。
  1. 特になし。
  1. 鉄人の活用については、本人の負担が増大しないようにするとともに、学校運営に支障が起こらないようにするため、2回の授業公開以外は鉄人本人及び学校が判断して引き受けるようにしている。
宮崎県 スーパーティーチャー 平成18年度(施行期間3年間)
  • 優れた授業を見る機会が増えたため、教師の授業力向上に対する意識が高まってきている
  • 授業力向上のための授業研究の在り方が、従来の形式的なものから実質的なものへと変化してきている。
  • 授業レベルでの小中高の連携を図ることの重要性を認識する教員が増えてきた。
  • 本県では7名(小2、中1、県立3、養護1)任命しているが、学校種、教科といった観点から見た場合、絶対的な数が不足している。
  • スーパーティーチャーの多忙感や負担感を解消するための、行政側のサポート体制の検討。
  1. 自薦、若しくは校長の推薦を基に、教育委員会が過去の実績や職務行動評価を基に書類選考。選考に残ったものを対象に、授業参観を行い選考委員会で決定。
  1. 試行中のため、1年間の更新制度。
  1. 昨年度末の業務連絡会で、所属学校長に校務分掌上の負担軽減を求めると同時に、小中学校においては非常勤講師の配置について希望を募った。現在小学校2校に、 非常勤職員(週10時間程度)を1名ずつ配置。
  1. これまで4回にわたって業務連絡会議(所属学校長と本人が出席)を開催し、授業公開の在り方や業務内容、行政側のサポートの在り方等について協議し、本人と学校の負担感の軽減を図っている。
京都市 スーパーティーチャー 平成17年9月 スーパーティーチャーとして認証された教員は、意識がより高まり、その役割を果たそうと職務を行っている。さらに、認証された本人だけではなく、他の教員もスーパーティーチャーを見習って、高い意識で職務を行おうという波及効果が見られる。 現段階ではスーパーティーチャーの波及効果は校内にとどまっているが、全市的に波及させるために、より効果的なスーパーティーチャーの活用方法を検討していく必要がある。
また、認証するだけではなく、処遇等へ適正に反映していく方法も検討していく必要がある(現在、京都市独自で実行可能な給与上の処遇反映について検討中。)。
  1. 学校長は所属する教諭のうち、教科指導、生徒指導、部活動等の分野において、他の教諭の模範となる優れた専門的な能力や技能・実践力等を有し、前条の役割を担い得る者を教育委員会に推薦する。学校長からの推薦に基づき、教育委員会において面接を行い、勤務実績等も総合的に判断して選考する。
  1. 選考により、スーパーティーチャーとして認証した者については、京都市学校職員の職名及び補職名に関する規則に基づいて補職発令を行う。
  1. 当該教諭が有している専門的な能力や技能・実践力等により、所属校における教育活動の充実・発展に向け、より一層中心的な役割を担うとともに、京都市立学校の教科指導、生徒指導、部活動、教員研修等の様々な分野における指導・助言を行う。
  1. 特になし。

お問合せ先

初等中等教育局財務課