資料7 第5回教員免許制度ワーキンググループにおいて出された主な意見

1.教員養成・免許制度の改革の基本的な考え方

  • 教員に対する社会的な風当たりが強く、激励よりもバッシングの立場に置かれている。教員としての誇りや喜びを感じられない。現場の教員を励ます記述も必要である。
  • 児童生徒理解の不足や教職に対する熱意の低下等の記述があった方が良い。
  • これからの時代は、単に頑張っているというだけでは十分でなく、結果を出さなければならない。
  • 教員の現状において、多忙感がある。教員同士の教え合いや励まし合いが少なくなってきている。
  • 子どもの教育は、親と教員、地域社会の三者の信頼と協力なくしては成り立たず、学校運営体制の見直しや、保護者や地域の学校への理解と協力の確立も含めて、社会全体が学校を支え、教員を励まし、高め合えるような環境づくりについて盛り込むべき。

2.改革の具体的方策

1.教員免許状の授与の仕組みの見直し

  • 免許状授与の仕組みの見直しについて、案2とする場合、大学における適格性の育成は困難であることを理由としているが、そのように言い切って良いのか、慎重な議論が必要である。仮免許状ではなく、教職課程修了者には正規の免許状を授与し、その免許状について、一定期間経過後に更新の可否を判断するというように、現行制度を前提に考えた方が良い。
  • 仮免許状の教員は、ほとんど本免許状が授与されることになると思われるが、そうなると、仮免許制度を設ける実質的意味がなくなる。大学において教員を養成するとは、大学において教壇に立てる資格を持つ人材を育てるということであり、それにより免許状が授与されるというのが、大学における養成の本来の在り方である。当初から正規の免許状を授与し、その免許状に有効期限を付し、更新制を機能させれば良い。
  • 正規の免許状の概念がどうなるのかによるが、更新制を導入するのであれば、最初から有効期限付の正規の免許状とする方が良いのではないか。
  • 教員採用は、急増と急減が繰り返される。仮免許状から本免許状という方式は、教員を志す者を狭めてしまう虞れがある。一方で、教職課程で、どれだけ適格性を確認できるのかだが、それが可能であれば、案2のように複雑な制度にする必要はない。
  • 現行の免許制度のもとで、適格性や専門性が一定程度あって、免許状が授与されていることを前提として、いかなる更新制を設計するかを考えていくべきである。

2.教員免許更新制の導入

(1)教員免許更新制についての基本的な考え方

  • 免許状は、教員として最小限求められる資質能力を保証するものであり、更新にあたっても、例えば5年後、10年後といった時点で要求される最低限の資質能力というのはあるのであろう。最低限の資質能力が、きちんと備わっているのであれば、更新が認められるべきではないか。
  • 案1の「特段の問題がなければ」の部分については、教員として身に付けなければならない伸びの部分を、更新の要件ではなくても、判断材料の一つとすることは必要なのではないか。
  • 案1の「特段の問題がなければ」の部分について、案2のような厳しい基準ではなく、一定の基準を満たしていれば免許状が更新されるという形が良い。案2の場合、基準が細かくなり、高度になるので、誰が基準を定めるのかという問題もある。
  • 案1は、常に学び続け、時代の変化や要請に対応していこうという趣旨になっていないが、案2のように、細かく基準をつくると、現場の実態に合わなくなる。非常勤講師等としての勤務実績も換算されるようにするとあるのは良い。常に資質を磨いている場合には更新されるという形にして欲しい。
  • 案2は、更新毎に一定の具体的基準を設け、その基準に達していれば更新されるという、肯定的な記述にすれば良い。具体的基準は、国が細かく定めるのではなく、教育委員会で、それぞれの実態に応じて弾力的に定めれば良い。
  • 更新回数毎に教員の資質に差がある場合、教育委員会にとって、人事配置を考える上で、大きな問題となりうる。案2は問題である。
  • 更新の基準は、何回更新するかにもよるが、職能や実態に応じて、教育委員会で検討すれば良い。
  • 更新の際、基準に満たなければすぐに失効するのではなく、一度失敗しても、チャレンジできる形にすることも大事である。
  • 更新制が現職研修と何らかの形でリンクするのはありえるが、現職研修や更新制の運用上の内容は、各教育委員会が判断していくことになるのではないか。
  • 多くの国で、4年の教職課程を修了して、現場に立つというのは少なくなってきている。教職課程を修了すれば、無条件に免許状が授与されるが、直ちに教壇に立たせるかどうかは別の問題である。

(2)教員免許更新制の具体的な制度設計

  • 現職教員については、すでに現行法で免許を授与され、当時は更新制がなかったのだから、現職教員に適用することを前提にすることは適当でない。
  • 現職教員に更新制を適用させるには、様々な課題がある。しかし、現職教員に一切適用しないというのも、更新制に対する期待を考えた時に、失望感を与えてしまうため、努力規定のように緩やかな形でできないか。
  • 大学で修得する単位があっても良いし、現職研修等で見合うものがあれば、それによっても上進できるとすれば良いのではないか。
  • 更新制が機械的に行われるのではないとすれば、上進制と同じように、一定の履修を義務付け、あるいは努力義務の形で行うのが普通ではないか。例えば、各教育委員会の判断で、センター等での研修や自己啓発に基づく研修が認められても良い。
  • 更新制と上進制の関係で、一定の講習修了をもって、更新制における単位認定として扱うことは考えられるが、逆に、上進制における大学の単位認定を、更新制における講習修了と同様に看做していくかどうかは、検討しなければならない。上進制の場合は、大学における養成の原則に立っているため、大学での単位修得あるいは認定講習という形で、大学を関与させているが、今回の更新制について、同様に大学を関与させるか、単に行政の判断で良いとするのかについては、議論した方が良い。
  • 現職教員が単位修得できる公開講座を積極的に広げてもらいたい。10年経験者研修の特色は、評価が伴っていることであるため、それをうまく絡み合わせて、更新制におけるステップアップにつなげて欲しい。
  • 県によっては、私学の教員に研修を勧めているところもあり、更新制については、当然私学の教員も対象となるが、そのような環境があれば、研修ができるのではないか。
  • 教員の中には、現場で自己研鑽している者がいるが、これが評価されていないので、自己申告等の手段で救わなければいけない。公開講座や通信制の大学院をつくり、遠隔教育で履修できるような取組みを進め、教員が職務に支障ない形で単位修得ができる環境をつくることも必要である。
  • 学ぶ意欲のある教員の自主的な取組みが、正当に評価される必要がある。これをいかに更新制に結び付けていくかを議論しなければならない。

3.教員免許状の種類の在り方

 

4.教職課程の改善・充実

  • 教員養成をきちんと行うとすれば、学部と修士課程の6年間で、教育実習も1年間行うような抜本的な改革をしなければならない。現行の制度について、事後チェックを行うなど、各大学が責任を持って教員養成を行う努力をしなければならない。
  • 大学院で学んでいる教員の意見を聞くと、これまで実践してきた教育に深い教育的意味があったことを知ったり、教育内容について整理できたなど、大学院で学ぶ重要性について述べていた。
  • 養成段階が、今の教育現場の状況に対応した養成をしているのか問題である。行政研修も、必ずしも成功しているとは言えないし、現場の負担が大きい。研修の条件整備や財政支出をきちんとしなければならない。
  • 教員養成について、大学と教育委員会が共同して取り組むとともに、大学教員にも学校現場に入ってもらい、そのことにより、大学も変わっていくという双方向の関係が重要である。

5.その他

  • 今後、大学は、現職教育にも関わっていくべきである。大学が現職教育に関わると、大学は現場のことを知ることができる。
  • 学校現場や教育実践の研究発表の場に、大学教員も加わりながら学び合いをするような取組みが行われれば、評価に生かすこともでき、研修も受身から主体的なものに変わっていく。
  • 学校現場にはゆとりがない。週40時間労働の中で研修の時間を保障するということがなければならない。

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