資料6 第32回教員養成部会(5月19日)において出された主な意見

1.教員養成における専門職大学院の在り方について

  • 現行の免許制度では、教職課程を履修しなければ教員になれないが、専門職大学院については、教養教育等をきちんと学んできた者が、教職に就ける途が開けないものか。
  • 例えば、外国語の分野で幅広い教養を身に付けた者が、学級経営等の知識を専門職大学院などで補えば、教員として活躍できるのではないか。理学部や工学部で勉強してきた者が、教職を選択できる途についても検討して欲しい。
  • 専門職大学院の修了者には、スクールリーダー等としての役割が期待されるが、多様な分野から幅広く学生を受け入れるという視点で、専門職大学院を検討するべきではないか。
  • 他学部出身者や他の職に就いた教育学部出身者は教育界の有力な人材となるので、このような場合を、免許制度や専門職大学院で検討しなければならない。
  • これからの時代を考えると、人を教えることに魅力を感じる者が多いはずだが、今は、教員となるためには、教職課程を履修しなければならないという限定があるので、その門戸を広くしてほしい。
  • 子どもの学習意欲の低下やいじめ、不登校等の問題に対して、専門職大学院が対応できるのかを明確にしなければ、国民は納得しないのではないか。このため、学部の教職課程にも触れざるを得ない。更新制は、それらの課題を解決する一つの方法であるが、きちんと国民に示しながら、専門職大学院を打ち出さないと納得が得られないのではないか。
  • 他学部卒業者や教職以外の仕事に就いた者に学校に入ってもらうという流れがある。民間人校長や教員免許を持たない者にも学校に入ってもらうという流れになってきている。それらの延長線上で、他学部出身者に焦点を当て、教員養成の仕組みを拡大すべきではないかという話が出てくる。
  • 教員養成分野の専門職大学院として、スクールリーダー、即戦力としての新人教員の養成という期待がかけられているが、こういう目的の専門職大学院をつくる意味は、一般の専門職大学院と違った基準をつくり、そこで教員養成を行うということである。
  • 専門職大学院をつくる場合、教員養成は従来どおり学部を主流とするのか、あるいは専門職大学院を主流に置き換えていくのかをはっきりさせなければいけない。専門職大学院を将来の主流に据えるのであれば、一般の専門職大学院と違う新たな制度をつくる意味はあるが、引き続き学部が主流であれば、各大学が既存の専門職大学院制度を利用して創意工夫をし、その帰趨を見極めた上で、新人教員の養成に関わる専門職大学院をつくる方が妥当である。
  • 中・高等学校の場合、子どもとのスキンシップや児童生徒理解の部分が欠けているという議論になってくる。小学校の場合は、教科の専門性よりも人間性を重視するが、もう少し専門性があった方が良いという議論もある。校種ごとの教員養成を分けて考えていただきたい。
  • 現職教員のための専門職大学院をつくるのであれば、新教育大学は何のためにつくり、機能しているのか検証をするべき。それよりも、義務教育、特に小学校の教員養成を行っている大学・学部の見直しをすべきではないか。
  • 現職教員のみを対象にした専門職大学院をつくると、各都道府県に割当てをしなければ成り立たないことになりかねない。中途で教員になりたいという者が入れる仕組みも含めて、対象を広げた制度設計をする必要がある。
  • 現在の学部の教員養成の仕組みが十分に機能していない。自己点検・自己評価、第三者評価が進んでおり、それらを制度的に組み込む必要があるのではないか。
  • 専門職大学院は、全てのコースを一つの大学院で設置しなければならないものではない。例えば、生徒指導や小学校教員を対象にしたコース、理科教育に特化したコース等、現在の教育課題に応えられるものからつくっていくのが良いのではないか。
  • 専門職大学院は、全国に数多くつくられなければ、国民の信頼に応えることはできない。今ある約4千人の大学院定員くらいは、受け入れなければならないのではないか。
  • 中核的な教員が、各学校にどのくらい必要で、どれくらいの規模になるのか方向性を明らかにする必要があり、そのことは、専門職大学院修了者の校内での位置づけや処遇に関わってくる。
  • 他学部で専門教育を学んだ者が教員を目指す場合、専門職大学院で教職科目を履修し、実践と理論をしっかり学ぶということがあっても良い。これは、例えば、複数の大学が集まって設置しても良い。
  • 学部教育の重視、あるいは改善等があって、その先に専門職大学院の検討があるはずだが、学部がうまくいかないから、専門職大学院で変えようという向きがある。現場経験を確保し、いかに質を上げるかは、学部教育で行うべきだが、実態としては教育実習の時間も十分ではない。改めて学部教育の充実を考える必要がある。
  • 大学院は、広い意味でスクールリーダーの養成が課題ではないか。リーダー層や教育界全体を引っ張っていく人材をどのように養成していくかが課題であり、専門職大学院はその部分が柱となるのではないか。
  • 日本は、教育が一番大事だと言うが、教育全般に対するお金のかけ方は主要国の中では必ずしも高くはなく、教員養成にもそういう面がある。
  • 専修免許状を取得しても、ほとんど評価されないが、これは、現場の実態と乖離した教員養成が行われていることの証左ではないか。現行の教職課程で、教員の適格性を養成する科目があるのか。教科専門科目、教職専門科目の単位数が決められているが、それらがどれくらい意味のある教科なのかも問われなければならない。
  • 特に国立の教員養成大学については、学部レベルでの教員養成の在り方が問われてきているので、学部の教員養成をどうするか、そこで養成された教員が、どういう人間になっていくのかについて、免許制度と合わせて、議論することが必要である。また、将来、教員養成の場が専門職大学院となってきた時に、学費の問題が出てきて、特に私立大学において深刻となる。
  • 他学部出身者や社会人を受け入れることはこれまでもあったが、個人の努力や偶然の機会に委ねられてきた。専門職大学院をつくる場合、きちんとしたシステムやルートとして確立することが重要である。
  • 専門職大学院という特別な仕掛けが、採用・研修を含めた改革の促進材料になると考えているが、専門職大学院が、学部の改革を停滞させたりすることにならないか、あるいは改革の促進剤になるのかを議論しなければならない。
  • 現行の大学院は、学部の教員が大学院の講義を担当しているが、専門職大学院では担当することができない。このため、教員の人件費を、専門職大学院の学生からの授業料等でまかなえないという問題が出てくる。

2.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

  • 社会や子ども自身の変化、教える中身の高度化等により、一層優れた教員が必要となる。このため、免許制度をどう改善するかが問題となり、教職課程の在り方や、免許授与の仕組み、更新制等の問題が出てくる。もう一つは、現職教員に、より優れた教員になってもらうために更新制や専門職大学院をどう活用するかという問題である。目標としては、より優れた教員を現場に送り出し、また、現職教員がより優れた者になるよう、自己研修も含めて制度的に支えていきたいということである。
  • 免許である以上、限定された専門領域についての高度な知識・技能は必要であるが、そのことが、結果として裾野を狭くしているのではないか。教養や人間的な魅力などを、どう身に付けさせるか検討しなければならない。
  • 現行では、教職科目と教科科目を履修しているが、むしろ教職の充実を図るべきで、その上で教科をどうすべきかという課題がある。教科科目か教職科目かという二者択一の議論は、あまり良い進め方ではない。
  • 企業が人を採用する時には、多くの金をかける。現在、採用試験に合格しなかった者を臨時採用で初任者研修もせず教壇に立たせている実態を改めなければならない。また、採用や研修に対して、予算をどのようにかけていくのかという問題がある。
  • 14年答申との関係が整理されているが、今の学校教育が抱えている課題が一層複雑・多様化してきているという部分を、もう少し肉付けした方が良い。
  • 免許更新時の適格性の考え方について、校種ごとに違う部分もあり、整理が必要ではないか。その意味では、免許状授与の仕組みを抜本的に考える時代なのではないか。また、免許状の再授与は、もう少し厳しくするべきではないか。A県で懲戒免職になった者が、B県で再度教職に就いていることがあり、適格性に欠ける者が、同じ問題を起こすことがある。適格性を欠く者、分限処分を受けた者等については、厳しい措置をしていくという強い意図がなければならない。また、そういう者がいるために、更新制の議論が出ており、はっきり対処していく方向性を出すべきである。
  • 教壇に立つには、採用試験というハードルを越える必要がある。採用段階では、実践的指導力や適格性、指導力等を見ており、採用段階の取組みも視野に入れて、適格性の判断や更新制について議論することが必要である。
  • 免許状の授与の仕組みの見直しの案1について、教員としての適格性に関する科目とは、本来は「教職論」等の科目になるものと考えるが、改めてこのような科目を設けるということなのか。
  • 教職課程の履修全体を通じて身に付けた資質能力を総合的に評価する新たな方策について、例えば、複数の人間、あるいは学外者も含めて、単位を与えることを判断するシステムをつくり、品質保証することを考えてはどうか。

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