資料3 第1回~第3回 教員免許制度ワーキンググループにおいて出された主な意見

(下線部分は、第3回ワーキンググループにおいて出された意見を踏まえて追加した部分)

1.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

1.教員に求められる資質能力

  • 教職は、父母や一般社会から多大な信頼を寄せられ、尊敬される仕事であるという自覚を持つとともに、それに安住せず、常に向上する気持ちを持たなければならない。
  • 「教職とは国民あるいは社会の信頼により支えられる職業である」と明記することが必要。
  • 教員を大事にするという社会的合意がない限り、学校教育はうまく機能しない。教育という行為は、教員に対する信頼と尊敬がなければできないし、教員に対する社会の見えない期待があるからできる。言葉として表現しがたい風土というものを制度設計の土台にしなければならない。それを踏まえ、処遇を具体的に縛るということではなく、信頼と尊敬に値する職としてふさわしい処遇をしなければいけない。
  • 現代社会において、自ら課題を見出し、総合的に探求し、どのように改革するかを決定・実行することが、あらゆる場面で必要になっている。同時に、それらを解決するために、自分の専門分野のみならず他分野の力も統合して事に当たる力が必要になっている。課題探求能力は、教育活動を行なっていく上で必要不可欠であり、教員には強く求められるということを明確にする必要があるのではないか。
  • 教員は、子どもの中にある資質能力を開くことにより、子どもの素晴らしさを学び、教員としての専門性が高まっていくという面がある。

2.教員を取り巻く状況と教員の現状

  • 現代の特色は変化のスピードが速いという点であり、この早い変化に対して、教員が対応しきれていない。
  • 家庭や地域社会の教育力の低下が、教員に対する過度の期待となっているが、これを当然の前提としては、学校教育が成り立たなくなる。家庭や地域社会の教育力をいかに高めていくかが、現在、地方で行われている教育改革の核心である。
  • 子どもや教育についての研究が進歩しており、学習障害児や注意欠陥/多動性障害の児童などの新しい知見を学ぶことは、教員として不可欠である。
  • 教職のキャリアの中で、学びのスピリットが必要という捉え方は重要。それぞれの教員が、得意分野を生かして、自己啓発していく姿勢も必要。
  • 現在、学校では正規教員の比率が減っており、その分、負担が大きくなっている。教職のあるべき姿をきちんと整理しなければ、更新制の導入以前に、夢のある職場でなくなってしまう。
  • 新採教員の中には、能力の問題だけでなく、親や子どもへの対応への疲れや、一生懸命やるが評価されないこと等、自分の夢が崩れ、人間性を否定されてしまうことでやめる者もいる。教職に夢を持つ教員が育てられるような環境を整備し、保護者や地域が支えていかなければならない。
  • 教員になったものの、夢破れてやめるという人の中には、忙しすぎて、本来の仕事ができないという面がある。教員の仕事を整理していかなければ、教員が実力を発揮できないと考える。

3.教員養成の現状

  • これまでの教養審答申では、大学が養成する教員像を明確に持ち、それを達成する組織構成とカリキュラム編成をしなければならないとしている。また、最小限必要な資質能力という仕上がり基準まで示されているが、大学によっては、これらが理解されていないのではないか。
  • 修士課程の場合、教科専門と教職専門のどちらを履修しても良いため、教職専門を全く取らずに、教育や子どもについての知見がなくても専修免許状を取得している事実がある。

4.教員養成・免許制度の改革の基本的な視点

  • 排除のための更新制ではなく、研修を受ければ十分力を持って子どもの前に立てる教員をつくるという更新制を考えたらどうか。実力を付けて、大学の教職課程から送り出していくシステムをつくらなければならず、また、教員が尊敬され、夢を持って教員になる人たちが増えるような社会にしなければならない。
  • 大学全入時代になると、きちんとチェックをしなければ実力のない教員が現場に入り、教職に対する尊敬がなくなり、教員不信が社会を支配することになるのではないか。
  • 教員養成段階で、最小限必要な資質能力を持った教員として送り出さなければ、現場は困る。1年間の条件附採用期間できちんとチェックされておらず、このことが不適格教員や指導力不足教員を生み出しているのではないか。
  • これまで条件附採用期間は形骸化していたが、ここ数年、厳格に扱われるようになってきた。教員は23歳で教壇に立ち、生徒と相対するという職責を担うこととなるため、保護者からすれば、10年後に検証されても困る。採用段階で、しっかりした教員が採用されているという安心感を与える制度はどうあるべきか、また採用段階でどのくらいの資質能力を備えた教員を確保できる制度とするかが、更新制の在り方を規定していくのではないか。
  • 14年答申では、免許制度の抜本的検討とあわせて、更新制の検討が必要とされていたが、一方で、この秋までに更新制を検討するとされており、「抜本的」の範囲の整理が必要ではないか。
  • 更新制に視点を当てつつ、教員免許制度全体との関わりを持ちながら検討していくのが良いのではないか。
  • 更新制が、直ちに現職教員に適用されるものではないと仮定すると、教員養成、免許授与の要件を含めて、理想的な教員免許制度の在り方を検討する中で、現行の免許制度の良し悪しも考える必要がある。
  • 教員を取り巻く現状を考えると、適正な待遇が一定程度確立されることが必要。
  • 処遇を一律に上げていくのか、実績主義にしていくのかは論議があるが、多くの頑張っている教員の給与・待遇は全体的に向上させていくべきである。

5.教員免許更新制の導入の意義及び位置づけ

  • 更新制の導入が、教員の社会的ステータスや、信頼を高めることにつながるという方向で検討する必要がある。現在は、社会の変化が激しいため、一度取得した免許が生涯有効で良いのかが、多くの専門職に対する見方なのではないか。このため、一定の時期に更新することで、専門性や適格性を保証していくことが重要なのではないか。
  • 更新制導入の是非について検討する際、教員の社会的信頼が上がるのか下がるのかが大切な視点である。更新制については、社会の中で教育活動をしていく上で支えとなるものとして、機能するようにする必要がある。研修等がある中で、更新制がどのような位置を占めるのかを議論する必要があるが、基本的には古い知識を常にリニューアルする、あるいはそのような専門性を持つ者であると制度的に位置づけられれば良い。
  • 更新制がプラスに作用していくのであれば、大学と免許状の授与権者、任命権者、学校の管理運営責任を持つ教育委員会との間で、現職研修を含めた制度設計ができて、教員がモチベーションを高めながら、学び続け、免許が更新されていくものとなる可能性があるのではないか。
  • 様々な社会の批判がある中で、排除の論理ではなく、これだけの力を持った教員であると保証するようなものとして、更新制が考えられないか。
  • 初等中等教育の教員の質の低下は諸外国と同じであり、その中で、優秀な教員や質の高い教育を維持していかなければならず、ここに更新制の必要があると考える。更新制については、排除するのではなく、処遇をきちんとしていけば優秀な人材は来る。これからは、学校に競争原理を入れていくべきであり、優秀なやる気のある教員を入れなければならない。
  • 更新制を導入する際には、現場で育つ人をどのようにフォローアップしていく制度とするのかという点も重要である。
  • 教職に対する信頼の確立に関しては、14年答申においても、教職、学校、教員の社会的信頼の向上について、一連の体系を提示したのではないかと考える。その中で、改めて更新制がどのようなインパクトを持つのか議論する必要がある。また、更新制を打ち出した場合、どれほどの成果が得られるのかの見通し、吟味が必要である。
  • 更新制の導入がどのような効果をもたらすのかについては、見通しを最大限求めながら論議を重ねることが大切である。

6.教員免許更新制と他の制度(現職研修、公務員法制、他の資格制度等)との関係

  • 更新制については、上進制、初任研、10年研、処遇等を統一的に考えて導入する必要がある。ほとんどの教員は更新されると考えるが、その中から優秀な教員を選び出して、上進や資格認定していくというのが良いのではないか。
  • 適格性を確認した上での免許の授与と、初任者研修との関係は避けて通れないのではないか。
  • 非常勤講師等は、正規の教員と異なり、初任者研修を受けていないという実態を踏まえる必要がある。また、10年研の実態を押さえておく必要がある。
  • 採用試験を受けて通らなかった人が、臨時に任用され、初任者研修も受けないということは議論していく必要があるのではないか。
  • 各都道府県では、10年研の評価を持っており、また、ほとんどの都道府県で人事評価も行なっているが、ねらいは排除でなく、育成評価である。その視点は更新制にもつながると考える。
  • 今までは、研修を受けさえすれば、どれだけ力がついたかは、ほとんど評価されなかったが、不十分であれば再度研修を受けさせるなど、研修における評価が必要である。
  • 研修について、熱意のある教員がモチベーションを高めて、専門性を高めていくための条件整備がなされていない。また、研修は飽和状態にあり、特化、自由化、組織化が必要である。特化とは必要な人に必要な研修を行うこと、自由化とは選択させること、組織化とは現場で育てることである。
  • 人事評価や指導力不足教員の問題は、更新制とは直接結びつくものではないと考えれば良いのではないか。
  • 医師や弁護士は終身免許で更新制はないが、医師や弁護士は、患者や相談者が選ぶことができる。教員の場合は、子どもが選ぶことができず、医師や弁護士と同じに扱うことはできないのではないか。
  • 14年答申では、医師や弁護士等との比較において見送ったが、仮に他は他として、教職は教職として捉えるのであれば、その論理をどのように組み立てるのかは、大きなテーマになる。
  • 更新制のある他の資格は、教職に比べると少数で、性格がはっきりしている。教職の場合、職務上の広範な能力が求められ、また人数も多いことをどのように考えるのか検討しなければならない。

7.平成14年中教審答申との関係

  • 14年答申は、教員生活途中における更新の可能性について議論したが、今回は免許付与段階を重視している。子どもや保護者からすれば、新任であっても免許の公証性で証を立てている。免許状の授与段階で、教員としての適格性を判断することが可能であれば、排除の論理が出てくる必要はない。
  • 問題教員を排除するために更新制を導入するとなると、14年答申と合わなくなってくる。現在の教員の指導力不足等の問題は、人事考課や業績評価、給与の問題と連動してクリアできる可能性はあるため、現在の教員の問題は置いた上で、更新制を考える必要がある。
  • 10年研については、各都道府県でも色々な手法を加えているが、これが更新制の代替だとは思えない。一番必要な研修は、教員同士の教材研究や、学校を越えた公開授業やその後の研究であり、これらを服務上の研修とした方が、教員の自主的な向上が期待できる。
  • 14年答申の時は、問題教員を排除するという論理のもと、更新制の議論を行い、10年研により資質能力を高める方向の結論となったが、その後の実態を考えると疑問がある。条件附採用期間後の不採用者数は、14年から15年に激増している。更新制によって何を得ようとしているのか、意義・目的ははっきりさせなければならない。
  • 更新制の代わりに10年研が導入されたが、実態は10年研の趣旨や更新制が目指したところが理解されていないため、更新制の意義、ねらいを再度検討することが必要ではないか。
  • 14年答申と今回の諮問との間隔が短いため、なぜそうなったのか説明は必要である。
  • 14年答申で、更新制の導入には慎重であるべきとされて2年しかたっておらず、この2年で何が変わり、なぜ導入するのか、現状についてのデータを基に必然性、妥当性について検討すべき。

2.改革の具体的方策

1.教員免許状の授与の仕組みについて

  • 教職課程において、例えば、教員としての使命感、子どもに対する愛情や高い倫理性など、教職に求められる資質や適格性を授業科目として構成し、必修化していくことが必要。
  • 養成段階で適格性を判定していないという指摘があるが、そうであれば適格性を判定する仕組みとして、教育実習に加えてキャリア教育としてふさわしいものを用意していく必要がある。
  • 適格性を養成段階で認定するのは現実には不可能。勤務実績を条件附採用期間と連動させるとスムーズに行く。
  • 適格性の判断を実習時に行うという案があるが、外部の評価者によるチェックができれば良いが、内部の者が判断するのであれば難しい。
  • カリキュラムという構造の中で、教育実習にどこまで担わせるのか、学級経営のようなものは、現状では教職についてから学ぶものとなっており、そこに問題があるのではないか。教職課程のカリキュラムの構造が問われている。
  • 現行では教職課程を経れば免許状が授与されるが、教職課程の履修者を対象に試験を実施すると、教職課程の位置づけ、性格等が変ってくる可能性がある。教職課程の出口をどのように制度的に検討するのかを論議すべきではないか。
  • 大学の教職課程の履修者に直ちに免許を与えるのは問題であり、修得認定書だけで良い。採用試験のペーパーテストは国家試験にすべきである。国家試験を課すことで、教員養成大学のシラバスが決まっていく。一方、教育委員会が面接や実技試験を通じて適性を見て、合格者に仮免許状を与える、さらに初任者研修の目標を達した者に正規の免許状を授与する、更新制は正規の免許状の保有者を対象に行なっていく、というような抜本的な改革をする必要がある。
  • 教職課程の履修者を対象に試験をするとなると、採用試験との関わりが出てくる。また、試験の内容がペーパーテスト中心となると、大学の養成内容が試験に受かるためのものになる可能性があり、慎重であるべき。
  • 米国では、大学での単位修得に加えて、一般教養、教職教養、専門教養の受験が、全員に義務づけられており、学区における採用の際の参考になっている。試験は何回もあり、ペーパー試験だけでなく、模擬授業等もある。米国の場合は、採用試験がないが、我が国で国家試験を導入するとなると採用とどうリンクするのか。
  • 現行の免許状は、国家試験がないため、単位履修証明書となっている。
  • 大学が全入時代となり、格差が出てくる中で、単位取得証明書のような免許制度では問題ではないか。大学の自主性を尊重し、ダブルスクールで学ぶような仕組みにならない制度を担保しつつ、養成段階をどのように改善したら良いか。
  • 授与の段階では、チャンスを与えるということはあっても良く、あまり締め付けることはしない方がよい。むしろ、その後の個々の教員の職能成長プランについて、更新制との関わりの中で、自己啓発を考えた方が良い。
  • 大量採用となる状況で、排除すべきは排除する必要があるが、あまりがんじがらめではいけない。適格性を何らかの形で担保するセーフティーガードが必要ではないか。
  • 大学等の養成機関と学校現場が乖離しており、一つの方策として国家レベルでの試験の導入は議論の価値がある。一方で、学校現場の困難さが増し、教員の仕事に魅力がなくなってきているという危機感があり、教員の処遇の改善等も議論しなければならないが、あまり過重な負担を求めることは気を付けなければならない。
  • 集中して研修に打ち込んだり、自分を見直したりできない現状があり、ある期間、徹底的に研修に打ち込めるようにすることが必要。教員は、子どもが好きでないとうまくいかず、また同僚と一緒に仕事をして学ぶことが大きいことから、免許状の授与の際に、これらをどのように取り入れるかを考える必要がある。
  • 適格性を見る際には、教科の専門性や指導方法、使命感や教育に対する熱意も見なければならない。適格性の内容は多岐に渡っており、それらが互いに関連しながら適格性が規定される。

2.教員免許更新制について

(1)教員免許更新制についての基本的な考え方

  • 更新制をどのような形で設計するのかにより意義が変ってくる。例えば、一定期間経過後に、特段の理由がなければ更新を認めるという制度にするのか、何らかの基準を設けて、それに合致しなければ更新を認めないという制度にするのかにより、違ってくる。現実的には、前者を採るのが妥当なのではないか。
  • 教員の職責について考えた時、4年間で十分な資質を持った者を送り出すことは難しく、現在の教員養成において完璧を期すことはできないことを前提とし、かつ教員は研修で特別な扱いがなされていることを考えた場合、一定期間内に、教員としての専門性が一定レベルまで達することは当然要求されていると考える。そのようなレベルに全ての教員が達することを期待し、実現し得ない教員は排除するために更新制を導入することが考えられる。また、教職に対する信頼性が揺らいでいることは事実であり、教員や免許状の社会的信頼を適切に確保していく必要がある。現在、免許状の失効や取上げ等の制度があるが、そこに至らないレベルで教職としての信頼、あるいは免許状の信頼を失う行為を排除する更新制も考えられるのではないか。
  • 教特法で研修が義務づけられるなど、教職特有の制度として、教職生活を通じて専門性や指導力が随時向上するような仕組みを作っている。また、免許制度においては、教職経験を積むことによって、専門性が向上するという上進制度がある。この中に更新制を導入するとすれば、教員の専門性等が格段に向上するような仕組みとしなければならず、またそれにより専門性の向上が担保されると証明することが必要である。また、適格性については、条件附採用期間や分限制度により見ており、このような仕組みがある中で、なぜ免許状で適格性を担保するのか、説明が必要である。このような観点から見た時、一定期間毎に専門性を高めるという更新制を考えることについて、もう少し理屈を整理しておかなければならないのではないか。
  • 更新制については、初任者研修や5年次、10年次等の経験者研修と連動していく方が良い。それぞれの更新において、研修と関連付け、評価につなげる。資格を認定したり、処遇に反映しても良い。具体的な目標・基準は教育委員会が作成し、目標・基準を考える場合、学校や子どものために真剣に努めているという点に力点をおきながら、更新の際の明確な狙いを持たせていくべきである。
  • 排除の論理ではなく、教員にとってインセンティヴを与えるような制度の中で、評価を行い、処遇にも反映していくという形は受け入れやすいのではないか。
  • 研修、更新制、処遇が独立に動いているが、これらを相互に関連づけるべきである。このような形になれば、更新制を、教壇に立っている間、意欲を与え続け、自己研鑽のきっかけになるというポジティヴな方向で打ち出せるのではないか。
  • 更新制について、任命権者や研修実施者、免許状の授与権者、大学、学校の管理運営者、学校長、教職員をがんじがらめにする制度にすべきではない。複雑な制度を作れば、現場との乖離が起こる。

(2)教員免許更新制の制度設計

  • 教育委員会が面接や実技試験を通じて適性を見て、合格者に仮免許状を与える、さらに初任者研修の目標を達した者に正規の免許状を授与する、更新制は正規の免許状の保有者を対象に行なっていく、というような抜本的な改革をする必要がある。
  • 養成期間4年に採用、初任者研修の後5年、あわせて最初の10年がポイントになる。すなわち、5年目が一つの区切りではないか。ライフステージの組み立て方が見合っているのかどうかを検討する必要がある。採用されたばかりの教員が厳しい状況に置かれており、養成段階から5年目くらいまでをどのように機能させていくか、その先に更新制を位置づけることになるのではないか。
  • 初任者研修を終えて5年目、2回目は10年経験者研修と同時期、3回目は40代になる20年目、4回目は50代になる30年目と、生涯4回の更新が良いのではないか。更新制は、実績や専門性向上等をしっかりやれば、大半の教員は更新されるが、各ステージにおいてどのような教員を生み出していくか、またどのような資格を与える研修で更新するのかをきちんとすれば良い。
  • 米国の更新制について、基準は州がつくるが、研修内容は各学区の判断で、自主的な研修や本人のニーズに合った内容を入れている。各教員のキャリアに応じて、本人の自主的な意欲を高めるための研修メニューが必要である。国が制度として設けるのは一定の枠であり、具体的な内容は各教育委員会で検討すべきものである。
  • 研修の提供者については、現在、各県の研修センター等があるが、例えば大学の単位も含まれる。民間についても、様々な機会が出てくるため、提供者のプログラムが、適当かどうかのチェックが必要となる。
  • できるだけ自主研修を入れて、研修を体系化しながら、義務であると同時に、自由に研修できるようにすることで、生き生きとした教員が育成される。そのような形である程度ポイントが溜まり、年数がきたら更新していくというやり方も考えられるのではないか。
  • 現場が求めているのは、毎日インセンティブ高く生徒と対応する教員であり、インセンティブが高く、勤務実績をあげている教員は、多くのポイントを与える、何年毎に更新というのではなく、一定のポイントを取ったら上級免許状とするのはどうか。
  • 更新時だけ学ぶのではなく、色々なメニューの中から実力に応じて、日常的に研修を重ね、それにより更新を受ける資格が与えられ、さらに処遇面でも評価されるような方針が出てくれば良い。
  • 医師の場合は、内科の専門医、認定医、指導医などがあり、専門医等になるためには、例えば手術を何回以上、研修を何日以上などの条件が必要である。教員の更新制も、このようなものではないかと考える。更新によって優秀な教員には認定教諭や専門教諭、指導教諭などの資格を与え、処遇を改善していくような制度としなければならない。
  • 入り口段階は、何らかの形で機会を与えて、その際に免許状を終身とするのか、仮免許状にするのかという問題はあるが、ペーパーティーチャーの存在を無くすのが良い。
  • ペーパーティーチャーについては、免許を持っていることを理由に教員を責めてくるケースもあるため、しかるべき期限が過ぎたら失効する手だてが必要である。
  • PTAやボランティア等の中には、教員免許を持っている方がおり、地域の教育力の向上につながっている。教壇に立っていないことで排除してしまうと、教員採用が少ない時期には、免許を取らなくなる。ペーパーティーチャについては、例えば、教育等に関わるボランティア経験や、大学の公開講座の受講等を更新の要件とすれば、全体としての教育力の向上になるのではないか。
  • 10年~15年も非常勤講師をした後に正規採用されるケースもあり、これらをどのように扱うのか。ペーパーティーチャーがいても構わないのではないか。
  • 更新制については、現職教員に適用することを前提とするのか、それとも新たな免許状授与の段階から更新制を導入することにするのか、整理する必要がある。
  • これから教員になる人に更新制を導入するというのが原則ではないか。その場合、現職教員については、人事評価を活用することで職能開発ができるのではないか。
  • 大学院に行って専修免許状を取得しても、授業は良くならない。このような現状であるので、年数で分けるのは、教員に無用な混乱を持ち込むのではないか。
  • 免許の種類と更新制の連動も必要である。

3.教員免許状の種類の在り方について

  • 現実の問題として、短大があり二種免許状しか取得しない学生がいる以上、それを無視できるのか。しばらくは二種免許はあっても良いという前提で検討すべきである。
  • 免許状の種類は、採用側からはあまり意味がない。二種免許状であるために何か問題が起きているわけではないし、専修免許状だからとしって優秀かというとそうでもない。免許の種類の議論はあまり意味がなく、更新制の議論にも関係しない。

4.教職課程の改善・充実について

  • 最近、教育課程の基準が教科中心、学力中心に変わろうとする中で、教員養成についても、教職重視という考えで良いのかどうか。
  • 一種免許状は標準的な資質を求めているが、教職課程において、教科又は教職に関する科目を設けており、標準的に必要な資質として、そのような扱いが妥当なのか論じる必要がある。
  • 教育実習の指導体制を確立し、大学と実習校で適切な評価を行う。その上で、教員として確実な者に単位を与えるようにしなければならない。
  • 教育実習は負担になっているのも事実であり、人の手当てや、評価を支援することが可能であれば、良い成果が上がると思われる。
  • 教育実習は、出身校実習でみんな優がつくのが現実。教員養成系大学でも、附属学校での実習は教員になるための自信を付ける研修にはなるが、様々な環境の学校へ行った途端自信を失ってやめていく。教育実習とは別にボランティアや、一般校実習を義務づける必要がある。

5.その他

  • 条件附採用期間は2年が良いのではないか。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

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