資料2 第1回教員免許制度WGにおいて出された主な意見

1.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

(1)教員養成・免許制度の改革の基本的な視点

  • 排除のための更新制ではなく、研修を受ければ十分力を持って子どもの前に立てる教員をつくるという更新制を考えたらどうか。実力を付けて送り出していくシステムをつくらなければならず、また、教員が尊敬され、夢を持って教員になる人たちが増えるような社会にしなければならない。
  • 14年答申では、免許制度の抜本的検討とあわせて、更新制の検討が必要とされていたが、一方で、この秋までに更新制を検討するとされており、「抜本的」の範囲の整理が必要ではないか。
  • 更新制に視点を当てつつ、教員免許制度との関わりを持ちながら検討していくのが良いのではないか。
  • 更新制が、直ちに現職教員に適用されるものではないと仮定すると、教員養成、免許授与の要件を含めて、理想的な教員免許制度の在り方を検討する中で、現行の免許制度の良し悪しも考える必要がある。
  • 現在、学校では正規教員の比率が減っており、その分、負担が大きくなっている。教職のあるべき姿をきちんと整理しなければ、更新制の導入以前に、夢のある職場でなくなってしまう。
  • 新採教員の中には、能力の問題だけでなく、親や子どもへの対応への疲れや、一生懸命やるが評価されないこと等、自分の夢が崩れ、人間性を否定されてしまうことでやめる者もいる。教職に夢を持つ教員が育てられるような環境を整備し、保護者や地域が支えていかなければならない。
  • 教員になったものの、夢破れてやめるという人の中には、忙しすぎて、本来の仕事ができないという面がある。教員の仕事を整理していかなければ、教員が実力を発揮できないと考える。

(2)教員免許更新制の導入の意義及び位置づけ

  • 更新制がプラスに作用していくのであれば、大学と免許状の授与権者、任命権者、学校の管理運営責任を持つ教育委員会との間で、現職研修を含めた制度設計ができて、教員がモチベーションを高めながら、学び続け、免許が更新されていくものとなる可能性があるのではないか。
  • 様々な社会の批判がある中で、排除の論理ではなく、これだけの力を持った教員であると保証するようなものとして、更新制が考えられないか。
  • 初等中等教育の教員の質の低下は諸外国と同じであり、その中で、優秀な教員や質の高い教育を維持していかなければならず、ここに更新制の必要があると考える。学力は、教員の指導力と子どもの学習努力、家庭の教育力の総和で上がっていくものである。更新制については、排除するのではなく、処遇をきちんとしていけば優秀な人材は来る。これからは、学校に競争原理を入れていくべきであり、優秀なやる気のある教員を入れなければならない。
  • 教職に対する信頼の確立に関しては、14年答申においても、教職、学校、教員の社会的信頼の向上について、一連の体系を提示したのではないかと考える。その中で、改めて更新制がどのようなインパクトを持つのか議論する必要がある。また、更新制を打ち出した場合、どれほどの成果が得られるのかの見通し、吟味が必要である。

(3)教員免許更新制と他の制度(現職研修、公務員法制、他の資格制度等)との関係

  • 更新制については、上進制、初任研、10年研、処遇等を統一的に考えて導入する必要がある。ほとんどの教員は更新されると考えるが、その中から優秀な教員を選び出して、上進や資格認定していくというのが良いのではないか。
  • 適格性を確認した上での免許の授与と、初任者研修との関係は避けて通れないのではないか。
  • 非常勤講師等は、正規の教員と異なり、初任者研修を受けていないという実態を踏まえる必要がある。また、10年研の実態を押さえておく必要がある。
  • 採用試験を受けて通らなかった人が、臨時に任用され、初任者研修も受けないということは議論していく必要があるのではないか。
  • 各都道府県では、10年研の評価を持っており、また、ほとんどの都道府県で人事評価も行っているが、ねらいは排除でなく、育成評価である。その視点は更新制にもつながると考える。
  • 人事評価や指導力不足教員の問題は、更新制とは直接結びつくものではないと考えれば良いのではないか。
  • 医師や弁護士は終身免許で更新制はないが、医師や弁護士は、患者や相談者が選ぶことができる。教員の場合は、子どもが選ぶことができず、医師や弁護士と同じに扱うことはできないのではないか。
  • 14年答申では、医師や弁護士等との比較において見送ったが、仮に他は他として、教職は教職として捉えるのであれば、その論理をどのように組み立てるのかは、大きなテーマになる。
  • 更新制のある他の資格は、教職に比べると少数で、性格がはっきりしている。教職の場合、職務上の広範な能力が求められ、また人数も多いことをどのように考えるのか検討しなければならない。

(4)平成14年中教審答申との関係

  • 14年答申の時は、問題教員を排除するという論理のもと、更新制の議論を行い、10年研により資質能力を高める方向の結論となったが、その後の実態を考えると疑問がある。条件附採用期間後の不採用者数は、14年から15年に激増している。更新制によって何を得ようとしているのか、意義・目的ははっきりさせなければならない。
  • 問題教員を排除するために更新制を導入するとなると、14年答申と合わなくなってくる。現在の教員の指導力不足等の問題は、人事考課や業績評価、給与の問題と連動してクリアできる可能性はあるため、現在の教員の問題は置いた上で、更新制を考える必要がある。
  • 更新制の代わりに10年研が導入されたが、実態は10年研の趣旨や更新制が目指したところが理解されていないため、更新制の意義、ねらいを再度検討することが必要ではないか。
  • 10年研については、各都道府県でも色々な手法を加えているが、これが更新制の代替だとは思えない。一番必要な研修は、教員同士の教材研究や、学校を越えた公開授業やその後の研究であり、これらを服務上の研修とした方が、教員の自主的な向上が期待できる。
  • 14年答申と今回の諮問との間隔が短いため、なぜそうなったのか説明は必要である。
  • 14年答申で、更新制の導入には慎重であるべきとされて2年しかたっておらず、この2年で何が変わり、なぜ導入するのか、現状についてのデータを基に必然性、妥当性について検討すべき。

2.改革の具体的方策

(1)教員免許状の授与の仕組み

  • 大学の教職課程の履修者に直ちに免許を与えるのは問題であり、修得認定書だけで良い。採用試験のペーパーテストは国家試験にすべきである。国家試験を課すことで、教員養成大学のシラバスが決まっていく。一方、教育委員会が面接や実技試験を通じて適性を見て、合格者に仮免許状を与える、さらに初任者研修の目標を達した者に正規の免許状を授与する、更新制は正規の免許状の保有者を対象に行っていく、というような抜本的な改革をする必要がある。
  • 現行の免許状は、国家試験がないため、単位履修証明書となっている。
  • 米国では、大学での単位修得に加えて、一般教養、教職教養、専門教養の受験が、全員に義務づけられており、学区における採用の際の参考になっている。試験は何回もあり、ペーパー試験だけでなく、模擬授業等もある。米国の場合は、採用試験がないが、我が国で国家試験を導入するとなると採用とどうリンクするのか。

(2)教員免許更新制の制度設計

1.更新の仕組みに関する主な事項

  • 教育委員会が面接や実技試験を通じて適性を見て、合格者に仮免許状を与える、さらに初任者研修の目標を達した者に正規の免許状を授与する、更新制は正規の免許状の保有者を対象に行っていく、というような抜本的な改革をする必要がある(再掲)。
  • 米国の更新制について、基準は州がつくるが、研修内容は各学区の判断で、自主的な研修や本人のニーズに合った内容を入れている。各教員のキャリアに応じて、本人の自主的な意欲を高めるための研修メニューが必要である。国が制度として設けるのは一定の枠であり、具体的な内容は各教育委員会で検討すべきものである。
  • 更新時だけ学ぶのではなく、色々なメニューの中から実力に応じて、日常的に研修を重ね、それにより更新を受ける資格が与えられ、さらに処遇面でも評価されるような方針が出てくれば良い。
  • 医師の場合は、内科の専門医、認定医、指導医などがあり、専門医等になるためには、例えば手術を何回以上、研修を何日以上などの条件が必要である。教員の更新制も、このようなものではないかと考える。更新によって優秀な教員には認定教諭や専門教諭、指導教諭などの資格を与え、処遇を改善していくような制度としなければならない。

2.対象者や対象となる免許状に関する主な事項

  • ペーパーティーチャーについては、免許を持っていることを理由に教員を責めてくるケースもあるため、しかるべき期限が過ぎたら失効する手だてが必要である。
  • PTAやボランティア等の中には、教員免許を持っている方がおり、地域の教育力の向上につながっている。教壇に立っていないことで排除してしまうと、教員採用が少ない時期には、免許を取らなくなる。ペーパーティーチャについては、例えば、教育等に関わるボランティア経験や、大学の公開講座の受講等を更新の要件とすれば、全体としての教育力の向上になるのではないか。

(3)教員免許状の種類のあり方

 

(4)教員免許状と教員の処遇との関係

  • 更新時だけ学ぶのではなく、色々なメニューの中から実力に応じて、日常的に研修を重ね、それにより更新を受ける資格が与えられ、さらに給与・処遇面でも評価されるような方針が出てくれば良い(再掲)。
  • 更新によって優秀な教員には認定教諭や専門教諭、指導教諭などの資格を与え、処遇を改善していくような制度としなければならない(再掲)。

(5)その他

  • 教育実習は、出身校実習でみんな優がつくのが現実。教員養成系大学でも、附属学校での実習は教員になるための自信を付ける研修にはなるが、様々な環境の学校へ行った途端自信を失ってやめていく。教育実習とは別にボランティアや、一般校実習を義務づける必要がある。
  • 今までは、研修を受けさえすれば、どれだけ力がついたかは、ほとんど評価されなかったが、不十分であれば再度研修を受けさせるなど、研修における評価が必要である。
  • 研修について、熱意のある教員がモチベーションを高めて、専門性を高めていくための条件整備がなされていない。また、研修は飽和状態にあり、特化、自由化、組織化が必要である。特化とは必要な人に必要な研修を行うこと、自由化とは選択させること、組織化とは現場で育てることである。
  • 条件附採用期間は2年が良いのではないか。

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