資料3 教員免許制度ワーキンググループにおける主な検討事項と検討の視点例
1.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について
(1)教員養成・免許制度の改革の基本的な視点
教員養成・免許制度の改革のねらいは、児童生徒や保護者の尊敬と信頼を得られる質の高い教員を養成・確保することであり、こうした観点に立った場合、改革の具体的な視点としては、例えば、次のような点が考えられるのではないか。
- 教員に最小限求められる適格性や専門性を確実に保証すること
- 教職生活全体を通じて、教員としての専門性の向上が図られること
- 教職に対する尊敬と信頼の確立につながること
(2)教員免許更新制の導入の意義及び位置づけ
教員免許更新制の制度設計にもよるが、導入の意義(メリット)としては、例えば、次のような点が考えられるのではないか。
- 教員が常に緊張感を持って、自己研鑽に励むことを促すとともに、教員全体の資質能力を向上させていくインセンティブとしての役割が期待できること
- 国・公・私立学校の別によらず、教員として相応しくない、あるいは免許状の信頼性を損なうような場合のチェック機能としての役割が期待できること
- 現行の上進制度や現職研修と相まって、教職生活の節目ごとに専門性の一層の向上が期待できること
- 公立学校の教員について、現在の分限制度や教員評価の適切な運用が進むことが期待できること
教員免許更新制は、免許制度における位置づけはもとより、養成・採用・研修との関係を明確にし、教員の資質能力を全体として高めていけるような制度として考えられないか。
(3)教員免許更新制と他の制度(現職研修、公務員法制、他の資格制度等)との関係
教員免許更新制は、初任者研修や10年経験者研修等の現職研修と相まって、専門性の向上が一層促進されるような制度として考えられないか。
公立学校の教員については、教員免許更新制と公務員法制(分限制度等)との関係、また、私立学校の教員については、更新制と労働法制との関係を整理することが必要であるが、この点については、身分上の問題と資格制度上の問題を切り離して、整理することはできないか。
現在、他の資格制度において、更新制を導入しているものは少ないが、資格制度の在り方は、当該制度の特性等を踏まえて検討されることが基本であり、教員の職務の重要性や特殊性、更新制の導入の意義等に鑑みると、教員免許状に更新制を導入する必要性はあるのではないか。
(4)その他
2.改革の具体的方策
(1)教員免許状の授与の仕組み
教員養成・免許制度の改革の基本的な視点等を踏まえた場合、教員免許状が教員としての資質能力を確実に保証するものとなるよう、現行の免許状の授与の仕組みを見直す必要があるのではないか。
(例)
- 教員としての適格性を適切に確認した上で、免許状が授与されるような仕組み
- 教職課程の履修状況を適切に確認した上で、免許状が授与されるような仕組み
(2)教員免許更新制の制度設計
導入の意義や位置づけ等を踏まえると、教員免許更新制の導入の検討に当たっては、次のような事項について検討する必要があるのではないか。
(例)
- 更新制の仕組みに関する主な事項
- 免許状の有効期限
更新制の導入の意義等を踏まえ、免許状の有効期限はどの程度とすることが適当か。また、有効期限は一律とするのか、免許状の種類や更新回数等により、差異を設けるのか。
- 更新の要件
更新制の導入の意義等を踏まえると、更新の際に確認する事項としては、一定以上の勤務実績、教員としての適格性及び専門性向上の3つが考えられるのではないか。その場合、適格性の判定と専門性向上の確認は更新の要件として同等に扱うのか。また、更新の要件について、免許状の種類や更新回数等に応じて、差異を設けるのか。
- 適格性や専門性向上の判定基準・方法
教員としての適格性や専門性向上を判定する場合、あらかじめ、具体的な判定基準・方法を定めておく必要があるのではないか。
- 更新制と上進制度等との関係
更新制の導入の意義等を踏まえると、専門性向上の判定においては、現行の上進制度の趣旨が活かされるとともに、教員の自己研鑽や現職研修と相まって、専門性の向上が一層促進されるような仕組みとすることが考えられないか。
- 免許状の失効の効果
免許状の失効と、その場合の教員の身分上の取り扱いについては、切り離して考えられないか。
- 免許状の失効後の再授与の在り方
免許状が失効した場合、再度チャレンジできるような仕組みを設けることが必要ではないか。その場合、適格性の判定により失効した場合と、それ以外の理由により失効した場合とでは、異なる取扱いとする必要があるか。
- 対象者や対象となる免許状に関する主な事項
- 免許状の種類ごとの更新制の取扱い
更新制は、全ての免許状について同等に適用するのか、免許状の種類に応じて、差異を設けるのか。
- いわゆるペーパーティーチャーを含む一定以上の勤務実績がない者の取扱い
一定以上の勤務実績がない者については、免許状が失効することとするのか。その場合、再度チャレンジできるような仕組みを設けることが必要ではないか(前掲)。
- 複数の免許状を保有する者の取扱い
複数の免許状を保有する者については、更新制の導入により、過重な負担が生じないよう、更新要件等において工夫を講じることが必要ではないか。
- 現に免許状を有する者(特に現職教員)の取扱い
現に免許状を有する者(特に現職教員)について、更新制を直接適用することは、制度上、難しいのではないか。その場合、更新制の導入の意義等を踏まえ、どのような取扱いとすることが考えられるか。
(3)教員免許状の種類の在り方
教員養成・免許制度の改革の基本的な視点等を踏まえた場合、現行の免許体系を見直す必要はあるか。
(例)
専門職大学院を設置することとする場合、当該大学院の修了者に対する免許状をどうするか。
(例)
(4)教員免許状と教員の処遇との関係
教員養成・免許制度の改革に対応して、免許状と教員の処遇との関係について、どのように考えるか。
(例)
- 校長・教頭等の資格要件との関係
- 人事・処遇への反映方策 等
(5)その他
更新制による専門性向上と教員の自己研鑽や現職研修(初任者研修、10年経験者研修等)との関係をどのように考えるか。
教員養成・免許制度の改革に対応して、教職課程の認定に係る審査(審査基準・手続き等)の在り方を見直す必要があるか。
義務教育の在り方や教育課程の基準全体の見直しに係る検討に対応して、教員養成・免許制度の改革が必要となるか。