小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第12回) 議事録

1.日時

平成21年3月27日(金曜日)15時~17時

2.場所

三田共用会議所3階 大会議室(C、D、E)

3.議題

  1. 1.学校の適正配置について 2.コミュニティ・スクールについて 3.学校選択制について
  2. その他

4.議事録

【小川主査】
 では、定刻になりましたので、第12回の小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会を開催いたしたいと思います。
 年度末でいろいろなご予定がある中ご出席いただきまして、本当にありがとうございました。岡上委員が30分ほど遅れるということと、中西委員も若干遅れるというご連絡がありましたので、まだご出席ではないんですけれども、始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局のほうから配付資料の確認をお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。そうしましたら、本日お配りいたしております1枚目の資料、議事次第の4番目に、下でございますが配付資料一覧を載せてございます。
 資料1といたしまして、本部会の委員の名簿を入れさせていただいてございます。それから、資料2から、本日主にご議論をいただくものでございますが、まず2から4までは前回お示しさせていただいた資料を少しバージョンアップさせていただいたものでございます。小・中学校の適正配置に関するこれまでの主な意見等の整理というのが資料2でございます。資料3といたしまして、学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールに関する主な意見等の整理。それから、資料4といたしまして、学校選択制に関する主な意見等の整理ということでございます。
 そして、資料5でございますけれども、前回のこの部会の中で、各委員のほうからそれぞれ3つのテーマに関して共通する問題意識、課題意識というものについていろいろとご意見、ご示唆をいただいたわけでございます。こういったものを少し我々のほうで整理させていただいたものを、これは本日初めてお配りするものでございます。小・中学校の適正配置、学校運営協議会制度、学校選択制に共通する問題認識に関する主な意見等の整理ということで、それぞれ頂戴しております主な意見等を整理したという点では前の資料と同じでございますが、共通する課題意識ということで、少し、A4を1枚、大変簡単なものでございますけれども、整理をさせていただきました。こういったものもご意見を本日頂戴できればと思っております。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。配付資料のご確認、よろしいでしょうか。不足していたものがありましたら、事務局のほうにご連絡ください。
 では、これから議事に入りたいと思いますが、若干今日の進め方の説明をさせてください。前回の第11回の作業部会の会議では、10回までの会議で出された論点、そして意見を整理した内容について、さらなる議論を深めていただきました。そして、今日、皆さんに配付している資料は、10回までの内容と、それに基づく、前回11回に出された新たな意見などを踏まえて修正というかバージョンアップしたものが出ております。今日は、そうしたこれまでの論議の、ある意味では集大成という意味で、最終的なここでの議論をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それと、今後の進め方ですけれども、大体4月に予定されている初等中等教育分科会に、本作業部会のこれまでの審議について報告させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 今日は、時間配分とすれば、学校の適正配置について大体30分前後。2つ目のテーマである学校運営協議会、コミュニティ・スクール、そして学校選択制についてはそれぞれ20分程度。また、各テーマに共通する問題認識ということで、最後に15分程度の時間をとって議論していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 では、これから入っていきたいと思います。じゃあ、佐藤室長のほうから説明をお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 承知いたしました。それでは、私のほうから本日お配りしております資料の関係、最初、この適正配置を中心にでございますが、ご欠席いただいた委員で本日ご出席いただいている委員も多数いらっしゃいますので、少し経緯なども含めて簡単にご説明させていただければと思います。
 本日お配りしておりますこれまでの主な意見等につきましては、今、主査のほうから既にお話がありましたように、前回までのご議論として、それぞれの議論のポイント、要約のようなものを初めて前回お示しいたしました。それぞれ項目の中に四角囲みで、最初の出だしのところに幾つか要点をまとめているところがございます。こういったものを中心にご意見を頂戴できればと思っておりますが、今からこの四角囲みのところを若干ご説明させていただきながら、あと、前回との変更点などについて説明をさせていただきたいと思います。
 全体の構成の中で、今回少し、構成全体をいじっているわけではございませんが、前回まで幾つかバックデータのようなものを随所に散りばめておったんですけれども、ちょっと見栄えがよろしくないというのもありまして、コラムという形で幾つか、それぞれ、これはデータ編とお考えいただいて結構でございますけれども、これまで本作業部会にお示しをさせていただきましたデータにつきまして、それぞれ本文を読んでいただくのに直接参考になるようなものについて、そこの記述内容の周辺部分にコラムとしてそれぞれ入れてございますので、そちらのほうもご参照いただきながら、私のほうからも若干触れていきながらご説明させていただきたいと存じます。
 あと、先ほど配付資料の説明の中で若干触れましたけれども、これまで大きく分けて3点、適正配置と学校運営協議会制度、それから学校選択制という大きな3つのテーマでご意見を頂戴してきたわけでございますが、この3つに共通する課題ということで、前回、お時間の許す範囲で意見を頂戴できました。こういったものにつきまして、我々として、1枚紙としてそれぞれの先生方のご意見を少し整理させていただいたもの、これが新たにお配りしているものでございます。こういったものも、これも後ほどご説明させていただきますが、本日新たにお配りしている加わったものでございます。
 それでは、まず適正配置の資料を、最初にお時間を頂戴してご説明させていただきます。資料2をお目通しいただけますでしょうか。大きな変更点、こちらは構成等に関してはございません。特に前回、6番目の、適正配置に当たって国や都道府県といったものがどう関わるべきかといった点について大変多くのご意見を頂戴したところがございます。そこの部分について、これは後ほど触れますけれども、記述内容を変更、もしくは充実しているところがございます。
 順を追って説明してまいりますと、まず1ページ目でございますが、最初に本テーマについて検討する背景や意義につきまして、ポイントを入れてございます。この中では、新たに加わりました記述内容といたしまして、1ページ目の検討の観点の1つ目の「○」でございます。前回、大嶺委員、壷内委員、加藤委員などのご意見を頂戴した点を踏まえて、そもそも今日的にこういった議論をする背景、ここでは少子化などの影響ということも書いてございますが、こういった問題意識というものをしっかり記述して、今後の展望や基本的スタンスというのをまず明確にすべきではないかと、こんなご意見も頂戴したところでございます。
 ちょっと読ませていただきますと、今後、さらなる少子化が急速に進むことが予想される中で、全国的に学校の小規模化がさらに進んでいくものと見込まれる。そうした中で、将来にわたって義務教育の機会均等、教育水準の維持・向上を図り、子どもが「生きる力」をはぐくむことができる学校教育を保障する観点から、学校の適正配置の在り方について検討することが必要である。こういった記述を入れてございます。こういった点が新たに加わったところでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ、それから3ページのほうをごらんいただくと、コラムというのを1つ入れてございます。これは、第2回の作業部会のときに葉養部長のほうからご説明をさせていただきました資料の中に入れてあったものでございます。学校の小規模化に対する各市町村の対応として、全国の市町村教育長さんを対象にした意識調査ということの中で、数字としましては、小・中学校の規模縮小への対応策について、「困難はあっても小中学校の適正規模の維持を基本として統合方策を検討する」という回答が約4割弱である一方、具体的に統合に関する計画を策定するなど検討を終了し、配置の見直しに具体に着手されているという割合については、やはり若干少ないと。約1割程度である、こんなデータを入れてございます。
 それから、おめくりいただきまして、4ページ、それから5ページでございますが、こちらもコラムとして、これも同じく第2回の作業部会のときにお配りいただいた資料の抜粋のようなものでございます。これも全国の市町村教育長さんの意識調査ということで、現在の標準が適正であると考えている割合が約半数。都市部と郡部で学校規模の標準を分けて設けるべきだというご意見が約4分の1ほどあったと。さらに、小学校、中学校という点で、学校の適正規模を定めている場合の適正規模の判断理由について、小学校の場合は「クラス替えのできる規模」、「運動会や学芸会等である程度の活性化が図れる規模」、中学校に関しては、「主要教科について各学年それぞれの担任教員を用意できる規模」、「部活動やクラブ活動等の種目数を一定数維持できる規模」、こういったご回答が多くなっているということをデータとして入れてございます。
 それから、またおめくりをいただきまして、6ページ、7ページでございます。7ページの下でございますけれども、コラムの3として、これは通学距離の関係で、小学校5年生、それから中学2年生を対象に少しデータをご提供いただきました、これも同じく第2回の作業部会で東京学芸大の朝倉教授のほうからお配りいただいた資料をもとに記述してございます。
 あえてここでは読みませんけれども、それぞれ小5、中2において、4キロメートルまではそれほどストレスはかからないけれども、それを超えると一定出てくる。あと、バス通学という場合も一定の配慮を要する場合があると。中学校の場合は6キロメートルというところを超えるとストレスを感じている割合が多いので、そこら辺も考えていく必要があると。ただ、気象条件やほかの考慮要素が比較的少ない場合におけるデータである点に留意すべきだといったご指摘をいただいてございます。
 それから、おめくりいただきまして8ページ、9ページ、10ページというところでございますが、こちらは小規模校における教育条件の向上を図る観点から、どういった点を克服していくべきかということでお示しをしているところでございますが、こちらのほうのデータとしては、校長先生を対象にしたデータとして、これも第2回の作業部会でお配りをさせていただいたものとして入れてございます。小規模校の問題点として、「良い意味での競い合いや切磋琢磨の機会が少ない」「組織的・機能的な子どもの集団づくりができにくい」と、こういったご回答が多かったということでございます。
 それから、適正配置に関して都道府県・市町村が実際に作成している計画ということで見ていくと、小規模の学校では「集団の中で多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なくなりやすい」「単学級で学級間の相互啓発がなされにくい」といったご意見が多いということでございます。
 そして、次でございますが、その下、4番目といたしまして、適正配置を進めることが困難である状況とその対応ということで整理しているものでございます。こちらのほうは特に大きな変更点はございませんので、そのままの記述内容でございます。
 おめくりいただきまして、10ページ、11ページ、12ページ、13ページにまいります。13ページのほうで、新たに5番目として前回お配りした資料の中に入れさせていただいたものでございますが、適正配置を進めるに当たって、特に取り組むべきことということで、少しここも前回記述を入れたものでございます。ここは大きな変更点はございません。13ページ、14ページも特にございません。
 それから、15ページ、こちらが前回幾つかご意見を頂戴したところでございまして、国や都道府県の関わりということで整理をしてございます。こちらにつきましては、まず上の枠囲みのところをご参照いただければと思いますが、上の2つのご意見というのは前回既にお示しをしていたものでございますが、3つ目のご意見というのが前回松川委員にご提出いただいた資料、それから西川委員、そして小川主査のほうからもいただいたものでございました。学校統合によって教育に支障が生じることなどがないように、義務標準法の在り方についても検討すべきであるということで、実際に学校統合によって標準法というものをどう考えていくかということを1つの論点としてご提示をすべきだということでございました。こういった点を少し大きな要点、ポイントの中に入れてございます。
 そうした点を入れました関係上、下の個別の記述、具体の記述の中でも記述内容を増やしてございます。2つ目の「○」と3つ目の「○」の関係でございますけれども、2つ目が、現在、国からの学校統合に当たっての支援措置といたしましては、1点目が市町村合併に伴う学校統合に関する教員加配。それから、スクールバス購入時の補助。そして、施設の整備費の補助。それから、学校を運営していくに当たっての経費の激変緩和措置などを現状行ってございます。これらの支援措置の充実などにより、市町村における適正配置の検討を進めやすく、統合後の学校の教育条件整備を支援していくことが望まれるということでございます。これは角田委員、柳澤委員からいただいたご指摘などを踏まえて加えてございます。
 それから、次でございますが、小規模な市町村でも、十分な情報や事例をもとに適正配置の検討を進められるよう、都道府県が情報交換の場を設定したり、情報提供に努める必要がある。その際、国が市町村や都道府県の協力を得て適正配置に関する調査研究等を行い、情報提供することも考えられる。これは松川委員のご意見、それから山重委員からのご意見等を踏まえてこういった記述を入れてございます。
 それから、同じところで、1枚おめくりいただきまして、16ページの一番上でございますけれども、こちらも小川主査、松川委員、西川委員などのご意見を頂戴しました関係で、学校統合によって教員数が減って教育に支障が生じる場合、そして特別な配慮が必要とされるような場合があるので、必要な教員を確保することが必要であると。ちょっと「必要、必要」と言葉がくどいので、ここは幾つか我々のほうで文言を考えたいと思いますけれども、そういった教員数が実際学校統合などによって減っていくときに、いろいろ教育上支障が出る場合があるだろうと。また、特別な配慮が必要なケースもあるだろう。こういった点について、必要な教員をしっかりと確保していく。そしてまた、人事で配置していくことも含めて、そういったことをここの記述内容の中で入れてございます。それが主な国と都道府県の学校統合に当たってのかかわり方、関与の在り方といった点で少し記述内容として変更及び追加したところでございます。
 最後、同じページの7点目、その他の留意点でございますが、こちらは特段ご意見がございませんでしたので、そのままの記述内容となっております。
 簡単でございますが、以上、前回いただいたご指摘を踏まえて、記述内容と見直した点をご紹介させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

【小川主査】
 ありがとうございました。じゃあ、これから25分程度時間をとって、今の資料2に即して意見交換をしていきたいと思います。
 前回ご出席の委員につきましては、前回様々な議論がありましたけれども、その前回の議論が今回の内容に反映されているかどうかということも確認しながら少しご意見をいただきたいと思いますし、また、前回ご出席いただけなかった委員の方は、今、初めて文章を見るということで大変かと思いますけれども、全体をお目通しいただきながら、感想を含めてご意見等々がございましたらご自由にご発言いただければと思います。それでは、どうぞどなたからでもご意見をいただきたいと思います。國定委員、どうぞ。

【國定委員】
 前回多分出ていないと思いますので、前回意見が出ていたとしたら申しわけないんですけれども、修文的なところで大変恐縮しておるんですけれども、1ページ目のところで、基本的にここは、現在、適正配置を検討する背景・意義というところで、特に四角囲いのところを見ていくと、上段部分は「何々していくことが必要なんだ」というふうにずっと強くやっていっているんですけれども、下から2つ目の「●」、市町村からしてみると重要なポイントのところになると、「支援策を講じることが考えられる」というふうにトーンダウンしているというところは、ここはあくまで作業部会ですから、作業部会の意見としてはより強く、背景のところからここは異論を挟む余地もないんじゃないかと思いますので、必要なんだというようなところをもっと出していいんじゃないでしょうかというところが1つと、全く同じ観点なのですが、15ページのところも、統合にかかる支援の6番の国、都道府県の関わりの1つ目の「●」のところで、同様なのですが、「べき」「べき」でちゃんと強い姿勢できているのに、「統合に係る支援の充実を図るなどにより」というところになると「望まれる」というふうになってしまっているものですから、ここも「べき」「べき」でいくんだったら最後まで「べき」「べき」でいったほうがいいんじゃないでしょうかというところだけご指摘をしたいと思います。

【小川主査】
 なかなか耳の痛い指摘なんですけれども、先ほどの表のところ、1ページの支援策ということについては、やはり財政的ないろいろな諸事情もありますので、その辺はどう表現するかはまた事務局のほうとも相談しますし、また、最後の「●」は都道府県や市町村ということで、また国と違った行政主体にかかわることですので、国とすればやはり都道府県・市町村の自治体の尊重ということで、「べき」というよりも少し間接的な表現でこういう配慮をされているのかなというふうに思います。その辺も少し含めて、今のご指摘については少し検討させてください。ありがとうございました。
 あと、前回ご出席で、様々なご意見をいただいた山重委員、池田委員、何かあるかと思いますけれども、どうでしょうか。よろしいですか、山重委員。

【山重委員】
 ありがとうございます。必ずしも完全にまだ内容を理解したわけではないのですが、前回、葉養先生がご指摘された小規模校の定義の問題というのがどのような形で反映されているのか、今、ちょっとくくりながら見直していたんですけれども、ここでの定義というのは、学級数で定義するということでよろしいんですか。標準規模というのを決めて、それに満たないところを小規模校、小規模学校というふうに呼んでいるということでよろしいんでしょうか。

【佐藤教育制度改革室長】
 基本的にそのご理解で結構でございますが、ただ、それ以外に生徒数のような問題というのも1つご議論がございましたので、その辺の記述内容については、それぞれ少し、例えば標準規模の4ページのところでございます。2つ目の「○」のところに、これは例示として挙げているものでございますが、例えば3学級の中学校と6学級の中学校では、12学級を下回るという点では同じだけれども、実際の教育状況を考えると、やはりそれぞれ生徒数などのこともあって実態が違ってくるので、きめ細かい対応が必要だというような記載もちょっと入れてございまして、そこはいろいろな考慮要件はそれぞれ考えていくべきではあるかと思います。ただ、原則は、やはり学校サイズというものをどう考えるかという点は従来の標準規模でということで整理させていただければと考えてございます。

【小川主査】
 よろしいでしょうか。

【山重委員】
 はい。

【小川主査】
 そのほか、どうでしょうか。

【岡上委員】
 質問でもいいですか。

【小川主査】
 全然構いません。じゃあ、岡上委員、どうぞ。

【岡上委員】
 欠席が多いのでこんな質問は失礼かなと思いつつ、1番の現在、適正配置を検討する背景と意義と書いてありますよね。それなのに、追加されている国と都道府県の下の「●」2つというのは、背景・意義と考えたほうがいいのか、それとも15ページの国、都道府県の関わりのところのこととの関係というんでしょうか。それは、中身を考えると国はこういうふうにかかわっていくべきであるというふうに読めるんですよね。私が読むと。だから、最初の表題1番と6番とのかかわりはどうなっているんでしょうかという思いがします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。ご指摘ごもっともでございまして、前回、それから前々回のご意見の中で、最初は我々の整理の中でも「国、都道府県の関わり」という項目自体が立っておりませんで、小さい項目の中に入っていましたので、そのときは最初の「適正配置を検討する背景・意義」の記述の、今ご指摘いただいた下の「●」2つにつきましては、小項目のほうに入っていたんでございますけれども、今回、こういう背景・意義の中で項目を立てるに当たって、具体にこの記述内容、ちょっとご参照いただくと、このかかわりのほうにも、実は「○」の2つ目のほうに同じ記述内容を入れているところがあって、再掲しているような整理にもなってございます。
 ただ、1つ背景・意義と考えるときに、これまでのいろいろな少子化の問題とか教育環境の変化というのは当然ありますけれども、その中で今日的に検討する意義というものを考えると、国の役割というのは大変大きな役割を占めていかなければいけないのではないかというご指摘などもいただいた関係で、ここの背景・意義の特に意義の部分、そういった点について、ご指摘を踏まえてここの記述にもしっかり国の責任ということを明確に書いたほうがいいのではないかということで、ここにも記述内容を入れておりますし、あと、当然かかわりの部分ではストレートに引っかかってくるところですから、いずれでも読み込めるようにこういう記述にしているとご理解いただければと思います。

【小川主査】
 どうぞ。

【岡上委員】
 だったとすると、「背景・意義」というタイトルに合わせた文章表現にされればいいのかなという気がいたします。

【小川主査】
 じゃあ、その辺も検討させていただきます。
 ほか、どうでしょうか。中西委員。

【中西委員】
 15ページの国、都道府県の関わりのところなんですけれども、囲みにあるのはその後の部分のポイントというか、要約ということだとすると、「義務標準法の在り方について検討すべき」という「●」の3つ目のところはその後のどこに当たるのかなというのを、何となくはわかるんですけれども、最後のほうの表現が「望まれる」とか弱いので、標準法の在り方について検討すべきの具体というのはどこにあるのかなというのがわかりにくいんじゃないかと思うのですが。

【佐藤教育制度改革室長】
 ここは確かに、ストレートにこの記述内容で受けるところと申しますと、やはり一番最後の今回追加させていただいたところというのも1つ、16ページのほうのトップで先ほど変更点として加えさせていただいた、「必要な教員をきちんと確保する」というようなこともこの背景としてございますし、「教育に支障が生じることがないよう」、こちらは「教育が支障を生じる場合」という逆の書き方をしてございますけれども、こういった記述内容なども含めて、トータルで読めるのではないかという形で現状は書いておりますが、もしご意見等を頂戴いたしますれば、その辺は下の個別具体の記述内容に、もう少し内容について我々のほうで意見を踏まえて記述を加えるということも考えさせていただきたいと思いますけれども、もし頂戴できれば対応したいと思います。その辺はいかがでございましょうか。

【小川主査】
 中西委員、今のご意見については、義務教育の在り方についての検討ということをもう少し具体的に記載してほしいというような趣旨も込めたご意見というふうにご理解してよろしいんですか。

【中西委員】
 標準法ですね。

【小川主査】
 ええ。

【中西委員】
 だから、標準法の在り方を検討すべきというか、標準法を見直さなければできない部分がどこなのかというのはよくわからないんですけれども、支障が生じるなら配慮はしなきゃいけないでしょうし、その辺がかなりデリケートな話ではあると思うんですが、作業部会の意見として、どうするのかというのを少しわかりやすく、なおかつ詰めたほうがいいのかなと思います。

【小川主査】
 主査とすれば、その辺はかなりデリケートなことで、具体で書くということはかなり……、ちょっと待ってください。
 ただ、委員のほうで義務標準法等々について何かご意見があれば、この場でご遠慮なくご発言されても構いませんけれども、ただ、それをどういう形で、この中で書くかというのはいろいろな状況に配慮しながら、事務方のほうで整理させていただくという対応になるかと思うんですけれども、前川審議官、どうぞ。

【前川審議官】
 このあたりは、今日はご欠席の西川先生だったと思いますけれども、前回、単学級の学校と単学級の学校を統合しても、やっぱり単学級だということがあるじゃないかと。先ほどの山重先生の規模の問題にかかわってくるんですけれども、2つの学校を一緒にしても、学級の数の点からいえば同じ規模だということになってしまう。こういう問題があります。
 そのときに西川先生がおっしゃったのは、今の標準法では2つを一緒にすると、結局単純にいうと、単学級と単学級を一緒にしても同じ単学級の学校なのだから、教職員は2分の1になってしまう。それをそうではなくて、統合したときに多少なりとも教員の配置が増えるということは考えられないのかというお話がございまして、それは学級で規模を考えて、その規模に基づいて教職員定数を算定する限り、今のようなことが起こるわけですけれども、そのときに主査から標準法の問題として検討すべきではないかというご発言がございまして、それを引き移して、枠囲みの中に入っているのは小川主査の……、私が主査みたいにしゃべっておりますけれども、小川主査のご発言を拾って書いていると。
 下の「○」は西川先生のご意見を拾って書いていると、こんな感じでございます。標準法の問題を議論すれば、当然予算の問題になってまいりますし、そうすると行政改革推進法で23年度まで1万人の純減なんて書いてあるもの、閣議決定などもございまして、こういうものとの関係をどうするのかと、これは我々が考えることでございますので、ここでは忌憚のないご意見をいただければ結構だと思います。

【小川主査】
 私もそう思いますので、義務標準法の在り方の検討ということは人それぞれ、アイデアをお持ちですし、おそらく、いろいろな違ったアイデアもあるかと思うので、僕は僕としてアイデアはありますけれども、そうした意見がもしもあれば、ここで出していただいて、ただ、それは今、審議官のお話もあったようにいろいろな諸事情がありますので、どういう形で中間まとめの中にまとめていくかということについては、ちょっと事務方と相談しながら適切な内容で書き込ませていただくということになるかと思うんですけれども。
 ですから、中西委員のほうで、その辺も含めて、何かもう少し具体的なご意見等もあれば出していただいても構いませんし、ほかの方もどうぞご自由にということで進めさせていただきたいと思います。よろしいですか。

【中西委員】
 とりあえず私は問題提起として。

【小川主査】
 わかりました。ほかに、どうぞ。
 じゃ、岩﨑委員、お願いします。

【岩﨑委員】
 ありがとうございます。ずっと欠席しておりまして、もうそんな審議は終わったのかなと思っております。あまりにも身近で、身勝手な意見を申し上げるかもしれませんし、また別の機会で申し上げなきゃならないことなのかもわかりません。ずっと読ませていただいて、少子化の動きの中での統廃合が中心に論議がされているように思うんですが、今日お配りいただきました16ページに大規模校の課題というのがございます。1ページの1の適正配置を検討する背景・意義のところの2つ目の「●」で最終的には市町村が教育的な観点から判断をしなければならないときちんと書いていてくださるんですけれども、私どもの方は大規模校ということで、学区編成についても当然審議をいたしましたし、分離新設についても審議をいたしました。
 けれども、最終的にはどちらにも結論が出せない。分離新設になりますと、財政的な問題が大きく絡んでまいります。前にも少し話させていただいたと思うんですけれども、本当に財政状況が厳しい中で、分離新設は頭からだめだということでございます。
 次に学区編成ということになりましても、1,000人以上の学校が2つできて、2つの学校で分離新設をしなければならないという状況が今生まれてきております。そのようなときに、やはり市町村が判断しなければならないんですけれども、国、あるいは県からどのようなアドバイスをいただけるのか。また財政的、あるいは人的な支援をいただけるのかということが私どものお願いというか、期待というか、微妙な思いでおりますし、大規模校というのが、一体何人を指すのかということも、もう少し明確にしていただきたいなとも思います。
 私どもは、増築でいかなければならないという雰囲気の中にあるんですけれども、増築でいきますと、もう平成24年には1,000人を超えます。そして32年、これは現在生まれた子供の人数でカウントしておりますけれども、これは42学級という状況になります。けれども、結論的にはもう増築しか仕方がないのかなというところまで来ているわけでなんですけれども、大変苦慮をしておりますので、もう少し具体的にお示しいただけるものであるならばお示しいただきたい。本当に身勝手なことを今ごろ言っておりますけれども、どうかよろしくお願いをいたします。

【小川主査】
 もう少し、大規模校の解消に向けての市町村の取り組みを支援するような、国や都道府県の具体のところについて、もう少し、一歩踏み込んで書いてほしいという趣旨ですよね。

【岩﨑委員】
 そうでございます。厚かましいですが。

【小川主査】
 その点も、わかりました。
 じゃ、葉養先生、どうぞ。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 1つだけお願いします。
 次の議題で話をさせていただければよかったのかもしれませんけれども、過疎地なんかで学校運営協議会を設置している場合があって、例えば長野県の阿智村がそうなんですけれども、阿智第三小学校というのがありますが、コミュニティ・スクールになっています。
 あと岩手県の宮古市の四つ葉の学校事業――小規模校の連携をやっているところでも、教育長さんのお話だと、学校支援地域本部をとりあえずつくっていって、行く行くは4校で学校運営協議会をつくることも視野に入れた検討が進められないかということをおっしゃっていて、過疎地とか、小規模校で学校と地域との連携を強めていく仕組みとして、こういうものをつくる可能性は現実に動きとしてありますし、それをどこかに、その他の留意点の中に入っているのは連携だけですよね。縦の連携、横の連携って。もう一つ、地域との連携ということで、入れ込んでもいいのかなと思います。地域に強制することじゃないですけれども。

【小川主査】
 時間はあまりないんですけれども、ほかに。
 貞広委員。ほかに、このテーマ、國定委員、そして最後に柳澤委員ということで、じゃ、お願いします。

【貞広委員】
 ありがとうございます。前回大事な回を欠席せざるを得ませんでしたので、もう議論に出ているのかと思いますけれども、私、拝見しますに義務標準法の在り方について検討するかどうかというところが非常に大きなポイントになっているかのように思います。これをもっと具体的に検討するか否かということは、また先の話になるのかもしれませんが、将来的にもしその可能性があるのであれば、8ページに関してなんですけれども、小規模校において、教育条件の向上を図る観点から特に克服が求められる課題として書かれているものの中に、現行の標準法と教員配置の在り方にかなり依拠するものと、子どもの数自体に、数が少ないからということで、それとは独立のものとが一緒になっているかのように思えるんです。
 もし標準法自体を検討するのであれば、標準法に依存する部分、例えば今はこのクラスサイズにしているからクラス会ができないであるとか、教員数が限られるという問題は子どもの数によるというよりも現行の教員配置によるものです。その一方で教育活動の幅が狭くなるというのは子どもの数自体が少ないもので、標準法とは独立にも存在をするものだと思うんです。また中学校に関しても、各教科に複数の教員を配置することが困難になりやすいというのも、現行の教員配置の在り方にかなり依存するもので、子どもの数自体に標準法自体を検討し直して、子どもの数が少なくても教員を増置するというふうになれば、これは解決できるものなので、そこを書き分けて、特に子どもの数に依存するものはここなんだと強調するような書き方をしていただいたほうが読み手の側は整理しやすいかなと思う点が1点です。
 それと先ほど来出ています15ページの「義務標準法の在り方について検討すべきである」のページですが、四角から外れた「○」の2番目のところに国からの支援措置が書いてありますけれども、これがもう少し具体的な形で書くことができないのだろうかと、やはり思ってしまうんです。市町村の方というのは、おそらくここを、ポイントをついて読まれるんだと思うんですけれども、例示的なアイデアだけでも書けないものなのだろうかと、非常に悩ましい部分なのだろうと思いながら、やはり思ってしまう部分です。
 細かいことで3点目といたしましては、16ページの上の小規模でありながら統合が困難な学校に対しては、力量ある教員を配置するというものもありましたが、またここの中でどこかに書いてあるのかもしれませんけれども、市町村の教育委員会も都道府県の教育委員会も、いずれも教員配置以外にも小さな学校、小規模で教育活動が非常に困難な学校に対しては、もちろん人を配置することが一番プライオリティーはあるんだとは思いますけれども、研修のようなものも含めた質的なサポートもあろうかと思います。松川委員から前回複式学級はやめましょうというご意見が出たようなんですが、私も、ぜひそうしていただければいいだろうなと思うんですけれども、それができないのであれば、研修のような形でそれに対応するという文言を入れられたらいいのではないかと思います。
 あと1点、非常に細かい点ですけれども、1ページ目の現在適正配置を検討する背景と意義の部分。検討の観点の「○」の1番目、今後さらなる少子化が急速に進むことが予想される中でとありますが、おそらく小規模化が進んでいる理由というのは、少子化だけではなくて、人口分布の偏りが以前よりも大きくなっているということもあろうかと思います。1つの都道府県の中にも県庁所在地に子どもがどんどん偏在して、周辺地域から子どもがいなくなっている。ですから、1つの自治体に関しても、1つの市町村に関しても同じような実態があるということで、1つの自治体でも、またその地域地域に別々の対応が必要な場合もあろうかと思います。ですから、そういった点も背景の1つとして取り込んで、だからこそ、小規模化がもっと私たちが予想しているよりも、各地域で急速に進んでいくんだ、だから、私たちは課題としてそれをサポートしていかなければならないのだというような強調をしていただければなと思います。長くなりましたが、申しわけありません。以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。4点とも非常に重要な指摘かと思いますけれども、佐藤室長いいですよね。何か、今の点でお答え……。

【佐藤教育制度改革室長】
 いずれも検討させていただきたいと。

【小川主査】
 そうですね。
 じゃ、國定委員、どうぞ。

【國定委員】
 本当に斜め読みで申しわけないんですけれども、前回の資料というか、論点整理のときはもうちょっと小中一貫教育のところがぎゅっと一カ所にまとまっていたのが分散化されている印象があったところから気付き始めているんですけれども、その小中一貫にせよ、先ほど岩﨑委員からご指摘があったように、大規模校をどういうふうに考えていくのか、地域によって、それぞれ応用パターンがあると思うんですけれども、そういうところについては例えば小中一貫で見ると、14ページの上から4つ目の「○」になると思うんですけれども、小中一貫教育等々を含めてずらずらと書いていくと、こうした新しい取組を取り入れることについても議論すべきと考えられると終わっていて、これはこれでいいのかなと思うんです。
 また同じようなところでいうと、16ページから17ページのところで、これもおそらく小中一貫教育をもっとかみ砕いて、前回の資料に比べて説明的に書いていただいてるんだと思うんですけれども、これも最後は1つの方策であるというふうにとどまっていて、これはこれでまたいいのかなと思うんですが、気になっているのは、やっぱりどうしても最後はハードであり、ソフトであり、国の支援なくしては市町村の適正配置はなかなか進んでいかないんじゃないのかというふうに私自身は思っているんですけれども、そういう意味では国がかかわっていくときの一番重要な支援策といったところが、この並びで見てしまうとそういう応用編のパターンについては、その支援策の範疇外ですよというふうに読み取れなくもないなというのが少し気になっているところでありまして、そうすると例えば6番目の国、都道府県の関わりというようなところの一番上の「●」の表現をもう少し範囲が広がるような、広がり感が伝わるような書き方にするか、もしくは6番と7番をひっくり返すか。要は全部込み込みで、最後は国、都道府県の関わりですよというところでバスケットクローズ的に表現を総括してしまうかというような工夫が、何か必要なのかなと感じました。

【小川主査】
 はい、わかりました。小中連携……、ま、いいや。わかりました。
 じゃ、柳澤さん、どうぞ。

【柳澤委員】
 失礼します。どこの部分に入るかよくわからないんですけれども、前回葉養先生がご指摘された、必ずしも統廃合で財政的な効率性が得られるかどうかわからないという研究があるというアメリカのお話をされたかと思うんですけれども、そのことと多分どの視野で、どこまでの視野で物事を考えるかということと関係してるんだろうなと思います。
 つまり短期的に物事、例えばここ数年、何年かという考え方と中期的、5年、10年、あるいは20年ぐらいの視野で考える。もっと先があるかもしれませんけれども、そうしたときに効率性みたいなものは長期的になればなるほど、いろいろな要素が入ってきて、多分考えなければいけない要素も入ってきて、そうすると必ずしも効率性がよいのかどうかという議論になるんじゃないかと思うんですけれども、その意味で、これはもちろん、それぞれの自治体が判断する話ではあると思うんですけれども、そこのところをどう整理をしていく必要があるんだろうなと思います。短期的に見て、仮に統廃合をしたときに、長期的に見たら非常にリスクが上がったみたいなことはあるわけですので、そのあたりの、もう一度、こちらがどうこうということもないんですけれども、物事を議論、整理する上でそういうとらえ方の段階はあるんじゃないかということ。これはどこに書いたらいいかわからないんですけれども、あり得るかなと思ったりしますけれども。

【小川主査】
 はい、わかりました。
 具体的な書き方として、何かあります? 今の指摘は確かに僕も短期的な財政的なこととかなんかということで、統廃合じゃなくて、もうちょっと中長期で教育の営み、ないしは地域の活性ということを考えた場合に、やっぱり短期の統廃合以上にもっと考えなきゃならないことがたくさんあるんじゃないかとかという指摘はすごく重要だと思うんですけれども、どういう形でそれは組み込むかというのは、また事務局のほうとも少し相談しますが、もう少し具体的にこういうところに、こういうふうに書き込めばいいんじゃないかということがあれば、またあとで事務局のほうにご意見をお寄せいただければと思います。
 ほか、どうでしょうか。非常に重いというか、重要なご指摘を各委員からいただきまして、事務局また大変ですけれども、少し受けとめながら反映できるところは反映させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 できましたら、時間配分の点でちょっとオーバーしてますので、恐縮ですけれども、適正配置の柱についてはここで打ちどめさせていただいて、次のコミュニティ・スクールのほうに入らせてください。
 じゃ、また説明をお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。そうしましたら資料3でございます。学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)に関する主な意見等の整理という資料でございます。こちらにつきましては、前回、もうほぼご意見はなかったかと思っておりますので、非常に小さい修正でございます。
 全体といたしましては、こちらもコラムということで、ちょっと数字を入れてございますので、データでございますね、ちょっとご紹介をさせていただければと思いますが、構成といたしましては、こちらはコミュニティ・スクールの全体の意義と成果といったものをどう考えるかというのが1つ大きなくくりでございますのと、2つ目に学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)の課題と今後の方向性ということを入れてございます。それから3点目といたしまして、学校運営協議会制度と他の類似の制度等との関係はどうなってるんだという辺り、こういった点を少し整理の柱にしているところでございますが、2ページ目をご参照いただきますと、コラムとして入れましたのが、これも本作業部会で日本大学の佐藤晴雄教授にプレゼンテーションをしていただいたときにデータとしてお持ちいただいたものを、その後、佐藤教授のほうでもう一度精査していただいて、細かい数字が変わっているところがございますが、プレゼンをしていただいたときの資料をもとに記述してございます。
 ポイントといたしましては、全国のコミュニティ・スクールを導入していらっしゃる自治体のほうに実際にご質問していただいて、どういった点に成果があると今思っていらっしゃるかということと、あと課題の部分についても個別にそれぞれ聞いていただいてます。
 大きく分けますと、やはり学校の経営という点では校内経営や対外的な経営という点では大変高い数値が、いずれも8割を超える評価をいただいている。そこにちょっとご紹介していただいているのは、学校は地域に情報提供を積極的に行うようになった、地域が学校に協力的になった、教職員の意識改革が進んだ、学校が活性化したという部分がございます。その一方で、5割にも満たないということで、それ以下にありますのが、やはり学校外の環境への働きかけ、影響、効果という点。それから教育指導そのものに対する影響という点、その辺りについては、やはり数字として必ずしも高くないという評価を現段階ではされているということが、それぞれの取組をしていただいている学校やその自治体のお声として上がっているという点を、ここにご紹介をさせていただいてございます。
 それから記述内容の若干の変更でございますが、3ページ目の大きく分けて2つ目の柱の学校運営協議会制度の課題と今後の方向性といったところで、これは前回、西川委員からいただいたご意見でございまして、四角の枠囲みの中の1つ目の「●」でございますが、学校運営協議会を置くメリットが従前、学校側に理解されていないという意見もあるという記述をしておりましたが、これは学校以外に教育委員会ということも当然対象としてはあり得るじゃないかということでご意見を頂戴いたしましたので、教育委員会や学校関係者という形で、ここの記述を改めてございます。
 それと飛びまして、4ページ、5ページとおめくりいただきまして、6ページのほうにまたちょっとコラムとして、同じ出典でございますけれども、学校運営協議会の権限をどう活用していくか。それから校内で実際にどなたが担当しているか。それから教育委員会に期待する役割とは何かという点、3点お聞きいただいたものを、ここに数字として載せてございます。
 実際に権限の活用という点で人事に関する意見というのが、よくクローズアップされるところでございますが、教職員の人事に関する意見が任命権者に対して出されたことがあったと回答した数字が17.8%でそんなに多くない、2割に満たないということである一方、実際に出された意見の中でどのようなものがあったのかというのを、ここにご紹介してございまして、教員の人事に関する一般的な要望、例えば部活動の指導ができる若い教員を配置してほしい。こんなお声を代表例として、72.7%という点で非常に多いと。それから自校の特定の教員を転出させないでほしいというご要望であるとか、他校の特定の教員を自校に任命するよう要望するような意見、こういったご意見が多いということでございます。
 それと実際に学校の中で学校運営協議会をご担当いただいている教職員として、やはり教頭先生が一番多いということと、あと教育委員会に対する要望としては、一番にあるのはコミュニティ・スクールのための予算措置、それから他の指定校に関する情報提供、こういったものが数字として多いということを少し挙げてございます。
 コミュニティ・スクールのほうは、前回ほぼご意見が出尽くした感があったのかなというふうに拝見いたしましたので、以上のような、非常に小さい修正でここの内容は終わってございます。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。前回、ご欠席の方につきましては、もう一度少し斜め読みでも見ていただいて、内容で何かお気づきの点、ご意見があれば出していただければと思います。学校運営協議会制度の意義や成果、2つ目が学校運営協議会制度の課題と今後の方向性、3つ目が学校運営協議会制度と他の制度等との関係についてという、3つの柱からなっております。何か、ご意見ございますか。
 じゃ、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 表現上の問題ですけれども、3ページ目の真ん中辺にメリットの情報発信という部分があって、コミュニティ・スクールの偏在のことが書いてあるんですが、それを全国的に広がりを持たせていってほしいと私も思うんですけれども、導入していない地域に、どのような問題があるのかという表現は、何か導入しないところには問題があるみたいな受けとめ方もされるんじゃないかと思うので、ちょっと表現を工夫されたほうがいいんじゃないかと思います。

【小川主査】
 確かにそうですよね。わかりました。
 ほかに、どうでしょうか。
 じゃ、奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】
 すいません。随分欠席をしておりますので、話の論点がかなりずれるかもしれませんし、今本当に斜め読みなんですけれども、学校運営協議会制度を京都市なんかは本当にたくさん置いておりまして、教育委員会のほうから委員になっていただく方に対しての財政的な支援が――金額は言えませんけれども、あるわけじゃないですか。それに対して、現状、国からの補助という形が具体的にはなくて、資金的な部分というのは、この中にこれから援助をしていくということが具体的に書かれているんでしょうか。

【小川主査】
 おそらく学校運営協議会についての国からの直接的な財政支援というのは、ないんでしょう。その辺、ちょっと事務方より何か……。

【佐藤教育制度改革室長】
 恒常的な財政支援というものではありませんけれども、文科省では、この制度ができて、できるだけ全国でこういった取組をやっていただければということもあり、今、実際に幾つかの推進事業を行っております。
 その中の1つに、各学校の取組をサポートするような事業として、平成20年度の予算で大体1校当たり年間50万円くらいご支援を講じさせていただいているものがあって、ただ、それは恒常的に謝金などを委員の方にお支払いするというものではなく、趣旨としては、いろいろな先導的、モデル的な取組をしていただきたいというのと、それ以前に、コミュニティ・スクールの制度をしっかりご理解いただきたいというところもあり、そういったところを普及啓発していくという趣旨でございます。恒常的にランニングコストを負担するというような支援措置という点でいうと、少し趣旨は違うのでございますが、国としての支援を今やっているものとしてはそういうものがあるということを、ご紹介させていただければと思います。

【小川主査】
 創設時についての、そういう財政的なものは今あるということで、ほかに何かご意見ございますか。

【奥野委員】
 現場からの意見というか、現状本当に非常勤の公務員という形で、市教委のほうからやっぱり予算を出しているということなので、やっぱりコミュニティ・スクール自体の広がりで、本当に地域とのつながりだったり、学校運営が非常によくなったという声が、非常に京都では多く出ていまして、ただ、やはりそれがどんどん本当に増えていく現状の中で、教育委員会のほうの財政的な負担というのがちょっと増えてきていますので、そのあたり今後、ちょっとこんな状況まで来て、今さら言うのも遅いかもしれないんですけれども、今後少し検討いただければなということで、これを見て何も書いていなかったので、ちょっと感じたところです。

【小川主査】
 わかりました。では、よろしくお願いします。
 ほか、どうでしょうか。では、貞広委員と、あと國定委員という順で。貞広委員のほうから。

【貞広委員】
 非常に小さなことで恐縮なんですけれども、3ページのメリットの情報発信のところに入るのかなと思いますけれども、コミュニティ・スクールは非常にいい制度だと思うんですが、学校選択制のように、スイッチを入れたように何かが劇的に変わるものではないわけですね。
 佐藤先生の報告の中でも、定着までに一定期間が必要であるというようなご意見があったかと思いますので、広がりを見せてほしいがゆえに、効果も大きいけれども、定着までに一定期間を必要とする制度であるので、その導入や評価の際には留意して、長い目で育てていくような視点を持つべきであるというような視点を入れていただければなと思います。

【國定委員】
 先ほどと同じように何を今さらというような意見かもしれませんけれども、かなり前の作業部会のときに、そもそもコミュニティ・スクールってどの範疇をいうんですかという話があって、その場では、文科省さんのほうでの定義では、一応、コミュニティ・スクールというのは、ほぼイコール学校運営協議会制度なんだから、そこに収れんさせていきましょうというような、確か話、やりとりがあったかと思うんですけれども、そういうような意味でいうと、学校運営協議会制度イコールコミュニティ・スクールという形での論点整理という意味では、これはこれで致し方ないのかなと思っているんですが、市町村の立場からすると、多分、学校運営協議会制度であろうが、ここにも書いてありますけれども、学校支援地域本部事業であろうが、それは制度の形であって、それこそ地域それぞれがとるべきものなのかなと思っているんですね。
 ですから、学校支援地域本部も含めた今後の地域と学校との在りようというようなものが、この次のステップとして検討されるのであれば、私はこれはこれでいいと思うんですけれども、何か学校支援地域本部とかを含めた、もうちょっと広がりのあるコミュニティ・スクールを含めて、今回、この作業部会でも整理し切っちゃいましたというと、少し抵抗があるんですね。ですので、そんなことを考えて、何を今さらというところの少しジレンマもあるものですから、何か例えばここにも書いてありますけれども、例えば7ページのところで、保護者・地域住民が学校を支援する仕組みとの関係というところで、これは最後の終わり方が、このため、学校運営協議会の目的や役割を改めて明確にすることが必要であるという、学校運営協議会制度の視点だけで整理が終わっちゃっているんですけれども、本当は多分、現場からしてみると、そうではない、地域と学校とのかかわりを考えていった結果、たまたまある地域は学校運営協議会をとって、たまたまある地域は学校支援地域本部をとってというのが自然な形のはずなんです。
 そういうようなことを、要は、学校と地域との考え方をとったときに、学校運営協議会制度のこれからの在り方、学校支援地域本部事業のこれからの在り方、両者の関係の明確化をどういうふうにすべきかについては、今後とも取り組むべき検討課題であるというような形で終わっていくのであれば、まだ次への期待感が残るのかなと思いました。

【小川主査】
 どうぞ。マイク、いいですか。

【前川審議官】
 今の國定委員のお話はよくわかります。何もしゃくし定規に学校運営協議会の目的や役割を改めて明確にする必要はなくて、これは法律上もうはっきりしているので、ただ、法律上の学校運営協議会が法律が想定している機能以外、それにとどまらずに、いろいろな機能を用い始めていると。もう既に持っているという実態があって、それはもともとは学校の運営の部分について、地域住民、保護者の方々に参画していただくということであって、活動に参加するということまで含んではいないものです。
 あるいは、学校の評価というようなことについても、これは学校教育法上、別の条文がありますけれども、学校運営協議会がやるということにはなっていないわけですけれども、学校運営協議会が学校評価の機能を担っているというケースはかなり広がってきています。
 法律上予定している機能以外のものをたくさん持つようになってきて、そのために学校支援地域本部と学校運営協議会の境目もあいまいになっているということはあると思うんですけれども、それを何もまた分けると。学校運営協議会なんだから、これはやってはいけないとか、こういうことにするのは、むしろ逆行する話だろうと思います。ですから、そこをむしろこれを総合しながら、次のステップで学校と地域との関係について、どんな仕組みが望ましいかというようなことを考えていっていただければ、建設的なご議論になるのではないかと思います。

【小川主査】
 よろしいですね。
 その辺の趣旨は、僕は8ページあたりは、そういう趣旨で書かれているかとは思うんですけれども、今のご意見を踏まえて、もう一度、ちょっとその辺のところは読み直しを含めて、工夫はできるのであればしてみたいと思います。
 では、柳澤委員、お願いします。

【柳澤委員】
 今の話とちょっとかかわることですし、ただ、ちょっとこの学校運営協議会制度、コミュニティ・スクールの枠に入らないのかもしれないなと思いながら、1つ思うのは、結局は、地域の方も保護者も教員も、願いは子どもがいかにしっかりと育つか、力をつけるかということだと思うんですね。
 そのときに、1つの一番有効な方法は、子ども自身が参加するということがあるんだろうと思うんです。これは私が研究しているドイツなんかでも、1970年代からずっとやっていることで、ただ、この中には今、おっしゃられたように、保護者とか地域住民とかの参加ということなので、ちょっとこの枠には多分、入らないのかなと思うんですけれども、ただ、コミュニティ・スクールが最終地点ではなく、これから参加とか、あるいは、子どもたちの本当の力をつけるとか、成長ということを考えたときには、いかに子どもたちが参加の主体になるか、主役になるのかということもどこかに、できたら、この中にもどこか雰囲気というか、なんか入れないのかなとは思うんです。
 私の地元でもそういう実践をしている高校があって、子どもたちがすごく変わるんですね。すごく成長する。結局、大人が周りでいろいろやってあげるのはもちろんいいんですけれども、子どもたちが失敗しながらも自分でする機会をどうつくるのか、それは本当は1つの参加の柱なのかなと思いますので、そのあたり、もしかしたら入らないのかもしれないんですけれども、何となくどこかそういう方向も含められたらありがたいなという。

【小川主査】
 実際、中・高で学校運営協議会という形態ではないけれども、生徒会や生徒が入って、いろいろ学校運営のある部分を発言したり、担うというのは実際出てきていますので、その辺、少しちょっと検討させてください。事務局のほうで、よろしいですよね。

【佐藤教育制度改革室長】
 はい。

【小川主査】
 時間もそろそろ、このテーマでは、ちょっと迫っているんですけれども、ほか、一、二あればどうぞ。山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 先ほどコミュニティ・スクールに対する予算措置の話があって、それはそうかなと思い始めたので、もう1票入れさせてください。
 特に6ページのところのコラム2の中で、下のほう、一番下の教育委員会に対して期待するコミュニティ・スクールに関する支援については、コミュニティ・スクールのための予算措置というのがかなりの要望として上がってきているということは、現場はちょっとよく知らないんですけれども、コミュニティ・スクールという学校をエンパワーする仕組みを取り入れている、取り入れることで、やっぱりそれなりの予算があるといいという状況が出てきているのかなと思うんです。
 目的は学校をよくするということですから、そのために一定の予算が必要なのであれば、それも配慮した支援を国からもしてあげるということはいいし、それが1つのきっかけになって、制度が広がっていくことにもなるような気がし始めましたので、もう1票入れさせてください。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。よろしいですか。あと2つのテーマがありますので、コミュニティ・スクールの件で、ご意見はよろしいですか。
 では、なければ次の3つ目の学校選択制のテーマに入っていきたいと思います。では、佐藤室長、3をよろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。それでは、資料4でございます。学校選択制に関する主な意見等に関する整理でございます。学校選択制につきましても、前回のご意見の中、特段多くのご意見をいただいたわけではございませんでしたので、修正点はほとんどございませんが、若干ご紹介をさせていただきますれば、四角の枠囲みの中に全体の構成がございまして、1つ目の枠囲みに基本的な考え方と、2つ目の枠囲みに学校選択制を導入するに当たって特に留意すべき事項ということで、大きく2つの構成になっている中の1つ目、学校選択制についての基本的な考え方というところでございます。
 四角の枠囲みの2つ目の「●」のところでございますが、特に学校選択制が教職員の意識改革という問題とどう兼ね合うのかということで、前回ご意見をちょうだいしたところがございました。ここについては、実際にどの学校が問題を抱えているのか知る機会にもなるという山重委員のご意見もございましたし、池田委員のほうからも、同じようなご趣旨としていただいたところもございました。教職員の意識改革という観点のみならず、もう少し幅広くこの論点を考えていくということでの共有できる問題意識ではなかったかと思いますので、学校に変化をもたらすという形で、ちょっと記述内容をここは改めてございます。
 学校選択制は学校に変化をもたらす一つの方法といえる。ただし、教職員や保護者、地域が学校選択制の下で学校改革に前向きに取り組める条件整備を同時に図ることが前提となる。こういった記述内容にしてございます。
 次の2ページ、3ページについては、特段変更点がございません。4ページ目の下でございますが、コラムとして入れてございますのが、文科省が実施し、本作業部会の中でご紹介した抽出アンケート調査のデータでございます。各都道府県が抽出した市区町村の教育委員会とすべての政令市を対象として、学校選択制の導入の検討を進めるに当たって、その課題や背景、それから、成果をどのようにお考えいただいているのかということを、ちょっと把握しているものをここに改めて記述させていただきました。
 例えば、課題や背景といったところでは、保護者や地域住民からの学校選択のニーズ、2つ目として、市町村合併や学校の再編、地域内の住宅事情や交通事情の変化、少子化や学校・地域の活性化、こういった点を課題背景として導入の検討をされた自治体が多いという数字がございました。
 それから、導入した上での成果と課題ということになりますけれども、やはり導入した成果としては、学校教育への関心が高まった、子どもが自分の個性にあった学校で学ぶことができるようになった、選択を通じて特色ある学校づくりが推進できた、こういったご意見が多い一方で、その課題としては、課題は特にないというところが一番多い中で、あえて挙げるということですれば、通学距離が長くなり、安全の確保が難しくなった、学校と地域との連携が希薄になった、入学者が大幅に減少した学校ができ、適正な学校規模が維持できない学校が生じた、学校選択制を導入したが、学校の活性化が十分に図られていない、こういったご意見も数としては多うございました。こういったところのご意見をちょっとご紹介させていただいてございます。
 それから、おめくりいただきまして、2つ目の特に留意すべきことというところで、幾つか項目を挙げている中で、変更点ということでは特段ございませんが、例えば6ページの教育委員会から学校への支援というところで、具体的には6ページの一番下から7ページにかけてでございますが、学校選択制を通じて各学校が抱えている課題が浮き彫りになるため、その課題への対応について学校に手厚く支援を行えば、学校選択制を通じて学校間の格差を埋めることができるという見方もある、ということで、先ほどの枠囲みの中の若干の修正と連動する形で、こういった記述内容も入っております。そこをちょっとご紹介をさせていただいた次第でございます。
 特に大きな記述内容の変更という点はございませんでしたので、以上でご紹介を終わります。以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 前回の会議でも、学校選択制については、この内容については、ほぼ委員の皆様から了解というか、それほど大きな修正点のご意見はありませんでした。前回、ご出席できなかった委員の方で、今の内容についてご質問、ご意見等々があれば、ご自由に出していただければと思います。
 山重委員、池田委員から、ご指摘のあった点については、こういう形で修正されたということで、よろしいでしょうか。

【池田委員】
 はい。

【山重委員】
 はい。

【小川主査】
 ほかにどうでしょうか。少し読む時間は確保しますので、二、三分、ちょっと斜め読みいただければと思いますけれども。
 よろしいでしょうか。この場でご意見がなくても、持ち帰りして、少し時間をとって読んでいただいて、またご意見があれば、これは後でお願いしようと思っていたんですけれども、4月10日ごろまでに事務局のほうに具体的なご意見をご連絡いただければ、できる限り、この報告の中には盛り込む努力はさせていただきますので。
 では、学校選択制について、よろしいですか。では、なければ、今の時点ではこれはちょっと終わらせていただきます。またご意見があれば、この後でも、4月10日ごろまでにまた事務局のほうにお申し出ください。
 最後ですけれども、資料5です。今まで3つのテーマで議論してきていたわけですけれども、それを全体としてどうブリッジするかという、そういうようなところのご意見についても、前回の会議で少し工夫してほしいというようなお話もありましたので、事務局のほうで前回のご意見を踏まえた上で、資料5という形で少しまとめさせてもらったのが出ておりますので、これについて、まず説明をしていただいて、ご意見を伺いたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。そうしますと、資料5でございますけれども、今、主査のほうからご説明がございましたけれども、学校の適正配置の問題と、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の点と、学校選択制の3つを中心に、ご議論していただいていたわけでございますが、このテーマに共通する、底流する課題、問題意識として、どういった整理ができるだろうかということで、前回かなり幅広にご意見を頂戴したところでございました。そういった視点、それから、先ほど来、既にご意見の中にも、学校と地域の関係というのをどう考えていくかというような、非常に大所高所のご指摘というのもございまして、こういった問題意識というものが多分、適正配置、学校運営協議会制度、学校選択制に共通するものだろうということで、少し整理をしてみたわけでございます。
 前回いただいたご意見の中では、例えば、特に行政の立場からもっときめ細かい対応というのが必要ではないかというご意見でございますとか、体系的な教育的の在り方ということから、例えば「生きる力」ということに代表されるような、子どもをはぐくんでいくための教育環境を整備していくための観点というのをもっと入れるべき。そういった点で、1つ共通項が導き出せるのではないかといったこと。
 それから、先ほどご意見がございましたように、地域というものを1つ、ほかの3つのファクターをつなぐ輪として考えられないかというようなことでございますとか、社会構造の変化といったものを考えて、例えば少子化の影響、こういったものを十分踏まえて考えていくべきではないか。そのようなご意見などを頂戴できたところでございました。
 ということで、我々のほうで少し整理をしてみましたのは、四角の枠囲みのところにつきましては、やはり子どもの教育環境というのをよりよくしていくというのが究極の、一番の大きな目的でございまして、こういったものを体現していく、実現していくために、保護者や地域に信頼される学校づくりの実現というものが、まず最優先課題であるということで記述をしてございます。
 その上で、そうしたことを実施していく、展開していくために、学校は当然中心にはなるけれども、それを行政、保護者、地域というものが、それぞれ双方向の関係で築いていき、そして、それぞれの担うべき役割、果たすべき責務というものをしっかり果たしていく。こういった視点が共通の課題としてあるのではないかという形で、ちょっと整理をしてみたものでございます。
 下の「○」については、上3つがどちらかというと、総論的なポイントでございまして、下の3つが適正配置、学校運営協議会制度、学校選択制に関して、それぞれ切り口をある程度同じく見たときに、どういう整理ができるだろうかというようなことで、ちょっと整理をしたものでございます。
 ちょっと読ませていただきますと、総論の部分でございますが、小・中学校の適正配置、学校運営協議会制度、学校選択制につきましては、共に、子どもが「生きる力」をはぐくむことができるよう、学校を、保護者や地域に信頼されるものにするということを基本に考えるべきである。
 そして、保護者や地域に信頼される学校づくりを進めるためには、学校が、保護者や地域に対して説明責任を果たしたり、情報を発信するだけではなく、学校における教育活動に保護者や地域が参画し、共にそれを支えるという、双方向の関係を築くことが重要である。
 そして、少子化等の社会構造の変化を踏まえながら、学校を中心に、行政、保護者、地域が双方向の関係を築くに当たっては、行政、保護者、地域がそれぞれ担うべき役割があり、また、果たすべき責務があるということで整理をしてございます。
 そして、下の3つのテーマがちょっと各論になりますけれども、適正配置につきましては、その地域において、子どもの教育環境をどのように維持・向上していくかという観点から、行政には、保護者や地域に説明する責務があり、保護者や地域には、問題意識を共有して、学校づくりに共に取り組むという責務があると。
 それから、2つ目の学校運営協議会制度の点につきましては、保護者や地域には、学校運営方針の承認や教職員の任用に関する意見の申出等、学校運営への参画について、法律上付与された一定の権限がある一方、権限を持つ者として、学校づくりに共に取り組む責務がある、と。
 それから、学校選択制につきましては、学校を消費者の観点から選ぶのではなく、その学校を選択した後、保護者が、地域と一緒になって主体的に学校の教育活動に参加し、学校づくりに共に取り組む責務がある。また、行政は、域内のどの学校においても充実した教育活動が行われるよう、学校に対して支援する責務がある、ということで、それぞれの役割や果たすべき責務といったものについて、意識しながら少し整理をしてみたものでございますけれども、切り口として、またこれだけでは当然ございませんし、もっと大所高所からの書き方というのもあるかと思います。その点について、いろいろとご意見を頂戴できればと思っております。
 以上でございます。

【小川主査】
 この点はいろいろご意見があるかと思いますけれども、どうぞ自由に出してください。どうぞ。

【佐藤教育制度改革室長】
 申しわけございません。ちょっとこれだけだとご意見をいただくのは難しいので、これが最終的にどういう位置づけになるのかというところが、多分、ご検討いただくのに必要なのでございますが、おそらくこういうご意見、前回、皆様方からこういったご意見を頂戴して、最終的に今回、ご検討いただいている内容を、近々ということではございませんが、最終的に取りまとめを行う段階になったときに、やはり共通の、さっき主査のほうからブリッジするということがございました。共通する問題意識というものを最初の課題の意識のところに最終的には記述していく必要があるのかなと。共通テーマ、問題意識の共有化というものをまず図った上で、それぞれの課題、適正配置、コミュニティ・スクール、学校選択制という各論のほうに、それぞれの整理ができればということで、最終的には、導入、イントロダクションに共有できる問題意識というものを整理できればと。当然こういった書き方をするかどうかというのは、全体の構成というのがまだ全然見えていませんので、これからということになりますけれども、当面これまで頂戴したいろいろなご意見を踏まえると、こんな整理を試みに、要約、ポイントと記述という形にしてございます。もしかして、本当にこういう文章として、少し書き下さなければいけないことに多分なるんだろうと思いますけれども、若干、現段階での整理として、このような形で出させていただいているところでございます。
 失礼しました。

【小川主査】
 ありがとうございました。どうでしょう。では、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 ありがとうございます。私の意見も少し入れていただいて大変感謝しておりますが、もうちょっと入れていただけるといいなというのがあります。
 実は、今日の資料の中で最初の問題については、現在、適正配置を検討する背景とか意義というのが丁寧に書かれていたのでよくわかったんですが、2番目のコミュニティ・スクールと学校選択制については、その背景が必ずしも明らかではないと思うんですね。ただ、このような取組が必要だと思われるようになったことには、背景がやっぱりあって、特に私自身の認識では、コミュニティ・スクールというのはやっぱり地域のつながりが弱くなったために、学校と地域のつながりをもう1回再構成しなきゃいけないとともに、子どもたちと地域のつながりが弱くなったので、学校が地域と子どもたちをつなぐ役割をしなきゃいけない、そういう背景があるのではないかと思っています。
 それから、学校選択制に関しては、これは私は少子化と関連していると思うんですけれども、親は、いわゆる量から質へみたいな話なんですけれども、子どもの数ではなくて、子どもの数は少なくして一人一人の子どもの質を上げるということに大変関心を持つようになってきているという背景があって、やっぱり学校も選びたいという、そういう積極的な環境の変化が出てきているのではないかと思うんですね。その意味では、少子化の中で、教育の質に対する関心が高まってきていることが、こういう制度を導入しなきゃいけないという意識につながっていく背景としてあるのかなと、ちょっと思っているんですね。
 それぞれの背景みたいなのについて、それぞれのところで言及していただいてもいいような気もするんですけれども、もう一つの方法は、共通する問題認識に関する主な意見等の整理という中で、社会の構造が変わってきているということをまず最初の「●」で書いていただいて、それに対応した学校の変化が求められているというのがこの3つの取組の背景にあることではないかと思うんで、それを書かないと、何か学校が最近悪くなってきましたねという話になってしまうと思うんです。学校は、私の認識では悪くなっていなくて、むしろ努力して良くなっているんだと思うんですけれども、社会の変化に追いついていないという印象がありまして、社会の変化があるからそれに対応した学校に変わらなきゃいけない、そこまで行けていないというのが、今、いろいろな問題を引き起こしている背景にあると思うので、学校が悪くなっているわけではなくて、社会が変わってきて、それに対応した変化として新たな取組をやっていかなければならない状況にあるということを踏まえた上で、よりよいものにしていくという観点。そして、その中でやっぱり学校だけに任せるのではなくて、保護者とか地域というところが参画していくような形で新しい学校をつくっていく、新しい社会をつくっていくという視点を出していただけると、今ここで議論していることの意義が明確になるのかなと思いました。

【小川主査】
 そうですね、わかりました。これはあれですか、確かに適正配置の柱では、適正配置が課題になる背景みたいなものが書かれていて、コミュニティ・スクールと学校選択については、確かその辺のところが書かれていませんね。だから、そういう各論のところでも少し背景を押さえた上で、総論のところでもそれを集約する形で書いてほしいという趣旨ですね。わかりました。
 ほかはどうでしょうか。これはいろいろ意見があるかと思いますけれども、では國定委員どうぞ。

【國定委員】
 別にけんかを売っているわけではないんですけれども、気になるところがずっと1本になっていて、特に資料2から資料4までは、これはこれでいいと思ってもいるんです。というのは、何を言いたいかというと、どうも学校という視点からばかりの、当たり前なんですけれども、教育現場としての学校という視点からの物の見方でずっと走っているんですね。それはそれであると思うんですけれども、せっかく資料5に来て双方向という言葉が入ってきたんですが、先ほど私が言った学校運営協議会制度に私自身が若干の違和感を感じているのは、学校運営協議会制度という視点からしかとらえていないんです。片方向の物の見方に全部終始しているんでんです、全部の書き方が。
 ところが、こういう学校運営協議会制度にせよ、適正配置を考えるときにせよ、この資料5の学校選択制に共通する問題意識の中では、現実に「保護者が、地域と一緒になって主体的に学校の教育活動に参加し」という、地域の一員であることをもう少し意識しなさいよというところも入っているとなると、余計に資料2から資料4までは足りていなかった双方向性の部分について、資料5のところはもうちょっと書き込んでもいいのかなと思うんですね。
 つまり、地域と学校というものの結びつきというのは結構あるんだよと。他方で資料2に来ると、11ページのところで少しそれを否定するような書き方になっているので、ちょっとその辺りをどうしようかなと思っているんですが、というのは、資料2の11ページの最下段のところで、「適正配置の検討を行うに当たり、小・中学校は地域の文化施設、精神的支柱という側面も持つことを踏まえることは大変重要なことであるが」、ここから先は、要は教育論第一主義で行きますよというふうに書いてあって、これはこれでしようがないと思うんですけれども、総論の部分は、ハードにせよソフトにせよ、もっと地域としての核としても学校というのは存在しているんだということが出ていかないと、例えばこれから先、実際に市町村が事実上の統廃合の論議とかを進めていくときに、ここでは廃校になった施設のコミュニティとしての扱いは書いてあるんですが、統廃合される新設校についてだってそういう地域の核としての機能というのは当然のことながら求められるし、それは非常に住民に対して力強い説得材料として私は押し出していくことができると思うんです。
 ところが、それを資料2の中では書き込むことはきっとできないと思いますので、せっかく資料5みたいな双方向性の議論のところがあるのであれば、学校というのは何も教育現場としての施設だけじゃない、地域としての核でもあるんだ、そういうようなことも適正配置であり、学校運営協議会制度であり、学校選択制すべてを考えるに当たっての一番留意しなければいけない大前提にあるんですと。そうしたことも加味しながら、でき得れば国からの支援についても考えてもらいたいみたいなことが入るとなおさらオーケーなんですけれども、そういうような一文がもうちょっと前面に出るといいかなと思いました。

【小川主査】
 今の指摘は確かにそうで、今までの議論ではそういうふうな、地域づくりにとっての学校の意味とか教育の意味ということについては、議論としてはあったんですが、自覚的にそれを文章の中で書き込むというのは、確かに弱かったのかもしれません。重要な指摘だったと思いますので、わかりました。
 ほかにはどうでしょうか。池田委員、そして髙岡委員というふうにさせてください。どうぞ。

【池田委員】
 結局、この議論をしてくる前提には、地方分権というか、教育の分権化という一つの流れの中で進められてきている諸施策をおやりになっていると思うんですね。例えば適正配置にしても、地方の権限としてどうするのかという部分だとか、地域が変わってきたことに続いて地域自体がどのように動いていくのかというようなことが基本的になっているんだと思いますし、それから、学校運営協議会制度についても、国の政策だけではなくて、学校の自立性の問題もあったり、それから地域の教育力の問題があったり、さまざまな面で弾力化していく教育制度の在り方というものがかなり前提になっていて、この制度が取り入れられてきていると思っているんです。それから学校選択制についても、住民の意見という部分もあると思いますね。
 ですから、そういう面で考えてくると、公教育とは言うんだけれども、国の権限の分散というか、権限をどのような形で緩めながらよりよく地域の学校というものを活性化していくのかというところに全体があるんだろうととらえられるんです。ですから、そういう意味でまとめるとすれば、やはり弾力性の問題だとか、教育課程も含めてですけれども、すべてその流れがそういう方向に来ているということを踏まえて社会の状況が動いているんだということをやはり書く必要があるのかなと思っているんですけれども。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、髙岡委員どうぞ。

【髙岡委員】
 ありがとうございます。今日は、資料を説明いただいて皆さんのご意見を伺いながら、何となく私の頭が回っていないのかなという感じがずっとしています。
 何でかというと、主な意見の整理という形で、こうやって丸でずっと流していって書いてあることを、もっともだ、こういうことだったろうと理解するところと、記憶という意味では、こういう意見はなかったんじゃないかとか、そんなことを明確に思うわけじゃないんですが、何となく、書いてあることについて違うんじゃないかというところが一々引っかかったりするようなところがある。どこかに引っかかっているんだけれども、全体として四角の枠の中に入っているようなことは確かにそうなんだよなという印象があるんです。
 最後の資料5になったときにそれが少し明確になってきたんですが、私が実はずっとこの作業部会に加えていただいて気にかかっていたことというか、こだわっていたことが、この最後の共通する認識というところで、ある意味で背景に引っ込んでいるので余計に意識できた。あるいは、ありていに言えば、書き込まれていない部分があるなということでそういうふうに感じたんですが、それは、さっき國定委員がおっしゃったような意味でもそうですし、少し論点が違うのかもしれないけれども、私はこの資料5が、やっぱり学校を真ん中に置いてあって、そういうふうに読むんです。真ん中に置いてあって、それで、学校にああしろ、こうしろと言うばっかりの保護者や地域ではいけないんだという、それが教育論という書き方がしてある。つまり、学校選択制であれ、学校運営協議会制度であれ、権利の主張ということだけじゃなくて、責任もちゃんと担ってくださいというふうに書いてあるんだけれども、やっぱり真ん中に学校がある。
 そうすると、こだわっていることは、何か学校運営協議会や学校選択制、さらに適正配置も含めて、やはり学校から何かアクションを起こす、あるいは学校が責任をとる。そして地域の方も住民の方も保護者の方も、一緒に責任を担っていただきたいという啓蒙をやっぱり学校がするという書き方になっているような気がしてしようがないんです。そこに違和感があるんです。
 つまり、教育行政や学校関係者というものが学校運営協議会制度でいろいろなものを申されながら、それから、嫌だとなれば学校に来ない、「おたくは選択しないよ」というふうに拒否する権利も相手に与えながら、なお学校が中心になって、「皆さん一緒にやっていきましょう」と言う構図ですね。それは何か、規制改革とか分権とかいう論理そのものを本当に肯定していいのか悪いのかということと同じような気がしてしようがないんです。つまり、学校がやっぱりそれをやらなきゃいけないのか、教育委員会がそれをやるという中心はそこにあるのか、あるいは、もっと極端に言うと、国のお役所が方針は出していくから、それに従って教育行政や学校は世間様に対して説明してください、啓蒙してくださいということになっているのかどうか、それがよくわからないところなんですね。
 ですから、何を言っているのかだんだん自分でもわからなくなってきましたが、この資料5が出されたことによって、私はやっぱり、学校運営協議会、学校選択制も含めて、いろいろな矢面に、あるいはいろいろな意味で裸にされている学校とか先生というものが真ん中にどうしてもいる。そこにまた、この答申が出ると、説明責任が負わされていくんじゃないかという気がして仕方がないんです。単なる感想に最後はなってしまったんですけれども、まだちょっとこだわっている中身を、じゃあ、そこの文書におまえが落としてみろと言われるとちょっと困るところなんですが、そういう思いがあります。

【小川主査】
 4月10日が締め切りですので、もう少し、言おうとしている意味は私も何か共感するところがあるし、先ほど國定委員がおっしゃっていたところと通底するところがあるなと感じ取っていますので、少し事務局のほうと相談しながら今のお2人の意見については文書に起こす努力はしますけれども、10日までが締め切りですので、こういうふうなことだということで、具体の文章等々をお寄せいただければ、さらに私たちとしても助かりますけれども、よろしくお願いします。
 それでは、荒瀬委員どうぞ。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。今のお話ともかかわるかもしれないんですけれども、大規模校の適正化にしろ、小規模校の適正化にしろ、あるいはまた学校選択制にしろ、コミュニティ・スクールにしろ、何をするにしても、これはちょっと違う意味で学校を真ん中に据えないといけないと思うのは、子どもたちにとって何が一番いいのかということからの議論なんです。我々はそれをやっているし、いろいろなところでそうしてやっているんですが、議論をしていく中で子どもたちにとって何が一番いいのかということから、ちょっとずつ、ちょっとずつずれていくようなことというのが私はあるような気がして仕方がありません。
 京都の話は、先ほど奥野委員もおっしゃったけれども、私の学校の学区にある小学校というのは代表的なコミュニティ・スクールの一つです。その隣にある学校もまた代表的なコミュニティ・スクールの一つで、その2つの学校から行く中学校もまた小・中一貫教育とかをやっていて、非常に華々しい取組をなさっているんですけれども、その学校の先生たちというのがどんなことを毎日やっているかといったら、学校に子どもたちがいる間は、子どもたちのことに対してものすごく一生懸命やっているわけです。だって、教室だって壁がなかったりして、廊下から自由に出入りできるような、だれでも見られるし、教育研究もとても進んでいるし、私はすごいなといつも伺うたびに感心をするんです。
 その学校で地域の方が集まってこられて、名前がそれぞれ学校によって違うんですけれども、コミュニティの名前があるんですね。その会合が開かれる。地域のいろいろな方が来られます。こんな言い方は変かもしれませんが、普通の方も来られるし、それからまたどこそこの家元とか、そういった方も来られるし、そういう方々が様々な形で学校の取組に対して大きな、大きな支援をなさっているんですね。
 それを受けているのはだれかといったら、基本的に全部教員なんです。その会議は何時に終わるかといったら、9時ごろに終わるんですね。別に、一般的な感覚で言えば、9時ぐらいまで残業したってどうってことないじゃないかということなんですけれども、実はこの人たちが交代制なく、次の日の朝にはまた8時ごろに学校に行って子どもたちを受け入れて、きのうはちょっと遅くまで会議があったから今日は少しトーンダウンして授業をしますとか教育活動をしますとはならないで、またフル回転で授業をしていくわけです。また、子どもたちがいる間というのは、実は我々高校の教員もそうですけれども、生徒がいる間というのは本当の仕事というのはなかなかできなくて、帰った後から仕事が始まりまして、でもまた次の日は仕事がある。土曜、日曜は部活動をやっていても、でも月曜日にはまた仕事があるという状態で動いていくんです。
 だから、こういう議論をしていくときに、私は絶対に忘れてはいけないし、だれも忘れてはいないんですけれども、いろいろなところで法律の壁とか、あるいは学校に対する評価というのがあって、その評価を変えないことにはどうにもならないから、やっぱりもっと学校では頑張ってもらってとかいうふうな話についついなっていって、結果的に子どもたちのために本当になることになっているのかということをつい思ってしまうんです。
 私は、この流れというのはやっぱり行くところまで行かないといけないと思うんですね。コミュニティ・スクールも始まったんですから、よりよいコミュニティ・スクールにしていかないといけないし、あるいはまた、学校選択制ももう始まっているんですから、それを導入するのであればよりよい選択制、導入しないのであればしないなりのよさというのも追求していかないといけないし、統廃合もそうだと思います。
 しかしその際に、本当に子どもたちにとって何が大事なのかというときにこの資料5なんですけれども、ここには3つのキーワードがあって、これは前回、私はほとんど会議には参加できなかったんですけれども、葉養先生がおっしゃっていた信頼という言葉が本当に印象に残っています。
 その信頼を受けるためにやるべき役割と責務があるということが書かれていて、役割はもうわかるのです。責務というときに、ここの責務というのは、「担うべき役割があり、果たすべき責務がある」なんですが、この「果たすべき責務」というときに、私たちは何か、乗り越えることというのをもっと大胆にできないものかなと思うんです。
 例えば教員の数とか、あるいは教材教具の経費であるとか、あるいはまた、先ほど岩﨑委員がおっしゃっていましたけれども、1,000人規模の学校があって増築でないと対応できないというのは、それは地域の状況はいろいろあるかもしれないけれども、その子どもたちは10年後、20年後、30年後のこの国をつくっていく人たちになっていくわけなんですから、この国をつくっていく人たちなので、地域も当然支えるけれども、国をつくっていく人たちなんだというふうに考えれば、国が本当に真剣に考えてお金をここに注ぐということをせめてしないと、教員は役割をわかっています、教員は何をしなければいけないかというのは、多くの人はわかっています。わかっていない人もいるかもしれないけれども、多分多くの人はわかっている。
 ところが、じゃあ国がとか、自治体がとなったときに、様々な壁があってなかなかできない、その壁を乗り越える努力をすることが、実は、適正配置とか学校運営協議会制度、学校選択制とかいったようなことも含めてやっていく中で、本当に子どもたちにとって最も大事なことは何なのかということの答えを子どもたちに示していくことではないかと思うんです。
 でも、私が今申し上げているのは、大変耳には聞こえはよいんですけれども、実際にやっていくのは大変でありまして、ちょっと長くなって申しわけないんですが、秋田の高校生とうちの高校が交流をしまして、その前に打ち合せのあったこともありまして、秋田に伺ったときに、秋田駅の駅ビルの中で、駅の構内放送が流れていました。その駅の構内放送は何かといったら、お年寄りには席を譲りましょうとか、背中に背負っているかばんは邪魔になるから気をつけましょうとか、そういったことがずっと流れているんですが、何か、うるさいぐらい流れているんです。「もう、うるさいな」とか、失礼ながら本当にそう思ったんですが、最後に、「ただいまの放送は、秋田県立何々高等学校生徒会からのお知らせでした」と言うんですよ。びっくりいたしまして、駅の構内というか、駅ビルなんですけれども、京都駅でそんなことが起こり得るかと考えたら、これはあり得ないと思って、秋田の高校生が来たときに、「いや、君たち、すごいですね。秋田県というのは高校生がああいう駅のビルを使って、あんなことが放送できるようなチャンスをもらっていて、君たちは本当にいいところに住んでいますね」と言ったら、そこの生徒の1人が、「そんなによかったですか」と言うんです。「いや、よかったですよ」と言いましたら、「じゃあどうしてやらないんですか」と言うんです。
 我々は、ここでいつもとまっていないかなと思うんです。そんなにいいのであるならば、じゃあどうしてやらないのかというときに、やれない理由ばっかりいっぱい持っているんです。法律があるとか、なかなかわかってもらえないとか言うんですけれども、何かここで越えないと、この少子化の中で、10年後、20年後、30年後のこの国を担っていく、この国は、本当に人しか多分もういないのではないんでしょうか。いろいろな技術なんかでも人ですよ。
 長くなって、本当に申しわけありません。あるヨーロッパの国で、日本人がとても大切にされている。どうしてかというと、トヨタ、ソニー、キヤノン、そういう物づくりをしていっている、とてもいいものをつくっている国の人間だという評価を受けていて、とてもよい。じゃあそういうことをやっているのはだれなんやといったら、やっぱり人なんですね。だから、人をつくるときに、そこへもっとお金を出すということを一方では強く言わないと難しいのではないかと、長くなりましてすみません、失礼しました。

【小川主査】
 どう書き込むかですね。もう少し大胆に書いてほしいというような趣旨だと僕は受けとめているんですけれども、頑張りたいと思います。
 ほかはどうですか。時間もまいりましたので、ご意見のある方はどなたですか。では、髙岡さんと、最後は葉養先生にお願いします。よろしくお願いします。

【髙岡委員】
 手短に。ただ、今、荒瀬先生のお話に触発されたところがあるものですから。さっきの感想のさらに続き、まとめなんですけれども、今、気付いたんです。先生も信頼する学校というのが書いていないなと。これは今までここで議論は出なかったですね。つまり、学校の教員も行きたくなるような学校をつくるということが本当に子どもが生きる力をはぐくむことができる子どものための学校なんだろうということが、当たり前のことというか、そんなことを書き込むような話じゃなくて、教員というのはそういうものを職業にしていてお金をもらっているんだということなのかもしれないけれども、現実にはやっぱりそうではなくて、猛烈な多忙感とか、ストレスということが言われる。そして、これらのことを一生懸命やればやるほど実はその仕事が増える、ストレスがたまるというところを、ちょっとやっぱり触れる。
 ですから、奇妙な言い方なんだけれども、先生にも信頼される学校づくり、そのために地域や保護者が一生懸命やるんだという書き方にすると、そういう書き方があるのかどうかわかりませんが、そういうことがあると、何かこう、双方向ということの意味が生きてくるような気がするんです。10日までに考えてみますが、多分知恵はないと思いますけれども、すみません。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 それでは、最後ですみませんけれども、葉養先生お願いします。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 私も手短に。私自身がある中学校でコミュニティ・スクールの会長を3年間やっていて、やっぱり学校と地域の関係についてはいろいろな考えがあるんです。それで、結論的に考えていくと、つかず離れずという、飲み屋みたいですけれども、結局それがかなり重要なポイントではないかと思うようになった。
 それで、荒瀬先生がおっしゃったことはよくわかるんですね。この2つ目の「○」の箇所に「共にそれを支える」という言葉があって、これはすばらしい言葉なんだけれども、いざ共に支えるという言葉を持ち出していくと、それぞれ勝手に具体的なメニューを考え始めるという面もないとは言えないんです。
 だから、学校のほうにしてみれば、「地域の人とか保護者は私たちの手助けをしてくれるんでしょう、共に支えるでしょう」というふうに思うし、先生のほうにしてみると、「共に支えるというのは要するに、私たちの専門的な領分の中に土足で入り込むということを意味しているんだな」ととられる場合もある。だから、ここら辺の言葉遣いというのは非常に微妙で、双方向の関係というのも、現場的に考えるとこの中身が非常に微妙ということで、結局何か、地域の学びの拠点としての学校づくりとか、何かそこら辺で、先生方も行きたいと思う学校であるし、子どもたちも行きたいと思う学校であるし、保護者も支援したい、ぜひ先生と一緒に子どもたちの幸せ、学びのためにキャンパスまで入り込もうという学校であるような、そういう学校づくりみたいなものを目指して、それが結果的に双方向の関係になったりとか、そういう筋道のほうが現場的にはわかりやすいんですね。その点だけちょっと、すみません。

【小川主査】
 ありがとうございました。時間ももう残り少ないんですけれども、ほかにどうしてもという方はございますか。全体を通じてでも構いませんけれども、何か一言この場でという方がいらっしゃれば。
 なければ、これで終わらせていただきます。今日は各論、特に適正配置とコミュニティ・スクールのところについて、そして最後の共通する問題認識のところについては非常に多くの宿題をいただきました。これを果たして4月の上旬までどういう形で文書として落とすかというのはちょっと大変だと思いますけれども、少しやらせていただきたいと思います。
 また、今日のご意見を伺った上で文書を必要なところは訂正し、またそれは委員のほうにフィードバックして、最終的に、先ほど言いましたように、4月の上旬に初等中等教育分科会に作業部会のこれまでの審議についてご報告しなければなりませんので、それに間に合う形で、1度でフィードバックするのか、やっぱり2度、3度フィードバックになるか、それはわかりませんけれども、事務局が最大限の努力をして今日のご意見をまとめていただけるかと思いますので、その辺はご了解ください。
 それと、先ほど言いましたように、一応4月10日までに修正の作業等々を進めていきたいと思いますので、今日ご意見をいただいた点は当然事務局のほうとしても受けますけれども、さらにお気付きの点が何かありましたら、文書等々で事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。それはお願いです。よろしくお願いいたします。
 では、今日用意した議事は全部終わりになります。ありがとうございました。
 今後の日程等について、事務局のほうからお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございました。それでは、今後の日程につきましては、また改めて主査とご相談の上で、追ってご連絡を申し上げたいと思います。そして、先ほど主査のほうからお話がございましたけれども、大変お忙しい年度末から年度始めにかかりまして、4月10日くらいをめどにそれぞれ先生方からご意見等頂戴できれば、できるだけその内容を我々として反映できるように最大限努力したいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

【小川主査】
 終わります。ありがとうございました。

─ 了 ─

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