3.コース(分野)別選択科目部分における科目設定に当たっての留意点

 各科目の具体の設定は基本的に各大学院の設定に任されているが、その設定に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  1. コース(分野)別選択科目部分におけるコース(分野)又は選択科目群の設定については、補論でも述べているように、(ア)学校現場における今日的課題を設定し、その解決の研究に必要な、学問分野の枠を超えた科目群(例えば「学力定着のための教材開発」における、教科教育法、認知心理学、学習集団論、など)をコース・専攻分野とする場合、(イ)「教科カリキュラム研究科目群」「教育組織マネジメント研究科目群」「教育臨床研究科目群」など、各学生の関心領域に応じた科目群を、コース・専攻分野とする場合、(ウ)一般教授学、心理学、教科教育法学など、個別学問体系を基礎とする科目群を、コースや専攻分野として構成する場合、など、その設定方法は各教職大学院の特色や得意領域、指導目標等により様々な方法があり得る。
     いずれの方法を採る場合であっても、コース(分野)別選択科目部分における科目の内容は、共通科目(基本科目)との内容上の関連性・体系性が明確になっている必要がある。
  2. 複数のコース又は選択科目群を置く場合であっても、相互の関連を常に意識した科目群の設定になっていることが望ましい。
  3. コース(分野)又は選択科目群の内容としては、例えば、教科教育系領域、生徒指導系領域、学級経営系領域などが考えられる。
     この場合、教科教育系領域では、「授業のエキスパート」「授業のプロ」を養成するため、その分野に関する豊富な知識・技術の蓄積、児童生徒等を感動させ学習への期待をふくらませられる教材開発力と授業の展開力の育成等が図られるような科目群の設定とすることが望ましい。この意味で、いわゆる「教科専門」についても、現在の学校現場が直面する課題に対応し得る実践力・応用力の育成の観点から、その専門性が教職としての高度な専門性の育成に資することが期待される。
     生徒指導系領域では、基本的には様々な事例に基づく授業となろうが、その場合であっても、単にさまざまの学説の紹介とそれに基づく診断名のラベルを貼るだけの授業に終わらないよう留意すべきである。また、児童生徒等一人ひとりの内面的な諸問題に関して、教員が幅広く深い土台に立って解釈できるような厚みのある人間理解力が育成できるようなカリキュラム上の工夫が期待される。
     学級経営系領域では、学部段階で修得した学級経営に関する基礎的知識・技能をもとに、具体的な事例に基づき、課題の診断と解決策の検討等、現在の学校教育が直面する学級経営に関する課題の解決に求められる、より専門的なマネジメント能力の獲得を目指すものとなる必要がある。また、例えば、「授業を通した自主と協働の学級づくり」といった教科教育との関連づけ、また「一人ひとりの自発的な成長を促す援助活動としての生徒指導に支えられた学級経営」といった生徒指導との関連づけなどがカリキュラムの設定において十分に工夫されていることが望ましい。
  4. コース(分野)又は選択科目群の内容としては、このほか、例えば「特別支援教育」や「幼児教育」など様々に考えられるが、どのような内容により設定するかは各教職大学院において、特色・得意領域、指導目標等様々な要素から検討されることとなる。各教職大学院においては、教員を受け入れる側(デマンド・サイド)等社会のニーズを見定めつつ、多様で特色ある内容を工夫することが期待される。
  5. 特にコースを設定する場合にあっては、各コースにおける専任教員の配置に留意するなどにより、適切な指導体制が確保される必要がある。

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