3.共通科目の設定に当たっての留意点

1.連携協力校における実地の検証

 共通科目(基本科目)は、各学生がその履修を通じて、現実の問題や課題に関して解決策・対応策を考案し、これを実習において実地に検証するものとすることも望ましい在り方の1つである。特に、シミュレーション等の授業形態をとる場合には、連携協力校における実践を念頭に置きつつ、その改善に具体的に資するものになるよう配慮することが重要である。

2.共通科目(基本科目)の名称及び養成する資質能力の記述方法

 共通科目(基本科目)の設定趣旨から鑑みれば、その科目名称は、従来型の大学院の授業科目にあるような「○○(まるまる)学概論」「○○(まるまる)実践論」あるいは「学校教育の諸課題」といったものとは異なり、基本的・一般的には「○○(まるまる)の事例研究」「○○(まるまる)の実践と課題」等となるものと考えられる。
 また、共通科目で養成すべき資質能力は、後に示す具体例のように、具体的に明示されることが重要である。

3.共通科目(基本科目)全体を通しての高度の探索能力の構築

 共通科目(基本科目)は、その内容が広範囲に及ぶからといって単に浅く広いだけの履修で終わらないよう留意する必要がある。共通科目(基本科目)の履修目的は、単なる教育上の物知りをつくることではない。学生は、大学が提供する学校教育全般に関する高いレベルの理論的・実践的知識や技術の蓄積の中から、いつでも必要な情報・知識・技術等を検索し引き出し、それらを課題解決に役立てることができるようにしなければならない。このため、共通科目を履修することによって、いわばこうした課題解決の手だてを探索するための基層的力量を各学生が構築することにつながることが期待される。様々な分野を自在に読み解き、必要な情報や知識を引き出し利用するに当たっての鍵となる知識・概念のシソーラス(索引)の構築と言い換えてもよい。
 教職大学院における共通科目(基本科目)については、5つの領域全体の履修を通して、学校における多くの困難な課題を克服しつつ、教育活動を創造的に展開できる高い見識と厚みのある実践的な力量の育成につながるカリキュラムとなることが期待される。

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