6.実習で扱われる項目の具体例

 実習の内容については、学生の履修課題、実習校の種類・規模・地域等の実態などにより様々であり、かつ、あらかじめ決定した個別のテーマ毎に実施するものでなく総合的・実践的なものであることが必要であるが、共通に扱われるべく考慮しておく必要のあるものは、以下のとおり。
 特に学部新卒学生については、学部段階において修得した教員としての基礎的・基本的な資質能力とともに、教職大学院において履修した理論・技術を、実務的な経験を通じて実践に融合する機会であることから、実習の計画においては、下記の各領域をある程度網羅することが望ましい。

  1. 教育課程の編成及び教科等指導領域
     この領域は、教育課程の編成の在り方とともに、教員の資質の要である授業力を養う部分である。なお、ここでは特殊学級及び通常の学級における軽度発達障害等の児童生徒等に関する指導の観点も採り入れることが望ましい。
  2. 学級経営・学校経営領域
     この領域は、児童生徒等の理解やコミュニケーション力の推進を図る観点から含まれる部分である。
  3. 生徒指導・進路指導領域
     この領域は、児童生徒等の理解に基づく生徒指導、進路指導等の資質の推進を図る観点から含まれる部分である。
  4. その他
     このほか、複合的な内容として、特殊学級における教育など特別支援教育に関する内容等を含める必要がある。またその他、今日的な教育課題等に関する内容(キャリア教育、環境教育等)についても適宜含めることが望ましい。

 (なお、実習により取り扱われる各領域における事項の例を別添として例示した。各教職大学院においては、これらの事項を参考に、学生の履修課題、実習校の種類・規模・地域等の実態などにより実習計画を策定することが期待される。)

 実習は、学部新卒学生については、履修した理論・技術を実務的な経験を通じて実践に融合する機会であるとともに、現職教員学生についても、科目の履修を通じて修得された理論・知識と、これにより整理された視点等をもとに計画された課題解決方法・能力を実践の場で検証すること等が目的であることから、実習は「学校教育に関する実習」である必要がある。このため、実習の場は学校であることが基本である。
 他方、近年の学校教育が社会に開かれ、関係機関など外部との関係の中で展開されることから考えれば、学校教育との関連性の中で関係機関等において実習を行うこともあり得よう。
 なお、社会的視野を広げることを目的として教育以外の機関等における実習等も教員の資質向上の観点から有効である。具体的には、現在、社会体験研修として行われているような、社会福祉施設、社会教育施設、民間企業等における体験・実習などが考えられる。この場合、教職大学院における実習の目的に鑑みれば、当該内容については大学が独自に設定する実習科目として設定されることとなる。

(別添1)実習で扱われる項目の具体例

(1)教育課程の編成・実施及び各教科等指導領域

教育課程の編成・実施

  • 学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成
  • 地域や学校の実態に応じた教育課程の編成
  • 授業時数など教育課程の管理
  • 教育課程の評価と改善

各教科等の指導

  • 授業設計の在り方(進め方等)
  • 学習指導案の作成
  • 年間指導計画の作成
  • 教材研究の方法と実際
  • 教科指導の基礎技術
  • 授業実践と指導技術
  • 体験的・問題解決的な学習
  • 評価問題の作成と評価の在り方
  • 授業と児童生徒等の理解
  • 様々な形式の授業実践(少人数、習熟度別、ティームティーチング等)
  • 授業参観、授業研究
  • 道徳教育(全体計画、年間指導計画、「道徳の時間」の指導等)
  • 「総合的な学習の時間」(全体指導計画と年間指導計画、学習指導上の工夫、地域資源の活用等)
  • 特別活動(全体計画、年間指導計画、学級活動の指導と評価、クラブ活動、学校行事の指導と評価、児童会・生徒会活動の意義)

(2)学級経営・学校経営領域

学級経営関係

  • 学級経営案の作成
  • 学級組織づくり(学級・生徒会、委員会編成、班づくり等)
  • 基本的学習習慣・生活習慣づくり
  • 学級環境整備(学級設営の工夫、清掃指導)
  • 学級活動の指導計画と指導(朝の会、帰りの会、ホームルーム、給食指導等)
  • 学校行事(儀式的行事、運動会、学習発表会、修学旅行、社会奉仕体験活動等)等を通じた学級経営
  • 家庭との連携(学級PTA・保護者会、学級通信、家庭教育学級)

学校経営関係(学年経営を含む。)

  • 学年経営目標と学級経営
  • 学校経営の計画
  • 学校の組織運営(校務分掌)の在り方
  • 学校評価
  • 学校の安全管理

(3)生徒指導・進路指導的領域

生徒指導関係

  • 生徒指導の意義
  • 児童生徒理解の内容と方法
  • 児童生徒理解に基づく誉め方・叱り方
  • 組織的な生徒指導体制の在り方
  • 教育相談の方法
  • カウンセリングマインドの意義と実際
  • 問題行動に関する事例研究

進路指導関係

  • 進路情報の収集と活用
  • 学校の進路指導体制の在り方

(4)その他(複合的な内容、今日的な課題等)

  • 特別支援教育の実際(校内体制の在り方、指導の実際等)
  • 学校安全・安全指導の在り方
  • その他今日的な教育課題等(キャリア教育、環境教育、情報教育、人権教育等)

(別添2)実習のイメージ例

(※)資料3-2により本日検討

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