5.実習と研修・教職経験の関係

 教職大学院における教育は、学部段階において養成される教員としての基礎的・基本的な資質能力を基盤として、その上に、力量ある教員に必要な実践力・応用力を育成するものである。
 このため、特に学部新卒学生の場合、教職大学院での実習は、初任者研修に相当し得る内容と質を有したものであるべきである。この際、例えば、現在教員養成系大学・学部等を中心に教員採用試験合格者を対象として実施されている「応用実践実習」(授業補助、休み時間や放課後の遊び相手、学級経営補助、教室内・廊下の掲示、採点補助、授業参観見学、学年・学級懇談会見学、給食指導補助、授業記録作成補助等)の内容も参考になる。
 現職教員学生の実習について留意すべきことは、それが単なる研修とは異なることである。現職教員学生にとっての実習は、指導教員のもとで、現職経験から得た特定の課題や問題意識について、基本科目(共通科目)やコース(分野)別選択科目等の履修内容のもと、またその内容との関連のもとに、解決策や実施計画を立てそれを実地に検証していくという性格を有する、計画された実習であることが強調されるものであることが必要である。(例えば、教科教育に関する内容であれば、得意分野としての当該教科の学習指導に関して、基本科目(共通科目)やコース(分野)別選択科目の履修を通じて検討した、児童生徒の関心や学習の能力を飛躍的に高め得るように工夫・開発された教材・指導方法を、実地に試行するための実習とするなどの必要がある。)
 その意味からも、例えば現職教員学生の場合、一定の教職経験を持ってこの実習の一定単位を取得したものとみなすことが可能であるが、教職大学院における実習は単なる研修とは異なることから、単に教職経験を持って安易に置き換えられるべきものではない。その単位認定に当たっては、現職経験を通じた修得内容と、教職大学院における実習プログラムの内容との関係性等を踏まえつつ判断する必要があるとともに、レポートを課すこと等により現職教員学生が自発的・積極的に自己の教職経験の内容について課題意識を持ち整理や組み替えを図るようにするなどの工夫が重要である。

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