項目 |
意見の概要 |
現状と課題 |
・ |
学校教育は、家庭教育がきちんと行われていることが前提での制度である。家庭教育の力がだんだん落ちてきていることに留意して、これにどのように対処していくかが重要な課題。 |
・ |
幼稚園教育の4時間を標準とする考えには、家庭でしっかりと養育を行う体制があることを前提に成り立っている。しかしながら、0〜2歳児を含めてこうした前提が崩れており、待機児童対策を行うほど新たな託児ニーズを掘り起こす現実を踏まえて、我が国の子育て政策の在り方を戦略的に考えていくことが必要。 |
・ |
家庭の子育て力が落ちたとの指摘はあるが、家庭にはまだ力があり、家庭の子育てを励ましていくことが重要。家庭の力が落ちたからといって、それに対応して託児サービスを拡充したら、我が国の子どもはすべて保育所で預かることになる。子どもの権利のために、家庭の力を回復するにはどうすべきかを考えていくことが重要。 |
・ |
次世代育成支援や就労支援を進めるほど、家庭や地域の子育て力が低下する懸念があり、こうした点については一定の歯止めが必要。 |
・ |
親の教育力と福祉をゼロサムの関係にしないようにする配慮が必要。 |
・ |
家庭の力が落ちた背景には、親一人ひとりの力の低下よりも、少子化による兄弟数や近所付合いの減少など、親を支える関係性の希薄化がある。このため、家庭の力を取り戻すためには、地域の力を取り戻すことが必要。 |
・ |
幼稚園、保育所ともに地域偏在の問題があるが、すべての子どもに一定の保育を保障することを考えた場合、 保育に欠ける0〜2歳児についての育ちの場の保障、 保育に欠けない0〜2歳児についての相互交流の場や子育て支援、 保育に欠けない3〜5歳児についての幼児教育・保育の場の保障という3つのタイプの問題がある。 |
・ |
例えば小1プロブレムへの対応など、幼稚園・保育所と小学校の連携の推進の必要性が一層認識されるようになっている。 |
|
意義・理念 |
・ |
総合施設の議論に当たっては、親のニーズやサービスの充実の議論に偏ってしまわずに、子どもの幸せ、子どもの育ちの視点に立った議論が行われることが大前提。 |
・ |
大人社会の都合で子どもが犠牲になることなく、子どもの育ち、学びという観点から、企業も含めた社会のあり方を考え、この会議から情報発信していくべき。 |
・ |
総合施設は、教育機能を中心として、その周辺に0〜2歳児の保育や、3〜5歳児の標準4時間を超える保育など、地域の実情やニーズに応じた柔軟なものにすべき。 |
・ |
総合施設の重要な機能として、子育て支援がある。子育て支援は言いかえれば、次世代育成支援であり、生涯学習である。 |
・ |
総合施設は、家庭の育児の肩代わりをするのではなく、家庭自身が力を取り戻し、地域が再度活性化するような機能を有するべき。 |
・ |
総合施設を検討することは、新しい総合プログラムを検討すること。必ずしも、新たに箱ものを作るということではない。 |
・ |
「総合施設」という名前は施設・箱ものというイメージで捉えられやすいので、システムやプログラムであることが明らかになるようにすべき。 |
|
性格・基本的機能 |
・ |
総合施設の機能については、固定的に全部揃えなくてはならないというものではなく、最低限必要な中核部分のほかは、地域の実情、保護者のニーズを踏まえて弾力的なものとすべき。 |
・ |
就学前のすべての子どもとすべての親の育ちを保障していく場が必要。その上で、育児と就労の両立を支援するためのサービスや虐待を受けた児童や障害がある児童などに対するサービスの付加を考えるべき。いずれにしても基本的な機能・サービスと付加的な機能・サービスを分けて考えていくことが必要。 |
・ |
今の幼稚園・保育所においては、子育て支援は付加的になりがち。保育教育することと親の育児力向上をもっと密接に結びつけて支援していくべき。ただし、全国一律に行うのではなく、地域の実情を踏まえることが必要。 |
・ |
総合施設を検討する上では、家庭養育の補完を行うという発想から家庭の育児力を向上させるという発想に転換することが重要。たとえば、そこに行けば遊びの道具があり、指導者がいて、親の育てる喜びを支えあうお互いのネットワークをバックアップしてくれるものなどとすることが重要。 |
・ |
家庭と地域の状況により、幼児教育のあり方は変わるものであり、総合施設については、既に家庭や地域の力を高める多様なアイデアがある中で、地域のニーズに応じてこうしたアイデアを組み合わせることが可能な柔軟なものとすべき。 |
・ |
総合施設は、地域のつながりを「取り込む」ものではなく、子ども・子育てを核にした地域のネットワークを「広げる」ものとすることが重要。 |
・ |
親が元気になることが、子の育ちの上からも大切であり、親の相談に応じる、親同士の交流の場を提供するといった機能は、総合施設においても是非備えてほしい。 |
・ |
総合施設は、父親の子育てを支援する機能を発揮するものとすべき。 |
|
対象者と利用形態
教育・保育内容 |
・ |
子どもを0〜2歳と3〜5歳に線引きするべきではない。処遇の連続性を大切にしつつ、今まで保育所も幼稚園も対象としてこなかった0〜2歳の保育に欠けない児童に対しても支援を行っていくべき。 |
・ |
利用時間については、子どもの生活リズムや小学校1年生の教育時間が4時間程度であることにも配慮し、4時間を標準とするコアタイムを設け、全ての幼児に共通の教育時間とすべき。8時間を標準とすれば、4時間程度の預かりで済む親まで8時間を選択し、親子の分離を徒に助長することとならないか。 |
・ |
低年齢児の場合は、親子で楽しめればよく、総合施設は親子の交流を支援するようなものとし、半日だけの利用や週2日だけの利用など柔軟な設計が望ましい。その意味で、総合施設の開所時間と利用時間とは区別することが必要。 |
|
設置基準
(職員配置・施設設備) |
・ |
保育者一人あたりの子どもの人数については、保育所においては十分な検討がなされているが、幼稚園は定員が少し大き過ぎる。 |
・ |
十分な研修や適切な職員配置で教育内容と成果に影響が出る。総合施設を検討するに当たっては、研修・職員配置について十分に配慮し、安易なローテーション勤務等を導入しないことが重要。 |
・ |
運動場や調理室を備えるなど、幼稚園、保育所それぞれの良いところを踏まえて検討していく必要があり、どちらか低い方の基準に合わせるのは、子どもの育ちを考えれば適切ではない。 |
|
職員資格等 |
・ |
幼稚園教諭免許は専修、一種、二種と分かれているが、保育士資格は幼稚園教諭免許二種に相当するもののみである。総合施設においては、保育の質を確保する観点から、このような違いを長期的にどう解決していくかが課題。 |
・ |
総合施設の従事者については、幼稚園教諭と保育士どちらかの資格を有する者でよいとした方が、いろんな知識・経験を持った人が確保できるのでよい。 |
・ |
研修については、講習会と園内研修がありどちらも重要である。また、より高い専門性を確保するため、大学院で勉強するなどといった長期的な研修が不十分であるので、充実が必要。 |
・ |
保育所の研修に関しては、監査において、厳しく指導されている。また、初任者から所長まで大きな研修が行われており、保育所の職員はよく勉強している。 |
・ |
研修の基本は、毎日の園内研修にあるが、保育所は園内研修をする時間をとるのがなかなか難しいと聞く。一方、幼稚園は、各園によって研修の質に差があると聞く。こうした現状の問題点を踏まえていく必要がある。 |
|
財政措置等
保育料・利用料 |
・ |
総合施設の検討に当たっては、国の子育てに対する財政的な責任を明確にする一方、地方が取り組みやすい柔軟な制度設計とするべき。 |
・ |
保育料については、地域内の均衡を別途考慮する必要があるとしても、基本的には設置者が定めるのが適当。 |
|
その他 |
・ |
教育・保育内容等を担保するものとして、自己評価等とともに、第三者評価を適正に実施していくべき。 |
・ |
第三者評価について、保育所では取組が始まっているが、まだ十分ではない。一方、幼稚園では取組が広がっていない。 |
|