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「総合施設のあり方」についての基本的考え方

平成16年3月15日
社会福祉法人 全国社会福祉協議会
全国保育協議会

 子育てをめぐる環境が大きく変化し、子育てが困難な時代を迎えている。親だけで子育てをしていくことが難しくなり、社会全体でこれからの子育てを支えていくことが必要とされている。
 三位一体改革(保育所運営費の一般財源化)の流れより、将来にわたる財源の安定的な確保が難しい状況にあり、社会全体でこれからの子育てを支えていく新たな財源確保の手法についても、念頭に置いておく必要がある。
 全保協では、社会全体でこれからの子育てを支えていく「次世代育成支援」の理念に理解を示すとともに、この施策の方向性について早期に具現化させていくことが必要だと考えている。
 現行の保育所制度を維持していくことを前提として、総合施設について検討していくべき。
 総合施設は、既存の保育所・幼稚園とは別の「第三の選択肢」として、社会全体でこれからの子育てを支えていく「次世代育成支援」の仕組みの中に明確に位置付けるとともに、保育所や幼稚園などと共に地域の子育てを支えていく基本的機能・役割を持たせることが必要だと考える。


1. 総合施設の位置付けについて

(1) 社会全体で子育てを支えていく「次世代育成支援システム」の中に位置付けられた施設(制度)としていくこと。

(2) 既存の保育園・幼稚園とは別の「第三の選択肢」として、保育所と幼稚園の中間的な性格を持つ「中間施設(制度)」として位置付けていくこと。

2. 総合施設の基本的機能・役割について

(3) 次の3つの機能を備えることを基本とし、地域のニーズに応じ、さまざまな機能やサービスをオプションで追加できるものとすること。
1 就学前の子どもを対象に、必要な養護と教育を与えることができる機能
2 子育て家庭の親を対象に、子育てに関わる必要な相卦助言・支援を与えることができる桟能
3 小学校低学年の放課後児童を対象に、必要な養護を与えることができる機能

(4) 総合施設においては、就学前のすべての子どもと親がいつでも気軽に利用できることをその役割としていくこと。
1 いつでも子どもを預けることができること。
2 いつでも気軽に子育てに関わる必要な相談・助言・支援を受けられること。

3. 総合施設の施設・人員・運営の基準について

(5) 総合施設の基準については、子どもの健全な心身の発達の観点から、質の高い養護と教育内容の確保を基本(現行の職員配置に準ずること)とし、その他運営の基準については8時間の保育時間を基本とし、地域のニーズや設置者の裁量によって弾力的に対応できるものとすること。

(6) 総合施設の設置認可にあたっては、設置主体の違いを問わず、厳正に審査し、認可していくこと。

4. 利用のあり方について

(7) いつでも必要な時に子どもを預けたり、気軽に相談・助言・支援を受けたりすることができるよう、総合施設に利用の申込みができるようにすること。

(8) 利用料については、市町村ごとに一律の利用料基準を設定し、所得や就労などに応じて利用者に補助する仕組みとすること。

5. 財源のあり方について

(9) 総合施設の財源については、利用者からの利用料に加え、社会全体で子育てを支えていく次世代育成支援の理念に壷づき、市町村だけでその財源を負担するのではなく、国や都道府県・企業等も含め、国民全体が等しく負担する仕組みとしていくこと。

6. 既存施設との関係・基盤整備のあり方について

(10) 総合施設は、既存の保育所制度・幼稚園制度とは別の制度(第三の選択肢)として位置付けていくこと。

(11〉 地域の子育てニーズのすべてを総合施設だけで満たしていくのは現実的に無理。保育所・幼稚園・地域子育て支援センター・放課後児童クラブなど既存の子育て資源を活用し、総合施設も含めて地域の中のトータルでニーズを満たしていくのが、最も効率的かつ効果的であり、既存の子育て資源を有効に活用していくこと。

(12) 総合施設の機能については、既存の保育所でも必要な機能に取り組むことができるよう、今後検討していくこと。


総合施設のイメージ(PDF:130KB)



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