学習の流れと時間 |
児童の主な学習内容と学習活動及び評価のポイント |
教師の働きかけ |
全体 |
A児の支援 |
B児の支援 |
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○ |
音を聴きそれが何であるかをあてる活動を通して、音に関心を持つ。 |
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○ |
楽器の音、自然材の音、人工材の音などを聴き、その違いや特徴に気づく。 |
○ |
身の回りには、たくさんの音があることに気づく。 |
◇ |
音に興味関心を持つことができたか。 |
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音をもとに、そこから得た自分なりのイメージを絵にあらわすことを知る |
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指名して楽器の音を出すことで学習に対する気持ちを高める。(教) |
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指名して楽器の音を出すことで学習に対する気持ちを高める。(教) |
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クイズ形式でする。子ども達からは音源が見えないようにする。 |
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音源を提示、確認し、楽器や身の回りにはいろいろな音があることに気づかせる。 |
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イメージや線や色、形を使って自由に工夫して表すことを知らせる。 |
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展開 |
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課題提示 |
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活動の流れの確認 |
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イメージ化 |
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(35) |
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○ |
イメージ化を図り、見えない音をどんなふうに絵に表すことができるか、活動への期待感を持つ。 |
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パート1> |
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楽器の音をもとに、自分なりのイメージを絵に表す。(個人)
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パート2> |
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人工材の音をもとに、自分なりのイメージを絵に表す。 |
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(グループ) |
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グループ発表> |
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できた作品をグループで提示する。 |
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(グループ) |
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模倣しても活動できることを話す。(教師) |
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活動の流れを見失わないように声がけをする。(教) |
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絵の具の使い方を支援する。(教・友) |
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回りの協力が得られるようにする。(教) |
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うまくできたところを話せるように励ます。(友) |
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模倣しても活動できることを話す。(教師) |
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声がけをして自力で活動できるように励ます。(教) |
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絵の具の色は単色にならないようにする。(教・友) |
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支援が必要な場合は友達に声をかける。 |
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うまくできたところを話せるように励ます。(友) |
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初め、活動にやや戸惑った児童には、友達の作品を見ることをとおしてイメージや表し方の楽しさを掴むことを話す。 |
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絵の具の筆の使い方によっても表し方に違いがあることを話す。 |
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自分のイメージを大切にすることができたことを確認する。 |
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まとめ |
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本時の学習のこと |
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次時の学習の確認 |
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挨拶 |
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(5分) |
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◇ |
感じ取ったイメージを形や線、色で自分なりに表すことができたか。 |
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◇ |
イメージを感じとり、思い通りに絵に表すことができたか。 |
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1 |
取り組みについて |
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本学級には、1年生のMさん、2年生のK君、3年生のT君の3人が在籍している。3人とも、給食、掃除、技能教科等多くの時間を交流学級で過ごし、それぞれの学級の友だちと休み時間等一緒に過ごすことができている。ただ、時々、交流学級の友だちが本学級の児童に対して「お世話をしてあげている。」という態度で接している場面を見かけることがあった。そこで、本学級(なかよし学級)の児童が自身を持って取り組める蒸しパン作りを通して、互いに認め合う交流学習を2年に渡り計画した。初年度は、2年生の生活科「お祭りをしよう」に『むしぱんや』として参加し、次年度は1年生の生活科「お手伝い名人になろう」のなかで蒸しパンを1年生と一緒に作った。以下はその実践の様子である。 |
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2 |
初年度「むしぱんや」の学習の流れ |
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第1次 さつまいもの収穫をする |
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・・・2時間 |
第2次 さつまいもを使って蒸しパンを作る |
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・・・8時間 |
第3次 蒸しパン屋の準備をする |
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・・・3時間 |
第4次 お祭りで蒸しパン屋をする |
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・・・2時間 |
第5次 お祭りの感想を作文に書く |
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・・・1時間 |
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3 |
学習の様子 |
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【さつまいもの収穫】 |
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生活科の時間、1・2年生をグループに分けて収穫を行った。T君もK君もそれぞれのグループで楽しそうに収穫していた。狭い畑ではあったが、段ボール箱2箱分あった。2年生で大きさの分別約1キログラムずつの袋詰めを行った。1・2年生全員と全職員が1袋ずつ持ち帰った残りをなかよし学級で使うことにした。 |
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【さつまいもを使った蒸しパン作り】 |
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2人とも初めての調理実習だったため、喜んで取り組んだ。始めは一つ一つ担任が指示し、包丁も一緒に持っていたが、回を重ねることにより、手順を覚え自分達でできるようになってきた。4回目には量を2倍に増やしたが時間内にでき、後片付けについても自分達で気づいてするようになった。5回目は1・2年生分80個を3人で作った。お祭りの時間の関係上、さつまいもは前日に洗って切るところまで準備しておいたが約1時間で蒸し器にいれるところまでできた。準備や手順についても無駄がなく、学習の成果が発揮できたように思う。 |
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【蒸しパン屋の準備】 |
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2年生の生活科のお祭りに、蒸しパン屋として参加することを決めた後、どんな準備が必要か話し合った。T君は2年生の友だちがすることを見ていて、看板を作ることを提案した。また、1・2年生全員にもれなく蒸しパンを渡すために引換券も作ることにした。 |
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【蒸しパン屋】 |
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なかよし学級の教室で、2年生の2件のお店と一緒に『むしぱんや』を開いた。お客は1年生と職員、それに2年生の保護者が何人かいらっしゃった。T君もK君も「いらっしゃい、いらっしゃい。」と元気にかけ声をかけ、お客さんが来ると我先にと蒸しパンを渡そうとする。「引換券を下さい」「ありがとうございました。」等の声かけを忘れないように注意をして、担任はそれとなく見ているだけにした。お祭りの最後に、2年生にも蒸しパンを渡し、まだ温かさの残っている蒸しパンを1・2年生全員で味わって食べた。80個というたくさんの数をなかよし学級だけで作ったことを知った児童は、「T君すごい。」「おいしい。」と素直に喜び感動していた。 |
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【お祭りの感想】 |
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お祭り(蒸しパン屋)をした直後、感想を作文に書く活動を行った。自分達がしたことと、嬉しかったことをそれぞれ発表し、書き留めた。
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T君
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「きょう、むしぱんをつくったから、たのしかったです。かっちゃんといっしょにしました。スプーンあらいがきつかったけどまたしたいです。みさきちゃんが『おいしかった。』といったからうれしかったです。」 |
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K君 |
「きょう、むしぱんつくりをしました。1ねんせいがかいにきました。『いらっしゃい、いらっしゃい。』といいました。あいかちゃんもきました。ひきかえけんをもらってむしぱんをあげました。」 |
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4 |
平成12年度「お手伝い名人になろう」の学習の流れ |
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第1次 蒸しパン作りの計画と手順書の作成 |
・・・2時間 |
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第2次 蒸しパン作り |
・・・6時間 |
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第3次 1年生との合同授業 |
・・・2時間 |
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5 |
1年生と一緒の蒸しパンづくり |
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【生活科「お手伝い名人になろう」の授業の中で】 |
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なかよし学級が収穫したさつまいもで蒸しパンを作っている同じ時期に、1年生は生活科で「家の人のしごと」について学習を行う。児童がそれぞれ家の人の様子を観察し、家の中で行われている仕事に関心を持ち、自分達でもやってみようという単元である。1年担任は、「お手伝い名人になろう」という題材で、実際に学校で洗濯や茶碗洗いなどを友だちの前でしてみせる計画を立てた。そこで、本学級のMさんは、お手伝いの発表をお料理「蒸しパンづくり」とすることに決定し、他の児童とは別に時間を設定し、1年生の友だちと一緒に蒸しパンを作ることにした。また、その時、K君やT君も一緒に参加し、1年生に作り方を教えてあげることにした。 |
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【蒸しパンづくり】 |
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前年度同様、なかよし学級で繰り返し蒸しパン作りに取り組んだ。T君K君は慣れたもので、作り方の手順を見て、自分達でどんどん作業を進めることができた。包丁の扱いについても、また板付きの包丁を用意したことで、担任の補助が必要なくなり、さいの目切りも上手にできた。Mさんについては、包丁はまだ難しかったが、回を重ねていくにつれ生地をカップに入れたり、洗い物をしたりする手際が良くなってきた。また今年度は全校児童に蒸しパンをプレゼントしようということになり、40個近い数を6回作った。 |
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【1年生との合同授業】 |
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研究授業として、1年生の生活科となかよし学級の生活単元の合同授業を行った。T君とK君は、みんなが調理用具を洗ったり生地を作ったりしている間に、蒸しパンに入れるさつまいもを刻んだ。Mさんはみんなと一緒に洗い物等進んでしていた。カップに生地を入れる時は、なかよし学級の3人は、それぞれ別のグループに入り、1年生に教えたり、やって見せたりしながら一緒に活動した。
蒸しパンを蒸す間、1年担任が主になって、調理の感想や友だちの様子について気づいたことを発表させた。1年生は、はじめは同じクラスの友だちのことを発表していたが、しばらくして、「T君やS君がお芋を切るのが上手だった。」とか「Mちゃんが鍋を上手に洗っていた。」という感想も聞かれた。本学級の子ども達も、友だちや下級生に自分の得意なことを教えてあげることができ、うれしそうだった。 |
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6 |
単元を終えて |
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初年度は、収穫したさつまいもを使って低学年にもできる調理ということで蒸しパンを設定し、子ども達はとても喜んで取り組んだ。本番のお祭りに向けて繰り返し蒸しパン作りの練習を行い、その都度目的を持たせた。1回目は自分達のため、2回目は交流学級の先生のため、3回目は家族のため、4回目は小学校の先生方のためにと、あげる相手を変えることによって意欲も継続し、いろいろな人から感謝の声を聞き、人に喜んでもらう嬉しさも感じることができたようだった。
次年度は前年度の経験をふまえ、児童の得意なことを他の学級の友だちに教えてあげるという形をとった。今まで、なかよし学級の児童は、どうしてもお世話してもらう存在であることが多く、友だちの前で手本をして見せたり、リードしたりすることはほとんどなかった。しかし、この単元で、1年生に教えてあげるという経験をしたことで自信を持つことができたようだった。1年生についても、「なかよし学級の友だちはすごいなぁ。」と素直に感じてくれたように思う。今回の授業を行うに当たって、道具の準備や調理の計画をなかよし学級担任が行ったことで、本学級の児童は慣れた手順で調理をすることができた。また、2人の担任が授業の支援に入ったことで、1年生にとっても安全な調理活動が行えた。特殊学級の児童に対する手立ては、通常学級の児童に対しても有効に働くということが分かった。
また、今回の授業を計画、実行できたのは、1年担任の協力のおかげである。特殊学級からの一方的な働きかけだけでは、障害児に対する理解や啓発はなかなか難しいと思う。
交流学級と特殊学級担任とが、話し合い協力し合う機会を設けていくことを、これからも是非続けていきたいと思う。 |