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資料5



特別支援教育特別委員会における特殊学級制度等に関する主な意見

1  特殊学級制度、通級に関する指導の制度について

1.  校長会、PTA

全国連合小学校長会
 通級による指導は、非常に効果を上げており、固定式の特殊学級も、やはり必要に応じてつくられてきていて、効果を上げてきている。このため、これらを一本化することは大変難しい。

全国特殊学級設置学校長協会
障害のある児童生徒の教育について通級や交流などの活動をより活発にする施策がぜひとも必要。
一人学級の存在やミニ養護学校化した学級の現実、さらには知的障害特殊学級の在り方について十分な検討が必要。また、年度によって、開級したり廃級したりするような不安定な制度とすることは避けるべき。
一人学級のなかには、担任教諭を校内の他の業務に使うような傾向もあるため、配置された教諭を必要に応じて隣接校に巡回させる制度について検討すべき。
養護学校が通学範囲にない場合、児童生徒が寄宿舎生活を余儀なくされることが特殊学級の設置の拡大につながってきている。地域の実情に応じ、小・中学校に養護学校の分校や分教室を設置しやすくすることも検討すべき。

2.  障害者関係団体

NPO法人難病の子どもネットワーク
病気で入院している子どもの多くは、院内学級や養護学校の分教室で教育を受けている。特に、院内学級は多くの病院に置かれており、子どもが非常に通いやすい環境になっている。どんな重い病気の子どもであっても、教育は子どもの成長発達に欠かすことができないものであり、治療効果も経験的に非常に高いと言われている。このため、院内学級をなお一層整備充実することが重要。なお、厚労省の検討会において、病院側に対しても院内学級等に必要な面積の専有空間の確保が言われている。
フレキシブルな教員配置や前籍校と病弱養護学校や院内学級とのシームレスな関係の構築が必要。特に前籍校からの学籍の変更の手続等が課題。

全国難聴児をもつ親の会
難聴児の通級については、個別の指導ということではなく、集団で通級指導を受けることができるようにしてほしい。過疎地の通級や固定制の難聴学級において、低学年の発音とか、聴能の訓練とかという、自立活動的なことでは1対1の指導もいいとは思うが、学習となると、集団で勉強するという時間がないと、自分がどう思っているかとか、人の意見を聞いてどうするかというようなことが全く育たない。
集団の力をうまく発揮して、子どもたちの能力を開発していく指導者が重要。

全国言語障害児をもつ親の会
これまで、特殊教育諸学校・特殊学級、または通級指導教室が培ってきた教育のレベルを低下させることなく、むしろ。更に充実・向上させることが大前提。
現行制度では、小・中学校教諭等の免許所有者は、特殊学級・通級指導教室を担当できるので、基礎的な知識もない教員が担当を命じられ、2〜3年で通常の学級に戻ってしまう例が多く、専門家が育たない。特殊学級・通級指導教室を担当する教員の専門性確保について配慮すべき。
言語障害については、徹底した個別指導も必要であるし、集団指導もやはり必要。

3.  都道府県等教育委員会の意見

ヒヤリングにおける意見
現在、通級指導教室は各市町村のセンター的な役割を果たす形で設置し、その高い専門性を生かしながら、特殊学級の教員との連携のもとに教育相談やアセスメント等を通じて小・中学校での教育内容を支援している。今後、この形を発展させたい。
各通級指導教室では、現在、それぞれの専門性を基に指導が行われているところ、特別支援教室への校内通級に一本化された場合、現在よりもサービスの低下につながることが懸念される。
小中学校から盲学校、及び養護学校へ通級する場合についても、聾学校同様に教員の加配の制度化を検討してほしい。

2  最終報告における「特別支援教室(仮称)」の制度について

1.  校長会、PTA

全国連合小学校長会
様々な障害種に適切に対応し、専門的な指導を行えるような教員の配置が可能となる制度設計が必要である。その際、現在特殊学級に在籍している児童も含めて教育水準が低下しないような配慮が必要である。
特殊学級の実態は、各都道府県、各地域によって様々であり、また対象となる児童生徒の障害種も様々である。今後、LD、ADHD、高機能自閉症を加えて特別支援教室を設置するとすれば、このような様々なニーズに柔軟に対応できる体制をとれるようにすること、また各都道府県・各地域の実情に応じた工夫が可能となる制度とすることが極めて重要。
特別支援教室で専門的で特別な指導を受ける時間数について、週の大部分の時間を必要とする児童から、数時間以内の指導で十分である児童まで様々であり、そのことに対応できる体制にすることが必要。
特別支援教室になった場合、それぞれの障害種の児童生徒が多くなる中で、きちんとした対応ができるかどうか、また、一人の教員がいろいろな障害種の子どもを見ることが果たして可能なのかどうかという心配が大きい。

全日本中学校校長会
現在でも、学校現場では、1学級に2〜3名の「学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒」がいると言われ、教員が十分指導できない状況にあるため、障害のある児童生徒に応じて1教室に複数の教員を配置したり、特殊学級や通級による指導の制度を一本化した特別支援教室の整備が必要。
ただし、学校現場において様々な課題に取り組んでいる現状を踏まえた具体的な制度改革が推進されていかなければ、その実現や定着は困難。
重い障害のある生徒については、従来のような固定の教室が必要。

全国特殊学級設置学校長協会
現在の7障害種にLDやADHDなどの障害を含めて、それぞれの障害種・ニーズに応じてどのような制度を小・中学校に導入していくのか、「柔軟かつ弾力的な対応が可能な制度」の具体化が必要。
特別支援教室の制度と、特殊学級の制度との最大の違いは、学級としての編制をしているかどうかということ。現在、固定式の特殊学級では、担任教員が子どもを常に把握して指導をすることが可能な制度になっているが、特別支援教室になった場合に、児童生徒の生活全体についての把握ができるかどうか不明である。
小学校の場合は学級担任制であるから、ある程度柔軟な構えができるが、相応の人材は必要。一方、中学校は、教科担任制の中での特殊学級の体制をどのように維持するのか、また、特別支援教室に転換するのかについて十分に検討してほしい。
最終報告について、保護者・担任が最も危惧しているのは、特別支援教室の制度に切り換えることにより教育的サービスの質の低下を招くのではないかということ。

全国特殊学校長会
特殊学級や通級による指導の制度を、通常の学級に在籍した上で必要な時間「特別支援教室」において特別の指導を受けることを可能とする制度とすることは重要。
「特別支援教室」を小・中学校に設けることを法令に明記することが必要。

2.  障害者関係団体

(社)肢体不自由児・者父母の会連合会
特別支援教室における多様な障害に対する指導内容や方法を明確に示すべき。

全国難聴児をもつ親の会
聴覚障害のある子どもにとって、集団で教育を受けることが不可欠。そのために、固定制の難聴学校の制度はぜひ残してほしい。

全国言語障害児をもつ親の会
特殊学級・通級指導教室については、各障害種別ごとに指導法等の開発・データの蓄積がされており、今後ともこれらを必要とする児童生徒が存在することは否定できない。枠組みの固い、画一的な特別支援教室とするのではなく、一人一人の教育的ニーズに応じた対応が可能な柔軟性を持った教室とすべき。
例えば、特殊学級に類似した特別支援教室、通級指導教室に類似した特別支援教室、巡回指導を中心とする教室等々、多様な教室が必要ではないか。
それぞれの地域、学校、先生でも考え方も違うと思うが、公教育として最低限度は確保し、あまり地域や学校間のレベルの格差が広がらないようにしてほしい。
いろいろな障害のある子どもがいる中で、全部の障害について指導ができる先生はいないと思うので、例えば、より高度な専門性を伴う指導が必要な場合には、教育委員会等から教員を派遣するとか、子どもが相談に行くといった、柔軟な制度が必要。

(社福)全日本手をつなぐ育成会
固定的な「特殊学級」を廃止し、通常学級に在籍した上で、必要な時間のみの「特別支援教室」が提案されている。学校全体で受け止めるという考え方は評価できるが、児童定数の削減や補助教師の配置等、通常学級での支援体制が明確でない。また、「支援教室」のあり方があまりにも多様であり、職員配置等が不明なため、期待と不安が交錯している。
固定的なものがあった方が、職員の配置や財政面で安心感がある一方、これからはハードよりもソフトが大事な時代になってくるので、この点について説明責任をきっちり果たしてもらえれば、固執する必要はないと思う。
それぞれの個人のニーズに対する特別支援教室があればいいのではないか。

(社)日本自閉症協会
自閉症の特性を正しく理解し、一人一人の子どもの小さな変化も含めて状況を把握し、支援するためには、特別支援教室に担当者が配置されることが不可欠。

全国LD(学習障害)親の会
LD、ADHD、高機能自閉症等の児童・生徒のニーズには連続性があり、通常の通級(週当たり3〜8時間)か、特殊学級(100%固定)という断続的な制度では対応が困難。個別の指導計画の策定等を通じ個々のニーズを判断し、1〜28時間まで個に合わせた柔軟な「抜き出し」指導が制度として可能な特別支援教室への転換が必要。

3.  都道府県等教育委員会の意見

各都道府県・指定都市教育委員会の制度化に関する意見・要望
特別支援教室を設置すべき障害種及び設置義務の主体を明記。
特別支援教室の対象に、LD、ADHD、高機能自閉症等を加える。
特別な教育的支援を必要とする児童生徒が在籍している場合、特別支援教室を置かなければならないとする。
特別支援教室と併行して特殊学級の設置も可能とする。
特殊学級は時間をかけ段階的に解消。
通級による指導の制度を継続するとともに、その対象にLD、ADHD、高機能自閉症等を加える。
特別支援教室は様々な形態が考えられることを明文化。
院内学級については、これまで通りの人的配置が必要。
特殊学級に準じた地域拠点的な設置形態を認めてほしい。
巡回式の特別支援教室を認めてほしい。
特別支援教室の対象について障害種別の示し方は適切でない。
障害別の特別支援教室の設置や特別支援教育担当教員の配置が必要。
特別支援教室における指導時間数の根拠について一定程度の目安を明示。

ヒヤリングにおける意見

教育の場の選択肢を多くすることが望ましい一方、特殊学級によっては、現在の在籍児童生徒の対応で精一杯で、LD児等の対応の余裕がないところもあるため、固定の特殊学級を存続させ、そのほかにリソースルーム的なものを設けるとか、又は特殊学級に準じる特別支援教室と主にLD児等を対象にする特別支援教室の2本立てで設置できるようにするなど、柔軟な対応ができるように検討してほしい。
特別支援教室については、現行の特殊学級や通級指導の機能も残しながら、通常学級に在籍するLD、ADHD等の児童生徒の教育も推進できるよう、弾力的な対応が必要。
特別支援教室制度への一本化について、必要性については十分に理解するが、現行の制度から円滑に移行していくための方策が必要。
専門性に裏付けられた言語、聴覚、情緒障害の通級指導教室については存続させたい。年度当初の通級開級式以後も、学校や保護者からの入級の要請があり、また、一度入級すると3年ぐらいは引き続き入れてほしいという保護者の要望もある。切実に考えている保護者の方にとってはやはり大切な制度なのではないかと思っている。
通級を基本とすることで、常時特別な場にいることが必要な児童生徒や、既に通級している児童生徒の教育条件の低下につながるのではないかとの心配の声がある。
特殊学級を「教室」とすることにより、障害種別の区分の仕方や学級数のカウントの仕方が変更されると、学級数の減少や専科教員の減員等にもつながるのではないかとの心配の声がある。
現在の特殊学級は、軽中度の障害のある児童生徒にとって、個別や小集団で指導を受ける場が保障されているという意味において、大きな役割を担っている。特別支援教室に移行した場合、特殊学級に在籍していた児童生徒に、現在と同様のサービスを継続していくことが物理的に可能か、心配している保護者は多い。
制度の一本化により、今後、小中学校に入学できるのは、いわゆる軽度の障害の児童生徒に限られ、市町村教委による盲・聾・養護学校への就学指導が強化されるのではないかという不安を持っている保護者も見受けられる。

4.  委員の意見

特別支援教室には、いろいろな形態のものがあって良い。しかもそれは、国ではなくて市町村が考える、あるいは都道府県がその方向を出して考えていけば良い。
小・中学校において、新しい制度の中で現在の知的障害の特殊学級の役割や機能をどうのように変えていくのか。さらに、一つの学校で考えるというのではなくて、区市町村単位で考えていく必要があるのではないか。
LD等の子どもたちや特殊学級に在籍する児童生徒を含め、子どもたちは誰も皆一緒であるという考えを教員が持つことが大事。そうした観点から、通常学級と特殊学級との関係を考えていくべき。
特別支援教室になると、今まで、場の教育に親しみ過ぎてしまっているので、その子に何が必要かというところからあまり発想できていない。
現在、特殊学級の児童生徒の保護者には、学級がなくなるのではないかという不安がある。これまでの歴史、歩み、蓄積を大事にしつつ、新たな展開をどうつくり出していくかというスタンスに立つ必要がある。
学校現場では、限られた条件、資源の中で、何をしていくのかという方針が見えず、教員は何をしていいのか、非常に不安を感じている。
特別支援教育を進めつつ、子どもたちの学力を上げていかないといけないという課題に対応するための職員の研修が重要。
直面している課題が多く、学校現場が忙しいというのは、よくわかるが、忙しい中で、何が重要で、どういう順番で物事をこなすかを考えることが重要。
忙しい学校現場で、どうプライオリティーをつけていくかについては、校長がマネジメントとして決めていくべき。
特別支援教育について、通常学級の先生方に十分理解してもらわなければならない。障害のある子どもが増えたといって困っているのではなく、何をすべきかを考え、学校を変えていかなければいけないし、そのための意識変革が必要。
まず条件整備ありきではなく、現実に障害のある子どもが学校にいて、どうするかという、問題解決型の発想が必要。
学校現場は決して特別支援教育に後ろ向きではないと思う。ただ、特別支援教育の新たな展開を前にして、非常に困難な課題が現実としてある中で、どのように道を切り開いていくか、という悩みが大きいと思われる。
学校現場の不安の要因は、コーディネーターの役割・機能や小・中学校における特別支援教室というものがどんなものであるのか見えてこないところにある。
特別支援教育体制については、モデルでも良いので、なるべく早く見せていく必要がある。見せていく中で、問題は何か、いい方向に持っていくにはどうしたらいいかということを考える積み重ねが必要なのだろう。
タイムスケジュールを明確にすることが大きな課題であると思う。ただ、その前に、どのような制度設計をするのかを固めていかなければならない。

3  「特別支援教室(仮称)」と通常学級との関係について

1.  校長会、PTA

全国連合小学校長会
通常学級に障害のある児童が在籍するようになる際には、障害のある児童は学校全体で受け持つと言いながらも、実際の日々の指導は担任が行うことになるので、体制作りが非常に難しい。
新しい制度を導入した際には、障害のある子ども及び障害のない子どもの双方の行為に伴う安全面での懸念や、障害のない子どもの保護者に対する理解(特に学習面について)が課題となると思われる。

全日本中学校校長会
障害のある生徒と障害のない生徒との関わりによって、人間として広く考えられるということは非常にすばらしい。
学校現場では、特別支援教室制度の導入によって、軽度発達障害の児童生徒に限らず、肢体不自由、知的障害、情緒障害等の生徒が通常学級に入ってくるのではないか、という不安がある。
重度の障害のある子どもについては、介助が必要となる。
特別支援教育制度が導入された際、学力の向上との関係について懸念がある。現場としては、生徒ごとの学力に差があると、すべての生徒の学力をあげていくことが、非常に難しい。

全国特殊学級設置学校長協会
障害のある子どもが通常学級に学ぶに当たって学校側でかなり説明やフォローをしていかないと、通常学級からはね返されてしまうのが現状。
障害のある子どもが通常学級に在籍するようになった際に、学力調査の実施との関係を考える必要がある。

全国特殊学校長会
特別支援教室の制度改正について、一般の先生方及び保護者の理解は非常に重要。必要に応じて、センター的な機能を担う盲・聾・養護学校が協力しながら、小・中学校での理解促進を進めていく必要がある。

2.  障害者関係団体

(社)日本盲人会連合
統合教育は障害児にとっても、一般健常児にとっても重要と考えており、今回の「特別支援教育」の構想はその点で評価すべきと考える。
視覚障害者と健常者が一緒に学習することは、周りの理解や、障害を克服させる手だてなど、条件さえ整えば優れた結果を招くと考えている。ただ、重複障害児については、それぞれの障害に関する教育技術を持った教員による指導が必要で、重複した障害を抱えたまま普通学級に入っていくことは、ちょっと無理があるのかもしれない。

(社)肢体不自由児・者父母の会連合会
全ての小・中学校に特別支援教室が配置され、障害のある児童生徒が通常の学級に在籍することになると、通常学校の担当も多様な障害の児童生徒への対応を求められる。

全国言語障害児をもつ親の会
行政担当者、学校長、教頭等も最終報告の内容を十分理解しておらず、通常の学級担任の中には「通常の学級に障害児が入り込むなどはもっての外」という反応も出ている。情報を公開し、国民の意識を喚起しながら改革を進めるべき。

(社福)全日本手をつなぐ育成会
インクルーシヴ教育の観点から考えると、今回の改革はその方向性は暗示させるが、不十分。
障害児教育においては啓発が非常に大事。地域に対する啓発とともに、普通学校の場合は、一般教員や一般の保護者の理解が必要。これが進まなかったら、通常学級の中に障害児が入っても、孤立してしまうと思う。

3.  都道府県等教育委員会の意見

ヒヤリングにおける意見

都市部では、自分の子どもには障害に応じた適切な教育を受けさせたいとして子どもを特殊学級に入れる保護者が多いが、郡部では特殊学級に入るということ自体に抵抗がある保護者が多い傾向にある。

4.  委員の意見

障害のある人に対する指導・訓練も大事だが、周りの方が障害のある人に慣れることも大事で、当事者と周りの環境の双方が互いに慣れていかなければならない。そのための特殊学級設置校の役割に期待したい。
特別支援教育の制度改正により、障害のある児童生徒が新たにどこかから公立学校に連れてこられるような印象で受けとめられているとしたら違うと思う。
障害のある子どもが通常学級で学ぶ際に、一番心配なのは排除の思想。一般の先生方及び保護者に対する理解の浸透の仕方を考える必要がある。
保護者の意見を統一することは大切であるが、一方で、保護者を教育していくことも、大きな課題であると感じられる。
教員、保護者、地域に対する啓発、それもタイムスケジュールを伴った具体的な啓発活動が必要。

4  特殊学級制度等の見直しに伴う課題について

1.  校長会、PTA

全国連合小学校長会
特別支援教育への専門性を確保するために、特別支援教室の担当教員や特別支援教育コーディネーターの免許状の創設を視野に入れた免許制度の改正の検討が必要である。
新たな制度に対応した研修を小・中学校で行おうとしても、今の勤務時間の中では職員の研修の時間をなかなか確保できない。長期休業中に集中的に、学校全体として障害のある子どもへの接し方についての研修を行う必要。
小学校の施設・設備のバリアフリー化と特別支援教室の施設・設備の整備を早急に促進することが必要。

全日本中学校校長会
特別支援教育の制度化を障害のある生徒一人一人のニーズに確実に答えていくために、人的・物的・運営的な条件整備が不可欠。
今、公立の中学校が様々な課題を抱えている中で、一人一人のニーズに応じて、きめ細かな教育をしていくためには人や施設についての段階的な整備が必要。これがないと不安ばかりが先に立ってしまう。保護者や生徒からも不満が出るのではないか。
障害のある生徒一人一人のニーズに対応するために、各学校に特別支援教室を新設したり、適切な施設・設備を整備することが必要。
障害のある子どものニーズに応じた教育を保障するために、個別の教育支援計画を作成していくのであれば、今後、特別支援教室における教育課程が必要である。
高等学校についても「一人一人のニーズに応じる」場として「特別支援教室」の開設も視野に置いた検討が必要。

全国特殊学級設置学校長協会
「特別支援教室」の全校開設や担当者の配置などを踏まえ、教職員の待遇面を含め、小・中学校における教育条件の整備が必要。
特別支援教室の施設改善だけでなく、小・中学校全体の施設・設備について、バリアフリー化の観点から全般的な見直しと改善が必要
新たな制度に対応した研修については、日常的な会議のもち方を工夫改善することで対応できる可能性はある。

全国特殊学校長会
「特別支援教室」の専門性についての制度上の位置づけの検討も必要
特別支援教室、あるいは特別支援教育コーディネーターについても、認定講習で取得できるという制度であれば、免許を持つ必要があると考える。

2.  障害者関係団体

(社)肢体不自由児・者父母の会連合会
特別支援教室の対象となる児童生徒の数は、特殊学級の対象よりも増えると考えられるため、専任教員の配置について検討が必要。
特別支援教室の教員は、従来担当していた障害に対する知識に加えて他の障害の理解の必要も迫られ、更に研修を重ねる事が重要。

全国難聴児をもつ親の会
総合免許状については、どちらかというと賛成。専門的な知識を薄く広く持つことが大切だが、総合免許状の上に聾免許を取得した先生方が聾学校あるいは難聴学級を担任するということで、しっかりと指導の底上げをしてもらいたい。

全国言語障害児をもつ親の会
現行の免許制度では、特殊学級・通級指導教での担当教員には障害に応じた専門的知識・技能は不要とも受け取られる規定になっている。担当教員の専門性を一定のレベルに保持するためには、各障害種別ごとの免許状制定が極めて有効であり、特殊学級・通級指導教室に対応する教諭免許状について検討すべき。

(社)日本自閉症協会
OTやSTなどの学校外の専門家の参画は、特別支援教室や通常学級においても必要。

NPO法人えじそんくらぶ
コーディネーターや特別支援教室の担当教員には、高い専門性とソーシャルワーカー的要素が要求されるため、ADHD等の専門的知識を必修とし実習を盛り込んだ課程を経て取得可能な新しい免許制度が必要。

3.  都道府県等教育委員会の意見

各都道府県・指定都市教育委員会の制度化に関する意見・要望
特別支援教室の教員配置基準の整備。
特殊学級、通級指導教室と同水準の定数措置。
担当する教員の持ち時間数の計(基準20時間)で教員数を算定。
通常学級の児童生徒数の基準緩和。
市町村が雇用する介助職員や看護師等に国からの財政的支援を制度化。
特別支援教室の担当者に対して、総合免許状の取得義務と経過的に義務免除の規定を設ける。
教員配置の地教委(又は学校長)の裁量権の拡大。
特別支援教室における教育課程の特例を認める。
特別支援教室は、幼稚園、高等学校にも規定。
高等学校で特別支援教室の設置を可能にするとともに、教育課程の特例を認める。

ヒヤリングにおける意見

現在の特殊学級在籍児に対する指導内容を継続しつつ、新たな対象児に対しても柔軟に対応することが可能な人的配置について十分な検討が必要。
もし、現在の固定式の特殊学級と通級指導教室を特別支援教室に一本化する方向で進めるならば、教育の対象を広げる中で児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応できるよう、特別支援教室の担当者の複数配置についても柔軟に対応できるような定数措置について検討してほしい。
障害のある児童生徒の通常学級への在籍に伴い、今後、通常学級に介助員や補助指導員的な教職員の配置が必要。
既存施設での対応や余裕教室の活用等が不可能な場合、増築や内部改造等が必要になるが、学級数により算出される必要面積に不足がなければ、補助を受けての新増築は行えない。このため、必要面積の算出時に特別支援教室に対する特例資格面積加算の制度化を検討してほしい。
障害児教育の指導の専門性の向上が重要。できるだけ多くの学生に特殊学級の現場も、普通学級の現場も十分知ってもらうことにより、連携を深めていくべき。
核になることができる専門的な知識のある教員を、従来とは別枠で一定採用していくという工夫も必要ではないか。
教科書等の関連する法令や制度についても十分、丁寧に検討することが必要

4.  委員の意見

小学校の実態としては、通常学校、通常学級の中に多数の障害のある児童を受け入れ、不十分な支援の体制の中で障害のある児童に対して教育を行っている。従って、特別支援体制に向けての具体的な条件整備、人的配備、財政的な援助も含めて各都道府県教育委員会等に対する具体的な施策を明確にすべき。
小規模校、中規模校、大規模校の全てにリソースルームを設置して通級指導を行うと現在の3倍の指導者が必要との試算もある。それだけの人的、財政的支援が保障されるのかどうか。



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