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資料5
これまでの特別支援教育特別委員会の審議における
LD、ADHD、高機能自閉症に関する主な意見


1. LD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒の特性・指導上の留意点

(1) 関係団体の意見

日本自閉症協会
  高機能自閉症の児童生徒については、うつになりやすい傾向があるので、教員と共に医療関係者が子どもの状態を見ながら判断していかなくていはいけない。

えじそんくらぶ
  ADHDの児童生徒については、医学と教育の連携が特に重要。薬を服用することにより、不注意、多動、衝動性等の症状が一時的に収まり、学ぶための準備や支援を行えるケースもある。また、先生から得られる学校での状態や授業中の観察についての情報がADHDの診断の重要なデータとなる。
  二次的な障害の防止のためにも障害のない子どもと保護者の理解と支援が必要。

全国LD親の会
  軽度発達障害の子どもを持つ保護者の中には、「特殊な世界」に足を踏み入れることに抵抗感を持つ者もいることから、障害に対する周囲の保護者や社会全体の理解を向上させていく必要。
  軽度発達障害は、外見からその障害がわかりにくいため誤解されることが多い。その結果、その子の二次的障害につながるケースもある。

(2) 都道府県・市町村教育委員会の意見

   医療機関での診断やその後のフォローするスタッフが手薄で、十分な対応ができないことから、ADHDや高機能自閉症等の的確な診断等ができる医師の養成と適正配置ができるよう、厚生労働省等への積極的に働きかけが必要。

(3) 委員の意見

   軽度発達障害のある子ども達が特別な支援を受けることは、この子ども達の成長に大きく寄与できる。
  軽度発達障害のある子どもは、全学齢児童生徒の約6%存在しているという調査結果もあり、早急にこの子ども達への教育的支援について取り組むべきである。
  軽度発達障害のある子どもにどのような教育的支援を行っていくかが重要。
  軽度発達障害は、何らかの機能的な障害があって、何らかのストレスが加わると、より行動特徴が著明になってくるというのが現在の考え方。
  軽度発達障害のある子どもは、虐待の対象になりやすい、と最近の統計結果で示されている。
  特別な支援を行う際に、誰がどのような判定・認定をするのか。判定・認定がレッテル貼りになると思う保護者もいる。
  子どもに対して特別な支援を行うことについて、保護者に理解を得ることがが重要である。
  行政において、軽度発達障害のある子ども達の実態を明らかにすることが重要。
  現在も、私立小・中学校に軽度発達障害のある子どもが在籍し、学校側も対応に苦慮していることから、特別支援教育制度が導入されても、公立小・中学校に軽度発達障害のある子どもが大挙入ってくることはないのではないか。
  今後、軽度発達障害のある帰国子女及び外国人の児童生徒も考えておくべき。

2. LD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒に対する小・中学校における支援の取り組み

(1) 校長会等の意見

全国特殊学校長会
LD、ADHD、高機能自閉症を含めて、すべての障害のある子どもについて「個別の教育支援計画」を策定することが重要。

全国連合小学校長会
小学校における特別支援教育を推進するためには、学校全体で対応することを基本に、特別な教育的支援を必要とする個々の児童のニーズに応じた教育を可能とすることが必要。そのために、特別支援教育にかかわる校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名、学校内外の人材や関係機関の活用による児童の個別的なニーズに応じた指導体制の整備などをすべての小学校において進めることが必要。

全日本中学校長会
確かな学力を向上させることが要請されている今日、様々な障害のある生徒がいる学級においては、生徒の実態に応じたより適切な教育課程の編成が必要。
一人一人の具体的な教育支援計画作成のための教員の持ち時間数の軽減
特別支援教育コーディネーターに専門的能力のある人の配置(軽度発達障害のある生徒の認定、学校内及び外部との連携など、軽度発達障害のある生徒の教育的支援を行う上で中心的な役割を担うことができる人がふさわしい)

(2) 関係団体の意見

日本自閉症協会
LD、ADHD、高機能自閉症等の特別なニーズを持つ児童生徒は全ての教員の関与が必要。特定の専門職としての障害児教育関係者だけでなく、関わる全ての教員に障害特性について理解してもらう必要がある。
通常学級の学級編制基準の緩和も必要。

えじそんくらぶ
通常学級の教員にはそれぞれの障害特性を熟知し、適切な支援をしてほしい。そのために学校全体で実践的な研修の強化、教師の相談窓口など現時教師のサポートシステムの構築が必要
養護教諭や学校医との協力が必要

全国LD親の会
通常の学級におけるLD等の児童生徒に対する理解・配慮・支援が必要
通常の学級にも障害のある子どもがいるという考え方を基に学級を運営していくことが求められている。

(3) 都道府県・市町村教育委員会の意見

  
学校内において全校体制で支援する方策と意識の伸長と、学校外からの支援体制の確立が重要
小・中学校教員のLD・ADHD等の児童生徒への支援に関する知識技能の向上
特別支援教育担当者及び特別支援教育コーディネーターの専門性の向上のための研修の充実

(4) 委員の意見

  
子どもたちの特性を学校にいるすべての教員が理解をすることが大事。
通常の学級のすべての教員が、軽度発達障害のある子どもに対して適切な指導を行うための研修が必要。
通常の学級の先生の軽度発達障害に対する理解を深めることが重要であり、、障害児教育のノウハウを積み重ねることで、十分に軽度発達障害のある子どもの支援ができるのではないか。
通常の学級の先生の子ども達の状態の見極める力が高ければ、軽度発達障害であると判定しなくても、子ども達への配慮ができるのではないか。また、そういった力をどのようにして高めるかが課題。
「個別の教育支援計画」の円滑な作成、実施が重要
特別支援教育コーディネーターとスクールカウンセラーとの関係を整理する必要がある。
現在の小・中学校には様々な教育課題があり、特別支援教育だけに専念できないため、特別支援教育の推進には人的な措置の検討が必要。

3. LD、ADHD、高機能自閉症に関する教育的な支援のための体制

(1) 校長会等の意見

全国特殊学校長会
 
文部科学省の「LD等ガイドライン」や、全国特殊学校長会で作成中の「盲・聾・養護学校における『個別の教育支援計画』について」等を踏まえ、教育・福祉・医療
労働等の関係機関が連携して、一人一人のニーズに応じた支援を、乳幼児期から卒業後まで生涯にわたり一貫して適切に実施することができるよう、地域におけるネットワークを構築しなければならない。そのためには、国レベル、指導府県レベル、市町村レベル等における、関係省庁・関係部局等の施策の連携が必要。そのために必要な制度改正を実施することが求められる。

全国特殊学級設置学校長協会
現在の7つの障害種別について、LDやADHDなどの障害も含めて、それぞれの障害種・ニーズに応じてどのような制度を小・中学校に導入していくのか「柔軟かつ弾力的な対応が可能な制度」の具体化をお願いする。

全日本中学校長会
LD、ADHD、高機能自閉症に関する専門的な知識・経験を有する専門家チームや巡回相談員を確保する。専門家チームや巡回相談員と学校の校内委員会との緊密な連携・連絡がなされる必要がある。
制度化の実現のためには財政的な裏付けが必要

(2) 関係団体の意見

日本自閉症協会
盲・聾・養護学校から、障害種を超えたセンター的機能をもつ特別支援学校に転換し、部門制をとることにより、LD・ADHD・自閉症等への対応を行うスペシャリストの配置も可能となる。
自閉症の教育実践研究を行うモデルパイロット校を各都道府県に作ることが必要
学校を拠点として地域全体に障害理解が推進されるような関わりや工夫が必要。

えじそんくらぶ
LD・ADHD、高機能自閉症の部門も加えた特別支援学校が必要。
学童期前の保育園、幼稚園、保健所等関係機関と学校との連携は、早期発見・早期対応のために重要。
国立特殊教育総合研究所における軽度発達障害のある児童生徒のための実践的な研究と専門家育成に期待。

全国LD親の会
盲・聾・養護学校制度を見直し、センター的機能を備えることにより、そのノウハウを活かして小・中学校に対する情報提供・相談・研修等を行えるようになる。
早期発見・早期療育との連携や、「個別の教育支援計画」等の整備による一貫した相談・支援体制の確立が必要
医師、心理やOT、ST等の専門家の育成・活用を図ることが必要。

(3) 都道府県・市町村教育委員会の意見
  
学校外からLD・ADHD等の支援に関してスーパーバイズができる専門家の養成と専門機関との連携の強化
県教育委員会の担当者においても、LD等の指導の実践経験等は少なく、市町村教育委員会や学校の教員等に対して十分な指導ができないため、LD等の指導等について、文部科学省主催の研修の充実。
県の面積等の地域性や、大学・専門病院の等の実態に応じた巡回教育相談体制を整えるための準備(担当者の確保、地域区分の在り方、専門家の偏在、財政状況等)
親の会を窓口とした学校と保護者の連携が重要。

(4) 委員の意見
  
乳幼児期から一貫した支援体制を整備するという観点で、どのような学校の制度にするのかを検討するべき。
盲・聾・養護学校と小・中学校がきちんと連携するような新しい教育の体制にしないと、特別支援教育はうまくいかない。

(※ 障害のある児童生徒一般に関する意見や、特殊学級制度、特別支援教育コーディネーター及び教員免許制度の在り方に関する意見は除いている)



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