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校内支援体制の確立に向けて
寒河江市立陵西中学校


1    基礎データ
学校名 寒河江市立陵西中学校
校長名 菊池進
生徒数 290人 教職員数 23人
校内委員会の名前と構成員 名前 特別支援教育校内委員会
構成員 校長、各学年主任、教諭、特別支援教育コーディネーター
コーディネーター 指名された者の職名 教諭


2    本校の取り組み
(1) 本校の特別支援教育の考え方と今後の進め方
1 特別支援教育の考え方
 学習面、生活面、健康面などから、生徒の学校生活が充実し、生徒が学校生活を通して成長することを支援する。すべての生徒を対象に対して、支援を行うことを基本的な 考え方とする。目的は、生徒が出会う問題を自分のカで解決する能力をつけること、その問題を乗り越えながら成長すること、そして問題が生徒の発達を妨害するほど重大に ならないことをめざすことである。
 生徒の成長を支援し、自分の進路や生き方について、より個別的で特別の支援を必要とする生徒に対しては、専門的で適切な支援を行っていく。
2 特別支援教育の進め方(次の三段階で支援を進める。)
  1次的支援(すべての生徒を対象として、全教職員が日常的に行う支援である。)
・学習指導、生徒指導、教育相談、特別支援教育等、あらゆる面から生徒への支援
を行う。
  2次的支援(配慮を要する一部の生徒の問題状況の早期発見を行い、生徒の問題が
大きくなって生徒の成長を妨害することのないように支援することを目的とする。)

3段階の支援
  支援体制図
  3次的支援(特別に個別の支援を必要とする「特定の生徒」に対する援助。)
  長期欠席中の生徒や障害等のある生徒に対して、個別の教育計画に基づいた援助を行う。
  支援チームをつくり、生徒の生活全般にわたって、さまざまな場面での支援を行う。



(2) 具体的な取り組み
1 教職員の校内研修
  内容と講師
  内容 「特別支援教育について
 −ADHD、LD等の特徴的な傾向のある子どもの理解とその対応」
  講師 山形大学教育学部   松崎学   先生
  研修を受けて
 ADHD、LD等の子供についての詳しい研修を初めて受けた教員がほとんどで、生徒の行動の受け取り方が広がるきっかけになった。我々の学校の中にも、「どう接すればいいのか」と対応に苦慮している生徒がいる。その生徒たちへの適切な対応の仕方を考えるヒントがたくさん見つかった研修会であった。
2 指導形態の工夫
  支援体制図

3 LD、ADHD、高機能自閉症の疑いのある生徒の発見、実態把握・診断、個別指導
  LD、ADHD、高機能自閉症の疑いのある生徒の発見
  実態調査の実施
 各担任が自分の学級の生徒の中で、日頃から気になっている生徒を抽出し、第一次精査のチェックリストで採点をする。その結果から、特別支援校内委員会に諮る生徒を絞り、結果を提出する。
  実態調査の把握
 コーディネーターが集約し、一覧票にまとめる。
生徒名 
聞く 12ポイント以上  11
話す 12ポイント以上 
読む 12ポイント以上 
書く 12ポイント以上 
計算する 12ポイント以上  11
推論する 12ポイント以上 
不注意 6ポイント以上 
多動性/衝動性 6ポイント以上 
対人関係やこだわり 22ポイント以上 
  以上の結果から校内委員会としては、現在は校内の支援体制を活用してどのように生徒の変容を期待することができるかを探っていく段階と考えた。
  LD、ADHD、高機能自閉症の疑いのある生徒の具体的個別指導
  『石隈・田村式援助チームシート』『田村・石隈式援助資源チェックシート』を活用して、各学年、各担当者でその生徒にどのような支援ができるか、話し合いをおこなう。具体的な支援案を考える。
  期間を限定して目標・具体的支援策を明確にして個別の支援を試みる。学校内で行える対応を優先し、必要に応じて外部専門機関との連携を考えていく。


3    成果と課題
  学校内の体制作りを進めたことで、LD、ADHD、高機能自閉症の疑いのある生徒の正確な情報が伝わり職員の意識の改革に役立った。
  LD、ADHD、高機能自閉症の疑いのある生徒の発見を進めるのに、「第一次精査」を活用したが、教員の観察だけでははっきりしない「生徒の行動の特性」が明らかになり、共通理解に繋がった。
  全教職員で支援を進めるにあたり、様々な新しい情報を定期的に伝えていく必要があると思われる。
  中学生の段階になってから保護者に理解を求めるというのは、非常に難しい場合が多い。保護者からの理解のないままに、学校内だけで個別の指導を進めていく場合の配慮点や、外部専門機関との連携の進め方など、実際に支援教育が進んでくる中での検討事項は多いと予想される。

執筆者 後藤 玲子

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