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資料3
中教審特別支援教育特別委員会(第4回)資料


社会福祉法人
全国重症心身障害者(者)を守る会

1.社会福祉法人全国重症心身障害者(者)を守る会について 

 昭和39年6月13日に創設。当時の国の姿勢は「障害が重く社会の役にたたぬものに国のお金は使えません」というもの。私たちは「たとえどんなに障害が重くても真剣に生きているこの命を守ってほしい」と訴え、また、「社会の一番弱いものを切り捨てることは、その次に弱いものが切り捨てられることになり、社会の幸せにつながらないのではないか」と訴えた。

会の三原則

 決して争ってはいけない
 争いの中に弱いものの生きる場はない
 親個人がいかなる主義主張があっても重症児運動に参加する者は党派を超えること
 最も弱いものをひとりももれなく守る

親の憲章(親の心得)

 (生き方)
 重症児をはじめ、弱い人々をみんなで守りましょう。
 限りなき愛をもちつづけ、ともに生きましょう。
 障害のある子どもをかくすことなく、わずかな成長をよろこび、親自身の心をみがき、健康で明るい人生をおくりましょう。

 (親の務め)
 親が健康で若いときは、子どもとともに障害を克服し、親子の愛のきずなを深めましょう。
 わが子の心配だけでなく、病弱や老齢になった親には暖かい思いやりをもち、励まし合う親となりましょう。
 この兄弟姉妹には、親がこの子の命を尊しとして育てた生き方を誇りとして生きるようにしましょう。

 (施設や地域社会とのつながり)
 施設は子どもの人生を豊かにするために存在するものです。施設の職員や地域社会の人々とは、互いに立場を尊重し手を取り合って子どもを守りましょう。
 ものを言えぬ子どもに代わって、正しい意見の言える親になりましょう。

 (親の運動)
 親もボランティア精神を忘れず、子どもに代わって奉仕する心と行動を起こしましょう。そして、だれでも住みよい社会をつくるよう努力しましょう。
 親の運動に積極的に参加しましょう。親の運動は主義や党派に左右されず、純粋に子どもの生命の尊さを守っていきましょう。

2.重症心身障害児について

(1) 重症心身障害児とは、
重度の知的障害者及び重度の肢体不自由が重複した者をいう。
重症心身障害者・者の数は推計で
  およそ   37,000人 (愛知県推計による)
  うち在宅者数約   19,000人

(2) 超重症児とは
 重症心身障害者(者)であって、医療の管理下に置けなければ、呼吸することも栄養をとることも困難な障害児で、主として次の状態にあるもの

1  呼吸管理
レスピレーター管理
気管内挿管・気管切開・酸素療法・頻回の吸引・その他
2  食事機能 
中心静脈栄養
経官・経口全介助等
3  その他
体位交換(頻回)・定期導尿等

3.親のねがい

 昭和49年に東京都で養護学校義務制、昭和54年に全国で養護学校義務制が実施され、今日、どんなに障害が重くても一人ひとりに合った教育の実現をめざして取り組んでくださり、子ども達のわずかながらも伸び、成長していく姿に親として大変感謝している。
 しかし、超重症児など医療的ケアが必要な子どもには、必要な時に対応するため常時保護者が学校に待機することが求められているが、保護者の負担軽減を図るため、教育・福祉・医療が連携し、養護学校において看護師による対応や看護師の指導の下での教員(一定の研修を受けた者)の対応により、医療的ケアの体制の整備充実を願っている。

4.今後の特別支援教育の在り方について

 平成15年3月に出された最終報告では、「障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う」という考え方に基づき、1 「個別の教育支援計画」2特別支援教育コーディネーター3 広域特別支援連携協議会等についての提言がなされているが、特に医療的ケアの必要な子どもの場合は、医療的ケア体制の整備と、一人ひとりのニーズに合わせてそれぞれのもつ可能性を最大限に引き出す教育をお願いしたい。


(1) 可能性を引き出す教育・・・よつぎ療育園での取り組み・北浦尚の世界から(別紙)
(2) 関係機関・関係者間の連携
 医療的ケアの必要な子どもの場合は特に、医師・看護師・保健師・ケースワーカー・ホームヘルパー等医療・福祉関係者とのネットワークは欠かせない。そのためには、文部科学省と厚生労働省が連携を密にして、その体制づくりを強化していただきたい。

5.養護学校における医療的ケア

 超重症児にとって、養護学校における医療的ケアの実施体制の整備を図ることが不可欠である。看護師を配置するとともに、教育活動の充実の観点から担当する教員においても、次の3つの行為を行うことができるようご検討いただきたい。

3つの行為
  咽頭より手前の吸引
  喉や嘔吐、喘鳴等の問題のない児童生徒で、留置されている管からの注入による経管栄養(ただし、経管の先端位置の聴診器による判断は除く)
  自己導尿の補助

1 文部科学省の取り組み

(1) 「特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究」実施
(平成10〜14年度)
10県で実施
(2) 「養護学校における医療的ケアに関するモデル事業」を実施
(平成15〜16年度)
32道府県で実施

2 看護師配置に関する都道府県の取り組み(平成15年度 41都道府県)

教員の定数の一人を看護師・・・12県
定数とは別に看護師を配置・・・3県(東京・北海道・高知)
県単独事業・・・10県
厚生労働省所管の訪問看護事業・・・4県
緊急雇用創出事業・・・12県

6.社会の共感を得ることの大切さ

(1) 本会あけぼの学園(重症心身障害児通園)と地域の保育園の交流

(2) 修学旅行で見学にきた中学校の感想文から
「障害が重くても感性豊かで魅力的な人たちだ」
「“命の尊さ”を教えられた」
「私たちに“生きる希望”を与えてくれた」
「どんなに障害が重くても、人の役に立たない人なんてひとりだっていない」

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