教職員がその能力を十分に発揮し,子どもたち一人一人の個性に応じ,その能力を最大限に伸ばす創意工夫に富んだ教育活動が行われるとともに,教育行政がこれらの取組を適切に支援し,学校に対する保護者や国民の信頼に十分こたえていくため,義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方について御検討いただくことが必要であります。
このため,当面,次の事項について御審議をお願いしたいと考えております。
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まず第一は,義務教育に係る諸制度の在り方についてであります。今日の子どもたちを取り巻く状況や子どもたちの変化などを踏まえながら,改めて,義務教育の今日的な意義・目的と学校の役割,義務教育における国と地方公共団体の役割等について御議論いただきたいと考えております。それを踏まえ,児童・生徒の多様な状況等に対応して弾力化を図る観点から,例えば, 就学の機会や就学時期の弾力化等義務教育の就学に関する制度の在り方, 多様な学校間連携の在り方など,義務教育に係る制度の在り方について御検討いただきたいと考えております。また,関連して,義務教育に接続するものとして幼児教育の在り方についても御検討いただきたいと考えております。
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第二は,義務教育における教育条件整備の在り方についてであります。今後の義務教育における教育条件整備の在り方について,幅広く御検討いただきたいと考えております。特に,現在進められている教育改革の中で義務教育制度の在り方の一環として,国と地方との適切な役割分担,費用分担の観点から,義務教育費国庫負担制度の意義役割を踏まえつつ,義務教育費に係る経費負担の在り方について,御検討いただきたいと考えております。
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第三は,学校の管理運営の在り方についてであります。学校の管理運営に関しては,株式会社等による学校設置,公立学校の民間委託,地域が学校運営などに参画するいわゆる「コミュニティ・スクール」の導入など様々な指摘がなされており,こうした指摘も含め,公教育としての学校の教育活動の確実な実施と充実を図る観点から,新しい時代にふさわしい学校の管理運営の在り方について御検討いただきたいと考えております。
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以上,今後の審議に当たり,当面御検討をお願いしたい事項について申し上げましたが,我が国の初等中等教育が目指すべき方向とそれを実現するための方策について,幅広い視野の下に忌憚(たん)のない御意見をいただきたいと思います。
なお,以上のとおり,初等中等教育改革の諸課題は,広範多岐にわたることから,これを一つ一つ着実に実現していくため,本審議会におかれましては,審議の区切りがついた事項から逐次答申していただくようお願いいたします。 |