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これからの社会を考えるとき,情報の選択やこれをもとにしての判断,また,自分の考えを説明したりすることを含め,考える力が大切になる。このような視点からみると記述式の問題等に関する生徒の学習状況は必ずしも十分ではない。記述式の問題等に関する状況を改善するためには,生徒の学習状況をよく観察し,徐々に問題文の記述量や,生徒に記述させる量を増やしていくといった取組が必要である。 |
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「数学的な表現・処理」の観点をみる問題(とりわけ計算問題)に関する状況を改善するため,計算指導は折に触れて行うことが大切である。の際,例えば,計算の過程において「乗除先行」など計算の約束ごとの確実な定着を図るとともに,方程式の移項は等式の性質に基づいて行われるものであることなどの計算の意味の指導にも配慮する必要がある。なお,正しく計算することができることは,的確な判断や考察の基礎となり,自信をもって考えを進める上でも必要なことである。指導に当たっては,そのようなことを生徒が意識できるよう意味の指導を充実させていくことが重要である。 |
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「数学的な考え方」の観点をみる問題に関する状況を改善するためには,単に,結果を出すだけではなく,何を根拠にどのような手順でその結果を導いたか,その過程で既習の知識をどのように生かしたかなど,自分なりの考えを筋道を立てて説明したり,結果を導く過程を振り返って考えたりする活動を充実することが求められる。 |
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質問紙調査の結果にみられる生徒の問題解決での前向きな態度を生かす指導の方法について検討する必要がある。例えば,図形における3次元から2次元への置き換えといった「次元を下げる」という問題解決に有効に働く考え方を意識付けることができるような指導の改善を図る必要がある。また,内容項目に関する質問紙調査の結果には生徒と教師の意識の違いが顕著なものがあるため,生徒の意識を的確に把握した指導の在り方について検討する必要がある。 |