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資料8−2

平成13年度小中学校教育課程実施状況調査報告書の概要

中学校・国語

1.今回の調査結果の特色

(1) ペーパーテスト調査の概要
 全般的な概要
 第1学年,第2学年及び第3学年について,通過率が設定通過率を上回ると考えられるもの又は同程度と考えられるものの問題数の合計は,それぞれ73問中59問,74問中62問,72問中63問と全体の問題数の半数以上を占めている。
  なお,前回と同一の問題については,第1学年で20問中,通過率が前回を有意に上回るものが9問,前回と有意に差のないものが7問,前回を有意に下回るものが4問,第2学年で22問中,通過率が前回を有意に上回るものが10問,前回と有意に差のないものが6問,前回を有意に下回るものが6問,第3学年で20問中,通過率が前回を有意に上回るものが13問,前回と有意に差のないものが4問,前回を有意に下回るものが3問となっている。
 内容領域・観点等からみた特色
(ア) 領域ごとの設定通過率との比較
 「表現(音声言語)」,「表現(文字言語)」,「理解(文学的な文章)」,「理解(説明的な文章)」「言語事項」の5つの区分のうち,第2学年の「表現(文字言語)」以外の区分において,通過率が設定通過率を上回ると考えられるもの又は同程度と考えられるものの問題数の合計が,全体の問題数の半数以上である。
(イ) 領域ごとの前回の通過率との比較
 「理解(説明的な文章)」及び「言語事項」については,前回と同一の問題について,前回の通過率を有意に上回っているもの及び有意に差のないものの問題数の合計が,全学年で全体の問題数の半数を占めている。
(ウ) 設定通過率を下回ると考えられるもの
 本文中の表現を根拠として自分の考えを述べる問題(1−B−一−4,2−B−一−4の2題)については,通過率が設定通過率を下回ると考えられる。このうち前回と同一の問題(1−B−一−4)については,通過率が前回を有意に下回る。
  また,説明的な文章の段落構成を問う問題については,すべての問題で設定通過率を下回ると考えられる(1−A−3−四,2−A−3−二,3−B−3−二)。
(2) 質問紙調査の結果
 指導内容について
 指導内容について,教師と生徒に意識の差が見られる。例えば,第1学年の「文学的な文章を読むこと」については,「生徒が興味を持ちやすい」と回答した教師は68.7%であったが,「きらいだった」と回答した生徒は46.7%であった(「好きだった」と回答した生徒は26.1%)
 読書と平均得点との関連について
  「学校図書館などを利用して,読書をしていますか」という質問に対し「そうしている」と答えた生徒の方が,「そうしていない」と答えた生徒よりも平均得点が高かった。


2.今回の調査結果を踏まえた指導上の改善点

(1)  根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力の育成が必要であり,そのため,例えば,文章を読んで理解した内容について考えさせ,それを自分の言葉で表現させる学習や,具体的な叙述を踏まえて考えさせる学習が重要である。
(2)  文章の構成や展開を正確にとらえる力の育成が必要であり,そのため,例えば,各段落ごとに小見出しを付けるなど段落相互の関係を理解させる学習が必要である。
(3)  学習指導要領に例示されている言語活動などを活用した授業を展開する中で,根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力や,文章の構成や展開を正確にとらえる力を確実に育成することが大切である。
(4)  質問紙調査で明らかになった教師と生徒の意識の差を踏まえ,生徒の実態を一層十分に見据えて,例えば,文学的な文章を扱う場合には,導入の学習活動に工夫を凝らして,興味・関心を高める,あるいは詳細な読解に偏重することなく,多様な言語活動を行うといった指導の改善が求められる。
(5)  今後とも,国語科においては,学校図書館などを活用した生徒の読書活動を積極的に推進していくことが重要である。



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