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資料7

平成13年度教育課程実施状況調査教科別報告書のポイント

上段: 今回の調査結果の特色
下段: 指導上の改善点

【小学校・国語】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。
 漢字力については、同一問題での比較で前回を有意に上回るものもあり、低下傾向は見られない状況。一方、記述式の同一問題では、9題中4題で前回を有意に下回る状況。
 「文学的な文章を読むこと」について、教師は児童にとって興味を持ちやすいと考える一方で、児童は「嫌いだった」と答えるものが多いなど、教師と児童の意識の違い。
 相手や目的などに応じて自分の考えを明確にして構成しながら文章を書く力を育成することが必要。
 文学的な文章を扱う場合は、児童が必ずしも興味を持たない状況もあることを踏まえ、学習の導入に工夫を凝らして興味・関心を高めるなど、指導法の改善が必要。
 児童が読書に親しむため、短編・長編等の物語、記録・報告等の説明文など多様な文章形式に出会わせたり、読書発表会を行うなど、指導法の改善が必要。

【小学校・社会】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。同一問題での比較では前回を有意に下回るものが過半数。
 資料を的確に読み取り、複数の資料を関連づけて活用し、社会的事象の概要や特色をとらえる学習に関する問題等で、設定通過率を下回ると考えられる状況。
 明治以降の「社会的事象についての知識・理解」に関する問題で設定通過率を下回ると考えられる状況。
 地図や統計、基礎的資料を丹念に読み取ったり、関連づけて活用したりする指導を充実させることが必要。
 歴史的事象を網羅的に取り上げることのないように留意するとともに、人物と歴史的事実を関連づけて扱うことを充実することが必要。

【小学校・算数】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。同一問題での比較では前回を有意に下回るものが過半数。
 計算の意味理解、三角形や円の面積の問題などで設定通過率を下回る状況。
 「思考・判断」についての問題で設定通過率を下回ると考えられるものが多い状況。「いろいろな考え方を発表し合うのは楽しい」、「問題が解けたとき、別な解き方を考えようとする」という質問に対し、肯定的な回答をする児童の得点が高い傾向。
 計算の意味を実際の場面と結び付けたり、面積の公式を児童自らが工夫してつくっていく学習などを充実させるとともに、計算の技能を定着させるための指導を一人一人の学習状況に応じて進めるための指導法の改善が必要。
 数量や図形についての作業的・体験的な活動等を取り入れることなど、指導法の改善を図るとともに、児童が様々な考え方を試みたり話し合ったりする中で、日常生活で数を用いることの有用性など数理的な処理のよさを実感できるようにすることが必要。

【小学校・理科】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。
 「てこの釣り合い」や「血液の循環」などの一部の内容において設定通過率を下回るものもある状況。
 観察や実験を行う際には、単なる作業的な実験ではなく、児童が自ら予想や仮説をもった上で、計画的な実験を行うことを大切にするとともに、観察や実験が終了した後には、その結果の整理や考察を行い、児童の科学的な見方や考え方を養うなどの点に留意することが必要。
 観察や実験を行いにくい内容(「血液の循環」など)については、コンピュータや立体的な模型などを積極的に活用し、実感を伴った理解が図られるような指導を重視することが大切。



【中学校・国語】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。同一問題での比較では、第3学年で前回を有意に上回るものが過半数。
 本文中の表現を根拠として自分の考え方を述べる問題などでは、設定通過率を下回ると考えられる状況。
 「文学的な文章を読むこと」について、教師が生徒にとって興味を持ちやすいと考える一方で、生徒は嫌いだったと答えるものが多いなど、教師と生徒の意識の違いにずれ。
 学校図書館などを利用して読書をしているか等の問に肯定的に回答した生徒の方が平均得点が高い傾向。
 根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力や、文章の構成や展開を正確にとらえる力などを育成するための指導の改善が必要。
 文学的な文章を扱う場合は、生徒は必ずしも興味を持たない状況もあることを踏まえ、学習の導入に工夫を凝らして興味・関心を高めるなど、指導法の改善が必要。
 学校図書館などを活用した生徒の読書活動を積極的に推進していくことが重要。

【中学校・社会】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。同一問題での比較では、第1、2学年で前回を有意に下回るものが過半数。
 地理的分野の「日本の国土面積」や歴史的分野の近現代史の基本的内容など、基本的な内容を問う問題で設定通過率を下回ると考えられる状況。
 学び方や調べ方の習得、多面的・多角的に考える力の育成の指導を充実するとともに、身近な地域、都道府県、世界の国々の地域的特色や、中世や近現代の基本的な内容など、各分野の基本的な内容の確実な定着を図ることが必要。

【中学校・数学】
 いずれの学年でも、設定通過率との比較では、上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。同一問題での比較では、第1、2学年で前回を有意に下回るものが過半数。
 記述式の問題、長い文章の問題等で設定通過率を下回ると考えられる状況。また、計算問題や数学的な考え方を見る問題で前回を有意に下回る状況。
 「問題の解き方が分からないとき、あきらめずに考えようとしてますか」等の質問に肯定的な解答が多く、生徒が数学の学習に比較的前向きな姿勢を持っている状況。
 生徒の学習状況をよく見ながら、問題文の記述量や生徒に記述させる量を少しずつ増やしていく工夫を図るなど、指導法の改善が必要。
 かけ算、わり算を先に行うなどの計算の約束ごとを確実に理解し計算しているかどうかに配慮しつつ、計算指導を折りに触れて行うことが必要。その際、計算で用いられる操作の意味の指導についても留意することが必要。
 結果を導く根拠や手順、既習の知識の生かし方などについて、自分の考えを説明したり振り返って考えたりする活動を充実させることが必要。
 生徒の数学の学習への比較的前向きな姿勢を生かすため、図形を3次元から2次元へ置き換えるなど、問題解決に有効な考え方を意識付けるための指導法の改善が必要。

【中学校・理科】
 設定通過率との比較では、第1、2学年で、上回る又は同程度と考えられるものが半数に満たない状況。同一問題での比較では、第2学年で前回を有意に下回るものが過半数。
 観察、実験は行っているものの、必ずしも目的意識をもった主体的な学習活動になっていない状況。
 理科の学習と身近な現象や体験との関連を意識したり、観察、実験においても目的意識をもって主体的に学習することができるよう指導の工夫を行うとともに、観察や実験を行いにくい内容等はモデル実験やコンピュータの活用を図るなど、指導法の改善が必要。
 指導の過程で、発表したり、討論するといった活動を取り入れることが重要。

【中学校・英語】
 第3学年では、設定通過率との比較で、上回る又は同程度と考えられるものが半数に満たない状況。同一問題での比較では、第1学年で前回を有意に下回るものが過半数であるが、第3学年では前回を有意に上回るものが過半数。
 「聞くこと」「読むこと」では、設定通過率を上回る又は同程度と考えられるものが半数以上。「書くこと」では、すべての学年で設定通過率を上回る又は同程度と考えられるものが半数に満たない状況。
 英語学習における生徒のつまずき方は多様であり、個々のつまずきに対応した局所指導と、全体にわたる指導の繰り返しを常に行うことが必要。
 「聞くこと」の指導では、いろいろな表現に応じた応答方法を学習するような言語活動を取り入れていくことが必要。
 コミュニケーション能力を高める一環として、「書くこと」においては、トピックを指定してつながりのある複数の文を書かせるなどの指導が必要。また、「聞くこと」「話すこと」の活動を重視する中においても語順を身に付けられるよう、配慮する指導が重要。


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