幼児教育部会(第19回) 議事録

1.日時

平成17年1月6日(木曜日) 10時~12時

2.場所

如水会館3階 「松風の間」

3.議題

  1. 総合施設について
    ・合同の検討会議(審議のまとめ)報告
  2. 幼児教育の在り方について
    ・答申案審議
  3. その他

4.出席者

委員

 木村分科会長、田村部会長、無藤副部会長、浅田委員、池本委員、石榑委員、石田委員、門川委員、河邉委員、酒井委員、服部委員、北條委員、山口委員

文部科学省

 近藤文部科学審議官、銭谷初等中等教育局長、山中初等中等教育局担当審議官、蒲原幼児教育課長、豊岡幼稚園運営支援室長、神長教科調査官、小田国立教育政策研究所次長、その他関係官

5.議事録

(1)事務局より配布資料の確認が行われた後、幼児教育部会と厚生労働省側の児童部会との「総合施設に関する合同の検討会議」の審議のまとめについて事務局より報告があり、意見交換が行われた。

(2)「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」(答申案)について説明があり、意見交換が行われた。
 概要は以下のとおり。(◎部会長、○委員、●事務局、☆合同検討会議参加委員)

午前10時 開会

(1)総合施設について

合同検討会議参加委員
 この総合施設が18年度実施に向けて動き出している。今は幼稚園と保育所という制度があって、そこに総合施設というものが加わるわけだが、実際は幼保一体型の施設というものがそこに並んでいるのではないかと思う。この幼保一体型の施設が、今後財政措置等の方向によっては、総合施設に転換していくというような状況になっているなと。今後の幼児教育を考えるときにそこを外していけないのではと今思っている。

合同検討会議参加委員
 (幼保一体型施設は)現実にいろいろなところで動いており、とても心配な動き方がたくさんあるのは事実だと思う。この場で議論されたこと、また合同検討会議で議論されたことがしっかりと地方にまで伝わるということがとても大事なことで、そうでないと、本当に必要のないところに必要のないものをつくるという大変な無駄遣いが起こる可能性もたくさんあると心配している。

合同検討会議参加委員
 資料の1枚目の一番下のところに対象者というのがある。3~5歳のところ、それから0~2歳のところに対応する職員配置はあるが、親に対する子育て相談とか、助言に対しては入っていない。それは合同会議の場でも言わせていただいたが、職員配置のところは、子どものところはあるが、親に対してはだれがどうするのかという視点は重要だと思う。記述することは非常に難しいと思うが、これはこだわらないと、子供の専門家が必ずしも親に対する助言ができるわけではないというか、難しいが職員配置の中でその辺をどのようにかかわらせるかということが今後の課題だということは思っている。

事務局
 子どもに対する具体的な、いろいろな教育・保育をやるときの人員配置というのは、今既に幾つか数字がある。親については、今のところは他のところでもないが、実は多分これはよりよい親支援のサービスや、親に対していろいろなことをやっていくためには、実際は何か目安みたいなものがあったほうがいいと思う。
 実はそれをどういう形で示すかということだと思う。一つは、今回モデル事業の中で、まさにこの総合施設の大きな柱の2つ目のところにある、家庭の力をアップするための支援ということをやるので、モデル事業の中で、おそらく良い事例というのを積み上げていって、そういう事例をきちっと示すという方法。
 もう一つは、この部分というのは決して総合施設だけの話ではなくて、今、幼稚園でもやられていることがあり、保育所でもやられているところがあるので、おそらく幼稚園・保育所で今やられている非常に良い取り組み、こういった事例をきちっと集めてきて、事例集のような形で整理していくというのが第一歩なのかと考えている。そうした中でより良いサービス、あとはいろいろな評価と相まって、より良いものが現場で根づいていくということになるのではないかと思う。
 あと、幼保一体型施設で、おそらくかなりの施設が総合施設をやろうか、どうやろうかという判断がこれから出てくるのだと思う。先ほど財政措置のところはまだこれからだということを申しましたが、結局総合施設に対する財政措置をどのように組み込むかというところが、そのときの最大のポイントになってくると思う。
 今の幼保一体型施設というのは、幼稚園・保育所という2つの制度をもとにしているので、一応幼稚園としてのお金、保育所としてのお金が入ってきて、ただ、制度が2つあって、なかなかうまくいかないという点があるわけだが、そうしたところにお金が入っているということを十分念頭に置かないと、総合施設をつくったが財政措置がしていないような総合施設になってしまうと、本当に何のためにこういう制度をつくるのかという議論にもはね返りかねないので、そこのところは、財政措置をきちっとやるということが一つポイントになってくるかと思っている。
 我々がこれまで議論してきた総合施設についての考え方というのは、地方及びいろいろな関係者にきちっとお伝えしていかなければいけないと思っている。既にいろいろな報告書については、自治体にも連絡したりオープンにしているが、これからいろいろな媒体を使って広報しつつ、あわせてモデル事業を通じて実際の中身を詰めるということを一所懸命やっていきたいと思っている。

委員
 総合施設は、財政措置はまだ決まっていないとおっしゃったが、今までで言うと、建物を建てるときの補助金みたいな財政措置のことか。

事務局
 今申し上げたイメージは、この総合施設を運営するときに、運営のところにどう入れるかということ。今、保育所で言えば、言ってみれば、国と県と市町村がある程度お金を出していると。一方で、幼稚園の場合は、私学助成という仕組みと就園奨励費という仕組みが2つ、施設と親と分かれているが、出てきているので、運営のところが一番大きなポイント。だから委員のおっしゃるとおり、ハードをどうするかという議論も次にあると思う。主としてソフトの、運営のところが念頭にある。

委員
 そのようなのは結構。ソフトなら非常に同意できるのだが、ハードをまたつくる、国からの補助金は2分の1だとか、またそういうパターンでいくと、全然変わらない。私ども地方の予算を組む立場に立つと、ああ、国が2分の1お金をくれるか、儲かるなという感覚で予算を組む。それで、半分自分のところで出さなければならないという感覚でいればいいが、半分いただけるという感覚で予算を組んでいきますと、まただんだん肥大していく。だから、そこがこの三位一体論の補助金が批判されるところである。だから、建物を建てるときに、従来のような補助金の考え方でおやりになるのは、ちょっと慎重に考えてほしいという気持ち。そういうことを喜ぶ自治体もあるが、トータルで見ると、結局借金体質になっていく。やらなくてもいい仕事をやってしまう。

合同検討会議参加委員 財政措置については、三位一体ということで、全然相手にされなかったところから始まっていたから、ゼロから始まって結局今年度中には間に合わなかったわけだが、財政当局の理解は随分深まったのではないかというのが率直な感じ。これから形ができてくるのだと思う。これは今のご指摘のようなことはぜひ参考にしていただいて、つくり上げていただけると大変ありがたいと思う。17年がモデルであるから、実際は18年ということで、それまでには何とかいいものができるとうれしいなと思う。

委員
 新聞の記事には、社会保障審議会の児童部会の方からは、将来的にはこの3つの施設が一元化していくことが望ましいというような旨の記事があったが、実際にそういうお話はあったのかということと、将来的にこの3つの施設ができたときに、その展望については審議があったのかということを伺いたい。

事務局
 これは非常に大事なところであり、この合同会議の審議の中では、あくまで現在の幼稚園・保育所という2つの制度を組み合わせて、うまくいっている地域はそれでいいのではないかと。一方で、なかなかうまくいかない、ちょっと抽象的で申しわけないが、子供がすごく減っているところ、そうしたところというのは、幼稚園が一つあって、保育所が一つあって、例えば、それぞれ10人から15人の子供が来ていても、子供集団といった意味で適切な教育ができない、あるいは施設運営という観点でもなかなかうまくいかない、こういう観点があろうかと思う。
 そういった意味では、地域の実情によっては、幼保の両方の機能を持った施設をつくるということも選択肢として一つ考えたらどうかということで議論されてきた。資料の2枚目の一番最後にも書いているが、ここは幼稚園・保育所に加えて、新しい選択肢が一つ出てくると考えている。
 総合施設の合同検討会議の議論でも、一応そういうことで話が進んできている。将来的にどういう方向かということについては、今のところは、この段階ではあくまで一つの選択肢としてこれをつくっていこうというところにとどまっているということ。もちろんいろいろな考え方はあろうかと思うが、合同検討会議の報告全体の中では、大体そういうことで議論が進んできたと承知している。

合同検討会議参加委員 一部の新聞にご質問の報道があったと思うが、私の記憶では、プレス発表の際に、児童部会の側から出ている座長が、個人的な感想として、今のご発言に近い言い方をされたと思う。一元化という文字どおりの言い方をされたかどうかは覚えていないが、そういう方向ということをおっしゃったように思うが、それは個人的な感想だと思う。総合施設の全体の検討会議で議題として取り上げたということは一切ないと思うし、どちらかというと、三元化という言葉はあんまりよくないと思うが、並列であろうということ、さらに先のことは誰もまだ一切論じていないということなので、一元化というイメージで総合施設を位置付けているわけではないと思う。

合同検討会議参加委員 確かにはっきり一元化とはおっしゃらなかったが、それの方向みたいなことをちょっとにおわせた発言があったことは事実。しかし、それは個人的なお考えなんだろうということで、私どもは特に気にしていなかったが、新聞によっては取り上げたということで、検討会議ではそういう議論は一切していない。

委員
 話を引き戻して申しわけないが、先ほど委員がおっしゃったことは、私もとても同感。確かに1枚目の一番下のほうに対象者の中に、親子登園とか、親子の交流の場の参加等の形態で利用というのが入れられたが、これは簡単にできることではないと思う。職員配置、施設設備にとてもかかわってくることで、ここをきちっと確保しないと、せっかく書いたこのことが意義をなさないということを一つ思っている。
 何もお金のかかる人での対応だけではなくて、外部の方を上手に使っていく、取り込んでいくということも考えて、職員配置等にも、こういうことは説明のときにでもぜひ言及していただきたいと思う。そのことが、今後の私ども幼稚園等が実際にやっていく実践にもとても響いてくる。今は公立だとほとんど財政支援がない中で、職員がやりくりしているわけだが、それよりは、人をきちんと入れて対応してもらったほうが、十分なことができるなというのは実践的にわかっているので、申し上げたいと思う。

事務局
 また後で予算のことでご説明しようと思っているが、例えば、17年度についても幼稚園での親の子育て力向上の推進事業だとか、あとは幼児教育支援センター事業の中でもいろいろな専門家を置いてアドバイスするといったこともあろうかと思う。来年度予算の中でも幾つか盛り込んでいるような事業も活用しながら、基準といった言葉で、どういう性格になるかというのは今なかなか申し上げられないが、どういう形でやるのが良いのかといったことは考えていくということになるかと思う。モデル事業を踏まえた中で、そうしたことも含めて検討していきたいと思っている。

委員
 私は保育の内容のことが気になる。4時間の共通時間の幼稚園教育の相当する部分の質が絶対に低下してはならないと思う。一方で、5歳児の協同的学習を深めていこうという提案もなされている。
 子どもは生活の中で丸ごと育っていて、しかも5歳児ぐらいになると、何か共通の目的に向かって力を合わせてつくり上げていく生活をする。しかし一部の子供は4時間の保育。一部の子供は8時間いる。となると生活や遊びのカリキュラムを見直さなければならない。それがうまく機能していくためには、教員に相当の力量が必要だと思う。
 なので、教員の資質の向上や資質の維持のための研修の機会は必ず確保していただきたいと思う。子どもがいつ来てもいつ帰っても大丈夫なような、勝手に遊んでどうぞ、というような環境設定を現場がどんどん適用していってしまうとしたら、遊びの中の学びの質は低下する一方だ。質の高い保育というのは生活や遊びが充実し、協同体験を深める保育なので、ぜひそこのところは押えていただきたいと思う。

事務局
 委員のおっしゃることは当然だと思う。3~5歳の4時間のところは、幼稚園教育に相当すると位置付けているので、その関係で幼稚園における教育を担保する職員の配置、あるいは研修体制だとかとセットでそういうことを考えていくことだと思う。
 実際にこの報告書の中でも、職員の研修が大事だということはいろいろな先生から相当出て、施設内外における研修が大事であって、これの確保改善を図っていくことが大事だということも実は本文の中にも書いてある。そんなことをこれから実際にどう具体的な仕組みに組み込んでいくかということを一所懸命考えていきたいと考えている。

委員
 そのことと関連して、モデル事業を非常に重要視していただきたいと思っている。というのは、教員の質の向上、その辺りをねらっていくに当たって私がずっと気になっているのは、幼稚園教育が共通部分で4時間あるわけで、教育委員会が主になって運営する施設は、研修面も非常に重要視されてくるだろうと思うのだが、今までいろいろなところからお話を聞いて、知識として持っているだけなのだが私の知る限りでは、保健福祉関係の方たちが主になって所管すると、研修のほうはわりとおろそかになるなと。そういったことで、主に教育委員会が所管しているところをモデル事業で大事にしていただけると、皆さん良いモデルを見て推進していくかと思っている。

委員
 それに直接の関係ではないが、今は維持していくことのお話だったと思うが、そもそも総合施設をつくるかどうかの認可が、具体的にはどういう議論になっているかということ。例えば、私立の主体が立ち上げる場合どこが認めるかとか、今世田谷区にちょっとかかわっているが、総合施設を区がやろうとしたときに、それは要らないのではないかという議論もありうる。自治体なのか、あるいはそれぞれの自治体で認可の方法を決めるのか、認可の部分についてお伺いできればと思う。

事務局
 認可のところは、具体的に施設の認可をどういうシステムでするかといったことまではまだ決まっていない。ただ、この施設の関係を当該自治体でどこの部局がやるべきか、ということについては、基本的には自治体の判断に任せると。ただ、先ほどの話とも関係するが、その場合でも、教育委員会と福祉部局、そういうところとのかかわり・連携は確保した上で、でもその上で、国が絶対こっちでなければいけないというやり方ではなくて、自治体の判断でできるようにしたらどうかと考えている。
 施設の認可でいうと、幼稚園も保育所でも今、部局はそれぞれ違うが、都道府県なり、都道府県の教育委員会でやっているので、これからの検討課題ではあるが総合施設についても何らかのレベルの自治体が介入すると。ただ、当該地自体が関与するときに、どこの部局がやるかというのは、先ほど申し上げたとおり、当該地自体が決めるようにしていきたいと思っている。

委員
 モデル事業の認可は文部科学省か。

事務局
 これは先ほど予算のところで申し上げようと思っていたが、モデル事業については基本的には厚生労働省と文部科学省が共同でやっていく事業にしたいと思う。予算の流し方はこれから具体的に整理したいと思っていう。したがって、モデル事業をやるときに、本体の実施と同じように、どこかの自治体が認可するとか、そういうことは今のところ考えておらず、既存の幼稚園・保育園という制度を前提に、そこに対して、厚生労働省・文部科学省合同でよく相談して、実は全国30カ所ぐらいを予定しているのだが、具体的にどの施設にやってもらうかということを、地方を通じて応募をかけて、出してもらって、適切なところを選んでいくということをやろうと思っている。17年度から実施ということで、予算が通ればすぐにやりたいわけなので、事実上のいろいろな準備作業は、この1月、2月ぐらいから進めていきたいと考えている。

部会長
 この審議のまとめにおいて今確認されたわけだが、引き続き検討が必要だということで、研修を含めて、教育・保育内容のいろいろな問題が出ていた。それから、職員配置、施設設備についても検討が必要だというコメントになっているが、来年度実施されるモデル事業をしっかりと行って、検証していきながら、行政当局において18年度の本格実施に向けてさらなる検討を進めて、つくり上げていただきたいということをお願いしたいと思う。この審議のまとめを踏まえた方向性をしっかりとお作りいただくようにお願いしたいと思う。

(2)幼児教育の在り方について

(●別添資料を説明)

委員
 細かい質問で申し訳ないが、予算案のところ、幼児教育支援センター事業で、域内の幼稚園、保護者、家庭等を支援するということだが、これは保育所も入っていると思ってよろしいか。
 総合施設の議論は、非常に真摯な議論をしていただいたと思っているが、その中でも問題を、課題を先に送っているということもたくさんあり、これから文部科学省、あるいは厚生労働省の事業がどうなっていくかということは非常に大きな課題ではないかと思っている。そして、同時にこの総合施設の議論そのものは、総合施設でなくても、幼稚園、あるいは保育所が目指していくべきものと重なっているところも非常に多いと思う。
 例えば、幼児教育支援センター事業というのは、幼児教育だけではなく、地域において、地方において保育所・幼稚園を超えたものにしていく必要があるのではないかという意味において、文部科学省の予算であっても、「等」の中に保育所も入っているという理解をしていいのかという確認。

事務局
 ここはまさに文部科学省の予算であったので、当初まず幼稚園のところをフォローしようということで考えていた。ただ、いろいろ議論する中で、域内において保育所も教育的機能をやっている、それがあるからこそ今回の答申の中でも、幼稚園・保育所を含めて、幼稚園施設等という概念をつくって、いろいろ全体をやってきた。実際の運用のところで、保育所だけだとなかなか難しいかもしれないが、基本的には幼稚園を対象にしながら、そういったところも幅広くやるということはあるのではないかと思っている。これから具体的に指定するときに、いろいろ状況を見た上でやっていきたいと思っている。

委員
 やはり予算のことだが、ただいまの(モデル事業の)60人のところ。私たちは昔から保育に欠けるとか、欠けないとかという議論の仕方に慣れ過ぎていると別に何とも思わないが、もし、そういうことに慣れていないとすれば、保育にかける子供が60人来たら、3,400万円で、保育に欠けることはない子供が60人だったら、1,300万円とか、これは変な議論だと思う。だから、まだしようがないのだろうけど、そろそろそういう話をやめようと言っているときに、非常に奇妙なことだと思っている。

事務局
 要するに、現行の保育所・幼稚園を前提にして今回モデル事業をやることにならざるを得ないということで、説明の仕方としてそのようになっていたが、もともと我々がやろうとしているのは、18年度から総合施設ということで、そこはいわば親御さんの働く状況とか、そういったことにはかかわりなく、すべての幼児を受け入れるとしたいと思っている。だから、その意味で言うと、このモデル事業も保育に欠ける、欠けないということに関係なく実施するということになるのだと思う。
 ただ、たまたま17年度は、今の段階で総合施設として制度化されていないので、現行制度をベースにどのように変わっていくのかという、そっちの側からの説明を私、今かなり強調して説明したので、そういう説明になったのだが、基本はむしろ総合施設のモデル事業といった意味では、保育に欠ける、欠けないという、何か限定してするのではなく、そこはすべてのお子さんを対象にしてモデル事業を実施したいと考えている。
 あと60人のところというのが、なぜ60人と言ったかというと、逆に60人という一定の規模を言わないと、三千何百万円とかという額だけがひとり歩きしてしまう。あくまで一つのモデルとしてということなので、実際はモデル事業をやる中ではいろいろ規模があるのだと思う。例えば、幼稚園の中で、空いている保育室の状況によっては、60人ではなくて20人とか、いろいろなパターンがあると思うので、そうしたときについては、それに応じた形の一定の額ということになるのではないかと思っている。

委員
 初めに言った常識を持って伺えばよくわかるが、そうじゃないとわからない。例えば、4時間を超えたらとか、そういうことだったらわかるが、多分そうではないと思う。そうではないとなると、これは保育に欠けるとか、欠けないとかを誰かが判定するんだと思う。でも、実際にはそんなばかなことはできない状態というのは現実にはとっくの昔にあるのだと思う。ということになると、わかりやすく言うと、昔、保育に欠けると言われていたようなお子さんも、今実際には幼稚園にたくさん在園している。既に幼稚園に在園しているということは、保育に欠けないという範疇に入るのか。例えば、その辺りはどうなのか。

事務局
 それは、多分個別のケースによるのだと思う。例えば、4時間で帰られるお子さんというのは、おそらく保育に欠けていないのだと思うが、午後3時、4時で帰られる、その辺りのところというのは、一方で保育に欠ける認定をどうやるかとの関係になってくるのだと思う。保育に欠ける認定をやるときには、いろいろな点数制などでやっているところが多いが、実際にはかなり夕方まで親御さんが働かれているといったようなところが多いと考えられるので、午後3時、4時ぐらいだとなかなか保育に欠けるとはならないのではないか。
 ただ、おそらく委員がおっしゃりたいのは、各地域によっては、かなり長時間の預かり保育をやっていて、そういうところでは、実際は保育所との関係で、保育にかける状態になっているのだけれども、幼稚園の預かりにしてしまっているという実態というところがあり得るのだと思う。だから、おそらくそこのところの整理が限界事例としてこれから整理しなければいけないところだと思う。
 今回予算要求で政府の案には載っているわけだが、まさに1月末か2月までに具体的にどういう形でお金を流していくのか、どういう形で募集するのか、そういったことを今整理しているところであり、1月末か2月の頭には各地自体にもこういう考え方だということを示していきたいと思っている。そうした中で、今のような事例も含めて、もう少しいろいろ、わかりやすくモデル事業のやり方の整理していかなければいけないと思っている。

委員
 この会議に参画させていただいて、本当に改めて幼児教育の重要性を再認識し、的確な答申案をまとめていただいたと思っているし、事務局を担当していただいた文部科学省にもお礼を申し上げたいと思う。
 ただ、これをどう実行していくか。読ませていただいて、改めて多くの課題があり過ぎて、しかも非常に緊急を要する課題で、地方でどれだけの熱意を持って関係者のみんなが、市民の意識の向上も図りながらやっていくかということがポイントだと思う。
 これから地方の時代ということが言われているので、文部科学省のほうももちろん頑張ってほしいが、財政的に政策を誘導していくということは非常に難しい面もあるだろうし、ちょうど新しい文部科学大臣も現場主義に徹して、地域に出て行こうということをおっしゃっていただいている。
 この間、幼稚園の先生も保育所の先生も含めた研修会で、ぼやぼやしていると公立幼稚園からつぶれますという厳しいご意見もいただいて、目の覚めた人もたくさんおられると思う。そういう形でこの答申を実践していくため、国も地方も上げて努力が必要じゃないかということも感じている。
 改めて感じるが、雑誌のコラム欄に、フィンランドでは幼稚園の先生が社会の中で一番尊敬されている、そして、待遇もそれにふさわしいものになっているということが書かれていた。日本の現状とあまりにも違うなと。大学の先生が尊敬されて、幼稚園の先生はそれにふさわしい処遇も、社会的な評価もされていないという現状があるときに、この答申をもって、社会全体が幼稚園の教育を重要視し、地域ぐるみで幼稚園を支え、親も子も地域も含めてともに子育てをしていくという雰囲気をつくっていくために、地方も頑張らなければだめであり、国においてご尽力を賜らなければならないのではないかと。
 とりわけ私自身痛感しているのが、小学校と幼稚園・保育所を含めた連続性をどう保っていくのかと。今、ある市で、中学校単位でまず参加者を指定し、幼稚園も保育所も含めて、小学校、中学校の連携組織をつくった取り組みをした。来年度には発表もしていきたいと思っているが、本当に大変。やらなければならないと思っている。
 そういうことなので、いろいろなノウハウという言い方は適切ではないかもしれないが、それらが交流し合っていくような場も、ぜひ答申の具体化に向けて、国のほうでお願いしたい。理念はすばらしい答申ができたのだが、それをどう実践していくか、そのための仕組みづくり、仕掛けをどうつくっていくかということを改めてお願いしたいと思う。

委員
 答申案26ページのところで関係者の連携協力と教育投資の充実というところを盛り込んでいただいた。ここは非常に重要な点だと思っている。私が特に重要だと思っているのは、今回こういうものが出て、これを教育関係とか保育関係の一部の人だけが知っているというのはなくて、一番知らなければいけないのは、保護者の方だと思っている。
 先ほども次世代育成支援計画との連携をというお話もあったが、そういったところを通じて、例えば、出産した人にすべてこういうものを広報するツールを持っていって、生まれたときから教育のことを考える機会を与えるとか、あるいは広報のやり方も日本のことだけではなくて、海外でもこういうことが重要になっている、日本もこういう取り組みをするというような情報なども盛り込みながら、とにかく広報に力を入れていただきたい。
 それは、どうしても幼児教育という言葉を使うだけでもうお受験とか、英才教育みたいなことですごく拒絶反応を持っている方が多くて、そうではなく、すべての子供にとって幼児教育というか、いい育ちの機会が必要なのだということを私たちは議論してきたわけで、幼児教育という言葉に対する誤解もこれを機会に解いていきたいと思っている。
 それからあと今回付け加えられた学校教育法の順番を変えるというのは、私も賛成で、幼稚園というのが教育の付け足しみたいなものではなく、非常に重要な位置を占めるということを今回の答申で社会にアピールできればと思う。

委員
 第2章に一番関心がある。つまり、具体的方策と書かれている部分、先ほどどのように実施していくかということ。例えば、これを読んだときに、保護者の方云々とあるが、実際は学校、幼稚園の先生方がどうするか、である。簡単に言うと、それを見たときにどうするかというのは出てこない。例えば、幼小を連携しましょうと言われたときに、どうするの、という話。では、どうサポートしてくれるのかとか、もっと具体的なものというのは必要ではないかと思う。
 そのときに、先ほどのモデル事業というのもあったのだが、結局基本的にどうつくっていくかというと、まず、現場で何かやっていただいて、そこでいい実践があると、そこからノウハウをとってきてというのではあれば、既に幼保一元化でいろいろな取り組みをやっているだろうし、幼小連携もいっぱいやっているだろうし、そういうノウハウが上がってこないということが実は問題ではないかと思う。そのことに関してどうサポートするかというのがない。つまり、たくさんやっていらっしゃるのに、それが出てこないというのはどういうことなのだということ。
 それから、制度上の問題だから当然教員の養成ということはあると思うが、例えば、一種の免許になったから何が違うということは見えない。そこで一種の免許で、もしカウンセリングとか、子育て支援をしたければ、当然そこでの授業科目から演習の仕方が変わってくるはず。そういうものは、丸投げとは言わないが、また大学で考えろということか。むしろそこのあたりをきちんと具体的なものとして出していただかないと、例えば、今の教育改革のスピードで言うと、17年に方針が出て、18年、基本的指導要領改訂という問題が出てくるとすれば、当然幼小連携の中でカリキュラムの問題が出てくる。そのときに、教員養成が間に合わなくて、従来の教員養成の人たちがまたやれということか。となれば、またここで研修の問題が同じように上がってくる。これの繰り返しただと思う。
 そうではなくて、それを見越した上で、具体的にこの2年間なら2年間で何ができるかが具体的方策だと思う。できれば、この答申で別でいいのだが、では具体的にここ2年間で各園なら園、あるいは教育委員会でもいい、行政でもいい、何をやってほしいのかということ、国は何をやるのかということを分けて書いていただきたいと思う。それに伴って予算措置がいろいろあると思うが、まず、何をやるべきかということが見えてこないので、このスピードではついていけないのではないかと思う。10年後どうなるかという話はいいのだが、とりあえず今何をやるかということを私は知りたいと思う。
 そういう意味で、一種免許にするとか、二種免許にするというのはわかるが、では、一種と二種で何が違うんだ、あるいは一種の中でも何をもっと求めたいんだ、幼小を連携するときには、どういう力がもっと要るんだということは、既に実践を多くやっていれば、多分先生方の実感としてあるはず。それが上がってこないと、具体的なものにはならないのではないかということ。その具体性というのがどうも欠けているような気がしてならない。それが一つ。
 それからもう一つは、幼児教育の重要性というのはわかるのだが、例えば、26ページの一番下のところ、これを否定するんじゃなくて、幼児教育の振興にとって必要だということはわかる。でも、これは言葉を変えれば、小学校教育でもいいだろう。中学校教育でもいいだろう。なぜ、幼児教育でここが必要なのかということが、例えば、これを読んだときに、保護者の人にわかりますか、国民の人にわかりますかと言われたら、私はわからない、必要だねという話だと思う。そこでコンセンサスは得られないような気がする。
 この答申を否定するのではなくて、そこをもっときちんと、国民が理解できるようなパンフレットでもいいが、そういうものが必要だと思う。要するに、これをずっと読むと、全部必要だと思うのだが、何がポイントかというのが構造化されていない。全部が総花的にずっと上がってきて、訴えたいことは何なのかと。これがあると、ほかのことが、つまり、部分的には全部必要なのだが、結局全部はできないだろう。
 例えば、これを全部持っていって、今、地方自治体の首長にこれをばんと出して、ではこれをやってくださいと言われても、何から手をつけるかという話になる。
 そうではなくて、ここをまずやってほしいとか、これをやると付随的にこれがくるんだという構造化された絵が欲しいような気がする。そうすると、ここなのだ、この2年間でこれをやっていくということが見えてくるのだといったような形の具体性というものを、私はこの答申自体ではなくて、何か別のものとして、ここ2年間なら2年間で出していただくようなものを出していただきたいという気がする。
 でないと、結局答申が出ても、例えば、先生方が読んでも、どうすればいいのという質問にきっとなるような気がする。そうすると、また自分たちで考えて何とかしてとどんどん現場に負荷をかけていくだけ。つまり、先生方の教育改革疲れ、おそらくそこへ行ってしまうのではないかという気がしてならない。そういう意味で、ここで言う具体というのは何を意味するのか、そこをもう少し別な形で出していただきたいと思う。

委員
 国においてそこまで決めてほしくない。地方で頑張る。それが地方の力量が試されるときだと思う。
 もちろんそれは網羅的になると思う。しかし、例えば私どもは、私立幼稚園の園長会も、公立幼稚園の園長会、教頭会、それから、400人ぐらい集まった私立幼稚園の若い先生からベテランの先生も含めて、中間答申の段階でも勉強会をやっている。そして、例えば、0、1、2歳の子育て相談、親と子の子育て相談をやっていくためのボランティアの養成講座をもう始めようということが、私立幼稚園の園長会議から起こってきて、手を挙げ出しています。それを来年度、我々行政のほうはその熱意を受けとめて、どう予算化するか。
 あれもこれもこうしなさい、こういうパターンをつくりなさい、それに基づいて地方がやる、幼稚園がやるということではなしに、課題を提起して、大いに議論してもらったらいいと思う。そして我々はまず、「ここと、ここと、ここに手をつけよう。その次に、この課題に手をつけよう。」というのは、地方が考えていく、幼稚園の当事者が考えていくということが一番大事じゃないかと。やらされているのではなしに、やるのだということ。もちろんいろいろなモデル事業、あるいは文部科学省の専門的なご指導は仰いでいくし、大事だと思うが、やはり地方が自分の頭で考え、自分で汗をかかなければいけないのではないかということを感じている。

委員
 結論から言うと、とてもいいまとめになったと思っている。私は昨年の三位一体論で随分と勉強させてもらった。今まで県政というのは、市町村政から見たら全くの他人だったのだが、一応県、市町村が三位一体論で、曲がりなりにも一体感が出てきた。それから見ていると、国は、政府はもうばらばらだという感じをまたさらに一層強くした。そこの中で、私は今度の答申案の、文部科学省と厚生労働省が幼保一体化、これは画期的だと思う。非常に理想を共有され、努力されたと、私は大変賞賛に値すると思っている。
 地方の立場から言うと、国家は理念だけで、手段、方法まで語ってもらったら困る。どうするかは考える余地を残しておいてもらわなければいけないということで、そういう点からも私は、いいプランをおつくりいただいたと思っている。一応そんな感じを持った。

委員
 こういう大事な時期に、子供の問題が、就労支援一辺倒の保育サービスの問題に引きずり込まれずに、教育の視点からきちんと押えようという基準を示していただいた意味では、とても大きな意味のある答申だと思う。その分、少し総花的で、表層的かもしれないが、ここは外さないというのがどの項目についてもきちんと示されているのではないかと感じて、私はそこが一番評価すべきいい点だなと思っている。
 特に幼児教育の意義及び役割の中に、一般的に馴染みのうすい言葉が幾つか出ている。「後(あと)伸(の)びする力」とか、「見えない教育」。「学習の芽生え」は使われてきたが、幼児教育にとっては、これらは外せない大切な言葉。効果が目に見えないと意味がないという風潮が、小学校以上の教育改革の中でも、今とても目立ってきているが、幼児期に必要なのは後伸びする力であるという認識は絶対外してはならないだろうと思う。
 そうすると、教育投資の費用対効果を高めるなどという文言とは少し矛盾しているように感じる。費用対効果を高めること、そして、その効果が目に見えることを求めると、この幼児教育の意義及び役割のところは少し質が変わってきてしまうので、表現を変えたほうがいいものではないか。慎重に説明したほうがいいものと思う。
 それから、分科会にも出ているが、本当に矢継ぎ早にいろいろな改革が出されていて、どんどん新しいものをやらないと遅れている、というような風潮も危険だと思う。変えないで守る、それから、とてもシンプルだが、ここだけ一所懸命やる。例えば、小学校以上だったら授業の質を高める、幼児教育だったら保育の質を高める、それだけに専心していて、それでよいと言ってくださる保護者がいたら、それでもいいのだというような、ゆるがせにできないような大事なものというのも主張していく必要があるのではないかと強く感じている。
 何とか質だけは守りたい。今後私たちがこれをどう皆さんに広報していくか、私たちの力で広めていくかということも責任があると思うので、そこは外さずに、今後のサポートをしていきたいと思っている。

委員
 一つの方向性が見えてきたのではないかと思っている。人によって、地域によって、学校の種類というか、幼稚園、小学校によって、まだまだかなりの温度差があるのではないか、と思った。
 ある県の幼児教育研究協議会に出て現場の先生のお話を伺ってもそうだったし、PTA連絡協議会に出てそういう話をしても、親から見れば、小さい年齢から預かってもらえるようになるんだ、長時間にわたって子供を預かってもらえるようになるんだという程度の認識しかまだまだなくて、それではあまりよくないと感じているし、親も、言葉が悪いが、けしかけてくれれば、やることはきっちりやる親もおり、地域にはそういうおせっかいなおやじやおばさんたちもまだまだいるので、こういうことをやるんだということを広く知らしめていただきたいと思う。それと、先ほど「これからだ」と課長が言われたので、これから親としてもっと頑張っていきたいと思う。

委員
 26ページのところ、前半は非常にいいが、後半の教育投資の費用対効果というところに私は少し抵抗がある。
 というのは、非常に評価が難しいし、小さければ小さいほど馴染みにくい部分というのがあって、あまりにも費用対効果というものが前面に出てしまうことで、失うものも大きさがあるような気がする。できることなら、この文言を少し考えていただいておいたほうがいいのかなと思う。
 そういう意味では、教育は未来への先行投資である。それから幼児教育分野への重点的な資源投入を図る、これは非常に重要だと思う。そのこととほかの経済活動とは違うという側面を外してしまうと、子供が死んでしまうというか、本質的なものがどうしても外れてしまう。心情、意欲、態度というようなことがある。これは非常に評価しにくいもの、それをどう育てるかということと、投資の費用対効果とは評価にそぐいにくい概念ではないかと思う。

委員
 教育予算はこれだけ税金を使って効果があるのかという話、議会で議員が毎回必ず質問する。だから、行政としては、それに対してどのように説得していくかということは私も未解決。私は、そんなものは、はかれませんとはっきり言い切っているが、市民はそれでは納得しない。第三者評価、外部評価システムを導入するとか、それはいつも言うような言い方をしているが、納税者というのは絶えずエンドレスに質問してくるだろう。

委員
 私もここの会議に出させていただいて、大変勉強になった。今、世の中が社会のニーズということで、保育所志向に偏っているかなという気がするが、いろいろ勉強させていただく中で、幼稚園というのは重要だなという感をむしろ強くした。サブタイトルにつけられた「最善の子供の利益のために」というところが、きちんと真っ向切って図れるのは幼稚園だなということを思うので、むしろ今後も誇りを持って進めていきたいと今思っている。
 それで、大変細かなところで恐縮だが、5ページの上段、4行目の幼児教育はというところで、「後伸びする力」でこういうことが育つというようなことを言っているが、子供たちを見ていると、幼児期にどうしてもはぐくんでおきたい力の一つに、人とかかわる力、人間性、人間力という言葉を使っているようだが、社会性、そういった一文がここに入るといいというのを、後からで恐縮だが、強く思った。
 それから、幼稚園教育は大事だと言いながらも、幼稚園もいろいろありますので、質というものをいかに維持向上していくかということが今後私どもに大きく問われるということを感じている。
 そのことを思ったときに、18ページの3番、幼稚園教員に資質及び専門性の向上、幼稚園教員の資質と専門性の向上に質の担保というのはかかっているのだと思う。ここは養成、採用、研修に言い及んでいただいているので、これはこれでいいと思うが、研修のところはもう少し、何度か言ってきているように、これは園舎外の研修がほぼイメージされているが、総合施設のほうには入れていただいてあり、園舎内の研修の大切さというのもぜひどこかに入れてもらいたいということを今見ながら、改めて思った。
 それからもう一つ、ここで検討するのか、あるいは26ページの第4節のその他の課題の(1)あたりに入れていくのかもしれないが、確かに上級免許の取得だとか、男性職員の割合を高めることだとか、そういったことは非常に重要だと思うが、現実に今、幼稚園で起きていることの一つに、幼稚園の中に講師対応のところがとても増えてきている。正規の職員ではなくて、講師でも対応できることが設置基準にうたわれている。3分の1までは講師で対応できるというようなことがうたわれている。それから、3歳でもお一人で35人持つことが可能となっていますし、この答申を踏まえて、この設置基準にもう一度メスを入れることが必要なのではないかとすごく思っている。
 幼児教育は、幼稚園だけでなく、就学前の子供すべてを視野に入れながら、幼稚園の果たす役割というのは大変大きいということを私はこの1年間で実感したので、いいものになっていくようにみんなで力を合わせて、これからが頑張りどころではないかと思っている。

委員
 私も、今、幼児教育も学校もいろいろな問題と、そこへのさまざまな提言が世の中にあると思うが、それがかなりうまく入れ込めたと思う。ただ、それは逆に言うと、確かに総花的というか、あれこれ入り過ぎているというか、そういう面もある。
 私はこの報告は報告でいいと思うのが、今後としては、三位一体改革の流れの中で非常に難しいところはあると思うが、国としてどこまで責任を持って、明示するものは明示するか。設置基準等もそうだし、幼稚園教育要領もそうだが、そういう部分と、それから、国としてある程度情報提供する部分とか、ある種のリコメンデーションをする部分と、ある範囲で自治体に全く任せる部分、さらに言えば、幼稚園現場に任せる部分というような切り分けというものが必要だと思う。おそらくこの報告の中にはそれらが一緒になって入っているという意味では、確かにめり張りがついていない部分があるので、来年度以降になるのかもしれないが、そのあたりのご議論を今後ぜひお願いしたいということで感想にかえさせていただく。

事務局
 部会の先生方には本当に長期にわたって熱心にご審議を賜り、いい報告書をおまとめいただき、心から御礼を申し上げたい。
 今回の報告については、いろいろな見方があると思うが、子供を取り巻く環境が大変大きく変わってきている中で、もちろん幼稚園が非常に大事な教育施設ではあるわけだが、幼稚園を含む幼児教育全体についてご審議をいただいて、その方向性についておまとめいただいたということは、私ども、大変ありがたいと思っている。
 一方で、先ほど委員のほうからもお話があったように、総合施設の話が昨年文部科学省と厚生労働省の間で検討がずっと進んできて、本年度はモデル事業を実施するというところまで行っている。
 率直に申し上げて、文部科学省と厚生労働省で、巷間言われているような縦割りということについても、そういうことではなく、とにかく今、幼児期の子どもの育ち、保育、教育ということを一緒に考えようという空気にあるということはぜひご理解を賜りたいと思っている。これは部会長をはじめ、合同部会にご出席いただいておわかりかと思う。もちろん省の壁はあるけれども、幼児ということに着目して、国として総合施設を一つの手がかりにしながらきちんと考えていこうという姿勢に今あるということはご承知置き賜ればと思っている。
 それから、答申そのものについては、今後の取り扱い等についても今いろいろとサジェスチョンをたくさんいただいたので、広報を含め、さらには国と地方の役割等について非常にわかりやすく私どもなりに示せるものがあれば示していく、今後私どもとしてはそういうことについて努力していきたいと思っている。
 なお、最後に今年は秋までかけて、中央教育審議会で義務教育のあり方についてご審議いただくということになっている。その際には、当然幼児教育の側から見た場合の義務教育ということについても十分議論しなければいけないと思っているし、逆に義務教育の側から見た幼児教育、意見の中には義務教育年齢についてももう少し考えるべきだという意見も当然あるわけだが、双方から見た義務教育、幼児教育について、おそらくかなりの議論になるのではないかと。その場合に、今回の答申というのは審議の際の有力な手がかりになるのかと思ったりしているところ。
 先生方におかれましては、本当にそれぞれお忙しい中で、熱心にご審議を賜りましたことを重ねて御礼申し上げまして、一言だけ申し上げさせていただいた。

委員
 11日、来週火曜日に初中分科会が開かれて、そこでこの案について再びご議論いただく予定。その後、総会へ持っていくというスケジュールになろうかと思っている。
 先程、委員のほうから幼保連携についてはいろいろないい先行事例があるはずで、それが上がってこないのが問題だというお話があった。上がってこないことが問題だという点については全く同感であり、日本は現場では相当いろいろな意欲的な取り組みが行われているにもかかわらず、その情報が共有できないという社会になっているのではないかと思う。中央教育審議会だけに関してだけでも、そういう経験をたくさんした。
 例えば、これは中央教育審議会ではないが、独創性をいかに涵養するかという研究協力者会議をやったことがあるが、その2期目に大学、高専で独創性を身につけさせるために一体どういうことをやっているのか聞いてみようではないかということで、アンケートを出してみた。
 驚くべきことに、実にさまざまな試みが行われているという報告が寄せられた。そのうちの2割か3割を委員全員で読んでみたが、まさに目からうろこで、すばらしい取り組みが大学、高専で行われていることが明らかとなった。それらを選び事例集をつくったのだが、大変な評判となり、3度ほど増し刷りをした。
 いいことが行われているのだが、我が国の社会には、それをくみ上げる仕組みが整ってないと出てこないということで、パイロットの事業を、1年でもやれば、既に行われている試みに関する情報が相当出てくるのではないかと大いに期待している。
 私は大学にいたときに、カウンセリングの先生とともに多くの学生の悩みを聞いた。ほとんどの場合、問題を抱える学生については、幼児教育に問題があったのではないかとの印象を強く受けた。そういうことから言うと、こういうところで幼児教育についてきちんと議論していただいたことは非常によかったのではないかと思っている。

部会長
 この答申案につきましての審議は一応終了させていただこうと思っている。
 なお、答申案の取り扱いについてだが、一応部会長であります私に預からせていただき、委員の皆様のご了解を得た上で、部会として取りまとめていきたい。必要な修文があれば、そのようにして、もちろんまたご連絡をさせていただくが、そう扱わせていただく。
 なお、1月11日の初等中等教育分科会と26日の中央教育審議会総会にこの内容を報告して、ご了承を賜るということで進めてまいりたいと思うがよろしいか。

(「異議なし」の声あり)

部会長
 それでは、そういう形で進めさせていただく。
 一昨年の10月から1年4か月間やったが、皆様のご協力、ご支援があってこそ、幅広い検討課題に精力的に取り組むことができたものと感じている。部会長として改めて御礼を申し上げる。
 もっとも先ほどから議論が出ておりましたように、幼児教育をめぐってはまだまだ解決しなければならない課題が山積している。幼児教育部会についてはひとまず閉じさせていただくが、皆様には引き続きそれぞれのお立場でお力添えをいただければと思うので、どうぞよろしくお願いしたいと思う。

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課