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資料3


初等中等教育分科会幼児教育部資料   2003.2.2
千代田区型幼保一元化施設   いずみこども園での取り組みについて
千代田区立いずみこども園   藤原和子


1、いずみこども園の概要

1   はじめに
   千代田区では昭和63年から、「年齢区分方式」によって「幼稚園」と「保育園」の連携に取り組むなど、早くから幼保一元化的な取り組みを行ってきた。平成14年4月、21世紀にふさわしい乳幼児育成施設として、「幼稚園」と「保育園」の双方の要素を取り入れながら、両園の枠を越えた新しい千代田区型幼保一元化施設である「いずみこども園」を創設した。

   経緯・経過
(1) 和泉幼稚園・いずみ保育園の「年齢区分方式」
0歳児から2歳児までを「いずみ保育園」、3歳児から5歳児を「和泉幼稚園」が担当する年齢区分方式を採用。3歳児から5歳児については長時間保育を実施し、保護者の就労形態に応じて保育時間を選択できるようにした。
(2) 年齢区分方式の成果と課題
〈成果〉・ 施設の複合化により、給食の共同調理や園庭の共同利用が出来る。
幼児数の少ない地域でも集団生活に必要な幼児数を確保できる。
保護者の就労形態が変化しても、継続して幼稚園教育が受けられる。
〈課題〉・ 0歳児から5歳児までの一貫した方針に基づく継続した保育が進まない。
職員や園児の交流が少なくなり、特に異年齢の交流が進まない。
幼稚園と保育園の保育時間や保育料が異なるなど、一体的な運営が行われない。
(3) 「こども園」設置の検討
          ・ 平成  9年5月 「千代田区幼児教育のあり方検討会」設置
平成11年2月 「幼稚園・保育園の連携のあり方を考える懇談会」設置
平成13年9月 「(仮称)こども園開設準備委員会」設置
「(仮称)こども園開設準備プロジェクトチーム」設置
  11月 「こども園開設準備室」設置

3   一元化の基本理念
   子どもと保護者の双方の視点に立ち、地域の子どもが年齢や保護者の就労形態で区別されることなく、0歳児から就学前までの心身の発達に合わせた一貫した方針に基づき、一つの施設で継続的に乳幼児育成を行うことを基本理念としている。今後、区では、こども園と幼稚園、保育園を地域のニーズに合わせてバランス良く配置し、保護者の多様なニーズに応えていく予定である。

   こども園の特徴
(1) 千代田区立こども園条例を設置し、幼稚園・保育園を包含する新たな乳幼児育成施設として位置づける。
(2) 幼稚園教育要領と保育所保育指針を基にして乳幼児育成方針を作成し、0歳児から5歳児までの一貫した保育を行い小学校につなげる。
(3) 保育所の入所要件にある「保育に欠ける」要件を緩和し、「要する」枠を設ける。
地域の子どもが年齢や保護者の就労形態で区別されることなく、同じ内容の育成課程を受けられるようにする。
(4) 保護者が保育時間のパターンを選択できるようにする。
(5) 管理運営体制を一元化し、一人の園長のもとに、幼稚園教員と保育士がそれぞれの専門性を生かしながら一体となって運営にあたる。

   こども園の概要
(1)認      可    0歳児から2歳児までが保育園認可。3歳児から5歳児まで幼稚園認可。
(2)入所要件 区内在住の0歳児から5歳児。
(3)定      数 0歳児12人、1歳児15人、2歳児16人
(内、要する枠0・1歳児各3人、2歳児1人)
3・4・5歳児35人(内、長時間児20人、短時間児15人)
(4)環境整備 こども園として一体的に利用するための施設改修を行う。
(5)育成方針 幼稚園教育要領と保育所保育指針に基づいて、千代田区独自の乳幼児育成方針を定める。

   保育料
(1)基本的な方針        応能主義、時間対応、適正負担、公平性、区内の幼稚園・保育園との均衡を図る。
(2)料金設定    
         ・0歳児から2歳児        他の保育園の保育料と同じ
・3歳児から5歳児   長時間保育料は保育園との均衡、短時間保育料は幼稚園と均衡を図って設定。
(時間に応じた負担とするため、短時間保育料は長時間保育料の50%の額)
「預かり保育」の保育料は2時間200円


2、幼児の生活と園の運営

1   こども園の生活      <3歳児から5歳児>
1 こども園の生活  <3歳児から5歳児>
土曜日、夏季休業日、冬季休業日、春季休業日、都民の日、開園記念日、振替休業日は短時間児は休業日となる。
長時間児は年末年始のみ休園となる。(拠点方式の年末保育あり)

2   こども園の保育の特色
0歳児から5歳児までの交流を幼児の発達を考慮して取り入れる(生活・遊び・行事 等)
小学校、地域等との連携を図る。(行事への参加、生活科での交流等)
保護者のニーズに応じた内容を付加する。(保育後の体操クラブ、英語クラブ等)

3   こども園の組織









  教   員 保育士 看護士 用   務 合   計
園      長 1       1
副   園   長   1     1
主   任 幼児部 1       2
乳児部   1    


学級
   担任


5歳児 短時間 1       1
4歳児 短時間 1       2
長時間 1      
3歳児 短時間 1 1     3
長時間 1      


2歳児 1 2     3
1歳児   3     3
0歳児   3     3
看   護   師     1   1
用務
   主事
幼児部       1 2
乳児部       1
  合      計 8 11 1 2 22
他に非常勤講師(1名)、非常勤職員(6名)、臨時職員が勤務している。
2歳児から3歳児へ無理のない移行を考え、2歳児に幼稚園教員を3歳児に保育士を配置している。

4   勤務ローテーション
   幼児部の勤務ローテーションは短時間保育、長時間保育の担任がそれぞれの保育時間の保育を充実させることができるように、一年間固定している。乳児部は、子どもの保育時間の変化に応じながら勤務時間を設定し、1日ごとのローテーションを組んでいる。

平成15年度千代田区立いずみこども園   幼児部   教職員11月の勤務ローテーション
11月 行事
予定
コアタイム勤務
8:05〜
16:50
長時間担任
9:30〜
18:15
勤務A
9:35〜
16:30
遅番勤務B
10:00〜
17:45
遅番勤務C
10:00〜
18:15
遅番勤務D
11:00〜
17:55
遅番勤務E
11:30〜
19:45
1                
2                
3 文化
の日
             
4                
5                
6                
7                
8                

長時間保育担当の正規の教員と3歳児担任の保育士、副園長、乳幼児部主任は土曜勤務にあたる。土曜勤務に当たる場合、基本的に勤務に当たる週の月曜日を休務日とする。また、3歳児担任の保育士が休務の日は、非常勤保育士や3歳児長時間保育担当の教員がコアタイムの勤務になる。
3歳児担任の保育士は幼児が長時間保育へ無理なく移行できるように、短時間保育終了後、午睡が落ち着くまで対応する。
長期休業中は園長、短時間保育担当の教員も含めたローテーションを組む。
勤務A〜Eは非常勤講師、非常勤職員、臨時職員があたる。

5   職員の連携について
     (1) 職員会議について
職員会議は、幼児部・乳児部それぞれの会議を月1回ずつと、合同の会議を月1回行っている。幼児部・乳児部の会議では、園長、副園長、各部の職員の他、それぞれの取り組みの様子を共通理解できるよう、1名ずつ他の部の職員が交代で参加している。

(2) 園内研究会について
研究の組織
総括      園長   副園長
研究推進委員会            研究推進委員
研究全体計画の立案        ・研究の進め方、研究全体会のもち方の提案
指導計画の形式提案   ・各分科会の連絡調整
研究全体会            全教職員
研究全体の検討を行う        ・研究保育、分析、協議
講師より指導助言を受ける    
分科会            事例検討、指導計画・育成課程の見直し
幼児部短時間保育部会

幼児部長時間保育部会
乳児部会
     ・ 研究全体会は幼児部短時間保育担当の教職員、出席が可能な長時間保育担当の教職員、乳児部の教職員が出席する。
     ・ 分科会は年間予定に従い、 幼児部短時間保育部会
幼児部長時間保育部会
乳児部会
       14:15
10:00
17:00から行う
学期に1〜2回、研究全体会を行う。   17:15から行う

     (3)打合せについて
     ・ 職員朝会は毎朝、幼児部短時間保育・乳児部・幼児部長時間保育の3回に分けて行い、園長、副園長が参加し、一日の流れや連絡事項を確認し、幼児部や乳児部のそれぞれの様子が共通理解できるようにしている。
幼児部では週1回、短時間・長時間・学年ごとに打合せを行い、保育のねらいや保育方法、幼児理解などについて話し合い、共通理解している。


3   今後の課題

1   幼稚園としての機能を充実させるために

2   保育園としての機能を充実させるために

3   総合施設としてのこども園を充実させるために


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