戻る

資料2


幼児教育の意義及び役割
〜これまでの議論の要点整理(案)〜



1.子どもの育ちの「異変」

身体能力、自我(自尊心)、社会性(コミュニケーション能力、自制心、耐性など)が十分に育っていない
こうした育ちの異変が、小学校以降の学習や生活のあり方にも影響・関連
学習習慣、学ぶ意欲などが十分に身についていない
「非社会化」の行動(無気力、問題行動等の不適応)の遠因
など
こうした子どもの「異変」の重大性について、社会全体での共通認識が不可欠

2.子どもの育ちの「異変」の背景

(1)    子どもの育ちの環境の変化
子どもの生活と遊びの場(空間、時間、仲間)の喪失
子どもが地域の集団に参加する機会の喪失
直接体験の減少とメディア(テレビ、ゲームなど)との接触の増加

(2)    社会的背景
家庭の変容
家族の基本的機能(子育て、しつけ、介護など)の低下、外部化
子育ての負担感の増大、孤立化
コミュニティの喪失と人間関係の希薄化
急激な社会の変容
競争主義、商業主義、経済合理主義、個人主義、自己責任原則、大人中心の生活様式   など

3.幼児教育の意義及び役割

(1)    普遍的な意義:「人間形成の基礎」の育成
   幼児同士による集団の形成、教育的意図を持った活動する環境の設定、専門性を有する保育者の適切な援助のもとで、身体感覚を伴う経験をすることによって、生涯にわたる人間形成の基礎(芽生え)を培う

(2)    今日的な意義:「失われた育ちの機会」の補完
   家庭や地域の機能の低下を踏まえ、地域の様々な資源を結集し、家庭を支援しつつ、子どもの将来の育ちを見通し、幼児期にふさわしい遊びと活動の場を提供し、心身の発達を促していくこと

(3)    役割
   幼児教育の普遍的意義及び今日的意義を踏まえ、幼児教育には、例えば、次のような役割が期待されるのではないか

1 集団生活の中で、幼児期にふさわしい豊かな経験の機会を保障することにより、生きる力の基礎を育成
(特に、社会性、身体的能力、自尊心、知的好奇心等の育成を重視)

2 保護者の子育て力の向上を支援(学びの機会の保障)すること、地域の子育て資源のネットワーク化拠点になることなど、地域の幼児教育センターとしての役割を強化
など

4.幼児教育の改革の方向性

〔基本的方向性〕
   幼児教育の果たす意義及び役割を踏まえ、教育の諸問題の解決を目指し、幼児教育を教育改革の優先課題としてとらえ、その抜本的な機能強化が不可欠ではないか。

   例えば、次のような改革の方向性が考えられるのではないか。

(1)    すべての幼児に対する充実した幼児教育の機会の保障
   幼稚園にとどまらず、総合施設での取組みや保育所への普及も視野においた施策の展開

(2)    発達の連続性を踏まえた幼児教育の機能の充実・強化
   幼児教育と小学校との接続・連携の強化、入園前の低年齢児保育の支援などの適切な位置づけ

(3)    子どもの今日的課題を踏まえた幼児教育の専門性の向上
   教育内容・方法、教員の専門性、教育環境   など

(4)    教育的アプローチを重視した子育て支援の展開
   次世代育成支援の中で、親が親となる学びを支援(生涯学習の視点)することによって、子どもの育ちや教育を支援

(5)    幼児教育を支える基盤の強化
   市町村等の責任の明確化(教育委員会の役割など)、持続的改善を促す仕組み、外部資源の活用   など


以   上

ページの先頭へ