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資料2

平成16年1月13日

中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育部会/意見発表要旨


子どもの社会力について

筑波大学教育学系教授   門脇厚司

1. なぜ、(教育)社会学者が乳幼児の育ちについて発言しなければならないか。
 
「若い世代」の社会力の衰弱が著しいから。
社会力の衰弱が「非社会化」というべき病理的な事態や現象を増幅しているから。
非社会化現象とは、いじめ、不登校、フツーの子の自閉症化、無気力、引きこもり、ネット中毒、ゲーム中毒、オタク化、薬物依存、自殺願望などのこと。
社会力の衰弱が若い世代の脳機能を劣化させていると考えられるから。

2. 社会力とはどのような資質能力のことか。
 
人が人とつながり社会をつくる力。
そして、よりよい社会をつくろうとする意欲と、それを実現できる構想力と実行力。
社会力のおおもと(原基)は他者への関心、愛着、信頼感。

3. 社会力はどのようにして培われ、育まれ、強化されるのか。
 
ヒトの子が先天的に備えている高度な能力を“解発”し、フル稼働させることで。
そして、多様な他者(とりわけ多様な大人)との相互行為を重ねることで。

4. われわれ教育関係者は、差し当たって、何をしなければならないか。
 
子どもの“異変”について認識を共有すること。
乳幼児教育の重要性を周知徹底させること。
そのための“確かな理論”を創り、分かりやすく説明すること。
教育とは「ヒトを“人間”に育てることである」ことを再認識すること。


<関連図書>
   門脇厚司著『子どもの社会力』(岩波新書、1999年)
   門脇厚司著『親と子の社会力』(朝日選書、2003年)
   門脇厚司編著『学校の社会力』(朝日選書、2002年)



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