資料2 |
幼児教育の役割 |
● | 幼児教育には、「見えない教育」としての特徴がある。幼児にとっては、「遊び」が生活であり、遊びに没入し、個性発揮する、すなわち「遊び込む」ことが幼児にとっての教育である。子どもの流れに沿ったカリキュラムのなかで、教育的意図を埋め込み、それを踏まえて、個や集団への支援を行うことにより幼稚園教育は実現される。 |
● | 目に「見えない教育」である幼児期の教育において、幼児の日々の経験において、「幼児の発達をどう見る」、「どう見せる(保護者等への説明責任)」というのが、専門家としての保育者の役割。 |
● | 幼児教育は、幼児が様々な「芽生え」を経験できる教育の場である。「芽生え」を培うということは、知識をやさしくしたものを教えることではなく、幼児が事物と直接出会い、身体感覚を伴って複合的に実感する体験を通じて学ぶことである。 |
● | 幼児同士が関わりあって「協同で学ぶ力」は、三年間の発達のなかで、発達に応じて身についていく。それは、また、小学校に入ってから、教科学習における理解を深めるだけでなく、総合学習などの課題を持って共に探求する学習全般の基礎となるとともに、集団でのルール形成の基礎ともなる。 |
● | 幼稚園教育の固有性は、感覚や体験を通じて学ぶことが保証されている教育と考えている。 |
● | 親の目一杯の愛情がふり注がれるはずの幼児期において、愛情が足りていない場合が少なくないのは、深刻な事態だと思う。 |
● | 現場の先生自身が、子どものときに十分な自然体験を実はしていないのではないかという懸念がある。日本の子どもの科学技術などについてのリテラシーは高いのに、大人になると先進国でも最低の水準という現実もある。幼児期において、実体験を通じて身につけられたことは、大人になっても残る。 |
● | 当部会において、幼児教育の位置付けをどうするかが明らかになることを期待。幼児教育における5歳児教育の在り方がポイントになると考えている。 |
地域コミュニティ |
● | 保護者が、我が子以外の幼児や他の保護者と関わる機会を、幼稚園を通じて得て、親として成長すれば、「我が子主義」を超えた「地域の大人」となる。そのような成長した親たちによって子育てが支えられるようなコミュニティ(ケアリング・コミュニティ)が形成されることが望ましい。 |
● | コミュニティの役割には、保護者にとどまらず、高校生や大学生のボランティアとしての活動や、民生委員、児童委員、保護司などの活動も含めて考えていきたい。 |
● | 地域のコミュニティを形成することは重要であり、今後の議論では、生涯学習の視点から、「どういう社会」を目指すのかという視点が不可欠。 |
● | 地域活動を通じた「親が親になる教育」の必要性に共感する。学校種を超えた課題である。 |
幼小連携 |
● | 幼児期から小学校、中学校までの子どもの発達について、目に見えないものを見ようとして見る。それを踏まえたカリキュラムを作ってみる。そうすることによって、地域の人にも発信が可能となるとともに、幼小の間の実際の不連続をどう見るか、幼小の連携をどう考えるか、具体的に何ができるか、という視点が出てくる。 |
● | 幼小の連携は、どういう子どもに育てたいのかというヴィジョンをお互いに持って行うべきである。方法としては、カリキュラム作りが一番大切であると思う。 |
● | 幼小の連携、また、幼保の連携においても、ヴィジョンとそれを実現するためのシステムを持つことと、それを支える組織と財政が必要となる。 |
● | 幼小連携の議論、実践においては、公立幼稚園が先行し、私立幼稚園は、幼小連携について取り残されている感がある。教育委員会を中心に、公私を通じた幼小連携が必要。 |
● | 幼小連携については、小学校の方から幼稚園に働きかけてもらうようにすることが有効。 |
幼保連携 |
● | 子育て支援については、母親対策としての福祉政策が優先する実態があり、「子育てはハンデだ」という考えが通用するような世の中に対して危機感をおぼえる。幼保一体化についても、子どもの教育という観点を優先して議論を行う必要がある。 |
● | 待機児童を問題としていた人たちの不満は、保育所は便利だったのに小学校では遅くまで子ども預かってくれないから不便だという不満にターゲットを移してきているが、親は預けるだけでなく幼児教育にもっとかかわるべきである。 |
● | 幼保一元化については、幼児期における教育への投資という観点に立って、将来的に展望の開ける議論を行いたい。 |
● | 幼稚園も保育所も、子どもの自立を手助けしているのであり、親が子どもの面倒を見て欲しいということが優先してはならない。 |
● | 幼稚園教育を語るには幼稚園教育の固有性を明らかにする必要がある。一方で、保育所の固有性についても明らかにする必要がある。そうすることによって、幼稚園と保育所を一本化するのがよいのかという議論をする必要がある。現状では、こういう視点から議論を行うためのデータが十分ではないと感じている。 |
● | 幼稚園と保育所の固有性についても、各地の教育委員会で議論すべき。その際、行政体制や補助金から入ると議論が進まないので、まず、教育の哲学から議論すべきである。 |
地方行政 |
● | 「民間でできることは民間で、地方でできることは地方で」という国民的コンセンサスを、どう幼児教育の場において実践するかということが課題。 |
● | 地方の首長の一部では教育委員会不要論があるが、当部会で紹介されたような幼小連携や幼保一体といった取組を、教育委員会が中心となって実践すれば、目に見えて効果も上がるし教育委員会も甦ってくる。 |
● | 保護者の会(親父の会)など、親がともに学びあう機会については、地方行政としても推進している。 |