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「見えない教育」としての幼稚園教育の特徴(小学校以上の教育制度と比べて)
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バジル・バーンステインの考え方に「見える教育」と「見えない教育」という概念がある。「見える教育」は教師と生徒との階層関係・内容や時間・空間を組織するルール、行動を統制する言語、評価規準が明示的であり、それらが生徒にわかる教育である。一方「見えない教育」はこれらが子どもや一般の人に見えにくい教育である。それはまた、総合的で柔軟であるシステムをもった教育ともいえる。 |
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専門家である保育者は、「見えない教育」の中に子どもや子ども達の発達の道筋からカリキュラムをとらえ、日々の出来事から子どもの変化を意味づける「見る」「見せる」専門性をもっている。それが「期」「領域」という発想であり、「環境」の中に教育の意図を埋め込むという方法と個や集団への支援によって実現されている。(cf.総合的学習:スコープ、シークエンスによる学びの軌跡としてのカリキュラム) |
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制度の相違がカリキュラムや組織、道具、活動、信念や語りの様式を変えている。 |
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幼小連携の実践から見えてくる「芽生えを培う」という役割(小学校以上の学習との接続)
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道徳性の「芽生え」を培うだけではなく、さまざまなリテラシー(文字、数量、科学、社会性)の「芽生え」を、身体感覚を伴って複合的に実感し経験できる教育の場として、幼児教育を位置づけることができる。それは小学校以上になって、より実感をともなって教科の内容をわかることへつながると考えられる。 |
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関わりあって協同で学ぶ力が、遊びを通して3年間の発達の中で身についていく。これは協働で学びあっていく学習の基礎となる。(公共性、市民性を培う学校の基盤を作る、再学校化シナリオへの基盤を作る)
年少 |
安定して教師や友達との信頼関係を築く。探索的な活動の基盤の形成 |
年中 |
自己発揮によって、「遊びこむ」経験が学習対象への没入経験の基礎となるいざこざ・葛藤を通しての自己調整能力や交渉能力が育つ |
年長 |
共通の目的やイメージをもって創出していく協同的な遊び・活動の経験(プロジェクト型活動)は、生活科や総合的学習だけではなく、課題を持って共に探求する学習の基礎となる。(例 お店屋さん、海、遊園地ごっこ)集団でのルールの形成変更過程を経験できる(例 ゲームや鬼遊び) |
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幼稚園教育における「個性化」という役割(家庭とは異なる場としての幼稚園)
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養護だけではなく、教育的な意図が埋め込まれた環境の中であるからこそ、多様な自己表現が可能となる。アートや想像力・創造力を育てる。 |
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感性、身体感覚、運動能力を培う |
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子どもの群れ、子ども社会を作る(自我の形成、自己の物語の生成) |
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親が「地域の大人となる機会」を与えるという役割(ケアリング・コミュニテイ)
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我が子の対象化、発達への見通しを与える 親にとっての世界の広がり |
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子どもの経験を軸にした出来事の見方を提供する。 |
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地域の他の子どもや親との出会い |
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