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中央教育審議会初等中等教育分科会

2003年10月24日 議事要旨
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会  栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループ(第3回)議事要旨

中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会
栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループ(第3回)議事要旨


1. 日   時   平成15年10月24日(金)10:00〜13:00

2. 場   所 東海大学校友会館「朝日・東海の間」

出席者 平出主査、天笠副主査、香川委員、田中委員、村田委員、八木下委員、山本委員、横山委員、渡邉委員
(文部科学省) 樋口審議官、竹下教職員課長、宮内教員研修企画官、高杉スポーツ・青少年総括官、大木学校健康教育課長、藤江健康教育企画室長、その他関係官

4. 議事
(1)    栄養教諭免許制度の在り方について関係団体から意見聴取
   意見聴取の後、質疑応答。主な発言は以下のとおり。(○=委員、△=文部科学省、□=関係団体)資料に基づく各団体の意見は省略。
1 全国都道府県教育長協議会(資料配付のみ)
2 全国市町村教育委員会連合会
(質疑)
   食の問題に関する家庭の機能の「低下」と言われているが、正しくは機能の「変化」ではないか。その変化にどのように対応していくかが栄養教諭の持つ非常に大きな意味ではないか。
   今の子どもの食習慣を改善しないと将来が危ないという認識が根底にある。制度を創設することも必要であるが、保護者に対する啓発や地域住民の認識を改善することがまず必要である。
   学校給食の年間時数は、子どもの年間食事数のわずか16%ではあるが、それを通じて食習慣の改善や家庭への影響力を図るとの理解をしている。
   給食の時間数は有効性を表す数値ではない。この他にも、学校栄養職員が家庭で相談に応じたり、担任の教員が家庭で話をしたり、給食の時間に話をするなど、有効な手段は講じられている。
   給食を通じた外部への影響、給食による食習慣の形成が世界的にも重要な意味を持っており、そのようなことも期待できると思う。

3 全日本教職員組合
(質疑)なし

4 全日本教職員連盟
(質疑)
   食に関する指導は、今の学校教育の中でも、家庭や保健体育の中で行われているが、新たに栄養教諭を創設した場合に、家庭科教員との役割分担をどのように考えるのか。
   家庭科の一部分として食の指導がある。家庭科教員は、家庭科の指導を栄養教諭と連携し、例えば指導案を栄養教諭と相談しながら作るなどして、更により良いものができるのではないか。
   管理栄養士相当の資質が必要であると強調されている一方、基礎資格は管理栄養士、栄養士どちらでもいいとも言われており、少し矛盾していないか。
   栄養士でも教員として指導したいとの意見はあるが、教壇に立つには深い知識がなければならないため、しっかり勉強して教壇に立ってほしい旨を表現したものである。

5 日本教職員組合
(質疑)
   管理栄養士には、医療の専門性が求められていると強調されていたが、国際的にはコミュニティ・ニュートリション(地域の栄養)等の部分も医療と同様に重要であるので、ご理解いただきたい。
   我が国では、一般には臨床栄養と見られているからである。教員養成の中では、食の文化、歴史、学校給食論を修得させるべきではないか。
   現行の学校栄養職員の1日の職務と、栄養教諭が授業を行った場合の1日の職務のイメージを教えてほしい。
   午前中は給食の準備、午後は片づけとなり、調理員の指導が済めば、授業は5、6時間目になる。しかし、毎日の指導は難しい。職域上の議論、学習指導要領上の位置付けの議論がある。総合的な学習の時間や、調理員に任せられる業務の時間に教えたり、ホームルームを活用している例は聞いている。教諭としての職務であるから、栄養指導のみでなく、子どもの個々の教育について対応すべきである。また、校務分掌も担ってもらうこととなろう。

(2)    栄養教諭免許制度の在り方等に関する検討の方向について
   事務局から、「栄養教諭免許制度の在り方等に関する検討の方向について(案)」等について説明の後、当該資料をもとに意見交換が行われた。主な発言は以下のとおり。
(意見交換)
   学校栄養職員が栄養教諭になっても、主たる業務は日々の給食管理業務であることには変わりないであろうが、現在の学校栄養職員が栄養士資格でよいのであれば、栄養教諭も栄養士でもよいのではないか。管理栄養士又は栄養士の資格が必要とすれば、免許状の種類は異なってくるため、自ずと専修・一種・二種となるのではないか。教員としての資質は一種でも二種でも同じであろう。管理栄養士を必須の資格とすれば二種免許状はあり得ないのではないか。
   これまでの議論では、一種免許状は管理栄養士相当の専門性、二種免許状は栄養士相当の専門性と連関させる意見が多かった。
   免許制度上は、基礎資格として、二種は短期大学卒程度、一種は学部卒程度、専修は修士課程修了程度が基本となっており、それと管理栄養士、栄養士の資格を連関させた場合、栄養士を想定しないとすると、短期大学レベルの二種は考えないという整理になる。また、ご指摘のとおり、原則として一種、二種で一般の教諭と同様、職務内容が変わるということはない。
   管理栄養士はより高い知識を持たないと社会の要望に応えることができない。生活習慣病対策は、高度な技術・知識が必要であるように、制度を創設し十分な成果を得るためには、十分な知識を持った者を栄養教諭にするべきである。そういう点で、専門学校や短期大学で大丈夫なのかということを考える必要がある。
   学校に栄養士を配置する基準は存するのか。
   厚生労働省の基準では、給食を実施するにあたっては、何食以上は管理栄養士が必要というものがあるが、学校はその適用が外れており、栄養士を持つ学校栄養職員で給食管理をしてもいいという仕組みになっている。
   栄養士法改正により、栄養士と管理栄養士は明確に区別されることとなった。管理栄養士は人に対する指導を行い、栄養士は従来の給食管理に重点が置かれている。栄養教諭には、人を指導することに重点が置かれているので、管理栄養士が必要ではないか。十分に期待に応えられなければ、必要性が薄れるため、より高い資質能力を持った者を配置することを考えなければならない。
   専門学校等における栄養に関する科目の取扱については、今後検討が必要である。
   養護教諭には、臨時免許状、特別免許状がないのか。
   特別免許状は教科を教える性格のものなので制度として作っていないが、臨時免許状はある。
   栄養教諭の免許状の創設は、養護教諭をモデルとして考えているが、養護教諭と栄養教諭の差異や固有の職務のイメージを持っていた方がよいのではないか。例えば、ヒアリング等では、栄養教諭は授業を持たせてほしいとの意見がある。養護教諭も授業をしている例があるが、むしろ個別的なカウンセリングの方に要請があり、職務もそのようなものになっている。栄養教諭にもそのような方向があり得る。
   栄養教諭の職務は養護教諭とは違うところを明確にしつつ、教諭資格を得る上でのプロセスや単位を養護教諭と比較して考えればよいと理解している。
   養護教諭の養成課程をモデルとしても、栄養教諭の個別性・特殊性については、検討する上で当然視野に入れなくてはいけない。
   養護教諭と栄養教諭で基本的に違うのは、養護教諭は養護教諭免許状があればよいが、栄養教諭は給食管理が職務にあるため、厚生労働省の資格が前提になっている。本来は管理栄養士養成課程以上の理想的な養成をしたいが、制度を作る際には最低限必要なものを充実させていく方法で検討してはどうか。専門学校や短期大学卒の栄養士が現場にもおり、そういう人達が栄養教諭になれる条件を考えると、一種を標準とするが、二種も設けた方がよいのではないか。養護教諭では二種免許状の基礎資格に保健師の免許があるが、そのような例も考えた上で必要な学校の栄養教育や学校給食の科目を考えていきたい。
   現在の上進制度は機能していない。一般の教諭は、採用されれば一種も二種も授業内容は変わらない。教員個々の努力を期待するのはいいが、法制度としての意義に疑問を持っている。
   二種免許状を有する者には、一種免許状取得の努力義務を課したり、採用12年目に指定して一種免許状取得を促進させる制度を設けている。うまく機能していない理由としては、給与や職などの処遇と結びついていないことが大きい。給与については、今後は地方自治体でいろいろな工夫ができることとなっている。
   管理栄養士は、今までは年間2千名程度だったが、これからは7千名程度が資格を得る。二種免許状を設けるのであれば、現在の学校栄養職員を上進させていくことは必要だが、現職以外の者はどうするのか考える必要がある。
   本来は栄養教諭の在り方が確定した後に、そこにどう近づけていくかという話であって、検討は後でもいいのではないか。
   管理栄養士の免許は大学卒業時には授与されないため、一種免許状を4年制大学で取得することと齟齬がないか。管理栄養士相当の科目を履修した者とすればよいのではないか。
   採用側としては、栄養教諭の主たる業務が給食管理業務であるので、相当の課程を履修しても給食管理をするのに必要な資格が無いのは問題である。
   卒業時に栄養士の資格は持っており、給食管理業務は行える。一種免許状については、例えば、管理栄養士免許を持っていることや、管理栄養士相当の専門性を持っていることとする考え方もあろうかと思うので、今後ご議論いただきたい。
   管理栄養士の試験は5月に行っているが、現在は、通常は取得見込みで採用している。「見込み」という形で採用し、免許が取れなければ採用取消しということで問題はないのではないか。
   資格制度で「見込み」を前提とすることは難しいので、何らかの形で担保できる制度が必要である。
   一種免許状において管理栄養士免許取得を課すかどうかはともかく、管理栄養士との関係はどこかで必要ではないか。
   栄養士、管理栄養士は3月までに免許が取得できるように働きかけることが必要である。
   二種免許状については現場で最も関心の高いところであり、必要な基準をしっかり押さえておかないと、教育団体の意見に対応できなくなるのではないか。

5. 閉会
   今後の日程について事務局から説明があり、閉会となった。


(初等中等教育局教職員課)


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