戻る

資料4




学校の管理運営の在り方についての検討の基本的な視点について
(これまでの審議における主な論点の整理)


検討の背景について

   国際化、情報化など社会の変化や国民の価値観の多様化に伴い、学校教育に対するニーズの多様化・高度化が進む中で、学校の管理運営の在り方に関しても様々な観点から改善を求める意見が出ている。
(例)
   日本の教育は世界的にも評価されているが、経済社会構造の変化に対応しきれなくなっており、これまでの制度に対する評価を行い、必要な改革を行うことが必要。
   現在の公立学校教育は硬直的・画一的で子どもや保護者の期待に応えておらず、新たな管理運営システムを導入し、公教育全体に刺激を与え、活性化を図ることが必要。
   学校教育の質の向上のために、多様な主体により特色ある教育が提供され、国民がそれを選択できるようにすることが必要。
   学校教育の在り方に地域や保護者の意向を積極的に反映するとともに、学校運営に参画させるシステムを導入すべき。
   特色ある教育を実現するため、学校運営における学校長の権限をより一層強化すべき。
   グローバル化や情報化など社会の変化に的確に対応した教育を実現するために、外部の教育資源を活用できるようにすべき。
   特別な教育ニーズ等に対応するために、公立学校の包括的な管理運営を外部に委託することも認めるべき。

学校教育の役割について

   学校の管理運営の在り方を検討するに当たっては、学校教育や義務教育の果たすべき本質的な役割について改めて確認しておく必要がある。

   学校教育の役割については、主に以下のような議論があった。

   教育基本法第1条の趣旨を踏まえると、教育の目的は、大きく
1 人格の完成を目指し、個人の能力を伸長し、自立した人間を育てること、
2 国家・社会の形成者としての資質を育成すること
として捉えることができる。学校教育はその達成のために中心的役割を果たす。
   学校は「公の性質」をもつものであり、公教育として確保すべき一定の教育内容・水準は全国的なものでなければならず、国民に対して平等に保障されることが必要である。
   今後の学校教育には、基礎・基本の徹底を通じて生涯にわたる学習の基盤をつくること、共同生活を通じて社会性を育成すること、社会人の再教育など多様なニーズに対応した学習機会の充実を図ることなどが求められている。

   義務教育の役割については、主に以下のような議論があった。

   義務教育は、普通教育が民主国家の存立のために必要であるという国家・社会の要請とともに、親が本来有している子を教育すべき義務を国として全うさせるために設けられているものであり、近代国家における最も基本的かつ根幹的な教育制度である。
   義務教育については、以下のような制度的措置により、公教育の基礎的部分をすべての子どもに確実に保障するという目的を実質的に担保している。
「9年の普通教育」の義務制(保護者の就学させる義務、自治体の学校設置義務)
教育機会の均等な保障(無償制、義務教育費国庫負担、就学補助など)
教育の質の確保(学校設置者の限定、設置基準、学習指導要領、教科書検定制度、教員免許制度など)
   義務教育の役割は、人間として、また、家族の一員、社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得させるための教育を、国民の誰もが等しく享受し得るように制度的に保障することである。したがって、画一化の弊害を避ける努力は必要であるが、一定程度同質的な教育を行わざるを得ない性格を持つ。
   日本のどの地域に住んでいても一定水準の教育を受けられるようにする義務教育制度は、我が国の教育制度の大きなメリットであり、国策として維持する必要がある。

検討の基本的方向について

   教育の構造改革の一環として、地域の創意工夫を生かした特色ある学校づくりや地域に開かれた信頼される学校づくりが求められている。
   学校が、国民の期待に応え、自主的な取組を進め、その担うべき役割を一層よく果たすことができるようにするためには、学校の管理運営の在り方についても、より柔軟で弾力的なものとなるよう必要な見直しを行う必要がある。

   なお、検討に当たっては、以下のような点に留意する必要がある。

   学校は、教育の目的を実現する上で中心的な役割が期待される存在であり、「公の性質」を持つものである。このため、学校には、国民全体のために教育を行うという公共性や中立性はもちろん、一定水準の教育条件を確保するための運営の安定性や継続性が求められること。
   とりわけ義務教育は、個人の自己実現はもとより、国家・社会の存立にとって必要不可欠な国の根幹をなす教育制度であり、国及び地方公共団体がすべての国民に対して等しく義務教育の機会を保障するために様々な制度が構築されていること。

   検討に当たっては、学校の管理運営の在り方について、現行制度下で可能な事項と新たに制度化が必要な事項とを明確化した上で、現行でも実施可能な事項については積極的な活用を促進するための方策を講じる必要がある。
    また、例えば、地域が参画する新しいタイプの学校運営の在り方(いわゆる「コミュニティ・スクール」)や、公立学校の管理運営の民間への委託など、新たな制度化が必要な事項について、具体的な検討を進める必要がある。

ページの先頭へ