(15)教育課程部会「審議経過報告」(平成18年2月13日)(抜粋)

2 教育内容等の改善の方向

(1)人間力の向上を図る教育内容の改善

2)国語力、理数教育、外国語教育の改善

ウ 外国語教育の改善
(知識の定着)

 教育課程実施状況調査において、英語を理解するための基本的な語彙や構文などが一部定着していないとの結果が示されている。

 今後は、発信力が重視されるので、基本的な語、連語及び慣用表現の意味と使い方が分かることなどといった基礎的・基本的な知識を定着させることが必要である。

(技能の定着)

 教育課程実施状況調査では、全体として聞くことは良好である。一方、話すことについては、全体として抵抗感はなくなってきているが、英語が使えるというレベルでは必ずしも十分でないのではないか。

 簡単な表現を用いて外国語によるコミュニケーションを図れることなど、外国語の習得という観点から、基本的な英語の音声の特徴をとらえ、正しく聞き取り発音することができることなどの技能を確実に定着させる必要がある。

 また、教育課程実施状況調査では、書くことが良好ではなく、特に内容的にまとまりのある一貫した文章を書く力が十分身に付いていない。このため、文字や符号を識別し、正しく読み、書くことができることを確実に定着させることはもとより、文レベルでなく文章レベルの訓練が必要ではないか。

(理解力・表現力等の育成)

 事実関係の伝達、物事についての判断、様々な意見等についてコミュニケーションを図れることが重要であり、コミュニケーションのツールとしての英語を使った発信力が重要である。

 例えば、1分間150語程度の速さの標準的な英語を聞き取ることができること、与えられたテーマについて1分間程度のスピーチができること、300語程度の英語を読んで概要をとらえることができること、与えられたテーマについて、短時間で5文程度のまとまりのある英文を書くことができることなど、具体的な到達水準を設定して、理解力・表現力等の育成を進めていくことが考えられるのではないか。

(関心・意欲・態度等)

 教育課程実施状況調査においては、英語が大切だ、普段の生活や社会に出て役立つと考えている生徒は、他の教科に比べて多いのに対して、授業がわからなくなる生徒の割合が他の教科より高い傾向にある。

 学ぶ意欲を高めるためには、例えば、自分の考え方や文化・生活を相手に伝える言葉としての英語との位置付けを明確にしてはどうか。また、ディベートなどで生徒の問題意識を掘り起こすことが、読んだり書いたりすることの意欲を引き出すことにつながったり、英語は手段だという体験になったりする。

 英語の学習に当たっては、世界や我が国の生活や文化についての理解、様々な言語や文化に対する関心、国際社会に生きる日本人としての自覚を養うことが重要である。

(英語以外の外国語教育)

 高等学校を中心に外国語教育の中で中国語など英語以外の外国語を開設している学校もある。国際社会に生きる日本人の育成のためには、アジア諸国等とのコミュニケーションを促すという観点から外国語教育の在り方を検討することも必要である。

(小学校段階における英語教育の充実)

 国際コミュニケーションの観点から、我が国においてもインターネットの普及などによって英語でコミュニケーションを図る機会は増えるなど英語の必要性はますます高まることが予想されるが、国民の英語運用能力は国際的に見て十分でなく、英語教育の充実が必要である。

 最近の子どもたちは、テレビを通じて外国人や異文化に対する抵抗は少ないように思える。映像を活用することにより楽しく学ばせることも考えられる。

 例えば英語を聞く力や話す力を高める上で、英語活動を通じて小学校段階の子どもの柔軟な適応力を生かすことが有効ではないか。特に、小学校段階では、聞く力を育てるということが重要ではないか。

 国語力や我が国の文化の育成という点に十分留意して検討する必要がある。英語を学ぶことで、異文化理解だけでなく、国語や我が国の文化についてもあわせて理解を深めることができるよう、検討する必要がある。

 現在、総合的な学習の時間などを活用した小学校段階の英語活動は約9割の学校で実施されており、例えば第6学年では年間約13単位時間(1単位時間は45分)程度の教育活動が行われているものの、必ずしも十分な成果が上がってないところも見られるのではないか。

 構造改革特別区域等において、教科として英語教育を実施している公立小学校も増えつつある。

 義務教育に関する意識調査等においても保護者や自治体関係者から充実を求める声が強い。国際的にも、EUにおけるフランスや、中国・韓国など近隣アジア諸国を含めて、国家戦略として、小学校段階における英語教育を実施する国が急速に増加している。

 このような状況の中で、国としては、義務教育答申で既に提言しているとおり、小学校段階における英語教育を充実する必要がある。

 このため、外国語専門部会においては、義務教育として教育の機会均等を確保するため、仮にすべての学校で共通に指導するとした場合の指導内容を明らかにするため必要な検討を進めている。これまでの審議状況は次のとおりである。

 検討に当たっては、小学校英語を実施するに当たって指摘されている課題、例えば、国語力の育成との関係、中学校・高等学校の英語教育との関係はどう整理するのか、条件整備の面での課題などを念頭において、検討を進めている。

 これまでの審議では、小学校における英語に関する教育の内容として、

  1. 小学校段階では、音声やリズムを柔軟に受け止めるのに適していることなどから、音声を中心とした英語のコミュニケーション活動や、外国語指導助手(ALT)を中心とした外国人との交流を通してスキル面を中心に英語力の向上を図ることを重視する考え方(英語のスキルをより重視する考え方)
  2. 小学校段階では、言語や文化に対する関心や意欲を高めるのに適していることなどから、英語や国語を通じて言語や文化に対する理解を深めるとともに、ALTや留学生等の外国人との交流を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、国際理解を深めることを重視する考え方(国際コミュニケーションをより重視する考え方)が示されている。

 1の考え方については、例えば、スキル面の高まりはある程度期待できるが、小学生にとっては実際にスキルを活用できる場面は限られていることから、多くの子どもにとって、中学校に入学するまで英語に関する興味・関心を持続することができにくいのではないかといった懸念がある。

 2の考え方については、中学校・高等学校における英語教育を視野に入れた英語教育の基盤となる力を養うことができること、グローバル化社会の中で求められる国際コミュニケーション能力の育成や学習意欲の継続、国語力との調和という点では優れているが、コミュニケーションを図ろうとする態度や国際理解は、客観的に測定したり検証したりすることが難しく、その成果が見えにくいという懸念がある。

 中学校・高等学校での英語教育を見通したとき、まずは、英語を学ぶための動機付けが重要であることから、2の考え方を基本とすることが考えられる。言語やコミュニケーションに対する理解を深めることは、国語力の育成にも資するのではないかとの意見も示されている。この場合においても、1の側面について、小学生の柔軟な適応力を生かして、聞く力を育てることなどは、教育内容として適当と考えられる。

 この点については、今後更に検討することが必要であるが、この1と2の考え方のいずれを重視し、どのように組み合わせるかによって、具体的な教育目標や内容が設定されることとなる。

 一方、教材、指導者、ICTの利活用方策等の条件整備も重要な課題である。この点については、具体的な教育目標や内容、教育課程上の位置付け(教科とするか、総合的な学習の時間の一環とするかなど)、開始学年、実施時期等とも関連する事項である。

 これまでのところ、外国語専門部会では、例えば、指導者については、当面は、現職教員に対する研修プログラムを開発・実施する必要があること、ALT、留学生、英語に堪能な地域の人材やICTなどをそれぞれの特性に応じて利活用することが効果的であることなどの意見があり、更に具体的に検討を進める必要がある。

 これらの課題については、専門的・多角的な検討を要するため、外国語専門部会において、専門家や関係者の意見を聞きながら検討を行っている。外国語専門部会においては、国語力の育成等の課題にも十分配慮しつつ、小学校における英語教育を充実するための具体的な方策について、審議を進めている。外国語専門部会では、本年度中を目途にこの点に関する審議の状況を整理し、教育課程部会に報告することとしている。

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