教育課程部会(第122回) 議事録

1.日時

令和2年12月22日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 5F3会議室 ※WEB会議と組み合わせた方式

3.議題

  1. TIMSS2019 について
  2. 新たな普通教育を主とする学科における教科・科目の履修及び高等学校通信教育の質保証について
  3. 教育課程部会における審議のまとめ(案)について
  4. その他

4.議事録

【天笠部会長】 おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第122回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 昨日の夕刻でありますけれども,御覧になりましたでしょうか。土星と木星の最接近ということで,400年ぶりとか,600年ぶりとか,800年ぶりとか諸説が幾つかあるようですけれども,いずれにしましても大変,天体ショー,そういうことでひととき,南西の空というんでしょうか,を拝見した次第なんですけれども,このことは今日の審議とは直接関わりありません。
 本日は,大変御多忙の中,第122回教育課程部会に御参加いただきまして,誠にありがとうございます。本部会は,新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため,対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式にて開催いたします。
 それでは,会議の留意事項及び本日の配付資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。本日は,対面会議とWebexを使用したウェブ会議を組み合わせた方式にて開催させていただきます。ウェブ会議と組み合わせた方式で行うことから,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただく,御発言の都度,名前をおっしゃっていただく,御発言時以外はマイクを「ミュート」にしていただく,御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただき,発言が終わりましたら「手を挙げる」ボタンを再度押していただき,手を下げていただくよう御配慮いただけるとありがたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料3-3まで,及び参考資料がございます。御不明な点等ございましたら事務局までお申しつけください。
【天笠部会長】 それでは,議題(1)TIMSS2019につきまして,事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【浅原学力調査室長】 失礼いたします。総合教育政策局学力調査室長の浅原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは資料1に基づきまして,国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)の結果について,概要を御報告申し上げます。
 本調査結果につきましては,今月8日に世界同時解禁ということになってございまして,文部科学省からも日本の結果を公表させていただいたところでございます。
 まず,調査の概要でございますけれども,既に御案内かとも思いますけれども,TIMSSは,国際教育到達度評価学会が児童生徒の算数・数学,理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定する調査でございまして,1995年から4年ごとに実施をしております。
 2019年調査には,小学校は58か国・地域,中学校は39か国・地域が参加しております。
 我が国におきましては,IEAの設定した基準に基づきまして,小学校4年生約4,200人(147校),中学校2年生約4,400人(142校)が参加いたしまして,2019年2月から3月に実施をしております。
 また,今回からTIMSSは筆記型調査とコンピュータ使用型調査を選択することができますけれども,日本は筆記型調査により参加をしているところでございます。
 次に,結果の概要でございます。まず,教科の平均得点についてでございますけれども,小学校・中学校いずれも,算数・数学,理科ともに,引き続き高い水準を維持しております。前回調査に比べまして,小学校理科におきましては平均得点が有意に低下,マイナス7ポイントでございますけれども,有意に低下しておりまして,中学校数学におきましては平均得点が優位に上昇,プラス8ポイントでございますが,上昇しております。総合的に見まして,我が国の児童生徒の算数・数学,理科の学力につきましては,国際的に見ても高い水準にあるというふうに考えております。
 また,同時に質問紙調査も実施されておりますけれども,質問紙調査におきましては,小学校・中学校いずれも,また算数・数学,理科ともに,算数・数学,理科の「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は増加しております。小学校理科につきましては,「勉強は楽しい」と答えた児童の割合は,引き続き国際平均を上回っているところでございます。
 一方で,小学校算数,中学校数学及び中学校理科について,「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は前回よりも上昇はしておりますけれども,依然として国際平均を下回っておりまして,この点につきましては,引き続きの課題であるというふうに考えております。
 次に,2枚目に参りまして,教科別調査の結果でございますけれども,これは各得点に分布をお示ししたものでございます。算数・数学につきましては,小学校では平均得点に有意な変化はございませんけれども,中学校におきましては平均得点が有意に上昇しておりまして,550点以上,625点以上の生徒の割合が増加しているところでございます。
 また,3枚目に参りまして,理科でございますけれども,前回調査と比較いたしまして,小学校では平均得点が有意に低下しております。550点以上625点未満及び625点以上の児童生徒の割合が減少しております。また,中学校につきましては550点以上625点未満の生徒の割合が増加し,625点以上の生徒の割合が減少しているという形になってございます。
 4ページ目でございます。我が国の質問紙調査の結果でございます。先ほど御報告申し上げましたように,小学校,中学校ともに,算数・数学につきまして,「勉強は楽しい」,また「得意だ」と答えた児童生徒の割合は増加しておりますけれども,国際平均より下回っているという状況でございます。また,中学校におきまして,「数学を勉強すると,日常生活に役立つ」「数学を使うことが含まれる職業に就きたい」と答えた生徒の割合は,国際平均より下回っているところでございます。
 また,5ページ目になりますけれども,理科でございます。先ほど御報告申し上げましたように,小学校において,理科の「勉強は楽しい・得意だ」と答えた児童の割合は増加しておりまして,引き続き国際平均より上回っております。中学校におきまして,「理科を勉強すると,日常生活に役立つ」「理科を使うことが含まれる職業に就きたい」と答えた生徒の割合は前回調査より増加しておりますけれども,国際平均より下回っているという状況でございます。
 次に,6ページ目,7ページ目につきましては,公表問題例ということでお示しをしております。適宜御覧をいただければというふうに思います。
 今回,IEAから示されましたデータにつきまして御報告させていただきましたけれども,今後,児童生徒の個別の回答データといった詳細なデータがIEAから頂けることになっておりますので,その結果を踏まえまして,詳細な分析を行ってまいりたいというふうに考えております。
 今回の結果を踏まえまして,文部科学省といたしまして,新学習指導要領の着実な実施,また,学校における環境整備の加速化といった取組を推進することとしております。
 簡単でございますが,以上,御報告とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明につきまして,御質問,御意見がありましたら御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。手を挙げていただければと思います。
 それでは,今,私の手元には各国別の平均得点の一覧が,算数・理科,数学・理科,それぞれについて一覧表が手元にあり,我が国がどの位置にあるかということが一目瞭然,見えるような,そういう資料が出ているんですけれども,これはこの後の分析ということになるのかもしれませんけれども,どういう教科構成をとっている教育課程の下でのこれであったのかと。
 ですから,理科とか算数・数学の教科の結果の分析ということについての報告は,ここに出ていたかと思うんですけれども,教育課程の教科構成の,ある意味でいうと類型別にして見たときに,どういう傾向が見られるのかとか,そちらのほうの視点における分析というのは既になされているのか,あるいはこれからなのか。要するに教育課程と今回の結果というのでしょうか,成績との関わりについて,その視点について,どんなふうに捉えられているかどうかということについて御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【浅原学力調査室長】 失礼いたします。今回のTIMSS2019の現時点で得られているデータといたしましては,調査問題とカリキュラムの一致率ということで,各教科ごとの小学校算数・理科,中学校数学,中学校理科ということでカリキュラムの一致率というところは提示がなされているところでございますけれども,教育課程における編成といったところにつきましては,まだそこまでの詳細なデータはございませんので,今後,分析を行っていこうかというふうに思っております。
【天笠部会長】 なぜこういう御質問させていただいたかと言いますと,役に立つとか,あるいは将来の職業等との関わりですとか,あるいは面白いとか云々というのは,もちろん教科の中の課題はまだあるんですけれども,あわせて,お分かりのとおりキャリア教育ですとか,そういうものとの関わりというのは非常にありそうだなというふうなことを示唆する結果ではなかったかと思いますので,今後,この結果の分析等々については,やはり教育課程,カリキュラムという視点,視野というものをお持ちいただきたいなという期待と希望を込めまして申し上げさせていただきました。どうもありがとうございました。
 そのほかに,委員の皆さんからいかがでしょうか。
 今,私のほうに発言の御意思を伝えられているのが秋田委員,それから荒瀬委員,そのお二人でありますけれども,ほかの委員の方,よろしいでしょうか。それから,もうお一人,大島委員という,以上お三方ということで,この件については送りたいと思いますので,まず,秋田委員からお願いいたします。
【秋田委員】 貴重なデータを御提供いただきまして,ありがとうございます。2点伺いたいと思っております。
 第1点は,今回,日本は筆記型を選択しているわけなんですけれども,コンピュータでのCBT,コンピュータのリスポンスでテスト回答した国がどれぐらいあり,筆記型がどれぐらいあったのかというようなことや,もし,今後GIGAスクール構想等もありますので,この後のICT等とも関係してくるかと思うんですけれども,今後,OECDなどは日本は利用率がすごく低いわけですけれども,どれぐらいの国が回答をコンピュータベースで行ったのかというような情報をいただきたいということが1点です。
 あと2点目としては,先ほどの天笠部会長の御質問とつながってきますけれども,やはり数学や理科が生活に役立つというような回答が高い国というようなのはどのような特徴をもつ国か,もし項目別で分かっておられれば教えていただきたいと思います。
 以上2点です。
【天笠部会長】 御質問は一括してお答えいただくという形で進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 続きまして,荒瀬委員,お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。感想と,それから質問です。感想としましては,国際平均との比較という点でいうと,課題があるデータが多いということだと思いますけれども,しかし,小学生や中学生が理科,数学・算数が「楽しい」とか,「役に立つ」というふうに思っているということ自体は大変いいと思うんです。それが維持ないしは向上しているというふうに見て取れるのではないかというふうに思っています。これは本当にすばらしいことだというのがまず1点です。
 それで,それに関わっての質問なんですけれども,こういった維持ないしは上昇している,国際平均と比べるとどうかというのはちょっと置きまして,向上しているという点について,どういう分析があるのか,あるいは今後どういう形でこの原因といいますか,理由を調査していこうとしていらっしゃるのかということがありましたらお教えいただけると幸いです。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。
 続きまして,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】 大島です。
【天笠部会長】 どうぞ,お願いします。
【大島委員】 ありがとうございます。すみません,秋田委員と一緒の御質問です。このたびは筆記試験ということで,前回のPISAではやはりICTで受けた際の影響が出てきて,あまり日本の回答率はよくなかったと記憶しております。このたび筆記だったので,その影響がどういうふうになっているのかというのを教えていただきたいということです。
 あと,これは2点目です。これも似た質問なんですけれども,日本は中学校,年齢が上がるに従って,理科,数学に対する興味であったりとか,それに対しての将来性が落ちるという結果がいつも出されていますので,例年と比較して,それが変わっているのかというのをちょっと聞き漏らしましたので,それについてもお答えいただけるとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。委員からの質問,意見については,ここまでということにさせていただきたいと思いますけれども,ここまでのところにつきまして,事務局から質問等々含めまして説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【浅原学力調査室長】 失礼いたします。まず,秋田委員からの御質問でございます。筆記型とコンピュータ使用型,選択をした国・地域の数ということでございますけれども,今回,小学校58か国・地域が参加しておりますけれども,そのうちCBTで参加した国・地域は30でございます。それから中学校につきましては39か国・地域が参加しておりますけれども,うち22か国・地域がCBTで参加しているということでございます。
 TIMSSにつきましては,次回はCBTでの実施が予定されておりますので,文部科学省におきまして,現在GIGAスクール構想1人1台端末を活用した学習の充実ということ,また,全国的なCBTシステムの展開,あるいは全国学調のCBTに向けた検討ということも進めておりますので,こうした国際的な動きをしっかり踏まえて対応できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 それから,2点目につきましては,国立教育政策研究所のほうからお答えさせていただきます。
【銀島総合研究官】 2点目の「生活に役立つ」という反応ですけれども,もし白表紙をお持ちであればなんですけれども,算数・数学のほうが104ページ,それから理科のほうが241ページということで掲載をしております。ただし,この掲載が抜粋の国・地域のみということで冊子の作成上掲載をしておりまして,その中でということで一旦お答えをさせてください。
 数学のほうですと,中学校2年生の反応率ですけれども,質問が「数学を勉強すると,日常生活に役立つ」というものに対して,「強くそう思う」という回答の割合が掲載しておりますけれども,掲載の中で見ますと,オーストラリアが46.9%に対して日本が24.8%というふうな結果になっております。ちなみに,今お手元でカラー刷りのポイント版を御覧になっていただいて,5ページかと思いますけれども,そちらは「強くそう思う」と「そう思う」を合わせた割合として掲載をしているものでございます。以上が数学のほうです。
 それから,理科のほうですと241ページ,こちらが中学校2年生,「理科を勉強すると,日常生活に役立つ」ということで抜粋の国を載せております。TIMSS2019の結果ですと,日本が「強くそう思う」と回答した生徒の割合が20%ということですけれども,掲載の国で申し上げますと,ロシアが50.7%というふうに高い国もある模様が観察できます。
 以上です。
【浅原学力調査室長】 続きまして,先ほど荒瀬委員から御指摘いただきました点でございますけれども,上昇,あるいは上昇以外も含めてかもしれませんけれども,どういった分析を行うかということでございますけれども,まず,今回,結果を踏まえますと,やはり前回の旧学習指導要領における授業時数の増でございますとか,そういった様々な取組が影響しているのではないかという推測を持っております。
 また,理科につきましては,平均得点が今回マイナス7ポイントということで低下しておりますけれども,一方で,先ほど御報告申し上げましたように,「理科の勉強は楽しい」ということで意欲は一方で増加をしているということもございます。したがいまして,個々の回答データと,それから質問紙でどのように答えているのかといったこと,そういったところの関連というところも分析をする必要があるのかというふうに考えているところでございます。
 それから,大島委員から御指摘いただきましたコンピュータ使用型,CBTになったことによる影響というところでございますけれども,今回の調査結果のみでは,このコンピュータのデジタル機器のCBTで行ったことと生徒との平均得点との関係ということについて相関関係があるとは言えない,データからはちょっと言えないということでございまして,日本以外の国際的な他国のデータを見ましても,明確な相関関係ということは,現時点で得られているデータからは申し上げられないというふうに考えております。
 また,学校の授業におけるデジタル機器の活用の頻度ということも質問紙のほうで聞いておりますけれども,そちらのほうも今回のデータからは生徒の平均得点との間に相関関係があるというふうなことは申し上げられないという状況でございますけれども,文部科学省といたしまして,ICTがより効果的に学習に活用される形で,学校での指導の充実を今後も図っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,議題(1)につきましては,ここまでということにさせていただきたいと思います。
 続きまして,議題(2)新たな普通教育を主とする学科における教科・科目の履修及び高等学校通信教育の質保証について,事務局より説明をお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。高等学校担当参事官付で参事官補佐をしております酒井と申します。
 私からは,資料2-1から資料2-3を用いまして,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの審議まとめを踏まえました新たな普通教育を主とする学科における教科・科目の履修及び高等学校通信教育の質保証について御説明させていただきたいと思います。
 まず,資料2-1を御参照いただければと思います。中央教育審議会の新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループにつきましては,昨年7月に設置され,13回の審議を踏まえまして,11月13日に「審議まとめ」をお取りまとめいただいたところでございます。現在,この「審議まとめ」を踏まえまして,文部科学省において所要の制度改正について検討させていただいているところでございます。
 このうち,この資料の2ページ目でございます。2ページ目の一番上のほうに普通科改革といたしまして,この「審議まとめ」では,各設置者の判断によりまして,学際的な学びに重点的に取り組む学科や地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科,さらにはその他特色・魅力ある学びに重点的に取り組む学科について,特色・魅力ある学科の設置を可能とするよう御提言をいただいたところでございます。
 これにつきましては,今後,文部科学省のほうで高等学校設置基準等の改正を行いまして,設置者の判断により学科の設置を可能にするよう具体的な制度改正について検討させていただきたいというふうに考えております。
 また,このページの下のほうにございます,高等学校通信教育の質保証方策についてでございます。高等学校通信教育の質保証に向けましては,通信制課程の教育課程の編成・実施の適正化を図るために,各年度における添削指導・面接指導・試験の年間計画等を「通信教育実施計画」として策定・明示することを義務づけることや,面接指導は少人数で行うことを基幹とすること。さらには,いわゆるサテライト施設の教育水準を確保するために,面接指導等実施施設の共通の基準に関しまして,実施校とサテライト施設が同等の教育環境を確保するよう所要の施設設備の基準を策定すること。さらには,教員・生徒・教育課程・施設設備等に関する学校の基本情報の開示を義務づけること。こういったことを御提言いただいたところでございまして,これにつきましては,今後,通信制課程の設置基準に相当します通信教育規程等の関係法令の中で位置づけさせていただきたいというふうに考えております。
 本日は,このうち資料2-2を御参照いただければと思います。高等学校ワーキンググループの審議まとめの中で御提言いただきました内容のうち,いわゆる教育課程に係る部分につきまして,中心的に御説明させていただければというふうに考えております。
 まず,資料2-2の1ページ目でございます。「普通教育を主とする学科」の種類の弾力化・大綱化という中で,この審議まとめの中では,(2)にございます新たな学科における教育の特徴といたしまして,以下のとおり御提言をいただいております。
 1ページの一番下のポツでございますが,各学科において着目する社会的課題に関連する新たな学問領域または複数の学問分野から再構築された統合的な知見に関する学びや,地域社会の課題や魅力に関連させた実践的な学びなど,学校設定教科・科目を活用して各学科において育成を目指す資質・能力に対応する学びに取り組み,特色・魅力ある教育課程を編成・実施すること。
 その上で,2ページ目になりますが,2ページ目の1つ目のポツでございます。総合的な探究の時間において,当該学科において着目する社会的課題等を踏まえた目標を設定し,その内容として目標を達成するにふさわしい探究課題を設定すること。
 次のポツでございます。新たな学科においては,こうした当該学校設定教科・科目,総合的な探究の時間や各教科・科目を相互に関連づけて取り組むことが適当。学校設定教科・科目や総合的な探究の時間を各年次にわたって体系的に開設すること。こういったことが御提言をいただいたところでございます。
 これを踏まえまして,今後,審議まとめを踏まえまして,新たな学科においては,高等学校学習指導要領を以下の方向で一部改正すること等によりまして,各学科における特色・魅力ある教育課程の編成・実施の推進を図ることとしてはどうかというふうに考えております。
 具体的には,1つ目といたしまして,新たな学科においては,当該学科の特色に応じた目標及び内容を持つ学校設定教科に関する科目を開設し,全ての生徒に2単位以上履修させること。
 2番目といたしまして,1で今御説明申し上げました単位数を含む学校設定教科に関する科目及び総合的な探究の時間を,全ての生徒に合計6単位以上履修させること。
 さらには,3番目でございます。新たな学科における当該学校設定教科に関する科目及び総合的な探究の時間は,原則として各年次に配当して教育課程を編成すること。その際,当該学校設定教科に関する科目及び総合的な探究の時間については,相互の関連を図り,系統的,発展的な指導を行うことに特に意を用いること。こういったことを位置づけることとしてはどうかというふうに考えているところでございます。
 なお,この単位数等につきましては,現在,高等学校学習指導要領では,いわゆる専門学科につきましては,専門教科に関する単位数は25単位を下らないこと,統合学科におきましては,入学年次に「産業社会と人間」を履修させることを原則とするとともに,「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上を設けるというようなことが規定されているところでございます。
 これにつきましては,関係資料といたしまして,資料2-3を御用意させていただいております。新たな学科におけるこういった特色・魅力ある学びに必要な単位数,必要な教科・科目の設定につきましては,この新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループでも御審議をいただいたところでございます。
 これにつきましては,これまでも文部科学省において,特色・魅力ある教育を推進する高等学校を対象といたしました指定校事業を取り組ませていただいておりまして,学校設定教科に関する科目の開設等の実績もあるところでございます。これらの実績を踏まえまして,1,2,3について御提案申し上げるところでございます。
 なお,この新たな学科の設置につきましては,設置者の判断により,令和4年度から設置を可能とするよう現在検討しているところでございます。
 続きまして,3ページをお願いいたします。高等学校通信教育の質保証に向けた方策についてでございます。高校ワーキングの審議まとめにおきましては,教育課程の編成・実施の適正化の観点というところで2点御提言をいただいております。
 1つ目のポツでございます。多様なメディアを利用して行う学習,これはいわゆる通信制課程の教育におきましては,面接指導の時間数が定められているところでございますが,これにつきましては,現在,ラジオ・テレビその他のメディアを利用した場合においては,報告課題の作成等により,その成果が満足できると認められる場合におきましては,10分の6までの面接指導時間の時間数の免除,さらには複数のメディアを利用する場合には10分の8を超えることができないという規定が設けられているところでございます。この面接指導時間数を免除する場合においてでございますが,通信制課程に在籍する生徒の多様な状況に留意しつつ,学習評価において,観点別学習状況の評価が可能となるよう報告課題の作成等を求めることを御提言いただいているところでございます。
 また,次のポツでございます。試験についてでございます。高等学校の通信制課程は,面接指導,添削指導,さらには試験により行うことということが通信教育規程の中で定められているところでございますが,試験は,添削指導及び面接指導の内容と十分関連づけて行うよう配慮した上で,試験に要する時間及びその時期を適切に定める必要があること,こういったことが御提言をいただいたところでございます。
 この審議まとめを踏まえまして,通信制課程における教育課程につきましては,高等学校学習指導要領の以下の2点を改正することとしてはどうかというふうに現在考えているところでございます。
 1点目は,多様なメディアを利用して行う学習により面接指導時間数を免除する場合には,添削指導及び面接指導との関連を図り,高等学校学習指導要領総則に示す学習評価の充実に関する項目に示すことに配慮しながら,学習の過程や成果を評価し,指導の改善や学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにすること。
 2点目でございます。試験は,各学校において,各教科・科目の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,各教科・科目のまとまった単位の履修につき適切な回数を確保した上で,添削指導及び面接指導との関連を図り,その内容及び時期を適切に定めなければならないこと。こういったことを位置づけることを現在検討しておりまして,こちらの規定につきましては,令和4年度から,この新たな規定に基づいて通信制課程の教育が実施できるように検討させていただきたいというふうに考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明について,御質問や御意見等がございましたら発言をお願いできればと思います。いかがでしょうか。
 それでは,今,私のほうに届いていますのは,松本委員,それから杉江委員ということで,まず,松本委員から御発言をお願いいたします。
【松本委員】 ありがとうございます。質問ではなくフィードバックということでお願いします。普通科の改革についてです。学際的な学びに重点を置いた学科や地域社会に関することに重点を置いた学科というものをこれから改革として行っていくということに大賛成です。スーパーグローバルハイスクールとか,あるいは地域連携教育とか進めていった中で様々な知見があり,成功している例がたくさんありますので,それらにフォーカスを置いて改革を進めていくことについて大賛成です。
 ただ,新しい科目を入れるだけで削るものがないとなると,生徒さんや先生に対して負担にならないかということをちょっと心配しますけれども,方向性としては大賛成です。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,杉江委員,お願いいたします。
【杉江委員】 御報告いただいたことと少しずれているかもしれませんけれども,捉え方についてちょっと意見を申し上げたいと思います。
 まず,中等教育を考える上での日本の課題としまして,例えば国際社会に出ていって意見を言えないような人が多いですとか,あるいは人口の都市集中で,地方が疲弊している一方であるというような課題が挙げられております。今回,普通高校がそれぞれスクール・ポリシーを明確にしまして特色を出すということについては,高く評価しておりますけれども,一方で,先ほど挙げたような課題の要因を考えますと,グローバルとかローカルだとかという場所の区分で捉えられるものではなくて,自分の意見を持っていないですとか,自立していないという,日本人にある程度共通した性格ですとか,育ち方に起因しているのではないかというふうに思っております。
 今回の教育改革の目標は,これから予測できない社会になりますので,そのような変化に対応できる資質・能力を身につけた人材育成であるということを考えると,区分の視点をSDGsの持続可能な社会目標に置いたほうが価値が明確になりますし,また,生徒も夢を引き出しやすいというふうに考えております。それぞれについて申し上げませんけれども,具体的には地球環境ですとか,資源エネルギーですとか,国際協調,健康,福祉などの中から,それぞれの高等学校が育成する人材像を示すことによりまして,国際社会,あるいは地域社会で持続的に課題を解決できるような人材が育成できると思っております。
 最後になりますけれども,工業ですとか商業,農業,家庭というような専門高校の今までのような産業区分からSDGsの方向に切り替えて,普通高校と同じような改革のテーブルにぜひのせていただきたいというふうに思います。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,若江委員,お願いいたします。
【若江委員】 キャリアリンクの若江でございます。ありがとうございます。
 今日,御報告いただきました高校ワーキングの中身につきましては,これまで産業界から高校での学びを非常に憂う声が多かった中で,とてもすばらしいいろいろな方向性を出していただいたと思っております。
 そこで1点御質問ですが,今の杉江委員からのお話にも少し関連するのですけれども,系統立てた,学年もそうですし,テーマ的にも系統立てた学びはということで総合的な探究の時間の変革が物すごく重要になってくると思います。各校種ごと,普通科及び専門学科のいろいろな変革に加えて,例えば商業,工業,農業といった校種をクロスしてのプロジェクトですとか,そういったことまでも柔軟に受け入れられる状況なのかどうか,その辺りをぜひお聞かせいただきたいと思っております。
 なぜならば,今現場でいろんなPBLのプロジェクトを御一緒させていただいているのですが,やはり本格的な世の中の課題をテーマにした学びになりますと,どうしても特に専門学科の交流・連携というのがすごく有効で不可欠になってくると感じておりますので,この点を御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかの委員の皆様はいかがでしょうか。
 それでは,高等学校のワーキンググループで御尽力いただきました荒瀬委員から一言御発言をいただいた後,事務局から今の委員の方々の御質問についてのお答えをお願いしたいと思います。荒瀬委員,よろしくお願いいたします。
【荒瀬委員】 どうもありがとうございます。先ほど酒井参事官補佐から御説明がありましたように,13回にわたりまして,本当にいろいろな角度から検討していただいたと思っています。基本的に,いろいろな考え方がありますので,一言だけ申し上げますと,要は生徒たちの学習意欲を引き出していくというのが非常に重要な観点でありまして,そのために生徒を主語にするような学校をどうしてつくっていったらいいのか。その先に,例えば先ほど杉江委員からありました,あるいは若江委員からもありました,SDGsとの関わりですとか,あるいは様々な学科のコラボというんでしょうか,そういったことも今後見えてくると思います。それらはスクール・ミッション,ないしはスクール・ポリシーに基づいて各学校が主体的に動いていく,そしてあくまでも生徒を主語にしていく,そういう観点で進めていければというふうに思っている次第です。
 以上です。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,事務局からここまでのところについての質問,意見等々についてお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。高等学校参事官付の酒井でございます。
 ただいま御質問いただきました御意見につきまして,杉江委員から,いわゆるSDGs的なそういった部分のことを考えられるんじゃないかという御趣旨,御質問,御指摘を賜ったところでございます。今回新しくつくる新たな学科におきましては,設置者の判断により学科を設置することができるというふうにさせていただいているところでございまして,いわゆる地域,学際的なものもいわゆる例示ということで,具体的にどういった教育内容に取り組んでいくかというのは当然設置者,そして学校の中で御検討いただくというものになっております。
 今,杉江委員から御指摘いただいた,SDGsの例示いただいたような内容についても,こういう新しい学科の中で集中的に取り上げて,それを軸にして教育に取り組んでいくという学校も当然あると思いますし,私個人としてもそういった学校が出てくるということを期待させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 その上で,杉江委員,そして若江委員からも御指摘いただきました,専門学科に対する,いわゆる今専門学科,職業学科についての縦割り的なものではなくて,それを統合したようなものができるのではないかという御指摘であったというふうに受け止めております。これにつきましては,今制度上は,実は商業,農業,工業,こういったものを統合したような学科を,また,これも専門学科の中で,設置者の判断で設置することが可能になるというようなところは,一応制度上は今許容されているというような状況でございます。
 また,どこかの学科に主軸を置いて,例えば商業だったり,工業だったり,農業であったり主軸を置くものの,他の学科の要素を取り入れるというようなところが現在専門学科の中で取り入れられているというようなところでございます。
 ただ,現実には,確かに現状の専門学科においては,商業や工業や農業や各職業学科,なかなか学科の枠組みというのが少し強いような傾向もあって,今御指摘いただいた教育がまだまだこれから十分にできていないというようなところもあろうかというふうに考えております。
 これにつきましては,まさに今,若江委員から御指摘いただいた産業界のそういったニーズを踏まえた学科というのは,我々専門高校の振興というのも大変重要だと考えていまして,来年度の予算でも新たにマイスター・ハイスクールというものを打ち出させていただいて,産業界と一体となったという教育課程の編成というものに新たに取り組ませていただきたいというふうに考えております。こういった取組を踏まえまして,杉江委員,若江委員の御指摘にあったような総合的な,いわゆる産業界のニーズを捉えた専門学科の教育ということにも取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 一旦,御質問に対する回答は以上とさせていただきたいと思います。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。御承知のとおり,今,高等学校は新しい学習指導要領に向けて,その準備段階にあってという,令和4年に本格実施ということになります。今ここでお示しいただきました,この種の情報というのが新しい学習指導要領の本格実施とうまく平仄が合うというか,整合するというんでしょうか,そこら辺の説明についても十分怠りなくお願いできればというふうに思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 議題(2)につきましては,以上ということにさせていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,続きまして,議題(3)教育課程部会における審議のまとめ(案)についてお諮りさせていただきます。前回の教育課程部会において,「審議のまとめ(素案)」について御議論いただきました。これに対する委員の御意見等を踏まえて,今回,「審議のまとめ(案)」という形で事務局において準備いただいております。
 本日,可能であればこの「審議のまとめ(案)」について,教育課程部会としての取りまとめをさせていただければというふうに考えております。それらにつきまして,事務局より説明をお願いいたします。あわせて,中央教育審議会の答申等に係るスケジュールについても御説明をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。それでは,私のほうから説明いたします。前回10月23日の教育課程部会以降,新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会,また,12月4日にありました初等中等教育分科会におきまして,中央教育審議会答申素案について御審議いただきました。答申素案の現時点版は,本日の参考資料として配付させていただいているところでございます。その答申素案のうち,教育課程部会に関係する部分の記載については,教育課程部会における「審議のまとめ(案)」の記載にも反映しているところでございます。それも踏まえまして,前回の教育課程部会からの主な修正点について,資料3-2,修正履歴つきのものに従いまして説明させていただければというふうに思っております。
 まず,2ページでございます。2ページの個別最適な学びと協働的な学びの個に応じた指導と個別最適な学びについての(1)の初めの数段落でございますが,個別最適な学びは,個に応じた指導を学習者視点から整理した概念であるということを前提として,個に応じた指導について記載を充実したところでございます。
 具体的には,2ページ目の3ポツ目から4ポツ目にかけてでございますが,今般の学習指導要領改訂に際して,個に応じた指導の充実を図ることについて指摘されており,これを踏まえて新学習指導要領の総則「第4 児童(生徒)の発達の支援」が規定されていること。また,その中でICT活用についても位置づけられていることを記載してございます。
 また,3ページ目の1つ目のポツでございますが,今般の学習指導要領改訂に際して,思考力・判断力・表現力等や,学びに向かう力等が家庭の経済事情等による差が生まれやすい能力であるという指摘にも留意して,「主体的・対話的で深い学び」の実現により,家庭の経済事情等に左右されることなく,子供たちに必要な力を育んでいくことが求められるとされていることや,これを踏まえた上で,新学習指導要領の総則「第3 教育課程の実施と学習評価」において,「主体的・対話的で深い学び」について規定されていることを記載してございます。
 また,3ページ目の3ポツでございますが,新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業の経験を踏まえまして,これからの学校教育において,児童生徒が自ら学習を調整しながら学んでいくことができるよう,「個に応じた指導」を充実する必要性を記載したところでございます。
 また,3ページ目の4ポツ目から5ポツ目でございますが,「指導の個別化」「学習の個性化」について,改めて整理させていただいたところでございます。
 めくりまして,4ページ目の二,三ポツ目でございますが,「個別最適な学び」を進めるため,教師の専門職としての知見を活用することや,ICTを活用して教師の負担を軽減することの重要性を明確化したところでございます。
 同じ4ページ目の4ポツ目でございますが,児童生徒がICTを日常的に活用することにより生まれる学習効果について追記させていただいたところでございます。また,4ページ目の最後のポツでございますが,「個別最適な学び」を行うに当たり使用が見込まれるICTを利用した教材として,学習者用デジタル教科書,電子書籍,STEAM教育向けのコンテンツ等があり,さらに様々な紙の教材も組み合わせて指導することが考えられる旨を記載したところでございます。
 (2)の協働的な学びについてでございますが,協働的な学びについて,改めて整理させていただいたのが1つ目のポツでございまして,2つ目のポツで「協働的な学び」においては,集団の中で個が埋没しないよう,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け,児童生徒同士の異なる考え方が組み合わさり,よりよい学びを生み出していくようにすることが大切である旨を記載してございます。また,個々の子供の特性等も踏まえた上で,「協働的な学び」が充実するようきめ細やかな工夫を行うことの重要性を記載してございます。また,「協働的な学び」の効果を高めるために学級経営を充実し,児童生徒が違いを認めて協力し合える学級づくりを進めることの必要性を記載したところでございます。
 5ページ目の一番下のところに,先日,篠原委員から指摘があった注を追記しているところでございます。
 また,7ページ目の1つ目のポツでございます。7ページ目の1つ目のポツでございますが,学校における授業づくりに当たっては,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の要素が組み合わさって実現されていることが多いことや,「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実していくことが重要であり,国においては,その重要性について,関係者の理解を広げていくことが大切であることを記載してございます。
 同じ7ページの3ポツ目でございますが,教師が指導計画を立案するに当たり,外部人材も活用しながら,放課後の学校での学習や学校以外での学習も視野に入れること。授業以外の場でも探求的な学習を行ったり,子供自身が学習の進め方を考えたりすることができるような支援の工夫が重要であることを記載してございます。
 なお,「個別最適な学び」と「協働的な学び」については,「主体的・対話的で深い学び」や履修主義,修得主義との関係も含めまして,スライド1にまとめました資料のたたき台を本日の資料3-3として事務局のほうで用意し,お示しさせていただいているところでございます。こちらも今日,併せて御意見を賜れればと思っております。
 続きまして,3ポツ目の各学校段階を通した資質・能力の育成でございますが,11ページ目の一番下のポツでございます。小学校中・高学年以上における学習指導の在り方について,見方・考え方の概念や,次の(2)との関係で文言を整理したところでございます。
 13ページ目の2ポツ目でございます。児童生徒が学習の進め方を自ら調整していくことができるよう,発達の段階に配慮しながら指導することの重要性について記載を整理したところでございます。また,学校の授業以外の場における学習の習慣や進め方についても視野に入れ,指導を行うことの重要性を追記したところでございます。
 同じく13ページの3ポツ目でございますが,小学校から高等学校までを通じ,キャリア・パスポート等も活用してキャリア教育を充実することを記載したところでございます。また,13ページ目の(3)の1ポツ目から14ページ目の2ポツ目にかけてでございますが,STEAM教育の推進の背景について追記させていただきました。
 また,14ページ目の一番下のポツでございますが,STEAM教育は,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,産業界等と連携し,実社会での問題発見・解決につなげていくものであり,高等学校における教科等横断的な学習の中で重点的に取り組むべきものであるが,その土台として,幼児期からのものづくり体験や科学的な体験の充実,小中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習や探求的な学習の充実に努めることも重要であるとしました。さらに,小中学校においても,子供の学習の状況によっては教科等横断的な学習の中でSTEAM教育に取り組むことも考えられること,その際,教師が一人一人に応じた学習活動を課すことの重要性を記載したところでございます。
 続いて,15ページの真ん中あたりでございますが,必履修科目として地理歴史科・公民科や数学科,理科,情報科の基礎的な内容等を幅広く位置づけた新学習指導要領の下,教科等横断的な視点で教育課程を編成・実施,評価,改善する重要性を記載したところでございます。
 続いて,18ページでございます。「指導と評価の一体化」の考え方に立った学習評価の改善に関しまして,記載場所を移動しまして,新たに5ポツとして項目立てしたところでございます。その上で,18ページ目の一番下のポツでございますが,児童生徒に対する形成的な評価を生かしながら,児童生徒が「おおむね満足できる」状況となるようきめ細かく指導・支援する必要性や,さらにそれを超え,興味・関心に応じて学習が発展するよう指導・支援するに当たっては,その多様な成果を評価する重要性を追記したところでございます。
 また,19ページ目の1つ目のポツでございますが,「主体的に学習に取り組む態度」についての評価を踏まえまして,児童生徒が自ら学習の進め方を改善していくことができるよう指導・支援する重要性を追記したところでございます。
 また,19ページ目の2ポツ目でございますが,補充的・発展的な学習を取り入れた指導に当たっては,個々の児童生徒の状況を丁寧に見取り,「主体的に学習に取り組む態度」の評価で学びに向かう意思的な側面を積極的に評価することが重要である旨,また,内容理解を深める発展的な学習等を行った場合には,その状況に応じて「知識・技能」や「思考・判断・表現」の評価にも反映することが適当である旨を追記したところでございます。
 続きまして,21ページ目のカリキュラム・マネジメントの部分でございますが,4ポツ目でございますが,今般の臨時休業からの学校再開後において,カリキュラム・マネジメントの重要性が指摘されたということを追記してございます。
 また,23ページ目のICTの活用の部分でございますが,23ページ目の2の3ポツでございます。ICTの活用は,他の学校・地域や海外との交流など今までできなかった学習活動の実施や家庭など学校外での学びの充実などにも有効であることを記載してございます。
 また,23ページ目の最後のポツでございますが,1人1台の端末を日常的に活用することで,ICTの活用が特別なことではなく「当たり前」のこととなるようにすること,子供たち自身がICTを「文房具」として自由な発想で活用できるよう環境を整え,授業をデザインすることが重要である旨を記載してございます。
 続きまして,今後のスケジュールでございますが,まず,12月25日に中央教育審議会総会が開催される予定,そちらで答申素案について審議が行われる予定です。また,年明けまして,1月14日に初等中等教育分科会と新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の合同会議が開かれまして,こちらで答申(案)について審議される予定でございます。その後,中央教育審議会総会が開かれる予定でございますが,こちらはまだ日程調整中ということでございます。
 また,その後に,その時期とほぼ同時になるかと思いますが,教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめの公表もその辺りのところで考えているところでございます。議題につきましては,現時点の予定としておりますので変更となる可能性がある旨,最後に一言付け加えさせていただきます。また,最後に,答申を取りまとめまして大臣へ手交するということ,まだ日程調整中でございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明がありました「審議のまとめ(案)」につきまして,皆様から御質問,あるいは御意見等をお願いしたいというふうに思います。
 また,今回が私ども第10期の教育課程部会としては,恐らく最後の部会になるということが考えられます。そういう点において,「審議のまとめ(案)」に限らずに御意見もまたいただければというふうに思います。すなわち,これまでの1年半を振り返られたりですとか,あるいはまた,今後を見据えた御発言等々もお願いできればというふうに思いますので,限られた時間でありますけれども,それぞれの委員の方からの御意見をお願いしたいというふうに思います。
 それで,今,私のほうに届いておりますのが,戸ヶ﨑委員,根津委員,そして髙木委員,お三方から届いております。
 それでは,まず,戸ヶ﨑委員から御発言をお願いします。
【戸ヶ﨑委員】 まずはたくさんの示唆を含んだまとめになったと思います。関係者の方々のこれまでの御尽力等に深く感謝を申し上げたいと思います。今後はどのように学校現場等に落とし込んでいくかということで,私ども教育委員会の役割が問われているのかなということを考えて聞いておりました。
 今後議論が必要と思われる点として大きく2点ほど申し上げます。
 1つ目は,中学校教育の在り方への議論ということで申し上げたいと思います。先ほど報告にありましたTIMSS2019の調査結果においては,日本は小中学校ともに,国際的に見ても,引き続き高い水準を維持しており,小中学校いずれも,算数・数学,理科の「勉強は楽しい」と答えた子供の割合は増加をしております。しかし,そんな中にあって,中学校数学及び理科については,「勉強は楽しい」,「得意だ」,「勉強すると,日常生活に役立つ」とか,「数学,理科を使うことが含まれる職業に就きたい」と答えた子供の割合は,相変わらず全てにおいて国際平均を下回っています。
 特に問題なのは,小学校と中学校の差であります。算数と数学の「楽しい」という項目については,国際平均では14の開きなわけですけれども,日本は21開いています。「得意だ」については,国際平均は22で,日本は25です。また,理科の「楽しい」については,国際平均は5ですが,日本は何と22も開いています。「得意だ」についても国際平均18で,日本は39もの差があり,小学校と中学校との差が国際平均を大きく上回っています。理科については,小学校の「楽しい」と「得意」については,国際水準に到達しているということを鑑みますと,やはり中学校の落ち込みは課題であると考えます。
 来年度から中学校では新学習指導要領が実施されます。総合的な学習の時間の充実度をはじめとして,ICTの利活用に関しても,教科等横断的な学びにしても,小学校に比べて中学校に課題が多いということは,明確なエビデンスはありませんが,多くの教育委員会で認識されていることであると思います。その原因の一つは,教科担任制や,高校入試を過度に意識した知識・理解・技能に偏った教師主導型の授業や評価,また,小学校に比べて学校のチーム力などにも課題があると思っています。
 以上のことから,中学校教育の在り方について,さらに議論を進めていったほうがいいのではないかなと感じています。それが1つ目です。
 2つ目がカリキュラム・マネジメントの定着と充実です。この審議のまとめの中にはカリキュラム・マネジメントの充実という文言が多く記載されています。また,新学習指導要領では,教科等横断的な視点によるカリキュラム・マネジメントの充実が求められています。しかし,現実はまだまだで,カリキュラム・マネジメントは,充実の以前に,定着が必要です。教科等を関連づけて指導できる法令上の課題もあるのかもしれませんが,そもそも各教科の指導がまだまだ社会に開かれていないというか,教師が学習指導要領において開かれている内容を見つめていないので教科等横断という方向に目が向いていないような気がしています。特にコロナ禍になって,中学校においてその傾向が強くなっているのかもしれません。自らの教科を掘り下げたり,各教科の教師や外部講師のTTによる授業など,その気になれば,すぐにでもできるようなことは幾らでもあると思います。その改善のためには,各教科の社会的な意味だとか,社会に開くということはどういうことなのかなど,社会情勢などと関連させて,教師の納得解を得て実践されることから始めて,教科等横断的な学び,そして, PBL型の学びとか,STEAM教育へとスパイラルに高められるように議論を深めていく必要があると思います。
 今後は,定着のために教科等を超えたカリキュラムを積み上げる校内のチームづくりの提言などについて,また,充実のためにGIGAスクール構想の趣旨を生かした学校の学びと家庭の学びをつないでいくためのカリキュラム・マネジメント,さらには協働的な学びと個別最適な学び,オンラインとオフラインなど,統合というものをキーワードにした高次のカリキュラム・マネジメントなどについても議論が必要ではないかなと思っています。
 長くなりましたが,以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。私,今の戸ヶ﨑委員と先ほどの審議のまとめ等の関わりで聞かせていただいたんですけど,7ページのところに個別最適な学びと協働的な学び云々という文章があるんですけれども,そのことと,今,戸ヶ﨑委員が御指摘いただいた社会に開かれる云々というところを重ね合わせながら,つなぎながら捉えていくというふうなことというのも,また1つの御提言ということになるのではないかというふうに書かせていただきました。どうもありがとうございました。
 続きまして,根津委員,お願いいたします。
【根津委員】 早稲田大学の根津です。どうぞよろしくお願いします。
 幾つかあるんですけど,まず,先ほどのTIMSSの件について,簡単にですが,学級担任制か教科担任制かというところ,特に小学校の場合にはそれによるところも大きいかなというふうに感じたので,もし検討の余地等ありましたら,学級担任制か教科担任制かというところにつきましても御確認いただきたかったと思います。
 答申のまとめについてですけれども,答申のまとめの部分は比較的読みやすい文章なのですが,学習指導要領の文章はどうしてああいうふうに長くなって,なかなか読みにくくなるのかなというようなことを考えました。
 その上で,答申のまとめについて2つですけれども,1つは細かいことですけれども,「児童生徒」という言葉が指導と評価の一体化のところで使われていたと思うんですが,ほかのところでは「子供」という言い方が比較的使われていると。この「子供」と「児童生徒」の表現の使い分けをどういうふうに考えておられるのかということを事務局にお尋ねしたいというのが1点です。
 もう1つは,1人1台というところもあるわけですけれども,教職員のほうにICTの提供ですとか,あるいは研修等がどのように扱われているのか。ちょっと私読み飛ばしたかもしれないので,そこを確認させていただきたいというところです。
 以上です。
【天笠部会長】 御質問等々につきましては,先ほどと同じように後で一括してということで扱わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして,髙木委員,その後,秋田委員,喜名委員の順にお願いしたいと思います。その後,若江委員,貞広委員の順にお願いしたいと思います。
 それでは,髙木委員,お願いいたします。
【髙木委員】 ありがとうございます。髙木でございます。
 意見でございます。審議のまとめ,これまでの経緯を考えますと,いろいろ曲折はございましたけれども,かなりしっかりした審議のまとめになっているというふうに感じております。
 意見ですが,個別最適な学びと協働的な学びを充実させるためには,学習評価の在り方が重要だというふうに考えております。今回,審議のまとめの中に学習評価が入ったことは,この時点で学習評価を取り上げることの意味の大きさを私は感じております。現状は,学校教育,いろいろ回ってみますと,成績をつけたり,それから中学校や高校においては,進路に関わって評定という問題が非常に大きくなっています。評定をつけることが学習評価と捉えることが社会的には定着しておりまして,一人一人の子供の資質・能力の育成を伸ばすことに向けた学習評価観への転換,これを図ることがこれから重要になってくると思います。単に成績をつけるということで,5,4,3,2,1をつけることが今回行われている目標準拠評価の質的な評価,A,B,Cで考えていることとなかなか整合性を持ってこないというところで,学校のほうでも苦しんでいる部分が多々あるということを御理解いただきたいと思います。
 そのためには,今回の学習指導要領で明確に位置づけられましたカリキュラム・マネジメントの中に学習評価の定着をきちんと位置づけるということが今後より一層求められるというふうに考えております。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。今の髙木委員の御発言と,それから審議のまとめとの関わりですと,22ページのところに教育課程の実施状況の評価と改善ということについて,それぞれ必要な事項が記されているわけですけれども,その前に,指導と評価の一体化ということが今回かなり丁寧に書き込まれたのではないかと思うんですけれども,22ページのところに,ここのところこそ,今,髙木委員が御指摘いただいたカリキュラム・マネジメント,指導と評価の一体化というのを学校に根づかせていただくための視点としては,22ページの教育課程の実施状況の評価と改善という,このところに位置づけるというのもまた1つの考え方ではないかと思うんですけれども,そういうことも含めまして,今の御発言等々を審議のまとめに反映させていきたいというふうに考えます。
 続きまして,秋田委員,お願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。東京大学の秋田です。
 まず,ここまで本当に精緻におまとめをいただきましたこと,関係者の皆様に対して厚く御礼を申し上げたいと思います。その上で,さらにこの審議のまとめの若干細かなところではありますけれども,2点ほどと,あと自分の意見を申し上げたいと思います。
 ICTということが個別最適と協働的な学びにうまく活用されるということを考えましたときに,実はこの審議のまとめを読んでいきますと,ページの2ページ,3ページあたりにおきましては, ICTは個別最適な指導のために個別に使われるというところがあり,6ページにICTは空間が遠いところで活用されるというような表現が出ておりまして,実際には,23ページまで読んでいきますと,協働的な学びにおいても同じクラスの中や外の人ともICTを使って行うのだということが初めて出てくるのが23ページになっております。
 しかし,実際には,この教育課程部会でも,例えば鹿児島県教育センターなどの事例でも,同じ1つのクラスの中でもICTをグループなどで活用するというようなことが,実は本質的な学びの時間を生み出したり,共有を容易にするというようなところで,ICTイコール個別学習に使うものというようなイメージと,あと遠くにつなぐときに使うものというイメージだけではなく,最初の部分で協働的なところにもICTをより有効に活用を行っていくというようなところが加筆されており,23ページと同様のことがその前のところでも,協働の学びのところでも若干触れておいていただけると,この会議に出ているメンバーは分かっていますが,初めて読まれる方のICTと学習方法とのつながりとしてはよろしいのではないかと考えたというのが1点です。
 それから,2点目としましては,11ページになりますけれども,低学年における学びというところで,これは無藤委員がお話しくださったところで,小学校低学年では安心して学べるというようなところがあるんですけれども,ここで,「分からないこと・できないこと」を「分かること・できること」にすることが学習であると書かれているんですけれども,「分かること・できること」にするプロセスが学習であるということや,それだけを考えると,分かるとできるようにならねばならないという発想になるんですけれども,他の児童や教師との対話というところの前に,例えば分からないということを人に言ったり,その援助を求めるというようなことによって学び深めていくことが大事だという意識を低学年や中学年で育てていくところが,実は探究的な学びや相互に学び合っていく,基礎をつくっていく上で重要ではないか。この文章だけだと,もしかすると分かることとできなければ駄目なんだ,それが学習だと考えられがちです。でも実際の学習というのは分からないということに気づき,さらに探究していく尽きないプロセスですので,その辺りのニュアンスをもう一度ここの,特に低学年で分からないことが分からないと言えたり,人に頼れるというような側面を若干足すことができたら,より完成度が高くなるのではないかというふうに思ったというところでございます。
 あと,細かなところでございますけれども,今回新たに出していただいた資料3-3は大変分かりやすく,親しみがあると感じました。そして,それが指導要領のどこに位置づくのかということも分かりやすいと思いました。その一方で,右側のところでクラスメイト,異学年の子供,他校の子供,地域の人とあるんですけれども,特に中学校や高校を考えますと,より専門家とか,特にSTEAMなどの教育の場合にはエキスパートとの交流のようなことが非常に意味を持ってきますので,地域だけではなくて,そうした文言も入るとよろしいのではないかと考えました。これから,先ほど戸ヶ﨑委員も言われましたけれども,学びに向かう力,それからSTEM教育などをやっぱり中学・高校の中等教育のところでいかにより深めていくのか,そのために教科横断的な発想を教員が持っていけるのかというような,そこの学校ぐるみでのカリキュラム・マネジメントが重要だし,これは教員養成部会になるのかもしれませんが,それがカリキュラムオーバーロードと言われるような負荷を軽減していくことにつながっていくのだというようなところが大事ではないかと思っているところであります。
 今回のこのまとめで,やっぱりカリキュラム・マネジメントということや,学校が主体となって子供の主体性と同時に学校が主体的にカリキュラムをデザインしていくという,そこが強まったことが大変よかったのではないかと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。今の御指摘された資料3-3ということですね。クラスメイト,異学年の子供,他校の子供,地域の人,それに加えて専門的な知見を持っている様々な人というのもこの列に加わるのではないか,そういう御指摘も大変貴重な御指摘ということで聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
 続きまして,喜名委員,お願いいたします。
【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。よろしくお願いいたします。
 まず,これまでの審議,それからいろいろ議論を基に修正をしていただいたこと,大変ありがたく思います。私からは,7ページの(3)個別最適な学びと協働的な学びについてということと,今お話のあった資料3-3との兼ね合いについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つ目の丸にございますように,学校における授業づくりに当たって,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の要素が組み合わさって実現されていくということがございますが,全くそのとおりであります。例えば小学校の算数でありますと課題があり,問題解決的な学習を進める中で,まず,自力解決の時間,個別の時間が保証されます。それぞれのその部分で教員が支援をしたり,子供たち一人一人に対応していく時間があります。それを受けて,みんなで協働的に学ぶ時間,それぞれのよさ,発表しながら1つの解決方法や多様な解決方法を練り上げていくと,そんなことが日々行われています。
 そういう意味では,資料3-3の中の協働的な学びと個別最適な学びが色分けをされて,あたかも2つの別な概念のような,概念は違うとは思うんですけれども,位置づけとして並列されていますけれども,例えば協働的な学びの中に3人のお子さんの絵がありますが,この一人一人に実は個別学習の個性化があるのではないかなというふうにも考えられるというふうに思います。何か個別最適な学びの時間と協働的な学びの時間というのが明確に分けられているわけではなく,協働的な学びの中に個に応じた指導というのを小学校ではずっとこれまで位置づけてきたように思います。
 ただ,一方で今回課題になっている修得主義と履修主義の問題の中で,修得主義というところに目を向けていくということを考えると,指導の個別化,特にICTを使った指導の個別化ということの可能性が広がってまいります。そういうことを考えると,これまでの小学校でやってきた指導計画の立て方というんでしょうか,そういうものも見直していかなければいけないのかなということがあります。いずれにしても,このイメージ図の表現といいますか,この辺がとても難しいなというふうに思うところですけれども,これから学校現場として考えていかなければいけないものだというふうに思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,若江委員,お願いいたします。
【若江委員】 ありがとうございます。キャリアリンクの若江でございます。
 今回のまとめていただいたものは,産業界,もしくは地域の人たちが読んでも非常に分かりやすくまとめていただいているなと思っております。ありがとうございます。
 そこで,私のほうから意見と文言の追加について御提案というか,お願いをしたいと思っております。まず,意見についてですが,先ほど戸ヶ﨑委員からもお話がありましたように,私自身も中学校の学びのパラダイムシフトがとても重要だと思っております。そのために,ここでもカリキュラム・マネジメントの重要性が提示されていますが,例えば総合的な学習の時間を,今,学校ごと,もしくは校区ごとでいろいろ取り組まれるというところまでは展開されていると思うんですけれども,今後,市町単位,例えば小学校から中学校まで9年間のコアカリキュラム的なものを総合的な学習の時間のうち10時間,15時間程度のものを決めていく。それによって市町の教員が指導と評価の一体化をきちんと理解をしていく,そんなプロセスになるのではないかなというふうに思っております。ですので,カリキュラム・マネジメントを個々の先生方,個々の学校で取り組むよりも,そういった市のコアカリキュラムみたいなものを提示するというのは有効な方法ではないかなと思っております。
 それと内容についてなんですけれども,9ページのところの3つ目のポツのところになります。そこまでのところでいろいろ「個別最適な学び」及び「協働的な学び」のことについて記載いただいておりまして,9ページの上から3つ目の最後のまとめのようなところなのですが,その際から始まりまして,最後のほうですが,全ての子供たちの可能性を引き出す,「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現していくことが重要であると,ここにさらっと書かれていますが,資料3の矢印にも表記がされているように,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実をというふうに,最後のまとめのところですので,前のページとかには少し出ておりましたが,ここにもやはり一体的な充実を,さらには発達段階に応じて系統的に実現していくことが重要であるというぐらい,ここをさらっとではなく,前のことを受けて,ちょっと表現を追加していただけたらどうかなと思いました。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続いて貞広委員にお願いしたいと思いますけれども,その後,貞広委員の後,篠原委員,大島委員,奈須委員,東川委員という,この順でお願いしたいと思います。
 貞広委員,お願いいたします。
【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広でございます。
 こちらの会議内での委員の皆様の貴重な意見を包含して精緻におまとめいただき,感謝申し上げます。このまとめていることではなく,最後ということを天笠部会長からお話しございましたので,今後の方向に向けて,1点意見を述べさせていただきたいと思います。
 それは,お示しいただきました新しい学びを実現するに当たって,社会的・経済的背景に伴う格差の問題にいかに対応し,社会的公正を同時に実現していくのかということでございます。本日お示しいただきました,例えば資料3-3で申し上げますと,この中の指導の個別化というものに着目したときに,周知のとおり,学校に入学する段階や小学校の低学年の段階から,子供の学力には社会的・経済的背景に連動した格差が存在しています。その格差を是正するためには,この「指導の個別化」の中で低学年の子供たちの学習を特に充実させ,手をかけ,格差を是正するということが重要で,そのためには条件整備の傾斜的なありようも視野に入れる必要があるのかもしれません。
 さらに,地域の方々等も巻き込んだ協働的な学びという観点に着目しても,地域の教育資源や力,教育への熱意またはそれを実際に発揮できるか否かの諸条件が地域によって格差があり,一様ではありません。その違いを是正する仕組みがなければ,どこの地域に住むかということによって子供たちの学びに格差が生じますし,この地域ばっかりはすごく頑張ってていいねというふうに,そういう条件が整っている地域だけが評価されるということになりかねません。すなわち,こうした格差の是正を本気で進めるのであれば,今までのような同一基準による条件整備から,一部必要度に応じた条件整備の傾斜的な配分への転換や,教育以外の政策領域での対応,例えば社会全体の働き方を見直す,地域と学校との関係性を転換させるなども見据える必要があるというふうに考えます。
 今後,新しい学びをここで先生方の御意見を練り上げてすばらしいまとめになったわけですので,こうした新しい学びを社会的公正を確保しながら実現するためには,今申し上げたような諸側面との連動が必要であるということを改めて今後の方向性として切望していきたいと思います。
 以上,意見として述べさせていただきました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,篠原委員,お願いいたします。
【篠原委員】 ありがとうございます。デジタル教科書の部分について,私の意見を取り入れていただいてありがとうございます。その上で1点,感想を申し上げたいと思います。
 今,教育をめぐってデジタル化,ICT化,あるいはオンライン化というような流れがどんどん強まっているわけで,私は,それはそれで結構なことだと思っているんですけれども,一方で,やっぱりリアルなもの,アナログ的なものというのは教育の面でどうしても不可欠だと思います。ここの2つを,どう両立させていくのかということは,これからぜひ注意深く進めていただきたいなと。デジタル化とかICT化はあくまでツールなんですね。目的ではないということをしっかりと我々は押さえておく必要があるのではないかなと。
 例えば,今大学でもオンライン授業が主流でございますけれども,大学の学長なんかのコメントを見ていると,オンライン授業そのものを自画自賛というか,そういうコメントが結構見受けられるんですけど,例えば大学1年生はキャンパスに入って,単に授業を受けるということだけではなくて,キャンパスライフを楽しみ,友達もつくりたいと,こういうようなこともあるわけです。そういうものが全部脇に追いやられて,オンライン授業が成功しているんだ,成功しているんだというような流れにややなっている感じがあると思うんです。私は,ここで教育全般について再確認すべきだと思います。小中高含めて。学ぶことは大事なんですけれども,もう1つ,友達関係をどうつくっていくか,人間関係の形成をどういうふうに子供の頃から養っていくかとか,そういう問題も非常に重要なファクターだと教育においては思うんです。だからそういうものが捨象されないように,うまく両立させて,このデジタル化,ICT化を進めていただきたいなということで,くどいようですけれども念を押させていただきます。ありがとうございます。
【天笠部会長】 大変大切な御指摘だというふうに受け止めさせていただきました。デジタルとアナログというのをどういうふうな形で融合させていくのかということが課題だと思いますし,とりわけ小学校の1年生から4年生という学年,それからさらに中学校へという,そういう発達段階,学年の段階とデジタル,アナログの関係等々という,まさに教育課程はカリキュラムの研究ですし,カリキュラム・マネジメントという質が問われる段階に来ているようにも思います。どうもありがとうございました。
 続きまして,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】 ありがとうございます。東京大学の大島です。
 まず,多様な面からこのような取りまとめをしていただきまして,誠にありがとうございます。非常に読みやすく,また,いろいろな意味で説得力のあるまとめになっているんじゃないかなというふうに思います。特にSTEAM教育であったりとか,最新のTIMSSの結果も反映していただきましたこと,本当にうれしく思っております。
 まず,資料3-2を中心に幾つか御提案をしたいということと,あと今後について,その2点について示せればなというふうに思います。特に資料3-2はページの13,14のSTEAM教育を中心に少しフィードバックできるとうれしいかなと思っています。
 1点目は,産業界との話で加えていただきましたこと,今までにない視点でよかったかなと思います。一方で,高大接続というのもSTEAM教育の観点では大事なんだなというふうに思っています。特に教養教育では比較的STEAMとの親和性も高いので,ぜひ高大接続の推進ということの観点も少し含めていただけるといいかなというふうに思っております。
 あともう1つは,ページ14なんですけれども,ものづくり体験,これを入れていただいてよかったと思います。一方で全体として,STEAM教育でもいわゆるICTの取組がちょっと弱いかなというふうに思っております。例えばものづくり体験がプログラミングなどを入れた科学的な体験の充実というような形で少しICTを含めたところを入れていただいてもいいんじゃないかと思っています。
 あと15ページの最初です。実を言うと,篠原委員がおっしゃっていたこと,私,非常に大事な観点だと思っています。その意味で教師が一人一人に応じた学習活動を課すこと,この部分なんですけれども,ここにさっきオンラインであったりとかオフライン,そういうことを含めて総合的に学習活動を課す,そういう文言を入れていただけるといいんじゃないかなというふうに思っています。
 あと,今後についてなんですけれども,特にSTEAM教育の場面にはいろんな方々,それが教員も教科を横断した教員であったりとか,あと企業の方と大学も含めた専門家の方,そういう方がいろいろとチームになって教科というかプログラム,STEAM教育をつくり上げていくというのは大事だと思うんですね。なので,生徒だけの協調学習という意味ではなくて,やはり教員も含めて協力し協調していくという,そういうことが今後,教員養成の観点でも必要になってくるのではないかなというふうに思っています。
 あと,2022年から理数探究が実際にカリキュラムの中に含まれるんですけれども,そのためにはやはりグッドプラクティス,これが多分いろんな形で蓄積していくことが必要になってくるのではないかなというふうに思っています。今,STEAMライブラリーなどの構築とかもございますので,学校現場だけではない,いろいろなプラットフォームも含めて利用していくということも考えていくというのが,ある意味,社会に開かれた教育課程の一環になるのではないかなというふうに思っております。
 あと,最後に,これちょっと視点が異なるかもしれないんですけれども,やはりGIGAスクールであったりとか,先ほどのグッドプラクティスの蓄積にも関係するんですけれども,このようなデータであったりとか,そういうものを皆さんが利用できるようなプラットフォームづくり,それを何らかの形で盛り込んでいくということが大事なんじゃないかなというふうに思っています。多分これがまとめの中に入るかは別かと思いますけれども,ちょっとそういう観点が少し欠けているようなところもありますので,ぜひそういうデータ利用のためのプラットフォームづくりというのも少し言及していただけるといいかなというふうに思っております。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,奈須委員,お願いいたします。
【奈須委員】 上智大学の奈須です。よろしくお願いいたします。
 今回の学習指導要領に連なる中央教育審議会の答申が2016年12月21日でしたから,ちょうど4年と1日を経て今日ということになるわけですけれども,この間,またいろいろな議論がなされてきたなという感慨を持っています。
 今日の資料でいうと,3-3ですけれども,とても分かりやすくコンパクトにおまとめいただいたと思うんですけれども,少し私が理解できないのは,右上のピクトグラムがありますけれども,四重の円になっているんですかね。左側から右側に子供が何か資質・能力を育成しながら成長して,自分を切り開いて社会とつながっているというふうな図的表現なのかなと思うんですけど,ちょっとこれが一つ一つが何を意味し,どういう関わりになって左から右に進んでいるのかということが,イメージ的には何となく了解はされるんですけれども,イメージですので結構多義性もあるので,思わぬ誤解を招いたりしないかななどということが少し気になっていたりして,ずっと文字で埋めるのもどうかと思いますが,ちょっとこの辺りの図が何をどういうふうにそれぞれが意味し,どう関連づいているのかということ,省内というか,教育課程課内でいいと思いますけど,まず,しっかりと御確認いただいて,何か問われたときに答えられるようにということがあればいいなとまず思っておりました。
 それから2番目ですけど,先ほど喜名委員から御指摘のあった個別最適な学びと協働的な学びの関係,これ,まずいろんな型があるんだろうなと思っています。喜名委員もおっしゃったように,1時間の中でこれが往還をするという非常に質の高い授業づくりがこのところ日本で行われてきたし,それを個に応じた指導とも呼んできたわけですけれども, 1時間の中でももちろんあるでしょうし,単元のレベルで考えるということもあるのかなと思います。だから,そう考えると1時間とか2時間は完全に個別でなされたりするというようなことも考えていくんだろうし,あるいはカリキュラム上の形態で,ある活動については個別的に全てが進行するというようなこともあるんだろうと思うんです。また,ICTの利用ということを考えると,そういうこともあるんだろうな。今回は個別最適な学び,協働的な学びということが従前の実践をより豊かに発展させるという意味で確認し整理されたわけですけれども,多様な言い方で,まさにこれはカリキュラム・マネジメントにもつながっていきますが,そのように行われるということが大事なのかなと思って拝見していました。その意味では,この絵の表し方でよいのかなと私は思います。
 それから,最後に全体にというお話でしたけれども,この1年半ですかね,まさにこの議論の中で,あるいは2016年の答申からもずっとそうですけど,カリキュラム・マネジメントという概念が非常に重要だということは,先ほども戸ヶ﨑委員等おっしゃるとおりだと思います。ただ,ちょっとこのところ気になっていますのは,カリキュラム・マネジメントというのは,日本ではとても盛んに使われるし,それに伴った実践の展開や,政策の深化も進んでいると思いますけど,アメリカあたりではほとんど使いませんよね。これまた御専門の先生方にお伺いしたいんですけど,多分,アメリカあたりでカリキュラム・マネジメントというと,ヒト・モノ・カネというリソースをどう適正に再配分して教育をよりよいものにしていくかという,かなり経営学的な意味,純粋に経営的な意味に限定されて使われるような気がするんですね。
 本邦でのカリキュラム・マネジメントというのは,もっとカリキュラムをダイナミックに動かしていくと,動的にとか,可変的に動かしていくという意味で使われているんだろうと思いますし,それが日本の教育課程には欠けていたので,とても重要なことだと思うんですけれども,自律的で可変的で動的にカリキュラムを運営し,見直していくということは,もともとカリキュラム・メイキングに入っている概念かなと思うんです。一番最初の1949年のラルフ・タイラーの枠組みの中にも,目標,内容,方法,評価の4要素全て含むと,それが各学校において自律的にとか,可変的にとか,動的に動いていくものがもともとカリキュラム・メイキングですよね。逆に言うと,日本はそうなっていなかったということを考える必要があるんだろうと思います。
 日本でも戦後から1958年まで,学習指導要領が試案だったの時代はそういうふうになっていますし,今から昭和26年の試案なんかを見ると,カリキュラム評価に当たるようなことも丁寧に説明されていますよね。それが1958年以降,国の関与がとても強くなって法的拘束力を持つという中で,なかなか現場がそういうことに踏み出しにくくなったという経緯があるんだろうなと私なんかは思うわけです。そのことをそろそろきちんと総括していきたいし,そうしていくと,将来的には,カリキュラム・マネジメントとして今呼んでいる働きが,特にそう言わなくても,カリキュラム・メイキング,学校で言えば教育課程編成と言えば,今言っているカリキュラム・マネジメントに係る全てのことが包摂されるような認識や実践や,あるいはそれを支える政策的な動向になるということが長期的に目指す姿ではないかなと思います。
 そのことを目指して,現状では暫定的にカリキュラム・マネジメントという概念を用い,各学校現場,あるいは地方行政に意識していただくことで,健全で発展的なやり方を動かしていきたいということなんだろうな。戸ヶ﨑委員がおっしゃったように,まだまだそれも動いていないわけですから,そういう言葉を使って進めていくことが大事ですけれども,カリキュラム・マネジメントを使い続けるということは,逆にカリキュラム・メイキング,カリキュラム編成ということ自体は外側にあり,国が決めるものだということを残存させてしまいはしないかな。これは非常に長期的な話ではありますけれども,日本の教育課程政策,あるいはそれを学校がどう受け止めてやっていくかということの大きな枠組み自体をこれから長期的には問い直していく上で大事なことかと思います。カリキュラム・マネジメントというのはそのことを考え抜いていく中核的な概念にはなり続けるんだろうなと思いますけど,ちょっと最近,そういうことを思っていて,カリキュラム・マネジメント万能論みたいになるのはちょっと危ないんじゃないかなという気もしたりしています。そのぐらい日本の教育課程ということが大きな動きの中にある時期に突入しているんだろうな。これ自体はとても望ましいことだと思いますけど,そんなことを感想として持ちました。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。ただいまの発言と今回の特別部会のまとめ等の関わりで考えていきますと,特別部会の中にはこういうことが言われているんですが,これまでの教育実践とICTの環境との出会いというんでしょうか,適切な組合せという,こういうことであって,まさに今,奈須先生の言われた,これまでの戦後のもろもろの歩みというのを,これまでの教育実践という言葉でくくっておられるわけですけれども,それがこれまで蓄積してきたもの,継承してきたものと新たな出会いとをどういうふうな形で,ある意味でいうと再組織していくか,ある意味でいうと融合して新しいものをつくり出していくかどうか,我々はそういう意味でいうと,これまでのと,それからこれからとをある意味でいうと引継ぎながら,バトンタッチしながら,次への展望を今回開こうとして,今回のこのまとめを提案させていただくというのが我々の立場かなというふうに私は個人的にはそんなふうなものを思いながら,今進めさせていただいているというところで,どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,東川委員,お願いいたします。
【東川委員】 よろしくお願いいたします。日本PTA,東川でございます。
 まずは,審議のまとめ(素案)でございますけれども,これまでの議論を大変分かりやすくまとめていただきまして,ありがとうございました。お礼を申し上げます。
 新型コロナ感染症がこのように蔓延しまして,本来であれば,文科省に集っての会議が恐らく6月ぐらいからこのスタイルで進んでいるのかなと。都合5回,そしてほかの様々な営みや会議等々がこのようなオンラインでということで,私自身,すっかり慣れたなという感じで,1年前は想像もしなかった,システムとしてはあったんでしょうけども,いわゆるICTを私たちも文房具として利活用し始めているのかなというふうにまずは感じているところであります。
 そういった意味で,学校にGIGAスクールが施されて,ネットワークと端末が1人1台というのは大変ありがたいというふうに思ってございます。この素案の2ページの一番最後のポツから3ページの最初の1つ目のポツのところなんですけども,「個に応じた指導」を充実,実現していくことが重要でありまして,それから思考力・判断力・表現力等や学びに向かう力等こそ,家庭の経済事情など,子供を取り巻く環境を背景とした差が生まれやすい,そこの指摘があるというようなことで,学校教育が個々の家庭の経済事情等に左右されることなく,子供たちに必要な力を育むという,この辺りですけれども,経済事情等に左右されないように,こういうGIGAスクールが施されて1人1台といったふうに,もちろんこの書きぶりとしては,当然ながら取られると思うんですけれども,これを全国の教育委員会,そして先生方,そしてまた保護者等が読んだときに,若干サービスとして学校の先生方が授業をデザインしたり,授業をつくり上げていくこと以外の,要は家庭状況であったり,様々な多様性にも対応していかなければならないというふうな,若干学校や先生方に負荷がかかるような受け取り方をしてしまうところにややちょっと懸念を感じているところでありますので,そうではなくて,家庭や地域の協力も得ながら一緒に展開していくんだというふうに受け取れるような書きぶりが少しできればいいのかなというふうに思った次第でございます。
 天笠先生から今日最後であるというようなお話もありましたけれども,私も約2年にわたって参加させていただきまして,様々な学びをさせていただくことができました。また,日本PTAという多くの会員を抱えている団体としても,こういった議論がなされたことについてしっかりと周知徹底をしてまいりたいというふうに思います。これまでありがとうございました。
 以上でございます。
【天笠部会長】 私のほうに届いています委員の方からの御発言の申出ということについては,今のところ東川委員までということですけれども,ほかの委員の方,御発言いかがでしょうか。若干少し時間が残っているというんでしょうか,まだありますので,この際ということで委員の方,御発言をいただきたい,お願いできればと思うんですけれども,いかがでしょうか。
 先ほどは高等学校のところで荒瀬委員に御発言をお願いしましたけれども,改めて,この教育課程部会における審議のまとめ全体ということとの関わりということも含めまして,再度,荒瀬委員に御発言をお願いできればと思うんですけれども,荒瀬委員,いかがでしょうか。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。審議のまとめという形になって,この間ずっと議論が重ねられて,先ほどから何人もの方がおっしゃっていますように,非常に分かりやすくなったというふうに思います。私がこの間,何人かの高等学校を含めて現場の先生方と話をして,このことを説明する中でも,要は,個別最適な学びと協働的な学び,これは先ほどから喜名委員もおっしゃっていましたけれども,別々にあるんじゃなくて,いろいろな場面でその両方がうまく絡み合いながら,子供たちにしっかりと学力をつけるために機能していくということが大事だということだと思うんですけれども,この点についての理解というのも徐々に進んできていると思います。
 私,とてもいいなと思うのは,「個別最適な学び」と「協働的な学び」というのは,これは両方ともが学習者視点からの表現であるということである,この点がとてもいいと思っています。さっきもちょっと高等学校のところで申しましたけれども,生徒といいますか,学ぶ側の一人一人を中心にして,その人たちが学ぶことによって成長していくということを支えるのが学校教育で非常に大事な点かと思いますので,そこのところが「個別最適な学び」「協働的な学び」という表現でうまく表せたというふうに思っています。天笠先生,どうもありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかの委員の方,御発言よろしいでしょうか。
 それでは,委員の方からの御発言はここまでということにさせていただきたいと思いますけれども,様々な御意見,今回に限らず,この間いただきましたことについてお礼を申し上げさせていただきたいと思います。皆様に御議論いただきました,それぞれの内容を踏まえまして,この審議のまとめを取りまとめたいというふうに思っております。
 そういうことで,文言の調整等につきましては,部会長である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。お諮りさせていただきたいと思います。
(「異議なし」の声あり)
【天笠部会長】 ここがオンラインではなかなか難しいところでありますけれども,ということで「異議なし」というふうに受け止めさせていただきます。どうもありがとうございました。御一任いただいたものとしまして受け止めさせていただきます。
 それでは,本日の議事はここまでということにさせていただきたいと思います。
 何か御連絡等々ありましたら,事務局のほうにお願いしたいと思いますけれども,この後の予定等々ということも含めまして,事務局のほうで何かありますでしょうか。
【板倉教育課程企画室長】 本日も非常に熱心な御審議をいただきまして,誠にありがとうございました。本日が恐らく10期としては最後の教育課程部会になるかというふうに考えております。事務局を代表しまして,局長の瀧本から御挨拶させていただければと思っております。
【瀧本初等中等教育局長】 初等中等教育局長を仰せつかっております瀧本と申します。
 それでは,本日,第10期として最後の教育課程部会を迎えるに当たりまして,私のほうから一言御礼も含めましての御挨拶をさせていただきたいと思います。
 本教育課程部会では,子供たち一人一人が学びに向かう力を身につけて,将来の様々な社会的変化を乗り越えながら豊かな人生を切り開き,持続可能な社会のつくり手となっていただけるよう新学習指導要領の着実な実施に向けた方策について,大所高所からの御議論,御審議をいただいたところでございます。
 特にこの間,新型コロナウイルスの感染拡大の影響も踏まえた上で,学校におきます新たな基盤的なツールとなるICTも最大限活用しながら,また,同時に対面による学びの重要性を十分に踏まえた上で,「個別最適な学び」と「協働的な学び」との一体的な充実を図っていくことについて,多くの御意見をいただきました。こうした御意見を取りまとめ,本日,教育課程部会における「審議のまとめ」を部会長御一任としていただいたところでございます。今後,本部会での審議の成果も踏まえまして,特別部会,初等中等教育分科会,そして中教審の総会において審議をいただき,答申としてお取りまとめいただく予定としております。
 天笠部会長,それから各委員の皆様におきましては,それぞれの御専門を踏まえまして,また,時に御専門を超えて子供たちのために,子供たちの資質・能力の育成を確実に進める観点から熱心に御議論をいただき,誠にありがとうございました。文部科学省として,御指摘いただいた内容も十分に踏まえまして,必要な取組を推進してまいりたいと考えているところでございます。皆様方におかれましては,今後とも御指導を賜りますようお願いを申し上げて,御礼の言葉と代えさせていただきます。本当にありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 第10期の部会長を務めさせていただきました私からもお礼を一言申し上げさせていただきたいと思います。この間の議事進行等々,いろいろ行き届かない点も多々あったというふうに思っております。それを皆さんの支えによりまして,このたび,こういう形の「審議のまとめ」まで出来上がってきたというふうに思っております。まさに皆さんの持てるもの,アイデア,知恵等々の結集がこの「審議のまとめ」ではないかと思っております。今後,このまとめ,答申ということになって世へ出ていくかというふうに思いますけれども,引き続き皆様方,それぞれのお立場,それぞれの場所場所でぜひこのことをお伝えいただき,また,それぞれの地域において,多くの方々の御理解いただくような,そういうお立場で伝えていただければということをお願いできればというふうに思っております。
 改めまして,様々至りませんでしたけれども,皆さんのお力添えによりまして,こういう形で役を務めさせていただいたことについてお礼を申し上げさせていただきまして,これをもちまして今回の会議,そして第10期の教育課程部会を閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,まさにこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――