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教育課程部会(第117回) 議事録

1.日時

令和2年6月30日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15F特別会議室 ※WEB会議と組み合わせた方式

3.議題

  1. 特定分野に特異な才能を持つ者に対する指導及び支援の在り方について
  2. 教育課程部会等におけるこれまでの検討の経過について
  3. 産業教育振興法施行規則の一部改正について
  4. その他

4.議事録

【天笠部会長】 おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第117回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 本日は大変お忙しい中,第117回教育課程部会に御参加いただき,誠にありがとうございます。本部会は新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため,対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式によって開催いたします。
 本日の議事に入る前に,今回より新たに御参加いただく委員がいらっしゃいますので,事務局より御紹介をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。
 市川裕二委員でいらっしゃいます。
【市川(裕)委員】 市川でございます。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,会議の留意事項及び本日の配付資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 本日は対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式にて開催させていただきます。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。ウェブ会議と組み合わせた方式で行うことから,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただく,御発言の都度名前をおっしゃっていただく,ウェブで御参加の方について御発言時以外はマイクをミュートにしていただく,御発言に当たっては,ウェブで御参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただき,会場にいらっしゃる方は札を立てていただくという御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から5まで及び参考資料がございますので,御確認をお願いいたします。御不明な点等ございましたら,事務局までお申し付けください。
【天笠部会長】 それでは,議題に入りたいと思いますけれども,ただいま御案内がありましたように,本日は議題が3つございます。大体時間的な目途としましては,1つ目の議題につきましてはおよそ11時10分前後でということにさせていただきたいと思います。続きまして,2つ目につきましてはおよそ11時50分前後でというのを目途にし,3つ目につきましてはおよそ12時前ということで進めさせていただきたいと思いますので,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは,議題1に入りたいと思います。特定分野に特異な才能を持つ者に対する指導及び支援の在り方について,取り上げたいと思います。
 本議題について,お二方に御発表いただきます。お一人目は,愛媛大学教育学部の隅田学先生です。科学才能教育研究の立場から,才能をどう捉えるか,教育の質的転換モデルとしての才能教育の在り方などを御発表いただきます。お二人目は,東京大学先端科学技術研究センターの福本理恵先生です。「異才発掘プロジェクトROCKET」のプロジェクトリーダーとして活躍されてきた御経験から,これまでの取組やこれからの教育の在り方について御発表いただきます。
 なお,参考資料として,文部科学省より委託した調査研究の調査報告書がございます。諸外国における才能教育の現況についてまとまっておりますので,併せて御確認いただければと思います。
 これから隅田先生にまずお願いしたいと思いますけれども,所要時間20分前後ということでお願いしたいと思います。その後,続きまして,福本先生にお願いしたいと思います。その後に委員の皆さんから御発言と御質問等々をお願いしたいと思いますので,まず隅田先生から御発表のほどよろしくお願いいたします。
【隅田教授】 愛媛大学の隅田です。よろしくお願いいたします。
 では,資料の提示をお願いいたします。
 2枚目をお願いします。この内容で構成してまいります。
 3枚目をお願いいたします。これも有名な国際調査の結果でございます。TIMSS2015。成績はいいんだけれども,楽しいかとか,得意かとか,自己実現はとなると,国際平均から必ずしも高くないということで,アメリカの研究者などによく聞かれるわけです。日本の子供はどうしてこういう状況でそんなに一生懸命理科を勉強するのかと。どう答えるかということで,私,よく答えるのは,それだけ日本の理科とか算数,数学の先生がすごいんだと。そういう子供の成績をここまで上げているんだと,こういう答えをよくするんですが,一方で,やはり25の国・地域,あるいは39の国・地域の中で3位,2位の成績を取る日本の子供たちにとって,その子供たちの知的好奇心を十分満足させるような教育の内容とか方法なのかというのは考える余地があるわけです。下の,身近な素材を使った体験的な理科授業なんていうのは,日本では比較的よい授業とみなされるわけですが,これを見に行って,才能教育コースを受けた子の反応をインタビューしますと,もっといい資料を使えばいいのにとか,実験方法も,これは先生が事前に器具を準備していて,「はい,班ごとに持っていって」とかになっていて,ワークシートの穴埋め式になっているような,改善の余地がないとか,しかもそれを,これは通常コースの子と一緒の混合クラスの授業だったんですが,あまりやる気がない子と一緒にやらなくてはいけないとか,こういういろいろなコメントが来るわけです。これは日本の教育を改めて考える,良い視点だったと思います。
 次,お願いいたします。これはがTIMSSが,ビデオスタディーといって,日本,アメリカ,オーストラリア,オランダ,チェコの理科の授業の国際比較をしたときのサマリーの一部です。ポイントは,日本の理科の授業の特徴,非常に評価は高いんですが,やっぱり授業の最初の問いは先生が出す,そして最後は一つの結論に集約すると。あんまり挑戦的で難易度が高い理論的なものは扱わないと。ここら辺がちょっと気になるところでございます。
 では,次,お願いいたします。PISA2015とかTIMSSもそうなんですが,今よく比較されるのはシンガポールとの違いで,上位層で見ますと,PISAでいきますと,シンガポールはレベル5以上の子が2015の調査で24%ぐらいいます。ということは,ざっくりと考えれば,理科で班で授業,話合いをしたり,実験をしたりするときに,大ざっぱな本当にラフな計算ですが,班に1人は世界のトップレベルの子がいるわけですね。そういうところでの話合いとそうでないところではやっぱり違うだろうということ。それと,科学リテラシーのタレントプールのような考え方は,そのパーセントに今度は人口,その国のその子の数を掛け合わせて全受験者数で割ったもの。そうすると,アメリカが1番になってきます。20%を超えてくる。ですから,アメリカは平均値が多少低くても,結局優秀な子の数とするとアメリカにいるんだと,2割はアメリカに住んでいると考えることができます。ただ,その次の中国の一部地域の子がかなり肉薄しておりまして,これをレベル4ぐらいに下げると拮抗して,レベル3になるとひっくり返るんじゃないかとか,そういう議論になるわけです。日本はこれから子供の数が減るわけで,こう考えると,科学リテラシーの総国力のようなものを考えたときに,数で稼げないのであれば,やっぱりレベルの高い子を増やすというのは一つの方向性としてあるんじゃないかと思います。
 では,次,お願いいたします。そうはいっても,才能教育というと,どうしてもイメージ先行になりがちなので,少し最近の動向をお話ししたいと思います。
 次,お願いいたします。古典的なところでIQ130以上なんていう基準がよく使われていたわけですが,今ではそれだけで評価するのは避けようというのが,これはもう共通理解と思われます。特に21世紀に,ちょうど分け目のときに,才能教育研究界に大きな影響を与えた人を何人か紹介します。
 まず,ジョセフ・レンズーリ先生の3輪モデルは有名です。これがなぜ面白かったかというと,一握りのトップじゃなくて,まず左上のところですね,Above Average。だから,レンズーリ先生は,平均より上ぐらいだったらもう十分だと言うわけです。そのほかに,Creativity,何か新しいものを生み出そうとするような力とか,あと,Task Commitment,課題に対して没頭したり傾倒する力。そういうのを組み合わせることで才能を見るほうがずっといいんだと。これは大きな転換だったと思います。
 右側のジョイス・ヴァンタッセルバスカ先生は,才能教育,IQからの流れで,領域非依存的な議論が多かった中で,具体的なカリキュラムを作るということで領域依存的な部分に注目した。これもバージニアのウイリアム・アンド・メアリーの才能教育センターの所長をされていた方です。やはり内容を少し高度化させるのと,高次の思考とか課題解決能力,それをプロジェクト型で統合的なカリキュラムとして,インテグレーテッドカリキュラムモデルというか,そういうのを提案して,すごく有名なカリキュラムを発信してきました。
 私も幾つかやっているんですが,今日まずお話しするのは,科学教育と才能教育と特別支援教育を混ぜたような,2E,Twice ExceptionalとかDual Exceptionalという,才能と学習困難を併せ持つ子供の話を少ししたいと思います。
 次,お願いいたします。学校教育は大体,具体から抽象とか,単純から複雑と,そういうふうになっているんですが,逆な子がいまして,単純な課題ではミスばっかりするし,忘れ物もするんだけど,誰も解けないような複雑で高度なことができると。むしろ全体を俯瞰して,そこをある程度イメージしてから具体に行くほうが学びやすい子がいるとか,あと,対人関係でうまくいかないとか,行動特徴が世界で報告されております。
 では,次,お願いいたします。こういうのを参考に,私,理科が突破口になるかなと思いまして,小学生向けの行動チェックリストを作って調査を行って,因子分析を行いました。
 次,お願いいたします。そうすると,因子が大きく3つ出ました。これは小学生です。大学生で同じのをすると少し違うんですが,今日は小学生の話をいたします。1つ目の因子が,一般的な有能性で,それぞれの項目で,自分がどれぐらい当てはまるかで因子得点を出していきます。
 2つ目,お願いいたします。これは具体物,やっぱり生物とか石とかそういうのをよく集めてくる子とか,器用に分類する子とか,とにかく知識が多い子が存在いたします。
 3つ目,お願いいたします。これは独創的な有能性の因子で,人とは異なる自分の考えややり方を気にせず発表するとか,指示どおりではなく自分のやり方で活動するとか,失敗を気にしないとか,そういうのも因子として出てきますので,それも得点で出しまして,重要なのは,全部が高ければというのではなくて,凸凹具合を分類する,クラスター分析を行いました。
 次のスライドをお願いいたします。大きく3つに分類することができます。ひらめき型の特徴というのは,一般的な有能性,具体物に関する有能性,これはどちらもあまり高くないんですが,独創的な有能性の因子がぱんと高くなるグループがある。2つ目のグループは,全部が均等に高いグループがある。3つ目は,一般的な有能性の得点,具体物に関する得点は高いんだけれども,独創的なところがぽんと落ちるグループがあったと。日本語でざっと,ひらめき型とか科学者型とか,熟達者型でもいいかもしれません。勤勉型のラベルをつけてみたということです。3つぐらいのスタイルに明確に分かれたと。
 では,次,お願いいたします。そしてこれをA群とB群に分けて調査をしているわけですが,A群が特別支援傾向児のグループです。そしてB群が定型発達児といいますか,同じクラスで性別も同じで誕生日が一番近い子を任意で抽出いたしまして,比較したものです。結果で大きく2点重要なことがございます。1つ目は,科学者型に含まれる子は有意差がなくいたということ。だから,特別支援傾向児でも通常児でも同じぐらいな割合でそういう子がいるということ。これは1つ大きなことです。もう1つは,特別支援傾向児のほうがひらめき型の子が有意に高くて,通常児のほうが勤勉型が高い。
 1つ資料を戻っていただいてよろしいでしょうか。これを見ますと,ひらめき型の子が得意な部分,独創的な有能性は,実は勤勉型の子が苦手な部分なんです。ですから,こういうことを教員が知っていて支援ができるのであれば,通常児と特別支援児がお互い一緒に学ぶことによって,お互いの強みと弱みをうまく増幅させることができるんじゃないかと。そういう研究でございました。
 では,次の次へお願いいたします。先ほどの2E傾向がある5名を,こうやって詳細にインタビューをしまして,実際に授業を1単元,通常の授業でやってみたのも研究を行いました。
 次,お願いいたします。そういたしますと,例えば教師の演示,ずっとビデオで撮っているわけですが,演示実験へ向かうとき友達を押しのけて,ちょっとトラブルになりそうになったりするわけです。しかし,それもよく見てみますと,1単元を通して演示実験の場面だけ全部拾い出して見てみますと,その子は常に先生の左側にいることが分かったんです。それはどういうことかというと,その子はもう実験を見たくてたまらない。そうなったときに,先生の隣で一番よく見える場所はどこか。先生は右利きなので,左が邪魔にならないということを考えて,そこのポジションを狙いに行っているんですね。先生がそう考えれば,ただ単にトラブルを起こす子ではない,声かけができるようになる。下の右の写真は熱気球を作っているんです。物作りを単元の最後にやって,普通の子は目玉をつけて,「ああ,気球,お化け」とかと言って飛ばすわけですが,その子はシールを貼っていました。何のシールかなと見ますと,サーモテープを貼っていて,ずっと横からドライヤーで温めて,浮かび上がる瞬間ですね。サーモテープを貼っておくと,浮かび上がる瞬間の中の温度が分かるんじゃないかと,その子は考えた。でも,それを先生が知っていれば「すごいね」となるんですが,知らなければ,友達は「あいつだけそんなテープを貼ってずるいな」というふうなことになります。そういう場面をいかに伸ばしてあげるか,摘むかということです。
 では,次,お願いいたします。この研究は,私,ノーベル科学者の分析をした研究なんですが,ここで1つ言いたいのは,才能教育といいますと,どうしても個,個人が過度に強調されることがありますが,そんなことはありません。ノーベル科学者もアインシュタインの孤高の天才のようなイメージではなくて,今は共同的,共同受賞で他国の人と国際的にやって,分野も学際的な分野がブレークスルーを起こしているということをやはりちょっと言っておきたいと思います。
 次,お願いいたします。そういう才能教育をいかに学校教育に落としていくかということで,幾つか事例を紹介したいと思います。
 次のスライドをお願いします。1つ目,AccelerationとEnrichment,早修と拡充のような話はもうこれまでされていたようなので,それに私は,フォーマルな授業で行うのか,インフォーマルで行うのか,そういう軸を加えてみました。そうすると,習熟度別のグループを作ることから飛び級までありますし,家庭教師をつけるのからサイエンスオリンピアドのようなコンテストとか科学の祭典のようなものまで幾つか分類できるわけです。重要なのは,フォーマルなところでいかにするのか。この部会ということでぜひ御検討いただきたいというのは,やはりフォーマルで何かしらの手だてをしないと,アクセスとか家庭所得とか,そういう格差が生まれてしまうということでございます。
 次,お願いします。これはアメリカの例で,別に新しいものではなくて,古典的なものなんですが,3年生でエンリッチメントを,シャボン学といって,バブルオロジー,シャボン玉だけで15回授業をやっていました。日本でもシャボン玉を作ったりはするんですが,きれいだねとか,楽しいねではなくて,形や大きさを変えることはできるかなとなるとプロジェクト型になって,大きさは変えることができるけど,形は変えづらいぞと。大きさはどうやって測るかと子供たちが一生懸命考えることを評価しているわけです。私が見ていた子供は,どうやってと思ったら,考えていました。ぱちっと机の上できれいに割れたやつを,直径を測ればいいとかと子供が言い出して,そういう方法も考えて授業をやる。
 次,お願いします。環境作りとして的当てゲームを惑星の大きさを考えながら作っているものだったり,雲のモビールを作っているのに出現行動を想定しながら作っていたりとか,スキームといいますか,アートとか遊びを取り入れた環境がたくさんございます。
 次,お願いいたします。日本で何かできそうなことはないかなということで,理科の授業,通常の単元の授業の中身を,最後にきちっとまとめるのではなくて,重要なポイントをざっくりと先に学んでしまって,あとは使いながら学ぶような単元構成にして授業をしてみました。才能教育では,こういうのをカリキュラムコンパクティング,先にコンパクトにできるところはコンパクトにして,後で自由な部分を増やす。最初に概念的なことをやって,スキルをやって,それで独立して実験ができるようになっていって,最後は自由課題でやっていく。
 次,お願いいたします。子供たちが,どんな自由研究を自由な発想でやったかということで紹介いたします。字が少し見えづらいかもしれません。この子は,砂糖なり物を溶かすときに,同じ溶かすでも,最初に5グラム溶かすときと,50グラム溶かした後の次の55グラム溶かすときの5グラムでは,溶けるまでの速さが違うんじゃないかというのに着目しています。それもすごくいい視点で,面白い。あとは,ここまでやってくる間に,お互い友達が,この実験がちゃんと成立するのかとか,時間内に終わるのかとか,そういうこともチェックできるようになっている。
 次,お願いいたします。この子も面白くて,水と何かが溶けたときにくっつくということができるのであれば,この子は,ミョウバンを飽和になるまで溶かした後に別のものは溶けるんじゃないかと。だって,水はまだ余りがあるはずだとか,あるいは溶ける量が違うんだったら,相性というか,つき具合が違うはずなんだから,それはやってみるべきだというふうに考えています。これなんかもとても面白い考えだと思います。
 こういう課題をやって発散しますので,最後どうするかというのが悩みじゃないかと思います。私たちはどうやったかということで,コンセプトマップを作りました。単元に出てくることをやって,キーワードとなるようなものを一部抜いておいて確認した後で,自分たちのオリジナルな実験がどこをサムシングニューだったかというのをみんなで共有していく。そうすることで,いわゆる学問体系といいますか,そういうのに貢献しているような,何か新しいことを寄与する,その特徴が本当かというのを議論するような回を設定してみました。
 次,お願いいたします。単元を通して,節目節目で,難しかったかとか,自信がついたかとか,もっと調べてみたかったとかを調査をしてみました。最初の,科学の決まりを学んだりとか実験操作をやるところ,別に退屈ではなくて,子供は,簡単で,もっと調べたいと思っています。それがある程度問いが決まったことをやる。いわゆる,できるよな,分かるからできる段階に入ると,思ったよりやってみると難しい。少し難しくなるんですが,もっと調べたいかどうかというのはちょっと下がっているように見えるかもしれません。重要なのは,最後の,オリジナルな個性化をしたような場面です。やってみる。自分でやってみると。そうすると,難易度,難しいと思うのがぐっと上がります。ただし,同時に,もっと調べたいと思ったというのも上がるということなんです。難しいんだけれども,もっとやってみたいと。これがやっぱりとても重要なことだと思います。難しいからといって,簡単にしていって,それで子供たちのやる気が出るならいいんですが,必ずしもそうではない。難しいけどやってみたいと,こういうふうに子供が思ってくれるような状況というのがやはり重要なんじゃないかと思います。
 私の最後の部分のテーマが,全ての子供たちの個性や能力を伸長するということなので,やはりこういう子供たち,あまりふだん日が当たっていないんじゃないかというところを一部紹介したいと思います。
 次,お願いいたします。幼い子供です。幼い子供向けの特別講座をやっています。これは男子女子一緒にやっていますが,5歳から7歳,幼稚園の年長から小学校2年生の子供を対象にしています。
 次,お願いいたします。これは女の子の写真だけを集めてみました。もう没頭してやっています。トイレに行く時間も惜しんでやるような。中でやる活動も外でやる活動も楽しんでくれています。
 次,お願いいたします。これはその子たちのノートです。科学者になって研究する様子とかという国際調査を20年ぐらい前にしたところ,日本の子供たちは,はげ,眼鏡,白衣のおじさんの絵が多かったんです。でも,この幼稚園の女の子が描いた左の絵は,イモリを飼っている女の子なんですね。彼女は再生医療に興味を持っている幼稚園年長児です。右の女の子は,科学実験の絵を描いた。その子の実験ノートが真下にあるんですが,海水から塩を取り出そうとしている。家でやってみた実験ノートなんです。最初は一生懸命フィルターとかざるでこしてみるんだけど,うまくいかない。発想を変えて,塩を取り出すんじゃなくて,水のほうを飛ばせばいいんじゃないかと考えて,ぐつぐつ煮てみたらできたとか,ストーリー性が非常にあることをやっています。右下のペットボトルの絵は,幼稚園年長の子の実験ノートなんです。講座で作った浄化フィルターの出来が気に入らなかったみたいで,家に帰って,何度も設計図を書き直しては,ばらしてやっていると。こんな子がいるということです。
 次,お願いします。あとは,私,愛媛で,地方ということで,愛媛の中でも,ピンクのが松山です。ブルーのがそこで賞を取っている生徒たちなんですが,松山から約50キロ離れています。電車を乗り継ぐと約2時間かかります。この子は私が指導したわけではなくて,県の審査は,私,関わりました。中学校のときから理科の研究をすごい頑張っている子だった。高校に進学するときに松山の進学校に通うこともできたかもしれません。でも,彼女は,もっと自分の自由研究というか,理科のことに興味があったんです。なので,家から比較的近い高校で,そこは水族館があるような高校だったんですね,そこでカクレクマノミの研究をし,その研究が日本学生科学賞の内閣総理大臣賞で,日本代表となりまして,ピッツバーグでISEFコンテストに行って,動物科学部門の4等を取ったと。彼女がもし普通に県内の進学校,都市部の進学校に通っていたら,こういう研究はできなかった。こういう子が必ず一定数いるはずだということをお伝えしたい。
 次,お願いいたします。高校ということで,アメリカでいくとAPとかDual enrollment,大学科目の先取りがあるんですが,それも続けていきますと,一部の子ではなくて,国全体の受験生の底上げであるとか,低所得者層の生徒の学習機会の保障とか,理数分野の増強とかにつながっていると言われています。
 では,最後のスライドをお願いいたします。私は今,附属高校の校長をしておりまして,附属高校は平成20年に改組しまして,それまでは農学部附属の農業高校でした。今,総合学科で,1学年120名の小さな学校です。そこが,スーパー・グローバル・ハイスクールと,大学教育再生加速プログラム,これは大学ですが,高大接続をテーマにしておりましたので,やはり財産といたしまして,愛媛大学の講義を生徒が3年生全員が週に1回して二重単位,高校でも単位になりますし,大学でも単位になる。あと,課題研究の指導を受けていて,ルーブリックと共同で開発しています。こういうのを見ますと,幾つか今日お話ししてきた才能教育のキーワードの早修に関わる部分,二重単位履修でありますとか,あと,拡充,Enrichmentに関わるような課題研究のようなこと。それと,やはり国際性,SGHを終わった後,今,ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム指定を今年度よりいただきました。あと,学際性,総合学科とSDGs。それと,来年度から課題研究もグループでやろうということで,少し協働性も入れてみようと思っているところです。地方の小さな学校でもそういう要素を取り入れながら教育の質的転換を十分図れるということを御紹介したいと思います。
 あと,最後にちょっとNAGCと書いている,これは全米の才能児教育です。これはPre-Kですから,就学前から高校3年生までの才能教育のプログラムスタンダードを出しています。やはりこうやって教育課程の指針を揃えることで国全体として教育の質的向上を図れるのではないかと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】 隅田先生,どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,プロジェクトROCKETのプロジェクトリーダーをお務めになられています福本先生から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【福本特任助教】 では,資料のほうをよろしくお願いします。
 私は,東京大学先端科学技術研究センターで特任助教をしております福本理恵と申します。本日よろしくお願いいたします。
 今から御紹介させていただく異才発掘プロジェクトROCKETでは,立ち上げからプロジェクトリーダーを務めてまいりました。プロジェクトを率いる中邑教授とともにプログラムをゼロから作りまして,子供に寄り添う現場で指揮を取ってまいりました。その経験を踏まえて,本日は「異才発掘プロジェクROCKETからみるこれからの教育のあり方」と題したお話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次のスライドをお願いします。そもそも,異才発掘プロジェクトROCKETとはということなんですけれども,これは日本財団と東大先端研が共同主催という形で2014年にスタートさせた教育プロジェクトです。突出した才能を持って,不登校など,教育の機会を喪失しているような状況にある子供たちを潰さずに社会に接続するということを目指して実施してまいりました。イメージとしましては,宇宙に勢いよく飛び立つロケットをイメージしているんですけれども,こちらに示すように,Room Of Children with KOKOROZASHI and Extraordinary Talentという,そういう頭文字を取りまして,志と特異な才能を持つ子供たちが集まる空間と,そういう意味を込めさせていただいています。
 次,お願いいたします。ROCKETは,ある種の才能教育ではあるんですけれども,一般的にイメージされるようなエリート養成ということとは異なっております。ROCKETの才能教育における立ち位置を整理させていただきます。まず,ROCKETが生まれた背景には,言うことを聞かない,勝手なことをする,あるいは空気を読まないなど,凸凹のあるユニークな子供たちが潰されやすい社会的な状況に対して,逆に凸凹をありのままに生かして個人の才能を発揮できれば,多様な人たちが社会に増え,イノベーションを生んでいくんじゃないか,そういう土壌を形成することができるんじゃないかという考えがありまして,そこから端を発しております。そのため,凸凹の凹の部分を認めつつ,とんがった部分をより伸ばしていき,それぞれの個人に合わせた個性化教育というスタンスで実施をしてきた経緯がございます。定義としましても,広く捉えると,全ての子供たちの個別ニーズに応えるための教育機会を提供する教育プログラムであり,狭義に捉えますと,特異な才能を持つ子供たちをサポートする選抜制のプログラムという形になります。実施方法に関しても,ROCKET本体では選抜ありの取り出し型で実施してまいりましたが,地域連携等,公教育の接続プログラムでは,基本的には選抜なし,インクルーシブ型で実施しております。提供している教育内容なんですけれども,活動をベースとしたプログラムの提供,それから,個人にやりたいことをかなえさせていく申請制度の設置,そして学習や心理的ケアが必要な子供たちの個別サポートの提供ということで,早修型よりもむしろ拡充型の教育に重きを置いたものとなっております。この辺り,詳しくは追加資料も御覧いただけたらと思います。
 次,よろしくお願いします。ROCKETのポリシーには,学びと生き方という2つの軸があるんですけれども,学びのポリシーとして,教科書なし,時間割なし,目的さえもなしということを3つ掲げております。生き方のポリシーとして,自己選択と自己責任,筋と道理のつけ方,それから,多様な人たちとの向き合い方ということを掲げてきました。ユニークな子供たちが答えのない人生の中でどうやって自分を形成し,社会で生きていくのかということに必要なエッセンスを入れているつもりでございます。
 ROCKETを5年間やってきて見えてきた,これからのAI時代に必要な力というものを,私たちは,2つのR,2つのDということで,R2D2というふうに呼んでいます。1つ目のRはReality。知識の豊富な子供たちが集まっているんですけれども,その知識の豊富な子供たちも,知識を知っているだけでは意味がなくて,それを活用できて初めて知識を生かすことができると。そういう意味でリアリティーが必要だろうというふうに考えています。2つ目のRはResilienceです。今,安全・安心な世の中になってしまった日本なんですけれども,イノベーションが起こりにくいような状況にあります。これからの変化が多い世の中に対応できるレジリエンスというものが新しいものを生み出し,また,新規なものに向かっていって一歩踏み出していくための力になるんじゃないだろうかというふうに思っております。次に,Dに関してなんですけれども,1つ目のDがDevelopment,これは深掘りという意味で使っています。全般を満遍なくできるということではなく,一つのことを局所的にでも深く掘り下げていくオタク的な力というものが実は誰もが到達できないような領域を持っているのではないかという意味で重要だと考えています。最後の,2つ目のDはDiversityです。多様性ということですけれども,人種や障害の有無ということだけではなく,隣に座っている,一見違いがなさそうな個人同士の価値感,考え方,言動の違いということを認めて初めて共生することができるような,そんな多様性ということを重要視していこうということで掲げております。これらR2D2の力というのは,もともと家庭やコミュニティーで身につけてきた力なんですけれども,それを再び育成していく場が今の日本に求められており,ROCKETはそれを実行してきたというところがあるんじゃないかというふうに思っています。
 次,よろしくお願いします。ROCKETは,5年の実践を経まして,現行のプログラムをこのような形で3つに整理をしています。1つ目が,突き抜けていく子たちをより突き抜けさせていく,Rocketプログラムというものです。2つ目が,潜水艦が深く探索していくように,オタクな子供たちがより深掘っていくことをサポートする,Submarineプログラム。そして3つ目が,Balloonプログラムという名前なんですけれども,気球が少し浮遊しているようなイメージで,知識を上から俯瞰し,それが日常生活と教科学習につながりを持たせているということを理解しながら,学ぶ意味というものを再確認していくためのプログラムというものがあります。Rocketプログラムでは,特にレジリエンスを鍛え,Submarineプログラムでは専門性の深化を促進し,Balloonプログラムでは知識にリアリティーを与えていきます。その他,心理プログラムや地域連携,あと,成績優秀な受験生に向けての学びの本質を取り戻すというようなサマープログラム等も付随して実施してまいりました。
 次,お願いします。続いて,ROCKETの選抜についてお話ししたいと思います。2014年当初から毎年300から600ぐらいのレンジで応募があります。対象年齢は原則的に小学校3年生から中学校3年生までとなっているんですけれども,一次選考は書類選考で,好きな夢を書いてもらったり,やりたいこと,今やっていることなどを書いてもらった形の書類を送ってもらいます。二次選考では1人30分から1時間ぐらい面談をしまして,最終的に年に15から30名程度で絞ってきました。選抜の基準としましては,学力は不問,それから登校状況も不問ということで,あともう1つ,障害の有無についても問わないという形で,学力検査や心理検査の提出も強制的に求めないという形で行っています。選考で採ってきた子供たちを今から考えて見ていくと,破壊的なイノベーションを生みそうなユニークな子供たち,といいましても,大きなことをやっているというよりは,誰もがあまり見向きもしないことでも一生懸命に取り組んでいるような,そんな子供たちを採択してきたような印象があるかと思います。3つ目の,自らの意思で参加する子供たちということなんですけれども,ROCKETのKの部分が志ということで,ROCKET自体,私たちが子供たちに何か特別にアレンジをして提供するということではなく,彼らが自分のやりたいことを主張しながら自分たちで実行していくというところの要素が強いので,必ず自らの意思で参加をするということが絶対条件になっています。集まってきた子供たちの様子を見ながらプログラムをやる中で,選抜基準を毎年マイナーチェンジしてきた,そんな経緯がございます。
 次,よろしくお願いします。ROCKETでは,採択者を,スカラー候補生という名前で呼んでいるんですけれども,突き抜けていく可能性自体のことに重きを置いて,候補生という言い方をあえてしています。スカラー候補生の募集枠なんですけれども,こちらも実態に即して毎年変更してきているというような状況があります。2019年度に関して御説明させていただきたいんですが,2019年度はSIG X,SIG各領域,Jrという3つの応募枠を設けました。SIGというのはSpecial Interest Groupの略でSIGと言っているんですけれども,SIG Xというのは,領域をこうやってクロスさせていくという意味がございます。様々な領域に興味・関心があって,やりたいことをやり抜くための生き方と学び方を学ぶようなプログラムを受ける子供たちのための応募枠です。SIG各領域というのは,特定の領域に興味・関心を持ち,同じ興味を持った仲間や専門家とともに学んでいく子供たちのための応募枠となっています。Jrは,基本,中学生以下で,単発のプログラムに参加するんですけれども,そこで出会った子供たちや先輩たちと交流をしながら,自分の好きなことに対するモチベーションを維持していくために設けたような枠になっております。参加頻度は,SIG Xは定期的に行っていまして,それ以外が単発不定期開催というふうになっています。基本的に,興味のあるものに自分で申請を出しまして,選ばれると参加できるというシステムになっております。全ての枠に共通して,オープンプログラムへの参加権,それから,個別の申請制度を利用できる権限がございます。応募の枠組みも毎年子供の実態に合わせて変更しておりまして,随時カテゴリーがアップデートしているような状況にあります。今年はコロナの影響を受けまして,オンラインでの応募と実施という形に変更になっております。
 次,お願いします。現在,ROCKETには2014年からこれまで2,035名の応募がありまして,スカラー候補生としましては128名が選ばれました。学年内訳は図に示すとおりなんですけれども,ROCKETが基本的に卒業という概念がないため,年齢が徐々に上がってまいります。今年一番上の年齢で21歳の青年たちが生まれているような状況になります。
 次,お願いします。次に,ROCKETのコミュニティーとして特徴的な,登校状況の特徴と,それから,読み書きの困難の割合について御紹介したいと思います。スカラー候補生も含めた,ROCKETで情報を受け取るためのROCKETパルという立場の人たちが今1,236名いるんですけれども,彼らを対象に実施させていただいた調査では,完全不登校が22.6%というふうに高い特徴が出ております。ただ,不登校の子供たちしかいないと思われがちなんですけれども,そうでもなくて,実は約半数がほぼ毎日学校に行っております。
 次,お願いいたします。続きまして,読み書き困難を抱える子供の割合なんですけれども,ROCKETの特徴としましては,この割合が多いということが挙げられると思います。文科省の2012年の調査では2.4%という数字が出ているんですけれども,そのおよそ10倍以上の28.5%の子供たちが困難を抱えていると感じているという結果になりました。認知特性の偏りの一つの指標として読み書き困難を挙げているんですが,それ以外にも感覚過敏や,ほかにも認知的な偏りを持って学校環境になじめないことが不登校になってしまっている原因になる子供たちも多いような印象を持ちます。認知的な凸凹を平準化するのではなくて,凸の部分を伸ばして,凹の部分も本人を矯正治療するのではなくて,ICT代替や環境調整によって保障する形が望ましいのではないだろうかというふうに思います。
 次,お願いいたします。次に関心領域なんですけれども,文理満遍なく関心領域が多岐にわたるような子供たちがおります。その中で,芸術系の子供たちが26.9%と,4分の1以上を占めているんですけれども,学校内では言語での学びが中心になるんですが,芸術系の子供たちは言語処理が苦手で,感覚的な自己表現をするという子が多いので,そういう子供たちのオルタナティブな場というものが少ないのではないかというふうに感じます。ROCKETのような学びの場で多領域の子供たちの学校内で十分に学ぶ環境が整っていない場合には,エキスパートのレクチャーを受けたりすることで,また,同じ興味を持つ子供たちを交流することでニーズを満たしているように思います。
 次,お願いします。ROCKETには特性の異なる子供たちがたくさん集まっているんですけれども,先に紹介しました3つのプログラムが子供の認知特性を考慮したものになっています。いろんなことに興味があり,多分野にわたって突き抜けていくような子供たちをRocketタイプ,オタク的に深掘っていくタイプをSubmarineタイプ,知識の俯瞰ができると学校に戻って勉強の意味を見いだせるタイプをBalloonタイプとしましてカテゴライズしています。ROCKETタイプ,突き抜けていけるような子供たちというのは実は少なくて,1割程度,深掘ったり,学校に戻っていける子供たちが3割程度になるというところです。あと,情緒不安定で個別のサポートが必要な子供たち,飛行機が揺れるような情緒の不安定さがありAirplaneというタイプとして認識しており4分の1ぐらいの子が該当します。彼らは個別サポートとして,別途フォローアップをしております。このタイプも状態であり,移行していくものであると捉えているため,随時変化があるものとして考えています。
 次,お願いいたします。続きまして,実際のプログラムの事例を幾つか御紹介します。これは子供たちがROCKETに入ると一番初めに受けるプログラムで,解剖して食すという授業なんですけれども,このプログラムの特徴は,教科書なし,時間制限なしです。一見,家庭科の授業にも見えるんですけれども,やり方も答えもありません。このときに出されたミッションというのは,イカを解剖して,イカスミのパエリアを作れというだけです。やり方は自由ということで,どの素材をどの道具でどんなふうに完成させるのか,自分自身が選んで決断するプロセスというものが重要視されます。家庭科の教科書だと分量とか作り方とか完成図が記載されていると思うんですけれども,少しでも違うと,間違ったという感覚になりますし,時間内にできなかったら,完成できなかったということになるんですが,この授業では朝10時からやり始めて大体完成するのが15時という,5時間ぐらいかけてやっと完成するんですけれども,その長い時間をかけて試行錯誤をする中に自分の納得できる答えを導くということ自体を学ぶ要素が入っています。出来上がったお皿を見ていただくと,同じものが一つもないんですね。そのことこそが個人を生かす教育の表れであり,子供たちにとっては,自分の人生というのは自分の選択を繰り返しながら納得感を出していくものだという強いメッセージを与えるプログラムになっています。
 次,お願いします。こちらが海外研修の事例です。これは目的なしの意味ということで挙げさせていただいたんですけれども,これは一応子供たちには,原料,製品,エネルギーを考える旅という名目は伝えています。ただ,行き先不明のまま成田空港に連れていかれまして,ムンバイ行きのチケットを子供たちがもらうんですけれども,子供たちも,エネルギーと聞けば,今,知識が入っているので,再生可能エネルギーだというふうに想定してしまうんですね。ですが,旅先で原料,製品,エネルギーを探していく中で,現地で,例えばカースト制度の最下層の人たちが生み出しているようなイノベーションや,貧困地域で生きているような人達や,ガンジス川で亡くなった人たちを焼くシーンなどに立ち会いながら,いつもいつもパワフルなインド人の人たちにもまれていって,この国にあるエネルギーというのは実は再生可能エネルギーではなく,人のエネルギーなのではないかということに気づいていきます。本当の意味というのは,答えを探すということではなく,現地で価値感の変化や現場で彼らが入って見つけていく中にこそあって,最初から目的的なことしかしなくなってしまうと,感動や衝撃といった「学びの源泉」になるようなものを見つける前に,答えを探して終わりというふうになりがちだと思っています。ですので,面白そうな入り口,テーマを設定し,先入観を取っ払った先に自ら自分だけの目的を彼らが探せるような設計をROCKETでは意図的に仕掛けています。
 次,よろしくお願いします。こちらは5年間継続する炭窯プロジェクトの様子です。子供たちは気候や天災を含めて,自然環境の影響も受けながら,足止めを食らったりするんですけれども,その中で現地の暮らし,生き方を学びます。また,現場では,大人がするような土木工事も含め,炭焼きも含め,その中で実際に活動を通して物理法則や化学反応といったリアリティーのある知識を学んでいきます。その中で,教科書に書いてあることだけではなく,むしろ教科書に書いていることを目の前の現場の中で起こることで応用していける知識に変えて知恵に変えていくということが,活動から学んでいくROCKETの醍醐味でもあるんじゃなかろうかというふうに思います。
 次,お願いします。このように様々なテーマ設定を行いまして,好きな興味から子供たちが自分でプログラムを選択できるようにやってまいりました。日本では今まで61市町村,それから海外では14か所21都市で約370個のプログラムを展開しております。
 次,お願いします。その中で,たくさんのトップランナーの方,エキスパートの方々が関わってくださって,スペシャルなプログラムが展開できたとともに,それぞれにエッジが利いた生きざまを示してくださいましたので,それが子供たちの価値感やマインドセットを広げ,柔軟に対応していくことに力を貸してくださいました。ROCKETのプログラムに深みが出たということでは,こういった方々の御協力があったことに大変感謝しています。
 次,お願いいたします。こうして実施してきたROCKETなんですけれども,この図で示すように,プログラムの前後で実は学校に行き出す子供たちというのも増えています。これは1つには,極端な選択肢に触れることによって,普通に学校で勉強することが合っていると再確認できたという子がいるという点,もう1つには,安心できる場所ができたということで,選択的に学校とROCKETに組み合わせていくという,そんな選択肢を取ることができたということを意味しています。みんながROCKETに合うわけではなく,選択できる学びの環境の中で,子供主体が選んでいるという感覚を持てること自体が非常に重要なんじゃないかと思います。
 次,お願いいたします。ROCKETは特別な才能を持つ子供たちのオルタナティブ教育というふうに思われがちなんですけれども,これからの時代を生き抜く力というのは,学校内外を問わず,全ての子供たちにとって重要だと思います。そのため,ROCKETでも3年目から自治体との連携を深めておりまして,今,4自治体との連携が進んでいます。特に活動を通して教科を学ぶというBalloon型のプログラムを中心に,公教育への接続を広げているというような状況にあります。
 次,よろしくお願いします。私たちが行っているROCKETの取組を全国各地に広げていく構想として,School of Nippon構想というものを打ち立てています。これは日本各地が学び場となり,それぞれの地域の特色を生かしたプログラムを全国展開させていきながら,場所や時間割や教科書というものを超えて,自分の興味・関心のあることを目指して子供たちがそこに出かけて,探究していくという学びが実現していけると,今後の学び方が大きく変わるんじゃなかろうかというふうに思っているわけです。全ての子供たちが自らの意思で興味・関心を突き詰めて学んでいくことこそが,実は究極のアクティブラーニングでもあり,アダプティブラーニングをかなえる理想形になるんじゃないかというふうに思います。
 ROCKETの事例紹介と,それを通して見えてきた学びの在り方について御提案をさせていただく機会を頂戴しまして,ありがとうございます。私の発表は以上とさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
【天笠部会長】 福本先生,御発表どうもありがとうございました。
 それでは,委員の皆さんから御質問,御意見をお願いしたいというふうに思います。いかがでありましょうか。手を挙げていただくことをお願いできればと思いますけれども,多くの方から質問等々をいただきたいと思いますので,大体お一方2分程度ということを上限というふうにさせていただきたいと思いますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。今,私のところには,秋田委員,根津委員,西橋委員,この順に手が挙げられておりますけれども,ほかの委員の皆さん方,いかがでありましょうか,まずお三方,秋田委員,根津委員,西橋委員,この順にお願いしたいと思います。そして,Zoomの方からの御意見を終えた後,こちらに詰めていらっしゃる委員の方に御発言をお願いしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。その後,戸ヶ﨑委員,山口委員が加わりましたが,Zoomで御参加の方,今,意思表示されている方で,ここで締め切らせていただきたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。今また今野委員が加わりました。今野委員までということで,取りあえずZoomで参加されている方は御協力をお願いできればと思いますので,よろしくお願いします。
 それでは,まず秋田委員,お願いいたします。
【秋田委員】 隅田先生,福本先生,大変魅力的なお話をいただきましてありがとうございます。私のほうで伺いたいのは3点あります。
 1点は,隅田先生のところでジェンダーのお話が出たんですけれども,例えばひらめき型,科学者型,勤勉型についてあるいは,福本先生のほうでRocket,Submarine,Balloonというようなお話がいろいろあったんですけれども,ジェンダーによるタイプの違いというものがかなりあるのかどうかというようなことが,女性科学者の育成ともつながって,伺いたいところです。
 それから2点目としては,こうしたプログラムを支援するときの支援者の育成ということをどのようにされているのかについてです。多分,これまでの教員養成とか教師教育とは違った支援の在り方をすることによって,特異な才能を支援することが,時間とかプログラムだけではなくて,あるのではないかと思いましてお尋ねします。
 また, 3点目としては,こういう支援はヒューマンパワーがかかるので,かなり経費的な側面というのも今後公的に広げていく場合にはかかってくるのではないかと思います。例えば,渋谷区などは自治体そのものがこのプログラムを大きく支援していると思うんですけれども,どういう自治体や国の支援の在り方がこういうプログラムをさらに拡張していくのに必要と考えておられるかを伺えればと思っております。
 以上になります。
【天笠部会長】 隅田先生,福本先生,お聞きになられたかと思いますけれども,一問一答という形は控えさせていただきたいと思いますので,最後に,大変限られた時間でありますけれども,それぞれの委員の方々からの御質問,御意見等々を聞いてコメントをお願いするという,そういう進め方をさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 では,続きまして,根津委員,お願いいたします。
【根津委員】 あまり時間がありませんので,2点コメントということになろうかと思いますけれども,大変興味深い御発表をありがとうございました。1つは,こういう役割を今まで大学の附属学校が担ってきた部分が非常に大きいのかなというふうに思ったというのが1点です。もう1つは,先ほどの秋田委員からのお話にもありましたけれども,実際に公立の義務教育の学校で教員や教育委員会はどういう関わりをしていけばいいのかなと。今日はカリキュラムの中身,その開発過程,そして子供についてはかなりの発表があったかと思うんですが,ちょっと教員というところではどうなのかなというのが率直に疑問に思ったところです。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,西橋委員,お願いいたします。
【西橋委員】 西橋です。よろしくお願いいたします。
 今,大変興味深くお話をお伺いさせていただきました。ありがとうございました。問題は,やはりそういった特異な能力を持つ児童生徒をいかに見いだし,その能力をさらに伸ばすかということなんじゃないかなというふうに思っております。私は高校ですので,小・中学校に比べると,高校は能力的に幾らか似たような生徒が集まる傾向にあるとはいえ,それでも中にやはりすごい能力を持っているなというふうに感じる生徒がいるのはもう事実であります。そういった生徒の力を見いだし,さらに伸ばすのは,近くにいる教員の役割が非常に大事になるかなというふうに思っております。したがって,特に教員はそういう能力に気づき,伸ばす専門的な力を持つ,あるいはその力をさらに伸ばすためにどんな道があるのかといった知識なども必要なのかなというふうに思っています。
 ただ,そういった力や知識が不足しているということがやはりあるかなというふうに感じているところです。私も教職に就いて30年を超えるわけですけれども,その間,総合的な学習の時間や探究の時間が入ってきたり,それから,スーパー・サイエンス・ハイスクールだとかSGHとかそういったものが入ってきたりして,こういったものが大きな刺激となって,授業の在り方だとか,それから学校そのものの在り方などが大きく変わったなというふうには思うわけですけれども,そういった変化が,でもやっぱり,かなりゆっくりであるなということを実感するわけですね。ALTの話をしますと,導入されて30年超えるわけですけれども,これが今みたいにうまく活用ができるまでにかなり時間がかかったわけです。それはなぜかというと,経験のないことを教員が突如として要求されたということですね。研修や工夫を積み重ねて,さらにはそういった授業を経験した若い世代が入ってきて,今やっとかなり有効な活用ができるようになったかなというような,そういうイメージがあります。したがって,経験のないことは,きちんとできるようになるまで時間がかかるわけです。
 つまり,私が申し上げたいのは,そういった特異な能力を持つ児童生徒は先生のお話で必ず一定数はいるということでしたけれども,そういった児童生徒を見いだし,さらに力を伸ばし,そして伸ばすためにどんな道があるか,そういったことを教職を目指す学生さんにしっかりと身につけさせる必要があるんじゃないかなというふうに思います。あるいは国を挙げてのシステムみたいなものが何か必要なんじゃないかなというふうに思っております。そういった特異な能力のある生徒を開花させた,そのそばには,そういった目を持っていて,そして枠にはめなかった大人が多分いたというふうに思っています。ぜひ大学でそういった力を持った教員を育てていただければなというふうに思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,戸ヶ﨑委員,そして次に山口委員,今野委員,この順でお願いいたします。戸ヶ﨑委員,お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑です。このところコロナ対応で急遽出席できない場合を鑑み,意見原稿を提出させていただいております。
 特定分野に特異な才能を持つ者に対する指導及び支援の在り方について,意見を述べさせていただきます。
 この件に関しては,経産省の研究会等では,「みんなで同じことを,同じペースで,同じようなやり方で」と教育していることが「落ちこぼれ・吹きこぼれ」を生み出していると提言しています。つまり,「一律・一斉・一方向型の教育」から脱して,場所,進度,時間割,教材の個別化を積極的に進めるべきとしています。日本の教育は,「資料3」にも示されているように,ある一定の期間の中で,個々人の成長に必要な時間のかかり方を多様に許容し包含するという側面や,過度の同調性や画一性などの課題も指摘されています。一方で,「日本型教育」のお家芸でもある,資質・能力をバランスよく育成する,協働的な学びを大切にする,教科等を学ぶ本質的な意義を伝えることなどは,今後の学校教育においても重視する必要があると考えます。
 これらに関連した内容として,学校現場の状況を踏まえ,「一斉授業」と「個人差に応じた指導」について,意見を申し上げます。まず,一斉授業については,この用語を悪者扱いした表現が最近多いように思います。しかし,優れた教師による優れた一斉授業は,ICT等の教具を有効に活用しつつ,個人差に応じた指導や,対話的・協働的な学びの実現,また,多様な他者とともに問題の発見や解決に挑む授業展開がなされています。
 次に,個人差に応じた指導についてですが,「達成度」や「理解度」に目が行きがちですが,学習速度,意欲や態度,興味・関心など様々あります。従来から,量的差異・個人間の差異で個人差を捉える「個別化」,質的差異・個人内差異として個人差を捉える「個性化」があることはよく知られています。これらを一斉授業の中で行ってきているわけですが,この指導の観点からは,「発展的な学習」の充実が大切であると考えています。発展的な学習は個別化からの早修や,個性化からの拡充として実施されていますが,授業時数の確保,知識や技能の習得に偏り学習が深まらない,個別学習で学習を終え学習が孤立化するなどの様々な課題もあります。
 特異な才能に対する指導については,確かに,「学びの選択肢」の少なさが課題であり,今後は,「民間教育と公教育の壁」「教育と社会の壁」をもっと溶解し融合させていく必要もあるものと考えます。
 しかし,革新的な教育手法等,柔道でいうところの大技・一本を決めようとしても,制度や法的障壁に加え,教育行政や学校現場にも配慮する必要があります。そこで,常に同じ学級や学年と同じように学ぶという発想に過度にとらわれ過ぎない,また,履修主義と,修得主義を適切に組み合わせ,各長所を取り入れる教育課程の在り方などを積極的に研究するなど,柔道でいうところの有効,小技はまだまだ取れる可能性はあるとに思っています。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,山口委員,お願いいたします。
【山口委員】 先生方,ありがとうございました。この特異な才能を生かすというところでいいますと,文化,スポーツ,あるいは芸術といったところは,もう既にそれが実行されているかなという印象を受けています。それというのも,やはり,例えばスポーツの場合ですと,早くから才能を見いだされた子が高いレベルで既に競い合える,あるいはその能力を発揮できるという環境があるので,それが実現できているのかなと思います。
 それがそういった文化,芸術,スポーツ以外のところで,では,どうやってやっていけばいいのか,お二人の先生方に質問があるんですけれども,まず,特異な才能を見いだす方法論のところが,特異な才能というのをどういうふうに定義して,何をもってといったところが一般の先生たちには実は難しいのかなと思います。それぞれに才能を持っている子はいるんでしょうけれども,その方法論のところをどういうふうに煮詰めていくかというところと,それから,効率性を考えると,そういった子たちはスポーツなんかでいうとやっぱりピックアップして育てていくというのが効率的だし,よき指導ができると考えられているんですが,他の分野においてはその辺りのところをどういうふうに考えるのかなというのをちょっと思いました。
 それから,福本先生のROCKETですね。すごく興味深いんですけれども,とかく日本は特異な才能を持っている子たちが才能を発揮して,社会に認知され評価された,その後は,全人格的にもその人たちは優れているというような評価を担うことになるような傾向がある気がします。ですから,凸凹のところの,とんがっているところではなくて,ちょっと足りないところを,その才能を発揮した後にどういうふうに補っていくのかといったところが少し興味があります。また,このプログラムを卒業した後にどのようにフォローしていかれるのかといったところをもし何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思いました。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,今野委員,お願いいたします。
【今野委員】 今野享子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに,隅田先生のところで,知的好奇心を高める授業についてということでお話をいただきました。授業を見ますと,分かる,できるで止まっている授業が多い。自分で問いを立てて,そこから挑戦してみたいといったようなところ,そういう難しいけどもっとやってみたいという授業の大切さということが分かりました。けれども,やっぱり限られた時数の中でこれから工夫が必要になるのではないかなというふうに思っています。
 それから,福本先生のほうでは,学びと生き方についても取り扱っているというところですけれども,人との向き合い方の中で,ルールとか,互いに多様性を理解して,思いやりを持って,折り合いをつけながら社会で生きていくための何かそのような手だてがあるのか,それから,クリエイティブにいろいろ挑戦していくというところはあるけれども,ルールの面とか,折り合いをつけたところでの生活といったものについての指導があるのかどうかというところも教えていただきたいと思います。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,フロアのほうに詰めていらっしゃる委員の方で発言を求めている方がいらっしゃいますので,杉江委員,それから髙木委員,大島委員,限られた時間で恐縮でございますけれども,よろしくお願いいたします。
【杉江委員】 私は,特異な才能というよりは,むしろ一人一人の才能を見いだして伸ばすということが国の教育方針だと思いますので,特に福本先生の御研究は児童生徒の状況と個性に合わせた資質を育成する,あるいは能力の開発をするというもので,将来の教育の在り方を示唆する非常にすばらしい御報告であるというふうに思いました。
 ちょっと気になりましたことが3点ほどあります。1点は,学校には,ROCKETに参加できない,勉強に意欲を持てない環境に置かれている子供もおりますので,そのような子供にもぜひBalloonの場というのを経験させてあげたいなということです。2つ目は,Balloonに参加して学んだ子供でも,学校に戻ると,やはりやる気を失ってしまうような現実が待っているということがあると思います。3つ目は,Balloonのスタートというのは,例えば幼児教育で,全ての児童に対しまして学ぶ意欲についてある程度は理解した上で小学校における基礎学力を学ぶステップに進む,そういう順序になるのではないかということを感じました。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 髙木委員,お願いいたします。
【髙木委員】 先にコメントをしまして質問したいと思っていますが,お二人の先生,ありがとうございました。大変考えさせられることの多い御発表でございました。コメントのほうなんですが,履修制と修得制ということがこれまでもこの部会で考えられてきていまして,その中で,ダイバーシティーの教育課程を考えるには大変重要な今日の御発表だったと思います。教育の保障として,やはり一斉学習でこれまでの日本の学校教育のよさで,今日御発表になったようなダイバーシティーとしての教育課程,多様性を認める,さらには個別最適化ということを考えなくてはいけないんですが,では,こういった多様性を,誰が,いつ,どのように見ていくか。現行のクラスサイズ,40人のサイズでは。この部会で発言する内容ではないんですが,あえて申し上げれば,一人一人の子供を見るためには,例えば今回,コロナウイルスの状況によって分散登校があり,その中で今,特に小学校の先生方は多様な視点で子供を見られるような状況になってきていて,子供一人一人を見られる状況,これが続くといいような発言も随分私は聞いております。ですから,先ほど福本先生がおっしゃった組合せや選択,こういったことを個別最適化の保障として図るためには,公教育として教育課程をどういうふうに位置づけたらよいか,一つのスケールに当てはめて,才能のある子だけを伸ばすというのではなくて,多様性を認めながら,それを履修制とリンクさせながら考えていく公教育の方向性というのを私は考えたいので,ある意味でこれからの日本の教育の質的方向性を考えるキーポイントがこの辺りがあると思います。質問としては,公教育における教育課程として,この多様性をどう位置づけていったらよいか,お考えをお聞かせいただきたいと思います。
【天笠部会長】 大島委員,お願いいたします。
【大島委員】 3つございます。いわゆる課題解決型のプロジェクトベース・ラーニングとして,その中でダイバーシティーとインクルージョン,そういうことの観点も入れた非常に先進的な試みなのではないかなというふうに思っております。
 質問なんですけれども,1点は選抜ですね。特に福本先生に御質問したいのは,毎年300名から600名程度の応募の方から最終的に15名から30名を選ばれるということで,どういう観点でいわゆるROCKETというプログラムに適した子供を選んでいるかというのを教えていただきたいということが1点目です。
 2点目,3点目は,福本先生,隅田先生に共通した質問になります。2点目は,基本的には教育プログラムです。自分だけの目的を見いだして,自分なりのやり方,そして自分なりの結論を出すということだと思うんですけれども,そういう中で,やはり子供に対して節目節目でいろいろな形でフィードバックをすることになるかと思うんです。そういう意味での評価であったりとかをどうしているのかということと,先ほど御質問もありましたけど,そのフォローアップをどうしているかということを教育プログラムの中でどうされているかということが2点目です。
 3点目は,グループ協調型であったりとか,福本先生は仕掛けということを言っていらっしゃったんですけれども,それは教育プログラムの仕掛けなのかもしれないですけれども,その教育プログラムを成功させるための環境設定というのも結構大事な観点だと思っていて,特に個別に対応している際に,個別個別での環境というのは多分変わってくると思いますので,どういうふうな環境設定をそれぞれ各人々にやっているのかということを教えていただけたらと思います。基本的にはこういうことを通して主体的な学びを促進しているところがあるかと思いますので,ぜひコメントいただけたらと思います。
 以上です。
【天笠部会長】 委員からの発言はここまでということでさせていただき,こうさせていただきたいと思います。これから,ここまでの委員の方々からの御意見等々を聞かれた隅田先生,福本先生に御発言をお願いしたいと思うんですけれども,一つ一つの質問にお答えしていただくというのは,時間的にも限られておりますので,なかなか難しいかと思います。それで,一問一答等々につきましては,事務局を経由してお答えいただくものはさせていただく形の扱い方をさせていただくことにしまして,それぞれ全体を通して御感想等々というので,その中で特にという形で応答していただければと思います。
 そういうことで,大変恐縮でございますけれども,隅田先生,福本先生,お一人3分前後ということで御発言をお願いしたいというふうに思いますので,まず隅田先生からお願いいたします。
【隅田教授】 ありがとうございます。それでは,時間もないようなので,3点にまとめて私から回答というか,コメントしたいと思います。
 1つ目,最初に秋田先生からいただいたジェンダーの話で,これはもっとデータをしっかり取りたいと思います。特別支援傾向でADHDとかになると,やっぱりちょっと男の子が多そうだったりしますし,かと思うと,幼い子,キッズ・アカデミアで追跡調査をしますと,女の子のほうが,最後までやり遂げたいなんていう自己実現が大きくなっていたりします。秋田先生がよく御存じのヘックマンカーブでいくと,私,幼児期,特に女の子への教育価値はさらに高いんじゃないかと思っていますが,まだ考えの段階で,実証データがあるわけではありません。でも,この辺りはキーじゃないかと思います。
 2点目は,教員に関する話がたくさんございました。私,教育学部にいますので,それについてちょっと御紹介したいのは,愛媛大学は,私,担当しているんですが,2011年からもう10年近くにありますが,教員免許状更新講習の中で才能教育をテーマのものをやっています。こうやってやっぱり教員研修のことが効果的だろうと。あと,昨年から,学部の選択項目なんですが,教育学部の授業科目として才能教育論を開講しました。愛媛大学です。やはりこういうのがもう少し広まっていくことが大事かなと思います。
 3つ目,授業に関してで,山口先生と他の先生方から,授業の中身で考えるときに議論をどちらかに絞るということで,私はどちらかというとフォーマルな,学校教育で何ができるかということを今日は中心に話したわけですが,そうしますと,やはり今日,物の解き方の授業,2つ出しましたが,通常のよりも私が出したほうが総授業数は1時間短いんです。12時間でやっています。そういうカリキュラムをコンパクトにしたり,個性化,ディファレンシエーションを作ったり,どちらかというと公教育で考えると,今,選抜クラスを作る,プルアウトするよりは,一緒に学ぶことで相乗効果をいかに出すかというのがキーになっているというところでございます。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,福本先生,お願いいたします。
【福本特任助教】 たくさん御意見をいただきましてありがとうございます。私も3点ぐらいにまとめてお話ししたいと思うんですけれども,教員養成のところとカリキュラムのところにかなり質問があったので,まずそちらのほうからお答えさせていただきます。ROCKETが連携をしている広島県なんですけれども,広島県の教員研修はかなり実地研修に偏った研修をさせていただいているんですね。なので,我々が作ったRocket,Submarine,Balloonのプログラムの作り方とともに,その現場に入っていただき,いつも子供と関わっている先生という立場よりも,ファシリテーションであるとか,子供を現場でアセスメントするといったところの方法を現地の実地研修という形でさせていただいています。広島に関しては,指導主事の先生方,全県から15名程度の先生が入られて,そこを頭ではなく動き方を含めて研修を受けていただく中で,養成をさせていただきながら,地域に根づいて実践をしていける先生方をその場で作っていくということを並行しながら子供たちのプログラムを提供しているというような状況がございます。カリキュラムにつきましても,今日きちんと細かいことはお話しできていないんですけれども,学習マップを作りながら,あるテーマでどれぐらいの広がりがあるのかというところで,学習指導要領のどこの部分にマッチするのかという表を作っていきまして,それで,この活動からどこを履修できるのかというものを突き合わせながら,公教育との接続を実際に実現しているような状況があります。そのような形でお答えをさせていただきたいと思います。
 2点目に,経済的な側面なんですけれども,自治体の役割としてどういうものがあるのかということなんですけれども,経済的な支援,自治体によって金額がまちまちあるんですけれども,1つ成功事例としては,やはり広島県が先進的だなと思っていまして,アイデアとしましては,外部として関わるというよりも,内部に新しい課を作ってくださって,専任のスタッフを置いてくださっているんですね。なので,その方々を主導にしながら,ROCKETのような個別最適なモデルというものを作っていくという方がチームとして,私たちと外部の広島県が一体となるチームとして一緒に議論しながら進めるような形があるので,それが1つアイデアとしていいのではないかと思います。そうすることで,教育施設であるとか,あと,自治体にある企業さんなんかをつなぎながら,どういうコーディネートをしていけばいいのかということに関してもお知恵をいただいているような状況がございます。
 あと,1点だけ,今後のことに関してなんですけれども,全人的な教育をどういうふうにしているのかというお話がありましたが,ここに関しても,やはり子供の時代に大人に出会うという機会はなかなかないと思うんですけれども,多くの人たち,人格者である全人的な先生を含め,起業家の方やいろんな専門家の方々の手を借りながら,たくさんのロールモデルに出会う中で見つけていくということが必要ですし,あと,徹底してやっているのが筋と道理,それから,間違ったことをやったときにはかなり厳しく突き返していくという,個人的なフィードバックのやり取りというのが実はROCKETはメインであるんですね。その中で,凸凹をありのままに受け入れつつも全人的な視点での人間教育ということをやっています。今後,子供たちが大人になっていくときに,仕事を作っていくというステージになるんですけれども,ROCKETもそれを見据えて,大学ではなかなか手が出しにくい「子供達の仕事を作るということや,仕事から学びを作るという」ことを,ロケットが飛び立つ先のスペース,宇宙ということを想定して,Spaceという組織を今年立ち上げる予定です。そこが両輪で回りながら,ロールモデルとしての,子供たちがどんなふうに成果を出していくのかというところを社会にも還元していけるような形で今後進めていきたいなというふうに思います。
 個別の問いに関してはまた別途お答えさせていただければと思います。ありがとうございました。
【天笠部会長】 大変簡潔にお答えいただきました。どうもありがとうございました。改めまして隅田先生と福本先生にはお礼を申し上げたいと思います。
 議題1につきましては,以上ということにさせていただきます。
 続きまして,議題2に移ります。教育課程部会等におけるこれまでの検討の経過について,事務局より説明をお願いいたします。
 なお,質問の時間を十分取るために,できるだけ簡潔に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。教育課程部会におきましては,平成31年4月の大臣諮問を受けまして,これまで御審議いただいているところでございます。今までは,対面ないしウェブ会議に関しましてはこれまで7回審議,本日を入れて8回でございます。また,1回の書面審議を行ってきていただいているところでございます。
 資料3についてでございますが,まず1.の学力の確実な定着,また,5.のSTEAM教育等の教科横断的な学習については,昨年12月までに教育課程部会で御審議いただいたものでございまして,残りの項目が今年になってから審議をいただいたものでございます。また,本日御審議いただいた,特定分野に特異な才能を持つ者に対する指導及び支援につきましては,本日御議論いただいたものを加えさせていただければというふうに思っております。
 続きまして,資料の4-1と4-2でございます。資料4-1でございますが,これは新しい時代にふさわしい初等中等教育の在り方に関する特別部会の資料でございまして,義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る論点メモ(案)ということでございます。こちらに関しましては,大きな項目としては,教科担任制導入の考え方について触れてございます。義務教育9年間を見通した教育課程に係る部分でございます。また,2つ目としましては,専科指導の対象教科の考え方について触れてございます。STEAM教育等の背景がございまして,例えば外国語,理科,算数を専科指導の対象に加えることを考えてはどうかといったことも触れております。
 また,資料4-2でございます。こちらに関しましては,新型コロナウイルス感染症を踏まえました,初等中等教育におけるこれからの遠隔・オンライン教育等の在り方についてということでございます。こちらに関しましては,大きく言うと,まだ新型コロナウイルス感染症が収束していない段階の教育の在り方と,また,新型コロナウイルス感染症が収束した段階のポストコロナの時代の教育の在り方について検討がなされているところでございます。
 私からは以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明いただきましたように,教育課程部会におけるこれまでの審議経過につきましては,本日の議題も加えた上で,7月17日に開催が予定されております特別部会で私のほうから報告する予定になっております。したがいまして,今の質問等々,そして皆さんからの御意見を加えて整理をさせていただきたいと思いますけれども,これに関わりまして皆様方から御質問,御意見等々をお願いしたいと思います。
 なお,発言につきましては,先ほどと同様に進めさせていただきたいと思いますので,お一方およそ2分という形でお願いできればと思いますけれども,今,Zoomで参加されている委員の方からは荒瀬委員と喜名委員から御発言の御意思が示されておりますけれども,ほかの委員の皆様につきましてはいかがでありましょうか。
 それでは,荒瀬委員,喜名委員,秋田委員,この順にお願いしたいと思います。
 荒瀬委員,お願いいたします。
【荒瀬副部会長】 荒瀬です。私,今日は,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの主査として発言をさせていただきたいと思います。
 現在,今申しました新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループでは,高等学校の役割の再定義ということにつきまして議論をしております。その中で,スクールミッションやスクールポリシーの策定,普通科教育の改革について議論をしているところです。特に,約7割の生徒が通う普通科につきましては,単純に普通科として一くくりにするだけではなくて,特色化や魅力化を進めるという観点からの弾力化に向けた具体的な議論を進めているところです。
 そこで,今御説明がありました資料3に関わってですけれども,授業時数の在り方につきましても,高等学校の特色化・魅力化を進める観点からのさらなる検討も必要であるというふうに考えています。高校のワーキンググループといたしましても,教育課程部会とも連携した上で議論を進めてまいりたいと思いますということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,喜名委員,お願いいたします。
【喜名委員】 喜名でございます。よろしくお願いいたします。私からは,小学校における教科担任制についてと,それから,遠隔・オンライン教育についてお話を申し上げたいというふうに思います。
 まず,小学校高学年における教科担任制については,全連小としてもずっとお願いをしてきたところでございます。特別部会において議論されたこと,また,本日具体的な御説明をいただいたことについて大変ありがたく思っております。資料にございますように,高学年における専科制の導入につきましては,中学校につながる専門性の高い指導が広く受けられるメリットもございますし,教員の持ち時数の時数削減につながるというメリットもございます。現行の学習指導要領は,4年生以上で1,015時間,最大週29コマの授業を持っている教員もおります。ここに専科の教員が入ってくれば空き時間ができること,その中で授業の準備や公務に充てることができるのではないかなというふうに思っております。
 一方で,総額裁量制の中で,自治体によっては既に少人数学級の実現ですとか独自の専科制を導入しているところもございます。高学年の専科制の導入によって,ここに影響があるのではないかという心配もございましたけれども,資料の中では,そのようなことがないということでありますので,安心をしたところでございます。
 また,今回,外国語,理科,算数ということで教科の例示がございました。いずれも高学年ではかなり高度になってきて,中学校を意識した指導も必要になってまいりますので,とてもいい例示だったなというふうに思っておりますが,一方で,算数については,国語と並んで,小学校教員の指導の基本となるところでもあります。そういう意味で,担当する専科となる教員を,何をもってその専門性を図るのかといった課題も出てくるのではないかなというふうに思います。今回,これまで行われてきた英語加配に当たってもかなりハードルが高かったわけですけれども,この辺り,今,養成部会でも審議されている免許の併有制との仕組みの中で担保されるのかなというふうに思っております。
 また,資料の中にもございますけれども,今回の専科の制度については,定数への組み込みではなく,加配ということで,加配定数の組み込みということで御説明になっているようでございますが,私どもが一番思っていることは,定数として,基礎定数に組み込むということが必要だというふうに思っております。
 すみません,長くなりますが,もう1点。遠隔・オンライン教育の在り方について資料をいただきました。臨時休業期間中,子供たちの学習保障に向けて,学校はかなり努力をしてまいりました。動画の配信ですとか,テレビ会議システムを使った授業,かなりの労苦だったというふうに思いますし,自治体としても動画だとかテレビ授業を行ったところもございました。また,NHKや企業等も子供たちに様々に協力をしていただいたところは本当にありがたいなと思っております。
 今予想されるのは,今後迎えるであろう第2波,第3波への備えとして現在重点化して取り組んでいる,教育課程を補完するものとしてのオンライン教育のハード面の整備が必要だなというふうに思っています。ここで今,自治体間格差が大きく開いてきたことも大変危惧をしております。また,インターネットを介していればオンラインというふうに表現されることが多く,オンライン授業とかオンライン教育の形態がその言葉を使う人によってイメージが異なるという実態がございます。そういう意味でも,文部科学省として,定義と言うのでしょうか,そういうものが必要かなと思っています。小学校から大学,それから塾や習い事まで,今,オンラインが盛んになっていますけれども,私どもの義務教育,特に小学校教育は対面授業が基本だというふうに考えています。ただ,どうしてもそれができないときにオンラインで補完するということになりますので,授業として成立するには同時双方向性ということが担保されなければいけないというふうに思っています。一方で,いわゆるeラーニングのようなオンデマンド型学習もかなりコンテンツも豊富になってまいりましたし,教育課程を補完するという意味ではこういうものも活用すべきではないかなと思っています。GIGAスクール構想の前倒しということがありますけれども,1人1台というのが早期に実現していくことが大事だなというふうに思っております。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,秋田委員,お願いしたいと思います。
【秋田委員】 秋田です。資料の4-1並びに4-2それぞれについて意見を言わせていただきたいと思います。
 義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に関してです。狙いとして,1ページ目に書いてございますけれども,教師の負担が軽減されるという側面と,もう一方で,複数教師による多面的な児童理解が図られるという利点が出されているわけでありますけれども,現実として,この両方を充実していくということがどのように可能かということの検討が必要であろうと思います。4ページ目に,教科担任制を前提とした小学校教員養成課程と免許制度の大幅な見直しが議論されております。私は,教員養成部会のほうにも出させていただいておりますので,その会合でもこれを推進すべきという議論がありました。ただし,やはり義務教育9年間の話と,もう一方では中等教育学校も文部科学省が推進しているわけです。その関係の中でどういうふうにこれを考えるのかというような議論があったことを加えさせていただきたいと思います。
 また,今回,対象教科として,外国語,理科とともに,算数が挙げられております。日本の教育の質の高さの一つが,算数の授業を多くの小学校教師が質が高い指導ができるということも一つのポイントにはなってきたかと考えられます。もし専科教科として算数を加えるならば,今後,そことほかの教科,要するに先ほどもありました複数の教師がどういうふうに連携していくのかという側面と専科教科の在り方について議論することが不可欠であろうと考えられます。
 それからもう1点は,資料4-2の方です。随分いろいろ御配慮いただいて,WITHコロナ,ポストコロナのことを書いて下さっています。ポストコロナの段階につきまして,指導の在り方が書かれています。資料の4ページ目に,「学習履歴(スタディ・ログ)を活用した個別最適化された学びについて」ということが出されております。私は,こうした形で授業を発信すると同時に学習履歴をうまく活用するということが極めて重要だと思っています。と同時に,それを全国で,GIGAスクールで共有することによって,いわゆる全国学力のパフォーマンスの学力テストだけではなくて,こうした学習履歴データをうまく活用して学習プロセスやその達成を検討していくことも重要なのではないかと考えております。そうした意味で,ハイブリッドということが指導の充実であると同時に,評価の充実にもつながっていくような,きめ細かな評価を全国でできるようにしていく一つの仕掛けとしても考えていただくことが重要ではないかと考えております。
 以上,2点について意見を言わせていただきました。ありがとうございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 Zoomで参加されている委員の方々,そのほかの方で,今,この議題につきまして御意見がおありの方,いかがでありましょうか。ありましたら,手を挙げていただくというところにしるしていただければと思いますけれども,Zoomで参加されている委員の皆さん,よろしいでしょうか。
 それでは,今度はフロアのほうにいらっしゃっている委員の方,順次発言をお願いしたいと思いますけれども,髙木委員,それから堀田委員,市川(伸)委員,大島委員と,この順にお願いしたいと思います。
 まず,髙木委員,お願いいたします。
【髙木委員】 髙木でございます。
 義務教育9年間を見通した教科担任制について意見を申し上げます。小学校高学年の教科担任制は,ぜひともこれを導入していくという方向で考えることはいいことだと考えております。特に,あまり出てきていないんですが,学習活動そのものを重点化して図っているということ,これを教科担任制では可能になると思います。特に,小学校と中学校の継投性がなかなか現在図られていない。小は小。特に今,例えばその中でも英語などはかなり小と中のギャップが大きくなってきている現状もありますので,ぜひ小・中の系統性を考えていくということを行っていただきたい。また,算数でも,例えば中学校の関数は小学校2年生の表とグラフから始まっているわけで,そういったことを意識した教育課程をきちんと考えられるような教科担任という形が今後9年間を見通して行っていくということに関して大変意義があるというふうに考えています。
 以上です。
【天笠部会長】 それでは,続きまして,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 堀田でございます。2点申し上げます。
 1つ目は,先ほど御紹介のあった特異な才能のあるお子さんたちのことですけれども,そのことと資料3の審議経過をつなげて考えますと,そういうお子さんたちの能力を延ばすということを実現するために,例えばもしその子たちを取り出して指導するとなったら授業時数はどうみなすのかでありますとか,そのようなお子さんたちの興味は内容的にSTEAM教育とは合致する部分はあろうかと思いますけれども,そういうお子さんたちのための加配をどうするのかというような,教育課程部会としても非常に重要な論点がそこにつながっているかなと思いました。もちろん,そのようなお子さんたちにICTは有効に機能すると思います。これが1つ目。
 2つ目は資料4-2でございます。今日の教育課程部会には,私,久しぶりに文部科学省に出張してまいりましたが,いつもはZoomの向こうにおります。これはどっちでやるかじゃなくて,どっちも使うというのが多分これからの普通なんじゃないかと思うんですね。そもそも,デジタルなのか,アナログなのかとか,対面なのか,オンラインなのかとかいうのは,便利な人は便利なほうを便利に使って,そしてみんながアクセス可能にするということが重要であると思うのです。資料4-2の2ページ目に,WITHコロナの現状では対面とオンライン両方組み合わせると書いてあります。そういうことから考えると,学校が再開したことによってオンラインをもう一切やめてしまっている学校は,私は今後心配だなと思っています。ポストコロナの4ページのところにもこれからハイブリッドでやっていくんだと書かれていますように,オンラインが向いている学習活動やそうでない学習活動というのは当然ありますが,一方で,今日のように,一斉の授業を外からも見られるような,そういうことはあり得てもよいと思います。これは熊本市がすでに積極的に今やろうとしていますけど,例えば骨折したので病院にいるような一時的に学校に登校ができないお子さんへの対応もオンラインで有効にできると思うんですね。そういう場合の授業時数はどう考えるのかという話がまた次なる課題としてあろうかと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,市川(伸)委員,お願いいたします。
【市川(伸)副部会長】 市川です。改めてこの資料3を拝見して,個別最適化というのは今回かなり大事なキーワードになるかと思いますので,これの概念規定をもう少しはっきりさせておいたほうがいいんじゃないかなと。特に,今日の隅田先生,福本先生のお話も伺った上でそう思いました。
 これまでの議事録を見ますと,個別最適化で発展的な学習というのが,何も知識・技能の先取りをするというだけではないということはしっかり書かれていると思うんですね。これはそのとき議論にあったとおりです。さらに,その先,今日の才能教育でもありましたような話というのも個別最適化の中に含めて考えるのか,ちょっとこれは別なのか。
 これはどちらの考え方もあり得ると思います。これも一種の個別最適化なんだというふうに捉えるとすれば,もともと教育界にはこういう2つの概念がありました。目標は同じなんだけれども,そこに行くルートは違う,つまり,学び方は違うんだという意味の個別化ですね。これを「個別化」と言う人もいます。それから,目標そのもの,課題そのものが子供によって違ってもいいんだという考え方,これを「個性化」というふうに名づけた人たちもいます。どちらも広い意味での個別最適化なんだと言えなくもないんですよね。
 ただ,今日のようなお話は非常に魅力的なんですけれども,従来の教育課程にうまく乗せられるかというと,かなり難しいところもあります。特異な才能を持った子供たちというのは,これまでスポーツにしろ,芸術にしろ,あるいは将棋とか囲碁のような,こういう特異な才能というのもあるわけで,既に学校外にシステムができていて,その中で才能を発揮してきた。ところが,今日あったような探究活動というのは,なかなかそういう既存のシステムができていないので,これは大学やNPOなどが一生懸命そういう場を作ってくださっているところだと思うんです。
 これを自治体や国がどういう形で関わっていくかというのはこれからの大きなテーマとなると思うんですけれども,そういうことも含めてこの個別最適化の中に組み込んでいくのか,あるいはそれはちょっと切り離して,教育課程外のことだけれども,文科省も自治体も積極的にそれを支援していくようなことを考えなくてはいけないというような論調に持っていくのか。この辺り,大事なことは確かなんですけれども,どういう位置づけにするのか,個別最適化の中に含めて考えるのかどうかということは少し議論を要するかと思いました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】 ありがとうございます。2点ございます。
 ICT教育と関連した個別最適化ですね。先ほど市川(伸)委員もおっしゃられたように,この個別最適化というのは,恐らくICTを導入することによっていろいろなデータが蓄積されて,そのデータをAIとかによって分析して個別最適化と言っているようにも思えるんですけれども,ちょっとその定義がやはり曖昧だというふうに思っています。なので,ここで言っている個別最適化された学びというのはどういうことを言っているかという再定義は私もぜひしていただきたいなというふうに思っています。
 その中で,資料4-2が比較的オンライン教育とオフラインのハイブリッドということで書かれていて,そういう中でスタディ・ログを活用した個別最適化,これは先ほど言ったデータに基づいた分析による個別最適化だと思うんですね。ここに,例えば4ページに書いていらっしゃる,教師による対面指導と言っているのが,いわゆる従来の授業を対面と言っているのか,ちょっとその対面指導も少し分かりにくいなという感想を持ちました。資料3の中には比較的そういう協調学習的なものが大事だと言っているんですけど,資料4-1のほうにはそういうことは書かれていないんですね。なので,例えば対面で指導する際には,やはりオンラインではできない,例えば協調学習が比較的向いていると思うんですね。なので,オンラインでできる教育とオフラインでできる特徴というものをどうやって組み合わせていくかということがハイブリッドになるかと思いますので,そういう協調学習的なところ,ちょっと書いてはいるんですけど,個別最適化VS対面という感じになっているので,そこら辺は少し今までの議論を含めて協調学習的なところを入れていただくといいのかなというふうに思いました。
 あともう1つ,STEAM学習。すみません,手短に。STEAM学習を入れていただいて非常にいいかなと,ありがたいなと思っています。これも同じように議論があるんですけれども,Artなのか,Artsなのかというのは,結構日本語の概念には単数,複数がないので,これをどうされるかというのは一つ大きなところなのかなというふうに思っています。なので,ここでいろいろそういう芸術・文化も含めたということなので,Artsとしてだという認識に立った上でのArtsのSTEAMだというふうに思っています。
 あともう1つ,その中で強調していただきたいのは,教科横断型という中で,STEAM教育というのは,やはり個別の教科をどうやって深化して,それをSTEAM教育で横断するかという,多分その往復が非常に大事な観点だと思うんですね。なので,ちょっと文章として具体的にどう入れるかというのが今現時点ではないんですけれども,ぜひ各教科,科目と,それの横断を往復していくようなことを含めて書いていただけるとありがたいなと思います。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 私からも。今委員の方から御発言がありましたように,1つは,やはり個別最適化って何ぞやということがより多くの方に分かるような形ということをお願いしたいと思います。文章化するに当たっても1つのポイントになるところではないかと思います。また,それを具体的に実現するために,もろもろの仕組み等々をどう動かしていくかということで,履修主義とか課程主義の話が出てきたり,授業時間の在り方についての検討,それから,ICT化等々の取組という,そういうことについてつながりながら,ストーリーとして,そして多くの方にこの部会として何が言いたいのかというようなことが分かるような形で伝えていくということが,これからがこの作業になっていくんじゃないかなと思います。そういう意味においては,今御発言いただけなかった委員の方々も資料3についてそれぞれのお考えをまた事務方にお伝えいただければと思いますので,その旨,どうぞよろしくお願いします。
 先ほど皆さんから大変積極的に御意見いただきました,議題1の議論を反映させた上で資料3の文章を整え,そして7月17日,先ほど申し上げました特別部会で報告をと思っております。したがいまして,修正しました資料等々につきましては,後日事務局より皆様方にメール等でお送りいたしますので,御確認いただければと思います。また,本日御発言いただけない意見ですとか補足意見がありましたらメール等々で事務局までお寄せいただければと思います。また,この審議の取りまとめにつきましては,今後,教育課程部会において引き続き議論していくことを予定しておりますので,その際,また御発言いただければと思います。
 なお,メールでお寄せいただいた御意見は,他の委員に共有し,ホームページにも公表することを予定しておりますので,あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 それでは,2つ目の議題についてはここまでということにさせていただきたいと思います。
 続きまして,3つ目の議案につきましてお願いしたいと思います。産業教育振興法施行規則の一部改正について,事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【塩川参事官】 恐れ入ります。高校参事官でございます。資料5に基づきまして説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 高校における産業教育施設・設備でございますが,こちらのほうは産業教育振興法に基づきまして国庫補助等を行っているものでございます。この国庫補助の対象の基準につきましては,学習指導要領の改訂を踏まえて改正しているというものでございます。今回も,令和4年度から高等学校の新学習指導要領が実施されるわけでございますが,それを踏まえて一部改正していくというものでございまして,事務局のもとでも,学校の先生方,教育委員会の指導主事の皆様方等にお集まりいただいて,検討会を組織して原案のほうを作ったところでございます。
 2つ目でございます。主な改正の内容のところでございます。今ほど申しましたように,学習指導要領並びに解説の改訂を踏まえまして,例えば,(1)にございますように,基準の細目でございますが,食品科学に関する科目群のほうで,必要な設備の品目としてですが,「品質管理装置」等を追加したり,あるいは(2)でございますが,国庫補助の算定の計算上の特例でございます,学校の希望等においてそういった算定をしておるものでございますけど,流通・経営に関する科目群に「観光ビジネス」を追加したり,あるいは情報応用に関する科目群で「メディアとサービス」を追加するといった改正を行っております。それから,(3)でございます。こちらのほうも国庫補助の算定の特例のものでございます。その際に考慮する単位数について,保育・福祉に関して上限のほうを変更するといったような補助金交付の算定に関する基準を一部改正するというものでございます。
 3つ目でございますが,今後の日程でございますけど,本部会で改正の方向について御了解のほうをいただけますれば,令和4年度からの新学習指導要領の実施に向けまして,今後,学校の設置者のほうが次年度等に行う設備の整備事業に向けた補助に適用できますよう,法令の技術的な整備を行って,速やかに省令化をしたいというふうに考えているところでございます。
 説明のほうは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして御意見がありましたら,お願いしたいと思います。いかがでありましょうか。よろしいでしょうか。
 萩原委員,御発言ありますか。よろしくお願いいたします。
【萩原委員】 高等学校の立場から,ぜひとも令和4年度からの新学習指導要領に対応するこの産業教育振興法の適用ということで改正のほう,ぜひとも積極的に早期に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかの委員の方からはよろしいでしょうか。
 それでは,議題3の産業教育振興法施行規則につきまして,事務局から説明がありました内容で改正を行うということでよろしいでしょうか。
 皆さんの了解を得たと受け取らせていただきますので,この旨で進めていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,本日の議事はここまでということにさせていただきたいと思います。事務局におかれましては,本日の意見をそれぞれ受け止めていただき,今後の審議に生かしていただければと思います。また,本日の議題を踏まえて,追加意見をメール等々で事務局にお送りいただくことも可能ですので,委員の皆様にはよろしくお願いいたします。
 最後に,次回の予定について事務局からお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 本日は御審議いただきまして誠にありがとうございました。次回教育課程部会は,7月27日月曜日10時から開催を予定しております。
 以上でございます。
【天笠部会長】 それでは,予定しておりました議事は全て終了いたしましたので,これで閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――