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教育課程部会(第116回) 議事録

1.日時

令和2年6月12日(金曜日) 14時00分~16時00分

2.議題

  1. イギリス及びフランスの教育課程における授業時数の状況等について
  2. 新型コロナウイルス感染症による臨時休業を踏まえた学習指導について
  3. その他

3.議事録

【天笠部会長】
 それでは,定刻となりましたので,ただいまから第116回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 本日は大変御多忙の中,第116回教育課程部会に御参加いただき,誠にありがとうございます。本部会は新型コロナウィルス感染症の拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催いたします。
 本日の議事に入る前に,今回より新たに御参加いただく委員がいらっしゃいますので,事務局より御紹介をお願いします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。三田村裕委員でいらっしゃいます。
【天笠部会長】 三田村委員,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,会議の留意事項及び本日の配付資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 本日はウェブ会議方式にて開催させていただきます。御不便をお掛けすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。ウェブ会議を円滑に行う観点から,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただく,御発言の都度名前をおっしゃっていただく,御発言時以外はマイクをミュートにしていただく,「御発言に当たっては,手を挙げる」ボタンを押していただくという御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から5及び参考資料がございますので,確認をお願いいたします。不明な点等ございましたら,事務局までお申し付けください。
【天笠部会長】 既に御案内いただきましたように,今日は大きくは2つの議題を予定しております。おおよそ,1つ目の議題が前半,そしてあとの方の2つ目が後半という心積もりでいていただければと思いますけれども,まず,議題1につきましてお願いしたいと思います。
 今回は,2月の第115回教育課程部会及び4月の書面審議に引き続き,授業時数等の在り方について議論したいと思います。資料3として,4月の書面審議において皆様にお寄せいただいた御意見の一部を,論点ごとに整理させていただいております。御確認いただければと思いますし,また,議論の参考にしていただければというふうに思います。
 それから,昨日に続き,また本日この会議に関わられている委員の方もいらっしゃるかと思うんですけれども,昨日,新しい初等中等教育の在り方特別部会というのが開催されました。私ども教育課程部会が議論を進めようとされています関連の議論もそこで展開されましたので,その件についての説明等も含めてまずお願いし,この後の授業時数の検討ということについての皆さんの参考にしていただければと思いますので,この件につきまして,事務局の方から少し説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。昨日の特別部会では,オンライン学習の在り方等についても議論されたところでございまして,前半の議題に関係する部分について御紹介いたしますと,対面指導の重要性,あるいは個別最適化した学びと体話的,協働的,な学びを分けて議論する必要性,履修主義,修得主義についての考え方を丁寧に議論していくことの必要性などについて議論が行われました。
 私からは以上でございます。
【天笠部会長】 また,後ほど議論の中で御質問等があったり,あるいは御意見があったら,そのときに適宜御紹介することにさせていただきまして,本日は,まずは諸外国の状況ということで,イギリス及びフランスにおける教育課程,特に授業時数等の状況について,それぞれの国を御専門とされていらっしゃいますお二方に御発表を,これからお願いしたいと思います。また2人からは,イギリスとフランスにおけるこのたびの新型コロナウイルス感染症に伴う教育課程の状況についても,併せて御紹介をお願いしたいとに思います。
 お1人目は,国立教育政策研究所の植田みどり先生でございます。イギリスの状況について,これから御発表をお願いしたいと思います。続きましてお二人目は,大阪大学人間科学研究科の園山大祐先生でございます。フランスの状況について御発表をお願いしたいと思います。
 それでは,まず,イギリスの状況につきまして,植田先生から御発表をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【植田総括研究官】 国立教育政策研究所の植田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。声は聞こえておりますでしょうか。それでは始めさせていただきます。
 本日は,イギリスの教育課程,イングランドにおける教育課程,授業時数及び新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業における学習指導と題して報告させていただきます。なお,本発表で申し上げます内容は,イングランドに限定したものであります。
 本日はまず初めに,イギリスの教育課程について,教育課程の基準及び構造,評価の枠組み,そして教育課程の運用について報告申し上げます。そして最後に,今回の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うイギリスでの休校措置及びその後の学校再開時における学習指導の状況について,政府が発表している内容及び報道等を整理する形で報告申し上げます。
 それから,事前に提出いたしました資料から幾つか修正した箇所がありますのでお伝えしておきたいと思います。3ページ目のGCSEの段階につきまして,当初8段階と書いておりましたけれども,9段階という形に修正させていただきました。それから4ページ目の授業形態の最後の部分の2行目ですけれども,中等学校の内容であるという記述が分かるような形に修正させていただいております。それから最後の5ページ目のところに誤植が1か所ありました。「かいこう」というのは,講義の「講」ではなくて学校を開くという形の開校をということになりますので御了承ください。
 それから最後に,参考となっているURLを記載しておりますので,後ほど御確認いただければと思います。修正点がありましたことを,まず初めにお詫び申し上げたいと思います。
 それでは報告に移らせていただきます。1ページ目のスライドを御覧ください。イギリスでは1988年の教育改革法以降,学校の自律性と自己責任による学校改革を進めてまいりました。教育課程においては全国共通教育課程が導入されております。それまでは教育課程においては全国的に統一された基準はなく,宗教教育のみが実施を義務付けられておりました。
 1988年に導入された全国共通教育課程は,教育課程の基準として教育大臣が定めるものです。それは,学校及び社会における児童生徒の精神的,道徳的,文化的,知的及び身体的発達を促すこと,成人になってからの機会,責任及び経験に向けて児童生徒に備えさせることを基本として,均等の取れた幅広い内容のものでなければならないと,その性格も規定されております。
 各学校は全国共通教育課程の枠組みの下で,各学校の特性を考慮して教育課程を編成しております。ただし,全国共通教育課程の遵守義務については,地方自治体の管理下に置かれている公立学校及び公営学校のみとなっております。
 全国共通教育課程は,学習プログラムと到達目標という2つの内容から構成されております。学習プログラムには,児童生徒に対して教えるべき知識,技能,理解の内容について,教科ごとに,後ほど説明いたします各キーステージにおける到達目標に基づいた基本的な指導内容が記述されています。ただし,内容の具体的な教授方法や教科書などの教材については示されておりません。
 次に,到達目標ですけれども,多様な能力や発達段階の異なる児童生徒ごとに,学習プログラムが示す内容について,各キーステージの終了時までに習得することが期待される知識,技能,理解力について記述されています。以前は教科ごとに習熟度に応じてレベル1から8までの8段階及び例外レベルの水準が示されていましたが,2013年以降は各キーステージの終了時に,児童生徒が当該プログラムに示されている事項,スキル及び手順,方法などについて習得することが期待されるものが記述されているのみです。
 では次に,具体的にどのような教科が設定設置されているのかについて説明したいと思います。2ページ目のスライドを御覧ください。表に示しましたように,イギリスの教科としては,中核教科と基礎教科の2つがあります。中核教科とは,英語,算数・数学,理科の3教科です。次に基礎教科とは,美術・デザイン,市民科,コンピューティング,デザイン・技術,外国語,地理,歴史,音楽,体育の9教科です。
 基礎教科のうちコンピューティングは,1995年に情報教育として設置され,2018年にコンピューティングの名称になりました。また,市民科は2000年に設置され,中等学校では必修教科となっています。これらの教科はキーステージごとに必修化されているものが異なりますので,詳細は表を後ほど御覧ください。
 各学校ではこのように全国共通教育課程で規定されている教科に加えて,全国共通教育課程には規定はされていませんけれども,指導が義務付けられている宗教教育,性教育,それから教科横断的な教科であるPSHEと呼ばれる教科と,学校独自の教育活動の3つの項目から教育課程を編成することになっています。
 教育課程の編成に当たっては,身体的,精神的,言語的,性的,宗教的な多様な視点からの特別な教育的配慮を行うことというふうに規定されています。
 次に,評価の枠組みについてお話ししたいと思います。3ページのスライドを御覧ください。イギリスでは先ほどから申し上げていますとおり,学年の区切りとは別に,キーステージという区分があります。表を御覧ください。就学前の段階をEarly Yearsと言い,初等学校の1年,2年をキーステージ1,3年から6年をキーステージ2と言います。そして中等学校に当たる7年から9年をキーステージ3,10年,11年をキーステージ4と言います。キーステージごとに学習到達度を確認するための全国共通教育課程テスト及び教員による評価が行われます。
 イギリスでは,初等学校就学後の学力の定着を図る上では,就学前教育の学びやその子が習得している能力に基づいた指導を行うことが重要であるという認識から,就学前段階での学習及びその判定を重視しています。そのために全国共通教育課程の前段階として,ゼロ歳から5歳児に対する教育課程の目的,原則,学習と発達の要件について規定された,就学前教育基礎課程の法的枠組みを策定しています。
 その詳細はスライドに記載しておりますけれども,記載した7つの項目について習得すべき内容と,そこでの評価の観点が決められています。例えば1つ目に書いています主要領域のコミュニケーションと言語では,相手の話をしっかりと聞き,説明を理解し,自分の考えを話すという内容が示されています。その内容を評価する観点としては,聞く力,注意力,理解力,スピーキングが示されています。現在は,この法的枠組みに基づく教育活動を展開している機関に対しては,原則3歳児から週15時間分が無償として提供されています。
 就学前教育基礎課程を提供する機関では,法的枠組みに規定されている評価の観点に基づいて,子供たちの行動やその成果物を教員が評価し,就学前教育基礎課程プロファイルを作成します。それは初等学校の入学時に初等学校の教員に渡されます。教員はそれを基に,入学時点での児童の学習履歴や習得している能力を判断して,初等学校での個別の指導に活用しています。
 次に,重要な全国共通教育課程テストとしては,中等教育段階の終了を示すGCSEと言われる中等教育終了一般資格試験があります。中核教科である英語,それから数学,理科に加えて,学校が設定する教科から数教科を生徒が選択して受験します。合格は9段階に分かれており,4段階目が標準合格となっています。試験は国によって承認された民間企業である試験委員会が実施しています。試験の内容は,通常5月に実施されるペーパー試験と年間を通じて実施されるコースワークによって評価がされています。
 では,4ページ目を御覧ください。イギリスの学校暦は8月1日から7月31日ですけれども,具体的な日程は学校あるいは地方当局が決定することになっています。一般的には学校は9月から新学期となります。7月下旬から8月は夏休みとなっています。
 授業時間についての規定はありません。ただし,年間課業数は380時間及び授業日数は190日と大枠が決められています。通常1日を午前,午後の2課業とカウントしていますので,そのような日数となります。1課業は必ずしも1授業時間ということではありません。一般的に,午前に2から3時間,午後に1から2時間の授業が設定され,それぞれに読み,書き,計算の時間やフォニックスの時間,体育や音楽などの活動的な時間などが設定されています。
 教科書に関する法的規定はなく,日本のような教科書検定もありません。民間の出版社が発行する書籍及び試験委員会が指定するものをtext bookとして使用します。教科書及び教材の選定は各学校が行っています。教科書及び教材は原則学校の備品であり,無償で児童生徒に対して貸し与えられます。なお,鉛筆やノートなどの備品も基本的に学校から支給されています。
 学級組織ですが,初等学校は日本と同じで学級担任制を採っています。体育などで専任の教員や外部講師を招聘している学校もあります。一方,中等学校は同一学年の生徒からなる学年で形成し,各学年は複数のクラスで構成されています。各クラスには担任が配置され,登校時の出席確認や生活面,学習面などの個人的な指導を行っています。
 授業形態ですが,初等学校では混合能力編成による学級編成が基本になっていますが,英語や算数は習熟度別のグループ編成による授業が教室内で行われています。ほとんどの教室が4人から5人を1グループとして,グループごとに席が設定されています。そしてその机ごとに能力別に子供が着席するということが多いです。授業でははじめに,担任が一斉に全員に対してその日の授業内容を説明します。そしてその後,机に移動し,それぞれに与えられている学習課題に基づいて学習が行われます。
 しかし,このような活動ばかりではなく,混合能力編成のグループを編成してグループ活動を行うこともあります。またICT機器を必要に応じて活用もしています。つまり授業内容や単元の目的,目標に基づいて多様な教育活動を組み合わせて,個に応じた学習が展開されていると言えます。また個に応じた学習を展開するために,個別指導を行ったり,特別な教育支援が必要な児童生徒への対応を行う補助教員,ティーチングアシスタントが多数配置され,計画的な指導が行われているのがイギリスの特徴の一つかと思います。
 一方中等学校では,授業は教科担任制のため,廊下などに設置されているロッカーに生徒は荷物を置いて,教科の担当教員の教室に生徒が移動する形で行われています。授業は同一年齢の生徒で構成されています。教科によって混合能力編成もありますが,語学や数学などは習熟度別で行われていることが多いです。
 イギリスは初めに申し上げましたとおり,各学校に自律性と自己責任が与えられた自己改善型学校システムの下で学校経営を行っています。そのため,今申し上げました内容が全国一律に同じように行われているわけではありません。学校間や地域間の差が大きいのがイギリスの課題の一つと言えます。そのため,学校監査の結果がよい学校や優れた学校管理職の傘下に入り,ネットワーク化された学校システムの中で学校同士が支え合い,教え合うことで,各学校が自己改善能力を高め,学校改善が促進されることを目指した学校改革が現在進められています。
 最後に,イギリスの新型コロナウィルス感染症への対応についてお話し申し上げたいと思います。5ページ目のスライドを御覧ください。イギリスの感染者数は約28万人,死亡者数は約4万人という状況ですけれども,3月23日に公費維持学校及び私立学校に対して閉校措置を取られました。そして6月1日に,初等学校の第1学年及び第6学年のみ先行して開校するという方針が出されました。しかし,現実的には開校したのは9割ぐらいで,全ての学校が開校している状況ではありません。また報道によりますと,保護者も約半数が通わせていないという状況の地域もあるそうです。
 政府は閉校措置を取るに当たりまして,ガイドライン等の発表や必要な支援の提供,それから教材などに関するコンテンツやツールキットなどをネットで積極的に配信しています。また,5月には学校再開に向けたガイドラインを教育省が発表しました。
 学校再開に向けて政府が示した方針としては,スライドに書きましたとおり,就学前及び第1学年及び第6学年を優先的に開校することや,受験を控えた学年には一部で対面授業を開始すること,それから再開後の学校での感染防止策などが提示されています。しかし,実際には6月1日に再開しても学校現場では混乱状態が起こっていることや,保護者の不安,教職員の不安などが増大しており,夏学期の終了時までに初等学校の全学年再開の方針を政府は示しておりましたが,学校現場からの反対の意見が多く,その方針は撤回されております。
 閉校時の措置としては,医療従事者,警察,農家,食品小売業,加えてこれらの職種の子供を担当する教員などは,社会サービスを維持するための勤務が必要とされており,これらの職業に従事する人たちの子供たちに対して開校措置が取られています。また,社会福祉や教育,健康,保護観察下に置かれている子供に対しても開校するという措置が取られました。
 また,閉校期間中の学校での取組としては,政府が示したガイドラインに基づきながらも,全国一律的に実施するのではなく,各学校の判断で多様な取組がなされています。私立学校ではオンライン学習や授業が展開されていることが多いようですけれども,公立学校では,まだその普及が十分ではなく,プリントの配布やメール等での配信,提出などに取り組んでいる学校が目立つという報道があります。このように,イギリスにおいては公立と私立の差が大きく表れていることが,今問題の一つとして指摘されています。
 教育省としてもリモート学習などのためのパソコンやネット環境整備のための情報機器などを,社会経済的に不利な環境にある子供たちに配布するという方針を示すなど,リモート学習の推進を示しています。 しかし,5月,6月中に配布するという措置が発表されていながらも,まだ十分に行き渡ってないという報道もあります。
 イギリスの現状としては,公立及び公営学校と私立との差や,社会経済的に不利益な地域や家庭の子供たちが,家庭環境や家庭のオンライン状況によりオンラインでのリモート学習へのアクセスが困難であったり,そもそも家庭での学習環境そのものが劣悪であるなどの理由から,十分な学習機会が得られず,学力の定着に差が出ているということなどが問題として指摘されています。
 このようにリモート学習や遠隔教育においては,貧富の差による学習の定着度の差が大きく出るというエビデンスが示されていることもあり,イギリスでは感染拡大を防ぐことを前提として,リモート学習環境を整備しつつも学校を再開し,対面授業による展開を広げていくという方針の下で,現在模索が続けられている状況と言えると思います。
 以上でイギリスの報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,フランスの状況につきまして,園山先生から御発表をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【園山教授】 よろしくお願いいたします。大阪大学人間科学研究科の園山と申します。このたびはありがとうございます。私のスライドは20枚ほどございますが,よろしくお願いします。初めに前半で,フランスにおける教育課程の特徴を紹介した上で,後半は,コロナウイルス感染後の,あるいは感染時期の間の臨時休校中のお話をさせていただこうと思います。
 最初のスライド1枚目ですが,義務教育といいましても,フランスは少し日本とは異なる点がございますので,そのことについて言及させてください。就学の義務は,3歳から16歳未満のフランス人及び外国人の男女の子供に対して義務とされておりますが,この義務教育は,基本的に教育機関において保障するというふうには定められておりますが,その教育機関は必ずしも公立学校や私立学校に限定されるものではございません。そこに掲げられているように,家庭における,いわゆるホームエデュケーションも認められているところに特徴がございます。
 学校に就学することができない子供の教育を主として保障するために,フランスには国立遠隔教育センターといった組織が設置されております。そのことが今回のコロナ感染状況の中でもかなり功を奏したと言われております。こういった遠隔教育の教材が用意されているということが,恐らくプラスに働いたと思われます。
 なお,その規定の中で,就学義務,学校に通っている子供に対してはかなり厳格な義務が求められております。不登校は日本とは違いまして,一番下の行になりますが,1か月において半日の4回までとなっております。特段の理由なく,それを超えて無断欠席すると,上の条文にありますように,保護者に対して刑罰が科されるとなっております。
 続きまして,次のスライドです。教育課程基準ですが,先ほどのイギリスと同じようにフランスもかなり緩やかなものになっております。なおキーステージと同じように,フランスにも学習期というのが定められております。就学期間は,学習期に組織し,年間の進度及び評価基準を含む各学習期の教育の目的及び全国教育課程基準を定めるとなっています。イギリスと違ってフランスの場合は,私立学校も基本的に96%ぐらいが国との契約私立学校でありますので,この全国の教育課程基準に沿っております。
 各学習期の期間中及び就学期間全体にわたる教育の継続性をもって,児童生徒の多様性に合わせて調整するとなっています。
 学習指導の領域において,保育学校,小学校,中学校及び高校が有する自治権の原則も定められております。
 教育課程基準は全国共通の枠組みをなし,教員は,その中で各児童生徒の学習リズムを考慮して教育を組織するとなっています。
 学習期の終了までに修得しないおそれがある子供がいた場合には,教育成功個別プログラムというものを設定することになっております。したがいまして,学習困難な児童生徒が出てきた場合には,こういったプログラムを個別に用意する。今回もコロナウイルス感染において学習が滞った子供たちに対して,こういったプログラムが用意されることになっています。
 次のスライドです。全般的に日本との大きな違いですが,先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが,やはり就学義務がないということが大きな点になります。それからもう一つは,学習期ごとに3年が,1つの学習期で区分されているということです。
 また,修得主義に基づいておりますので,毎年,基本的には学年の進級判定が行われております。つきましては,原級留置であったり飛び級の可能性があります。これについては保護者とも協議することになっていますので,学校が一方的に決めるものではございません。なお近年,ここ20年ほどですが,フランスにおいては,知識の獲得よりも自立的な学習方法の獲得が定められています。学習の評価においてもその点が重点化されています。
 ついでに申し上げますと,全国の学力調査はフランスは行っている国ですが,フランス語と算数・数学という2教科になります。これは悉皆調査でありまして,小学校1,2年生,中学校1年生,高校1年生の全公立学校,私立学校に通っている生徒に対して行われています。現在はデジタルテストになっておりまして,各教科50分から60分程度のものです。学年の初めの9月から10月に掛けて実施されています。したがいまして,その時点で学年の初めに担任の先生が各生徒の学力困難の発見に活用されております。
 特定の分野において,もし学び直しが必要な場合には,遠隔教育などを活用するということが推進されています。あるいは全般的に全ての教科に対して遅れがあるとみなされた場合には,先ほどの教育成功個別プログラムを用意するということになります。特に中学生において落ちこぼれが問題となる,あるいはそれが後の中退につながるということもございますので,遠隔教育センターによるDevoirs Faitsという受講プログラムがございますので,それを積極的に活用するように促進しております。
 それから1コマの授業時間数については,イギリスと同じようにフランスにおいても規定はございません。あくまでも年間の時数が定められている限りであります。ちなみに年間時数は1コマ60分の計算となっています。1日当たりの各授業時間数についても大ざっぱなものしかございません。例えば小学校においては午前3時間,午後1時間半ないし3時間といったような形で調整される。その3時間の中の時間割の配分については,各担任の先生であったり学校で決めるということになります。
 次のスライドをお願いします。義務教育期間ですが,昨年度から保育学校は3歳から義務教育化されておりますので,中学校の終わりまでの12年間となります。第1学習期から第4学習期までになります。
 右下の表ですが,これは小学校の第2学習期の1年生から3年生に該当するものです。年間864時数というものが定められていて,平均すると週24時間ということになります。各教科の割当ても,おおよその目安がそこに示されておりますが,実際に学校現場に見に行くと分かるんですが,フランス語の授業と算数の授業を教科横断的に教えている場合もございますので,厳密にこれがフランス語とか算数の時間割というふうに,なかなか見出しにくい場合もございますが,各学校の先生たちはこれを目安に年間の授業計画を立てております。
 次のスライドをお願いします。これは小学校4年生と5年生の時間割,授業時数の目安となります。低学年と違うのは,科学と技術が4年生から導入されますので,72時間,週2時間分が配分されています。フランス語の時間が72時間減らされていますので,その分調整した結果,864時間の年間の授業数は変わりません。
 続きのスライドをお願いします。初等教育のフランスの特徴は,4.5日という半日ごとで計算するんですが,一般的に一番多いパターンは月火木金を午前,午後の終日学校にし,水曜日だけを午前授業と定める自治体が多いかと思います。あるいは週4日間,月火金を終日授業にし,水と木曜日を午前中授業にするとか,月火木金を終日にして,4日間で終えてしまうというような在り方も可能となっています。要するに,4.5日分授業が行われていればよいというふうになっています。あとは各自治体に任されています。
 全学年,週24時間の時数ですが,年間36週というふうになります。前回からの改定で新しく導入されたのは,24時間に加えて2時間,補完的な指導というものが導入されています。真ん中辺りに書いておりますが,これは学校によって違いますが,一般的に,毎日,月火木金の昼休みの30分を取り出しのような形で,これも任意の制度ですが,学び直しが必要な子供に対して1日30分手厚い指導が行われているという形です。
 次のスライドをお願いします。初等教育をまとめますと,教育課程そのものはかなり大ざっぱな内容となっていまして,保育学校と小学校の5年間を合わせた8年間で,基本的な基礎課程というふうに位置付けられていますが,表現活動から外国語教育まで,それぞれの教科に該当するような知識が求められていますが,加えて,先ほどのイギリスと同じような市民性教育のような,人権であるとか子供の権利といったこと,あるいは道徳といったことが入っております。これらをバランスよくそれぞれの時数に振り分けて,先生がカリキュラムを組むということが求められます。
 次のスライドをお願いします。中学校ですが,中学校は生徒1人当たり,毎週26授業時数になっています。この26授業時数の中に3時間の補完的な指導が含まれています。それから,年間36週ですので,936授業時数になります。
 ちょっとスライドには書きそびれてしまいましたが,次の矢印のところは教員の授業時間数です。年間756時間授業を行う。週18時間掛ける36週になっています。加えて108時間の補習・会議や保護者の対応の時間として割り当てられています。TALISの調査なんかを御覧いただくと分かるかと思いますが,週大体21時間ぐらい学校で勤務し,それ以外は自宅等で勤務しております。授業の準備に時間を充てているということになります。
 中学校1年生,第3学習期の最終学年になりますが,教科別に分かれていますので,中学校からは厳格に各教科の授業時間数が定められています。以下のとおり,中学校2年から4年生の第4学習期となっております。
 一応この教育課程部会は義務教育段階だとは思いますが,念のため高校の教育課程においてもお示しさせていただきます。次のスライドとその次のスライドが,1年生と2年生,3年生というふうになります。御参照いただければと思います。
 さて後半になりますが,臨時休校中の対応ということになります。臨時休校中は,フランスはちょっとイギリスと違って完全に学校が閉鎖されておりましたので,デジタル対応,あるいは遠隔の授業,さらには国立の遠隔教育センターを使った動画教材を活用する,あるいはそういった環境にない子供に対しては,紙の媒体による教材の配布を行っております。当然のことながら頻繁にSNSやメール等を使ったり,場合によっては電話で個別に生徒に対応するといったことも推奨されております。
 唯一校長のみが毎日の学校登校時間帯には,保護者,子供と連絡が取れる状態を確保するようにとなっています。
 生徒の学習継続を保障することが目的でありましたので,新しい単元を進めていくというよりは,これまで学んできたことを繰り返すというような時間帯になっていたかと思います。
 定期的に担任の先生は生徒と連絡を取りながら,規則的な学習が継続できているかどうかの確認を取ることが求められています。必要に応じて保護者とも連絡を取るということです。
 また,定期的に宿題の提出を義務付けていた学校も存在していたかと。学習の継続を図るということであって,宿題に対する点数評価等は行わないということが原則となっています。
 次のスライドをお願いします。こういったデジタル教材ですが,フランスは先ほど申し上げたように,ホームエデュケーション等,あるいは不登校児のための充実したホームページが多数存在します。これは中央で教育省が管轄して作られているものですが,公式なデジタル教材が上2つ,それから国立遠隔教育センターが作っているものが下2つとなっています。
 それ以外に個別の各大学区――教育行政単位ですが――教育委員会が作ったホームページにも,充実したいろんな教材が用意されております。特に今回,フランスの中で東側,ドイツ国境沿いの地域が最も感染者数も多かったところでありますので,ストラスブールやナンシー・メスの大学は,かなり充実した教材がホームページ上に上がっております。御参考までに上げてありますので,もし関心のある方は御覧いただければ。ただIDとパスワードが必要なので,本格的な中身を見ることはちょっとできないんですが,ホームページそのものは見ることができます。
 次のスライドをお願いします。基本的な学習継続保障ということで,基本的に3月17日から5月18日までの2か月ほどが学校閉鎖であったんですが,多様な教材の活用をフランスの教育省は求めましたので,教科書はイギリスのようにフランスも貸与式ですが,自宅に持ち帰らせて自宅で教科書を使えるようにするとか,練習帳等も活用するといったこと,これは紙媒体の方です。それから国立遠隔教育センター(CNED)のホームページの活用であるとか,様々な教養テレビ番組もございますので,そういったものを活用したり,ラジオ番組も教育ラジオ番組がございますので,そういったものの活用を積極的に促しております。
 それから,もう一つはやはり健康維持の管理という観点から,これは各教員の担任の先生が連絡をする際に確認することではありますが,睡眠時間の確保であるとか,運動時間の確保であるとか,あるいは学業の間の休憩時間の確保,特にデジタル教材を使うと,パソコンの前に座っている時間が長くなるということもございますので,そういった注意を促されていました。それから人間関係の維持ということでの,子供同士のコミュニケーションを積極的に取るように促すといったことが掲げられています。
 学習時間の管理についても,おおよそ目安として1日2から3時間,そのうち1時間を読み書きの時間に充てるといったことが推奨されています。また積極的に分からないことは先生や保護者に質問するといったことも推奨されております。
 自由な時間の工夫といったことも掲げられていて,漫画を含めた読書の時間,あるいは音楽を聞くとか,映画や演劇などの鑑賞といったことも積極的に行う,あるいは,フランスはたくさん美術館,博物館がございますが,そういったところとも国民教育省は提携して,いろんなホームページ上に教材となるようなものがございますが,そういったものを活用することも推奨されています。
 そのほか特別な対応についてですが,フランスも2005年以降,インクルーシブ教育が普及しておりますので,通常学級の中に障碍児生徒を受け入れております。そういった先生におかれましては,一般生徒同様にデジタル教材,あるいは紙媒体,それぞれの個別のニーズに応じた教材の対応をするように促されています。必要に応じて医療的なケア,あるいは障害者の権利と自立委員会,保健省とタイアップして対応することが求められています。
 それから障碍者,院内学級への対応としては,今まで以上に,教員1人当たり5名の生徒に制限を掛けて,より手厚い支援が取れるような体制作り,同じように医療福祉系の国民教育省ではない厚生労働省系の管轄の学校機関ですが,こういったところにおいても求めていますし,あるいは少年院や児童自立支援施設等においても手厚い支援を取るように,教育省は求めております。
 次のスライドをお願いします。学校再開後の取組ということになりますが,初等教育は5月11日から,年長組と小学校1年生及び5年生を,まず最初として受け入れ始めました。18日から中学校1,2年生と高校2,3年生を対象に開校を始めております。なお,年長組を別とすると,学級規模はそれぞれ15名以内というふうに定められています。
 また優先順位は障碍児や不登校にある子供たち,それからエッセンシャルワーカーに従事する保護者の子供たち,それから生活困窮世帯が多い地区とされている優先教育地域の学校の子供たちを優先的に,まず登校すると。ただし,これはイギリスと同じように任意でありますので,必ずしも全員来ておりません。
 それから,教員についても任意となっております。教員においても勤務形態は選択が可能となっておりまして,対面授業を希望する先生は学校に登校しておりますが,オンラインの授業を希望される先生はそういう形を取っています。特に妊婦であるとか,先生自身が何か病気を抱えている場合もございますので,必ずしも対面授業を義務付けてはおりません。いろんな選択肢を用意するということが書かれています。
 既に今現時点においては,学年末はこの7月3日までということなので,7月4日から夏休みは変更ございません。今年も7月4日から8月31日までを夏休みというふうにしております。ただし,夏休みの補講が例年ございますが,これは希望する生徒のみですけれども,7月初旬と8月下旬に行っている学習支援のプログラムは,より多くの子供たちを受け入れられるように体制を作るというふうに明言されております。
 それからちょうど学年末でございますので,進学判定が行われる時期なんですが,これは2学期までの成績を基本とするというふうになっています。3学期については,学習態度・意欲・姿勢の評価を加味することは可能ですが,点数の評価は利用しないということになっています。
 次のスライドは,ちょっと小さくなっていますから見づらいかもしれませんが,小学校における登校率。5月28日の発表でしたので,最初の1週間,2週間が統計の基になっておりますが,再開した学校は83%ですが,登校者は2割程度。
 次のスライドは中学校になりますが,中学校もほぼ同じような28%程度になっています。大体どの都道府県も20%から40%ぐらいの登校率となっております。
 次のスライドですが,障碍児童生徒を優先するとなっておりますが,報道を見ると,かなりやはり苦戦しているというのが実態かと思います。実際には2割から5割程度の障碍者しか受入れができていないとなっています。ただ,教育大臣は6月2日までに100%を目標にするというようなことも,5月28日時点では申しておりましたが,現時点でまだ100%には達していないかと思います。
 次のスライドは写真になりますが,こんな形で再開後の写真が,フランスの国民教育省のホームページにちょっと上がっています。大臣も幾つかの学校視察を行っています。
 私からは以上となります。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,植田先生,それから園山先生の発表及び,先立っての書面審議において取り扱われました授業時数の在り方等について等含めまして,御意見,それから御質問等を委員の方から頂きたいと思います。
 なお,それぞれ委員の方に発言をお願いすることになるわけですけれども,時間の関係等があります。進行上からすると,およそ今から25分から30分前後,御意見を頂く時間というふうにお願いしたいと思いますけれども,委員の方から手を挙げていただくということでお願いしたいと思います。まず,手を挙げられている橋本先生からお願いしたいと思います。
【橋本委員】 ありがとうございます。橋本です。お二人の先生からは本当に興味深いお話を聞かせていただきありがとうございます。私からは大きくは2つの質問と,若干の感想,意見を述べたいと思います。
 特にフランスの義務教育に関してでありますけれども,まず4ページに,修得主義を取られていること,平常点を基に保護者との協議によって毎年進級判定をされている,こんなことが書かれているわけですけど,日本の場合ですと,恐らく義務教育で原級留置ということはなかなか保護者から受け入れ難いことかなと思いましたので,お尋ねします。フランスの場合,原級留置というのはどの程度の割合になるのか,また進級が難しいと伝えられた保護者の一般的な反応はどうなのか,協議で判断が覆されるということが本当にあるのか,こういったことについて,もし御存じであれば教えていただきたいというのが1点です。
 それからもう一点は,最後の方でお話がありました学校再開後の登校率は,大変低いなと思いました。登校が任意ということもあるのかもしれませんし,また遠隔教育センターとか,もともとホームエデュケーションという環境があるからかもしれませんけれども,保護者の皆さんは,学校で学べないというか,学校に行っていないことによる学習の遅れを気にされることはないのか,また学校はどう受け止めておられるのか,この点についてお聞きしたいと思います。
 その上で,資料の6ページに,第3学習期,小4,小5の授業時数が週平均24時間と書かれていましたけれども,これは日本の週29時間と比べますと,かなり授業時数が少ないということが分かります。今も新型コロナウイルス感染症による長期休業中の学習の回復に,各学校躍起になられているわけですけれども,もう少し授業時数が日本も少なければ,子供,教員の負担も大分違ったなと思いますし,小学校においては特に,教員や生徒の負担がもともと大きいなと思っておりますので,こういう海外との比較,その授業時数の違いというものが,果たして学力の違いにどう反映されているのかといった分析もきちんとしながら,授業時数については,可能であれば本当に削減ということも考えていくべきではないかなと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。1問1答とすると,また発言がこの後なくなると思いますので,それぞれの方の意見を伺った後,園山先生にお答えいただきたいと思います。
 続きまして,奈須先生,お願いいたします。
【奈須委員】 奈須でございます。よろしくお願いいたします。フランスとイギリスについて,現状を伺えてとても参考になりました。制度,カリキュラムということですけれども,実際にカリキュラム,時数を運用していくということになると,その運用主体としての教師,あるいは教師集団のありようということが大きく影響してくるかと思います。
 日本の一つの特質として,教員人事が比較的早くフラットである,管理職も含めて,異動がかなり早い。現在,各学校の特質を生かしたカリキュラム・マネジメントを工夫するということが提起されているわけですけれども,人事が早いと,じっくり考えて安定したカリキュラム・マネジメントを実施し,運用するということが難しいんじゃないかと思います。この辺り,フランス,イギリスはどうなっているか,お願いできればと思います。
 それからもう一つ,専門性ということが今後,カリキュラムや時数の効果的な運用を考えると大事になってくると思います。日本では中学校は教科担任制,小学校は学級担任制ですが,アメリカなんかの場合には,小学校の先生も3年生が専門だとか4年生が専門だといったことがあって,先生自身は3年生の学年にいつもとどまって,子供の方が動いていくという形も時折見受けられます。この辺,小学校の先生において何か専門性を担保するとかいうようなことは,イギリスやフランスの場合あるのでしょうか。
 その2点について伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 園山先生,それから植田先生,今の奈須先生の御質問について,後ほど応答していただければと思いますけれども,他にいかがでしょうか。今,私の手元にあるのは,松本先生,それから堀田先生,喜名先生が挙げられていますけれども,この件についてはここまでということにさせていただきたいと思いますので,3人の委員の方ということでよろしくお願いします。
 まず松本先生,お願いいたします。
【松本委員】 ありがとうございます。松本です。
 まずフランスについてですけれども,教えていただきたいことが1つあります。デジタル教材の活用が進んでいるという印象を受けました。それに関して,国としての取組とか,あるいは教室の環境整備,及び先生方への研修というような点で,日本と一番大きな違いは何なのかというのを教えていただければ幸いです。それがフランスについて。
 イギリスの方については,教科書が民間のものであるということでした。日本の場合はどちらかというと同じ内容で,ほぼ同じ進度でということに対する期待がものすごく大きいと思うんです。イギリスの教科書の内容はそれぞれ多分異なると思うんですけど,それと今回,コロナに対応することがある程度成功したということについては,何か関連があるのかというのを教えていただきたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,堀田先生,お願いいたします。
【堀田委員】 イギリスとフランスの様子,改めてよく分かりました。私は両方ともの国の小学校等を,部分的にですけれども参観したことがありまして,なるほどと頷けることがございます。質問は2つございます。
 1つは,イギリスの場合,ICTという教科,今はコンピューティングという教科になっていますけど,そういう情報に関する基幹教科があることによって,ほかの教科でもICTを使った学習が促進されてきたという系譜があるように思います。フランスの場合,その辺りはどうなのかということを園山先生に伺いたいのが1点。
 もう一つ,2点目ですが,フランスの場合は遠隔教育センターというものがありまして,そういう国家レベルでのオンライン学習を進めるような組織,あるいはリソースセンターがあるわけですね。イギリスでも,私が知る限り,例えばロンドンであればLondon Grid for Learningとか,そういうものがあると聞いていますし,そういう国レベルのオンラインのセンターみたいなのがないことによって,日本では結局今回もコロナの騒ぎのときに,先生方が一生懸命学習動画を作るという羽目になったわけです。
 自治体ごとにICT整備が任されていることによって,結果的に格差みたいなことができたというふうに私は思います。そういう意味で,国レベルでオンライン教育や学習リソースの体系的な準備などを担当する組織があることによって,今後の,コロナ後の働き方改革とかにも繋がるように思うんですけど,そういうことについて,お二人の先生から何か御意見がございましたら頂きたいというのが2つ目です。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 では,喜名先生,お願いいたします。
【喜名委員】 どうぞよろしくお願いいたします。お二人のお話を伺って大変参考になりました。私からは感想と,それから小学校の今の現状ということでお話を申し上げたいと思います。
 天笠先生からもお話がございましたけれども,東京の小学校はこの6月から分散登校が始まりました。本区でもこれで2週目が終わったところでありますけど,今月いっぱい,午前,午後,クラスを2つに分けて授業をしているところであります。そんな状況ですので,かなりもうこの2週目に来て,教職員も,それから子供たち自身もリズムが十分取れなくて,だんだん疲れてきているなという気がしているところであります。そういう意味では,橋本先生からもお話がございましたけれども,この授業時数の問題というのがかなりネックになるなということを思っております。
 そしてフランスの方でお話のあった修得主義の件でありますが,中教審でも議論をしている,この個別最適化された学びということを突き止めていくと,年齢主義から修得主義へ変わっていくということも考えていかなければいけないのではないかと思っています。保護者がどんなふうに考えているのか,また子供たちがどんなふうにそのことを感じているのかということを,是非お伺いしたいなと思います。
 2点目がオンライン授業についてであります。堀田先生からもお話がありましたように,各学校,日本中の学校がいろいろ工夫をしたところでありますけれども,いろいろやってみる中で,小学校については,やはり先ほどお話があったように,対面授業が基本だと思っています。
 何があってもやっぱり子供たちが一堂に会して授業をするということ,子供たち同士の触れ合いというのが最も大事だなと思っておりますが,ただ,いろんな学びの形というんでしょうか,多様な学びの機会を実現するという意味では,こういうものがきちっと残っている,作られていれば,また臨時休業などがあったとき,またいろいろなことがあって学校に来られないというときにも,この仕組みが使えるなと思います。そういう意味では,今お話しになった,国としてこういうものができているということがとてもすばらしいなと感じたところであります。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,今5人の委員の方から,園山先生と植田先生それぞれに御質問等があったかと思います。それで,お二人の先生からそれぞれの質問について,全てというわけにはなかなかいかないかもしれませんので,お答えできる範囲で結構かと思いますけれども,それぞれおよそ5分前後ということで,御質問等についての説明をお願いできればと思いますので,どうぞよろしくお願いします。
 まず,植田先生の方からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【植田総括研究官】 御質問いただきありがとうございました。
 まず,教員の異動のことについてですけれども,イギリスの場合は制度的な面で言えば,基本的に学校で採用されますので,日本のような教育委員会が人事配置をして異動させる仕組みがないというところに大きな違いがあると思います。それから教員も自分の自由意思で異動していきます。ヘッドハンティングのような形でどんどん異動していく先生もいらっしゃれば,ずっとその学校にいらっしゃる先生もおられます。そういう意味では,ある程度その学校の教育方針とか,学校の教育課程とかに納得し,同意をしている先生たちが集まって,カリキュラム・マネジメントをやっているという部分は,日本との違いであるかと思います。
 それからあとは,やっぱり日本もそうかもしれませんけれども,カリキュラム・マネジメントをやる際に,そのカリキュラムをマネジメントするリーダーをきちんとしておかなければ学校が動かないと思います。そういう意味ではイギリスの場合は,ミドルリーダーの育成というのを積極的にやっていて,そういう日本で言う教務主任的なミドルリーダーの役割の人たちをきちんと養成しています。カリキュラム・マネジメントの能力を付けるような研修が全国的な制度として提供されていますし,学校が積極的にそういう人材を育成するということが推奨されています。そういう意味で,人事異動的な面で日本とはかなり違う状況にイギリスはあるかと思います。
 それから初等学校の先生の専門性という意味では,私のいろいろ訪問した学校での経験ということに限らせていただくことになりますけれども,私は低学年中心,私は高学年中心というふうに志向する先生もいらっしゃれば,自分はどの学年でもオーケーという形のオールラウンドな先生とかいろいろおられます。その先生たちの個性を大切にした上で,どの先生をどの学年に配置することが効果的かということを管理職の先生がきちんと判断し,配置をしているという実態なのかなと思います。
 そういう意味では,先ほどの先生の質問にお答えするとすれば低学年向きという能力を持った先生たちもいらっしゃれば,そういう先生じゃない,オールラウンドの先生もいらっしゃるというところが,現実的にはあるかと思います。
 けれども,全般的な部分で申し上げれば,イギリスの場合,教科の指導であるとか,子供理解であるとか,そういう部分については国が,教員のスタンダードを持っていますので,そのスタンダードに基づいた形で先生たちを育成し,採用後は評価を行って,その先生に足りない部分については毎年検証して,学校の教員としての専門性をきちんと持つような形での人材育成をやっています。そういう意味での初等学校の教員としての専門性というのは,きちんとスキルアップする環境にイギリスはあるかと思います。
 それから教科書が民間のものであるというところですけれども,例えば,英語の教科であれば,シェイクスピアの物語の本とかをそのまま使って授業をしていたりとか,それからそのほかの算数・数学とか理科などでは,先生方が教材を作ったり,デジタル教材を使ったりという部分も増えてきたりしているかと思います。
 それから,特に全国共通試験に対応した学年であれば,試験委員会が作成するテキストブックを使って授業をしているというところがありますので,その部分について言えば,全国共通教育課程,それから全国共通試験進度に合わせた形の内容になっているかと思います。
 それから,堀田先生から御質問があった,国レベルでのオンライン環境の整備というところでは,ご指摘のあったようにイギリスではブレア政権下で行われたNational Grid for Learningということの成果があり,そのことが学校での情報教育の基盤となって今すごく生きてきているのかなと私自身も実感はしています。
 しかし,今回のコロナのことで言えば,学校ではなく家庭での環境が対応できなかったということに問題があると言えます。国としていろいろなコンテンツとか,いろいろなツールキットとかを作成し,配信はしていますけれども,一番今回問題になったのは,学校ではそれがきちんとできても,実際それが家庭では対応できなかったということです。つまり,家庭にそういう環境を整備できなかったり,そもそも家庭にそういう学習環境がなかったというふうな,家庭でのこういうリモート学習をやることにより生じる課題が起こっています。イギリスの場合はさらにそのことを深刻にしているのは,貧困の問題です。学校でのICT教育とか情報教育の充実はすごく図られてきましたけど,今は家庭でそれをどういうふうにリモート学習という形でやるのか,オンライン学習として整備していくのかというのが,イギリスの大きな課題の状況なのかと思います。
 それから,子供がどう受け止めているかというのは,なかなか実際今学校に調査に行くこともできませんし,オンラインとかで問合せするのもなかなか憚られるところがあるので,その辺りについては情報を今持ち合わせておりませんので,お答えできません。申し訳ありません。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 じゃ,続きまして,園山先生,お願いいたします。
【園山教授】 たくさんの御質問ありがとうございました。
 まず1つですが,この原級留置ですけれども,フランスは昔から,小学校1年生に上がるときにも原級留置というのは一定程度,1割を超えるぐらいの数であった時代もありますので,どちらかというとあまり国民的にも抵抗なく受け止められているところがあったかと思うんですが,ここ1990年代後半以降ですが,中等教育まで全ての子供たちを進学させるという目標が掲げられてからは,原級留置を減らすというのが教育省の政策でもありましたので,大体今2割を切って,高校に進学する段階で,80%ぐらいの人は原級留置をせずに上がってきている状況にあります。
 ただ,これはOECDの加盟国の中ではやはり高い数字ですので,依然としてまだ高いと言っていいと思いますが,それでも国民的にそのことがあまり問題とされる文化はなくて,むしろ積極的に保護者も,自分の子供の学習のリズムに合わせて学ばせることを重視しますので,場合によっては,学校側というか,保護者の方が自分の子供の夏休みの期間の学び直しだけでは,ちょっと難しいので,1年もう一回留年させるということを選ぶ方もいます。
 なお,御質問にあった,保護者がもし反対をした場合ということですけど,この場合は異議申立ての仕組みがありますので,異議申立てを通じて学校の判断に異論を唱えることは可能です。基本的には保護者の意見が尊重されることになっているので,もし進級を希望されれば進級はできることになっています。ただ,今フランスの学校ではほぼほぼ原級留置をするという場合は,かなり学業成績が低い子供に限定されていますので,一般的には子供にとっても不幸な1年を繰り返すことになるとされております。
 それから,教員の異動等のお話ですけど,イギリスと全く同じでフランスも基本的に定期異動はない国ですので,先生が希望を出されない限りは1つの学校,一生そこで勤め上げることも可能です。そのことによって確かに各学校の地域の実態に合わせたカリキュラムを組むということが可能であったり,管理職だけは教育委員会が派遣しますので,定期異動があるのですが,その学校に合ったプログラムを提供できる管理職が人事異動してきますので,そういう形で確かに,日本よりは,より地域に密着した形の学校の在り方を検討することができるということがあるかと思います。
 小学校においても,学級担任制ではありますけれども,ある特定の教科の主任の先生はいらっしゃいます。例えば特に算数と国語はテストがありますので,その学力調査の結果を受けて,うちの学校の子供たちが何か特定のつづり字の問題があるとか,そういうことが発見されれば,そのことに力点を置いたプログラムを,その教科主任の先生たちが作るということになっております。それからまた,教育委員会にも必ず毎年教育計画を提出することになっていますので,教育委員会からアドバイスも受けられる形になっております。そのことを通じて,例えば現職教員の研修なんかもプログラムを組むことになっていますので,教育委員会も小まめにチェックすることになります。
 ただ昨年度,2019年の9月から,3歳から,いわゆる保育学校から義務教育になりました。このことがもたらした問題もあるかと思います。したがいまして,フランスの初等教育教員というのは,保育学校の3歳児から小学校の5年生までを受け持つことが可能となりました。ところが保育と教育はかなり違うということもありまして,やはり3歳から6歳の保育の子供たちを指導する先生と,6歳以降の小学生を指導する先生というのは,教育の文化もちょっと違うんじゃないかということが言われています。
 ただ一般的にはどちらでも教えられることになっていますし,どちらも義務教育化されて,学習指導要領が保育学校まで下りてきましたので,その辺りは,カリキュラム・マネジメントという意味ではかなり学校全体で考える必要が出てくる。一般的にフランスは多くの,特に地方自治体においては,保育学校と小学校は同じ敷地の中に収まっていることが多いということもありますので,連携は比較的しやすい環境にあるかと思います。保育園の先生たちと小学校の先生が共同で打合せするということは比較的やりやすい環境にある。
 それから,堀田先生からのICTのことですが,フランスにもプログラミングは小学校から導入されました。ただ,取出しでプログラミングの授業が行われるということはまれでありまして,一般的には算数の授業でも社会の授業でも理科の授業でも,パソコンを使ったプログラミングの授業も含めて導入されていますので,全教科に広げて,ICTを使った授業を積極的に行うようにというふうになっています。これも実は先ほど言った,その国立遠隔教育センターを通じて,いろんな様々な教材が提供されているので,そういったものを積極的に活用するということになっています。
 ただ,ちょっと私の今日のプレゼンではあまり申し上げなかったんですけど,フランスの特徴でもあると思うんですが,中央集権型の国なので,中央から学校現場まで,かなり縦にいろんな命令,指令系統がはっきりして下りてくることにはなっていますが,現場でそれがどれだけ実践されているかとかということになると,またちょっと話は別かなと思います。
 各学校の先生の裁量権がかなり大きいということもありますし,先ほどのイギリスと同じで,教科書も民間会社が作っていて,教科書の使用についても各先生の自由となっていますので,日本以上に,恐らく授業は先生ごとにかなりバリエーションが大きいと私は見ておりますので,実際にそういったホームページ等に上がっているリソースをどれくらい活用しているかというのは,またちょっと別の問題かもしれないです。ただ今回コロナのことがあったので,先生たちは積極的にそういうものを探したり,見付けたりして,生徒にそれを促すということは行ったんじゃないかと思います。
 それから,修得主義の内容は,フランスも一応OECDの影響を受けて,コンピテンシーベースにはなっておりますので,かなり細かくそれぞれの教科に対する,何ができる,できないといったことをチェックするような通知表になっております。そういったものを使っています。
 おっしゃるように対面授業が重要だということは,フランスの学校の先生たちも同じように解釈しておりますし,先ほど委員からの話がありましたけど,特に共同で,四,五名をグループ学習というのは非常に積極的にフランスでも活用するようになりました。かつては基本的に一斉授業形式でありましたけれども,近年は積極的に子供同士が会話を通じて発展的に学ぶということが重要視されています。
 イギリスとちょっと違って,習熟度別にグループは分けないということが原則になっていて,できる子とできない子を交ぜて,お互いに協議して答えを出し合うというようなことを強調しているかと思います。ただ,そういうやり方は重要視されているので,今回オンラインになってそれが非常に難しいということは,新聞報道を見る限りはかなり学校現場のインタビューからは読み取れるので,そういう問題は日本と同じような印象を持ちました。
 松本先生から頂いた,デジタル教材はどうしてここまで……。
【天笠部会長】 いいですか。そろそろ園山先生,よろしいでしょうか。
【園山教授】 はい。分かりました。
【天笠部会長】 あと,このことはということがありましたらお願いして,先生の回答をくくりたいと思うんですけど,園山先生,いかがでしょうか。
【園山教授】 1つだけちょっと補足すると,イギリスと同じでフランスもデジタルディバイドの社会ではあるので,その普及が遅れている家庭にとっては非常に難しい問題がたくさんあるんですが,かなり携帯が普及しているということがあって,携帯を使ってそういったホームページにアクセスして見るということが可能なようで,パソコンがない家庭とか,ネットがつながってない家庭でもあまり苦労してないように,私はお伺いしておりますが,その辺り,実際にエビデンスはまだフランスの国民教育省も出してないので,どういう課題があるかというのは分かりませんが,あまり日本ほどそのことが報道では問題にはなってないのが,ちょっと日本と違うところかなと思いました。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。改めまして,植田先生,園山先生,大変貴重な情報を提供していただいたことについて,お礼を申し上げたいと思います。
 それでは,1つ目の議題についてはここで終了させていただきたいと思います。委員の皆さんにおかれましては,御発言等まだおありの方がいらっしゃるのではないかと思っております。進め方が大変強引で申し訳ございませんけれども,次の2つ目の議題を説明していただいた後,もし今の1点目についても御意見がありましたら,その際お願いできればと思いますので,恐れ入りますけれども,2つ目の議題に進ませていただきたいと思います。
 これは,今も話が出ましたように,新型コロナウイルス感染症による臨時休業を踏まえた学習指導についてということでありますけれども,この件について,この間様々な通知等も出ています。これらも含めまして,事務局より説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 教育課程企画室長の板倉でございます。それでは,ただいま新型コロナウイルス感染症による臨時休業を踏まえた学習指導について,文部科学省の取組について御説明いたします。資料4を御覧いただければと思います。これまでの文部科学省の4月からの経緯を簡潔に御説明したいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして,3月2日から春季休業まで一斉臨時休業が行われ,春季休業終了後も多くの学校で臨時休業が継続されました。
 2ページを御覧ください。臨時休業が行われ,児童生徒が登校できない状況になりましても,児童生徒の学びを最大限保障する必要があることから,4月10日に通知を発出しました。通知では,紙の教材やテレビ放送等を活用した学習,オンライン教材等を活用した学習,同時双方向型のオンライン指導を通じた学習などを組み合わせた家庭学習と,登校日の設定や家庭訪問の実施,電話の活用等を通じた教師による学習指導や学習状況の把握の組合せにより,児童生徒の学習を支援するための必要な措置を講じることを示しました。
 また,休業中の家庭学習の状況や成果を学習評価に反映することができることや,特例的な措置として,一定の要件を満たした場合,家庭学習で取り扱った内容を授業で再度取り扱わないことができる旨も示しました。
 さらに臨時休業期間中であっても,ICTを活用して家庭で可能な限り学びを継続できるよう,GIGAスクール構想の前倒し等に取り組むとともに,文部科学省ホームページ内に「子供の学び応援サイト」を開設し,家庭学習に活用できるワークシートや,学習に役立つテレビ番組,教科書に基づく学習動画等を紹介し,充実に努めているところでございます。
 3ページを御覧ください。4月16日,全国に緊急事態宣言が発出されたことに伴いまして,再度9割を超える学校において臨時休業が行われました。これと前後して,臨時休業中の学習指導の取組状況の調査を行ったところ,各自治体により取組状況に大きな差が見られました。この結果を踏まえ,4月21日に新たな通知を発出し,臨時休業中においても学校や設置者が最低限取り組むべき事項についてまとめました。4月10日通知の考えを改めて示すとともに,自治体の参考となるよう,学習計画表の参考様式などを示し,計画性を持った家庭学習を課すよう依頼したところでございます。
 続いて4ページを御覧ください。5月1日に行われた「学校における新型コロナウイルス感染症の対策に関する懇談会」において,段階的な学校教育活動の再開について提言が出されました。それに対応し,同日に発出した通知では,感染症対策を徹底した上で,小学6年生や中学3年生等の最終学年や小学1年生を優先させつつ,分散登校日を設けることにより,段階的に学校活動を再開することが重要である旨をお知らせしました。
 5ページを御覧ください。5月4日の専門家会議で「新しい生活様式」が提唱されるなど,社会全体が,長期間にわたり新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識が示されました。このような状況を踏まえまして,5月15日には,感染症対策と子供たちの健やかな学びを保障することの両立を図るための基本的な考え方と取組の方向性をまとめた通知を発出しました。
 本通知では,学校教育が協働的な学び合いの中で行われることに鑑み,新学習指導要領の趣旨にのっとった考え方に基づき教育課程を編成していくことを示しました。具体的には,分散登校や時間割編成の工夫,長期休業期間の短縮等により,教師が様々な工夫を行いつつ,学校での指導の充実を行うことを示すとともに,臨時休業や分散登校の長期化などにより,年度内に指導を終えることが難しい場合には,最終学年以外の児童生徒について次年度以降を見通した教育課程を編成することや,学習指導要領に定める内容が効果的に指導できるよう,授業における学習活動を重点化することなどの特例的な対応を取ることも考えられることを示しました。このうち,授業における学習活動の重点化につきましては,教科書発行者に御協力いただき参考資料を作成しまして,「子供の学びの応援サイト」に掲載しているところでございます。
 続いて資料5を御覧ください。6月5日に,学びの保障についての基本的な考え方や,学びを支えるための文部科学省としての支援方策をまとめ,「学びの保障」総合パッケージをお示しました。
 その1ページを御覧ください。ページの下部に,先ほど述べた学習活動の重点化や,冬季・春季休業期間の短縮,時間割編成の工夫等を通じて,臨時休業により不足している授業日数を確保するイメージをお示ししております。
 少し飛ばしまして,3ページをお開きください。高校入試については,都道府県単位で出題範囲や内容,方法について適切に工夫していただく調査書において,出席日数が少ないこと等をもって不利益を被らないようにするなど,配慮を依頼しております。
 大学入試については,入試日程等について様々な意見があることから,高等教育局におきまして全国高等学校校長協会を通じてアンケート調査を実施し,昨日公表されたところでございます。今後別の会議体におきまして関係者等との議論が行われ,6月中に実施要綱が策定,公表される予定となっております。
 学習保障に必要な人的・物的体制の整備についてもまとめてお示ししております。加配教員,学習指導員等の大規模追加配置の経費や,校長判断で必要な取組を実施するための経費等を,今般の第二次補正予算案に計上しているところでございます。
 以上,駆け足ではございましたが,文部科学省における学びの保障に関する取組を御説明しました。引き続き関係者と密接に連携させていただきまして,家庭や地域の状況に関わらず,児童生徒の学習の機会を保障するための取組を進めてまいりたいと思います。
 私からの説明は以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それで,実は今,板倉室長が御説明いただいたこの資料に基づきながら,昨日新しい初等中等教育の在り方に関する特別部会でも意見が活発に提起されまして,とりわけこの教育課程部会が引き受けなければいけない御意見等も,様々にそこで展開されたわけなんですけれども,この件についての室長からの何か説明というんでしょうか,加えていただくようなことはありますでしょうか。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。昨日の特別部会では,学校行事等の教科外の学び,協働的な学びや総合的な学習の時間の重要性,教育課程は学校が編成するものという大前提を改めて認識することの重要性,現場にとって分かりやすい通知の出し方の工夫,臨時休業中の学習支援の状況把握,出席停止という言葉が持つマイナスイメージへの配慮などについて議論が行われたところでございます。
 以上でございます。
 それでは,ただいま事務局の方から御説明いただきましたこの事柄につきまして,御質問ですとか御意見がありましたら発言をお願いしたいと思います。
 それでは,篠原先生,お願いいたします。
【篠原委員】 御説明ありがとうございました。状況はよく分かりました。それで現状ではこういう流れで私はいいと思っているんですけれども,第2波,第3波がやってきて緊急事態宣言が再び出されるというような状況が生まれた場合のどう対応するのかというスタディケースはやっていますか。
【板倉教育課程企画室長】 お答えいたします。篠原先生,ありがとうございます。第2波,第3波ということでございます。まず,学びの保障パッケージに関しましては,今,先生御指摘のとおり,今までの状況の中でどう回復していくかということを中心とした資料でございます。ただ,私どもとしても,どの程度の規模かは分かりませんが,第2波,第3波が来ることは当然予想されるところだと考えておりまして,特にGIGAスクール構想によるICTの徹底した導入をして,そして学びの保障,特に家庭学習で,学校に行けないときに授業に代替できるような学習ができるような措置を取ろうということで,今取り組んでいるところでございます。
【篠原委員】 そういうことを考えて取り組んでいるのは大変いいと思うんですけれども,この感染状況が今後どういうふうになっていくのか,まだ分からないでしょう。色々な不確実な要素をはらんでいることを踏まえ,その都度柔軟に臨機応変に,「この方向で行くんだ」ということを決め付けずに対応していただきたい。
 以上でございます。
【天笠部会長】 よろしいですか。どうもありがとうございました。
 続きまして御発言をお願いしたいと思うんですけれども,今,私のところで頂いていますのが,秋田委員,それから朝日委員がこちらの方に,それから,今,奈須委員,お三方ですので,この順に,秋田委員,朝日委員,奈須委員の順に御発言をお願いしたいと思います。まず,秋田委員からお願いいたします。
【秋田委員】 ありがとうございます。秋田です。3点あります。
 第1点目は,先ほど篠原委員からも第2波や第3波というお話があったんですけれども,今回のパッケージは,今どういうふうに取りあえず対応するかというところのご提案となっております。例えばオンライン等を,withコロナのみではなくてポストコロナになったときにも,どういう活用を考えているのでこれらをどうやっていくのだということについての共有が,必要ではないかと考えております。是非その辺り,今後オンラインの活用を,今対面授業ができないからオンライン授業ということだけでない形で,先ほどフランスのホームエデュケーションの話がありましたが,現在不登校であったり,それから予習,復習や反転授業をはじめ,いろいろな活用があるわけで,そういうことまでを含めた展望をお示しいたただき,その中で現在のwithコロナがどういう状況かというようなところが,今後議論が必要なのではないかということが1点目です。
 それから2点目は,昨日議論されたということなんですが,高等学校の3年生に関してです。目下のところでは入試の問題がありますけれども,高3が例えば数Ⅲなどを履修するということについて,今後大学のカリキュラムでも,その内容を保障しなければならないということが生じます。大学の側から言うと,高校3年生のカリキュラムが十分に分からないと,実は大学に来ても分からないというような内容もあって,単純に大学入試の時期をどうするかというだけの問題ではないところがあります。
 小中高大と一貫した効果的なカリキュラムということを考えた上で,特に中3や高3における学習の保障の問題と,中3も入試だけじゃなくて,それが高校のカリキュラムとの連結を今回どういうふうに考えるのか,小6と中1,それから中3と高1,高3と大の連続ということが,今後やはりカリキュラム上で議論されていく必要があるのではないかということが2点目です。
 そして3点目としては,昨日の部会でも出たということでございますが,総合学習や特別活動,学校行事等の問題です。この間いろいろな教員のお話を聞いておりますと,いわゆる教科の指導だけではなくて,総合学習を語り合うことによって,教員同士が準備において同僚性を深めたり,改めて学校で必要なものはこれから何かという議論をするようなきっかけにもなっているという話も聞きます。
 この辺りについて,単純に削除していく考え方ではなく,新学習指導要領で言われる主体的・対話的な深い学びの部分について,どういうふうにこういうところで実現していくのかということについてのメッセージ,この間,対話も協働も大事ですよと出してくださったのは大変よかったと思うんですけれども,その辺りを今後是非検討していただけたらと思っております。
 以上3点です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,朝日委員,お願いいたします。
【朝日委員】 すみません,全国特別支援学校長会の朝日でございます。私は今回が恐らく最後の部会になって,次回から次に替わりますので,大変お世話になりました。
 感謝を込めてではないんですけれども,新学習指導要領が予言する予測困難な時代が一気に来てしまったという中で,文科省の皆さんには大変よく通知等を頑張ってくださったと,心から感謝を申し上げます。特にうれしかったのは著作権が自由に認められて,学校ではいろんなものをオンラインで使えるようになったと。そういういろいろなニーズに対して,文科省の皆様も在宅勤務をしながら本当にいろいろな通知を迅速的にやっていただいた。それぞれ難しさとかもあるかと思いますけれども,子供たちが安全でここまで来られたことに関しては,本当によく頑張っていただいたということを感謝申し上げます。
 2点目なんですけれども,うちの聾学校等でアンケート調査を保護者に行って,たくさんの保護者からこの間の感想を聞きました。面白かったのは,タイプが2つありまして,家で学習する時間割表を私どもは5月の途中から,このとおりやってくださいと提示をしました。この時間割表があることで家庭学習がきちんと成り立ったという方が8割ぐらいいます。しかし2割の方は,かえって窮屈であったと。
 最初4月頃に,私が自分でできることは頑張ってやろうというふうに投げ掛けたところ,自分なりにホームページを調べたり,親子で話し合ったり,自分のペースでやってきた子供たちもいる。だから,そういう学び方についてはいろんなタイプがあるので,学校で思っていることと,実際に在宅で子供たちが親子で感じていることが違うんだなということがよく分かりました。
 また特別支援学校と,兄弟が地域の小中学校に行っている場合には,1つのパソコンをオンラインで本当に取り合ったりとか,お母さんたちはその時間割を調整したりするのがとてもとても大変だったという声も聞いています。
 私としては,まとめになりますと,保護者が一番喜んでいたのが,最後に私どもが今ここで使っているZoomと同じような対面式をやったときに,本当によかったと。朝,先生たちと会えるだけでも1日の励みができるということで,私どももここに至るまでいろんな苦労はしましたけれども,オンライン学習のメリットをすごく感じてはいます。
 ですので,これからいろいろな状況があるかと思うんですけれども,例えばこのオンライン学習を,平常時でもうまく使える子供たちをもっともっと育てていきたい。例えばほかの国では,あえてオンラインの日を作るなどという例もあるかと聞きました。例えば夏休みの登校日は暑いのでなしにして,オンラインでみんなでやってみるとか,そういうことをやっていると。その先,将来には,例えば特別支援学校と地域の小学校がオンラインで授業を共同学習するというような夢も描くことができました。
 コロナのことで本当に多くの親御さんも子供たちも学校も文科省も含めて,御苦労はされてきましたけれども,これからの教育の在り方についていろいろなヒントが得られたかなというふうに思っています。特別支援の子供たちは体が弱いということで,いろいろな配慮を頂きながらでしたけれども,無事にここまで来られたこと,大勢の方たちに助けられたことを感謝いたします。
 以上です。
【天笠部会長】 朝日委員,どうもありがとうございました。
 続きまして,奈須委員,その後,喜名委員,三田村委員の順にお願いしたいと思います。奈須委員,お願いいたします。
【奈須委員】 奈須でございます。よろしくお願いいたします。今回の動きの中で,6月5日に出ました通知,教科書発行者の協力が得られたということは,非常に大きなことで画期的だったと思います。ただ実際に細かいところを見てみると,幾つか気になることがございました。
 まず,重点化ということでしたけれども,実際には家庭学習でも可能なものと,学校での対面,協働による指導を要するものということが,軽重という割振りになっているんですけれども,どちらかというと軽くできるところを出すという感じだったと思います。一方,重点化ですので,むしろ重をきちんと出すことによってそこをきちんとやれば,転移可能なといいますか,活用の利く学力が付いて,むしろそういう時数の圧縮ができるということも考える必要が今後あるのかなと思います。
 今回の指導要領で言うと,教科の見方・考え方,あるいは中核概念をしっかり指導することにより,その周辺については,子供たちが自分でやっていけるとか,より少ない時数でやっていけるということがイメージされていると思うんですけど,できれば教科書を巡る議論の中でそんなことが今後出てもいいのかなと,1つは思いました。
 それからもう一つは,教科書発行者がいろんな資料を出してくださったことによって,下手をするとかえって教科書は本来全てのページを必ずやるべきもので,それをやらないときにどこを軽くするか,家庭学習に送るかという理解になると,それはそれで危険だなと思いました。教科書は主たる教材という扱いになっているかと思います。
 6月5日通知には3ページから4ページに,「学習指導要領に規定されている内容を改めてよく確認し,それを効果的に指導する観点から,主たる教材である教科書及び教科書と併用できる教材について,授業において取り上げるべき箇所を確認することが重要である」。あるいは,一つ一つのページではなくて,単元や題材などの内容のまとまりについて十分配慮することが重要であるといった押さえは,実はなされています。
 これによって,いわゆる「教科書を教える」のではなく,「教科書で教える」,あるいは内容を通して資質・能力を育成するといった教科書の利活用に関する基本的なポイントは明示されているんですけれども,そのことは今後も引き続きしっかりと出していく必要がかえってあるかなという気がしました。
 2点目は家庭学習に関することです。先ほど篠原先生も御指摘のように,さらに2波,3波が来るという可能性もあり,休校を余儀なくされる事態も考えられます。そのときに,学校での対面学習とオンラインの学習,それから家庭学習の3つをベストミックスするということは,多くの方が指摘されているとおりです。オンラインについては既にいろんな御議論がありましたけど,家庭学習における学びの質とそれを支える戦略については,まだまだ議論が不十分であるように思います。
 実際にこの教科書発行者の出しているものを見たり,この間の実践を見ても,家庭学習というのは本当にドリルとか暗記とかになっているんですけれども,本当にそれしかできないのか,あるいは今僕らが目指す子供の像としては,アクティブラーナーを考えているわけで,家庭で1人でももっと高度なというか,概念的なというか,探究的な学習ができるような支援策も併せて考えてもいいのではないかと思います。この辺の学びの質のイメージということを再度吟味する必要があるのかなと。今回メタ認知とか学習の自己調整ということも学力の中に位置付け,評価の中にも位置付けましたが,むしろ家庭学習の中でそのことを一つ考えるいい契機になるのではないかと思っています。
 3つ目です。時数の圧縮ということを考えますと,今回の指導要領で出た教科等横断的なカリキュラム・マネジメント,これは実践的な経験から時数の圧縮にとても有利だということが知られていますし,また子供にとって意味を感じながら有機的な学びを実現するということが知られています。先ほどのイギリスやフランスでも活発になされているということで,この点でこれから日本は頑張らなきゃいけないと思うんですけれども,その時数不足に対する対応ということの中で,教科等横断的な視点に基づくカリキュラム・マネジメントの推進ということを,もっと強く打ち出してもいいのではないかなと思いました。
 以上,3点でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,喜名委員,お願いしたいんですけれども,喜名委員,それから三田村委員,その後,貞広委員,大島委員,堀田委員ということで,今手が挙がっております。時間の関係からすると,ほぼ今手を挙げられている方で時間になるかなと思うんですけれども,さらに御意見をおっしゃりたい方は,今の段階で手を挙げていただけるとありがたいかと思いますので,そういうことを含めまして,まず喜名委員,発言をお願いいたします。
【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。よろしくお願いします。私からは,まずお礼と,それから小学校の現状ということで少しお話をしたいと思います。
 臨時休業が長くなってきたときに,このままでは学習指導要領の全面的な実施,完全実施がかなり厳しいだろうということを思ってきたところであります。このことについて教育課程課にもいろいろ御相談申し上げて,6月5日の通知に至ったわけですけれども,本当にこれで我々の見通しが持てたなというふうに思っております。本当にありがとうございました。
 ただし6年生についてはかなり厳しい状況があるということもございます。そして昨日の議論であったということでありますけれども,この学習指導要領のリカバリーのことを考えるとどうしても,通知にもあるんですけれども,知識・技能のところに偏りがちになってきて,こういう状況の中で,いわゆる対話的な学習がかなり厳しいということがあります。そういう意味で,いわゆる資質・能力の3つをしっかりとやっていけるのかどうかということを心配しているところであります。
 一方で秋田先生からもお話があったかと思いますけれども,特別活動とか,いわゆる非認知能力を育むべき部分がなかなかできない状況であるということ,特に学校行事がかなり中止になったり,又は延期になったりしている中で,子供たちが自分たちで考えて取り組むことが,この状況の中でできないということを,この後我々としても考えていかなきゃいけないし,子供たちの不利益にならないようにしていかなければいけないと思っております。
 それから,奈須先生からもお話があった家庭学習の質については,これも小学校としてはとても感じるところでありまして,子供たちが自分の力でできる,いわゆる自己調整力の育っている子供たちとそうでない子供たち,それから家庭の協力が得られるところとそうでもない場合と,このことをまた次の臨時休業に備えて,しっかりとやっていかなければいけないなと思っているところであります。
 以上です。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,三田村委員,お願いいたします。
【三田村委員】 全日本中学校長会を代表して申し上げさせていただきます。まず最初に,今回初めて参加させていただきますのでどうぞよろしくお願いします。御挨拶とさせていただきます。
 私からは3点申し上げます。この3点というのは,実は全日本中学校長会の各ブロックの方たちと意見交換をする中で出てきた中学校の現状ということで捉えていただければと思います。
 まず1点目ですけれども,これは現場の感覚,声として聞いていただければいいんですが,先ほど来出ている第2波です。2波が来たら,学習指導要領の内容を年度内にやり切ることはもう厳しいねというのが率直なところでございます。ですから,あとはもう先ほど奈須委員がおっしゃった時数の圧縮とか,そういったようなこともさらに考えていかないと対応が厳しいかなということ,まずこれが1点目でございます。
 それから2点目です。先ほど喜名委員もおっしゃっていたんですが,文部科学省で様々施策,それから対策をお示しいただいて,それは本当に助かっております。ただその中で,こうした声がございました。それはいわゆる人材に関するところです。
 2次の補正で,教員,それから学習指導員,スクールサポートスタッフ等,この人材に関する予算をお付けいただくという方向で動いていただいているようですが,実際の不安としては,予算は戴いた,しかし人が見付からないということが容易に想像できる,特にこれが地域によっては深刻な状況になるだろうという声がございました。ですから,人材バンクというものの内容が,いま一つ私自身は理解できていないんですけれども,この人材バンクの充実というところを,是非期待したいなというところでございます。
 それから3点目ですが,中学校にとってやはり重要なのは,入学者選抜の問題です。昨日,東京都教育委員会が,出題する範囲ではなく,むしろ出題しない範囲を示しました。文部科学省の都道府県教委に対する配慮の具体的な形なんです。これについては,出題しない範囲が明確になったことで,私たち中学校はとても助かりました。
 次の関心としては,やはりそれがまだ示されていない道府県は早くしてほしいなという声もあるんですけれども,一方で,私立学校がどういうふうになるんだろうかというのが,今私たちの大きな関心です。都道府県教育委員会に準じるんだろうかというのが関心の一つ,また都道府県教委に準じた場合,今度は都道府県教委の出す配慮が,それぞれみんな異なっていたときには,またこれも県をまたいで私立学校を受験する子がいるので,もし私立がその様々な都道府県教委の行う異なる配慮に準じた場合,また厳しい問題が起きるねというのが,これまで出た主な意見でございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 これから申し上げる5人の方で,今日の御発言はここまでということにさせていただきたいと思います。大変申し訳ございませんけれども,申し上げる順に発言をお願いしたいと思います。貞広委員,大島委員,堀田委員,市川委員,戸ヶ﨑委員,以上5人の方で,今日の御発言はここまでということにさせていただきたいと思いますけれども,大体あと10分前後で今日予定している時間が終了ということになりますので,どうぞよろしくお願いいたします。まず,貞広委員からお願いいたします。
【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広です。
 1点だけ申し上げます。それは,今回対象になっている家庭等におけるリモート学習を,例えば感染拡大状況などの社会状況や,何らかの事情でなかなか学校に気持ち,心が向かない,体が向かないような個人の状況に応じて,質の保障を伴いながら,持続的,長期的にシステム化することを今後考えていきたいということでございます。
 御案内のとおり,ホームエデュケーションの先進国である米国,これはホームスクールというふうに言われていますけれども,従来のように義務教育の供給主体も学習の場も学校以外となるようなホームスクールだけではなく,学習の場のみを学校から家庭に移して,学校が義務教育を提供し続けるというホームスクール,新しい形態が出てきております。
 先行研究などでは,前者の伝統的な形を退室のホームスクール,後者の新しい形を拡張のホームスクールというふうに言っていますけれども,拡張としてのホームスクールでは,二重学習や一部だけ学校のカリキュラムを通学で受けるようなパートタイム就学などを行うことによって,学校教育が供給主体となって,学習の場だけが家庭だというようなありようも,かなり広がってきていると聞いております。
 もちろん我が国におきましても,ICT等を活用した学習活動を学校の裁量で出席扱いとして,評価に反映できるような仕組みがありますけれども,この措置がなされているのはまだ非常に少数にとどまっているところだと思います。今後例えばこのリモート学習の整備を,物理的な条件整備ももちろんですけれども,例えば不登校数に応じた加配教員の配置であるとか支援人員の派遣,在宅学習プログラムの作成や,もちろんその基礎となる遠隔教育のためのICTインフラ整備などを教育委員会が主体となって行うことによって,何らかの形で学校に来られない子供たちに継続的に遠隔教育を行えるようになるということが考えられると思います。
 現在義務教育の提供主体というのは,我が国では1条校の教員のみに限定されていますけれども,今その現行法制をドラスティックに変えることなく,こうした何らかの二重学籍やパートタイムの就学というような形で,システムとしてこういう形を持続的に整えていくことも,長期的に考えていただきたいと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】 大島です。ICT及びオンライン教育について3点ございます。ちょっと時間がございませんので,端的に説明させていただければと思います。
 まず1点目なんですけれども,先ほどいろいろ御説明がありまして,オンラインについてはいろいろ普及がされているということなんですけれども,やはりどうしても先ほどございましたように,実際に子供だけの使用ではなくて共有であったりとか,スマホであったりとか,あとはそういうものがあったとしてもWi-Fiの環境が悪くて,なかなか通信として受け取れないとか,どうしてもそういう環境が家庭によって様々だと思います。
 そういう中で,実際にどれぐらいが本当に普及されているかというデータができたらあるといいかなと思っておりますので,機会がありましたらそういうデータを是非示していただけると。もしかして既にあったら教えていただけたらなということが1点目です。
 2点目は,いろいろな委員がおっしゃっていますので,それと重なることがあるかと思います。これから第2,第3波というウィズコロナという話と,その後のポストコロナ,やはりそれに対するニューノーマルとして,これから教育としてもどういう形を模索していくかというのは非常に大事な観点かと思います。その中でオンラインとオフライン,これをうまく使い分けて,ハイブリッドというか,うまく取り込んでいくのが,やはりこれからのニューノーマルとしての教育なんではないかなと思っています。
 それはこれから多分文科省も含めて,先生方も皆さんいろいろな形で模索していくことになるかと思うんですけれども,その際,大学では今実際オンライン教育をやっていて,オンラインのよさというのは非常にあるんです。私も実際にオンライン教育をやっていて,今学習指導要領で言われているアクティブラーニングには非常に向いていると思っていて,例えばブレークアウトセッションとか,そういうやり方というのをうまく取り込むことによって,学習の機会であったり,いろいろな意味での発展があると思うんです。
 ただこれはどうしてもやる教師側がある程度取得しないと,なかなかうまく使いこなせないということが出てきます。なので,そういたしますと,そういう教科だけではない,ICT機械を使いこなすために,先生方にいろいろとトレーニングであったりとか,指導しないといけないということが出てくるんですけれども,それは現状どうなっているかということです。今後機械もいろいろな意味で発展していって,使いやすいということは出てくるかと思いますけれども,やはり使う側が学ばないといけないということもございますので,それについて今後どういう対応をされているかということが1点です。
 あと最後,3点目は,ハードも大事で,それを使いこなすということも大事なんですけれども,やはりコンテンツというのも大事で,今,子供の学びの応援サイトをちょっと見せていただいたんですけれども,動画とかがなかったり,ただスプレッドシートでどういうふうにやっているか,教員用ということもあったと思うんですけれども,そういうのが出されているだけだったので,やはりこういうオンライン教育のためのコンテンツをいろいろと充実していかないといけないと思うんです。
 一方で,オンラインのそういう教材というのは,例えばNHK for Schoolとかでいろいろと最近出てきているんです。なので,やはり自前で作るということも大事なんですけれども,そういうものを連携しながらうまく取り込んでいくことも非常に大事だと思いますので,そういうところも是非模索しながら,オンライン教育とオフライン,やはりどうしても実験であったりとかはオフラインでやらないといけないですので,そういうことをうまく組み合わせながら,日本ならでは教育というのを作り上げていくことができるかなと思いますし,それは多分チャンスですし,できるんじゃないかと思っていますので,今後の発展を期待しております。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 堀田でございます。1点だけお話しします。このたびのコロナによる学校の休業によりまして,多くの学校がオンライン授業に取り組んでみたわけです。先生たちは一生懸命頑張られたんですけど,実質的にうまくいったといいましょうか,例えばできるだけ多くの子供たちが参加し,できるだけ多くの授業時間を,例えば1日何コマみたいな感じでやれたところはどういうところだったかというのをいろいろ調べると,これは自治体による1人1台の端末がもう既に整備されていて,学校での活用によって学習経験が子供たちに身についていた地域でした。もちろん公立です。
 このことを考えると,学校が再開した状態において,学校においてICTを活用した学習を,それはある部分は個別最適化を指向したことかもしれないし,ある部分は協働でクラウドで一緒に情報を共有しながら対話的に学ぶというような学習かもしれませんけど,そのようなICT環境を生かした学習体験を積み重ねながら,先ほど大島先生がおっしゃったように,オンラインはオンラインで,対面は対面で,両方が学習環境として提供されるような,そういうハイブリッドな状況を作っておくことが大事かなと思います。このことは,何を学ぶかではなくて,どのように学ぶかの部分にあたる,多様な学び方の経験値を上げておくということとつながるかなと思いますし,今般の学習指導要領の主旨とも一致するものです。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 続きまして,市川委員,お願いいたします。
【市川副部会長】 では,私も1点だけです。5月15日の通知の中で,これは初めて入れていただいたんだと思うんですけど,非常にありがたいと思うのは,時間的猶予ということなんです。ICTによる支援とか,臨時教員とか,あるいはいろんな情報を流すという支援のほかに,場合によっては,次年度,次々年度に少し教育課程が延びるようなことがあっても,これはもう今の段階に来たらやむを得ないという面があると私は思っているんです。
 第2波ということも言われていますけど,実際に学校が開校されても,先ほどから出ているように,総合であったり,学校行事であったり,あるいは部活であったりということが非常に圧迫されている状況です。ある程度生徒たちも満足できて,先生も,やはりこれは大事だろうと思ってきたこともあると思いますし,それをあまり圧縮せずに入れていきたいと思ったら,やはり時間がどうしても足りなくなってくる。
 そのときに,場合によっては3月終業じゃなくても4月終業でもいいですよ,名目的には3月修了で4月1日から進級なのでしょうけれども,実質的には4月を調整期間として,ゴールデンウイーク明けに始業式というようなことが特例として認められるとなれば,それは大分余裕というものがあるだろうと。
 いろんな支援の下で,今やっていただきたいことはもちろんフルにやっていただきたいわけですけれども,学校教育全体をひずませないような形で,少し1か月とか延びてしまう,そういう時間的猶予という可能性もあるのだと。これを各自治体なり,あるいは私立学校で考えてくださってもいいという支援だとすれば,それは非常にありがたいことだと思います。これは今後に期待したいと思います。
【天笠部会長】 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは最後になりますけれども,戸ヶ﨑委員,お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 議会のため途中参加で申し訳ございません。私からは「参考資料9」の6月5日付「学習活動の重点化に係る留意事項等について」の通知に関係して意見させていただきます。
 この通知は大変重要な通知であるとい思います。まさに教師や学校のカリキュラム・マネジメント力が,そして,教育委員会にも各学校の教育課程をどのように「管理,執行」するかが問われていると認識をしています。しかし,学校や自治体によって,そこにあるように,この通知の受け止め方は様々です。
 この学習活動の重点化は,「参考資料4」の5月15日付「次年度以降を見通した教育課程編成」と同様,長期休業間の短縮などで最大限の量的確保に努め,指導を充実してもなお,本年度中に指導が終えられない場合の「特例的措置」です。
 しかし,新学習指導要領の目指す「主体的・対話的で深い学び」などを「密になることを避けて」着実に実施することや,再び感染拡大となった場合を鑑み「家庭学習(オンライン学習)を単元の中に意図的,計画的に位置付ける」ことなどを考えますと,この「学習活動の重点化」は,特例ではなく,全ての学校で対応しなければならないと考えています。
 また,先ほどの「参考資料4」の通知に,「児童生徒の学習の効果を最大化できるようカリキュラム・マネジメントを行うこと」とあるように,コロナ以前からの課題である,単なる時数合わせではなく,真に各学校の実情に応じ学習効果が最大化できるカリキュラム開発が求められています。
 ここで重要となるのは,コロナ以前の余剰分まで含んだ授業時数を回復することではなく,むしろ,本来の標準授業時数に向け,内容を整理・精選・構造化し,学習活動を重点化するという発想だろうと思います。
 まずは,子供たちの実態等を見極めながら,教科書会社から提示される「年間指導計画の参考資料」を参考にして,大きく次の丸1から丸3の3つの視点から学習活動を重点化していくことになると考えます。その際,「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのようにして学ぶか」のうち,「何を学ぶか」について,教科書会社が整理した参考資料がありますが,今後,各学校で,それらを基にして,児童生徒や地域の実態等を鑑み,育むべき資質・能力を改めて振り返りつつ,全教職員が参画し,カリキュラムをデザインしていく必要があります。
 丸1つまり,学校の授業で取り上げることが必要であると考えられる教材・学習活動は,教師と児童生徒の関わり合いや児童同士の関わり合いが特に重要な学習への動機付けや協働学習,学校でしか実施できない実習等を重視することです。
 また,丸2つまり,学校以外の場での学習が可能な具体的な学習活動としては,私なりにまとめたものですが,そこに記したような教材や学習活動などが想定されます。
 なお,原則として家庭学習(オンライン学習を含む)は,子供が1人で学ぶためには,いわゆるリーディング・スキルなどの基礎的な学習スキルが不可欠となります。さもないと,宿題の添削(正しい答え合わせ)もできないかもしれません。これらのスキルの育成とともに,OECDのいう自己マネジメントができるエージェンシーの育成も急務であると考えています。
 また,「学校の授業以外の場=家庭学習」と捉えるのではなく,図書館,博物館,美術館などの施設や学校運営協議会などと連携協力した取組も考えられます。さらに,「20%は学校外で」が一人歩きし「安易な家庭学習」とならないよう,通知にもあるように,十分な事前指導,学習状況の適切な把握とその後の指導改善への活用,家庭等の連携や丁寧な説明,個別指導を行うなど,慎重を期する必要があります。
 最後ですが,オンライン学習でもプリント学習においても,「学びの木(問題)」ばかり見ていても,「学びの森(文脈)」が把握できないと深い学びは期待できません。「機会はあっても学びなし」ということにもなりかねません。今後は通常授業の導入にあたる「何ができるようになるか」「何を学ぶか」などを子供たちがしっかり理解できるよう,家庭学習を含めた「学習活動の重点化」といった観点のカリマネの推進こそ重要であると考えます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,まだ御発言いただけない方,また私の議事の進め方等がありまして,予定の時間よりもオーバーしております。ここで今日のこの会議は終わりにさせていただきたいと思いますけれども,御発言いただけなかった委員は,メール等で,あるいは文書等で事務局までお寄せいただければと思います。
 事務局におかれましては,本日の委員の皆様方の大変貴重な御意見を受け止めていただくとともに,また今申し上げましたように,今日の議論で追加のメール等もあるかと思いますので,それを踏まえてまとめていただければと思います。それらにつきましても,委員の方,御発言いただけない方がありましたら,是非事務局までその旨お伝えいただければと思います。
 それでは最後に,次回の予定につきまして事務局からお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 次回の教育課程部会でございますが,6月30日,火曜日の10時から開催予定となっております。
 以上でございます。
【天笠部会長】 それでは,本日はこれをもちまして終了ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――