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教育課程部会(第113回) 議事録

1.日時

令和元年10月29日(火曜日)9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 国際バカロレア特例措置の告示改正について
  2. 基盤的な学力の確実な定着に向けた方策について
  3. その他

4.議事録

【天笠部会長】 おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第113回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 まず,会議に先立ちまして,せんだっての台風15号,19号により,また,先日の千葉県をはじめ福島県など大雨により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 改めまして,本日は大変御多忙の中,第113回の教育課程部会に参加いただきありがとうございます。本部会につきましては,報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知いただければと思います。
 それでは,本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 本日の配付資料は,お手元の議事次第にありますとおり,資料1から資料5と,机上配付資料1から2です。なお,文部科学省では審議会等のペーパーレス化の取組を推進しております。本日は,端末手配の都合上,委員の皆様には資料を配付しておりますが,そのほかの方々はペーパーレスとさせていただいております。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。また私の方から,小学校における新しい学習指導要領の全面実施までいよいよあと半年を切っております。そのことと関わりまして,本日はこの会議室前に,来年4月から小学校で使用されます新しい教科書を展示していただいております。このことに関わりまして,事務局から一言説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。天笠部会長とも御相談いたしまして,来年4月から小学校で使用される新しい教科書を展示しております。あちらとこちらにございます。今回の改訂で,小学校で必修化されたプログラミング教育が教科書でどのように取り上げられているのか,小学校5,6年生の外国語科の教科書はどのようなものか,言語能力,情報活用能力,問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力についてどのように扱われているかなどを御覧いただけると考えております。スクリーンの下のスペースと入口の横のスペースの2か所で教科書を展示しております。休憩時間や会議後の時間で,傍聴の皆様を含めてどうぞ御自由に御覧いただければと思います。
【天笠部会長】 ということで,今御説明ありました新しい教科書は,新しい学習指導要領が目指す理念が具体化されたものというふうに言うことができるかと思います。そういう意味において,教育課程部会の委員の皆様にも是非御覧いただきたいと考えております。
 本日は3時間という長丁場ですので,会議の途中に休憩を取る予定でおります。その休み時間をいつもよりも若干長めとしまして15分としたいと思います。休憩時間も利用していただきながら,是非それら新しい教科書を手に取って御覧いただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。
 続きまして,教科書課の課長さん,この件について何か一言ありますでしょうか。
【中野教科書課長】 特に補足はございません。
【天笠部会長】 よろしいですか。はい。
 ということで,それでは議題1に入りたいと思います。国際バカロレア特例措置の告示改正について,事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。資料1-1を御覧いただければと思っております。資料1-1の1枚目でございますが,国際バカロレア・ディプロマ・プログラムの概要についてでございます。このプログラムは,国際バカロレア機構が提供する16歳から19歳が対象の国際的な教育プログラムです。2年間で履修し,最終試験に合格すると,国際的に認められる大学入学資格,国際バカロレア資格を取得できるものでございます。グローバル化に対応した素養,能力を育成するものであることや,国際的に通用する大学入学資格が取得可能であり,世界の大学入学者選抜で広く活用されていることを踏まえ,平成25年の日本再興戦略や平成26年のまち・ひと・しごと創生総合戦略において認定校等の増加が挙げられております。文部科学省におきましては,国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IBDP)の導入を促進する観点から,平成27年に教育課程の特例告示を定めているところでございます。なお,資料1-2に国際バカロレアの詳細についてありますので,御参照いただければと思っております。
 それでは,資料1-1の2枚目の方に行っていただければと思います。こちらは現行の平成27年に定められた教育課程の特例告示の概要となっております。現行特例告示では,まず,告示に列挙されている高校学習指導要領上の必履修科目及び総合的な学習の時間とIBDP科目について,当該IBDP科目の履修及び修得をもって必履修科目の履修及び修得に代えることができること。2としまして,学校設定教科・科目として設置したIBDP科目について,卒業に必要な単位数に算入できる上限を36単位に拡大すること。3として,国語以外の教科等について,英語による指導を行うことができることを定めております。
 現行の特例告示の制定から約4年が経過しまして,現行の特例告示を活用した取組や,教育課程特例校制度を活用して現行の特例告示に規定されていない科目の対応関係を認めた例等が蓄積されています。また,今年5月の教育再生実行会議第11次提言において,国際バカロレアの推進を図るため,現行の特例告示の改善を図ることとされたところでございます。
 スライドの3枚目をお願いいたします。これを受けて,現行の特例告示の改正を検討しております。左側が現行告示で,右側が改正後の告示のイメージでございますが,改正の方向性としましては,現行の特例告示において必履修科目の履修及び修得に代えることができるとされている科目の範囲を広げる一方,学習指導要領に基づく高等学校教育の質の確保が図られるよう,代替に当たっての要件を付加することを検討しております。
 4枚目に移っていただければと思います。赤字で書かれているのが今回の改正事項です。IBDP科目と学習指導要領上の科目の対応関係を示す表においては,教育課程特例校制度においては,代替の実績のあるヒストリーなどのIBDP科目と,学習指導要領上の科目の対応関係や,来年からカリキュラムが改訂されるマセマティクスの2科目と数学1の対応関係を新たに示すことを検討しています。一方で,今回の改正で付加する要件としては,IBDP科目について,高等学校学習指導要領に定める内容事項が適切に取り扱われていること,生徒の発達の段階並びに内容の系統性及び体系性に配慮がなされていること,その他,生徒の転出入に対する配慮等の教育上必要な配慮がなされていることを検討しています。これらの要件を各科目が満たすことについては,現在,文部科学省委託事業として実施されている日本全国のIB教育関係者が集まった団体であるIB教育推進コンソーシアムにおいて調査し,別途事務連絡で示す予定としております。この改正案につきまして本日御議論いただき,年内から年明けをめどに公布・施行してまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして,御質問等々ありましたらお願いしたいというふうに思います。いかがでありましょうか。吉田委員,お願いします。
【吉田委員】 ありがとうございます。何点かお尋ねしたいのですけれど,まず,2020年までに200校という計画の中で,資料1-2にあるように,今現在が75校ですか,というか,これは何校ですか,トータルで。130ぐらいですか,今は。
【宮本国際協力企画室長】 今,最新の数字で140になります。
【吉田委員】 140,うん。ということですけれど,実際にこのうち日本語IBというのが認められることによって,大学入試等で使われているところの数も,実際この資料1-2を見ると決して多くはないわけですけれど,それで,国際バカロレアのもともとの目的というのは,海外の大学にそのままその資格で入学できるという部分があったと思うのですけれど,実際海外の大学に直接行っている子がどれぐらいいるのか。それから,国として200校計画をするに当たって,どれぐらい費用的な部分で補助されていることなのかどうか。実際に,例えば大阪府のように,YMCAがインターナショナルスクールといっていますけれど,これは公設民営で,大阪府が設置をしてYMCAに全部丸投げしてやらせると。大阪府でやればいいものを,あえて公設民営にしている理由は,結局教員の給与が違うからとかいろいろな理由があるようですけれども,その辺のところも含めて,文科省としてこのIBが英語でやるのか日本語でやるのか,それから今の2020年の計画に対して実行できる可能性を考えているのか。そして留学は本当に実行できているのかどうか,その辺のところも含めて教えていただきたいと思います。
【天笠部会長】 いかがでしょうか。お願いします。
【宮本国際協力企画室長】 国際バカロレア教育の推進を担当しております大臣官房国際課の宮本と申します。
 幾つか御指摘を頂きましたが,大きく3点,海外大学への進学実績,それから費用面での補助等,そして文部科学省としてIB,国際バカロレア教育を日本語あるいは英語でやりたいか,こういった方針があるのかというような,主に3点の御質問かと思います。
 1点目の海外大学への進学については,人数については,統一的な集計データ等は現在のところまだ取れておりませんので,ただ,個別の学校に伺ったところ,特に,例えば東京都立国際ですとか,そういったような学校から直接海外の大学への進学,個別の学校ごとでは公表しているものがありまして,それらでは相当な数が示されていると思いますので,一定程度の進学実績は出ているかと思います。今後そういった調査も含めてやっていきたいと思っております。
 それから,費用面の補助に関しましては,国際バカロレア教育の推進ということで,先ほどのお話にありました国際バカロレア推進コンソーシアムというものを事業としてやっております。このための費用と,あと日本語のプログラムを提供するために国際バカロレア機構に拠出をしております資金というものがあります。ただ,具体の日本国内の学校に対して国際バカロレアを実施するための直接の補助金等の制度はございません。ただ一部,この国際バカロレアを実施するということを踏まえまして,教員の加配などにおいて措置されている例があるかと承知しております。
 それから,日本語,英語の問題に関しましては,国際バカロレアのDP,高校程度のプログラムを日本語で実施できるようにする日本語DPプログラムというものを国際バカロレア機構への拠出金の中においてやっております。主な費用は翻訳費等で充てられておりますけれども,これをやることによって,我々は,国際バカロレアは海外進学だけがメリットというわけではなくて,この資料1-2の1ページの右下の方に示しておりますけれども,IB導入の効果ということで大きく3点,グローバル人材の育成,そして初等中等教育の質の向上すなわち主体的な学びを通じた全人教育といった先進的な事例の導入,それから大学入学資格を含めた国際的通用性,こういったメリットが享受できるということがありますので,日本語DPというものを導入することで国内の日本語で教育を実施している学校においてもIBの導入が促進されるものと考えております。日本語がいい,英語がいいというどちらかのプリファレンスというものはございませんけれども,日本語でも提供できるようにということで,このプログラムを進めております。
【吉田委員】 済みません,またよろしいですか。ちょっと今のところで意味が分からないのですけれど,日本語で提供したものが海外で使えるのかという部分,海外大学入学につなげる部分でそれができるのかということと,それから,IB導入の効果でグローバル人材育成,初等中等教育の質の向上,国際的通用性というけれど,それは今の教育課程ですれば良いのではないかと。実際に今,IBをやらなくてもそれはどんどん進んでいるのではないかと思うんですけれど,その辺の二本柱みたいな感覚じゃなくて,どうしてそれが1つにできないのか。それで,毎年何千万も掛けて国際バカロレアにお金を払って日本語版作って,それで日本の大学で実際使われている学校数といえばどうかというと,今現在61大学ですか,しか使われていないという,その辺の意味合いが理解できないのですけど。
【天笠部会長】 今のは吉田委員の御意見ということでよろしいですか。
【吉田委員】 いや,意見もそうですけれど,ちょっとその見解も聞きたいのです。
【天笠部会長】 それで,今,杉江委員が立てておりますけれども,ほかの委員の方,この件についてはよろしいでしょうか。では,杉江委員のまた御意見を頂いてということでお願いしたいと思います。
【杉江委員】 告示改正自身には全然異議はないんですけれども,バカロレアというのは,これはグローバル人材育成ということで目立っているんですけど,実際にはリーダーシップ力の育成教育として価値のあるものだと思いますし,やはり日本人として全ての日本人が身に付けなければならないものでありますし,また,今回の教育改革と目標を同じにしていますので,将来的に200校というのは一つのステップかと思いますけれども,文部科学省としてどういうふうに全国の初等中等教育に導入するということで考えておられるのか,又は特別のグローバル人材育成というエリート育成で考えておられるのか,その辺の将来的な考え方をお聞きしたいんですけれども。
【天笠部会長】 ということで,先ほどの吉田委員,それから今の杉江委員等々の御質問,御意見等々を踏まえて,事務方の方から何かその件についてということでお願いできますでしょうか。
【宮本国際協力企画室長】 まず,吉田委員からの御指摘について,日本語DPで修得した国際バカロレア資格を持って海外大学への進学ができるのかということにつきましては,日本語DPプログラムが始まってから卒業生の数がまださほど多くありませんので,統計的なもの等はありませんが,基本的に日本語DPでやられたものもデュアルランゲージプログラムというサーティフィケートが出て,これは卒業資格,大学入学資格として使えることになっております。
 それから,国内大学でも使われていないというものがありましたけれども,こちらも我々は大学進学後の学生のパフォーマンス等も含めて調査を進めておりますので,国内大学等のニーズについても調べていきたいというふうに思っております。
 学習指導要領との整合性については,基本的に考え方についてはさほど違和感なくやられているものかと思いますけれども,国際バカロレア教育,これも一通りの確立したプログラムというふうに考えておりますので,こういった考え方を,黒船的にというふうに我々言っていたんですけれども,導入することでアクティブラーニングなどが強く進められる事例かと思っておりますので,そういった観点からも推進しております。
 それから,杉江委員からの御指摘がありましたリーダーシップ力の育成教育ということは,まさにおっしゃるとおりでございます。200校はステップということで,我々もそう考えておりますが,基本的に,200校いった後に,この後何千校,何万校と増やしていくという計画は持っておりませんで,この200校というのは,基本的には日本全国において国際バカロレア教育を受けたいという子供たちが自分の自宅の近くのところで受けられるような機会を提供するという,この目安として200校というものをまずはやっていくべきであるというふうに考えております。
 以上です。
【天笠部会長】 ということで,この件についてはここまでということにさせていただきたいと思います。吉田委員,どうぞ。
【吉田委員】 ごめんなさい,しつこくて。私と杉江委員と,多分言っていることは同じだと思うのですけれど,要は,IBプログラムは非常に内容がいいと。思考力とか表現力とか判断力を育成するためにもいいと。それを今200校でやっているだけではなくて,今度の教育課程の中にそこでの融合というか合わせるということ等によって,よりよきものになるのではないのかと。今のお話だと,200校は別物であって,教育課程とは別なのだという感覚というのが果たして本当にいいことなのかどうなのか。やはりIBとかSATとかをうまく活用した入試にしようという教育改革の目的もあったわけですけれども,その辺で教育課程だけはIBと今の教育課程は別だというのもおかしいと思うし,今,Society5.0のこととかもどんどん出てきていますけれど,教育課程の改訂をするときだからこそそれを統合した方がいいのではないかという思いも強いので,こういった発言をさせていただいていることを理解いただきたいと思います。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。それでは,この議題につきましてはここまでということにさせていただきたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 はい,それでは続きまして,議題2に移らせていただきます。事務局から本議題に関する説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 ありがとうございます。本日は,資料2-1にありますとおり,4月17日の中央教育審議会諮問の義務教育段階の在り方に関する諮問事項のうち,基盤的な学力の確実な定着に向けた方策について取り上げたいと考えています。そのため,本日はまず,国の取組として,担当課より,全国学力・学習状況調査について説明した後,資料2-2にありますとおり,各自治体における学力向上に関する取組について,3名の方に発表をお願いしております。1人目の発表者は,埼玉県教育局市町村支援部義務教育指導課の八田課長です。埼玉県学力・学習状況調査を中核としたPDCAの推進を含む埼玉県の学力向上施策の概要について御説明いただきます。
 2人目は,埼玉県戸田市教育委員会教育長である戸ヶ﨑委員です。全国学力・学習状況調査や埼玉県学力・学習状況調査などとの関連を踏まえながら,戸田市の学力向上策等について説明いただきます。
 3人目は,福岡県春日市立春日西中学校の清尾教頭先生です。児童生徒の学力を向上させるためには,学校だけでなく地域や行政が一体となって取り組むことが重要であり,文部科学省では学校を核とした地域力強化プラン事業などによって,学習相談や学習支援などを支援項目として挙げているところでございます。本日は,春日市におけるコミュニティ・スクールとしての学力向上に関する取組について説明いただきたいと思っております。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。それでは,全国学力・学習状況調査について事務局から説明をお願いいたします。
【今村主任教育企画調整官】 失礼いたします。学力調査室長の今村と申します。お手元手前の資料に即しまして御説明させていただきます。
 本日の議題,基盤的な学力の確実な定着に向けた方策に関しまして,文部科学省が行っております様々な施策のうちの一つとしまして,平成19年度から実施しております全国学力・学習状況調査について説明をさせていただきます。
 まず,いわゆる学力調査と呼ばれるものは様々ございますけれども,そのうち文部科学省が実施しておりますこの調査の特徴について説明をさせていただきました後に,調査問題・資料を少し御覧いただきまして,その後に,この調査結果を活用した様々な取組,各教育委員会,学校でやっていただきました成果も含めまして御紹介させていただきます。
 まず,この調査の特徴でございますけれども,まず目的にそこが示されていると考えております。この調査は,児童生徒の学習状況を把握することのみならず,それを分析しまして,国,教育委員会,学校のそれぞれのレベルにおきまして教育政策や授業の改善に生かし,その継続的なPDCAサイクルを回していくということが主眼となっております。
 次に5ページに飛んでいただきまして,このため,幾つか留意点がございます。まず,この調査は,調査事項としまして出題範囲が学力の全てではなくて,その特定の一部分になっているということでございます。この調査は,小学校6年生,中学校3年生を対象としておりまして,4月に実施いたしますので,その前年度,小学生ですと5年生まで,中学校ですと2年生までの指導事項をまず範囲としておりまして,その中でも各学校段階における各教科などの土台となる基盤的な事項に絞っております。その中で,実生活において不可欠であり,常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など,そしてその知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力などを問うということを主眼としております。
 このように,調査により測定できますのは,学力の特定の一部分であることなどを踏まえまして,特に調査結果の取り扱いについて教育上の効果や影響などに十分配慮するよう,学校設置管理者に求めているところでございます。
 また,2番目としましては,この全国学力・学習状況調査におきましては,各設問の難易度や種別によって配点や重み付けは行っておりません。一般的な学力調査というものは100点満点で,例えば記述式などは10点満点で部分点が出るといったようなものが多いわけでございますけれども,この調査におきましては,各設問,正答か不正答かということだけで付けておりまして,ただ,不正答の中にはいろいろな解答状況があるということで,正答も含めまして解答類型というのを複数設けております。実際,個々の児童生徒がどういった解答をしているかということを解答類型に即して分類をしていくということで,実際,調査結果をお返ししたときに,児童生徒本人あるいは指導者である学校の先生方が,この生徒が理解上どういったところまで達しているのか,どういう課題があるのかということを見取るための一つの手助けとして,そういった解答類型というものをお示ししておりまして,その解答類型に即した解説などもこちらの方から提供しているという設計にしております。これは,この調査の目的が学習指導の改善・充実をしていくということになっておりますので,それに即した設計となっているということでございます。
 それから3番目としましては,この調査は全国で同時悉皆で実施をしておりまして,今,小学校6年生,中学校3年生,各100万人規模でいるわけですけれども,そうした児童生徒が同時に一斉に受けるということになっております。これは,この問題それから解答状況を授業の指導改善に生かしていただくという観点から,設問全て,問題を全て公表しているということもありますので,その調査の公正性を期すために同時悉皆でさせていただいているという状況でございます。このために,いわゆる例えば経年比較できるような学力調査というものは,経年比較できるように同じ問題を使うということが必要になりまして,IRTテスト理論と書かせていただいておりましたけれども,こういった経年比較できるような設計にするためには問題を非公開にしなければいけないという条件があるのですけれども,今申し上げました私どもの調査の目的に即しますと,問題が非公開にできないという事情がございまして,厳密な経年比較ができるような設計にはなっていないということがございます。
 今申し上げた特徴を有している調査でございまして,ここにいらっしゃる委員の先生方は実際調査問題作成に御協力いただいたり,実際,調査の実施に御協力いただいている方がたくさんいらっしゃいますので,ちょっと釈迦に説法なんですけれども,どういう調査なのかということを改めて御紹介させていただきます。
 この調査は,先ほど来申し上げておりますとおり,日頃の授業改善に生かしていただくということを目的にしておりますので,まず,調査問題そのものが学習指導要領で示しております児童生徒に身に付けさせたい資質・能力,ここでは知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する,そういう力を育てるということが実際どういうようなことなのかということを調査問題そのもの,そして児童生徒がその調査問題を解く過程において実際に体験していただけるようにということを込めております。ですので,私どもは,この調査問題自体が全国に対するメッセージの一つになっているというふうに考えておりまして,設計をしているということでございます。
 今,7ページ,お手元に御覧いただいております左側が中学校の国語,右側が小学校の算数で,今年4月に実施した調査問題でございます。左側は新聞という実際に実生活で接する媒体から目的に応じて必要な情報を読み取り,その上で読み取った内容をその根拠を示しながら説明できることを問う設問でございます。右側は,遊園地での待ち時間という日常生活の事象を数理的,数学的に捉え判断することを求める,そういった設問でございます。
 続きまして,調査結果をどのように学校現場に返しているのかということを少し御紹介させていただきます。8ページ左側の上は,調査結果概況といたしまして,その学校なり教育委員会の児童生徒の数別に正答数のどういった分布があるかということを例えばお示ししている図でございます。下側は,調査結果チャートと申しまして,いろいろな調査事項がございますけれども,それぞれの分野ごとにまとまりを持たせて指標化をしておりまして,全国平均等との比較を視覚的に分かりやすくしているものでございます。右側は,平成30年度から提供しているS-P表というものでございまして,教育委員会では知られているものと聞いておりますけれども,例えば学級ですと,その学級の児童生徒さんの解答状況を整理したものでございまして,平均正答率だけでは把握できないような,例えば学級全体の課題の傾向ですとか,個々の生徒さんが本来この生徒さんであればこの問題は解けるはずだけれども,実は解けていないということを可視化しまして,指導改善の充実に対しての一つの材料として使っていただくためのものでございます。
 続きまして9ページに参りまして左側,こちらは学校・教育委員会へお配りしているもののまた一つになりますけれども,こちらは各教科の結果を,左側に設問をずらっと並べておりまして,設問ごとにその趣旨,学習指導要領の位置付け,どの事項に属しているのか,あるいは解答の仕方が短答式,選択式,記述式とございますけれども,どういうものなのかということと併せまして,当該学校なり教育委員会の平均正答率と,都道府県あるいは全国値との比較を簡単にできるようにしたものでございます。
 最後,右側は個人票と申しまして,各児童生徒さんにお返しするもので,各教科ごとにこのように1枚ずつという形でお配りができるようにしているものでございます。
 続きまして,調査結果をどのように活用して指導改善,教育施策の改善・充実を図ってきているのかということを5つにまとめまして御紹介をさせていただきます。
 まず1つ目が,これまで行ってきた一つの成果とも言えると思いますけれども,都道府県間の平均正答率の相対的な差が縮まっており,学力の底上げが図られてきたということがございます。上の段ではちょっと具体の都道府県名が入っておりまして,下の段につきましては平均正答数が高い県と低い県の状況を少し可視化したものでございまして,特に下のグラフを御覧いただきますと,平均正答数が低い県の相対的な平均正答の状況が右肩上がりになっているということで,学力の底上げが全国的に図られてきているというふうに考えております。これは各教育委員会,学校におかれて本調査の結果を踏まえ,例えばほかの教育委員会,学校の取組ですとか,これ以降私どもで御紹介させていただきます調査結果の追加分析など,様々な知見を活用していただきながら,授業改善あるいは教育現場の支援に熱心に取り組んでいただいた成果というふうに考えているところでございます。
 続きまして,ちょっと13ページを飛ばして,まず14ページを御覧いただければと思います。活用の2つ目としましては,調査データを用いまして様々な研究をしまして,その成果を現場に還元しているということがございます。そのうち1つ御紹介させていただきますのは,SESというものでございます。これは家庭の社会経済的背景といいまして,学力といいますものは,この家庭の社会経済的背景の影響を受けているというふうに言われておりまして,世界各国での研究データを用いまして実証されているところでございます。この全国学力・学習状況調査のデータを用いた分析研究におきましても,我が国の児童生徒の学力がSESの影響を受けているということが明らかになっております。このページの四角囲みのところに書いておりますとおり,まずSESは子供の学力に一定の影響を与えるということ,それから学校の取組によりまして,そのSESの影響を縮小することができるということ。それから,保護者の働き掛けや意識付けは,SESによらず子供の学力に影響を与えるということが分かってきております。義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点,すなわち全ての子供に学力を保障していくということのためには,学力に影響を与える様々な要因のうち,例えば家庭の厳しい経済状況など不利な条件となるものを克服する取組を私どもが重点的に進めていくことが極めて重要というふうに考えております。このため,教育行政として関わることのできる分野としまして,今3つ申し上げたことの中で言えば,特に学校の取組によりSESの影響をどうやって縮小していくかということについての分析・研究を重点的に進めてきたという経緯がございます。
 1枚お戻りいただきまして,13ページ目を御覧いただければと思いますけれども,この調査におきましては,児童生徒と学校にそれぞれ質問紙調査も併せて行っておりまして,学校質問紙調査におきまして,SESそのものではないのですけれども,その代わりとなる指標としまして,各学校の就学援助率,その学校で就学援助を受けている児童生徒さんがどれぐらいいるかというその割合を毎年調査をしております。この数値と,その学校の例えば学力等とのクロス分析などを行ってきているところでございます。
 上のグラフは,毎年度の今申し上げた就学援助率ごとの学校割合の経年変化を示したものでございます。御覧いただきますとおり,5%以上というものと,もう2つ右側までの30%未満のところまでを見ていただくと,近年,この割合に属する学校が増えてきているということがお分かりになるかと思います。ちなみに,赤字で示しましたとおり,おおむね就学援助率10%以上の学校になりますと,教科の平均正答率が全国値未満となっているという状況がございまして,やはりSESの代替指標ではあるんですけれども,こちらの就学援助率と学力との関係が見てとれるということがございます。
 次に,下のグラフ,たくさんございますけれども,上の青の分が,就学援助率が低い学校群のグループです。下が,就学援助率が高い学校のグループになっておりまして,各教科の正答率なんですけれども,さらに,学校の取組としまして,課題の解決に向けて自分で考え,自分から取り組む,こういったことを重視した指導を行っているかどうかということで,1番がやっている学校から2,3,その割合が減っていくということでお示ししております。これで御覧いただきたいのは,就学援助率の高さ,低さに関わりなく,やはり学校の指導というものは教育効果に表れてきているということを示すものとして考えているということでございます。
 続きまして,15ページを御覧ください。同じく就学援助率が高いといったような教育上少し不利な条件にある学校におきまして,どういった学校の取組が効果を発揮するのかということで行われました研究をもう一つ御紹介させていただきます。こちらは,国立教育政策研究所が行った研究でございます。就学援助率が高いという条件の学校の中から,従来から全国学力・学習状況調査で課題となっている,例えば算数の割合の問題ですとか国語の引用の問題につきまして,着実な学力定着が見られている学校,かつ,例えば自己肯定感が高い生徒が多いなど,児童生徒質問紙の強い肯定の割合が特定の設問で高い,そういった学校をピックアップしまして,それらの学校に共通する学校が行っている取組,これが恐らくそういった不利な条件を克服し,学力定着に資するだろうということで取りまとめたものでございます。
 右側の下の囲みのところに書いている大きく4つあるというふうに考えております。1つ目は,まずこちら訪問した学校は,いずれも過去に学力や学習状況に大きな課題を抱えていたということでございます。それを逃げることなく直視をしているということです。その上で,明確な課題意識を持っている,それを全教職員で共有をしているということで,皆さんがそろって粘り強く同じ課題に取り組んでいる,そういう状況が見られたということでございます。
 それから,2番目としましては,やはり家庭の協力も得ながら児童生徒の成長をともに粘り強く評価をして育ちを後押ししている,そういう姿が見られたということでございます。
 3番目としましては,児童生徒のつまずきを丁寧に把握しまして,スモールステップで分かるようになるまで粘り強く取り組ませたということが見えております。
 4番目としましては,児童生徒の教え合い,学び合いを進めていく,それとともに,教職員同士の教え合い,学び合いというものも進めていって,学校全体でそうした学び合い,教え合いということの風土としていって,活気を生み出し,学校の教育活動の中に好循環が起きていたということも見えております。
 これらのうち,1つ目と3つ目,すなわち実質的なPDCAサイクルの構築と,児童生徒のつまずきを丁寧に把握するということは,これは,先ほど最初に御紹介しました全国学力・学習状況調査の目的そのものと重なるということに私どもは注目をしております。また,この国立教育政策研究所の報告書は,この調査のために20数校の学校を訪問させていただいたわけですけれども,その御協力いただいた先生方の声も少し紹介しておりまして,その先生方は,特別なことをやってきたのではないとか,あるいは凡事徹底を心掛けただけだというようなこともおっしゃっていたそうでありますけれども,これこそは必要な取組を粘り強く積み重ねてきたその結果の表れというふうに捉えているところでございます。
 最後,時間もなくなりましたので,簡単に事項だけ御紹介させていただきますけれども,3番目の結果の活用としましては,今般の新しく始まります学習指導要領の改訂におきましても,本調査から把握いたしました課題等をエビデンスとして用いまして,必要な改訂に盛り込んでいるということがございます。
 それから,活用の4つ目についてですが,私ども先ほど,問題自体が全国へのメッセージだというふうに申し上げました。この問題を参考としまして,事実,例えば都道府県立の高等学校入学者選抜におきまして,思考力などを問う問題が出題されるようになってきているところでございます。ちょっと小さくて恐縮ですが,2点ほど御紹介をさせていただいているところでございます。
 それから,調査結果活用の5番目,最後になりますけれども,教育委員会,学校におきまして調査結果などのデータを活用したPDCAサイクルが定着してきているということで,こちらも数として表れてきているところですので,御紹介をさせていただきます。
 御説明は以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。委員の皆さんから御質問,御意見等々,多々あるかというふうに思いますけれども,もう一つ,これから教育委員会からの御発表を頂き,その後に併せてお願いしたいというふうに思います。
 つきましては,これからの段取りなんですけれども,大体予定としましては,およそ50分ぐらいの時間でプレゼンテーションをお願いしたいというふうに思っております。その後,休憩を挟ませていただいて,そして後,後半に今の御説明と,それからこの後のプレゼンテーションについての質問等々ということで後半はお願いしたいというふうに思いますので,そういう心づもりでよろしくお願いいたします。
 それでは,ヒアリングをお願いしたいと思いますけども,まずは埼玉県の学力向上施策の概要について,八田課長から御説明をお願いいたします。
【八田埼玉県義務教育指導課長】 埼玉県教育局義務教育指導課長の八田と申します。本日は,教育課程部会にて埼玉県の学力向上策について御説明させていただく機会を頂きまして,まことにありがとうございます。私からは,埼玉県の学力向上施策の概要としまして,埼玉県が実施している独自の学力・学習状況調査と,それを中核とした学力向上施策について御説明を申し上げます。
 まず,内容の御説明の前に埼玉県の紹介をさせていただきます。埼玉県は63の市町村で構成されています。公立の学校数は,小学校が約800校,中学校が約400校あります。人口は約730万人で,今年度の公立小学校の児童数は約37万人,中学校の生徒数が約18万人となってございます。特にお伝えさせていただきたい点としては,埼玉県というと,とかく東京へのアクセスがよいところという性格が着目されがちですけれども,先ほど申し上げた市町村は,人口密集の大都市部から郊外の中小都市部,あるいは山間部まで多様な地域を含んでいます。そして,人口が増加している地域もあれば,人口流出に悩んでいる市町村もあります。産業基盤も,農業から工業あるいはサービス業まで多様でございまして,いわば日本の縮図というような特性を持っております。
 さて,埼玉県では5年前,平成27年から,さいたま市を除く62の市町村で県内の公立小学校4年生から中学校3年生を対象に独自の学力・学習状況調査を実施をしてございます。調査の内容は,児童生徒に対する調査として,教科に関する調査と質問紙調査を実施してございます。教科に関する調査は,この2ページ目の(1)にございますとおり,学力を測定する調査で,国語,算数・数学,英語で実施をしてございます。テストの分量は,各学年26から38題となってございまして,形式は,選択式,短答式,記述式の混合となってございます。内容としては,選択式や短答式の比率が比較的高くなってございます。また,これは先ほど今村室長からも御説明あったところですけれども,IRTという試験を用いてございまして,実際に出した問題は原則非公表となってございます。
 この学力調査の調査内容については,委託業者が原案を作るのですが,これが学校現場の実態と合うかどうか,これをチェックするために,現場の教員も入った問題検討委員会というのを私どもは実施をしてございます。その中で,学校現場に合うかどうかをたたいた上で,実際の調査内容を確定している次第でございます。
 なお,調査は紙媒体で実施をしてございます。また,調査は4月に実施をして,7月に各学校に個人結果票を返却してございます。
 一方,イの質問紙調査でございますが,86から104問,各学年によって異なりますので,それぐらいの分量で実施をしてございます。後ほど御説明する非認知能力や学習方略についてもこの質問紙調査で聞いております。このほか,学校や市町村教育委員会に対する質問紙調査も実施してございます。
 調査の特徴は,学力の伸びを継続して把握できる調査ということでございます。これにつきましては次のページを御覧いただければと思います。
 本調査は,まず1つはパネルデータという特徴があります。これは,児童生徒一人一人にひも付けをして実施してございまして,同一児童生徒の変化を継続的に把握できるという特徴となってございます。
 もう一つの特徴は,こちらはIRTというテスト理論に立脚をしてございまして,出題する全ての問題に同じ物差しで難易度設定をしてございます。これらの2つ特徴が相まりまして,児童生徒一人一人の学力の伸びを継続的に把握することができるという特徴となってございます。
 また,もう一つ特徴としまして,非認知能力や学習方略についても調査をしているという点がございます。資料の下段にございますとおり,非認知能力は自制心,自己効力感,勤勉性,やり抜く力を調査しています。また,学習方略につきましては,これはいわゆる学び方というべきものでございます。これらに係る質問項目につきましては,5ページから7ページに記載をしてございますので,後ほど御覧いただければと思います。
 4ページは,学力の伸びのイメージを示したものでございます。ページの右側を御覧いただければと存じますが,この赤線が,前の学年から上がったかで学力の伸びが見られたか,また,どの程度伸びたかを判断することができます。この図であれば,小学校5年生のときにレベル5-B,5の真ん中であった子供が,小学校6年生はレベル5-Aになり,その後,中学校3年生では9-Aまで伸びているということが読み取れます。
 少し飛びまして8ページを御覧いただければと思います。左側の図を御覧ください。この調査のコンセプトですけれども,従来は各学校なり市町村で,ある時点での学力,スナップショットとしての学力が良い,若しくは悪いということで見られがちであったこの横軸のものに対して,「学力の伸び」というものを見方として加えたというものでございます。この調査の特徴でございます。
 また,この調査の「学力の伸び」が分かるという特徴を生かしまして,学校の中のよい取組を見える化するということができます。例えば,この図の右側の表にございますけれども,去年5-1の担任が,算数で96.5%の児童生徒を伸ばしたと。5-2の担任は国語で91.8%と大きく伸ばした,こういったことが分かりますので,5-1の先生の算数で何をしていたか,あるいは5-2の先生が国語で何をしていたか,こういったよい取組というのを発掘することができ,それを共有することが可能になると。こうした材料を基に,学校や教員の授業改善のPDCAサイクルをデータに基づいて確立していこう,そういう発想でございます。
 続いて9ページを御覧いただければと思います。今御説明申し上げました県の学力・学習状況調査自体は,学力の状況,つまりファクトを把握するという調査でございます。続きまして,この調査に基づいて県で実施をしている学力向上に向けた取組につきまして御説明を申し上げます。まず,この表ですけれども,全体的に申しますと,県では,学力向上に悩みを抱えている市町村教委や学校に対して,人の配置をしたり,あるいは県教委から助言をしたりというような支援を行ってございます。例えば一番上の「未来を生き抜く人財育成学力保障スクラム事業」でございますけれども,これは先ほど今村室長からも御説明があった,家庭の経済状況等から学力に課題を抱える小学校に対して支援を行うものでございます。また,3番目の重点支援というものですけれども,これは前年度の県の学力・学習状況調査,あるいは全国の学力・学習状況調査の結果から,データに基づいて,つまり伸びが低かったり,あるいは全国学調の正答率が低かったり,そういった学校を選定をして人を付けたり,あるいは県教委から訪問・助言したりという支援を行うものでございます。
 こうした施策を実施する中で,あるいはそれに限らず私ども県教委が市町村や学校を訪問する機会が多々ございまして,昨年度で申しますと約350回訪問させていただきました。その中で,それぞれの主体に合った学力の向上施策をともに考えるということを行ってございます。例えば具体的に申しますと,全国学調の問題を学校の教員全体で解いてみてくださいといったようなことを助言・アドバイスをして,学力向上の取組を一緒に考えているという次第でございます。
 この次の10ページは,先ほどの施策の対象校で効果があった取組の例になりますので,後ほど御覧いただければと存じます。
 次に11ページでございます。こちらですけれども,埼玉県学調では毎年30万人のデータが得られますので,県ではこのデータを研究機関に提供して分析を委託し,施策の改善に活用してございます。これまでに得られた成果としましては,例えば中段の右側にありますとおり,学力の伸びをもたらす要因分析を行ってございます。ここでは,教員が主体的・対話的で深い学びや学級経営に取り組むことで,子供の非認知能力であるとか学習方略の改善を通じて学力の向上につながっている,そういう可能性が示されてございます。
 また,その下側にお椀形の図がございます。こちらでございますけれども,左側は埼玉県学調で測定をした学校の学力水準を上から順に並べた表でございます。学力が高いところがオレンジ色,低いところが赤い色という表になってございます。右側は学力の伸びで各学校を,左側のそれぞれのグラフを並べ直したものでございます。ごらんのとおり,右側はモザイクになってございます。なので,これはある時点でのピンポイントの学力が高い学校であっても,学力を伸ばしているとは限らない。逆に,学力が低い学校であっても,その後の教員の頑張りによって学力を大きく伸ばせる可能性もあるということを示唆していると考えております。
 このほか,このデータ活用の事業の中で教科教育の専門家の方の御協力を頂きながら,主体的・対話的で深い学びについて校内研修モデルを作ったりといった検討も行ってございます。
 ここから先は,各学校や市教委の後押しをする政策の施策になります。まず県では,先ほどの県の学力・学習状況調査に基づきまして,児童生徒の学力を伸ばしている教員を抽出いたしました。その先生方に授業や学級経営等でどんな取組を行っているかということをヒアリングをして,それをリーフレットにまとめてございます。こちらは県内の教員に「学力を伸ばした先生はこういった取組をしているんだ」ということで配布し,共有してございます。
 また,同様のコンセプトで,こちらは今年度の予算事業でございますけれども,先ほどのリーフレットと同様に,児童生徒の学力を伸ばしている教員を埼玉県学調に基づいて抽出いたしまして,その先生方の授業などの動画を撮影しまして,専門家の解説を付けた動画資料というものを作成しようと,今,取組を鋭意進めているところでございます。こちらは教員研修等で活用することを見込んでございます。
 続きまして14ページでございます。こちらは,各市町村教委や学校で調査結果を活用してくださいということを後押しするための施策でございます。具体的に申しますと,調査結果の活用を促すために,いろんな帳票であるとか分析支援プログラムというのを作成をしてございます。この左下の表でございますけれども,各学校における学力の伸びの状況と県の状況が比較できるもの,あるいはその下にあるグラフでございますけれども,学校や市町村教委における児童生徒の学力状況の分布,あなたの自治体は,上から順に最上位層,最下位層あるいはその間の75%,50%,25%という層がこういうふうに分布を経年でしていますということを示した帳票でございます。
 また,この調査結果なのですが,先ほど御説明したとおり,児童生徒の全員には個人結果票を返却するんですが,それとは別に,例えば指導に関する情報をほかの教員と共有する必要がある正答などについては,関係者の先生方で指導状況や学力状況を一元化して情報共有できる「コバトンのびのびシート」というものを作成してございます。これが右下の図になってございまして,左側は埼玉県学調の状況を記入する。右側に指導の状況であるとか日頃のテストの結果なんかを記入して,この児童生徒はこういう状況になっているというところを関係者間で共有していただくためのものになってございます。こうしたものを作成しまして,市町村や学校に活用を促しています。
 このほか,埼玉県学調が調査内容が非公表であることも踏まえまして,類似問題をまとめた復習シートなんかを作成し,配布をしてございます。
 以上が埼玉県学調を基にした学力施策の概要になりますけれども,ここからは取組の成果につきまして御説明申し上げます。
 まず,学力の伸びが見られた児童生徒の割合でございますけれども,(1)にございますとおり,調査結果,実施当初と今とを比較すると,割合が確実に増加してございます。
 また,(2)のところで,全国学力・学習状況調査の質問紙調査で,主体的・対話的で深い学びや良好な学級経営に関する質問がございました。こちらを埼玉県の回答状況と全国の回答状況を比較しますと,埼玉県は全国よりも高い結果が出てございます。先ほど御説明しました約350回の県教委の訪問の中で,主体的・対話的で深い学びであるとか,学級経営の重要性について御説明しておりますところを,現場で着実に理解していただけているのかなと思ってございます。
 また,(3)でございますが,学力調査を活用したPDCAの推進ということで,これも全国学力・学習状況調査の質問紙調査の項目でございますけれども,全国と県の学力調査結果を併せて分析し,教育指導の改善や指導計画への反映を行っているという質問項目に対して,よく行っていると回答した割合でございますけれども,これは全国に比べて高い結果となってございます。
 加えて,次のページの16ページにグラフを掲載してございますけれども,埼玉県は従来は全国学力・学習状況調査の先ほどの質問項目について,全国とほぼ同じようなレベルであり,26年,27年では全国と大体同じぐらいのデータとなってございます。ただ,県学調を活用して以降の5年間で,こうした調査,県学調あるいは全国学調を活用して学力向上に生かそうという取組は全国を上回るペースで進んできているというふうに思ってございます。
 最後に,今後の展開ということで御説明をさせていただきます。
 まず,こちらは重層的な支援と記載をしてございますけれども,左側の総合的な支援というところをまず御覧いただければと思います。よい取組を共有するであるとか,あるいは調査データの分析結果を普及をして活用を促していくといった,全県で引き続き展開するべき取組については,総合的な支援として全県で引き続き実施をしていきたいと考えてございます。また,伸び悩みを抱える市町村や学校に対しては,右側の重点的な支援ということで徹底的に支援をしていきたいということで考えてございます。こうした総合的な支援というのと重点的な支援という2つの柱で重層的に支援をするという方向性で,今後の全体的な方向性を考えてございます。
 また,埼玉県学調を中核とした学力向上施策の基本的な枠組みというのは先ほど申し上げた重層的支援という考え方で維持をしながら,新たな挑戦にも取り組んでいきたいと考えてございます。こちらは今年度の予算事業でございまして,AIを活用した学びの実践研究事業としてございますけれども,県学調のビックデータを活用しながら,かつ学校保有データも分析を進めて,そこから出てきたデータをAIにより分析させることで,個に応じた支援,いわゆるアダプティブラーニングの実現を図ろうとするという取組を開始してございます。4年間のプロジェクトで,個々の子供に応じた,この下にございますアドバイスシートであるとか学習教材,あるいは進路支援シートを成果物として作っていきたいというふうに考えてございます。
 また,この調査の今後の展開の可能性についてということで,実施自治体の拡大にも私どもは取り組んでございます。昨年度あたりから様々な自治体がこの調査に関心を持っていただいておりまして,昨年度からは広島県の福山市であるとか福島県の郡山市,西会津町がこの調査を共同実施をしてございます。また,本年度からは福島県全域でも実施してございまして,昨年度には連携協力協定を締結したところでございます。
 加えまして,市町村レベルにおきましても,この図の右側にございますとおり,連携に向けた取組が見られまして,本県の戸田市,戸ヶ﨑教育長が本日いらっしゃってございますけれども,戸田市と西会津町では,昨年6月に教育データ分析のための協定を締結をされております。こういった他県展開を進めてございます。こういった展開が進むことで,教育委員会同士の連携や共有の促進,あるいは転校・転入があった場合も継続性のある指導というのが可能になるだろうというふうに考えてございます。
 最後となりますけれども,当県もこういった取組を試行錯誤しながら学力向上に取り組んでございます。今が完成形ではなくて,課題もあり発展途上の取組ではありますので,引き続き改善・充実を図っていきたいと考えてございます。
 私からの御説明は以上となります。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 では続きまして,戸田市における学力向上施策について,戸ヶ﨑委員からお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 御紹介いただきました戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。私の方は,小さな自治体の拙い実践ということで,気軽に聞いていただければと思います。お手元にある資料以外にも,画面上で何枚か補足資料がありますので,画面の方を見ながら聞いていただけるとありがたいと思います。
 まず,画面のように,教育長を拝命して4年半経過しました。現在の戸田市の状況は,少子高齢化の日本の状況の中で,とにかく人口が増え続けていて,教室不足が深刻な状況です。うらやましいと言われることもありますが,何事もほどほどでないと対応に苦慮します。それから,埼玉都民が多くて,田んぼも畑も名物もありません。外国人の増加,さらには高い就学援助率ということで,様々日本の教育課題が凝縮されているのではないかと思います。
 次に少し前の戸田市の教育ですが,5年,6年前ぐらいは,学力や体力に加え生徒指導上の課題が山積しておりまして,荒れている学校もあり,戸田市を希望する教員が少ないという状況がございました。したがって,教育長を拝命して,まずとにかくやらなければならないことは,生徒指導と学級経営の充実でした。そのためにはその王道というのはまさに学力向上にあるというところから教育改革がスタートしている,そういうことでお話を聞いていただければと思います。
 そこで,次にこの画面ですが,校長のリーダーシップの発揮と素人の目から見ても分かる授業改善を強く各学校にお願いしました。
 先ほど今村室長さんからもありましたが,いわゆるSESだとかエフェクティブスクールにおける地道な取組といったことについても早速取り組んでもらいましたが,将来の見通しや夢がなくモチベーションがいま一歩であったという状況がございます。
 このスライドは議会での一般質問等のときに述べたことですが,未来を展望した教育改革を推進していく4つの柱,つまりこの4年間貫いてきた本市の教育改革のコンセプトです。人間ならではの感性や創造性を伸ばして,「AIでは代替できない能力」や,「AIを活用できる能力」,つまり本市では, 21世紀型,汎用的,また非認知,この3つのスキルをしっかりと育成していこうとしています。その育成に向けては,戸田市の現状を鑑みたときに,地元の力の利用が厳しい状況もあるということがあって,広く産官学と連携した知のリソースを活用しています。それも,ファーストペンギンを目指すことで,安価で効率的で最先端で質の高い教育が提供されるはずだと考え,現在に続いているという状況がございます。
 それを学校の中にどう落とし込んでいったらいいかということで,まずは社会に開かれた教育課程と,学び合う職員室,これを実現してもらうことにしました。つまり,未来を見据えた教育の実現を目指すということです。それからまた,画面にありますように,変化する社会の動きを教室の中に入れるために,産官学と連携した様々な学び等のメニューを教育委員会としても用意をしてきました。そして学校は,学年や教科を横断して,根本にさかのぼった議論をしてもらっています。現在も,子供たちが将来出ていく社会を知ろうとしないのは極めて不誠実なのではないかということを,学校現場に強調しているところです。
 これは教育改革の視点の課題として私が認識している3つの柱です。1つ目は,3つの「つ」ということで,「続ける」ことが難しい,「つながり」が弱い,また,「使われない」ので効率性や生産性が低いということです。それから二つ目が,経験・勘・気合い,これは3Kと呼んでいますけれども,これから脱して,客観的な根拠に基づいた教育へ船出をしていくべきなのではないかということです。三つ目ですけれども,教室や授業を科学するということです。画面にあるように,今,教員の急速な世代交代が進行していまして,採用試験の倍率も低下をしています。今後はすぐれた教員の経験や勘,また匠の指導技術,これをできれば言語化,定量化したりして,若手に効率的に伝承していくべきではないかと考えています。また,教員の研修そのものも一律ではなく個別最適化するべきではないかと思っています。そのために,最先端の技術やデータサイエンスを教室の中に導入するなどして,教室や授業を科学していきたいと考えていますし,これまで様々なトライもしてきました。
 この画面は,盛んに言われているSociety5.0の時代における教育展望ということで,大きく2つのものが必要なのではないかと考えています。1つは,基礎学力等の習得の効率化です。2つ目が課題発見・解決力,いわゆる無から有を生むという創造力などを伸ばすプログラム,簡単に言えばPBLとかSTEAM教育などの充実も今後は必要になってくると考えています。
 その際に,よく過去が否定されることがあるのですが,忘れてならないのは,この青字で書いてあるような,一言で言うと,これまでの日本の教育のよさや強みを継承していくということです。継往開来という言葉が私は好きなのですけれども,こういうことをしっかりと押さえてやっていかないといけないと思っています。今日の日本の発展はこれまでの教育の成果としてエビデンスで示されているわけです。先程本市は産官学と連携していると話しましたけれども,このスライドのように約70近い産官学と様々な連携をして教育改革を進めています。
 その次のスライドですけれども,学力向上に向けたカリキュラム・マネジメントということで,特に4つを現在学校現場や産官学と共有しながらやっています。まず1つは,インプットとして,管理職だけでなく全ての教職員が参画するというこです。2つ目は,教科等を学ぶ本質的な意義とか,また教科等の横断的な視点で単元等を組織的に配列すべきだろうということです。3つ目が,これまでの授業場面でスタンダード,つまり型ということで,板書やノート指導など基礎的指導技術が問われてきたわけですけれども,これを守・破・離ということで,マニュアル化,コピペから脱して教師の指導観や主体性を一層大切にする時期に来ているのではないかということで今模索をしています。それから4つ目が,学びの効果をエビデンスに基づいて評価をしていくということで,アウトプットの部分ではこのEBPMということが1つキーになるのだろうと考えています。
 また,よく多くの産官学と連携ができている訳を聞かれることが多いのですけれども,大きく4つあります。まずは,真の協働者となって自律的な教育意志を持ち,単なるステークホルダーにはならないということが1番目です。それから2つ目が,先ほどありました埼玉県学調と市内の教師を対象とした指導方法等に関する質問紙調査というのを実施していて,そこに青で書いてある,どのような教師の指導が成果を上げたのかとか,そういったものが定量的に把握できるように,基盤作りをしているということです。それから3つ目が,学校や教室を実証の場,私の造語でClass Labと呼んでいますけれども,実験では失敗があっては困りますので,あくまでも実証の場として積極的に提供して成果を還元するということです。4つ目が積極的な情報発信ということで,本市では教育委員,教育委員会事務局,校長,教頭全てがフェイスブックでつながっています。私自身も毎日取組を発信しています。
 これが,お手元にA3の大きな資料も付いていますけれども,各学校と教育委員会また企業等と共有している教育改革の戸田市のロジックモデルです。真ん中のところをちょっと強調したのが画面にありますけれども,取組の2の,いろいろ書いてあるものが全てこの授業力の向上に結び付くという構成をして,教育改革の取組を教室での学びに直結させるということがこのロジックモデルの売りになっています。
 このスライドは学力向上の取組において, ICTをマストアイテム化していきたいということで,まずは,画面にあるように,2022年度までの文科省で示された整備計画をこの4年間で達成しました。しかし,現状に当然満足しているわけではなくて,もっともっと充実させていかなくてはいけないのではないかと考えているところです。
 このスライドが先ほどから言っている産官学と連携した本市の9年間の特色あるカリキュラムで,戸田市PEERカリキュラムといいます。プログラミング,英語,経済教育,リーディング・スキルと,この4つの英語の頭文字を取ったものになっています。
 まず本日は,その中でも学力向上に直結するということで,リーディング・スキル,以下RSと呼びますけれども,これに特化してお話を申し上げたいと思います。RSについて27年度より国立情報学研究所と共同研究を行っています。新井紀子教授等の指導を受けながら,子供のRSを育むための授業の在り方等を研究しています。リーディング・スキル・テスト,以下,RSTと呼びますけれども,教師によるこの作問,さらには教師自身のRSTの受験,また,新井先生御自身が考案された授業の実施など,様々な取組については,私が別に宣伝するわけではないんですが,この2冊の本にまとめられて紹介されています。
 本市でRSTをやっている,その目指すものは何かというと,ここに書いてあるとおりで,全ての子供が中学校卒業段階で教科書を正しく読めるようにするということが一つの大きな目標となっています。この受検状況ですけれども,29年度より小学校6年から中学校3年まで全ての児童生徒が,いわゆるタブレットとオンラインのCBTによって受検をしています。
 このスライドは戸田市の教育改革を支える屋台骨となっていて,誇り,宝と私は思っていますけれども,戸田市立教育センターの教科等研究グループです。市内教職員の約30%がそこに関わっています。その研究員の中で,27,28年度は自主的に約140名が参加して教科書の問題を中心としてRSTの問題作りを行いました。また,そのRSの専門研修では,教師自身のRSTの受験,また,作問演習などを通して授業作りの在り方を研究していったところであります。
 昨年度,市内の教師を参集してRS向上授業研究会というものを実施しました。これまで3回行いましたが,いずれも新井先生が考案された授業を学校で実施してみて,その後,授業作りのポイントについて市内の全小中学校から参加した教師,また指導主事等で協議をしてきました。特に戸田市の子供たちが苦手としているスキルを育むための授業として取り組むことで,非常にある価値ある研究会となったと思っています。
 この授業研究会では,研究授業をしたクラスのすべての子供たちの埼玉県学調の学力のレベルや伸び,さらにRSTの結果,これらを可視化して実際の授業を参観しました。このようなデータを持ちながら授業を参観しているので,一人一人の子供が何につまずいているのか,成績が向上しないのか,成績がよくても今後悩みそうな子供というのはどのような子供なのか,その子に効果的な指導方法は何かと明確な子供ベースの観点から授業研究が行われ,価値があったと思っています。
 これが埼玉県学調の2年生の数学とRSTの結果,相関を調べたものを図に表したものです。横軸がRSTの結果で,縦軸が埼玉県学調の結果ということで,赤く描いてある部分,つまり,第一象限の部分は何ら問題はありません。学力も高く,RSTの結果も高くなっています。逆に第二象限の青く描いてある部分にいる子供たち,つまり, 学力テストは高いのだけれども,RSTの結果は低いという子供が少なからず出現します。これは何なんだろうということで今研究をしています。恐らく将来つまずいてしまう可能性があり,これがうまく授業改善等で取り組めれば,青が赤に行きますから,学力も更に効果的に向上するのではないかと考えています。
 次が具体的にRS向上のために行っている取組です。それぞれ本当に地道な取組なのですけども,子供たちのRSが働くような学習に努めています。
 このスライドは一部の学校の独自の取組で,子供が文章を読んだり,グラフや表を解釈したりしながら考え,判断するという場面を意図的・計画的に取り入れた授業実践です。特にRSの観点の一つであるイメージ同定というのがあるのですが,これを育むために,こちらは全国学調の問題を授業者が有効に活用しながらアレンジして出題をしています。アクティブラーニングの視点から授業改善に日々取り組んでいく中で,言語活動が形式的なものとなっている授業も正直見受けられます。これを真の言語活動が充実するように教材開発や,発問の工夫をしていく,これを私は「問うべきを問う」と言っているのですけれども,そのようなことや,RS向上の視点から授業改善をすればするほどアクティブラーニングというのはRSが支えているということを感じております。
 これもお手元に,画面では見にくいので,A3の資料としてありますが,現在,本市で行っているEBPMの取組をまとめたものでございます。産官学と連携して全国学調や埼玉県学調,さらにRST等の結果を総合的に活用した共同研究を進めています。縦で描いてある部分で,例えばIGSやKDDIとの非認知能力調査の研究や筑波大学との学級風土の研究などは,様々,知のリソースを生かしながら共同研究を進めています。
 この6月にそういったEBPMを推進していくために,専門職から成る教育政策シンクタンクというものを立ち上げました。このシンクタンクの中には,市で独自採用した,教育行政のプロと呼んでいますが,その市の職員を中心として研究を進めています,今後は施策に応じて教育工学とか医療工学など様々な専門的知見を結集したアドバイザリーボードを組織化するなどしてさらに研究を推進していきたいと思っています。変わったところではデータの活用の際に,個人情報を適切に扱うために教育委員会ロイヤーなるものも来年度から導入していく予定でおります。
 こちらは,文科省の28年,29年度の委託事業により作成したアクティブラーニングの指導用ルーブリックです。授業改善の柱として,本市100名の教師による授業分析記録を基に独自に作成したものです。このルーブリックを授業改善の基本的な指標として,現在も研究授業ですとか校内研修で十分に活用しています。これは,そのルーブリックを基に作った戸田型の授業改善モデルです。これもお手元にA3であると思います。これは埼玉県学調による学力の伸びとルーブリックの項目を盛り込んだ教員調査,これの関連付けを分析した,一言で言うと量的なエビデンスと,また研究授業等における評価シートをデータ分析したいわゆる質的なエビデンス,これらを関連しながら効果的な指導方法の在り方を研究しています。それぞれの部分で簡単に述べていきます。まず,左上のところですが,これは,本市における学力向上プランです。これは,全国どこの学校でも作っていると思いますが,本市の場合には,授業力向上プランと埼玉県学調の分析シートを併せて学力向上プランと呼び,各学年ごとに共通のシートへ県学調の結果分析をまとめているものです。それらの実態分析を基にして,子供たちに育みたい資質・能力,現在の課題,その手だてを授業力向上プランとしてまとめています。
 本市では,保護者や地域に向けた学校便り等にもこの図を載せながら理解啓発を図っているということも一つの特色かと思います。
 次に,その下のすぐれた指導法の分析ということで,これにつきましては,本市独自のものです。青の枠で囲ってある部分というのは,グラフの分散が大変大きくなっています。伸びている子が少ないクラスというのは,往々にしてこのような傾向があります。また,伸びている子が多いというのは,赤で囲ってあるように,分散が小さくなっています。上の方だけを見ると,必ずしも高いわけではないのですが,そういう特徴があって,これらを受けて,市内で特に学力を伸ばしている先生方36名を抽出し,指導主事が付き切りで授業参観又は聞き取り調査をするなどして,何が子供を伸ばしているのかということを調査しました。一言で言うとグッドプラクティスとしてまとめたものです。色がちょっと変わっている部分で69と書いてあるところですけれども,授業作りにおいて特に,目標や評価規準の設定を明確にして授業を行っている教師というのは間違いなく学力を伸ばしているということがエビデンスベースで本市なりに明確になってきたということがあります。
 次のところのこの緑色の部分ですけれども,研究授業の部分ということで,盛んに全国どこでも研究授業が行われているわけですけれども,本市の授業研究会の特色というのは,指導案作りの段階からみんなで関わるということと,抽出児童生徒の変容など具体的な事実に基づく協議などを行っています。単なる授業の雰囲気や感想などの根拠のない賞賛というのですか,そういったものではなくて,子供の具体的変容に基づいて,発問とか板書とか支援といった教師の働き掛けについて熟議をするというようなことが本市の特色かなと思っています。
 最後に右下に教員調査ということで,これは先ほども触れましたけれども,本市では慶応義塾大学などとの共同研究において,教師等への質問紙調査を行っています。昨年度は,先ほど申し上げましたルーブリックに基づいたものをベースに質問紙を作ったため,まだ結果は出てきていないのですけども,本年度出てくる調査結果は,あのルーブリックとひも付いているということで,指導の効果が明らかに反映されているのではないかということで楽しみにしているところです。
 こちらは全国学調の結果ですけれども,大事なことは,埼玉県学調と全国学調のそれぞれの役割をしっかりと踏まえて授業改善等を行っていかなくてはいけないのだろうと思っています。これは,全国学調の結果を日々の授業改善にどう生かしていったらよいのかということで,一つは,教師が数字に強くなるというか,様々なデータを分析できる力を育成していこうということです。市独自でデータ活用リテラシー研修を実施したり,また,隣のS-P表を理解するための研修会も実施したりしています。また,国研から出されている報告書や授業アイデア例というのを活用した研修も行っています。各学校の課題を教科書の関係する単元に付箋を張ることで,教師が意識しながら授業ができるようにするなど,地道な取組も大切にしています。また今後,アイデア例という右下ですけれども,それを活用した授業を行う際に,どのように具体的に改善をするべきなのかといった研修も各学校で実施していこうと考えています。
 ちょっと時間をオーバーしましたけれども,以上で終わりたいと思います。
【天笠部会長】 それでは最後になりますけれども,春日市におけるコミュニティ・スクールとしての学力向上に関する取組について,清尾教頭先生,よろしくお願いいたします。
【清尾春日西中学校教頭】 失礼します。御紹介いただきました清尾といいます。春日市立春日西中学校の教頭をさせていただいております。今回,このような発表の場を頂きまして,本当にありがとうございます。
 平成17年度より春日市はコミュニティ・スクールを導入しておりますが,その効果の一端として学力向上に家庭や地域を巻き込む,協働しながら学力向上にどうつなげているかをお話しできたらなと考えています。
 本日お話しする内容は次のとおりになります。
 まず,春日市について紹介させていただきます。春日市は,福岡都市圏の中央部に位置しておりまして,福岡市の中心部から10キロ圏内と,地理的好条件にあります。古くは福岡市から出土した金印にも記された奴国の中心地でもありまして,市内に多くの遺跡が出土して,自然豊かな地域でもあります。人口は約11万人の住宅都市で,人口密度は九州では那覇市に次いで2位,全国では8位と,かなり都市部になります。1年間に約6,500人の転出入がありますので,どちらかというといろいろな他県から流入があるような都市になります。
 春日市には12の小学校,6つの中学校があり,小中連携を図りやすくするために,1つの中学校に2つの小学校から上がるという6つの中学校ブロックで校区編成をしております。学力・体力の全国調査につきましては,どちらも全国平均を上回っている状況です。本市の特徴的なこととしましては,多くの学校が2学期制を敷いているというところです。
 春日市のコミュニティ・スクール,先ほど申し上げたとおり,平成17年に市内3校から導入が始まりまして,5年間で全18校に導入が終わっております。現在は充実期を迎えているところです。
 学力についてですけれども,学校の力だけではなかなか進まないところです。やっぱり家庭の力,地域の力,この3つの力の相乗,三者の共育で子供たちが育つと考えています。その基盤形成,基盤・環境を作る仕組みこそがコミュニティ・スクールだと考えています。この仕組みによって,本市の子供たちは春日市の一員として生きる力と市民性を育み,ひいては協働のまちづくりにつなげていっています。教育委員会としては,各学校のパートナーとして,学校運営協議会の委員とか,それからオブザーバーとして参加して適宜助言を行っています。
 コミュニティ・スクール導入のいかんにかかわらず,地域は存在していますが,地域社会として形成していくためには,学力向上など,ある目的に向かって人と人とがつながる必要があると考えています。春日市におけるコミュニティ・スクールでは,各学校ごとに学校運営協議会を置いて,校区単位でその教育を目的とした地域社会を作っています。その地域社会を作るために,学校・家庭・地域との双方向の関係の構築が大切だと考えています。
 コミュニティ・スクール導入以前は,家庭や地域から支援を学校が受けるということが中心に行われてきましたけれども,コミュニティ・スクール導入後は,学校から家庭や地域への貢献活動,また,三者による協働活動を重視しています。学校への支援活動,三者による共同活動,地域への貢献活動によって,学校・家庭・地域がウイン・ウインの関係になり,初めて人と人とがつながり,地域社会が形成されていくと考えています。
 この双方向の関係の中で,各学校においては,学校運営協議会やその下部組織である実働組織,このスライドの中で言うと学校の代表者とか家庭の代表者,地域の代表者が集まって話し合って,子供たちにどんな力を付けていけばいいのかなどを話し合っています。
 スクリーンは,H小学校の例で4つの実働組織があります。学びについて中心に話し合うところ,それから心の育成,体・健康面の育成,安全・安心といった,実働組織がおかれて,三者連携の具体的な活動が各学校の学校経営構想にも位置付けられています。
 次の資料は,市内のK小学校の経営構想図で,各学校それぞれ形は違いますけれども,このような三者連携,学校・家庭・地域の取組が学校経営構想にきちんと位置付けられているのが特徴になります。
 まず,学力向上を視点とした学校・家庭・地域の役割について説明いたします。さきにも述べましたように,コミュニティ・スクールを推進していく上で,また,学力向上を図るためには,学校・家庭・地域の三者がそれぞれの役割を分担しながら進めていくことが大切だと考えています。その三者の役割は次のように考えています。
 家庭の役割は,子育ての主体として考え,家庭学習の習慣作り,学習支援への参画などが重要だと考えています。
 地域の役割は,地域作りの主体として考え,地域での学びの場の提供や,学習支援への参画だと思います。
 学校の役割は,教育の主体として考え,基礎基本の学びの徹底などが重要だと考えています。
 それではまず,子育ての主体としての取組について説明いたします。まず,子育ての主体ですが,学習習慣作りについて説明いたします。本市では,コミュニティ・スクールとして中学校ブロックでも共通目標を設定し,小中が共通理解しながら推進しています。生活習慣,学習習慣作り,家庭教育についても小・中9年間を通して共通理解を図りながら進めています。今,スクリーンで御覧いただいているのは,中学校ブロックごとに家庭学習の在り方,進め方について作成,配布されているリーフレットです。このリーフレットの中には,家庭学習の時間の設定や,始める前の環境の準備,学習の進め方自体などが提示されていまして,家庭と学校とが共通理解を図りながら,家庭学習を進めています。
 次に,学習習慣作りのもう一つの例ですが,ほとんどの小学校ではスクリーンの左側にあるような独自のノートを作成しています。連絡帳に代わるものですが,毎日の日記,学習の記録などを書き込むことができるようになっています。各家庭では学校での学習の様子をこのノートを通して知ることができるようになっています。また,家庭学習の記録になっていますので,先ほど申し上げた, 学校の代表者,家庭の代表者が集まる実働組織において,家庭学習の習慣が定着しているかどうかをこのノートの記録を基に集計している学校もあります。
 右の写真は,学習の在り方,定着度などを調べて保護者全体に成果を発表している様子です。
 次は,学習支援への参画についてです。具体的な学習の支援として,様々な教科に保護者が入り込んで支援をしていただいています。主に生活科とか社会科とか,時にはゲストティーチャーとして指導者になることもあります。また,学習の見守りをするなどして参画をしていただいています。また,右側の写真は,習熟度別の算数科学習においての丸付けの補助を行うことで,教師,担任の方は個別に支援が必要な児童生徒にきめ細やかな指導が可能になっています。
 次に,地域作りの主体としての地域の取組について説明いたします。まず,学びの場の提供についてです。夏休みに学習の場を提供している地域があります。左側の写真は,小学生に公民館を開放して,クーラーの効いている涼しい場所で友達と一緒に宿題に取り組んでいます。そこに中学生のボランティアが入ることもあります。右側は中学校に公民館を開放しているところです。地域の高校生や大学生ボランティア,また中学校教員が回って指導しているところもあります。なかなか学習習慣が身に付いていない中学生にとっては,友達と一緒に学ぶという場で学習習慣作りにつながっています。
 また,学習支援への参画についてですが,地域の方がゲストティーチャーとして支援に参画をしています。左側は生活科のおもちゃ作りの様子です。右側は,中学校において地域学校協働本部が中心となって,年間を通して土曜日の自主学習会,土曜星雲塾と名前が付いていますけれども,これを運営・支援している様子です。地域学校協働本部が中学生に教えてくださるボランティアを募って,地域のいろいろな方が入っています。近隣の高校生や地域のおじいちゃん,おばあちゃんたちが先生になって,毎回15名程度教えに来ていただいています。
 学校の教育の主体としての取組について説明します。ここから少し保護者,地域と離れますが,少し取組について紹介します。各小中学校ではスクリーンのような学力向上プランを作成し,PDCAサイクルで改善を図っているところです。本市は2学期制の学校がほとんどですので,このPDCAサイクルを年間で2サイクル回している学校がほとんどになります。
 続いて,コミュニティ・スクールの強みを生かして地域の人・物・事を活用した教育活動を展開しています。本市では地域連携カリキュラムとして4つの視点で整理してカリキュラムを作成しています。地域人材を生かした「地域を生かす」,地域の歴史・伝統,「地域を学ぶ」,学んだことを基に安全マップ作りや貢献活動をするなどといった「地域に還す」,それから保護者,地域の方と一緒に学ぶ「地域と学ぶ」カリキュラムなど,基礎基本の学力向上につなげています。
 こちらは教育委員会がまとめて冊子として配布しているものです。先ほどの4つの視点が分かるようになっています。学年や教科,それから単元,内容等が一覧表になっています。
 各学校で取り組んでいる事例も紹介しておきます。写真は,中学校の放課後自主学習です。6つの中学校どこも行っているものですが,職員室の前に机を並べて放課後,学習している様子です。
 また,チャレンジ検定といって,長期の休み明けに小学校において定着度を測るような検定試験をやっていたり,それから,6時間目に全職員で6年生の学習補助に当たるような取組も行っています。
 また,委員会として行っている学力向上の支援として,小学校放課後補充学習「まなびや春日」これは小学3年生を対象にしたものです。次のスライドに少し載せていますが,平日の放課後,4年生や6年生がまだ勉強している時間の裏で3年生に対する学習補助を行っています。希望制になりますけれども,市の方で配置している教育相談員という不登校支援をしている者が主務者となって行っています。
 また,わくわく進級テストという小学三,四年生の学習の定着度を測るテストを市の方で作成して行っています。
 最後に,知のチャレンジKASUGAという小学五,六年生を対象にした取組です。これは学習意欲を喚起するための取組で,国語,算数の難問にチャレンジするということで,市内の1つの小学校を会場にして,全市に募集をかけ土曜日に実施しているのですが,大人の参加も可能としており,写真のように地域の方など大人も頭を抱えながら難問にチャレンジするような姿が見られます。
 また,教育委員会としては,人的な支援等も行っています。スクリーンにあるような,小学6年生を30人以下学級,学校と教育委員会との事務手続きを簡素化したりといった,支援を行っています。
 最後に,春日市の取組の成果について説明いたします。学校・家庭・地域がそれぞれ主体となり,学力向上を推進することによって少しずつ効果が見えてきています。コミュニティ・スクールを導入して三者による目標共有を図って,学校・家庭・地域が連携しながら学力向上に取り組むことで,児童生徒の学びの場が学校だけではなく地域にも広がっていく,また,先生,教員以外の者が入ることによって指導者の多様な広がり,最後に,様々な支援を受けることによって教師の負担軽減にもつながるというのが効果かなと考えています。
 この成果によって,本市の全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙の結果を見てみると,学校以外での学習時間において,小学校,中学校ともに家庭学習の時間が増えているというような結果になっています。
 また,本市の全国学力・学習状況調査の結果,左は小学校の算数,右側は中学校の数学になりますが,コミュニティ・スクールを導入してから,徐々にではありますけれども,学力の向上が図られています。学校・家庭・地域の三者による教育活動が着実に成果を上げていると思います。これがコミュニティ・スクール導入だけの要因とは限りませんけれども,効果は表れているのではないかなと思っています。
 以上で春日市のコミュニティ・スクールとしての学力向上に関する取組について発表を終わります。ありがとうございました。
【天笠部会長】 3人の方,プレゼンテーションをどうもありがとうございました。
 それでは,ここから約15分休憩を挟みたいと思います。あそこの時計で,今15分をちょっと過ぎつつありますけども,11時30分から再開をさせていただきたいというふうに思います。ということで,しばらく休憩の時間にしたいと思います。この間,よろしかったら教科書も手に取っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【天笠部会長】 それでは再開させていただきたいと思います。
 先ほどそれぞれの御説明等々を受けまして,委員の皆様から御意見,御質問等々をお願いしたいと思います。進め方については,いつものとおり,よろしかったらそれぞれ名札を立てていただければと思います。
 それではまず,根津委員,続いて橋本委員ということでお願いします。
【根津委員】 3つの貴重な事例を興味深く拝聴いたしました。どうもありがとうございます。
事実確認ということなんですけれども,中学受験の比率と経年変化といいますか,そのあたりをどういうふうに把握されているかというのが1つ。
 これは埼玉県教委さんの方へのお尋ねになるんですけれども,試験問題の委託といいますか,見ようによっては外注という言い方になるかもしれないですけれども,その予算規模ですね,これは分析まで含めるとかなりの額になるのかなという気もするんですが,そのあたりをお示しいただける範囲でというふうに思います。
 以上です。
【天笠部会長】 ちょっと一問一答はあれかと思いますので,後にそれについてのことを応答していただくような形で御了解いただければというふうに思います。
 ということで,橋本委員,お願いいたします。
【橋本委員】 本当に貴重な報告を丁寧に聞かせていただきましてありがとうございました。これは埼玉県さんにまず3つほどお聞きしたいんですけれども,今もありましたが,県学調を業者に委託して実施されているということですので,当然その予算規模というのはまず第一に気になるところです。その他のことも含めて何か教えていただけることがあれば,教えていただきたいと思います。
 それから,全国学調の報告も先にしていただいたんですけれども,全国学調と県学調の役割のすみ分けというのですか,それをどんなふうにお考えになってどういうふうにされているか。市町村の方に何かそういったことも示されているのかといった点が2点目です。
 それから3点目ですけれども,県学調の結果の活用の仕方ということで,独自の事業などもされて,県の方からもかなり訪問されて指導なども実施されているということですけれども,先ほどの戸田市さんの報告からすると,かなり各市町の方の判断でもいろんな取組がされているのかなと思います。県として,かなり詳細な分析をなさっていますので,それを反映して研修を行うとか,あるいは最終的には個々の先生の授業力なんかがこれでかなり見えてくると思いますが,そういったことを前提にして,何か人事施策に反映するといったことまでされているのか,以上についてお聞きしたいと思います。
 それから,もう1点,これは文部科学省さんの方にお聞きしたいんですけれども,国のお立場で埼玉県の学調をどんなふうに捉えていらっしゃるかということが1つです。本日の報告を聞かせていただいていても,県の学調において個々の生徒の伸びを継続して把握していけるということは大変すぐれた点かなと思っております。しかしながら,こうした調査をそれぞれの県が個別にやっていくというのはかなり負担が重い。そういう中で,これは今後の全国学調の在り方ということにつながるのかもしれませんけれども,こうした埼玉県さん等の学調が1つのまた別な在り方だと思いますが,こうしたものを踏まえて今後どのような展望を持っていらっしゃるか,これをお聞きしたいと思います。
 以上です。
【天笠部会長】 それでは,今名札が立っておりますので,しばらく名札が立っている委員の方の御質問等々をお願いしたいと思いますので,今,今野委員,喜名委員,川越委員,そして秋田委員,そして東川委員,それから篠原委員,そして若江委員という,この順でいきたいと思うんですけど,途中どこかで少し切らせていただいて,先ほど来のそれをやりとりしたいと思うんですけれども,それではしばらく進めていただければと思いますので,今野委員,お願いいたします。
【今野委員】 質問ではございませんが,3つの事例,貴重な取組を拝聴させていただきました。さきに全国学テの状況調査についての御説明がありまして,15ページに成果の上がった学校に共通する取組というのがまとめてありました。その中で結び付けて聞かせていただきました。戸田市教育委員会教育長の戸ヶ﨑先生からは,PDCAサイクルとか,つまずきを丁寧に,質問ステップ,それから4番の先生方の研修をしっかりと行うというようなところ,それからコミュニティ・スクールでは2番との関連ということで,これを具体的にお示しいただいて大変参考になりました。
 お願いというか感想になるんですけれども,特にこの15ページの成果の上がった学校に共通する取組の3番の,やっぱり児童生徒のつまずきを丁寧にといったようなところでは,TTや少人数指導等をする必要がありますし,通常学級にいる子供たちの中にも手厚い指導が必要な子供たちがおりますので,加配等の手当て等もこれまで以上に必要ではないかなというふうに思っております。
 それから,戸田市教育長の戸ヶ﨑先生のお話の中に,自分の将来を見通して,変化する社会等の動きを教室に入れたといったようなお話がございました。それから,教科等の学ぶ本質的意義を考えるといったようなお話がございまして,子供たちが何のために学ぶのかといったような志のようなところを少し高めていくことも必要ではないかなというふうに思います。志が高まれば学習意欲が高まりますし,そして学力が高まる。また,学力が高まれば,様々な知識や考え方を吸収して志が高まっていくのではないかなと,両方から学力が高まっていくのではないかなというふうに思いました。感想めいたことでございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。喜名委員,お願いいたします。
【喜名委員】 3つの御報告,本当にありがとうございました。特に埼玉県の学力調査は,全国的にも注目されているところでありまして,詳細を伺うことができて本当によかったと思います。また,戸田市の御報告は,まさにベストプラクティスでありますので,何かもっと広げて各自治体が取り入れていったらありがたいなというふうに思ったところです。
 私からは,全国学力・学習状況調査についてお話し申し上げたいと思います。実施されて12年ということで,先ほど橋本先生からもお話ありましたけれども,そろそろ総括をしたり方向性を考えたりする時期に来ているのではないかなと思っている次第です。御報告の中にもありましたけれども,この全国学力・学習状況調査が行われることで,保護者も,そして教育委員会も,学校も,この学力というものにすごく目を向けてきて,そのことが学力を向上させるエネルギーにもなりましたし,それから,それぞれの公教育政策が学力の底上げも行われ,ここ最近では格差も少なくなってきたという意味では,大変に効果があったのだというふうにも思います。ただ,全国連合小学校長会でもいろいろ調査をする中で,教育施策の多くがこの学力調査の平均点を上げるための施策に走っているということがあります。そしてもっと言えば,この全国学力・学習状況調査という名称で行うことで,先ほどの御説明にも,趣旨の中にも本来書いてありました,あくまでも学力の一つの側面であり一部であるということをどうも忘れてしまって,これこそが学力なんだと,この点数を上げることが学力向上になるんだというふうに多くの自治体が動いてしまっていることがあります。
 そのために,3割以上の学校が何らかの準備をしています。その準備というのも,授業改善ということもそうなんですけれども,事前にテストをする,過去問を分析して同じような問題を何回もやってみるとか,テスト対策,傾向と対策に走っている,これが本来の姿なのか。このことが,例えば小学校で言えば多くの時間をこのことに割いてしまって,本来やらなければいけないことがないがしろになっていないかという反省も,出ているところであります。
 改めて,この全国学力・学習状況調査の功罪というのでしょうか,総括をしていただいて,方向を変えていく必要もあるのではないかなと思っています。
 その一つが,本日戸ヶ﨑先生からもお話がありました読解力,リーディングスキルについて,基盤的学力として課題があると言われているのであれば,それが本当にどういう状況なのかということをきちんと調べる必要もありますでしょうし,ある程度ここまでできてほしいというルーブリックなどを示して,そういう調査をしていく,そうすると,それに向けて授業も変わっていくでしょうし,教材も生まれてくるのではないかなというふうに思っています。
 繰り返しますけど,そろそろいろいろ転換をしていく,特に新しい学習指導要領は小学校は来年からです。今回A,Bがなくなったということ,統一されたということもそれに向けた動きだというふうに思いますけれども,学力の考え方が変わっていくときに,このままでいいのかということは大きな課題ではないかなと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】 じゃあ続きまして川越委員,お願いいたします。
【川越委員】 私も全国学力・学習状況調査についてなんですが,学校現場としては,まずお礼申し上げたい点が1つございます。先ほどの御説明では触れられなかったんですけども,21ページの資料のところに,平成30年度からその調査結果を返すのを1か月早めたということがございました。1か月前倒しにするというのは非常に大変なことだったと思うんですけども,このことを行っていただいたことについて感謝申し上げたいと思います。というのは,学校は大体夏季休業中に授業改善プランを作るところが多いように思います。ですから,本校も全国,都,区の学力調査を行っているんですけども,今までは6月くらいに結果の届く区の調査結果に基づいて結果分析をして,2学期からの授業改善を進めておりました。これに,7月のおしまいに全国学テの結果が来るということで,おかげさまでそれも取り込んだ形で授業改善を進めることができています。良問であって,なおかつ分析が詳細にわたっている,これを授業改善に活用できるというのはとてもありがたいことだと思います。担当された方々は本当に大変だったと思うんですけれども,是非引き続き行っていただければというのが感想でございます。
 あとそれから,3つの自治体の方から御発表がございました。埼玉県と戸田市につきましては,県と市が連携して学力向上を図るということで,大変参考になりました。また,春日市につきましては,コミュニティ・スクールを推進していく上で,非常に参考になる様々な方策をお伺いすることができました。
 それで,質問ですが,戸田市の戸ヶ﨑教育長先生に質問なんですけれども,御発表の中で,カリキュラム・マネジメントについて,全ての教職員が参画ということがございました。カリマネを進めて学びの質を高めていくためには,この全教職員が参画するということが極めて重要なポイントだと思うんですけども,それに関して,もし何か方策みたいなものがございましたら,是非参考に教えていただきたいということと,同じく戸ヶ﨑教育長先生の説明の中で,学級経営を1つポイントに据えられておりました。私も様々な教育活動を進めていく上では,この学級経営というのは非常に大事なポイントだと思うんですけれども,戸ヶ﨑先生がお考えになっている学級経営を据えた理由についてお話しいただければと思います。
 以上でございます。
【天笠部会長】 それでは,三方に,今まで委員の方からいろいろ御質問等々があったのを,それぞれお答えできる範囲で結構ですので,応答いただければというふうに思います。秋田委員,その後またということでよろしくお願いいたします。それでは八田課長さんからお願いいたします。
【八田埼玉県義務教育指導課長】 お答え申し上げます。
 まず,予算規模についてでございますけれども,全体で2億円程度の委託となってございます。内容としましては,例えば採点に係る経費であるとか,調査問題の作成・印刷,あるいはその集計・分析資料の作成,あるいは配送ですとかコールセンターの設置といった運営に係る経費,こうしたものをまるっと合わせて2億円ということになります。また,資料に記載をしましたデータ活用事業でございますけれども,こちらは500万から600万円ほどの予算となってございます。
 次に,全国学調と県の学力調査のすみ分けということでお答えを申し上げます。まずその前に,県の学力調査がなぜ実施をするに至ったかということをちょっと御説明させていただければと思います。この調査を実施するに至ったときには,今の教育長の前の関根さんという方が教育長だったんですが,その方が学校教育というのは一人一人を伸ばすものであるということを非常にモットーにされていたというふうに聞いております。そうした中でいろいろな歯車がうまく回って,この県学調の設計に至ったわけでございますけれども,そういう前提に立ったときに,県の学力調査の役割というのは,一人一人の伸びが測定できる,そして伸びによって,子供が自分たちの頑張りでどれぐらい自分たちの学力が伸びたのかということが分かる,モチベーションアップにつながる,これがまず1つの効果だと思います。また,その中で,学校の中で児童生徒をすぐれて伸ばした先生というのはどういう取組をしているのかということを発掘し,抽出することができるというのが県の学力調査の役割と考えてございます。
 一方で,全国学力・学習状況調査の役割でございますけど,こちらの方には,私どもが各学校を回るときに,この学力調査は,求められる学力というのを国が最も分かりやすい形で具体化をしたものだから,それを活用してほしいということをお願いしてございます。つまり,学力の一種のモデルが示されているということでございまして,それが全国の学力調査と県の学力調査の役割のすみ分けということになるのかと思ってございます。
 3点目でございます。県の学力調査の結果を人事施策に反映しているかということでございますけれども,まず,この調査でございますが,先ほど申し上げた目的のとおり,子供一人一人を伸ばすということが目的の調査でございますので,例えば人事評価であるとか人事施策には活用しているというものではございません。ただ,例えば本日の資料の中の9ページの中で,本日ちょっと御説明は省いてしまったんですけれども,学力向上プロジェクト教員というのを選定してございます。これは例えば主体的・対話的で深い学びであるとか,県学調でこういうふうにPDCAサイクルを回せばいいといったようなことを進める上で,地域の中核となる教員,つまり教員に教える先生,教員を選定して配置するといった取組をさせていただいてございます。
 あと,研修につきましては,初任者研修の中で活用したりであるとか,あるいは先ほど御説明申し上げました動画やリーフレットというものを様々な会議等の場で説明をし,活用していきたいというふうに考えてございます。
 御説明は以上となります。
【天笠部会長】 じゃあ続きまして戸ヶ﨑委員,お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 まず,カリキュラム・マネジメントの捉え方ということで御質問いただきましたが,これは先ほどもプレゼンの中でお話ししましたように,教科等を学ぶ本質的な意義や教科横断的な視点ということで,それぞれ内容の配列等を見直したりするということが新学習指導要領でも強調されている内容です。それを日々学校の中で行っていく際に,往々にして,管理職は頑張るけれども,一般の教師はどこ吹く風で,私たちには直接関係ないと平然としているというのはあってはならないことだろうと思います。学校現場で子供と日々最前線で接している教師のマインドセットを変えていって,しっかりと今言ったような本質的な意義や教科横断的な授業改善等がなされないといけないと強調しています。そのために,本日はお話の中で余り詳しくしませんでしたけれども,本市ではPBLに関する取組を意図的に入れていって,教科を越えた学びをマネジメントする授業をデザインするといった仕組み作りも行っています。
 それから,学級経営の部分につきましては,言うまでもなく学習指導や学校生活の基礎となるのが学級経営です。しかし,学級経営の理解や実践が不徹底な実態があったり,学級担任経営の職務を見よう見まねや自己流で行っていたりする実態も見られます。学級経営充実の方策は学校力向上の要です。教師力の向上は学級経営力から始まります。校長には自校の各学級の現状をリサーチし,望ましい学級経営のあり方を共有してほしいと強調しています。一部はすごくよくて,一部はよくなくてということにならないように,どのクラスも例外なくミニマムスタンダードはしっかりと押さえてほしいと思っています。学級経営の基礎基本というものについても改めてしっかりと勉強し直してもらわないといけないのですが,実際にそこにエネルギーを掛ける時間というのがだんだん少なくなっているのかなという危惧があります。そこで,改めて学級経営の研修会にも力を入れているという現状がございます。
 以上です。
【天笠部会長】 清尾教頭,ここまでのところで何か質問等々,よろしいですか。はい。
 それでは,また委員の方からの御意見等々をお願いしたいと思います。秋田委員からお願いいたします。
【秋田委員】 本日は国の学調と,県,市,学校のそれぞれの取組について体系的にお話を頂くということによって,機能的にいかに学力調査というものが使い得るのかというその可能性の一つを見せていただくことができたというふうに思って,感謝をいたしております。ただ,私が思うに,やはりこれからの21世紀なりの資質・能力を育てるということのために,その一つの部分としての学力というものを測定するためにテストが行われているという,その手段と最終的に育てたい資質・能力というところが逆転した議論にならないように,私どもがやはりこの調査を保護者や教員とどう共有するのかというようなところを伺いながら一番考えたところであります。本日全国の調査の方でも大変慎重に,A,Bがなくなったけれどもそれで全てがこれで測れるわけではないということで,非認知能力の話もしてくださいました。私自身は,例えば埼玉県さんの場合に,その非認知能力がどのように関わっているのかというと,学級経営と非認知能力の関係が表されているわけです。それが学力と直結の線で結ばれているわけではないわけで,このあたりをやはりいかに教員や保護者と共有していくのかというところが重要であろうと思っています。
 私が伺いたかったのは,1つは埼玉県の場合などで,クラス単位で伸びたクラス,個を見ると同時に,クラスで何が伸びているのかというところから,それを伸ばす教師というのを見ていらっしゃるというのはいいなと思った一方で,やはり今までもお話がありましたが,やはり学校単位で,チームで組んでいくことが,どんどんクラス担任制で,小学校などでそこを強めていくだけではなくて,やはり同僚同士が学校で高めていくためには,校長の役割であったり,よい学校の取組の在り方というのを,いわゆるPDCAを回しているという次元ではなく,もうちょっと校長であったり教頭であったり,そういう人がどのような在り方があるのかというようなところをもし分析をされていたら伺いたいというふうに思います。
 また一方で,これはすごく前向きに量としては向上しているし,いいなと思う一方で,こうして取り立てられていく教師もあれば,そこで必ずしも伸びていない,指導を受けるという教師も片方で出てくるわけです。そのときに,どういう形でそれをフォローしていくのか,全ての子供にとって全ての教師がよりよくやっていく意欲であったり,そういう部分をどういうふうに維持していくのかということが出ていかないと,なおさら窮屈な形になって,伸びるところは更に伸びて量的に見えるようになってはいくんですけれども,そのあたりぎくしゃくしたり,教員からの抵抗感はないのか。また,保護者の中にも,当然これで安心する保護者もいる一方で,やはりこれだけで大丈夫だろうかというような,特に先ほどもお話がありましたが,通常学級でボーダー的なお子さんもおられるときに,そういう子を伸ばしていく教師や教室の在り方がどうなのかというようなことを,平均値だけではなくて見ていくようなきめ細やかな対応を今後考えていかないと,どんどんシステムがシステム的に動いていくことによって,効率や効果というものは短期的には上がるんだけれども,我々が21世紀のより長期的に育てたい資質を全ての子供に育てていく体制が作れるのだろうかというようなところをちょっと考えた次第です。
 是非埼玉県,戸田市に関しましては,そうした教員と校長の在り方,それから保護者等の,どういう対応が不満や不平と,それから賛同と両面恐らくあるに違いないと思うので,そのあたり率直に可能な範囲で伺えたらありがたいと思います。
以上です。
【天笠部会長】 今の埼玉県と戸田市についてはまた後ほど時間がありましたらお願いしたいということで,先ほど来ずっと学力に関わって国の在り方についていろいろ出ておりますので,今村企画調整官からお願いできますでしょうか。
【今村主任教育企画調整官】 ありがとうございます。まず,橋本委員から御質問いただきました県学調をどう見ているのかということでございますけれども,先ほど八田課長からの御説明にもありましたとおり,私ども,全国学力・学習状況調査にはないような調査設計を取り込んでおられまして,特に特徴とされています子供一人一人の伸びを測ることができるということが大きな特徴ということで,これは私どもの調査にはない点ということで,非常にすばらしいと思っております。
 ただ,こうした調査設計に関わる者からしますと,なかなか我々が測りたいといいますか,知りたいことを知ることができる調査設計にすればするほど,事実お金も掛かりますし,必要な時間も掛かるということもありますし,それからそもそも,恐らくどのように設計をしましても,オールマイティーな調査というのはできないというふうに思っております。私どもは目的としまして,子供の学びをしっかり支えて育てていくという目的に照らしたときに,今,自治事務で各学校設置管理者が行っている学校教育に対して,国の立場でどういったような関与なり支援ができるのかということで現在の全国学力・学習状況調査を設計して実施しているということがございます。もちろん,先ほど喜名委員から御指摘あったとおり,12年,13年を踏まえて一旦総括をして新しい方向に進むべきではないかという御意見も各所から頂いておりまして,私自身も個人的にもそのとおりだと思っておりますし,特に昨今の世界的ないろいろな流れも踏まえまして,調査自体を現代化していくということも必要だと思っておりますし,それに必要な議論もしていきたいというふうに思っておりますけれども,そのときに,先ほど幾つか御指摘いただきましたとおり,この調査自体はいわゆる手段なんですけれども,それが目的に照らした形でより効果的に使っていただくという観点でも,私どもはまだできることがあるのではないかなというふうに思っております。
 先ほどのお話にしますと,例えばいわゆるテストの傾向と対策というような形で,この全国学調のみならず様々な調査に向かわれているということであれば,非常にそれは残念な使われ方だと思いますので,やむを得ずそういうような対応をせざるを得ないという状況があるとすれば,そこを解消していくような手だてがどういうふうにしたらできるのかということは,私どもも一緒に考えて実行していきたいというふうに思っております。ここの解消がないと,幾ら私どもの例えば全国学力・学習状況調査を何らかの改善をしたとしても,やはり同じようなことが続くのかなというふうに思っておりまして,これは全体の調査設計をどうするかということと並行して常に考えて一緒に取り組んでいかなければいけない課題だというふうに思っております。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。では続きまして,東川委員,篠原委員,若江委員,山中委員,市川委員,この順でお願いしたいと思います。東川委員,お願いいたします。
【東川委員】 先生方の発表ありがとうございました。私からは春日市の教頭先生に是非お伺いをしたいんですけれども,コミュニティ・スクールとしての学力向上に関する取組ということでたくさんの事例があって,そして資料の26ページにあるように,学校・家庭・地域の三者間による学力向上の教育的効果ということで3つ挙げていただいていると思います。SDGsにあるように,誰一人取り残されないという観点からいきますと,様々な学力があったり家庭環境の児童生徒がいたりということだと思うんですけれども,例えば授業が成り立たないようなケースがあって,日頃そうなんだけれども,例えば授業参観になって保護者が来ると,一転してすごくいい子であったりということで,保護者目線で見ると,果たして何が問題なんだろうという,いわゆる学校と家庭でのフィルターの違いからの認識の違いというんでしょうか,そういうのがあったりということがあって,うまく地域と家庭を取り組む中において,春日市さんは相当早くからコミュニティ・スクールを導入されていらっしゃると思うのですけれども,取組に当たってのポイントみたいなものがありましたら,たくさん事例はあるんですけれども,このコミュニティ・スクールの導入についても全国相当差があると思うので,これからという自治体であるとか学校に対するアドバイス等あれば,是非教えていただきたいなという質問でございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。それでは続きまして篠原委員,お願いいたします。
【篠原委員】 お三方の御説明を聞いて大変勉強になりました。ありがとうございました。私は,その前の今村さんから説明があった状況調査の資料について一言。この資料の中に,調査対象は全国の小学校6学年,中学校第3学年の全児童生徒と書いてあるんですけれども,私立は全部入っていないでしょう,実際は。恐らく6割か7割ぐらい。そういうことを踏まえてもうちょっと正確に書いてくださいね。これを見ると,私立まで全部入って全て調査しているというふうに誤解を受ける書き方ですよ。私立は希望しているところだけが対象になっているんですか。
【今村主任教育企画調整官】 よろしいですか,済みません。対象としましては全児童・生徒になるんですけれども,こちらは何か法律上義務付けてやっている調査ではないので,参加意向確認というのを行いまして実施をしておりまして,意向確認させていただいた結果,残念ながら私学には御参加いただけなかったと。
【篠原委員】 文科省の説明とか資料は,全てというのは公立だけなのか,私立や国立まで含めて全部対象にしてこうなのかという点がすごく曖昧なことが多いんですよ。学校の校舎の耐震化の問題なんかのときも非常にそこを私は指摘したんですけれども。文科省は公立のことばかりが頭にあるかもしれませんが,それでは困るんです。切り分けてきちんと説明をしてくれるように,今後もお願いしたいと思います。以上,これは注文です。
【天笠部会長】 ということで,じゃあ続きまして若江委員,お願いいたします。
【若江委員】 皆さんありがとうございました。私も東川委員と同じく春日西中学校さんの方に御質問したいと思います。たまたま私,平成19年に学校支援地域本部を春日西中学校さんが設立されるというときに5年間ぐらい研修に行かせていただいて,それからしばらく時間が空いていたんですが,まさに戸ヶ﨑委員がおっしゃった続ける・つなげるを丁寧に実践されて,ここまで来ておられることに感銘をうけました。
 そこで,秋田委員からも指摘がありましたが,やはり今の学力というのは単なる学力ではなくて,資質・能力の方に重点が置かれていくということなんですが,今,学校も地域も保護者にもまだこれまでの学力というところでベクトルが当たっていると思うんですけど,まさにこれから開かれた教育課程が実践され,資質・能力育成重視になったときに,保護者や地域の理解についてどのような方策を考えておられるのか。
 あともう1点が,市内6校あるうち,学校間の理解格差みたいなものが出てきやすいと思うんですが,校長のマネジメントであるとかそういったことによって格差が出やすいんですが,その現状がどうかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】 それでは,山中委員,お願いいたします。
【山中委員】 3つの発表,どうもありがとうございました。私の方からは埼玉県の方にお伺いしたいんですけれども,学力調査の方ですけれども,そのときに,数として具体的に分からなければあれですけれども,合理的配慮ということで,テストを受けるときに何か配慮をしたような事例がもしも分かっていたら教えていただきたいなと思います。というのは,合理的配慮を試験のときに,いろいろなルビを振るだとか,拡大だとか,時間の延長だとかあると思うんですけれども,そういったことが各学校で周知されて,試験のときだけやるというのはだめなんだと思うんですね。ふだんやっていることをするということになっていると思いますので,合理的配慮というものが学力調査のときにもされているということであれば,多分学校としてもふだん対応しているんだろうなというふうに思われます。3つの発表とも,それぞれユニバーサルデザイン化ですとか分かりやすい授業というような発表がありまして,各学校,各地域では障害のある子の対応も多分いろいろしていただいているんだなと思いますけれども,通常の学級にも特別な支援を要する子供がたくさん今いる中で,そういった子供に対する配慮ですとか支援が浸透していくということで,学力も上がっていくということにつながるかなと思ってちょっと質問させていただきました。
【天笠部会長】 ということで,ここでまた三方に,今までの秋田委員から今の山中委員までそれぞれ御質問等々があったかと思いますので,それに応答していただければと思いますけれども,今度は清尾委員,そして八田課長,戸ヶ﨑委員というこの順でお願いしたいと思いますので,清尾委員,お願いいたします。
【清尾春日西中学校教頭】 御質問ありがとうございます。コミュニティ・スクールを推進していく上で,やはりベクトルをそろえるというのはとても大事なことかなと考えています。保護者が学校をどう見ていくか,その視点であるとか,その辺を各学校の学校運営協議会が毎年課題を共通認識して,それを実働組織の方に落としていき,学校・家庭・地域がそこを中心に回っていくということになっていますが,コミュニティ・スクールを導入するときに,どんな学校,どんな子供たちを育てたいかという共通目標を立てて,そこに対して課題,それからじゃあどう取り組んでいくかということをそれぞれの家庭・学校・地域の役割を分担していくというのがコミュニティ・スクールの強みかなと考えています。現状として,どうしても保護者の認識,それから保護者のフィルターが掛かってしまうことは当然なんですけれども,そこはやはり実働組織が,学校によっては違いますけれども,月に1回,二月に1回ぐらいありますので,そこを少しずつすり合わせていくことがポイントになるのかなと思っています。
 それから,資質・能力についてですが,いわゆる全国学テだけの学力だけでは測れないものとして,やはりコミュニティ・スクールとしては市民性の育成というのがとても大事かなと思っています。本市は都市部にありますので,正直,人と人との関わりが希薄になっています。マンション等がたくさん建設されていますので,そこをコミュニティ・スクールという仕組みで地域や保護者,学校が一体となって人と人との関わりを作ることによって,コミュニケーション能力であるとか地域を大切にしていくという心の育成に務めているところです。
 最後に,6つの中学校ブロックがあるんですが,やはり学力格差,それから取組の格差というのは大きなものがあります。どうしてもいわゆる鉄道の沿線上は地価も高いので,やはり教育に関心のある保護者の方がたくさん住まわれて,塾に通わせたりする率も高くなります。どうしても沿線から離れていくと,そこからどんどん離れていくところですが,このコミュニティ・スクールを導入することによって,まあ各学校課題は違いがありますけれども,自分の学校,子供たちをどう育てていくかということがやっぱり同じ目標になってベクトルがそろうというのがすごく大事なことかなと。なので,学校から是非こうしてください,ああしてくださいというのがよくありがちなんですけれども,本市の場合は,いろんな課題を地域からお願いしたり,同じ学校の保護者の立場で,お母さんたち,もっとこうしていきましょうよというふうなことが言いやすいのが大きな特徴かなと考えています。
 以上です。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。続きまして,八田課長,お願いいたします。
【八田埼玉県義務教育指導課長】 まず,校長であるとか教頭の役割ということなんですけど,これは全くおっしゃるとおりだと思ってございます。もともと学校教育の中で,先ほど戸ヶ﨑教育長からもあったと思いますけど,経験と勘でやられていたところもあって,よい取組を共有するという風土が弱かった,そもそも何がよい取組であるのかというところの側面が分かっていなかったというところはございます。それが県学調を軸によい取組を発掘することができるようになって,それを共有し,学校単位で実践することができるようになった。ということで,学校単位でしっかり管理職がリーダーシップを持ってやってくださいというのは,私どもはいろんな説明に回った場でお願いしているところでございます。
 2つ目の御質問で,県学調への対応で,平均値だけではなくきめ細やかな対応という御質問の趣旨かと思ったんですけれども,私どもは全国学調と同じで,この調査というのは学力の一部分を測定したものであるというふうに考えてございますし,またもう一つは,学力を伸ばすということだけが教員の役割ではない,例えば難しい学年の対応を任されるような先生,それはそれでまた生徒指導上の力量として評価されるべきだと思ってございます。
 ただ,一方で,この埼玉県学調というのはある意味システマチックにできてございますので,そのシステムが,先生おっしゃることを私なりに咀嚼しますと,一枚岩にならないように,私ども今後もやっていく上で肝に銘じなくてはいけないのかなというふうに思ってございます。
 3点目の教員の不平や不満ということですけれども,ちょっと数量的な数というわけではないんですが,例えばこの調査は4月に実施いたしますので,全国学調と時期がかぶっていて大変であるとか,あるいは結果がかなり統計的なデータも出てきますので,結果がなかなか読み取れない,分からないといったようなご意見は頂いておりました。1つ目の,実施時期が全国学力調査とかぶっているというご意見に対しては,この調査と全国学力調査というのは違った性格,役割を持っているものなのでということで,お願いして御説明に上がってございますし,2つ目のなかなか結果が分かりづらいとか,帳票が使いづらいというのは,これまでに作成してきた帳票の改善を図って,なるべく学校現場が使いやすいようにしてきているところでございます。
 また,合理的配慮に関する御質問については,ちょっと数的なものはお答えをできないんですけれども,この調査は特別支援学校でも一部実施をしてございます。その中では,例えばルビ振りをしていたり,そういったところの配慮はさせていただいてございます。ちょっとこちらの方は網羅的な回答というのはなかなか難しいのでございますけれども,可能な範囲で回答させていただきます。
 以上となります。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。戸ヶ﨑委員,ありますでしょうか。
【戸ヶ﨑委員】 秋田委員の御質問等に絡めてなんですけれども,いわゆるコンピテンシーベースでのことについての取組ということで,1つは,校長会ピアレビューというのを充実させています。それは何かというと,単なる成果発表や平均点の比較だけではなくて,学級経営上のものや教員に関わるもの,保護者に関するものなど,各学校の学調の結果を総合的に見合って,校長同士が専門家の視点から,ほかの学校にもコメントを加えていくことにより活性化させるというものです。
 併せて,そういう取組を教務主任や教頭といった職位でもやっています。そのベースになっているのが,冒頭申し上げた21世紀型スキルとか,非認知スキルとか,汎用的スキルの育成というような視点で,本当に成果を上げているのかどうかということをお互いが議論していますので,単なる数字に惑わされて云々ということはないと思っています。
 それからもう1個,保護者の絡みということもあって,先ほどその資料の中の14ページと13ページの中で,「保護者にも提供しています」と述べましたけれども,学力テストの結果や学習状況調査の結果を一覧表にして保護者にも示しています。それを保護者会などで意見を交わしながら家庭学習の習慣を育成していくというようなことも,各学校で実施しています。
 あと,特別支援に関する内容で,ここもこれだけ特化して話し出すと相当時間がかかってしまいますが,本市ではLITALICOや筑波大学と学力の問題に限らず特別支援教育の充実に向けた研究ということも併せてやっています。例えばペアレントトレーニングということのスキルを教師に育成していくこと,また個別の指導計画を電子化して,経験と勘に頼らない指導計画を立てられるようにしようとか,様々な取り組みにチャレンジしています。
 また,先程から全国学調と埼玉県学調についての質問や意見が多く出されていましたが,特に全国学調は最近風当たりが強いように感じます。教育再生実行会議の第11次提言の中には,「全国学力・学習状況調査や各地方公共団体による学力や学習状況を把握する調査の利活用を,それぞれの役割を踏まえつつ促進することは,客観的な根拠を重視した教育政策(EBPM)の推進にも資するものです。……。国は,学校におけるICT環境の整備状況を踏まえつつ,経年変化分析の充実やCBTの導入を含めた全国学力・学習状況調査の改善を検討する。」とあります。全国学力学習状況調査は,これまで毎年多くの改善が加えられてきています。この調査目的は大きく二つあります。一つは全国の子供の学力実態を把握分析し,国都道府県の行政施策を検証することです。二つ目は,学校の設置者である自治体の教育施策の検証と学校の指導改善につなげることです。前者を目的とするなら抽出でも可能ですが,後者も目的としているので全ての学校で実施する必要があります。教科等の専門家の方々によって練られた優れた調査問題などにより,教育委員会や学校などに対して,学習指導上特に重視される点や身に付けるべき力を具体的に示すメッセージの役割も果たしてきました。そのことを含めて,日本の学校の指導改善などに大きな貢献をしてきました。全国学調を安易に批判するのではなく,そのよさを大いに活用しつつ,各自治体では独自の課題解決等に向けて,実施教科や実施学年の拡大,IRTによる学力の伸びの検証など,全国学調だけでは得られないデータを得るためにそれを補完する役割の学力調査等を実施するという姿が望ましいと考えます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,そろそろ時間も御覧のとおりということで,今札が立っている委員の方の発言で終わりにしたいと思いますけれども,どうしてもという方がいらっしゃったら,さらに名札を加えていただいても結構ですが,今名札が立っている方ということでよろしいでしょうか。
そうしましたら,山口委員それから西橋委員,奈須委員,市川委員,この順でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山口委員】 ありがとうございました。非常に参考になりました。
 私からは,1点お伺いしたいと思うんですけれども,この12年間行った非常に大きなデータがあるということなんですけれども,子供たちを伸ばすために,その指導力というのは非常に重要だと思うんですね。このデータの分析の中に,例えば埼玉県で言いますと,学力向上で,すぐれた教員を抽出できるというのがあるんですが,その先なかなか,この指導というのは非常に難しくて,マニュアルがあるわけではありませんので,環境を整えても,どういう指導が子供たちの心に訴えて,子供たちを伸ばしているのかというのがデータとしてきちんと出ていて,それが教員,現場に伝わっているのかどうかというのがちょっと私,不勉強で分からないので,分かれば教えていただきたいと思います。
【天笠部会長】 はい。じゃ,次,西橋委員,お願いいたします。
【西橋委員】 私,高校なんですけれども,本日はいろいろな成果があった取組をお聞きしまして,私自身も大変勉強になりました。ありがとうございました。
 ただ,ここで思うのは,こんな成果があった,こんないいことがあったというのは,いつもいろんな会で聞いているわけなんですけれども,その一方で,やっぱりどんなに努力をしても,なかなかうまくいかないところもあるということなんです。
 じゃあ,成果が上がらない学校とか,地域とかがそういった努力や取組をしていないのかというと,もしかしたらそうじゃないかもしれないし,もしそうであれば,そういった取組を努力してすればいいわけですけれども,中にはもう学校とか地域とかでは,どうしてもクリアできないような要因があるところもあるというふうに考えています。そういったところも目を向けていく必要があるんじゃないかなと思っています。
 自分たちではなかなかクリアできない要因があるとすれば,どんなことが国としてできるのかとか,考えていらっしゃるとは思うんですけれども,そういう方策を考えていかなければならないのではないかと思います。そうしないと,全国の学校が成果を上げることにはなかなか結び付かないのではないかなと思っています。
 以上です。
【天笠部会長】 奈須委員,お願いいたします。
【奈須委員】 全体について,当たり前のことかもしれませんが,1点確認です。学力ということの学習指導要領の記載というのが資料2にありますけれども,ここには特定の教科という話はもちろんあるわけではなくて,ただ学調は原則的に国語,算数,数学,英語,そして一部理科ですよね。そのテスト結果に基づいていろんなことが進められることは,とても望ましいことですけれども,本来,学力というのは教育課程全体でのことですよね。秋田委員が先ほど,もっと幅広くということをおっしゃった。つまり,同じ教科でも学力のもっと幅広さとか,データに乗ってこない,データを取りにくい部分も学力だという学力の側面,その話に加えて,領域的にも,教育課程全体で考える必要がある。当たり前のことながら,一部の教科について測って学力という議論をしているのが現状で,でも,これが結局,議会であるとか,予算であるとかという話になると,測られている教科に傾斜配分がなされるという可能性は皆無ではない。例えば個人的な私感ですけれども,校内研究会とか,公開研究会とか,学校研究のテーマというのがここ10年,国語と算数にとても偏っている気はしています。20年前はこんなことはなかっただろうと思います。
 これは多分学調の影響で,するとこれは何かの形で修正していく必要がある。文科省の研究指定や国研の研究指定はバランスよくやってくださっていると思うんですけれども,都道府県,市町村の研究指定であるとか,校長さんや校内の先生方が自分で研究主題を選ぶときに,どうしても国語,算数あるいは英語に偏るということがあって,例えば社会科とか図工とかいう授業のアベレージは下がっているような気が,全く個人的な考えですけれども,しています。
 これは,今後若い先生方が増えてくるということを考えると,そのあたりの教科の指導とか技術とか,本日のグッドプラクティスもそうですよね。国語,算数のグッドプラクティスだけではなくて,理科や社会や図工や音楽や体育の全部のグッドプラクティスがいろんな形で伝えられるということが,小学校は特に全科担任なので,とても大事かなと思っています。中学は,また専科制なのでいろんなことがあると思うんですけれども。
 このことは文科省から,どんな形でしょうか,都道府県なり市町村に対するいろんな働きかけということもあるでしょうし,全教科の実践研究ということで言えば,国立の附属小学校が全教科についてバランスよくやっていて,附属学校が地域拠点として,むしろこういう時代だからこそ,いろんな可能性を持っているのではないかななんていうことも思ったりしました。
 以上でございます。
【天笠部会長】 それでは続きまして,市川委員にお願いしたいんですが,その前に,先ほど山口委員から,埼玉県の八田課長の方に確認というか,質問があったかと思うんですけれども,その点については一言お答えいただけますでしょうか。
【八田埼玉県義務教育指導課長】 県学調の教員を抽出した先ということなんですけれども,まず,私ども,各学校においてよい先生の取組を共有するようにしてくださいというお願いをしています。
 あと,まして,本日の資料で言うと,12ページ,13ページになりますけれども,県全体の中でもいわゆるグッドプラクティスですね,すぐれた学力を伸ばした先生からヒアリングをしたり,あるいはその動画を撮影するなどして,よい取組というのを抽出し,それを各学校であるとか,教員の研修などで活用することによって,県の教員全体の指導力向上に生かすように働きかけているというところでございます。
【天笠部会長】 どうもありがとうございます。
 続きまして,市川委員,お願いいたします。
【市川副部会長】 それでは,2点,申し上げたいと思ったんですが,1つは,全国学力調査のことです。確かに資質・能力の1つの側面であることには変わりないんですが,これを振り回され過ぎるからということでなくしてしまうと,全国学力調査がなかった時代のことを考えると相当問題もあったわけで,やはり1つの側面として重要であると。ただ,これだけしか提示されないと,これだけが学力のように思われてしまうので,むしろほかの資質・能力の側面を可視化するようなこと,これは文科省だけではなくて,やっていく必要はもちろんあるんだと思います。
 その上でなんですが,先ほどの御報告の中で,全国学力調査の成績が非常にいいとか,あるいは伸ばしているというところが,ヒアリングしてみると,何もそう特別なことをやっているわけではないと。凡事徹底しているというような,こういう報告があったと思います。私は,これは非常に大事なことだと思っていまして,全国学力テストが始まった最初に全国1位になった県が,やっぱりそうおっしゃったんです。何かうちが特別なことをやっているわけではない,何でうちが1位なのか分からない,当たり前のことをしっかりやっているだけだとおっしゃったのが,非常に印象的でした。
 そう考えると,この指導要領改訂の中で,いろんな新しい提案がなされてきました。これは審議の過程でもいっぱい出てきたんですが,そういうものが一体この数年,どれだけ効果があったのかということを改めて出していく時期かなとも思っています。
 3つ挙げますと,1つは,アクティブ・ラーニングということが言われて,今は「主体的・対話的で深い学び」ですが,いろんなものがメソッドとして提案された。中には非常に極端なものもありました。もう教師が教えるのではなくて,子供に活動されると。そういうところは一体どうなったのか。すごく効果を上げているというところで,そういうふうにやっているというところがあるのかないのかです。
 それから2番目は,ICTです。デジタル教科書ということも随分言われて,ICT活用が言われているんですが,このすごく効果を上げているというところが,ICTをふんだんに使っていますということが出てきているのかどうか。
 それから3番目は,これは英語になりますけれども,例えばオールイングリッシュというのが,中学校でもかなり言われるようになっています。文科省も,英語でやることを基本にすると言っているだけで,全てを完全に英語でやるとは言ってないはずなんですが,これが教育委員会を経て現場に届くときに,オールイングリッシュが推奨されるようになる。じゃ,本当に効果を上げているところは,オールイングリッシュでやっているのかどうか。
 現場の方でも,この3点は非常に気にしているところで,本当にそこまでかなり極端なものをやるのが効果的なのかどうかということは,迷っている学校や先生がたくさんいます。それに対して何らかの現時点での答えが出てくるといいなと。これは何も,全国学調の中にこういう調査項目をすぐに入れるということでなくて,これは大変ですから,それぞれ別の調査,都道府県でもいいのですが,やっていただいて,それと全国学調の結果を照らし合わせてみれば,分かってくることではないかと思います。是非そういう点をお願いしたいと思います。
 それからもう一つですが,これは感想です。戸田市の取組と春日市の取組,それぞれ非常に特徴のあるものを出していただいたと思っています。戸田市の方では,産学官ということで,かなりのリソースが投入されています。その結果がどうなったのかということ,取組方の内容とその成果ということをもっと具体的に出していただけると,ほかの自治体でも非常に参考になるかなと思います。
 一方で,春日市の方は,何も著名な研究者を呼んでいるわけでもないし,民間企業がいっぱい入っているとか,ICTをふんだんに使っているというわけではないんですよね。それでもこれだけの取組があって,効果を上げているというお話を聞かせていただいたと思いますし,これは参考になるというところもたくさんあると思います。本日はそれぞれの取組を聞かせていただいて,非常に参考になりました。ありがとうございました。
【天笠部会長】 どうもありがとうございました。時間になりましたけれども,私から一,二申し上げますと,この学力調査につきまして,現場の立場からすると,教科対応ということにとかくなりがちなんですけれども,捉える側からすれば,教育課程の成果としての資質の学力を捉えるという,その教育課程の全体的な成果というのをどう受け止めていただけるかどうか,そのあたりのところにもう一段,二段,知恵を絞る必要があるのではないかというのが1つです。
 それからもう一つは,本日御報告がありました,成果が上がった学校に共通する取組というのが4点あるわけですけれども,これはできるだけ学校の先生方,現場にもお伝えをして,できるだけこれの共有化を図っていただくことと,また,これの現場のお立場からの実践化をお願いしたいという,そういう関係ができるといいかなと思います。そういう意味において,この共通する取組の4点,これをできるだけいろんな形でお伝えしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 ということで,本日の議題は以上ということにさせていただきたいと思います。それぞれの委員の方から出されました意見等々を受け止めていただき,今後の審議に生かしていただければということを,事務局の方々にはお願いしたいと思います。
 最後に,次回以降の予定につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【篠原委員】 その前に1つだけ。
【天笠部会長】 どうぞ。
【篠原委員】 大変恐縮ですけれども,3時間は長過ぎますよ。これだけの時間を確保するのは大変なんですよ。最近ほかの部会もそういう傾向がちょっとあるんですが,できるだけ2時間の設定で今後お願いをいたします。
【天笠部会長】 ということもまたよろしくお願いいたします。
 ということで,以後の日程等々についてお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】 御審議ありがとうございました。
 次回の教育課程部会は,12月4日水曜日午前中で,場所は省内を予定しております。
【天笠部会長】 それでは,本日予定していました議事は全て終了いたしました。これで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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